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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 2514
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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 宝塚とディズニープリンセスとプリキュアが好きな還暦+2おかま。
宙組は当分観ないわ。

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1.  レイニーデイ・イン・ニューヨーク 《ネタバレ》 
 ウディ・アレンの新作が見られるのはコレが最後になるのかしらねぇ。#MeToo運動の流れによって過去の性的虐待を問われハリウッドを干され、この作品もアメリカ本国では上映が中止、出演者達は出演を後悔していると発言したり、揃ってギャラを寄付したり。  この映画そのものも、そんなアレンを映す皮肉なモノになってしまっているカンジがしないでもないわ。本来、映画作品自体と、それを作った個人とは別モノとして捉えるべきと思うのだけれど、ウディ・アレン作品は彼そのものを強く映している場合が(とても)多いので、どうしたってそこに彼自身を見てしまうのね。  しかも今回の作品に出てくる男達は映画監督、脚本家、俳優、そして神経質でシニカルなニューヨーカーの主人公。ハッキリとウディ・アレンの人格を複数のキャラクターに分割して描いているようなモノだもの。  男達は総じてダメ人間。スケベでだらしなくて身勝手で。その男達を無自覚に、あるいは自覚しながら翻弄してゆく天然系おバカなお嬢さんなエル・ファニングと、主人公が最後に理想として選ぶ辛辣で容赦ないセレーナ・ゴメス。  そこにあるのはひたすらウディがそうやって生きてきたことに対する言い訳がましさと、彼にとっての一方的で身勝手な都合のいい女性観。自分はダメなヤツだからそんな人間を支える女性はこうあって欲しい、ってのがダダ漏れていて、主人公の母親の境遇に対する視点、主人公のその捉え方まで含めて、本当にダメ。  そして、そういう意味では自虐っぽく見えて実は言い訳ないつもの毎度おなじみアレン作品ね。ただ、今回はその背景に#MeTooが透けて見えてしまう、と。   コメディとしては面白いわ。どんどんすれ違って予想もしない方向へ進んでゆく2人の物語。会話やモノローグの楽しさ、個性的な登場人物(お兄さんの婚約者のアレとか)。  ニューヨークの風景も良かったけれど人工降雨機使うんじゃなくてホントの雨のニューヨークのニオイを感じさせて欲しかったとは思うし、アメリカの夜を(ハンパに)使うのもアレンの後ろ向きな映画作りを感じさせちゃうわね。   アレンの映画はずっと、先へは進まずに過去ばかり見ているカンジがあって、でももう時代はそれを許さなくなっていて、これはそんなアレンのひとつの区切りの映画、かなり象徴的な映画となってしまったのかもしれないわ。
[映画館(字幕)] 6点(2020-07-08 15:59:37)
2.  レゴ(R) ムービー2 《ネタバレ》 
 今回の続編、完全に前作から物語が繋がっていて、それが長所にも短所にもなっているのね。   前作でおなじみのキャラクター達が再び活躍する姿は単純にワクワクしちゃうし、テーマは更に推し進められて深化しているように思うわ。   でも、前作の時点で作品世界の成り立ち、関係性の法則は明らかになっているので、それが前提となっている状態では最初から限界が見えていて、だから作品の広がりや物語の飛躍が前作に比べて薄くなっている印象。  前作のクライマックスでのサプライズから作られている以上、手の内は最初から明かされているワケで、そこから無茶はできないものねぇ。   実写パートの少年に妹ができて、彼女の存在がレゴの世界に影響を与えることになる、前作ラストで暗示されたソレが今回メインになってるわけで、少年の世界と妹の世界を映した話です、っていうのは、もう見てる側も判っちゃってるワケでしょ(実際に今回は最初から実写パートを登場させてるし)、大人しくならざるを得ない部分っていうのが見えちゃってるワケ。   そして兄側と妹側という二つの拠点で構造的に限定された範囲とキャラクターでの展開になって以降、単調でダレ気味になってしまうのよね。前作の、舞台と登場するキャラクターがどんどん広がってゆくカタチとは違って。そこが今回はキビシかったわ。  ちょっと思い出したのは『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』と続編の『リミックス』の関係とか、『くもりときどきミートボール』と続編『フードアニマル誕生の秘密』の関係とか。  っていうか、メインスタッフが『くもりときどきミートボール』と同じ人達ね。コレ、『フードアニマル~』の焼き直しみたいになっちゃってるわ。前作のラストシーンから始まって、主人公に影響を与える人物が出てきて、主人公はその人物と行動を共にし、仲間は別行動。『GOTG:リミックス』も物語はそんなでしょ?   クライマックスの展開は前作同様に感動的だし、その発展的テーマはとても納得のできる、いいコト言ってる状態(映画のハチャメチャな内容に比べてテーマはとても優等生的って点でも前作同様なんだけど)。  でも、もうちょっとネタ盛り沢山な展開が良かったかな。この映画の魅力の半分はパロディやバカげたネタにあるワケで、そこが前作に比べると不発気味だった気がするの。   次があるのならば(今回、本国ではコケちゃったらしいけれど)、全く違ったアプローチの作品を期待するわ。
[映画館(吹替)] 7点(2019-04-02 20:27:24)
3.  レディ・バード 《ネタバレ》 
 重要に思えるエピソードも、そうでなさそうなエピソードも、みんな等価値であるかのようにハイスピードでどんどん流れていって、思い出したのは『勝手にしやがれ』の出だし部分ね。最近だと『15時17分、パリ行き』とか。  そうしてテンポよく描かれてゆくレディ・バードの日常コラージュが、やがて彼女の生きる世界の輪郭を浮かび上がらせて。短い時間で彼女という人間に寄り添い、親しみを抱ける存在に思えてくる、愛らしい映画。   裕福とは言えない家庭、ギクシャクした母親との関係、学校でも色々あって、でもいいことがないわけでもなくて、そんな彼女の日常は、彼女にとっては悩みやストレスだらけだけど、傍から見たら大切な、かけがえのない日々。  彼女を包み込む世界の優しさは、彼女が暮らす、そして彼女が嫌うサクラメントの街に象徴されているようで、彼女が目指す(テロのあった)NYや、中東での戦闘のニュースは、外側の、厳しい現実の世界。  サクラメントは特に街を愛するお母さんの存在を映していて、そこからの旅立ちは彼女の望んだ、でも厳しい独り立ちを示すようで。   楽しかったり、イタかったり、つらかったり、いっぱいの共感がたった94分の中に凝縮されていて、そしてこれからも続いてゆくであろう彼女の日々に、本当はもう少し見守り続けたい、って思わないワケにはいかなかったわ。   シアーシャはなんだか若い頃のジャッキー・アール・ヘイリーに似てきた気がしないでもないけれど・・・(『がんばれ!ベアーズ特訓中』参照のこと)。
[映画館(字幕)] 8点(2018-07-25 21:03:36)(良:1票)
4.  レディ・プレイヤー1 《ネタバレ》 
 世界一有名な映画監督が莫大な資金と大量の人材を動員して作った、ただのDAICONオープニングアニメ(知らない人はぐぐってね)。『マトリックス』と『ロード・オブ・ザ・リング』と『アバター』と『サマーウォーズ』と『スコット・ピルグリム』と『シュガー・ラッシュ』と『ピクセル』と『ジュマンジ:ウェルカム・トゥ・ジャングル』を袋の中に入れてガンガン叩いてからバーッとぶちまけたような映画。つまりオリジナリティ無し。よくある物語を既成のキャラで画面を埋め尽くしてみせただけ。そして、だからこそ最高。   サブカルチャー、ポップカルチャーに古く、長く、深く浸ってきた人間ほど楽しめるって点では異様にハードルの高い映画。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と『AKIRA』は基本中の基本として、『シャイニング』と『アイアン・ジャイアント』を見てないと話にならない状態な上、MO、MMO、そしてSF系FPS、TPSをプレイしていてナンボ、音楽は80年代中心、アニメ、映画、ゲームの細かいネタが多過ぎて、まるでどこまでついて来られるか試されているような、おたくのリトマス試験紙のような映画。  一応、リアルこそが大切ってテーマが語られはするものの、そんなものは当然タテマエで「こんなのが好きなんだろ?」ってとんでもない情報量とパワーでガンガン見せてきて圧倒されまくり。3Dメガネをかけた視界いっぱいのIMAXのスクリーンはVRにも通じて、そのおたく世界に没入する陶酔感。そして、さすがにここに登場する要素の全部はフォローできていない自分が残念。もっとも元ネタあらかた判ったからって誰かが褒めてくれる訳じゃないし、むしろどん引きされるだけですけどねー。  でも、よくある物語=王道であるがゆえに楽しめるかどうかは別として完全に置いてきぼりを食らうというワケではないので、その点だけはご安心を。脚本はツッコミどころ満載ですが(実際にこのVR世界があったら最初のカギはほんの数十分でゲットされる事でしょう)、むしろツッコんでください、くらいに思ってそうですし。   もうトシもトシだし、なんて思ってたスピルバーグが、今もこんな中二病丸出しのパワフルなアトラクション映画を作っちゃうんだねぇ、と嬉しくなりました。スピルバーグの本領はやっぱりその見世物っぷりにあると思うので。
[映画館(字幕)] 9点(2018-04-20 22:27:21)(良:1票)
5.  レッド・スパロー 《ネタバレ》 
 一見関連性が全く無さそうな2つのエピソードが交錯する導入部は映画への興味を煽ってみせてなかなかに魅せてくれました。バレエシーンを彩る、アナモフィックレンズが作るレンズフレアも美しく。   だけど中身は生々しくて爽快感などとは無縁の、決して見ていて楽しいって思える瞬間が訪れる事のないスパイもの。ジェニファー・ローレンスがそれこそ「体当たりの演技」を見せてくれますが、彼女が演技的に無茶をすればするほどに、テーマはどんどんとボヤけていってしまうという。  露悪的で、ひたすら直接的表現に終始する身も蓋もない映画からは情緒が欠落し、それはフェミニズム方向を向いているように見えながら、実のところその真逆に突っ走ってしまっている感が無きにしもあらず、そしてロシアの体制批判をしているつもりがアメリカって国に対する皮肉になってしまっている感が無きにしもあらず。諜報活動の下ではフェミニズムも正義もへったくれもあったモンじゃないって混沌をひたすら下衆な表現で描いてみせました、ってそこまで意図して作られているのなら、それはそれでそういう見方も成立するんでしょうけれど、でもそれを評価したいとも思えませんしねぇ。   あの『愛の嵐』のシャーロット・ランプリングが演じる役柄がこんなですよ、皮肉が効いていて面白いでしょ?みたいなのもあんまりいい趣味とは思えず、ただ、ジェニファー・ローレンスの全く安定しないキャラクターっぷりが謎となって映画への興味だけは持続するという、そんな作品でした。
[映画館(字幕)] 5点(2018-04-10 20:44:15)
6.  レゴバットマン ザ・ムービー 《ネタバレ》 
 『LEGO ムービー』に続いてレゴが素材でありながら一本の見応えのある映画となっております(そして、『LEGO ムービー』を受け入れられない人にゃコレもまた同様に無理であろう状態で)。   レゴで埋められた画面で展開する『バットマン』の世界は、しっかりとした大作感のある、アクションとスペクタクルの世界。基本は子供を笑わせるギャグで組み立てられていますが、キチンとバットマンらしさを貫いています。バットマンとジョーカーの近親憎悪の世界はティム・バートン版からの伝統を受け継いでいますし、デフォルメされているとは言え、ブルース・ウェインの孤独は今作でも深く浮き彫りになっています。   また、『バットマン』映画としてこれまでの数々の作品を引用していますが、それは懐かしのテレビシリーズにまで及んでいて、さすがに子供どころか若い人にすら判らないであろう状態。鮫ネタは『ジョーズ』のパロディではなくて、テレビシリーズの映画版でヘリにぶら下がったバットマンの足に噛みついて鮫避けスプレーで退治される鮫ですね。   数々の悪役(リドラーやトゥーフェイスやハーレイクインだけでなく、グレムリンからヴォルデモート、サウロンまで)が登場しての豪華な一大カタストロフによってスケールの大きなクライマックスを迎える、でもあくまでレゴで作られたオモチャの世界、遊びの世界である事も忘れはしない点が良いです。   ただ、最終的に語られる幸福感に溢れたテーマは、もうそこに至る事がない人間にはキツいかな・・・
[映画館(字幕)] 7点(2017-04-13 22:57:11)
7.  レッドタートル ある島の物語 《ネタバレ》 
 映画がかなり進んだところまで映画と格闘状態でした。カメはなんのメタファー? この世界って主人公の心象風景? 主人公には見えていない、主人公の息子の視点が登場した時点で、ああ、これは描かれた事象をそのまま受け止めりゃいいんだ、って気付く始末。つまり孤島に流れついた男がカメに惚れられ、人間となったカメと孤島で暮らし、一生を過ごす物語。それだけ。   情報量はそれほど多くありません。シンプルなデザインのキャラと、描き込み過ぎていない背景、静かな音楽。いちばん情報量が多そうなのはリアルな環境音。主人公の出自など語られません。大自然に翻弄されつつ、その世界を受け入れてゆく主人公に心を重ねてゆけば、世俗から離れて何物にも煩わされず(不作法な観客がいなければ、ですが)、映画と自分との対話ができるひとときを過ごせます。強いて言えば、色々と削ぎ落とした(描かれる事も映画の表現法も)後に見えるもの、そこに物事の真価を問うているのかな、と。でも、そこに意味を求める必要もないですね。   カニが可愛かった、感想はそれだけでも十分な気がしないでもないです。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-09-29 22:54:28)(良:1票)
8.  レヴェナント 蘇えりし者 《ネタバレ》 
 ジャパンプレミアで鑑賞。   大自然という名の神の下で剥き出しの生と死の闘争を繰り広げる生命達のお話。言いたい事は大体1時間程度で判る映画なので、上映時間2時間37分が長い長い。  ディカプリオ頑張った、撮影大変だったね、っていうのは伝わってくるんですが、意外と期待したよりも映画の中の空気は希薄な感じ?  題材的にオリジナリティに富んだ作品なのかな?と思ったのですが、『プライベート・ライアン』が『シン・レッドライン』になって突如『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』か!みたいな既視感で散りばめられた映画で、大仰なカメラワークや(監督の前作がそうだったので、仕方ないのかな?)CG使いまくった感じが娯楽大作に針が触れそうな不安定な感じを醸してしまって。  で、それを抑制するかのように大自然ですよ、って映像がマーキング状態で頻繁に挿入されるわけですが、まあ、多用し過ぎかなぁ。   息子を殺されて何もかも失った主人公が、ただ復讐心のみによって生への執着を見せるっていう物語は、最終的にこれは復讐物語ではないんですよ、ってところに辿り着きはするんですけれど、でも主人公はアレはアレで実のところ満足だったんじゃない?彼的に達成感とかハッピーな感じとかあったんじゃない?みたいに感じられてしまって、そんなところも不安定な印象。   あと、過剰に鳴る音楽がやかまし気味。でも試写には珍しくドルビーATMOSで上映されたのですが、これまでATMOSのトップスピーカー(天井のヤツね)の存在ってちっとも実感できない映画が多かった中、今回は確実にソレを実感できる描写がありました。音の移動の演出をじっくりと聴かせてくれて。映画音響マニアにはATMOS上映お薦め。そこかい!ってツッコミ対象なシーンですけど。   見終わって最もずっしりと心に重くのしかかったのは「可哀想な小熊ちゃん達・・・」でした。   上映終了後のディカプリオの舞台挨拶が5分くらいで終了で笑っちゃった。
[試写会(字幕)] 6点(2016-04-04 19:36:09)
9.  LEGO ムービー 《ネタバレ》 
 ウチはビンボだったのでレゴはちょっとだけしかありませんでした。ダイヤブロックはいっぱいありましたが。   さて、見る前は「レゴを一体どうやって映画化すんの? 『テトリス』遂に映画化!みたいな無理矢理さ加減だな!」って感じでしたが実際に見てみるとこれが面白い面白い。  キャラがいきいきと生きていて、スリルとサスペンスがあって、スペクタクルがあって、笑えて、ギョッ!となって、色々な映画パロディがあって(ガンダルフとダンブルドアネタとかミケランジェロネタとか大笑い)、そして感動して。スクリーンに映っているのはあくまでレゴなのに。   ただレゴという素材を用いて娯楽映画を作ったというだけではなく、オモチャに命や物語や夢を吹き込むという、レゴの持つ魅力そのままを映画に、そして作品のテーマにしています。  主役が有名キャラではなく平凡な作業員のミニフィグであるという点もテーマに大きく関わる重要なファクター。   クライマックスの、その肝心なテーマを語るところを実写の人間で描く、それまでずっとレゴのみで描いてきたのに、っていう点でちょっとひっかかってしまったりもしたのですが、レゴが子供のものであるように、この映画もまた子供のもので、大人の求めるモノにしてしまった時点でこの作品のテーマから逆行する事になる訳で、生身の子供視点で語られるそここそが大切なのかもしれません。   更に、レゴについての映画であると共に、命無き物に生命を吹き込む「アニメーション」の本質にも言及した優れた作品であったと思います。
[映画館(字幕)] 9点(2014-03-31 21:50:21)(良:2票)
10.  レ・ミゼラブル(2012) 《ネタバレ》 
 映画の、舞台との違いと言えば場面を瞬時に切り替えられる事にあって、革命前夜、キャラクター達の姿を次々と切り替え捉えてゆくフラッシュバックの高揚感などは映画独特のものであると思います。  でも、それ以上にこの映画が舞台との違いを意識させたのは「表情」。カメラが寄る事で視界いっぱいに表情を捉える事ができるのが映画。   この映画、最初に闇があって、そこに光を当ててゆく事で人物を浮かび上がらせるという映像の作り方をしています。その光は罪を持つ人にとって微かな光であり、希望が与えられる、神の祝福を得られる可能性が見えた時に、光はその明度を増します。  その光の前で苦悩し逡巡する人々。その迷いによる動きの揺らぎが光と影のコントラストを変化させ表情を作ってゆく、つまり、徹底的なアップの連続に意味を込めた映画だったと言えます。   神の祝福を受ける事でその顔が光に包まれる、ジャヴェールはその機会を得ていながら(ちゃんとジャヴェールにも光がもたらされようとしています)自らそれを拒み、その顔に影を落としたまま消えてゆくのです。  バルジャンもまた沢山の罪と苦悩を生き、彼の翻弄された生は顔に様々な陰影を落とす事になります。   ですが、大人になったコゼットはどうでしょう? 神の祝福を受けたかのように輝き、ラスト近くに至っては自ら発光しているかの如き輝きで周囲までも照らしているのです。  失意の中にあったマリユスを照らし、最後には彼女の光に照らされ輝くバルジャンとファンティーヌ。それは救済された者の顔であった訳です。   個人的にはラッセル・クロウの声はどうかと思いましたが、総じて表情と、そこから絞り出される歌声が強く印象に残る作品でした。   映画は光と影と音が紡ぐもの。であるならば光と影、そして声をその主題に置いたこの映画は大変に映画的であると言えないでしょうか?
[映画館(字幕)] 8点(2013-01-03 16:54:42)(良:2票)
11.  RED/レッド(2010) 《ネタバレ》 
「意味あり気な表情をアップでナメてパン」みたいな、全編『凡作の撮り方』の教科書通りに撮ってみましたって風情がかなり残念な感じの映画ではあります。もっと面白くできるであろう素材に溢れていながら、それを十分に活かす事なくそこそこに仕上げたような。モーガン・フリーマンなんて、せっかく最初に不死身キャラ的ポジションを見せたのに、そのキャラクターを活かす事なく、あんな退場の仕方をさせるなんて肩透かしもいいところ。最後の最後まで、いつまた出てくるのかと期待したのに。でも、現役を退いた人々の物語という事で、無理した見せ場インフレ状態の騒がしいばかりなアクション映画にはならなかった点は良かったと思います。危機的状況下でも経験と熟練に裏打ちされた的確な対処をしてゆく面々、ゆえにキャラ的には表情の豊かさに欠ける嫌いがあるものの、そこは場数を踏んで達観した者ゆえの安定感であると好意的に解釈させて貰いましょう。ギリギリのスリルとサスペンスばかりってのは、逆に未熟者だからって事ですもんね。それにしても、70年代から映画を見てる身にとっては、ボーグナインこそ往年の名優ですが、ウィリスとかマルコビッチとかの80年代に出てきた人々を勇退したジジィ扱いするのには呆然。まだせいぜい中堅くらいじゃない?ってくらいで、でも、じゃあベテランは誰?って思い返した時に、もう多くのスターがこの世を去ってしまった現実に、自分のトシを思い知るのでした・・・。
[映画館(字幕)] 6点(2011-02-02 21:44:47)(良:2票)
12.  REDLINE(2010) 《ネタバレ》 
意外なほどに刺激されるものが少ないアニメでした。兵器搭載型レースっていうのが題材的に古い上(映画やアニメやゲームにどれだけ存在している事やら)、そこに乗っかる設定やドラマも期待したクサいカッコ良さには程遠く、古典的なベタベタしたウェットさ。レースシーンでの極端にパースのついたメリハリのあるアニメートと、それに被さる音楽はなかなかステキでしたが、あの作画、金田伊功氏がまだご存命ならばなぁ、つくづく残念だなぁ、みたいな。正直なところ、似たような題材の『スピードレーサー』の個性に及んでないんですよね。実写がアニメをアニメ的表現で越えようって時に、アニメはもっとスゲー事しなくっちゃダメなんじゃね?みたいに思ったり。いや、これはそれなりにスゲー事をしようとしてるアニメではあるんですけども。でも、『ルパン三世』のパロディで笑わせる程度ならばともかく、『ナウシカ』や『アキラ』からの半端な引用やっちゃうようなのは作品のレベルを落としちゃうので、もっと突き抜けた独自性で勝負して欲しかったですね。それがたとえハッタリをカマす程度のものであっても。石井克人作品としては、これまでの実写作品の方がよっぽどハッタリ効いてますよね。
[映画館(邦画)] 6点(2010-10-17 21:51:25)
13.  RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語 《ネタバレ》 
もしも映画オタクにならなかったら、鉄ちゃんになってたであろう私ですから、この映画の鉄分にはやはりクるものがあります。日本の美しい風景の中を走る電車、いや、もう風景の中にレールが存在しているだけでしみじみいいなぁ、って感じたりする訳で。さて、でも、この映画、そういう鉄ちゃん的ポイントは別として、しっかり感動させてくれるのですが、なんか手放しでは褒められない、なんか映画としてかなり音痴なんじゃないか?って感じがしました。最初の中井貴一のイヤな奴っぷりと転職してからのいい人っぷりが繋がってないです。親友の死をきっかけに心を入れ替えた、って本当に入れ替えちゃって別の人間になっちゃってるじゃん!みたいな。タイトルでネタバレしている映画ですが、その目的は映画の半分くらいで果たされ、後は何を描くの?っていうとこれがもうバラバラ。色んな感動ネタを仕込んで、次から次へと感動してくださいね、って。いちいち感動させられつつも、どっか一つに絞ろうよって感じで。転職については家族間での葛藤がまるでなくって、転職して良かったね、ってやたら理解ある家族っぷりを見せる都合の良さもひっかかりました。細かいところでは、スイッチバックの説明がないので、運転士と車掌が位置を交代するシーンの意味、多くの人が判らないんでないかなぁ。私も見ていて「もしかしてスイッチバックって事?」って。映画の最後の時点でも物語上で色々と問題を残してる気もするんですが、ファンタジーとして割り切れば、よく出来た楽しい夢物語として見られる映画でした。
[映画館(邦画)] 6点(2010-06-20 16:21:38)(良:2票)
14.  レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦― 《ネタバレ》 
前作ラストでいよいよ赤壁の決戦だ!ってさんざん引っ張ったじゃないですか。だから今作は最初から赤壁の戦いがババーン!って来るのかと思ってたら更に引っ張る引っ張る。火計マダー?みたいな。その分、前半を彩りまくりな、今回主役?みたいな尚香たん大活躍エピソードが楽しかったワケですが(初っ端からサッカー&ヴィッキーで『少林サッカー』リスペクト?みたいな)。中盤は矢を集める孔明の策とか「くはー!やっぱ三国志おもしれー!」って。で、遂に来た炎上はアジア映画史上空前絶後な大スペクタクル、スーパーウーファー45分鳴りっぱなし。そのスペクタクルがハバを効かせ過ぎちゃってて、前作のキーになってた人々、関羽、張飛、趙雲はおろか、重要な周瑜、孔明、孫権までジミな扱いになってしまっているのはどうなんだろ?ってカンジですが(劉備は前作からしてジミなのでアレですが)、その分、尚香と小喬が目立って女のドラマとしての側面が強くなっているので、それはそれでいいでしょう。重要ポイントな風の表現もいい感じですしね。スゲー事になってる映画って感じなので、やっぱり大画面・大音響な映画館推奨。せっかくのウー先生の大爆発アート、DVDとかBDとかじゃ勿体ないデスヨ。
[映画館(字幕)] 9点(2009-04-11 19:47:42)(良:2票)
15.  レベッカ(1940) 《ネタバレ》 
既にこの世に存在していない人間で、回想や写真という形ですら、その姿を見せる事は一切ないのに、まるで主役のようにその存在感が映画を支配しているレベッカ。ヒロインの目を通して、どんどんと見えない、存在しない存在に侵蝕されてゆく感覚を見ている側にシンクロさせてゆくテクニックが見事です。セリフに、セットに、小道具に、ライティングにレベッカが潜んでいる感覚、下手なホラーよりもずっと恐くて上手いです。死者に操られる人々の映画は他にも色々とありましたが(いかん、幾つかタイトル挙げようとしたけどそれじゃ片っ端からネタバレしちゃいますわなぁ)、これは存在感が別格ですね。ダンヴァース夫人暴走し過ぎ、ってカンジで彼女の異常さが少々やり過ぎな感じはしましたけど(ヒロインがあそこで本当に飛び降りると思ってたのかなぁ? なんて捨て身な言動)、緩みのないサスペンスを堪能できた2時間10分でした。マンダレー屋敷のミニチュアワークも何気なくステキ。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-06 23:48:07)(良:1票)
16.  レッドクリフ Part I 《ネタバレ》 
すんません、私の『三国志』の知識はゲームの『真・三國無双』シリーズが全てです。小喬も戦場に出て行って扇を振り回して「敵将!討~ち取っちゃった」とか言うアクションゲーム。1から5まで、猛将とエンパも含めて制覇しておりますが、それはまた別のハナシ。風説の呂布とか孔明の罠だとか言っちゃう、程度の低いバカです。映画見て、趙雲、張飛、関羽かっちょえーっ!尚香たんキター!孔明の罠キタ!って心の中できゃーきゃー言ってるという密かにとてつもなくバカ、という状態に陥っておりましたが、多分、なんだかそれで正解。『真・三國無双』シリーズファンの方、ご安心下さい、アレの映画化と言ってもいいような世界(暴言)。そりゃ、TOKIOのリーダーみたいな顔の曹操は小物感漂ってるカンジがしちゃいますし、トニー・レオンの周瑜・・・うーんうーん・・・って状態ではあるのですが(あと孔明ビームとかももちろん出てきません)、すげー!こんなのをマジで実写でやっちゃいますか!って合戦シーンの笑っちゃうくらいのスゴさだけでめちゃくちゃ楽しめました。逆にゆったりとしたドラマシーンなどは『三国志』キャラに思い入れがないとちょっとツラいかも?という気もしないではないですが。決して西洋の史劇やファンタジーにヒケを取らない、東洋の血湧き肉躍るアクションスペクタクル。友人が「ウー先生」と呼ぶのに対して、私にとっては「鳩と教会と二挺拳銃のおっちゃん」でしたが「先生」と呼んでもいいかも。もうこうなるとファンタジー&スペクタクル色がもっともっとガン!と強くなる続きをさっさと見せてくれ!ってところですが、半年待ちですか・・・
[映画館(字幕)] 9点(2008-11-01 20:37:20)(笑:1票)
17.  レミーのおいしいレストラン 《ネタバレ》 
ピクサー作品はCG臭さを感じさせない努力なんてものはもはや当り前の事で、ポイントはそこからもっと先、どれだけ独自の世界を組み上げてゆくか、というところにあるような感じがします(世のCGは実写との合成まで含めてCG臭いモノが殆どだったりするのですが)。今回の『レミー』に感じたのは、昔のファミリー向け実写映画の匂い。もちろん、ディズニーも含めて。そう言えば、最近こういう味わいの映画ってなかったなぁ、と懐かしさに浸りました。もしかするとディズニーの正統な流れを汲んでいるのはピクサーなのかもしれません。映画はネズミ達が大挙して作った料理を果たして食べたいと思えるのか?という大きなひっかかりを感じて(そこに今日の誰が作ったかも判らない食品に対する疑念や、偏見や差別に対して試されていたりとかの意図があったにしても)、ラストにしても共存ではなく棲み分けという形に落ち着いている点で、問題を投げかけた、でも回収はしていないという感じがしないでもありませんでした。また、物語上、実は頭数揃えるためだけに必要だったキャラ達に対して、意味ありげに多くの設定と描写をし過ぎているために、「クライマックス前であっさり退場」に違和感を抱いてしまったり。でも、そんな部分をマイナスしても、ピクサーの安定した水準で提供される娯楽は存分に楽しめました。ピクサーはモーションや表情がちょうどいい心地良さなんですよね。マリオネットががちゃがちゃ動いてるような硬さも、アメリカのトゥーンにありがちな極端な表情の付け方もなくて。デザインもクセがあるのになじめます、って感じですし。ピクサーのセンスの前では、毎回細かい事なんてどうでもよくなっちゃうなぁ。
[映画館(字幕)] 8点(2007-08-19 18:19:42)(良:1票)
18.  連理の枝(2006) 《ネタバレ》 
【激しいネタバレなので、この映画をまっさらな状態で見たい人は決して読まないで下さいね】ポスターとか宣伝とかの悲しい恋物語のイメージと違って、前半はラブコメディで、そちらのノリがずっと続いていた方が良かったかも。先輩の方の恋物語はなかなかアホで楽しいですし、メイン二人のコメディ展開もアリかな、と。きっちり半分を過ぎたところから始まる悲劇は、韓国映画お決まりパターンに突入!って感じで普通な印象になってしまいました。「愛し合う二人に訪れる悲劇」としてはそれまでの描き込みが足らなさ過ぎたかなぁ。笑いを求め過ぎちゃったのが災いした? ラストシーンは結構感動的で泣けるんですけど、でも一方であんな長い音声付きムービーを携帯メールとして送れる韓国のテクノロジーはすさまじいな!と冷静にツッコんでたりして。実は二人とも・・・っていう展開を事前に知ってしまっていたので、知らなければもっと衝撃あったのかな。でも、そうならそうで、いっその事、二人同時に召されたのでした、くらいのウソっぽい設定で盛り上げちゃった方が良かったような気もしないではないです。ちなみに私は二人をずっと「安住紳一郎と浅野温子・・・」と思いながら見てました。それにしても韓国映画は何故いつも雨降りますか? ラーメン食べますか? 携帯が重要アイテムですか? 男が大泣きしますか?
[DVD(字幕)] 6点(2006-11-29 00:59:01)
19.  レディ・イン・ザ・ウォーター 《ネタバレ》 
いい評判をまるで聞かない状態なのですが、あえて私は全面的に擁護したいです(笑) 見ていてこれは「シャマラン監督による『映画についての映画』で、全体が映画のメタファー」と感じ、じっくりと腰を据えて向き合う必要があると思いました。まず判り易い「ストーリー」という名の『原作』が現われます。これに対し物語が求めているのは「ライター」、でも『脚本家』にあたるのは韓国人の母娘ですね。「ライター」であるところのシャマランは『テーマ』としての存在。主人公はプロデューサーのように思えて実は物語を理解し、守り、目的を成就させるべく動く『監督』。「記号論者」と「証人」が『プロデューサー』で、「職人」たちは『カメラマン』であり『音楽』であり『編集』であり『美術』であり。いかに「ストーリー」を旅立たせる=映画を作るか、というプリプロダクションの過程を経てパーティの日=クランクインと共に動員されてくるスタッフ=アパートの住人達。映画評論家はそのまま『映画評論家』あるいは『セオリーを否定しつつ枠に囚われているがゆえに映画をダメにする思考』。言動が映画製作を惑わします。そこまで考えて、ストーリーの生命を脅かすスクラント、スクラントをすくませる「守護者」、更にスクラントにとっての脅威である掟の番人で邪悪なタートゥティックは、何の象徴?と悩みに悩んで2時間、これは捉え様が色々あり過ぎて難しいですね。評論家に印象が悪く、不自然な見た目が自慢で、扱いが厄介な「守護者」は『VFX』、タートゥティックはどんな形であれ映画を完成させる事のみが重要である『映画会社』、そしてこの2つには抑制されてしまう存在であるスクラントは『映画を完成に導く事を阻む不安感や悪意』とでも解釈しましょうか。外側にもあり自分の内面にもある、みたいな。特撮屋や会社にとっちゃ、そんなの関係なく動いてますしね。と、これはあくまで一解釈に過ぎませんが。映画としては、ヒロインはもっと若い女優にすべきでは?と思ったり(むしろ日本のアニメ向きな題材)、登場人物が多過ぎで、役割に説得力のない人物続出だったりしましたが、作品を作り上げてゆこうとする人々の物語、という視点で見る事ができたので、その過程にワクワクして最後に世に作品が送り出されました、というオチに「ああ面白かった」と思ったのでした。やっぱりこの監督、一筋縄ではいかないところ、目が離せません。
[映画館(字幕)] 8点(2006-10-01 00:41:25)(良:3票)
20.  0:34 レイジ 34 フン 《ネタバレ》 
えーんえーん恐かったよう。森だの古い館だのを舞台にしたホラーなんてちぃとも恐くないけど、夜の地下鉄の駅とかって、その雰囲気をよーく知ってるだけにめちゃくちゃ恐いわぁ。それに、出口のない地下施設なんか、悪夢に何度も出てくる場所そっくりで私の潜在的な恐怖をほじくられまくりだよう。ごめんなさい、私が悪かった、カンベンして下さい! 殺人鬼系ホラーとしてはショボいんですけど(肉を切り取って放り投げる意味とか、下水の底に何かいるような表現があったりとかの伏線ほったらかし。巨大モンスターでも飼ってるのかと思っちゃった)、だからヤツが出てくるシーンそのものはそんなに恐くないんですけど、なんつっても、あの雰囲気がとぉぉぉぉってもイヤ! 実際に身近にありそうな世界だからイヤ! そういう意味ではホラーとして成功してるんじゃないかな、と思うのですわ。二度と見たくないけどねぇ・・・さっさとDVD返してこよっと・・・。
[DVD(字幕)] 7点(2006-06-23 23:17:09)
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