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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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181.  うめく排水管 《ネタバレ》 
冒頭から「新型のウイルス」の感染拡大が語られるので、そういうのは洒落にならないからもうやめろと言いたくなるが、別に2020年の事態に悪乗りしているわけではないので文句もいえない。劇中の潔癖症の人物が手洗いをする際に、指の間を洗っていたのはリアリティがなくはなかった。 しかしその潔癖症の人物が「歩くWHO」だとか、そのWHOが「国境なきヒーローたちの団体」などと無責任に宣伝するのは世界を欺いて破滅させようとでもいう意図なのか。この映画自体が、表側のきれいなものと裏側の汚いもののせめぎ合いの話だったとすれば、国際機関にもその話を当てはめろということになるだろうが、この時点でそういうことまで意識していたかは不明である。  そのウイルス関係を除けば意外に原作に近いので、これはこれでいいと個人的には思った。変にラブストーリーを作り込んでいるが、結果は同じというかさらに徹底させたようでもある。汚いものはさっさと死滅させてしまえという気にはさせられるが、同時に見ている側(男)の被虐嗜好を刺激するところもないではない。 映像的には、技術的なことはわからないが安っぽいのはわかるとして、わざとらしく作った色付き映像とか管内の視覚イメージとか美女2人のじゃれ合いなど退屈を紛らわす要素は入っている。タイトルのところで背景と一緒に、人物が媚を売るような姿でうねっと丸まるのはよかった。ちなみに途中で歌が入るのは、この頃のトンデモホラーでそういうのが流行っていただけのことと思われる。  登場人物としては、美女姉妹の容姿がこのレベルだと申し分ない(大変結構だ)。あの両親でこの娘では実子とも見えず、優良ブリーダーからでも入手したのかと思わせる。姉役は「歌う本格派女優」で妹役はグラドルという違いがあったらしいが、妹役の方は「口裂け女2」(2008)にも重要人物で出ていたのは知っている。ほかに母親役の播田美保という役者は、「口裂け女0 ~ビギニング~」(2008)では奇怪な女としかいいようがない容貌だったが、今回はわりと普通で超個性派女優という程度にとどまっていた。 この監督の作を褒めるつもりは全くないが、今回は特に気に障る箇所もなかったのでそれなりの点をつけておく。2点くらいかと予想していたが倍増した。
[DVD(邦画)] 4点(2020-09-19 13:29:20)
182.  メシア 伝えられし者たち 《ネタバレ》 
2004/1/10に作品登録されてから誰も書かずに放置されていたので見てやることにした。 要はアクション映画だろうと思ったが、沖縄の島が舞台とすれば同じ監督の「無人島物語 BRQ」(2001)のように、無人島で殺し合いをするだけの映画かと思っていたらそうでもなく、それよりもう少し込み入った話を作ってある。撮影もその辺で適当にやったのではなく本当に沖縄に行ったようで、サトウキビ畑や亀甲墓、村落風景などがそれらしく映っている。 筋立てとしては、かつて琉球王朝に仕えた支配層の末裔に対し、虐げられていた一族が復讐しようとしたように見せておいて、実は単なる悪人だった(顔を見ればわかるが)ので滅ぼされた話である。しかしラストがどうなったのかが不明瞭で、また題名の意味も最後までわかった気がしない。一応考えてもわからなかったからには仕方ないので、考えたこと自体が野暮だったと思うしかない。  主人公は真面目で非力な女子中学生で、「あたしはもう大人よ」とは一応言っていたがまるきり中学生に見える。敵の首領があまりに迫力のある悪人顔のため、こんないたいけな女子が対抗できるのか心配させられるといえなくはないが、他はともかくこのヒロインが悲惨な目に遭うはずもなく、やる時はちゃんとやるので当然大丈夫なわけである。 主演の森田彩華という人は当時「美少女クラブ31」というもののメンバーだったとのことで、美少女というより普通の中学生っぽいのがかえって親しみを感じさせたが、終盤になると少し美少女寄りの姿を見せていた。また、たくましいのと細身なのと対照的な体格のアクション女優2人(清水あすか/浅井星光)が見せる本格的(多分)なアクション場面は見どころだったかも知れない。 それほど絶賛するようなものではないが、正直それほど悪くない印象の映画だった。
[DVD(邦画)] 4点(2020-06-27 09:51:16)
183.  さよなら、クロ 《ネタバレ》 
時代設定としては映画館の場面と劇中で流れる曲から前半が1967~68年、後半が1976年ということになる。映像的にはそれなりに昔っぽい風景で、これで考証的に正しいのかはわからないが、60年代と70年代で微妙な差を出しているようではあった。ちなみに鉄道は、長野市から松本市と別の方向に行く長野電鉄だったようである。 原作は読んでいないが、劇中教員が素行不良の生徒の人格を貶めるような発言をして、それで当人らが騒ぐわけでもなく率直に受け止めていたのを見ると、そういう時代だったということもあるだろうが、さすが進学校らしく物のわかった連中とも取れる。また先人の名言で「質問もしなければ批判もしない」は笑った(全くその通りだ)。  話としては犬の物語かと思ったが、犬自体が何か特別なことをするわけでもなく、ただそこにいてやがて死んだだけのように見える。しかしそのように、動物が無心にその生涯を全うしようとするのがいわば生命の基本の表現であり、それは人にとっても同じだろうというなら一つの考え方である。 また、犬が病気で死んでも寿命のうちと思えばそれまでのところ、あえて手術して数か月間?(生徒の顔ぶれが同じ)延命し、死んでしまったあとは人間並みに葬式まで挙げていたのはやりすぎ感がある。しかしこれは人も動物も同じく生き物だということを表現するために、人をケモノのように描写するのでなく、逆に動物を人間同様に扱ってみせたということかも知れない。 冒頭で名前が並ぶ愛護団体もそういう面で推薦していたのかも知れないが、ただ問題は、この犬がそれほどの思いを寄せられるに至った事情が素直に納得できるよう作られていないことである(単に長期間学校に住んでいただけ?)。ほかにも劇中人物の行動や展開に作為的・不自然・説明不足な点が多く、どこまで原作通りなのかわからないが、どうも映画化の段階で無理があったのではという気がした。  キャストとしては、何といっても伊藤歩さんが可憐で好きだ(高校時代は可愛い)。劇中では変な男にキスされずに済んでよかったが、犬に口をなめられるのはいいとはいえない。また三輪明日美嬢は今回個性を抑えて普通の友人役に徹している。秋定里穂さんはキャスト配列順では下の方だが、終盤になると重要人物グループの一角に位置づけられていたのが意外だった。「ウォーターボーイズ」(2001)では女子高生役だったが、今回は普通に大人の女性の顔を見せている。
[DVD(邦画)] 4点(2020-05-03 20:29:15)
184.  ゴジラ FINAL WARS 《ネタバレ》 
ゴジラ映画に個人的なこだわりはないので多少羽目を外していても気にならないが、世評の通りアクション場面が長すぎて何の映画かわからなくなる。これでは今回独自の趣向というより異物に半分乗っ取られたようなものである。 「宇宙怪獣ガメラ」(1980)よりマシだといえば確かにそうだが、向こうでゴジラ映画を揶揄するような場面があったのに対し、この映画でもカメを貶める場面を入れていたのは同レベルに落ちた印象がある。邦画ゴジラがこれで終わりにならないで本当によかった。 以下に個別事項を列記。 【場所】 怪獣に壊される世界的名所として、アジア・太平洋地域からシドニー・オペラハウスと「東方明珠電視塔」が加わっていたのは世界観の広がりを感じさせる。パリでもゴロザウルスに壊された凱旋門ではなくデファンス地区の新凱旋門が出ていた。 【女優】 ○水野久美さんは別格。 ○水野真紀・菊川怜姉妹の美脚を披露する場面が多い。なくてはならないものとも思わないが一応のサービスとして受け取った。 ○小美人(長澤まさみ・大塚ちひろ)の顔をよく見たかったが小さいのであまり見えない。そういう目的ならこの一つ前の「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」(2003)を見なければならないらしい。 ○「女を殴るの?」と言った女は顔つきからして中国人かと思っていたが普通に日本語だった(魚谷佳苗という女優)。 【怪獣】 ○キングシーサーが沖縄を破壊していたのは悲惨だ。本来は沖縄の守り神ではなかったのか。 ○カマキラスがハエのように速い。森の木々に隠れているのも虫っぽいが、串刺しにされて死んだなど所詮は虫だと思わせる。 ○エビラをフライにするというのはジョークとしてわかりやすいが、場所が「東海コンビナート」だったことからすれば、ここは本来「エビフリャー」のつもりだったが登場人物が名古屋出身でなかったのでそうは言わなかっただけと取れる。ちなみにWikipediaの「エビフリャー」の記事は充実している(2019年6月29日閲覧)。
[DVD(邦画)] 4点(2019-06-29 12:57:12)
185.  銀のエンゼル 《ネタバレ》 
公開当時は話題になる理由があったのだろうが今は昔である。ちなみに2018年1月にアイドルグループ「ももいろクローバーZ」を卒業した有安杏果という人が子役で出ていて、当時8歳くらいだろうが小賢しい児童の役をやっている(滑舌はよくない)。  北海道発の映画ということで、景観的には広々した平野部に斜里岳(1,547m)の山容が映えており、またJA系の製糖工場らしい白煙が特徴的に見える。冬の場面はそれほど壮絶に寒そうでもないが、積雪の状態からすると低温で湿度が低いように見えなくもない(要はサラサラした感じ)。家の造りが違うので寒いと思うことなどほとんどないと道民はいいたがるかも知れないが、そういうのを除けば基本的には単なる日本の一地方という印象で、コンビニ中心の映画ということもあって人々も一般の地方民に見える(変人はいる)。 物語的にも大して劇的なことは起こらないが、ただし突然の事故とか、外から来た人間が少々かき混ぜたことがきっかけになって変わるところは変わり(変わらないところは変わらず)、少し新しい状態に移行して終わった形らしい。主人公に生じた変化が、事故を利用した妻の企みだったとすれば夫としては忌々しく思わないかと言いたくなるが、結果は素直に受け入れるタイプの男だったようである。なお題名の意味はよくわからなかったが、5個なかなか揃わない状態で続いていくのが人生だと言いたいのか、あるいはただ待つのでなく主体的に選んでいけということなのか。コンビニダンサーの男が家出娘の挑発に乗らず、自らの意思を淡々と告げたのは少しいい場面だった。 そのように、見れば何がしか思うところもないではなかったが、基本的には長く感じる映画だった。北海道物とは相性が悪いのか。  なお別にコメディでもなく可笑しいところはほとんどないが、唯一「ホーマック」(北海道から関東まで展開するホームセンター)の駐車場で「ほんとあの子人見知りが激しくて」というのは少し笑った。この場面は斜里町ではなく少し離れた美幌町だったらしい。
[DVD(邦画)] 4点(2018-12-29 19:25:32)
186.  ノースポイント フレンズ<TVM> 《ネタバレ》 
北海道文化放送30周年のTVドラマとのことで、「ノースポイント」はシリーズ名、その中に「つばさ」(主演・前田亜季)、「フレンズ」(主演・小山田サユリ)、「ポートタウン」(主演・宮崎あおい)、「ファームサイドソング」(主演・橘実里)の4本が含まれている。放送は2003年1~3月とのことだが、この「フレンズ」は2002年3月の撮影で、雪はあるものの厳寒期は過ぎてかなり緩んできた状態に見える。  題名のフレンズとは高校時代に同学年だった女1人男2人のことで、設定としては23歳とのことである。高校卒業後も適当な感じで生きてきた連中が、高校教員の結婚パーティーに参加するため顔を合わせたのがきっかけで、特に女1人が今後の生き方を見直すことになったという話らしい。男2人の方はどうせ今後も変わらずいい加減なガキのままだろうが、しかしそれでも一緒にいたおかげで女1人に変化がもたらされたのがフレンズの有難味ということか。 大まかにいえばそういう話と思うが、しかし個人的には特に共感できるところがない。また全編のほとんどがパーティー会場に向かうロードムービーのようなものだが、特に徒歩に転じてからは道もなくなり、どういう意図でそこを歩いて野越え山越えしているのかわからないのはさすがに気になる。全般的に長いという印象もあり、あまり好きともいえないドラマだった。北海道物とは相性が悪いのか。  なおこのドラマで注目されるのは、当時満15歳の沢尻エリカが衝撃的に可愛い(顔が)ことである。撮影時期からすると「問題のない私たち」(2004)や「パッチギ!」(2005年公開)よりも前の状態で、この時点で中学校卒業時の3月だったはずだが、役どころとしては20代の男の彼女ということになっている。人物としては極度の自己中女だが(当時からこういう役か)、それでも一応フレンズ3人の背中を押す役目を果たしていたようで、その事情によって全体のちょうど半分程度のところで退場してしまっていた。 また主人公は役柄上それほど魅力的な女性にも見えないが、主演の小山田サユリという女優は、出演者インタビューなど見るともっとかわいい感じの人だったらしい。
[DVD(邦画)] 4点(2018-12-29 19:25:30)
187.  惨劇館 夢子 《ネタバレ》 
2004-02-23に作品登録されていながらレビュー数0だったので見た。御茶漬海苔というホラー漫画家の「惨劇館」をもとにした映画化らしい。 原作がどういうものかは知らないが、これを見る限りは中高生向け?のソフトな猟奇サスペンスのように見える。一応は21世紀らしく児童虐待とか援助交際とか、変質者が女子中学生を監禁して惨殺するとかいった刺激的な要素もなくはないが、何より主人公が純真そうな制服女子高生というところがいわゆるジュブナイル的な印象を出している。ホラーではあるのだろうが超自然的要素は主人公の予知夢だけで、基本的には頼りになる(実際はなっていない)探偵を相棒にしたミステリー調の展開である。 物語の骨格は意外にしっかりしているようだが、しかし結果的にはどうも褒めるまでには至らない。主人公が予知夢を頼りに人を救うことを決意しながらも、肝心の人物を救えなかったことを悔いての「ごめんね」とか、あるいは全ての原因になった人物の「もう終わりにしよう」など、理屈としてはわかるが軽すぎる。また終盤のスリリングなはずの部分がかったるいので見ていられないとかCGの甲虫が意味不明だとか、何のせいかわからないが画質が悪すぎるといった問題もあり、決して嫌いではないが不足な部分のかなり多い映画という印象だった。  キャストの関係では美波(名字なし)という人の初主演映画で、当時はまだ15歳くらいだったらしい。フランスとのハーフのため洋風の美少女で、外見的には可憐なところと大人っぽいところが交代する感じだが、人物設定としては無邪気で可愛らしい少女になっている。時機を失しないうちに同じ主演でシリーズ化でもできればよかったのだろうが、それなら例えばポスタービジュアル的にももっとこの人を可愛く見せればよかった気がする。 またその妹役が貫地谷しほりという人で、姉役の美波と実年齢が逆転しているのは変だが、この姉妹が自宅でいかにも今どきの女子中高生風のやり取りをしていたのは面白かった。今どきといってももう十何年も前だが。
[インターネット(邦画)] 4点(2018-12-25 22:36:20)
188.  限界戦線 《ネタバレ》 
邦題は中身と関係なく適当に付けてあるが、原題の“Последний бронепоезд”は「最後の装甲列車」という意味のようで、英題はその直訳らしい。ちなみにロシアとベラルーシの合作ということになっているが、場所がベラルーシというだけで、ベラルーシという国の主体性は特に感じられない。 本来は映画というよりTVドラマであって、オープニングなどいかにも連続ドラマ風にできている。IMDbによれば放送時には全4回で計124分、拡大版が6回で計215分で、映画版として上映されたのはTV4回版に相当するものらしい。TVドラマをつないだためか、戦闘場面のほかに若手・年増女子2人とのからみとか戦闘ともいえない殴り合いなど、各種の見どころを少しずつ出して連続させていく形に見える。しかし全部通して見ての高揚感とか満足感があるわけでもなく、いわば暇つぶしで延々とTV番組を見ている感じになっている。  物語としては1941年6月の独ソ戦開始から3週間経った7月中旬の出来事で、ドイツ軍が早々に占拠してしまった鉄道橋を、現地のソビエト軍が装甲列車に頼って取り返す話になっている。スターリンによる粛清で軍が弱体化していた時期であり、地位を追われて収容所にいた元軍人を主人公に据えることで、最後にソ連側が勝ってもソ連万歳には必ずしもつながらない話を作っている。 軍事に関しては詳しくないが、原題の装甲列車は文字通り装甲していて砲や機関銃も備えていて勇ましい感じに見える。またグライダー(滑空機)による空挺作戦が珍しく見えたり、急降下爆撃機がこういう風に降りてきたら怖いだろうと思うところもあった。特に個人的に印象深かったのは、砲撃で死んだ男の腹が裂けて腸がはみ出していた場面で、実戦なら陸海問わずこういうことはいくらもあっただろうが、映像化してみせたのは自分としては初めて見た。 ほかキャストに関して、若い看護師役はハンガリー生まれのロシア人で、NHKの「坂の上の雲」に出演して強い印象を残したマリーナ・アレクサンドロワという女優である。この人がなんと裸になるというのがこの映画の売りになっていた(少なくとも自分はそのつもりで見た)が、実際はほんの一瞬上半身を見せるだけの控え目な露出だった。別にそれで落胆して点数を落としたわけでもないが。
[DVD(字幕)] 4点(2018-06-04 21:25:55)
189.  富江BEGINNING 《ネタバレ》 
伊藤潤二原作のホラーマンガシリーズ「富江」の映画化第5作で、このすぐ後に公開された第6作と合わせて、第1作の脚本兼監督の人物が脚本兼監督をやっている。富江が岐阜県から転校してきたというのは第1作に合わせており、片目を隠した山本という人物も同じ役者がやっていて、同じ劇中世界としての連続性を出している。  内容に関しては、廃校で同窓会という現実味のなさ(それを真に受けて来る男のバカさ)はまあいいとして、主要部分を回想談で語る趣向は悪くない。最初はどこがBEGINNINGかと思ったが、回想で語られている話が実は原作最初のエピソードだったことが次第にわかり、山本・松原礼子・高木(担任)という名前も原作から取られていたのは意外に原作に忠実といえる。第1作と同じく原作の内容を過去のこととして語った上で、現在の物語をここから始めたという意味と思われる。 それ自体は悪くはないのだが、人間の本性を語るとか富江の起源論とか、本心かどうかは別として殺されたくない痛いのは嫌だと訴えるとかいろいろ違和感があるところが多い(恐らくプラナリアは痛いと思っていない)。またラストのオチが拍子抜けで、どうもこの監督は他人の身体を乗っ取る話を安易に使い過ぎのように思われる。 その他、いかにも低予算に見えるとか嫌悪を催す背景音楽とかはいいとしても、おふざけが過ぎるのは弁護しようがない。教室に富江が出現した際の担任の行動はまだしも笑ったが、無宿の渡世人のような連中はさすがに羽目を外し過ぎである。ただそのあとで「何百年も前から」富江が生き続けて来たという話を聞けば、実際に江戸時代の北関東あたりではこういうこともあったのだろうと逆に想像させる効果もなくはなかったが、しかし終盤の座頭市は明らかに悪乗りである。  なお褒める点として、今回の富江は個人的に好きなタイプではないが妖しい美貌を備えており、目元のほくろというより目そのものの迫力が印象的である。富士山の見える屋上の卓球台???で担任が襲われた場面を見ていると、これなら誰でもやられてしまいそうだとこのシリーズで初めて思った。
[DVD(邦画)] 4点(2017-11-26 21:58:18)
190.  劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト 《ネタバレ》 
10年以上前の仮面ライダーに今どきコメントをつけるのも何だが、とりあえず見たので書いておく。 TVシリーズは見ていなかったが映画版は完全に別物とのことで、仰々しいディストピア設定がよくわからないながらも黙って見ていたが、「人類の進化形」に乗り遅れた人間が2433人しか残っていないのなら共存などというまでもなく滅んでしまえばそれまでだと思うわけで、主人公その他の人々は一体何のために戦っているのかと空しくなるが、それでもなぜか一私企業が世界を支配している体制はどこかの段階で打破すべきだろうから(日本国政府はどうなったのか?埼玉県庁はまだあるのか?)、そのために主人公とヒロインはこれからも戦い続けるのだろう、と思っておく。そう思わなければラストをどう受け取ればいいのかわからない。 全体的には深刻すぎて陰気くさいところがあるが、一応の見どころとしては、さいたまスーパーアリーナの10000人エキストラというのがけっこう圧巻で、大勢がその気になってアクションに合わせた動きをしているのは笑った。またキャストとしてはヒロイン役がかなり可愛い人だったが、ほか黒川芽以という人が若い頃の姿で出ており、薄汚れた小娘の役だがちゃんとお化粧して可愛らしいところも見せている。劇場版だけ見た人間が面白がる要素は少なかったので主に女優の顔が印象に残る映画だった。
[DVD(邦画)] 4点(2017-08-19 20:54:29)
191.  ULTRAMAN 《ネタバレ》 
この映画を見て実感したのは「シン・ゴジラ」(2016)で、「自衛隊の弾を国民に向けることはできない」と総理大臣が言っていたのは現実問題として絶対的に正しいということである。 この映画では主人公が自衛隊員のため、当初は見る側としても劇中の自衛隊に好意的だった。しかし銃を持った連中が民間会社に押し入ったあたりで気分が反転し、以降は劇中自衛隊の全員が国民の敵に見えるようになる。バケモノを包囲して攻撃しようとした連中が皆殺しになるわけでもなく、ほとんど生き残ったように見えたのは甘いとさえ感じた。 その後も国民の「射殺許可」を求めてみたり、何か起これば銃を持った兵隊が戒厳令よろしく街に出て一般市民を威圧するのはいわゆる“暴力装置”の表現のようで、最後に子どもを助けたくらいで悪印象が挽回できるものではない。見る側としても騙されたような気がして怒りを覚える。 ちなみにこの映画が賞揚していたのは飛行機乗りであって自衛隊などではなく、自衛隊はあくまで主人公にとって大事なものを残す上で否定し去るべきものという扱いでネタにされただけである。こんな映画に平気で協力した防衛庁(当時)と陸海空自衛隊の気が知れない。  また劇中自衛隊との関連で憎むべきは「私の恋人だったのよ」などというおちゃらけた理由でバケモノを取り逃がして多数の犠牲者を出しておきながら終始偉そうな顔をしていた女であって、責任を感じて自決するでもなく自分がバケモノを退治すればそれで免罪されるとでも思ったのか。危険が迫る場面は複数あったがなぜか死なずに生き残るので死ね死ね死ね死ねと何回思ったことか。だいたい顔が変にすべすべして見えるのが気に食わない。 そういう理由で映画全体に否定的な感情が強まると、「星川航空」などという昭和特撮ファンに媚びたような趣向もかえって苛立たしくなる。監督と同年代だからといって何を出されても有り難くいただくというわけもなく、宣伝文句の「すべての世代に響く」など見ると人を馬鹿にしているのかと怒鳴りたくなる。  ちなみに主人公が子どもの頃、戦闘機が飛ぶのを見たのが動機でパイロットになったというエピソードには感動した。自分に同じ経験があるわけではないが、昭和40年代の日本で、大怪獣が出現した際にやられるとわかっていても(:見ている側では)勇敢に立ち向かっていったF-104J戦闘機に1点入れておく。あとの点数は劇中の家族思いのお父さんへ。
[DVD(邦画)] 4点(2017-08-11 23:45:11)
192.  トワイライトシンドローム デッドクルーズ 《ネタバレ》 
ゲームの映画化とのことで、同年公開の「デッドゴーランド」のいわば姉妹編である。低予算らしく安手の雰囲気で、同じ監督の「オトシモノ」(2006)が超豪華大作のように思われる。  この映画は客船に乗った若者が殺人ゲームに巻き込まれるという設定で、舞台は船内限定(撮影場所は陸上もある)だが、船外が見える場面も多いので閉塞感はない。ちなみに船は八丈島と東京の間を運航する東海汽船の「さるびあ丸」だそうである。 基本的にはホラーゲームを本物の人間でやったらどうなるかという前提で一貫しているが、この映画では特に「リセット」に着目して、殺される者の身になってみろ、ということを表現していたらしい。序盤はまだコミカルにも見える(失笑するところもある)が、やがて暴走してとりかえしがつかなくなるという展開で、最後には型どおりの悲劇的結末を迎えるが、全員生き残ることもできたはずだという思いを残す作りになっていた。細かい点としては、多層のプロムナードデッキを使ってゲームらしい移動を見せていたのはなかなかいい。また「お母さん」なるものの登場が唐突なのは笑った。 最後の場面は、登場人物とカメラの動きに加えて船自体の速さも感じられ、並航する船も見えていたりしてダイナミックな映像になっている。ここは状況に翻弄される登場人物の姿が強調されていたようでもあり、若干くどい(かなりしつこい)が印象的な場面になっていた。最初から全く期待しないで見たわけだが結果としては意外に悪くなく、安手にしても見どころがなくはない映画に思われる。  なお主要キャストの女優4人はそれぞれ好印象で(男は見ていない)、特に主演女優はきっちり存在感を出している。登場人物はそれぞれキャラ立ちしていたが、相互の関係性が「聲の形」(2016)と似たような感じで、こういうのは人類共通の基本パターンのようなものかとも思った。
[DVD(邦画)] 4点(2017-06-17 08:31:28)
193.  母べえ 《ネタバレ》 
最初から不快な人間像を次々見せつけられるのは辟易するが、全体としては単調に進行していき、防空頭巾で逃げまどう場面もないまま現代に至り、だからどうした、という感じで終わりそうなところ意外にも、最後の出来事が大きな違和感を残す作りになっている。 数十年後に長女は医師、次女は美術教員になって孫も何人かいたようで、それで何の不足があるかと思うわけだが、現時点でどれだけ満たされていても戦前戦中の恨みだけは絶対忘れない、ということを言いたいのか。仮に霊魂というものが存在するとした場合、死ぬ間際に強い感情を残すのは、いわゆる“成仏できない”ことにつながるように思われるが、人の安らかな死を妨げてまで言うことを言わせなければ気が済まないというところが、こういう世代の最後の執着なのかも知れない。 それにしても、それまでの経過を一応見せられた自分としては、夫が「思想」のせいで弾圧されたからといって「改心」までする必要はないのであって、単に社会的圧力に屈して隠していればいいだけのこととしか思われない(検事が言っていたのもそれ以上のものではない)。思ったことをそのまま言う自由、つまり表現の自由は家族の幸福にも優先することを表現したかったのであれば、その表現自体は自由だが自分としては共感しない。  登場人物としては、間抜けなところのある青年は東北(作家の藤沢周平と同郷らしい)、下卑た叔父は関西という形で、性格と出身地の対応関係をわかりやすく設定している。父親の出身地を広島にしたのは劇中の死者を一人増やす目的だったらしい。 そのうち叔父の発言はなかなか痛快である。「贅沢は素敵だ」というのは当時からあった茶化し方だろうが、“世の中理屈でなく金がものを言う”というのは、役に立たない大義とか主義主張とか信念とかに対抗しうる合理的発想であり、今日でも通用する世界共通の価値基準と思われる。ただ世界中がそれだけになるとさすがに弊害がある(戦争の原因にもなる)ので、これは今後の人類の課題ということかも知れない。 ほか個別の場面としては、近所の少年が「誰あのきれいなお姉さん」と言って逃げ去る直前の一瞬の表情には本当に笑わされた。また海水浴の場面で、水難救助のために主人公がいきなり海に入って泳ぎ始めたのは少し驚いた。もともと水泳が得意とのことで、この時点で××歳過ぎていたはずだがなお壮健ということらしい。
[DVD(邦画)] 4点(2017-05-01 19:57:30)
194.  ハウルの動く城 《ネタバレ》 
最初に見たのはTVだったが、その時は何が何だかわからず単純に面白くなかった。その後は見直す気にならなかったが故あって改めて見たところ、大人になれない若い男と老婆のような若い女が影響し合って最後は幸せな家庭を築いた話に見えた。 男の方は世間の風など関係なくお花畑に身を置いて「人殺しどもめ」と戦争を蔑んでいればいいと思っていたが、具体的に守りたい相手ができたとたんに何人殺しても構わないほど舞い上がってしまい、これはまずいと女の方が抑えにかかって安定状態に至ったように見える。女の方はもう人生終わったかのように思っていたが、私だけの王子様のようなのが突然現れて、駄目な男だけど本当は優しい人だから何とかしてあげたいと思ったり、私のことをずっと待っていてくれたと感激したりしてやっと年齢なりの女子になったということか。それでも基本的に落ち着いた主婦向きの人物なので、男が恋人に母親を求めるような都合のいい話になっていたようである。 劇中で戦争が起こったのは二人を高次の人格に導くための契機ということだろうが、物語を動かすために起こした戦争など「バカげた戦争」というのは当然であり、物語の終了と同時に戦争が終わったのも変ではない。あるいは実際に、王室付きの魔法使いが生涯最高の弟子を表舞台に引っ張り出すためにわざと起こした戦争ということだったのかも知れない。まともに取れば多数の人命が失われたのだろうが、そもそも観念的な戦争のようでどれだけ人が死んだかなど気にしなくていい感じだった。 以上のような感じで大まかな説明はできなくもないが、それで面白いかというと大して面白くはなく、映像面でも風景や事物などに既視感のあるものが多い。宮崎アニメはいわば国民的アニメであるから一度は見なければと昔は思っていたが、別に見なくても問題ないと初めて思ったのがこれだった。 なお端正な美形女子が年を取ると鷲鼻になるのはなぜか不明だが、これならシータが年を取るとドーラになるというのもわかる。
[DVD(邦画)] 4点(2017-01-23 23:42:08)(良:3票)
195.  レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー 《ネタバレ》 
基本的に説明不足な映画だが、ほか各種差別感情がまる出しのために無用なところで反発を生む恐れもある。とりあえず自分としてはこの映画で対アイスランド感情が悪化した。 特に欧米人によって戯画化された日本人像をそのままネタにしているのが気に障り、自虐趣味の日本人なら薄ら笑いで済ませるだろうと思われたようなのが腹立たしい。かつて喜々としてキーセン観光に行っていた世代などは放っておくとしても、カミカゼアタックなど現代日本人が普通に口にする言葉ではなく、「トラトラトラ」は神風特別攻撃隊と場面が全く違うので一緒にするなと言いたくなる。また日本人は割箸?を凶器に使わない。  それはそれとして映画の基本構造としては、アイスランド人をあえて悪役にして、クジラを愛する人々(主にイギリス人?)を大殺戮して溜飲を下げる形だったと思われる。正義の味方に見えた沿岸警備隊もさりげなく殺戮側に加担しており、かつてイギリスとの間で「タラ戦争」を戦った連中の後継者であることを自ら示していた。救命ボートで逃げた2人も大型の海生哺乳類に追い打ちされ(シャチのようなものも向こうではクジラ扱いということでいいか)、最後に1人だけ残ったのはせめてものお情けか、あるいはこの惨劇を後世に語り継ぐべき証人ということか。 以上だけならわかりやすかっただろうが、そこに日本人を絡めたために素直に見られなくなっており、何かダシに使われただけではないかという印象もある。また外人の若手女優が2人出ていたのも区別しにくいだけで意味不明になっている。ちなみにこのフィンランド人女優の裸を見たのは2回目だが、だから何だというわけでもない。 かろうじて自分として喜ばしく思ったのは、外人男に比べて極端に小柄で幼く見えながらも対日ヘイトを受け流して賢く他者を出し抜いた日本人が、最後に一人だけかわいい顔で笑っていたことだった。「何やってんのよバカ」という台詞が心地いい。
[DVD(字幕)] 4点(2016-12-17 10:51:16)
196.  アナザヘヴン 《ネタバレ》 
原作は読んでいない。TV版もあったようだが映画とは別物だそうである。 話の中身を簡単にいうと、人の心には善悪が並存していて、そのうち悪の部分だけを煮詰めた敵に善の部分が勝ったというようなことらしい。題名の説明らしきものも出ていたが、何にせよ普通の成人の目からすればごく普通の話で特に新たな発見はない。 また全般的に理屈はわかるが感情が伴わない場面が目立ち、特に女医を追い出した後の主人公の感傷などは唐突で、もっと事前の仕込みをしておかなければ共感も何もない。また終盤の「誘ってくれてありがとう」というのはかなり切ない台詞だったはずだが、言われて初めて当該場面に遡ってそういう意味だったのかと考えるようなもので、何かと後付けで納得を迫られる感じだった。そのように物語の構成要素が不足する一方、犯罪マニアの存在などこの映画に必要だったのか不明であり、映画化の際に整理できないまま半端になったような印象もある。 そのほか腹立たしいのは男どもが粗暴なことで、こういう頭の悪い連中は早く死ねばいいだろうと思いながら最後まで死ななかったのは後味が悪かった。善悪が分化する以前のケモノのようなのが人の良心を語るというのは片腹痛い。  そういうことで特に褒められない映画だが、しかし自分にとっては女優の存在が欠点を補っている面があり、特に主人公に拒絶された後の松雪さんの表情などは見ていて切ない。 また個人的には市川実和子という女優が結構好きで、この人の演じる天真爛漫な馴れ馴れしさとか精一杯の健気さなどを見ていると、映画自体の説明不足も何も関係なく全部わかったからもう文句いいませんと言いたくなる。「勝手に運命とか思い込んじゃった」というような台詞も愛しく思われて、かえって主人公の男が馬鹿なのに怒りを感じる。そのことからも、やはり男は全員死んでしまえばすっきり終わっただろうという気がした。それでは続編ができないので困るのだろうが。
[DVD(邦画)] 4点(2016-10-18 19:41:26)
197.  4月の涙 《ネタバレ》 
1918年のフィンランド内戦の時期を扱っているが、戦争映画というより人間ドラマに重点があり、映像美とともに登場人物の心理をじっくり見せようとする映画になっている。 しかし個人的には序盤の白軍宿舎の場面で、トイヴォ・クーラのピアノ曲 op.3b-2 “Häämarssi” を適当にアレンジして弾いていたのが悪趣味で非常に腹立たしく、これでいきなりこの映画自体の印象が悪化した。だからといって見るのをやめるわけでもなく最後までまともに見たが、結局は主要人物の誰にも共感できないままで終わってしまった。特に女性兵士の人格形成の背景が一切わからず、主人公男女の心情を推しはかる上で支障が生じているのは困る。ちなみにイヌのような生物(恐らく雌の狼)が一瞬映ったのは原作との関係かも知れないが意味不明である。 この映画が本当に何をいいたかったかは別として個人的に感じたのは、女に手を出さなければ同性愛者という決めつけも、民族主義か共産主義かの択一を迫るのも同じようなものだということで、要は個人の独自性なり主体性といったことが理解不能な人々への皮肉である。そういうことならわからなくはないが、それだけで賞賛する気にもならない。 なお映像面では、フィンランド南部(西ウーシマーとのこと)の岩ばかりの海岸風景や林地景観が印象的だった。まだ冬の残り香をとどめたようでいながら春の陽射しも見えて穏やかだが、人がやっていることの方は悲惨である。  ほか余談として、この映画では前記のピアノ曲以外にも各種の劇中曲が使われているのが特徴的だった。サティとベートーベンは日本人にもわかるとして、登場人物が歌う現地語の歌としては次のようなものがある。 【女性兵士】 ①”Punakaartilaisten marssi”(赤衛軍の行進曲) 【判事】 ②”Laps’ Suomen”(フィンランドの子) ③”Jääkärimarssi”(狙撃兵行進曲、シベリウスop.91a) 【少年】 ④”Varšavjanka”(「ワルシャワ労働歌」のフィンランド語替え歌) 【孤児院】 ⑤”Kotimaani ompi Suomi”(わが故郷はフィンランド) このうち①④は明らかに赤軍側、③はいわば白軍側の歌だが、⑤は劇中での扱い通り子どもらも素直な気持ちで歌える歌であり、従って最後に出たこの⑤が国民の融和を象徴していると思われる。しかし②についてはフィンランド国歌の作曲者の曲であり、児童合唱団が歌うのを聞いたこともあるのでそれほど極右的でも軍国主義的でもないと思うのだが、これを判事に歌わせていたのはどういう含意があったのかわからず、この辺は異国人としての引け目を感じる。 ちなみにこの映画は1918年4月の話だが、前記のトイヴォ・クーラ(作曲家)はその翌月に、白軍の戦勝祝賀会場で喧嘩相手に撃たれて死んだとのことである。この人物も熱烈な民族主義者だったらしい。
[DVD(字幕)] 4点(2016-08-13 22:28:26)
198.  親指さがし 《ネタバレ》 
話としてはわかるが何か物足りない。中盤過ぎに、それらしい顔の初老の男がそれらしいことを語って、その程度の話で終わりなのかと思いながらそのままラストまで続いて本当に終わってしまったので拍子抜けした(同じ監督のこれ以前の映画でもそういう感じのものがあった)。またドラマの本筋と思われる部分に関しても、亡き少女を思う切ない気持はわかるものの、これだけ人を死なせておいて最後のその情けないツラは何だと突き放したくなるので全く共感できるところがない。 ただし、その初老の男が言っていたこと自体は一定の説得力がある(顔も説得力がある)。“本当に怖いのは人間”とかいう話は最近よくあるが、単に変質者が怖いというだけのことでなく、呪いや心霊現象やそのほか合理的に説明できないが存在するかのように扱われている全てのことが、実は人間の心の闇が生み出しているのだと取れなくもないということである。呪いの映画と思わせておいて実は呪いの映画だったというのも普通なので、この程度にドライなのはかえって新鮮味を感じなくもない。 なお自分としては伊藤歩嬢を見るのがそもそもの目的であり、楚々として線が細く声を張り上げたつもりでも弱々しくて響かないというような人物像は大変結構だったが、なぜか顔を大写しにする場面が多すぎる気がする。それをいえば男連中の顔などは汚すぎて見たくもないが。
[DVD(邦画)] 4点(2016-01-26 00:17:03)
199.  呪怨 ザ・グラッジ3<OV> 《ネタバレ》 
日本ではオリジナルビデオの扱いになっているが、アメリカはじめ海外では劇場公開したところが多いらしい。公開年としては邦画の「白い老女」「黒い少女」と同期する形になっていたようである。 今回は監督をはじめ基本的にアメリカ人の作った映画になっているが、それだけでなく撮影地がブルガリアというのはわけがわからない。エンドクレジットを見るとけっこう多くのスタッフが地元民らしい名前であり(-ovとか-ovaなど)、これは主に人件費の問題ということか。出演者に関しても、序盤で犠牲になった台詞のない少女(Mihaela Nankova)は現地の人だったかも知れない。  ストーリーとしては前作のあとに直接つながる形になっており、ここまで来ると邦画版から完全に枝分かれした印象がある。メイキングで監督が「解決策があるというのはアメリカ人らしい発想だ」と言っていたのはいいとして、それなら東京から来た女がちゃんと片をつけてもらいたかったが、しかし現地に身代わりを残して大元は別のところに移動していく?というのは前回のパターンを踏襲したような感じもある。ここでさらなる続編の可能性も留保していたのかも知れないが、それならせっかくなので初めから地元を舞台にしたブルガリア映画でも作れば面白かっただろう(最低限おれは見る)。それでこそ前作でいうパンデミックのイメージに近い形になるだろうが、毎回日本人を呼ばなければ映画が成り立たないらしいのが阻害要因か。 ちなみにホラーとしてはドッキリ+スプラッターが基本のようで深みがなく、白塗りの女と子どもを見せて外国人はそんなに怖がるものかどうか不明である。  以上のようなことで、いまさら特に感心するようなものでもないが、ただ今回のヒロインは個人的趣味としてもチャーミングに見え(彼氏は邪魔)、またその妹も愛嬌があって可愛らしい。これに兄を加えた感じのいい家族が、呪いのせいで壊れていくのは少し心痛むものがあったといえなくはない。
[DVD(邦画)] 4点(2015-12-12 13:55:29)
200.  日本以外全部沈没 《ネタバレ》 
原作の短編を大拡張した形だが、それにしてもあまりに間延びした印象がある。ギャグも全般的に面白くないが、一か所だけ爆笑したのは北の独裁者の「今ごろきじゅいたか」だった。諸国民の融和を説く映画だとすればここで笑うのは不謹慎だろうが、逆にいえばそんな高尚な意図はないだろうということである。 劇中では日本人の心が狭いという指摘もあったが、可住地面積が狭ければ起こることはどこの国も同じであって、国民国家が存続したままならこの映画のようになり、無政府状態なら殺し合いになるだろう。日本人夫妻が変に仲睦まじいのに比べ、主人公と外人妻の関係などは永遠に分かり合えないことの象徴のようだった。世界平和が到来したのが最後の一瞬だけというのも皮肉な話であり、結果としてなかなか心に残る物語ではあった。  なお劇中のTVに出ていた賽銭泥棒の「マーヴィン・ウェッブ」は、「ウルトラセブン」第14~15話の諜報員の役名「マービン・ウェッブ」から、もう一人の「ハロルド・コーウェイ」は戦後の東宝特撮映画によく出ていた外人俳優「ハロルド・コンウェイ」から採っており、神社のあった「北川町」も「ウルトラセブン」第8話の「狙われた街」の場所である。また主人公の自宅の壁にかかっていた絵は、「シルバー仮面」第9話のドミノ星人のデザイン画(池谷仙克氏による)である。一般の観客は無視して構わないような小細工だが、制作側としては観客に気づいてもらいたくて出したのだろうから一応付き合ってやることにした。 それから完全にどうでもいいことだが、劇中の首相は映画公開当時の首相よりも東日本大震災当時の首相に似ている。
[DVD(邦画)] 4点(2015-06-29 23:28:38)
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