2241. 泣蟲小僧
泣き虫小僧をとりまく、ほのぼのとした家庭劇。 内容は平和そのもので、後年の男女のもつれや女の情念を描くことを得意とした豊田四郎からはちょっと想像できない内容。 やはり、豊田四郎には大人の女をとことん描いてもらいたい。 [ビデオ(邦画)] 3点(2008-12-08 19:39:53) |
2242. 鉄路の白薔薇
サイレントで200分近い尺の長さ。 それも、テンポも悪く、内容も決して濃いとは言えない。 最後まで観るのに、かなりの辛抱を要求されたし、体力も使った。 こういう作品を観ると、いかにフリッツ・ラングやD・W・グリフィスが偉大であるかを感じる。 ラングの神秘的なまでの個性、グリフィスの雄大な語り。 それらと本作を比べると、レベルにかなりの差があるのではなかろうか。 本作について、「フランス映画史上、最高のサイレント映画」という批評をどこかで読んだことがあるが、この批評がもし正しいとすると、フランスのサイレント作品はレベルが低い、と解釈せざるを得ない。 [ビデオ(字幕)] 3点(2008-12-07 22:18:46) |
2243. 歌行燈(1943)
《ネタバレ》 神保町シアター、山田五十鈴特集にて鑑賞。 念願かなって、やっと観ることができた作品。 しかし退屈だった。 上映中、天井を見上げてしまうくらい退屈だった。 芸道モノ、山田五十鈴のねぇちゃん、下膨れ章太郎、、と個人的に苦手な要素がてんこ盛り! 都合よすぎる展開と、お約束のようなハッピーエンド。 成瀬作品の中では、最もつまらなかった作品となってしまった。 [映画館(邦画)] 3点(2008-12-06 22:24:20) |
2244. オルフェ
私にはかなり辛い作品であった。 リアリティどころか、ファンタジックにぶっ飛んだ作品。 これについていけるか否かで、極端に評価が別れるであろう内容。 私には苦笑しっぱなしの、何か時間を失ったかのような錯覚に陥るほどに、入り込めない作品だった。 [ビデオ(字幕)] 2点(2008-12-05 22:11:30) |
2245. 執炎
前半はまあ普通だったが、後半がとにかく間延びしていた。 伊丹十三(一三)も、役者として魅力があるかといえば疑問が残る。 芦川いづみの出番が少なかったのもマイナスポイント! [映画館(邦画)] 4点(2008-12-03 20:03:00) |
2246. ラスト、コーション
《ネタバレ》 アン・リーの職人技炸裂で、完成度は高い。 問題のセックスシーンも話題性だけでなく、内容も伴い、しかもストーリー上、必要な布石となっている。 凄い作品であり、又、力作でもあるのだが、生理的にどこか受け付けない部分がある。 それはやはり、露骨すぎるセックス描写だろうか。 女性がこの映画を観た時、男とは全く違う感じ方をするのではなかろうか。 少なくとも、男性の私から観ると、トニー・レオンの濡れ場は生理的に気分が悪くなるし、胸騒ぎがする。 それと、観終えた後、非常に疲れた。 すがすがしい気分とは程遠い、言いようの無い精神的ダメージを負った気がするのである。 [DVD(字幕)] 7点(2008-12-02 22:57:06) |
2247. お遊さま
うーん、溝口作品としては物足りない内容。 後半の怒濤の盛り上がりもないし。 田中絹代が主演なのも、個人的に好みでない。 映像は素晴らしく、溝口作品の王道を往く雰囲気は出ていただけに残念。 [DVD(邦画)] 5点(2008-12-01 23:30:14) |
2248. マイ・ブルーベリー・ナイツ
ずっと彼の映像を支えてきたカメラマン、クリストファー・ドイルを切り捨てて、アメリカ人を起用して臨んだ野心作。 しかし、ドイルが抜けた穴は大きすぎて、とてもじゃないが、質を維持できていない。 ドイルちゃんがスネて戻ってこないと、カーウァイちゃん大変なことになるあるヨ!! ドイルなしのカーウァイは、色の落ちたブルーベリーのようだ。 ところで、王さん、この上にウィリアム・チャンまで捨てないだろうな? なんか王さんならやりそうで怖い。 [DVD(字幕)] 5点(2008-12-01 00:04:32) |
2249. 流れる
オープニングにドーン!と登場する、田中絹代・山田五十鈴・高峰秀子の文字。 これは圧巻! 三人並びで名前がデカデカと出た時の迫力よ! 文字だけでこんなに迫力を感じるとは、いやはや、凄い三人衆だ。 邦画をそれなりに観てきた人なら、間違いなくこれだけで痺れてしまうに違いない。 しかし、内容の方はどうも面白くない。 淡々と進みすぎる。 成瀬作品にしては、凡作じゃなかろうか。 でも、各人の女優の持ち味がうまく出ていた気がする。 さすがは成瀬監督だ。 互いに存在感を殺し合うことなく、それぞれの登場人物が力を発揮していたのが見事だ。 それにしても、杉村春子の奮闘ぶりには、敢闘賞を与えたいくらいである。 上の大物3人衆を向こうに回しても、ひけをとらないどころか、食っていたようにさえ感じた。 [DVD(邦画)] 6点(2008-11-30 20:13:58) |
2250. 欲望のあいまいな対象
観ているこちらも翻弄されるほどの内容。 老人が10代の娘に性欲を刺激され、侮辱を受けながらも必死に追いかける様は、男にとっては目を覆いたくなるような辛辣な内容だ。 随所に見られる刺激的で突飛な出来事は、飽きさせない有効なスパイスとなっている。 遺作らしいが、最後にこんな傑作を作ったブニュエルは凄い人物と感心させられた。 男の偏執的な性愛を描かせたら、ブニュエルの右に出る者はいないだろう。 遺作にして、私が観たブニュエル作品の中で最高に面白かった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-11-29 22:12:53) |
2251. 殺し(1962)
これはイタリア映画ならではの魅力が散見される逸品。 『羅生門』さながらに、あらゆる登場人物の異なる視点から、一つの事件を描き出していく技法は、なかなか面白い。 パゾリーニの原案・脚本ということで、パゾリーニ風味もどこかに感じられる。 パゾリーニの初期作品によく出てきた“ゴロつき”がゴロゴロと沢山登場。 彼らを巻き込む事件。 そこに絡む娼婦や少年。 これらの様子が、時間軸を交錯させながら、サスペンス仕立てに観る者を楽しませてくれる。 一見すると分かりにくい作品ではある。 しかし、何度も観たくなるような、クセになる雰囲気を醸し出している作品だ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-11-29 15:39:07) |
2252. 自由の幻想
大好きなモニカ・ヴィッティを目当てで鑑賞。 彼女のキャリアの中でも、最晩年の作品である。 しかーし! 最初の数分しかデテコナーイ こりゃ、ひどい! しかも、作品自体がつまらない。 いや、つまらないというより、ワケがわからない。 フランス映画特有のワケわからなさだけが強調されたような作品。 不条理劇と言えば聞こえはいいが、単に締まりのない散文的な内容なのには閉口した。 [ビデオ(字幕)] 2点(2008-11-28 22:31:33) |
2253. 犬、走る DOG RACE
大杉漣が古い家屋を屋根づたいに逃げる逃げる。 これは痛快だった。 歌舞伎町の周囲には、ああいった古い家屋が残っており、それらを上手に活かした逃走劇。 大杉漣が体を張って、逃げ回る。 ありそうでいて、ちょっとない危険きわまりないアクション。 しかもヤケクソに逃げる。 謝りながら逃げるかと思いきや、ふり返って物を投げる。 コミカルでいてスピーディなアクション、そして歌舞伎町界隈の汚らしい家屋を上手に活かしたロケーション。 なかなか良いのでは? だけど、それ意外はどうも物足りない。 『月はどっちに出ている』で素晴らしい演技をみせた岸谷五朗も、本作ではどうも空回りしていた。 その他のヤクザ陣も、いいキャストを揃えてはいるのだが、迫力と雰囲気づくりに物足りなさが残る。 監督である崔洋一が傑作『月はどっちに出ている』で見事に演出したあの作品の魅力はどこに・・・ 理由は定かでないが、本作ではその魅力を感じ取ることができなかった。 それが何とも残念である。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-11-25 23:23:03) |
2254. 櫛の火
うーん、何の特徴もない平坦な作品で面白味は感じられず。 収穫は、草刈正雄の若かりし頃を観れたことくらいかな・・・ [ビデオ(邦画)] 1点(2008-11-25 20:45:33) |
2255. 盲獣
船越英二が“キチガイめくら”に成りきっているのがまず素晴らしい。 触覚だけが異常に発達した船越英二は、理想の体と肌を持つ女性を見つけ出し、自室のアトリエに監禁することに成功し、日夜からだを触りまくる。 そしてついにはその女を犯してしまう。 なんという偏執的でエロティックな設定なんだろう。 やっぱり、こういう設定を考え出した江戸川乱歩という人は偉大だ。 偉大すぎる。 しかし、その乱歩が描き出す世界は極めて小説的であり、それを映像化することは困難である。 本作がその困難さを乗り越えたかといえば、やや疑問。 やはり、乱歩が創りだした倒錯の世界は、小説の中だからこそ生きるのではなかろうか。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-11-25 01:28:51)(良:1票) |
2256. 鏡の中の女
《ネタバレ》 うーん、ラスト3分がなかったら、評価は最低になったかもしれない。 それだけラストだけが輝いていた。 ・・・老夫婦がいる。 夫は今まさに息を引き取らんとしている。 それを見守る妻。 目の前に横たわっている最愛の夫が、あともう少しで亡くなるであろうことは分かっている。 二人の老夫婦は、死別を目前にしても、決して目をそらすことなく、互いにみつめあう。 そこには悲壮感というより、安らかな空気が漂っている。 互いに重ねてきた年月。 その老夫婦は、互いを見つめあいながら、それらを思い出しているに違いない。 悲しいけど、穏やかなひととき。 ・・・と、まあ、こういったシーンがラストにくる。 一言では到底言い表すことのできない奥深いシーンである。 このシーンが非常に印象的で心打たれたので、なんとか満足はできたものの、2時間のうちの大半は退屈で息苦しくなる内容だった。 なんといっても閉塞感がひどい。 この閉塞感はベルイマンの得意とするところであり、一つの特徴とも言えるが、私は苦手である。 [ビデオ(字幕)] 4点(2008-11-24 23:00:45) |
2257. 受取人不明
1970年代の韓国。 農村を舞台にした異色群像劇。 映像と音楽はまずまず印象的。 各登場人物もよく練られているし、個性的である。 だけど、なんだろう、どこかしっくりこない。 これは韓国映画の雰囲気に私が不慣れなせいだろうか? それとも、韓国独特の社会的・歴史的背景が見え隠れするからだろうか? 理由は自分でも判然としないが、演出面において良くも悪くもアクが強く出ているからだと思われる。 脚本は非常に良く練られている。 3人の主要な登場人物、その3人に関わる脇役たち。 それらの人物をぬかりなく描ききっているのが見事だ。 ただし、どうも暴力描写や性的描写、そして残酷描写が鼻につく。 わざとらしく詰め込んだ感じ。 つまりは一貫性が感じられない。 この、あざとさが最後まで好きになれなかった。 [DVD(字幕)] 6点(2008-11-18 23:07:42) |
2258. 世界の終わりという名の雑貨店
まあ一言で言えば「駄作」でしょう。 いい線つこうとして、センスが足りず、失敗した感じ。 せめて映像だけでも見るべきものがあれば良いが、それもなし。 かといって、幻想的な世界を描ききることなく、現実世界と行ったりきたり。 そんな居所のない不安定な心情を描きたかったのだろうが、単に中途半端で終わっている。 ただし、あるものに執着している変態的エロス目的の方は必見?! 直接的な性描写は全くないが、ある意味それよりエロス漂う変態的な作品だ。 っていうか、それだけしか見所がないような・・・ [ビデオ(邦画)] 5点(2008-11-17 23:08:43) |
2259. トリコロール/青の愛
ブルーを基調にした映像は確かに美しいが、息をのむほどに美しいかと言えばそうでもない。 しかも、シーンの切れ目で画面が暗転し、大げさな音楽が流れるあの演出も、どうも気に食わない。 色や音楽を過剰に強調した本作だが、それが評価されたからこそのベネチア金獅子賞だと思われるが、私にはその良さがどうも分からなかった。 [DVD(字幕)] 5点(2008-11-16 23:44:49) |
2260. 少年(1969)
野村芳太郎監督の『鬼畜』にも似たテイストを持った作品。 際立って面白いという作品ではないのだが、かといって退屈でもない。 車にわざと当たって金を稼ぐ、いわゆる「あたり屋」稼業を家族ぐるみで行う一家の、行く末を描いた作品。 少年がかなりの熱演をしていたのが印象的。 それと渡辺文雄と渡辺正行は、名前も顔も似ているような気がした。 奥さん役の小山明子の脚が綺麗だったが、メイクが濃すぎて怖かった。 もう少し話の終わらせ方にひねりがきいていたら、インパクトを残す傑作となったかも。 [映画館(邦画)] 6点(2008-11-16 19:07:45)(良:1票) |