Menu
 > レビュワー
 > Cinecdocke さんの口コミ一覧
Cinecdockeさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 894
性別
自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12345678910111213141516
投稿日付順12345678910111213141516
変更日付順12345678910111213141516
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  それでもボクはやってない 《ネタバレ》 
法を噛み砕き分かりやすく、上質なエンタメに仕上がりつつも、最高の居心地の悪さを提供する。電車通勤ではない自分にとって対岸の火事であるが、その渦中にいる人にとって毎日が下手なホラーよりも恐ろしい。仮に無実を晴らせてもそれに費やした金銭と時間は帰ってこない。冤罪の男性も被害者の女性も浮かばれない。今作は就職活動中の若者だからこそ2時間半で描けたが、家族持ちの会社員だったら連続テレビドラマにせざるを得ないほど、事の複雑さが、歪みが浮き彫りになっている。痴漢冤罪を劇的に減らしたい気骨ある政治家はいないだろうし(そもそも電車通勤しなさそう)、自分の身は自分で守るしかない諦念が漂う。そういう意味では自動車免許の教習ビデオに近いものを感じた。
[DVD(邦画)] 10点(2016-11-10 21:57:06)(良:1票)
2.  鬼が来た! 《ネタバレ》 
これは反日映画ではない。誰の心にも棲んでいる"鬼"を描いた普遍的なテーマだろう。もし自分が旧日本軍の兵士だったら、軍艦マーチで否応無しに気分が高揚するし、上層部の同調圧力に耐え切れず、同じことを絶対にしている。現代に移し替えてもその本質はこの先も全然変わることがない。共存しようと尽力するが、どこか馴れ馴れしい中国の村人もそうだろう。チアン・ウェン監督は日中のメンタリズムを非常に理解している。どこかとぼけて牧歌的ながら狂気とユーモアが一体になったハイテンションな展開が戦慄のパートカラーまで続く。主人公マーは殺された同胞の復讐をしたのに、国民党主導の処刑を同じ中国人に喜ばれるなんて皮肉すぎる。ちょっと黒澤映画に似たような熱量と空気を思い出してしまったが、一番の"鬼"は一度スイッチが入ったら暴走する権力そのもの(=中国共産党)かもしれない。カンヌ初公開のみにしか見れなかった文化大革命のエピソードは今後世に出ることはあるだろうか?
[DVD(字幕)] 10点(2016-08-19 23:43:01)
3.  時をかける少女(2006)
主題歌を聴いた瞬間、絶対見てみたいと思える透徹感がこの作品にあった。現代的なリアルと些細なファンタジーが違和感なく溶け込み、それに反してもう戻れないかけがえのない時間がこの世界観を際立たせていた。本当に求めていた映画に出会えたという喜びは数年に一度かもしれない。そして、それをリアルタイムで見れたこと自体、かけがえのない時間そのものだ。こんなに青い大空と雲を見たことがない。何故か涙が溢れた。
[映画館(邦画)] 10点(2015-08-08 00:50:22)(良:1票)
4.  シティ・オブ・ゴッド 《ネタバレ》 
命が軽々しく奪われる悲惨な現実を描いているのに、ブラジル特有の陽気さと軽快でスピード感あふれる編集で、重さが後を引かない。実際の"神の街"はこんな感じなのだろう。児童が銃を玩具のように扱って、次々と殺害していく様に戦慄を覚える。その一方、教育の重要さが強調され、識字率の低さが犯罪と貧困の連鎖を生み出し、目を背け私腹を肥やす体制側の腐敗をも炙り出す。カメラマン志望の青年が真実か出世のどちらを選ぶかは言うまでもなかろう。救いなどない。だが、誰もが一日を乗り切るのに必死で絶望している暇はない。「日本に生まれて良かった」と言われればそれまでだが、つまらないマウントの取り合いで、どこか生気も幸せも感じないのは何故だろう。教訓としても反面教師としても本作から学べるものはたくさんある。
[DVD(字幕)] 9点(2019-06-29 19:54:46)
5.  ユナイテッド93 《ネタバレ》 
最後まで動悸が収まらない。勿論、本作は娯楽映画ではない。膨大な資料と電話のやり取りからどこまで911に迫れるか。いつもと変わらない日常から地獄絵図に変わる光景を、一機の旅客機を中心に一気に見せるグリーングラスの演出力に引き込まれる。テロリスト及び乗客乗員が全員死亡した以上、どこまでが真実か分からない。陰謀論を唱える人もいるだろう。ただ、双方の"神に祈る"行為が、「こうあって欲しい」という理想のすれ違いにおける悲劇であることがことさら強調されているように思えた。911後、現代の宗教戦争の様相になっていくが、あくまで"その日"の事態だけを描き、思想・感傷をできるだけ排したフラットで真摯な姿勢が伝わる。
[映画館(字幕)] 9点(2018-10-22 20:01:58)(良:1票)
6.  殺人の追憶 《ネタバレ》 
雨と土の湿った臭いがスクリーンから漂ってくる。懐かしさを感じさせる田園地帯は、夜になれば漆黒の闇に覆われ、奥に蠢く"怪物"は獲物をひそかに待ち続ける。被害者が増え続けたのは他でもなく警察の杜撰さであり、当時軍国主義だった閉塞感も大きかったのだろう。動物的な地元の刑事と理性的な都会の刑事がぶつかり合いながらも次第に立場を逆転させていく。そこには事件を解決できない苛立ちと諦めが、止むことのないの雨に溶け込んで、トンネルという排水溝に流れていくようだ。さあ、未解決の事件をどうまとめるか? 15年後の事件を知らない児童が発する、「普通の顔だった」という台詞。もしあの手帳を捨てていなかったら・・・映画冒頭へと回想させる構成は見事としか言いようがない。不気味で恐ろしい。黒澤明のダイナミズムとスピルバーグの柔軟性を併せ持ったポン・ジュノにはこれからもついていきたいと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2017-05-22 21:11:06)(良:1票)
7.  ミリオンダラー・ベイビー 《ネタバレ》 
この映画には三種類の人間が存在する。才能と実力があり一瞬でも輝いたが潰された人、才能も実力もなく有言無実行で終わっていく人、参加せず野次を飛ばすだけの人──ベクトルは違うにせよ、いずれも敗残者であることは共通している。アメリカンドリームに破れて去っていった人を多く見続けてきたイーストウッドだからこその冷徹さで、希望すら持てない閉塞感が現代アメリカに蔓延しているのは周知の通り。公開から10年以上たった今でも通用する答えのなさ。あのときこうしていれば・・・と嘆いていても、誰も未来など見通せない。神も仏もない。ただ、覚悟を背負って何かをしなければチャンスがやってこないのは事実。たとえ何者にもなれなかった何もない人間のまま、生活のためだけにやりたくもない雑務に追われて、困窮の中で孤立死したとしても、生きた証すら誰も知らないまま塵のように消えていくにせよ、その人生を肯定するか否かは当人が決めること。尊厳と自己満足は紙一重。イーストウッドが言いたいのは単純にこういうことじゃないか。
[映画館(字幕)] 9点(2016-10-31 21:29:21)
8.  レスラー 《ネタバレ》 
プロレスに限らず、どのフリーランスにも当て嵌まるため他人事ではない。肉体の衰え(作家業なら創造性)は誰にも訪れ、特に過去の栄光に縋り続け、プライドが高いのなら尚更。特に娘の約束を忘れて破ってしまう件は血まみれハードコアデスマッチよりも痛々しい。主人公に共感できない人がいるのも当然だろう。それでも仕事と私生活を両立できない不器用な彼に対してある種の羨望を持っているのは事実で、ドサ回りでも彼に声援を送るファンを裏切ることが出来なかった。そういう世界でしか生きられない男のスピーチが胸を打つ。理解者のストリッパーにも去られ、失うものもない彼が死を覚悟したラム・ジャムは、他方からすれば愚かな破滅だが、本人からすれば最期までやり切った生存証明とも言える。それは非現実な世界を生きているか否か、何かを持っているか否かの違いか。落ち目のミッキー・ロークのためにスタジオと闘い続け、プロレスから辛辣な人間ドラマへと昇華させたアロノフスキー監督の着眼点と手腕を称賛したい。
[映画館(字幕)] 9点(2016-08-29 19:14:03)
9.  誰も知らない(2004) 《ネタバレ》 
実在の事件の再現映画ではない。でなければ、携帯電話も最新型マーチ(当時)もワンピの食玩も画面に写さないだろう。現在でも都会のジャングルで"誰も知らない"無戸籍児が存在する、その生存証明を描いているに過ぎない。電気も水道も止まる、髪は伸び、服も汚れてみずぼらしくなる、末っ子の娘が死んでも彼らを捨てた母親が知ることもない。誰かに知られたら、児童保護施設関係者によって引き離される。それでも今日生きなければ明日がない。そんな心情を挿入歌が代弁していた。"宝石"という生存証明は誰によってもたらされるのか? 孤立死が当たり前になっていく現在、過去の無名の個人に関心を持たないように、無責任に叩くだけで何もしないように、誰も自分のことで手一杯でいつの世も無常だ。
[DVD(邦画)] 9点(2016-06-16 21:29:27)
10.  オールド・ボーイ(2003) 《ネタバレ》 
原作漫画既読。 原作を遥かに凌駕した世界観とパク・チャヌク監督のセンスが冴える、最高の形での換骨奪胎な映像化だろう。 15年監禁された男の復讐劇のように思えて、実は主人公が復讐されていたプロットが衝撃的。 勘の良い人なら途中で分かるものの、結末に行き着くまでの過程を飽きさせずに一気に見せる。 無国籍を漂わせるスタイリッシュな映像美とクラシカルで美しいスコアがギリシャ悲劇を想起させる寓話に押し上げる。  一番の功労者は主演のチェ・ミンシクだろう。 イメージトレーニングだけで敵をなぎ倒すリアリティのない展開に説得力を持たせることに成功しており、 真実を知ってしまった男の慟哭は圧巻の一言。 そういう意味ではカンヌ男優賞は彼でも良かった気がする。  毒々しさから一転した白銀の世界。 真実を知らない娘の一言と忘れたかもしれない男の表情に、 終わりなき復讐の痛みと儚き希望がない交ぜになった感情が込み上げる。 ノべライズ版の「絶望的なハッピーエンド」というフレーズが相応しい。 残酷な運命を切り開こうとする二人に幸あらんことを。
[映画館(字幕)] 9点(2015-12-23 00:14:57)(良:1票)
11.  モンスターズ・インク 《ネタバレ》 
子供の頃から親から嫌ほど聞かされたことがあるはずだ。「言うことをきかない悪い子は怪物に食べられちゃうぞ」と、勝手に空想して震えて、親の言うことに従ったものである。しかし、成長すれば怪物は現実にはいない空想上の存在だと分かり、怪物がドアからやってきて非現実の世界に誘うこともなかった。ブーが体験した大冒険も、成長したらいつしかただの夢として捉えられ、記憶の隅に追いやられていくだろう。大人になれば見えなくなっていく幽霊や妖怪のように。かつてブーだった大人達に捧げる、いつか訪れる子供時代の終わりを描いた、ありし日の通過儀礼の物語。ブーとサリーの別れと再会は、笑顔と切なさで満ち足りて、懐かしさで涙がこぼれる。「ただいま、また会えたね」と声をかけたくなる。
[DVD(字幕)] 9点(2015-09-24 00:27:11)
12.  オアシス 《ネタバレ》 
日本では作れないし、製作から20年経った韓国でも作れない映画だと思う。  知的障害を持つジョンドゥは発達障害も患っていて、 衝動的で空気の読めない言動が当事者にとってリアルに突き刺さるものがある。  しかし、それ以上に脳性麻痺を持つコンジュはさらに過酷な境遇だ。 知能が健常者と同じであっても自分の気持ちを上手く伝えられないもどかしさが切ない。  両者とも家族から煙たがられていて、都合良く利用されている辺り、偏見と無知に満ちた健常者ありきの社会と言える。 その社会と相反するように二人だけの居場所である空想のオアシスが、二人の純粋さを際立たせる。 "障害者"ではなく"女"として見てくれたジョンドゥが当初強姦未遂を起こそうが、 コンジュがどう受け入れるかは彼女が決めることだ。 ただ、コンジュのジョンドゥに対する恋愛感情は本物なのか、ストックホルム症候群に陥っていないか。 その"理解できなさ"が本作の肝である。  ドキュメンタリータッチとファンタジーの境目を無くすことを可能にしたムン・ソリの壮絶な名演に尽きる。 ジョンドゥは誤解が解けないまま服役してしまうが、コンジュはいつまでも彼を待ち続けるのだろう。 健常者とは永遠に距離が縮まらないとしても、二人なりに新生活を始めることを想像させる幕引きだった。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-03-10 22:51:57)
13.  ウォーリー 《ネタバレ》 
冒頭30分はほぼサイレント映画、という無謀な賭けにピクサーは勝つ。無機質に見えて血が通っているような小型ロボット2体と、マザーコンピューターに言われるまま怠惰に過ごす人間の対比。多くのSF映画で見られる、便利さを引き換えにした大量消費とAI社会への風刺が鮮烈。真の主役は人類であり、ロボットからの自立を果たし、如何にして本当の信頼関係、共存を築いていくか。二元論という攻撃性で分断するのではなく、壊れてしまった世界から再生という希望に変えていくのもまた人類なのだ。ロボット同士のラブストーリーも僅かな描写で感情を揺さぶり、見事に成立させたのも素晴らしい。
[地上波(字幕)] 8点(2022-03-23 23:00:30)
14.  パプリカ(2006) 《ネタバレ》 
気持ち悪くて気持ちいい。 リアル系のキャラクターデザインにどこか違和感が混ざり合うように、 夢と現実との境目がなくなって、混沌が肥大化していくさまが面白くアニメでしか表現できない。 夢は言語化できないもので、その願望がまとまらないからこそ、具現化するためにもがく姿が現実とリンクする。 敦子が時田を救うために、理想の自分であるパプリカから独立して現実を勝ち取るように。  ハリウッドにも影響を与え、細田や新海を超えるだろう監督の早世が惜しまれる。
[地上波(邦画)] 8点(2022-02-09 13:45:02)(良:1票)
15.  善き人のためのソナタ 《ネタバレ》 
女優のために密かに抵抗を続ける体制側の男の一途さに釘付け。良い職に就いていても孤独で幸せに見えず、社会主義の建前だらけの腐敗に、壁の向こう側の恋人たちの幸福と自由な精神に、駒として動くことに疑問を持ってしまったのだろう。そこに彼の善性と葛藤が見え隠れする。叶わぬ恋だとしても、彼女には幸せになって欲しかったその矢先の悲劇。たとえ社会主義が崩壊しても、心の空疎さを埋められずにいた男が、劇作家の著した書籍に救われる、そのスマートな演出に静かな感動が広がる。
[映画館(字幕)] 8点(2021-10-23 20:30:34)(良:2票)
16.  第9地区 《ネタバレ》 
「エイリアンが差別される側という設定のモキュメンタリー映画」。そのことを念頭に見ていたため、主人公の腕から徐々にエイリアン化して人間に追われる逃亡劇、そしてエイリアン親子との熱きバディものへと変化あふれる展開が面白い。グロテスクな造形のエイリアンに感情移入させても抱き着きたくない距離感も良く、人種問題とリンクする見事さ。これがアカデミー脚色賞候補に上がった理由だろう。ラストカットには美しさをも感じてしまった。
[映画館(字幕)] 8点(2021-06-15 22:57:15)
17.  運命じゃない人
やられた。第1章は何てことないのだが、第2章、第3章と格段に面白くなっていく。全編とぼけた味でコンパクトに纏まっている分、満足度が高い。邦画において、緩めのサスペンスコメディを描くなら右に出る者がいなんじゃないかと思うほどに。長らく新作が出ていないが、オリジナル脚本の難しさ故だろうか?
[DVD(邦画)] 8点(2021-04-16 22:32:51)
18.  ベルヴィル・ランデブー
過度なまでのデフォルメ、頑なに最小限に抑えた台詞、シュールでブラックユーモアに富んだ展開と、フランス産アニメーションの意気込みが感じられる。日本にもアメリカにもない独創性で癖の強い作風ながら、老婆の大活劇が主体であるため難解なわけでもない。とにかくリズミカルな音楽が今でも耳に残るくらい素晴らしい。この世界観にもっと浸りたいと思ってしまうからこそ、夢から覚めたような寂しげなラストがより余韻を引く。
[DVD(字幕)] 8点(2019-04-28 00:43:24)
19.  Mr.インクレディブル
スーパーヒーローの本音と建前を描いた『ウォッチメン』の設定を意識しながらも、これより分かりやすく、かと言って深刻になりすぎないバランス感覚で、スピード感あふれるエンターテイメントに仕上がっていた。歴代のピクサ―作品では5本の指に入る出来。自分らしさと生き甲斐を見出せず、生きづらさを抱える"力のある者たち"が岐路に立たされながらも奮闘する過程が熱い。彼らだって一歩拗らせらばシンドロームみたいになっていたわけで、往年のヒーロー葛藤ものでは頭一つ抜けている。ピクサー(&ディズニー)でこれほど死が視覚化されているものは他にはなく、なかなか容赦ない作りなのが良い。
[DVD(吹替)] 8点(2019-01-22 23:09:06)
20.  ブラディ・サンデー 《ネタバレ》 
最悪の結果を招いたのは対立だけでなく、北アイルランドのデモ隊とイギリス軍、各々の連携が取れてなかったのだろう。エネルギーの余った若者たちが暴徒化しなければ、本部の指揮と現場の意思疎通が取れていれば、その歯車の噛み合わなさによる悪い偶然が取り返しのつかない事件に発展していく。煽情的に盛り上げることを避け、極めて淡々と描いているが、最後まで飽きさせない構成力。ただの再現ドラマとして細部まで描くのではなく(というよりできない)、その日その日の即興的な演出がむしろ現場を目撃したような迫真さを生み出すことに成功している。世界が事件に関心を持ってもらう意味では、グリーングラス監督の意図は正しい。エンドロールの"Sunday Bloody Sunday"が痛切に響く。
[DVD(字幕)] 8点(2018-11-03 13:21:48)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS