1. アンテナ
いやこれ・・・間違いなく加瀬亮の代表作でしょう。これに比べたら「それでも僕はやってない」なんて、加瀬亮の無駄使い、視聴覚教室でみる何の可愛げもない「教材ビデオ」みたいに思えます。少なくともわたしには。これが2003年の作品で、これ以降今に至るまで彼がこれほどまでに全力を発揮し、 全角度に魅力を発光させた作品がない、ということに驚きます。やはり熊切監督しか居ないような気がする。。すごい人だと思う。是非またこんな映画が観たいです。早く!! [DVD(邦画)] 10点(2011-07-19 22:07:03) |
2. 疾走
《ネタバレ》 く。暗っ!こんなに暗い映画、初めてみたかも。私にとっては、暗過ぎて笑けてくるレベルでした。夜中にみたんだけども、ええ~っつって、朝すっかり明るくなるまで眠れなかった。なんでこないなものを、、こんなアイドルに、っていうのもあるし。これをみた手越くん目当てのローティーンの女の子たちに勝手に同情した。もし、中学生とかで観てたら、きっとトラウマになってたわ。。ショック受けた子も多いやろうな。。可哀想に。果たして、こんな現実もある、世の中にはもっとひどいことがたくさんある、っていうことを、果たして何も経験しない早いうちから知るべきなんだろうか。自分がそう思っていることがわかりました。若い時に観るなら希望のあるものをみた方が絶対にいい。と思っていると。 あとは、トヨエツ。。ここのところ彼の出ている映画を何本か偶然観ているのだけども、彼が出てくると何もかもが嘘っぽくみえてしまう。決して上手い俳優とは言えないのではないかと。存在感も声も独特で、、多分漫画っぽいデフォルメされた役ならいいんだろうけど、この映画の中でも、彼の存在感は「過剰すぎる」と感じました。「見た目は普通」って主人公が神父を最初に見たときいうけど、「いや、どうみても普通ちゃうやろ(笑」って思いました(笑)これはわたしがその「弟」の加瀬亮が好きなので、余計に思うのかもしれないけど。 この映画の台詞にもあるけど、加瀬亮は、得体の知れない「空っぽ」感を出すのが凄い。だけど、一瞬の目の輝きでそれだけじゃない、という深みを示すことができる。それこそ「普通っぽい」彼ですが、凶悪殺人犯を3度も演じているというのは、その辺にあるのだろうと思います。 [DVD(邦画)] 6点(2010-07-30 13:34:15) |
3. インセプション
《ネタバレ》 しかし、、「とりあえず寝る」っていうのはマヌケやな…ってどうしても思ってしまう(笑 これって、マトリックス以前にもあったのだろうか。この場合はまあ夢をみないことには、っていう前提があるから 仕方ないんだけど。落ちてゆく車のなかで「ああ、寝とるスローになってまだめっちゃ寝とるよ~」「なんか寝たまま皆ひとまとめに結わえて薪みたいに運ばれてますけど!?」って笑いを堪えてたアホはわたしくらいなもんなんだろうか。。 あとは、ケン・ワタナベなんですが、「ああ~ケン・ワタナベやなあ」「英語はこれうまいんかな」「ああ、またこれ悪っそうやな(笑 やっぱこのテイストなのね…」「ケン撃たれてもてるやん!」っとまあ、いちいちケン・ワタナベ気になり過ぎ(笑 「ハリウッド大作に出ずっぱり!」とか「レオ様の次にクレジット!」とかいうけど、うまく言えないけど、日本人としてはケン・ワタナベやなぁ…って思うようなんよりは、「渡辺謙だ」って思いたい。 それから、不思議と観た後印象に残らない、というのは私も同意です。なんでなんでしょうね。。。残ってるのは、あのちょっと闘莉王みたいな人クールでかっこよかったなあ。。っていうことくらいです。 抜け過ぎ(笑 [映画館(字幕)] 6点(2010-07-30 13:00:56) |
4. ナイスの森 The First Contact
もう、、超好き!!今までこんなにずっと爆笑しながら観た映画は無い!はじめっから終わりまでめっちゃわろた。ああ~腹いたい。。。 これを観ておそらく多くの人が思い出すのはやっぱり「ごっつええ感じ」だと思います。クリーチャーの質感とかその発想の飛び方も、すんごい「ごっつ」のかんじなんやけど、でも、松本人志はこれほど面白い映画作らへんかってんなあ。。。ということを、しみじみと考えてしまいました。監督と同世代なんで、絶対ごっつの影響はめっちゃ受けてるやろなとは思いますが、でも元祖である松ちゃんにこれほどの完成度に仕上げる力量とセンスは、どうやらないみたい。。。と、今のところ観て思う。もしかして、この映画みて、おんなじようなん作られへんな、って思ったんだろうか。コメディアンと、映画監督の違い。それはなんだろうかと、すごく興味が出てきました。 あ、後、加瀬亮ファンの人は観ておいた方が、いいです(笑)もっと好きになるはず。 多分(笑) しかし、、なんで今まで観なかったんやろう。。。知らなかった時間が悔しい!!でも今出会えてほんとに嬉しい。自分も物作ってる人間の端くれとして、こんなに自由にやってええんやぁ~ってマジで救われたというか、楽になったというか、面白いもん遠慮なく作ったるで!ってやる気出るくらい、凄く励まされました。 この映画気に入った人は、「100人否定しても、ワシが1000人分好きになったる!!」って思うくらい愛してしまう映画だと思います。きっと。 [DVD(邦画)] 10点(2010-07-16 03:33:35) |
5. ポルターガイスト(1982)
《ネタバレ》 昔の知り合いに、この映画が大好きな人がいたことを思い出して、ふと借りてみました。 観て、どういうふうに好きなのか、聞いとけば良かったと(笑) ものすごく怖いのだと覚悟していたので、こんなほのぼのしてるとは思わなかった。 両親のキャラクターは良かった。だらしなさはああ、アメリカだなぁと。食事風景とか、長女の様子とか。 後半のだめ押しは「ド、ドリフ!?」(笑) ひとつ思ったのは、村上春樹はこの映画好きなのかもしれない、ということ。 「TVピープル」(1Q84ではリトルピープル)という存在、得体のしれない入り口に迷い込み、命をかけて出口をみつけ、脱すること。これは海辺のカフカもそうですが、影響を受けているとしたら、かなり大きいものだと思います。ということでもう一回この作品の良さを見直したほうがいいのかも、、とファンとして思いました。 しかし・・・一番ぞっとしたのは、シーンが飛んでたり最後のスタッフロール途中でいきなりDVDが終わったこと。 一連の呪い伝説は知っていたので、ひいいいっ!!て思いました。終わってからだけど。。 [DVD(字幕)] 6点(2010-06-10 17:21:24) |
6. ミーン・ストリート
《ネタバレ》 チャーリーの予め持っている罪の意識というもの、その理由の説明はなくとも、その感覚は理解できる。 友達のジョニー・ボーイのことを愛しているのは偽らざる気持ちではあるけど、 その中には多分に、自分の贖罪意識が含まれごっちゃになり、そのために常に彼は苦しい。 監督の解説にもあるように、ジョニーはあるとき、それに気づき、 彼もチャーリーが大切な友人であるとはわかりつつ、彼の優しさと自分勝手さに苦しみ、 すべてを破壊したくなる。 「よう、お前はこれでも俺を許すのか?」そう言わんばかりにジョニーは破滅に向かってひた走る。 発作を起こした恋人を置いて、彼はジョニーを追う。捕まえて押さえようもない怒りとその衝動のままに 扉に激しく身体を打ち付け、怒鳴りまくり、そしてほどなく我にかえると、悪かった、痛かっただろう、と謝り ジョニーを気遣う。激しい愛憎。そのどうしようも無さに胸を突かれ、気づくと涙が流れていた。 最後にチャーリーは、自分の守るべき人、二人を乗せて車を走らせる。 その車の中は今そのまま彼の世界の全てであって、そこからどこへ行こうかということなど 実はどうでも良かったんではなかったか。 先が見えないという不安よりも、逃げているという焦燥や恐怖よりも、 確かな幸せを初めて感じていたのではないだろうか。 銃弾が打ち込まれるまでの束の間、守っている人に実は守られていたのだ、ということに気づけただろうか。 そうであれば良いのに、と心から願った。 [DVD(字幕)] 9点(2010-05-22 16:33:21)(良:1票) |
7. 僕の彼女はサイボーグ
《ネタバレ》 日本人が、日本で日本語を喋ってるのにぜんぜんそう見えない。。つまり外国映画でした。わたしは韓国映画は一度もみたことがなかったのですが、以前中国に居た友達が、「理由は解らないけど、中国の映画は必ずと言って良いほど一度はゲ○を吐くシーンとかめっちゃ汚いシーンが出てくる」と言ってたのを観ながら思い出してました。「そっちもかい。。。勘弁して・・」と。ほんま、なんでやの。。??? 他にもそんな違和感をいろいろ突っ込みたいとこだらけなんだけど(イグアナ喰うなああ!とか)、テンポも悪い、不可解なシーンの長短とか滅茶気になった。ここが何でこんな長いの?なんでそこでフェイドアウト?とか多くて「君とはほんまに気ぃ合わんわ!」ってかんじ。。ということもあり、そうかほとんど向こうのスタッフで固めてるのかと思ったらほとんど日本人やん。。それでまたがっかり。何してたんやと。映画はやはり監督のものなの。。? たしかに皆さんも仰るとおり、綾瀬はるかは可愛かったです。それだけはよかった。 後、東京と言いつつ、神戸が舞台なのを知ってたので、「よくも神戸をもういっぺん壊したな!!」って腹が立ってしまった。映画のことと私も思いたいので、他意の無い事を祈ります。。 と思ったけど、やっぱちょっと考えても良かったんちゃう? 嗚呼、またむかついてきた~! [DVD(邦画)] 3点(2009-12-19 01:50:38) |
8. バベル
一度みてすぐにもう一度観ました。二回とも泣きました。この映画の云いたいことをまとめようと、途中まで考えてたんだけど、やめました。私はこの映画から確かに何かを受け取ったし、だからあとは、黙ってそれを抱きしめればいいのだ。そう思いました。最後に流れる教授の音楽は、やっぱり素晴らしい。ここまで魂の奥深く浸透する音楽作る人は、そうそういないと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2009-08-03 13:27:09)(良:1票) |
9. パラノイドパーク
《ネタバレ》 アレックスは、故意ではないけど人を殺して、結局この映画の中では最後まで裁かれたりはしません。 だけど、既にしてもともと普通の子である彼は「あのこと」以外は無感覚、という「地獄」の中にいます。 そのことがもう、何よりも勝る罰である、ということが、ふいに彼だけが夜の暗闇にいるように黒くなったり、時間がゆっくりになったり、見えてても見えないほどに人に焦点が合わなくなったり、初体験ですら無感動であったりするシーンによって、余すところなく表現されていました。 彼は相変わらずまだ何も損なわれていないように美しく若い。まわりの友達も、野原も相変わらず、スケボーも格好良く気持ちよく世界は美しい。でもどうやっても消えない、罰せられないことによる無感覚の地獄は、手紙を焼いて、まだもう少し長引くかもしれない。だけど、そう長くはないだろうことはわかる。「あのこと」以外に唯一、彼の具体的に感じ取れる現実として、確実に自分を疑っている刑事の存在がそれを予感させているから。こういう美しくて苦しくて「クールな」映画こそが、「大事なこと」を若い人に訴える力が本当にあるのかもしれない、と思いました。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-02 18:34:32)(良:2票) |
10. 乱歩地獄
《ネタバレ》 浅野忠信って・・・うまい役者ということになってるんでしょうか?私はいつも「この人、顔が珍しくて得してるだけで、いつも同じやんなぁ・・?」って思ってしまうのです。正直なところ。。何も魅力を感じないんです。 松田龍平まで行くと、もう雰囲気と佇まいだけ、という潔さがあるから(本人はそんなつもり無いんだろうけど)、その空っぽさが逆に気になるんだけど。。好きな事言いますね^^; そんな二人が出ている映画なので、何で観たん?ってことなんですが、乱歩が好きなのです。果たして、観終わった今・・・冒頭の勝手な批判をもう一度繰り返したのでした。 他の作品も観て思ったんだけど、成宮くんはきっと、狂気を表現するのに自信がある人なんでしょうね。でもわりに狂気というのは表現する種類として、簡単なんではないでしょうか。それよりは、緒川たまきの醸す独特の柔らかい魅力みたいなもののほうが、役者として、よほど武器になると思います。 「芋虫」は何度も読んでいるのだけど、もの凄く、悲しい話だと思っていて。これを一体どうするのか、と思って観たら、ああ、表現したかったのはそこなのかと、残念に思いました。 [DVD(邦画)] 3点(2009-07-30 20:35:33) |
11. グーグーだって猫である
《ネタバレ》 この映画を借りてきて、返すまでに3回観ました。 猫を飼っている独身自宅仕事の女という共通点もあるわたしですが、キョンキョンは、その孤独ももの凄く体現していました。彼女の出た映画では、これが一番好きです。 難をいうなら、浮気相手を追っかけるシーン、病院での応援シーンはちょっとなあ。。。(森三中苦手やし…^^;)というところで。後は全部大好きです。 夢の中でサバと会って話をするところは、何度観てもその度に泣きます。私も今は居ないあの猫と、こんな風に話をしたい、もう一度会って抱きしめたい!と思うのもあるけど、サバ役の子が素晴らしい!!・・・と思ったら、「セクシーボイス&ロボット」のニコ(大後寿々花)だったんですね!さすがだ。。。すごい可愛くなっててわからなかった^^; ちなみに、大島弓子も大好きでほとんど読んでいるんだけども、この映画が彼女の漫画の何かを損なっているとは、まったく思いませんでした。 この映画大好き!という人おそらくたくさん居るはずなので、もっと色んな人に観てもらえるといいなあ、と願って止みません。 40を過ぎたからこそほんのり過ぎる恋愛、というのもすごくわかる!ほんとに、素敵ないろいろな気持ちをくれてありがとう!と云いたいです。 [DVD(邦画)] 9点(2009-07-19 20:10:36) |
12. おくりびと
《ネタバレ》 何度か涙を流しました。泣きます。だって人が死ぬのやし。それをまざまざと見るのやし。 でもこの違和感は、なんだろう。男前すぎの「納棺夫」。生活感のないおキレイな奥さん。よくみるとキレイすぎの風呂屋のおばちゃん。おなじく事務所の唯一の従業員がこれまた色っぽい美人。そんなことが妙にひっかかる。汚かったらじゃあいいのか。というわけでもない。おとぎ話ならそれでもいい。リアルさを求めたいタイプでもないし。考えるとつまり、「そんなことが目につく、ということに何か問題があるのではないか」と、思たんでした。主人公の家や社長室?の、妙な異国感。それもまたそれで、わたしにはなじめなかった。でもこの作品は、後世に残る。いささか有名になりすぎた。観てから「納棺夫日記」を読んだのですが、「原作」者とされる、青木新門さんが、この映画と「納棺夫日記」の着地点が違うということで、原作者としてエンドロールに登場することをかたくなに拒んだ、という話、わたしも納得しました。もっと云えたはずなんでは…と思った時、先にあげた点からはじめ、残念に思ってしまうのです。「穢らわしい!」と奥さんに罵られたのは、実話らしいです。映画観られて、良かった方も、そうでもなかった方も、是非「原作」も読んでみて欲しいです。 [DVD(邦画)] 6点(2009-06-19 02:34:00)(良:1票) |
13. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 観終わって、「ああ、ほんまによう切り抜けたなあ。おとうさんもちゃんと責任を果たし息子も生きてたし、尊敬も得たみたいで良かったなあ」と素直に。 それ以外に何か言いたいことがあるとすれば・・・「大阪では何匹か倒したらしい」という情報。素でびっくりして「ええっ!!」言うて、直後爆笑。そら励まされるわ!!言うて。「何持って戦ったんや!?」言うて。もう、なんか道頓堀川をグリコの看板とか破壊しながらやってくるトライポッドに、「いてまえ~!!」とか言いながらバットとか持って飛びかかるおっさんとか想像したらもう…。。って考えたら大阪で自衛隊が攻撃したんでしょうね。冷静に言うと(笑)でも面白いから大阪の通行人のおっさんとかがやったということで是非(笑) そしてなんとかそのシーンも撮って欲しかったです(笑) [DVD(字幕)] 6点(2009-06-06 03:00:25)(笑:1票) |
14. トウキョウソナタ
《ネタバレ》 「おいおいまだぜんぜんどん底じゃないじゃん。がんばれよ!」と泣き始めたお母さんに思い、 お金とって仕事途中で逃げ出した父さんにも思ってきょとんとしたのは、わたしが実際二回もクビになっているからでしょうか(笑 そんな自分だからか、リアルだという評価が今ひとつよくわからない。世間の人(会社の人、教師、警察etc…)が冷たすぎてありえない、と思ったんだけど、東京ではそれがリアル? そうとは思えないけど。。だからわたしは途中で、リアルな話である、という「モード設定」を、そうか!と気づいて「おとぎ話用モード」に設定しなおして、やっと少し許せる気分に。違和感があったといわれる強盗も軍隊入隊も、むしろ納得。だっておとぎ話なんだもの。最後は希望が見えて良かった。けども、自分の家族を持たないわたしは、その最後こそが、暗い空洞を見せられたような、気持ちになりました。どこまでも自分勝手。でも、いいんだ。観客はいつでも自由なのだ。 [DVD(邦画)] 5点(2009-05-19 01:22:04) |
15. その男、凶暴につき
《ネタバレ》 公開時、なんとなく一人で観に行って、次の日友達を連れてもう一度観に行った。誘い文句は「なんせびっくりするから観て!!」の一言だった。それから数え切れないくらいビデオで観た。その度に、毎回ゼロのようにびっくりする。 たけしの映画はそのバランスの悪さ(やたら自分の絵が出てくるとか、やたら殴ったり撃ったり、突然メルヘンだったりそれが異常に長かったり急にバカだったり)に魅力があるとわたしは思っていて。 この映画の中で、一番印象に残ったシーンは…決めにくいけど、トイレでチンピラを殴るところ。「知らねえよ」バチッ!「知らねえよ」バチッ!「知らねえよ」バチッ!…4回目超えるころ、気付けばわたしは目をどんどん見開き、鼓動もどんどん早まった。サディスティックなところを呼び覚まされたのか?ではなく、やっぱりびっくりしたのだ。「三発くらいで終わるだろう」と思っていた自分の中で知らず固まっていた「お約束タイミング」の錠前がぶっ飛び、バーン!!と大きな扉が開いたのが見えた。それはラスト前清弘が子分を撃ち殺す時も、まさに飛び上がるほどの衝撃で繰り返される。暴力の場面でなくとも、殺し屋が車の中で呑気に落語を聞いていることさえ同じ種類の衝撃を受ける。 ただ、いつ見てもゼロのように新しいのだけど、長年を経て変化はあり、三十過ぎてみた時にはこの映画のたけしのことを、もの凄く美しい、と思う自分がいて。初めて観た時はたけしはおじさんだと思ったんだけど(笑。おじさんのたけししか知らない人は是非観て欲しいです。精悍で、色気あふれ、凄まじく怖いたけしが真空パックされているから。 [映画館(邦画)] 10点(2009-04-05 18:38:14)(良:3票) |
16. マイ・ブルーベリー・ナイツ
うすい。非常に薄い。。散文的な台詞が、オシャレ気であるが深みはない。 なぜだろう。。他の、日本の気の利いた俳優ならもっと違っただろう、と思うのは やはりわたしが日本人だからだろうか? でも、鑑賞した日がたまたまわたしの誕生日で、その日はケーキがなかったのだけど、 次の日にブルーベリーの、パイではないけど、ケーキを焼いてしもた(笑 もちろんバニラアイスクリームをのせて。 これも何かの縁かなと。わりにこのせいで、この映画のことはずっと覚えていることになるのかもしれないと、 食べながら思いました。どうでもいいようなことだけど。。 [DVD(字幕)] 4点(2009-01-17 20:50:11) |
17. 男たちの大和 YAMATO
《ネタバレ》 ほとんど泣いていた。戦闘の場面は特に、悲しいというより何より、「悔しい!!」という思いでいっぱいになってしまい。悔しい悔しい!!と心で叫びながら拳で自分の足を何度も叩きながら泣いた。惨すぎるアメリカに対して、巨大な喪失に対して。感情移入ができるかどうかなんて、同じ日本人が後にそんな発想をするようになるとは、あの方たちには想像だに出来ないことだっただろう。これは、間違いなく、自分たちのおじいさん、曾おじいさんたちの話です。彼らにもうひとつの労いも感謝も伝えられないなら、せめてそれを踏まえて、この映画に向かうべきだと思います。そして果たしてどう思うかで、彼らの守った未来に、自分がしっかり生きているのかどうか、わかるんではないでしょうか。それと向き合うことはおそらく(私がそうであるように)とても辛いことだけども、その辛さを背負うことは、今より少しはマシになるために必要な傷なのではないか、と感じます。わたしのおじいさんも含め、戦争に行ってくれた全ての人が、例え生きて帰られていたとしても、日本の将来のために一度は命を失う覚悟をしたという点に於いて、その彼らの想像した将来に確実に含まれていた子孫の一人として、尊敬と感謝をしないわけにはいられない。そういう気持ちになりました。この映画にも、感謝を捧げます。 最後に一つ。残酷なまでの戦闘の描写についてですが、わたしはこれでよいと思いました。良い、というのは、「ああ、本当に一人一人が、死んでいったんだな」と思えたからです。もの凄く辛かったけど、それがおそらく意図したところだと思うのです。 [DVD(邦画)] 9点(2008-11-09 22:18:40) |
18. 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
《ネタバレ》 見終わって最初に思ったこと「…どんな気持ちになったらええんか、わからん…」スキはあまり無い。俳優もいい。色気もある。怖さもある。永作博美はやっぱりすごい。でも。このやりきれなさは多分、お兄ちゃんとわたしが似ているからかもしれない。何もしてないのに、「仲良くしろよ」と人には言う。無力。一番腑抜け。だからといって死ななくても、とは思ったけど^^;身につまされ過ぎてやりきれない。そういう気持ちで、今日はこの点数です。 [DVD(邦画)] 6点(2008-11-04 00:52:05)(良:1票) |
19. サッド ヴァケイション
《ネタバレ》 ストーリーがありえない。ええー?なんでなんでそこでそうなん?ってなんも理解できない。共感もできない。暖かさと冷たさ、残酷シーンとほのぼのシーンの組み合わせの奇妙さに付いていけず、とても疲れてしまった…。というわけで自分には、残念ながら、最後までちっとも面白く思えなかったです。 俳優陣が狭いところにうるさいほど豪華にひしめいていて、それぞれがベストの演技をしている、ということだけはわかった。そこに点数を。 ところで「アカルイミライ」でも思ったのですが、浅野忠信とオダギリジョーって、並ぶとハレーション起こしてるような気がして仕方ありません。。「どっちか一人にして」って思ってしまうのはわたしだけだろうか…^^; [DVD(邦画)] 4点(2008-10-26 23:22:36) |
20. 蛇にピアス
《ネタバレ》 わたしは、三ヶ月くらい前、この原作を読んで、結構、いや凄く、怒ってました。「ええ~?!なんでこれが芥川賞なん???」全然良さがわからなかった。薄い、なんの手応えもない、この作品には重要な痛みも、わたしには伝わってこなかった。「もっと汚れてる、痛くて繊細な小説ってあるやん?村上龍とかさあ」云々。それが。極めて原作に忠実なこの映画を観終わって最後CHARAの歌声を聴きつつ涙を流すことになろうとは、全く想像も出来なかった。こんなに、小説を映画化するということの意味が、わかったことはかつてない。血肉を与えられた物語は、とても豊かにこの世界で生きて呼吸をしていて、あんなに理解できなかった、出会ってすぐに暮らし始めたということも、アマが死んでシバと暮らし始めたことも、なんなく受け入れていた。それは、「一人一人にもの凄く魅力があったから」という、とてもシンプルな、まっとうな、理由からだった。あの3人は、どんなことをしても魂が汚れないということがありえるのだ、ということを教えてくれる。今、再び原作を読んで、同じようにその魅力を読みとれるかどうか、わからない。でもこの解釈はもの凄く正しいのだ、と今やわたしは確信していて、こんな映画を創ってくれた蜷川監督のことを、失礼ながら「なんちゅう凄いおっさんや?!」と思わずにはいられない。なんだか思いがけず、こういう映画に出逢ったことが、とても、とても今、嬉しい。夜明け前から巨大な「蛇」のような電車が休み無くうねり続けるこの異常な都会の日常を、今より少し愛せるような気がしたのです。本当に。 [映画館(邦画)] 9点(2008-10-25 01:28:58)(良:1票) |