1. ゆけゆけ二度目の処女
《ネタバレ》 行き場のない当時の若者。 若いからエネルギーだけはある。 だけど生きたいと思うエネルギーはない。 ひたすら死にたいと思ってはいるが、飛び降りる勇気もない。 一つのビルから決して出ないのは、行き場のない閉塞感を示しているのかな。 ギリギリ1960年代の作品だが、この時代にこの雰囲気の映画を撮ったのはすごい。 上映当時は、かなり先進的というか前衛的な作風だったのだろうと想像できる。 [DVD(邦画)] 7点(2024-06-01 09:30:06) |
2. コレクター(1965)
《ネタバレ》 彼を単なる猟奇的犯罪者、サイコパスと言ってしまえばそれまでだが、ストーリーが実に秀逸であるからして、映画作品として十分に評価に値すると言えよう。 まずは主演二人の演技が自然で、わざとらしさがなく、この悲劇的な話をリアルに感じさせてくれる。 並の作品ならば、終盤のスコップで殴った場面で彼女はなんとか逃げ延び、ハッピーエンドとなるだろう。 だがこの作品はそんな安易なストーリーを語らない。 そこがこの作品の魅力だろう。 舞台になるお屋敷だが、庭に地下壕がありそこには隠し扉がある。 お屋敷の周囲は緑豊かではあるが、近くに家はなく孤立した立地。 このお屋敷が厳かでありどこか不気味で、本作に絶好のロケーションだ。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-05-26 17:36:10)(良:1票) |
3. 素晴らしき戦争
《ネタバレ》 リチャード・アッテンボロー監督作品とは相性が悪いらしい。 戦争に対して皮肉を込めているのか分からないが、見ていてもいまいち何を言わんとしているのか、何を楽しめばいいのか分からない。 分からないからこそ140分がとても長く感じるし、苦痛にもなる。 あと歌が多すぎる。 [DVD(字幕)] 2点(2024-04-29 18:32:03) |
4. 五番町夕霧楼(1963)
《ネタバレ》 あまりに悲しすぎる物語。 家族の病気を治すため、そのお金を稼ぐために遊郭に売られた女性。 そこに惚れ込む脂ギッシュな中年男性。 女が元気な内は熱心に遊郭に通うも、女が病気になったら途端に居なくなる。 最後は遊郭の仲間の女性たちが面倒を見てくれた。 女の芯の強い優しさに心を打たれた。 男は最後は冷たいところが確かにあるよね。 その点、なんやかんや言うてても、女性は最後の最後は優しいもんだ。 木暮実千代と千秋実の熟練の演技が印象的。 [DVD(邦画)] 6点(2024-04-27 11:49:24) |
5. 紅の流れ星
《ネタバレ》 ラスト、一人でブラブラ歩いている浅丘ルリ子を渡哲也が見つける場面。 さすがに偶然が過ぎるだろ!と言いたい。 もう少しどうにかならなかったのかな? マニラなんかに行きたくないのは分かるけど、好きな男を警察に通報する女の気持ちは分からない。 ベッドの上で恥をかかされたお返し? いや、やっぱり分からない。 最初から最後までノンストップのストーリーで飽きずに見ることができた。 ヤンチャな渡哲也、浅丘ルリ子の綺麗な髪とスタイルが印象深い。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-04-21 08:11:07) |
6. 荒馬と女
《ネタバレ》 私にとっては普通に楽しく見ることはできた。 誰それの遺作とか、そういうのを意識してしまうと物悲しい気持ちになるのかもしれない。 馬を追い詰めるシーンは、残酷ながらも臨場感があった。 さすがジョン・ヒューストン監督といった感じ。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-04-20 21:40:36)(良:1票) |
7. 華岡青洲の妻
高峰秀子と若尾文子のバトルは、聞きしに勝る壮絶なものでした。 市川雷蔵はトップクレジットながらやや控えめな役どころを巧く演じていました。 ただ、他の作品で見られた様な雷蔵のかっこよさは本作では観ることができませんでした。 そこが残念です。 どうしてなんでしょうか。 髪の毛がボサボサという設定が悪かったのか、それとも役どころが地味過ぎたのか?! 雷蔵ファンの私としては、理由はともかく残念で仕方ありません。 しかし若尾文子は、やはり健気に尽くす妻役を演じると、右に出るものはいませんね。 ただ真面目な妻になるのではなく、そこにエロティシズムまで浮かばせるのが凄いの一言です。 [DVD(邦画)] 6点(2024-04-16 09:57:07)(良:1票) |
8. 女は二度生まれる
浮世の世界に独り生きる女を徹底的にドライな視線で描いた作品。 地味な味わいながら、実にリアルにその世界が描写されており、川島雄三監督の社会派劇を撮る巧さというものも堪能できる佳作である。 結局、最後に損をするのは女の方で、男は勝手気ままに生きて、それで最後は女を捨てて去っていく。 どこに去っていくかと言えば、あの世であり、結婚であり、飽きて他の女の所へ行くのであり、様々だ。 いずれにしても、水商売という世界、そしてそこに関わる男達は、一時の享楽しか味わうことができず、安定した幸福感というものは味わえないんじゃなかろうか。 しかし、かく言う私も、そういう世界に身を置きたいという欲求があったりして、なかなか理屈一辺倒では割り切れないのが、この世界である。 そういったやり場のなさというか、世の常というか、人生の儚さというか、浮世の世界に生きる男女の鬱憤みたいなものが、ジメジメとした感じで実にリアルに伝わってきた。 そういう意味では、川島雄三監督の手腕が遺憾なく発揮されていると言えるだろう。 [ビデオ(邦画)] 7点(2024-04-12 09:09:50)(良:2票) |
9. ラ・ジュテ
難解なフランス映画って、非常に苦手で、「退屈」というイメージが先に立つ。 本作は“静止画”で見せる個性的な作品だが、フランス映画特有の「退屈」さを、更にパワーアップさせた様な代物だった。 これはもはや、「退屈」という言葉を超越している。 実験的な映画だが、私にとっては「退屈さを超越した難解なフランス映画」であり、それ以外の形容は思い浮かばない。 (2024.3再見) 10年以上の歳月を経て歳を重ねてみると、また違った感想になるから面白い。 今回見た感じではそこまで退屈しなかった。 小難しさは感じたが、女性の表情が美しく印象的で、そこまで嫌ではなかった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-03-20 19:02:44) |
10. 四谷怪談(1965)
《ネタバレ》 こんな古臭い話、怖くなんかないだろうと舐めてた! 怖い!怖かった! お岩の恨みも凄いが、伊右衛門の出世にかける執念も凄かった。 執念と執念の魂の対決を見せてもらった。 直助権兵衛のお袖に対する執念も印象深い。 ついにお袖の体をモノにして満足して死んでいく。 女にかける執念も本作の見どころ。 [インターネット(邦画)] 5点(2024-03-18 22:36:23) |
11. 縄張はもらった
《ネタバレ》 話は大して面白くはなかったが演出がとにかく濃くて、さすがは長谷部安春監督だと唸らされた! 特に女性が襲われるシーンや男が拷問されるシーンの生々しさが他に類を見ない。 長谷部安春監督については『レイプ25時 暴姦』(この作品は作品名が過激すぎてここでは登録が通らない!だけど傑作!)で圧倒された記憶があるが、本作でもすごかった。 最後の盛り上がりも素晴らしい。 終盤に向けて少しずつテンションが上がっていく。 数多あるヤクザ映画とは一線を画す、残酷でエロ的変態度の高い作品。 一見の価値アリ! [インターネット(邦画)] 6点(2024-02-20 20:41:21) |
12. プレイタイム(1967)
《ネタバレ》 唯一無二の細かすぎる凄い映画! 画面一杯にいたるところに小ネタが仕掛けられていて、おそらく気づかないまま過ぎていったシーンも多いことだろう。 モダンというものを究極的に細かく、そして完璧主義的に追い求めた映像の数々に溜め息が出た。 芸が細かすぎて見ていて息切れがするほどだ。 ジャック・タチの描く世界は、まるで夢の中のようだ。 とにかく天才的なセンス。 ドアガラス、窓ガラスの透明感が印象的。 そして出てくる数えきれない女性がすべてスカートを履いていて、美脚、特にふくらさぎを露出している。 とにかくふくらはぎ祭りなのだが、こんなことにもジャック・タチの完璧主義的なこだわりを感じる。 あれだけの数の女性が出てくるのに、一人たりともパンツルックの女性が居ないのだ。 かと言ってもう一度この作品を見たいかと言えば、はっきり言って見たくない。 画面広しと沢山の登場人物が何かヘンなことをしていて、それを集中力を切らさずに2時間見ていないといけないから、とにかく疲れるんだ。 だからもう見たくないんだよ。 やはり唯一無二のコメディ作品だ。 ジャック・タチ、特にこの作品はヤバい! [インターネット(字幕)] 7点(2024-01-10 05:59:11) |
13. 脅迫(おどし)(1966)
《ネタバレ》 最初から最後までスピード感はあるが、ボスの西村晃の貫禄がないのが致命的。 室田日出男と三国連太郎の大柄な二人の方がよほどボス感があるのが難点だ。 [インターネット(邦画)] 5点(2023-11-29 08:48:03) |
14. バージニア・ウルフなんかこわくない
《ネタバレ》 夢と現実が混在した夫婦喧嘩に2時間付き合わされる。 でもその夫婦喧嘩はとてもパワフルで圧倒された。 登場人物の会話の中で、見ている誰しもが心当たりがあるであろうエピソードが幾つも出てくる。 これがまた居心地の悪い気分になる。 気分はすぐれないけど、なんだか物凄いものを見た気分にもなる。 二人の気合いの入った夫婦喧嘩に引き込まれ、退屈はしなかった。 見た後に健やかな気分になれないので評価は分かれるであろう作品。 私は案外好み。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-29 18:13:20) |
15. ケス
《ネタバレ》 抑圧されていて不器用な生き方しかできない少年が不憫だ。 鷹匠に興味があるのはせめてもの救いではあったが、それだけでは飯は食えない。 労働者階級である以上、好きな事だけをしていては生きていけない。 なんと世知辛いことか。 大半の人が共感するであろうこの世を生きることの大変さ。 好きな事だけをして生きていけたら、なんと幸せなことか! クソーーー!! [インターネット(字幕)] 6点(2023-09-28 18:57:03) |
16. 水の中のナイフ
《ネタバレ》 これはオッさんの方が悪者だ。 若者の方は被害者。 金持ちの道楽に付き合わされただけだ。 そこに深い意味など無いのだけれど、案外、そこまで退屈はしない。 不思議な物語。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-09-12 22:14:25) |
17. アデュー・フィリピーヌ
《ネタバレ》 さんざんヌーヴェル・ヴァーグの作品を観てきたが、実はジャック・ロジェ監督の作品は未見だった。 ジャック・ロジェの代表作にして、ヌーヴェル・ヴァーグの代表作でもある本作を、ついに観ることができた! ジャン=リュック・ゴダール30本をはじめ、数々のヌーヴェル・ヴァーグ作品に魅了され翻弄されてきた私とヌーヴェル・ヴァーグとの関わりは、一つの区切りに到達したような気がする。 それだけ本作は、ヌーヴェル・ヴァーグのひな形を観るような、純粋でとっつきやすい青春のふきだまり作品だった。 ただ、自分の好みのヌーヴェル・ヴァーグ作品というわけではなかった。 フランソワ・トリュフォー作品のように、都会人が都会で闊歩し、男が女をナンパするような作品が好みであるが、本作は、都会人がバカンスに出かけ、そのバカンス先での出来事を主な構成としているからだ。 ひたすらバカンスを楽しむ男女。 どこか在りし頃の日活青春映画を想起させる。 主人公の男は男前。 んでもって、その男とつるむ女二人はそれなりだ。 内容もバカンスを描いた部分がメインで、少々疲れを感じる。 そうだ!最近、自分がバカンスしてないからだ。 だから、疲れるんだ。 [映画館(字幕)] 6点(2023-09-08 21:29:26) |
18. 暴力脱獄
《ネタバレ》 なんだかのんびりとした刑務所モノで、見ていて飽きてくる。 ラストは意外な展開だったが、あそこまで言う事を聞かない懲りない脱獄囚となると、あの落としどころしかないのかも。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-08-13 18:55:02) |
19. マーニー
《ネタバレ》 マーニーのトラウマの原因が明かされて、なるほど納得したが、それまでがとにかく長い。 ショーン・コネリーも鼻につく伊達男ぶりで好きになれない。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-06-03 16:58:51) |
20. 悪い奴ほどよく眠る
《ネタバレ》 悪い奴ほどよく眠る、いいタイトルだなぁ。 胸のすくほどのバッドエンド。 これが現実の社会なんだろうけど。 それにしても香川京子があまりにひどい役柄だ。 単なるバカ女の役ではないか! つくづく黒澤映画って男の映画なんだなって感じる。 とにかく黒澤映画に出てくる女性は魅力的ではない。 しかし地位や金ってそこまで大切かねぇ。 私には理解はできない。 特に子供に見限られてまで地位や金を守りたいとは思わないね。 [インターネット(邦画)] 6点(2023-05-17 17:34:05) |