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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2392
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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21.  マーズ・アタック! 《ネタバレ》 
トレーディング・カードからこんな作品を創造しちゃうティム・バートンは、やっぱり天才です。自分にはこれはツボにストライクでした。出演交渉されて、「どの役がやりたい?」と聞かれて「全部!」と答えたジャック・ニコルスン、さすが良く判ってらっしゃる。よく観ると、本作はスピルバーグの「宇宙戦争」に影響を与えていますね。冒頭で印象的な「暴走炎上牛」のシーンは、「宇宙戦争」でも似たようなシーンが思いださせてくれますよね。あとラストシーンなど、結構ニヤリとさせてくれました。
[DVD(字幕)] 8点(2009-07-26 23:30:01)
22.  マイラ 《ネタバレ》 
1960年代後半にたった2本撮っただけで消えて(消されて)しまった天才監督マイケル・サーンの傑作カルトです。アメリカでもソフト化されてないそうで、日本で鑑賞するのは至難の業ですが、15年前に大阪の民放局で「マイラ」と「ジョアンナ」の2本立て(!)で深夜放映したのを、運良く録画することができました。ゲイの映画青年マイロンが性転換手術を受けてマイラになり、マイロンの未亡人になりすまして伯父の経営する俳優学校に乗り込み遺産相続争いをするというのがストーリーです。マイロンをレックス・リード(この人はゲイで有名な映画評論家でこの配役はセルフパロディ)、マイラをラクエル・ウェルチが演じるのですが、マイラが行くところにマイロンが幽霊の様に同一画面に登場するというシュールな演出です。この作品の斬新なところは、登場人物の心象風景を往年のハリウッド映画のカットをつないで表現する点で、巧みな編集には感心します。脇を固めるジョン・ヒューストン、メイ・ウェストの怪演も見ものです。英国人マイケル・サーンはこれらの演出作法で米国文化を徹底的にこきおろし、当然ハリウッドからは総スカンを喰い、酷評されたうえX指定(日本でいう成人映画)を受けサーンはハリウッドから追放されました。アンディ・ウォーホルなどこの映画を絶賛する文化人も多かったそうです。オープニングとラストに流れるシャーリー・テンプルの歌声が耳に残ります。
[地上波(字幕)] 8点(2008-12-24 23:06:18)(良:1票)
23.  MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 《ネタバレ》 
タイムループものは好物なんだけど、このカテゴリーの邦画は初めて鑑賞。劇中でも言及があるように『ハッピー・デス・デイ』や『オール・ニード・ユー・キル』そして『恋はデジャヴ』なんかが有名作だけど、これらが恋や死をテーマにしているのに対して本作では仕事がテーマになっているのがいかにも日本らしいところです。謂わば“社畜たちの最悪の一週間”がテーマでループしてゆくわけだけど、ラストで“個人の夢をかなえる”と“仕事はチームワーク”というオチで閉めるところは、いかにも日本人らしいが自分としては少し薄っぺらい様な気がしないでもない。私が今まで観てきたタイムループものはループの幅が一日程度が多かったが、一週間というループ幅は最長かもしれない。そりゃあ人間誰しも仕事や生活で失敗した時、「嗚呼、もし時間を戻れたら…」と臍をかんだことが一度はあるでしょう、でも一週間を何度も繰り返すならそりゃどんな仕事や作業でも完璧にこなせるのは間違いない。もしループしていることに気が付いたなら、その間に社会で起こる出来事を参考にしてとんでもない金儲けや、それこそ犯罪だって平気で犯せる、まあ一週間たてばもとに戻るんだから意味ないか(笑)。最初は徹夜続きの社畜たちを尻目にさっさと帰宅しちゃう部長・マキタスポーツはとんでもない奴だと思わせておいて、実はストーリーに感動要素を与えてくれるキーマンだったというのは、ちょっとあざといかなと思うけどまあアリかなと思います。 なんか腑に落ちないところはあるけど、誰もが憂鬱になる月曜日と毎日同じことの繰り返しのようなサラリーマン生活をタイムループのストーリーに落とし込んだ発想は、けっこう上手くいっていると感じます。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-10-21 22:49:59)
24.  マダム・フローレンス! 夢見るふたり 《ネタバレ》 
実在のフローレンス・フォスター・ジェンキンスは歌手活動する前はピアノ教師をしていたぐらいで、決して自分のような根っからの音痴というわけではなく普通人以上の音楽的な才能(?)はあったんじゃないかな。でも歌わせると凄まじい破壊力を発揮したということは、絶対音感を持ち日芸のピアノ科を出ているのに…というあの山口めろんが思い出されます、彼女こそ現代に転生したマダム・フローレンスなのかも(笑)。まあこういうのって、障害の一種なのかもしれないですね。 歌唱力には定評のあるメリル・ストリープが熱演していますが、この映画の最大の欠点は私のような音感が鈍い人間からすると、マダム・フローレンスの歌がさほど酷くない、かえって上手く聞こえてしまうという事なんでしょうね。それこそ山口めろんみたいな“本物”を起用すれば良かったかもしれないけど、さすがに人材豊富な英米映画界でも見当たらないでしょう。まるで重婚してるような謎の男ヒュー・グラントも、彼が今まで演じてきたキャラからすると絶対裏でなんか悪さしてると疑って観ていましたが、実は最後までイイ人だったというのは意外でした。全体的に観てこの映画に登場するキャラはイイ人ばっかりだった印象、そりゃあNYポストの記者が酷評記事を書いたのはジャーナリストとしては当然の務め、賄賂を受け取らない・忖度しないというのは褒められるべきことで、某芸能事務所に忖度しまくる我が国のマスコミ人士は恥を知った方がいいです。 要約すれば「素人で音痴の金持ちの有閑マダムが、カネとコネにモノを言わせてカーネギー・ホールで公演する」という身も蓋もないお話しになっちゃうんですけど、あまりコメディに寄らないベタな展開にも関わらずホロリとさせてくれるラストでした。やはりこれは、メリル・ストリープとヒュー・グラントという二大名優の成せる業なんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-21 21:46:36)
25.  魔人ドラキュラ 《ネタバレ》 
史上初の正式なドラキュラ映画です。今まで私はクリストファー・リーが最高のドラキュラ役者だと思っていましたが、間違いでした。本作のベラ・ルゴシはリーを凌駕する威厳と存在感を示しており、とくにその眼力には不気味さの中に底知れぬ色気すら感じてしまうほどです。最晩年にあのエド・ウッドと関わってしまった為に色物怪優と言うイメージが憑いて回っていますが、どうしてどうして、彼は映画史に銘記されるべき名優だと思います。 原作にはかなり忠実なストーリー展開みたいですけど、後年のドラキュラ映画とはディティールで異なるところが多々見られました。ドラキュラの嫌うのはニンニクの臭いというのは定番ですけど、なぜか本作ではトリカブトに変わっています。ドラキュラが蝙蝠や狼に変身する(直接的なシーンはありませんけど)というのは原作通りですけど、この部分は意外と後年のドラキュラ映画ではスルーされることが多いんです。あくまでヴァン・ヘルシングがヒーローでジョナサン・ハーカーは愚かな引き立て役というストーリーテリングも、今となっては一般的でないかと思います。ドラキュラが吸血する場面は首筋に噛みつくところも含めて映されないのですが、やはり“ヴァンパイアが首筋に噛みつくのは性行為のメタファー”という分析の通り、30年代のハリウッド映画では刺激が強すぎてムリだったんじゃないでしょうか。最初の餌食であるレンフィールドだけはサイレント映画じみた大げさな演技で浮いている感じもしますが、狂気の演技としては意外と迫真だった気がします。 あっけないラストを含めて尺が短すぎるために大雑把すぎる感もありますけど、まさにゴシック・ホラーの古典中の古典、ルゴシ=ドラキュラの様式美をご堪能あれ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-10-16 22:17:50)(良:1票)
26.  マウス・オブ・マッドネス 《ネタバレ》 
途中でプロットがずれてきて迷走しがちなカーペンター映画の中では、安定している部類に入るんじゃないかな。まあ脚本は彼が書いたわけではないし、お話し自体がラヴクラフト風のグチャグチャでメタフィクショナルな展開なので、カーペンター親父のツボに上手く嵌った感はあります。 私はラヴクラフトを読んだことはないですけど、『マジソン郡の橋』みたいな屋根が付いたトンネルみたいな橋を渡るとそこは異世界だった、といういかにもな雰囲気は大好物です。そこは小説の中の町で主人公も実は小説に描かれた登場キャラ、そしてラストでその小説の映画化作品を観ることになるが、それはこの『マウス・オブ・マッドネス』の冒頭シーンだったというメタなストーリーテリング。主人公を演じるのがサム・ニールだけに、超合理主義者の男が狂ってゆく演技はもう彼の十八番です。登場するクリーチャーもチラ見させるだけで詳しい説明描写もないのが、かえって怖さが増してきますね。正体不明の作家がユルゲン・プロホノフというのも、ツボに嵌ったキャスティングだったと思います。でも正直言ってこの映画でいちばん背筋がゾワッとしたのが、真っ暗闇の中で走っている金髪の老人がこぐ自転車で、これは同感な人もいるんじゃないかな。 この映画で唯一笑わせて頂いたシーン:サム・ニールが精神病院にぶち込まれる冒頭のシークエンス、院内放送で流れる『愛のプレリュード』に合わせて患者たちが合唱し始めてサム・ニールが絶叫「よせよカーペンターズなんて!」、なかなかの楽屋オチでした(笑)。
[ビデオ(字幕)] 7点(2022-04-14 22:08:31)
27.  マシニスト 《ネタバレ》 
暗~いこの独特な雰囲気、やはりというか地味なハリウッドの俳優と監督を起用しているがプロデューサー以下の製作陣とロケ地はスペインで、どうりでスパニッシュ・ホラーのような雰囲気が漂っていたわけですね。良心の痛みがドッペルゲンガーを通して具現化されちゃうというのは、古くは20年代の『プラーグの大学生』を筆頭に良く使われてきたプロットですが、そこに不眠症を絡ませてきたのが新しいところですかな。一年間も眠れないというのは現実にはあり得ないし(速攻で死んじゃうでしょう)、実際の不眠症状だって多少なりともレム睡眠的な状態になって人体を維持しているものです。なので『地獄の黙示録』のカーツ大佐みたいなアイヴァンが妄想的な存在であることは、観てればすぐ判る。でもオチを知って感心させられるのは現実と妄想のシームレスな見せ方で、このストーリーテリングは素直に上手いなと感心しました。 そして何と言っても壮絶なのは、まるでアウシュビッツの囚人みたいなクリスチャン・ベールの激やせっぷりです。ストーリー上でも不眠症になる前のベール=トレヴァーの姿をちょっと見せますから、この対比は凄いの一言です。きっとこのシーンは、ベールが役作りに入る前にいの一番に撮ったんじゃないかな。思えばこれがいまやクリスチャン・ベールの代名詞ともなった肉体改造の始まりなんですが、劇中で肉体改造のビフォーアフターを見せたのは本作だけだったんじゃないでしょうか。でもあれだけ骨川筋衛門になっても体重が55キロっていうのも、ある意味凄い。やっぱこの人は骨が太いんでしょうね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-02-10 23:08:30)
28.  マクマレン兄弟 《ネタバレ》 
才人エドワード・バーンズがサンダンス映画祭で作品賞を獲得した監督デビュー作。物語は33歳の長兄と20代の弟二人のアイリッシュ系三兄弟が軸となります。アイルランド系といえば切り離せないのがカトリック信仰ですが、三兄弟の真ん中のエドワード・バーンズ以外はしっかりした信仰を持つ人物像となっています。三人はそれぞれ教師・脚本家・大学生として社会生活を送っているのですが、みな恋愛問題や女性トラブルが進行中で、いくら十戒で戒められていようとも性本能だけは信仰ではコントロールできないってのがミソ。長兄は不倫、末弟は彼女の妊娠と大事になりそうなトラブルが起こりますけど、なんかふんわりと事が進んで単なるエピソードとして語られるのがこの映画の特徴です。ストーリーラインが弱いと言っちゃえばそれまでですが、それを補って余りあるのがバーンズの俳優たちの自然な演技を引き出す巧みな演出です。アイルランド系アメリカ人というとすぐ頭に血が昇るようなイメージがあるんですけど、そういう場面は一切なくてほんわかした心地よい兄弟関係でした。この三兄弟は個性はバラバラですけど、三人のうち誰かに感情移入したくなる魅力的なキャラです。 本作はロバート・レッドフォードに気に入られてサンダンス映画祭にエントリー、そしていまや良作をリリースすることで定評あるFOXサーチライトが設立第一弾配給作に選んだ隠れたインデペンデント映画の名作です。
[ビデオ(字幕)] 7点(2021-12-09 22:39:00)
29.  マリー・アントワネット(2006) 《ネタバレ》 
いやー、正直言って自分にはなんでこんなに酷評されるのか理解できません。とくにフランスでは評判が悪かったそうですが、これはフランス革命を否定的なニュアンスで描いたように捉えられたのだろうか?皆さんはソフィア・コッポラに何を期待していたんでしょうかね。贅沢三昧の生活と愚行のあげくに革命に囚われてギロチンの露と消えた生涯を、ストレートにソフィアが映画化するわけないじゃないですか。マリー・アントワネットをガーリーなセレブとして表現する、やはり彼女にしかできない発想だと自分は感心しました。 この映画は、実は『ロスト・イン・トランスレーション』と同じ視点でマリー・アントワネットの宮廷生活をガーリー・ムーヴィーとして撮っているんです。異邦人としてフランス宮廷に嫁いできたアントワネットの孤独は、『ロスト…』のスカヨハの抱えていた疎外感と同じです。アントワネット役にスカヨハじゃなくキルスティン・ダンストを持ってきたのは、個人的には彼女の顔は好みじゃないけど、正解だったのかなと思います。もっとも実際のアントワネットはバストサイズが100センチを超える巨乳だったそうで、そういう面では実像からはかけ離れているんですけどね(笑)。そしてソフィア・コッポラと言えば欠かすことのできない音楽選びの感性、仮面舞踏会のシーンなんてまるでNYのクラブみたいでほんとセンスいいですよね。やはりコッポラのファミリーネームがものを言ったのかヴェルサイユ宮殿で撮影を許されるという快挙、これはもう眼福としか言いようがないです。ソフィアはセレブライフを撮らせたら、やはり右に出るものはいませんよ。 “19世紀はフランス革命に始まって第一次世界大戦で終わる”と解釈する風潮が広まってきましたが、ルイ16世とマリー・アントワネットの処刑で始まりニコライ二世一家の惨殺で終わったヨーロッパは、まさに“王殺し”の世紀だったと言えるでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-25 23:36:27)(良:1票)
30.  マタンゴ 《ネタバレ》 
東宝特撮にはいわゆる“変身人間シリーズ”というジャンルがありますが、本作はその作品とは明らかに違う独特なテイストを持つ異色作だと思います。これは星新一や福島正美が原案に係わっているところが大きいでしょう。「観客対象が大人なのか子供なのか判らん」という声も聴きますが、東宝特撮は『怪獣総進撃』あたりまでは(これでも)アダルトを想定して撮られているので、こういうダークなストーリーテリングは見受けられないことはない(変身人間シリーズも総じて暗いお話し)。この映画が他の東宝特撮とは決定的に異質なのは、「明るく楽しい」がモットーの東宝としては珍しく人間の闇というかドロドロの関係性を強調した脚本で、これは大映の初期ガメラにも相通じるところがあります。残念なのはやはりマタンゴ人間の造形センスで、誰が見てもキノコ雲のカリカチュアだと感じると思います。これはもともと製作側の意図するところでもあり、初期デザインはもっと露骨にキノコ雲に寄っていてこれでも修正されたものなんだそうです。 とは言っても久保明に始まり久保明で終わるストーリーテリングは、初見の時は凄まじい衝撃を受けましたよ。あの難破船の正体が最後まで謎のままで終わる不条理さがこの映画に深みを与えている感じがします。そして個人的にいちばんショックを受けたのは、あの小泉博がすました顔してヨットで単独逃亡しちゃったことですね。ふつう上手い俳優なら、表情なんかにこの艇長の人間的な弱さを伏線みたいに表現するでしょうが、役者としては不器用な小泉博なんでいつも通りの真面目キャラの演技で通し、それがかえってサプライズを強調させる効果があったのは皮肉です。そしてこの映画の最大の謎は、果たして久保明はマタンゴを食べたのか?ということになるでしょう。昔から自分なりの解釈は、彼は歯をくいしばって頑張ったのに島に君臨するスーパーナチュラルな作用で、結局マタンゴ人間化してしまったというところです。だからこそ、好きな女性と供にマタンゴ人間になって幸せに暮らすという人生の選択に失敗した結末が強調されるんじゃないでしょうか。 余談:こんなドロドロ人間関係の七人でしたが、水野久美がインタビューで語っているところによれば、ロケはキャンプ気分でみんなとても楽しかった思い出になっているとのことです。役に成りきらされるメソッド演技で撮影されなくて良かったですね(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-03-18 20:37:35)(良:1票)
31.  マッドマックス
ピーター・ウィアーやピーター・ジャクソン、そしてジョージ・ミラーといい70年代にデビューしたオーストラリアやニュージーランドの映画監督に共通しているのはぶっ飛んだアナーキーさだと思います。彼らは今じゃそれなりの巨匠となっていますが、その中でもミラーだけはデビュー時の狂気をはらんだアナーキーぶりをまだ濃厚に発散している感じがします。この映画はアメリカじゃヒットしなくて日本でのバカ受けが世界に広まってカルトになったそうですが、考えてみれば本作がなければ偉大なる『マッドマックス2』も生まれなかったし、つまり『北斗の拳』も誕生しなかったしストリートファイターも存在してなかったかもしれないんですよ。 中身は非常に粗削りなB級アクション以外の何者でもないんですが、これほど観る者を虜にするB級映画は滅多にありません。あの衝突シーンはスタントに死者が出たとホラを吹かれてもそりゃ納得しますよ。この映画の素晴らしいところは、広大な地平線とそれに区切られた空が下手な役者以上に演技しているとしか思えないところです。デビュー作でこんな画を見せるなんて、やはりジョージ・ミラーはただものではなかったんです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-03-04 22:40:04)(良:1票)
32.  マイ・ファニー・レディ 《ネタバレ》 
『ラスト・ショー』や『ペーパー・ムーン』などの映画史に残る名作を70年代撮ったピーター・ボククダノヴィッチ、いつの間にか名前を聞くことがなくなりましたが、あの頃の勢いを考えるとウディ・アレンと並んで現代アメリカ映画界を代表する名匠になっていてもおかしく無かったんですけどね。彼が失速し始めるのと同時期にアレンの快進撃が始まったという事実も、なんか皮肉なことですけど。 久しぶりに観たボクダノヴィッチ映画はオープニングの雰囲気やスートーリーテリングはウディ・アレンにそっくり、おまけに主役がオーウェン・ウィルソンですから、「なんかどっかで観たような…」とデジャヴ感が満開です。お話しはブロードウェイの舞台製作をめぐるいわゆるシットコムです。演出家のウィルソンが遊んだコール・ガールが女優の卵で舞台のオーディションにやって来て…という展開なんですけど、まずこのコール・ガール役のイモージェン・プーツがなかなかのキュートでよろしい。この娘と演出家を巡って、「おいおい、いくら何でもそこまで世間は狭くないだろ」というほとんどドタバタコメディと言っていいぐらいのお話なんです。冷静に考えると実にくだらないストーリーとも言えますが、ストーリーテリングの軽妙洒脱さと役者たちのそれぞれのツボにはまった演技のおかげで、これはけっこう愉しめました。かつてのボクダノヴィッチ作品のミューズ、シビル・シェパードとテイタム・オニールがちょい役で顔を見せてるのも見逃せません。シビル・シェパードは予想通りの劣化ぶり(演技の方じゃありません)でしたが、ウェイトレス役でちらっと出てくるテイタムちゃんにはびっくりさせられました。そりゃおばさんなのはしょうがないですけど、あんなムッチリでしかも巨乳になっていたとは、ほんと我が眼を疑いました。まさか特殊メイクじゃないでしょうけど(笑)。でも最後の最後で登場するタランティーノの方がやっぱサプライズ度が高いでしょう、こんな使い方ってアリ? 最後にネタバレされますけど、劇中でオーウェン・ウィルソンが使う口説き文句が実はエルンスト・ルビッチの『小間使い』でのシャルル・ボワイエのセリフだったというオチ、こんな洒落はシネフィルであるボクダノヴィッチらしくてほっこりさせてくれる終わり方です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-28 20:21:34)(良:2票)
33.  マンハッタン物語 《ネタバレ》 
ナタリー・ウッドのイタリア系はともかくとして、スティーヴ・マックィーンがギリシャ系(?)というのはちょっとムリ感がありますね、まあ映画の出来には関係ない話しですけど。 監督ロバート・マリガンが得意とする典型的な小品ですけど、良く練られた脚本なのでイイですよね。冒頭の無人のホールにだんだん人が集まって来て、実はそれは「ミュージシャン取引市場」だったと判るオープニングがイイですね。そこでいきなりマックィーンはナタリー・ウッドから「妊娠した」と告げられるんですけど、まあ撮影年代を考えればヒロインが中絶する展開になるはずもなく、ラストのオチはだいたい判るわけです。でもそこに至るまでの紆余曲折がなかなか秀逸で、走るぐらいしかアクションを見せないマックィーンの静かな演技が秀逸です。彼の出演作の中でもおそらくもっともアクションが少ないキャラだったと思いますが、「むく犬の様な眼」だと評された若き日の彼の演技が堪能できます。ナタリー・ウッドも良い演技なんですけど、あの人の良い若旦那をあて馬に酷使するところはいくらなんでも可哀想です。 観終わって気が付きましたが、けっきょく主要登場人物に悪人がひとりもいない映画でした。
[ビデオ(字幕)] 7点(2015-10-10 21:31:23)
34.  M★A★S★H/マッシュ 《ネタバレ》 
4つか5つのエピソードを並べただけの様な構成は、まるでTVシリーズのために撮ったパイロット版みたい。この映画は後に大ロング・ランする人気TVドラマとなるのですが、まさかロバート・アルトマンはそんなことを意識して撮ったのかなあ、そんなわけないですよね(笑)。こんな脚本にオスカー脚色賞をあげちゃうのもどうかと思うし(実はリング・ラードナーjrが書いた脚本自体はほとんど使われていないそうです)、私の大好きな名曲“Suicide Is Painless”に主題歌賞を授けて欲しかったところです。 この映画には、後のアルトマン映画に繋がるヘリコプターやら引っ切り無しにスピーカーから流れるアナウンスなどのアルトマン印が、早くも顔を見せているのには注目したい。デビュー作にはその映画作家の持ち味が色濃くなるというのは本当ですね。この映画では朝鮮戦争がベトナム戦争のメタファーになっているのは有名ですが、たしかにチラッと出てくる町の風情もまるっきりベトナムかタイという感じです。こういったカタチで現在進行形の悪夢を笑い飛ばす様な映画を見せられたのは、当時のアメリカ人にはさぞや衝撃的だったことでしょうね。
[映画館(字幕)] 7点(2014-02-12 21:59:13)
35.  マドモアゼル 《ネタバレ》 
中年になってから急速に容色が衰えてしまったJ・モローですが、そんな彼女がその妖艶ぶりを最後にスクリーンに残したのがこの映画ではないでしょうか。教壇に立っているときのいかにもオールドミスといった堅苦しさと、森の中で愛欲に溺れる艶めかしさは同じ女性とは思えないほどの落差があります。少年を睨みつけるラスト・ショットの恐ろしい顔、まさにこれぞ女優というところでしょうか。音楽をまったく使わない演出なので、森の中の自然が奏でる音が実に効果的なんです。大リーグの試合では日本のように鳴りものを使った応援をしないのでボールがバットに当たる音が鮮明に聞こえますよね、そんな感じの鮮明なサウンドでした。
[DVD(字幕)] 7点(2012-12-13 00:49:06)
36.  マイ・ルーム 《ネタバレ》 
ファーストシーン、ディカプリオなにしてんのかなと思って観てたらいきなり自宅に放火しちゃうんでびっくり。隣の家まで燃やして施設入りで済むかあ?、と思わず突っ込んでしまいました。個人的には『タイタニック』以前の若いころのディカプリオ好きです、輝いてるしほんと演技が上手いと思っています。そしてダイアン・キートン、アレン作品の才気あふれるキャラよりこういう地味で温和な女性の方が彼女の個性にあってるとつくづく思いました。物語としては特に山場がなく淡々としてるのですが、メリル・ストリープとのやり取りがやっぱこの映画の見せ場でしょう。ブエナ・ビスタが出資してるのでディズニー・ワールドで遊ぶシークエンスを創るところなぞ、デ・ニーロもプロデューサーとして苦労してますね。それにしても疑問だったのは、アメリカにも骨髄バンクがあるのに全くこの映画では登場しないことです。そりゃ適合するドナーがなかなか見つからないかもしれませんが、ちょっと不自然ですよね。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-22 01:02:05)
37.  真昼の暴動 《ネタバレ》 
ジュールス・ダッシンが『裸の町』を発表する前年に撮った脱獄もの映画の佳作。主演はバート・ランカスターで、これも『殺人者』でデビューした翌年で若々しい姿と言いたいところですが、この人ほんと若い時から風貌が変化しなかったんだなと改めて感嘆しました。脱獄映画のお約束通り看守長のヒューム・クローニンが陰湿なサディストなのですが、風采の上がらない小男であるクローニンを使ったところが上手い(ランカスターと違ってこちらは実に若々しいのが可笑しい)。ランカスターや仲間の囚人たちの入所前の生活をフラッシュ・バックで挿入する演出が効果的です。それぞれのシーンに女との因縁を絡めて描いており、普通おとこばかりで殺伐とした絵柄になりやすい脱獄ものなのに三人の女優が色を添えてこれはなかなか良いアイデアです。 看守長は囚人をスパイに仕立て、正体がばれたスパイは囚人たちに処刑されるなど、けっこう当時としてはショックな描写が見られます。ラストは脱獄に合わせて囚人たちが暴動をおこし、ランカスターたち脱獄犯とともにクローニン看守長も死んで鎮圧されてしまいます。このシーンでは刑務所側は重機関銃で囚人を撃ちまくり、まるで捕虜収容所のおはなしみたいな荒っぽさです。でも脱獄しようとする囚人の心情は『ショーシャンクの空に』なんかより切実に伝わってきて、バッドエンドな結末ですが監督の力量が感じさせられる一編です。
[DVD(字幕)] 7点(2010-10-02 23:01:22)
38.  マンハッタン 《ネタバレ》 
いくらなんでも17歳の少女といたすのは、ちょっと正視できませんね。アレン・アレルギーの人は観てはいけません。本作は全アレン映画中で最もアレンのモテ男演技が炸裂しているかも。でもそれを補って余りあるのがモノクロで撮られたNY風景の息をのむほどの素晴らしさです。そしてラストのトレーシーが放つ一言、アレンはきっとこれがやりたくてこの映画を撮ったのではと思わせるほどインパクトがありました。
[DVD(字幕)] 7点(2009-12-12 13:13:45)
39.  まごころを君に 《ネタバレ》 
「アルジャーノンに花束を」という小説があるとは知っていましたが、それが「まごころを君に」の原作だとはつい最近まで知りませんでした。おまけにこの映画の原題は「チャーリー」ですし、本当にややこしい。製作年度を考えると納得しますが、この作品は当時はやっていたアメリカン・ニューシネマ的な映画なんですね。チャーリーが知能を身につけてからちょっとぐれるところの見せ方は、製作者は大真面目なのでしょうが今の眼で見ると苦笑させられます。クリフ・ロバートソンは、この作品では一世一代の名演技を見せていますが、私個人としてはこの映画にちょっと疑問を持つところがあります。それは、「知能が高いということは人間の幸福なのか?」ということです。手術が失敗してチャーリーはもとの状態に戻りそれがこの映画では悲しい結末として描かれていますが、果たして本当にそうなのでしょうか?冒頭とラストでブランコに乗って子供と遊ぶクリフ・ロバートソンの演技が素晴らしいだけに考えさせられます。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-10 19:59:23)
40.  マイケル・コリンズ 《ネタバレ》 
我々には馴染みが薄いアイルランドの独立の歴史を、マイケル・コリンズという人物を軸にして描いています。つい最近まで続いていた北アイルランド紛争はカトリックとプロテスタントの対立という日本人には理解しがたい構図ですが、ニール・ジョーダンは外国人にも解りやすい英国からの独立闘争をストレートに描いています。「革命は分裂する」の格言通り英国との条約締結を巡ってアイルランドは内戦状態になるのですが、コリンズと対立するデ・ヴァレラを演じるアラン・リックマンの演技が光ります。アイルランドでは内戦のことを語るのは今でもタブーとされているそうですが、ニール・ジョーダンは独自の解釈を交えて骨太にこの作品を一つの叙事詩として撮っています。
[DVD(字幕)] 7点(2009-02-26 22:20:15)
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