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とらやさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2102
性別 男性
自己紹介 善人が苦労が報われて幸せになるハッピーエンドの映画、
悪人が出てこないゆる~い世界観の映画、
笑いあり、涙ありの人情喜劇が好きです。

2008年11月19日の初投稿から、早いもので10周年を迎えました。
この間、みんシネのおかげで出会ったいい映画もいっぱいありました。
管理人様、レビュワーの皆様、いつもお世話になっております。
これからもよろしくお願いいたします。
2018.11.19

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261.  奇跡の2000マイル
共に今年公開された「私に会うまでの1600キロ」と本作。ヒロインを演じる女優が体を張った熱演を見せ、 1人の女性がひたすら徒歩で行くという、過酷な旅を成し遂げた実話に基づくロードムービーということで共通点を感じる作品。 顔も肌も埃や垢で汚れ、髪もボサボサに乱れ服も擦り切れ、きっと実際の旅もこんな感じだったのかと思わせる。 ミア・ワシコウスカの静かなる熱演が印象に残る。 「私に会うまでの~」はトレッキングのコースとなっており、時折町を通りかかることもある。人との出会いも多く、 雪原があったり山岳地帯や森林地帯を通過したりと、旅のロケーションも頻繁に切り替わる。 一方の本作は、どこまで行っても何も無い砂漠の荒野が果てしなく広がり続けるので、ロードムービーの風景としては単調ではあります。 1人の時間が多く台詞も少なめ、4頭のラクダと1匹の愛犬と共に旅する風景をとらえ続ける。 時折彼女の過去がフラッシュバックされますが、彼女の心境に関しては読みづらい面が多かったです。 また、野生のラクダやカンガルーを撃ち殺すといったシーンも登場しますが、 こういう未開の地で生き延びるということは、きっとこういうことなのでしょう。 旅の風景の大半が荒涼とした風景の連続だったこともあり、ゴールの海の青の美しさと爽快感は格別でした。
[DVD(字幕)] 6点(2015-12-02 19:18:26)
262.  ザ・コール [緊急通報指令室]
誘拐された被害者少女と911(日本の110番に相当するものでしょうか)のオペレーターの女性を繋ぐのは1本の電話のみ。 サスペンスのスピード感、見る者に与える緊迫感、焦燥感。 1本の電話で繋がる2人の女性が限定された手段の中、知恵と勇気を振り絞り凶悪犯と戦う。 脱出のチャンスと命の危機が背中合わせ、表裏一体となった 善意で声をかけた男やガソリンスタンドといったイレギュラーな出来事の挿入も見事。 ついこの前まで名子役だったアビゲイル・ブレスリン。すっかり大人になりました。 こういう本格的なサスペンスの彼女を初めて見ましたが、 彼女の出番の大半はクルマのトランクの中というかなり演技が限定された空間の中にあって大健闘でした。 展開が変わる後半まではサスペンスとして一級品の出来だったと思います。 それだけにB級サイコサスペンスのようになってしまった終盤が残念としか言いようがありません。 警察官として、犯人とのあの決着のつけ方にも疑問が残ります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-11-30 20:59:13)
263.  はじまりのうた 《ネタバレ》 
ジョン・カーニー。この名前を見るのは「ONCE ダブリンの街角で」以来久しぶりですが、 本作も「ONCE~」と同じく、都会の片隅で少し淋しさを抱えた男女が出会う。その2人に共通するのは音楽。 その時々の登場人物の心を表すかのような作中で歌われるその歌詞も、 音楽が人の心を動かし人を結び付けていく様も、飾り気の無い素朴な描写がいい。 冒頭、1人の女性がバーでギター1本で弾き語っている。この歌詞がまたいい。 それに耳を傾ける、1人の音楽プロデューサー。 今は落ちぶれてしまっているが、まだ粗削りなその弾き語りに、彼の脳内であっという間に他の楽器が加わりその曲を肉付けしていく。 弾き語りの歌詞の素晴らしさと共に、この男の音楽を愛する気持ちとその才能が見事に伝わってくる。 ニューヨークの街角でアルバムを録音していく。キーラ・ナイトレイの歌もその表情も素晴らしい。 そのハイライトがビートルズの「レット・イット・ビー」のルーフトップ・コンサートを思わせるビルの屋上での録音風景。 そこに離れて暮らす、マーク・ラファロ演じるプロデューサーの娘のギターが加わる。 キーラの魅力を随所に見ることが出来る作品ですが、 才能はあるけど生き様は少々不器用、人間臭さのあるプロデューサーを演じたマーク・ラファロの好演がこの作品を支えていると思います。 ジョン・カーニーの作品を見るのは「ONCE~」以来2度目ですが、もっともっと映画を撮って欲しいと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2015-11-08 15:26:18)(良:1票)
264.  マジック・イン・ムーンライト
お年をめされても確実に毎年新作を撮り続けてくれるアレン。ファンとしては嬉しい限りです。 前作では久々にアメリカに戻って笑いの要素を抑えたアレン節を見せてくれましたが、本作では再びヨーロッパにとんぼ返り。 南仏を舞台にアレンらしい音楽と美しい作品の色で1920年代から30年代の人間模様、恋愛模様をコミカルにノスタルジックに描いた、 これも彼が得意とするパターンの手堅い1本です。このパターンのアレン映画に漂う雰囲気は相変わらずロマンティックでいいですね。 もう50代も半ばになるコリン・ファースとまだ20代のエマ・ストーンのロマンス。 年の差がそれほど気にならない。コリンはまだまだラブコメがいけますね。 彼が演じるのはガチガチの合理主義者にして理屈っぽいインテリの皮肉屋。こういうキャラが登場するアレン映画はやはり楽しい。 コリンの持ち味がよく出ている、少々堅めにコミカルに演じた霊能力者のインチキを暴こうとするこの男、 阿部寛が「トリック」で演じた上田次郎を思い出してしまいました。 人生、時には幻想も必要。どんな合理主義者にもインテリにも、時にどうにもならないのが人の恋する気持ち。 アレンがもう少し若ければ、自ら演じて作品の中でエマと恋に落ちたかったことでしょう。 エマ・ストーンの魅力も存分に引き出された作品です。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-11-07 17:34:59)(良:2票)
265.  レイルウェイ 運命の旅路
第2次世界大戦が終わり、時は流れても戦争を経験した人々から戦争の記憶や心の痛みが消え去ることは無い。 経験した人、その人の傍にいた人にしか分からないであろう苦しみを描き出した、実話に基づく人間ドラマ。 特に戦後長い時を経てローマクスと永瀬が再会する終盤は見応え十分です。 それだけに、もう少し長くなってもよかったので ラストで赦し合うに至る2人の再会後のドラマにも時間をとって見せてほしかった思いも残ります。 また、これは仕方が無かったのかもしれませんが、 日本人としては戦後もかの地にとどまらせた永瀬の心の内をもう少し描いてほしかった気もします。 それでも、重い内容でしたがいい映画を見たという思いです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-10-27 23:20:37)
266.  パレードへようこそ 《ネタバレ》 
80年代のイギリス。サッチャー政権下、炭鉱ストライキと炭鉱町の人々の人間ドラマ。 「ブラス!」などイギリス映画でよく見られるテーマですが、イギリス映画らしさとその誇りが随所に垣間見える作品です。 本作は実話に基づく、ウェールズの田舎町の炭鉱労働者と、 それを支援しようと立ち上がった同性愛者の活動家達の共闘の物語。 重くなりがちなテーマですが、同性愛者の若者達が作品の中心にいることもあって、いい意味で明るさや躍動感がある。 ビル・ナイ、イメルダ・スタウントンらイギリスの名優達が演じたウェールズの炭鉱町の名も無き庶民達との心の交流の軌跡に心が温まる。 80年代、第2次ブリティッシュ・インベイジョンの時代でイギリスのミュージックシーンにも勢いがあった頃の挿入曲が作品に躍動感をもたらす。 「皆さんがくれたのはお金じゃない。友情だ。」とゲイバーでスピーチする炭鉱の組合の代表者。 まさにこの精神がこの実話を生み出したんだろうなと思う。 炭鉱夫の男達と同性愛者だけでなく、炭鉱町の妻達をはじめとする女性達の心情もうまく挿入されています。 実際に行われたというラストの労働者と同性愛者達のパレード。掲げられた数々の旗が誇らしげで感動的です。 まだまだ同性愛者たちが市民権を得る前の時代のお話ですが、 イギリスで彼らが市民権を得る第一歩になったのが、今度は炭鉱の労働組合の側から差し伸べられた連帯であったという。 人のつながり、確かな心のつながりを感じる実話に基づく人間ドラマでした。
[DVD(字幕)] 8点(2015-10-25 13:50:07)(良:1票)
267.  マイ・インターン
ナンシー・マイヤーズらしい良質のハートウォーミング・コメディ。笑いドコロも十分です。 この人の映画にはよく子どもたちが登場します。 本作のアン・ハサウェイ演じる主人公は1人でアパレルのネット通販の会社を興し、 あっという間に大きな会社に成長させた仕事に家庭に頑張る女性。 やはり本作でも家族や子どもとのドラマを実にうまく挿入しています。 本作のアン・ハサウェイ、「プラダを着た悪魔」を思い出します。 家庭を持ち、独立して会社を興した「プラダを着た悪魔」の女の子の数年後といった感じもしますね。 アン・ハサウェイはこういう恋に、家庭に、仕事に頑張る女性の役がよく似合います。 本作は勿論彼女が主人公なのですが、デ・ニーロが演じる、余裕と品とあたたかみを感じさせる溌剌とした70歳が実にいい。 僕は40代のおじさんですが、デ・ニーロ演じるベンには同じ会社勤めの男として見習いたいところが沢山ありました。 最近ちょっと疲れ気味ですが、人生まだまだこれからだよな。 ベンのような70歳になれるよう頑張らなきゃなって元気をもらいましたよ。 ナンシー・マイヤーズの映画では「ホリデイ」でも見られますが、 本作でもさりげなく少しだけ挿入される映画ネタにニッコリさせられます。 鑑賞後は気分良く映画館を後に出来る佳作です。
[映画館(字幕)] 8点(2015-10-15 21:39:32)(良:2票)
268.  ヒプノティスト-催眠-
叙情派の名匠ハルストレムが故郷スウェーデンに戻って撮ったのは、 これまでの彼の監督作とは全く一線を画すサイコ・スリラー。 冒頭の一家惨殺事件の描写からこれは本当にハルストレムの映画なのか?と思わされる。 その事件から生き延びた子ども、催眠療法を専門とする医師と事件を捜査する刑事。 それぞれの家族のドラマと、2人が事件の真相を追うミステリ・サスペンス。 面白くなりそうな雰囲気もあったのですが、うまく整理しきれておらず後半は非常に長く感じました。 作品を覆う陰鬱な空気、世界観に気が滅入りそうになる。ハルストレムの作品としては異色作ですが、 これまでにも彼が描いてきた家族は問題を抱えながらもそれを乗り越え、ラストにたどり着いてきました。 そういう意味では本作もやはり、彼らしい作品の締めくくり方でした。 その一歩手前の凍りついた湖、沈み行くバス、そして家族。この氷上のサスペンスはなかなかの迫力です。 時折挿入される北欧の雪景色が美しく、ハルストレムならではの美しい風景描写は健在です。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-10-13 18:12:22)
269.  少年と自転車 《ネタバレ》 
父親に捨てられ施設に預けられたシリル少年。彼が負った心の傷、その深さ。 そんな彼の心の内を思うと、途中は見ているのがとても辛い作品。 里親のサマンサについては謎も多い。冒頭で少年の自転車を買い戻し、少年から頼まれ里親になることを引き受けます。 その決断には彼女のこれまでの人生とも無関係ではないと思いますが、彼女の人生についてはほとんど語られません。 この部分についても少し言及があっても良かったのではないかと思います。 自ら里親になって欲しいと希望したサマンサに対するシリル少年の態度にイラッとくる部分があるのも事実。 しかし子供心にそう簡単に現実を受け入れ、割り切れるものではない。そんな少年のやるせない思いが終始伝わってくるし、 少年の全てを受け入れ、彼と接する彼女の描写の1つ1つがとても良かった。  子どもが主人公の映画や青春映画と自転車はやはりよく似合います。 クルマやバイクと違って、自分の足でペダルを漕いで走る。子どもや若者の力強さを感じる。 本作で最も温かみを感じさせる、サマンサとシリルがお弁当のサンドイッチを持って出掛けるサイクリング。 それに続く、突然訪れるラストシーン。少年は倒れた自転車を起こし、再び自転車を漕ぎ出していく。作品は彼のその姿が見えなくなるまで見送る。 シリル少年には力強くペダルを漕いでこれからの人生を進んでいって欲しい。サマンサと共に。そう願わずにいられないラストでした。
[DVD(字幕)] 7点(2015-10-03 15:59:22)
270.  キングスマン
作中に何度か引用された、おてんば花売り娘がレディへと華麗なる変身を遂げていく「マイ・フェア・レディ」。 本作ではグレかけていた主人公の青年が、最後は今は亡き父と師匠の遺志を受け継ぐかのように立派な英国紳士になっていました。 数々の秘密兵器も革靴に傘に、どれもこれも英国紳士然としていて、いちいち凝っている。 コリン・ファースはますますこんな英国紳士然とした渋みのある役が様になってきました。 しかし作品の世界観はなかなかブッ飛んでいます。それを体現するサミュエル・L・ジャクソンの狂気の大富豪キャラもいい。 僕が苦手とする結構グロい描写もあるのですが、それでも面白い映画でした。 終盤の手に汗を握る大作戦、そこにホッと一息つかせるようなユーモアの挿入もまた良し。 特に拉致された王女様。最後はあんな使い方をするとは思いもよらなかったです。 ここで使われる挿入曲”slave to love”の使い方、いいセンスしています。イギリス映画らしい選曲。 でもこの曲を聴くと、なぜかいつもワインかブランデーグラスを傾け、1人悦に入っているブライアン・フェリーの姿が思い浮かんでしまう。
[映画館(字幕)] 7点(2015-10-01 17:57:06)
271.  ラヴレース
アマンダ主演でこのタイトル。軽いラブコメを思わせるタイトルですが、重い作品です。 波乱の人生を送った伝説のポルノ女優、リンダ・ラヴレースを演じたアマンダの姿を見ているのがストーリーが進むにつれて次第に辛くなってくる。 見る者にそう思わせるアマンダの熱演は素晴らしかったし、夫チャックを演じたピーター・サースガードもよかったと思います。 爽やかな青春ものやロマンスが似合う清純派のイメージがあったのですが、早いものでアマンダは今年で30歳になるんですね。 本作は彼女の大きなチャレンジだったのだと思いますが、本作に彼女が合っていたのかどうか。 これから演じる役の幅をどんどん広げていってくれると思いますが、 出来ればもう少し、これまでのイメージの彼女を見ていたいなと思ったりもします。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-09-30 20:36:32)
272.  マリリン・モンロー 瞳の中の秘密 《ネタバレ》 
1人の女性ノーマ・ジーンと1人の女優マリリン・モンローを見事に描いた実に見応えのあるドキュメンタリーでした。 マリリン・モンローのストーリーについては語りつくされた感があり、 (勿論彼女の死因など、恐らくは永遠に謎のままのものもありますが・・・) 本作も特に目新しいMMのストーリーは出てこないのですが、 そのマリリン・モンローのストーリーを肉付けしていく当時の貴重な映像の数々、様々な女優が演じたマリリン。 それらを食い入るように見ている内にあっという間にマリリン・モンローのストーリーは終わってしまいました。 そう、あまりにも短い彼女の生涯でした。  女優マリリンの後期は、本作でもかなり時間をとって描かれている通り、どの監督ともうまくいかなかった。 ローレンス・オリヴィエ(「マリリン 7日間の恋」でも取り上げられたオリヴィエがマリリンに放ったある一言は本作にも登場します)、 ジョージ・キューカー、再びコンビを組んだビリー・ワイルダー、ジョン・ヒューストン。彼らの苦悩もまた取り上げられています。 一方でケネディ兄弟との関係は完全にスルーされています。 ケネディを匂わせるのは唯一、ハッピーバースデー、ミスタープレジデントのみです。 「恋をしましょう」でのイヴ・モンタンとのエピソードも本作はスルーしています。 以上のように一方的にマリリンを擁護している訳ではなく、かと言って必要以上にスキャンダルに焦点を当てることもしない。 出来る限り等身大のMMを伝えようとしたのでしょう。  皆に愛されたコメディエンヌ・マリリン。世紀のセックスシンボル・マリリン。 この世界から愛された女優マリリンのイメージに対するノーマ・ジーンの苦悩もまたじっくりと取り上げられています。 彼女の心の内を代弁するかのようにマリリンを演じた様々な女優たちの演技もまた見応えがありました。  マリリンが映画に登場し始めた頃、その多くはモノクロの作品でした。 しかし、彼女が一気にスターとなった「紳士は金髪がお好き」「百万長者と結婚する方法」・・・。 これらカラーの作品に登場するカラフルな衣装に身を包んだ彼女の姿はとても美しい。 「彼女は自信を持ってカメラの前に立つことができなかった。でもカメラの前に立った瞬間、彼女とレンズは恋をした。」 「百万長者と結婚する方法」の監督、ジーン・ネグレスコのこの一言がとても印象に残っています。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-09-29 21:28:36)
273.  バーニー/みんなが愛した殺人者
結末はちょっと悲しい実話なんですが、バーニーと事件を語る町に人々へのインタビューが軸となる、 一風変わったテイストが面白いドキュメンタリータッチの作品。 元々ジャック・ブラックという人は好きなんですが、彼が何度も演じてきた、 ちょっぴりだめだけど憎めない勢いのいいロック野郎とは雰囲気が異なりとても静かな印象を与えます。 本作の彼の風貌と確かな演技力はフィリップ・シーモア・ホフマンを思い出しました。 事件前も事件後も町の誰もから愛された殺人者と、誰からも嫌われた被害者。 「罪を憎んで人を憎まず」という言葉もありますが、こういう事件をどう裁くのか。 ジャック・ブラックやマコノヒーの存在もあり、終始コメディタッチですが考えさせられる内容です。 そしてもう1人、どんな役を演じても抜群の存在感があるシャーリー・マクレーン。 こういうふてぶてしさのある役もお手の物です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-09-17 21:37:09)
274.  ドン・ジョン
「(500日)のサマー」では華奢な感じの草食系男子だったジョセフ・ゴードン。 本作では、マッチョでポルノ依存の肉食野郎を演じる。 「500日のサマー」と比べると別人のようです。それでも、頻繁に教会を訪れ懺悔をする。 懺悔を聞く神父の「何回祈りなさい」の回数が毎回微妙に変わるのが可笑しかったりもするのですが、 このあたりは日常生活に宗教があまり入り込んでいない日本人には分かりづらい感覚なのかな。 冒頭からしばらくは、結構なバカ映画か?と思いきや、 ジュリアン・ムーアが登場するあたりからは少しずつ作品の空気も変わっていく。 僕は「500日のサマー」のような役の方がいいとおもいましたが、本作のジョセフ・ゴードンのキャラもこれはこれで面白かったです。
[DVD(字幕)] 5点(2015-09-12 23:50:09)
275.  わたしに会うまでの1600キロ 《ネタバレ》 
PCL(パシフィック・クレスト・トレイル) メキシコとの国境からカナダとの国境まで。アメリカを南北に横断する、険しい自然の中をひたすら徒歩で行くロードムービー。 メキシコ国境付近の果てしなく続く砂漠。険しい山岳地帯に雪原に、連日雨が続く鬱蒼とした森林地帯。 ロケーションを変えながらリースが重い旅の装備を背負い、重い過去を背負いながら徒歩で旅する様を追い続ける。 そんな旅の風景にテーマ曲的に使われる「コンドルは飛んでいく」がピタリとはまっている。 本作は実際にこのコースを3ヶ月かけて踏破した女性シェリルの体験に基づいています。 旅の風景に頻繁に彼女の過去の姿が挿入される。ドラッグにセックス依存に離婚、愛する母とのエピソードと悲しい別れ。 フラッシュバックされる彼女の過去は思い描いていたよりもシリアスな内容でしたが、 旅の風景やサバイバル描写はソフトに抑えられており、見やすさのある作品になっています。 この旅を通じて人生をリセットし、新たな人生を歩みだそうともがき続けるシェリル。 旅の1日目、テントを立てるのにも一苦労、重い旅の装備を背負い、立ち上がるのにも一苦労。 バーナーの燃料を間違えてしまい調理も出来ない。砂漠の真ん中でポツンと1人でテントの中。怖くて眠ることも出来ない。 最初は不安で一杯だったけど、旅を通じて少しずつ強くなっていく。 そんなシェリルを演じる、顔も服も汚れて化粧気も無いリースの熱演に、 母親を演じたローラ・ダーンも印象に残る演技を見せてくれます。 旅のゴールは「ヤッター!」と声を上げることも無く意外なほどあっけなかった。 でも、1人旅のゴールってこんな感じなのじゃないかな。 いつまでに帰らなければならないとか、2泊3日とか、そんな期限の無い旅。 僕もいつかそんな旅をしてみたいなと思う。
[映画館(字幕)] 7点(2015-09-03 20:16:56)
276.  ジミー、野を駆ける伝説 《ネタバレ》 
近年のケン・ローチはコメディと事実、史実を元にしたドラマを交互に撮っていますが、 この人の作品に込めた思いや、描く対象は若い頃の作品から全くぶれることが無く一貫しています。 いつの時代を、どの国を作品の舞台としても常に彼の心は日々を懸命に生きている人々と共にあります。  「麦の穂をゆらす風」でも彼はアイルランド内戦を描いていますが、 本作はその時代を生きた、実在した活動家ジミーと彼を慕う名も無き人々のドラマに取り組んだ作品となっています。 彼らは“Jimmy’s Hall”(ジミーの集会所)に集い、好きな音楽に耳を傾け、ダンスを踊る。 ささやかな自由を楽しむ人々をケン・ローチらしい優しさにあふれた視線で描く。 しかし、そんなささやかな自由すら許さず共産主義者と決めつけ、彼を迫害しようとする教会とは一体何なのか。  ジミーという実在した活動家と、彼を慕い彼の元に集う名も無き人々。 本作に登場する名も無き登場人物は全て、この時代に実際にアイルランドに生き、 ささやかな自由を求めながら日々を善良に懸命に生きた、名も無き実在した人々の姿でもある。 静かな語り口の中に自由を讃えるケン・ローチの思いが感じられる作品です。
[DVD(字幕)] 8点(2015-08-20 22:53:37)
277.  シェフ 三ツ星フードトラック始めました 《ネタバレ》 
人生に行き詰まりそうになる前半と、そこから人生の視界が明るく開けてくるかのような後半という分かりやすいストーリー。 陽気な作品のノリ。そんな陽気な雰囲気を盛り上げるラテン系の音楽もとてもうまく作用しています。 前半のレストランではネット時代のビジネスや、離れて暮らす親と子の関係の難しさが描かれる。 一方後半のフードトラックの旅。 夏休みの息子と常に一緒に過ごし、客の反応がダイレクトに常に伝わり、常に客と手が届くような距離間がいい。 前半にネットを通じてバトルを繰り広げた批評家とも面と向かって腹を割って話せばほら、こんなにちゃんと会話が成立する。 様々な心の触れ合いに心があたたまる。 かと言ってネットを否定している訳ではなく、要はバランスなんだなということを感じさせてくれます。 アメリカン・ハートフルコメディの良さが随所に感じられる佳作です。
[DVD(字幕)] 8点(2015-08-17 15:24:02)(良:1票)
278.  GF*BF 《ネタバレ》 
見る前の予備知識はグイ・ルンメイ主演ということだけ。 この軽い感じのタイトルからラブコメをイメージしていたのですが、とんでもない! 1人の女と2人の男の恋と友情。80年代の高校時代から90年代、そして今に至るまで。 変わりゆく台湾の世相の中で、変わりゆき揺れ動くそれぞれの時代の3人の心と関係を見事に描いた作品です。 それにしても、学生時代までのグイ・ルンメイ、こんな彼女は初めて見ました。 大声でよく笑いよく喋り、陽気で活発で勝気な女の子。 しかし時代の移り変わりと共に3人も少しずつ成長し、ずっと昔のままの3人ではいられない。 思い通りにはならない人の心、そして人生。 青春時代を経て描かれる彼らが大人になってからのドラマはなかなかの見応えがあり、 冒頭からつながるチョンリャンのラストの姿が感動的です。 これは切なくほろ苦い青春映画、ラブストーリーでもあり人生のドラマでもある。 所々にグイ・ルンメイのデビュー作「藍色夏恋」の中の彼女を思い出しました。 女子高生役の彼女の姿、彼らがバイクで疾走するシーン(「藍色夏恋」は自転車でしたが)、 後半のメイバオが無言でチョンリャンをビンタするシーンなど・・・。 彼女を知るきっかけとなった映画でしたが、もう13年も前なんだな・・・。 変わることの無い彼女の美しさを見ることができる作品でもあります。
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-30 22:11:06)
279.  とらわれて夏 《ネタバレ》 
冒頭から、この邦題に似つかわしくない張りつめた不穏な空気が漂う。 母と1人息子。母は夫と別れたことからまだ立ち直れていない。少年も父親がいない寂しさを抱えている。 その前に現れた1人の非常に危険な男。 この前半はあまり音楽も使われず静かに作品は動き出しますが、 その分1つ1つの物音や母と息子の目線など、緊張感漂う作品の空気が見事。  それでいて、この危険な男が徐々に意外な素顔を見せる。 どこか優しさがあり、料理上手で器用。 料理の他にも、男手の無い家でクルマや家の修理を買って出る。そして少年に野球を教える。 夫と父がいなくなった2人の前に突如現れた、招かれざる客であるはずの危険な男が徐々に微妙な存在に変わっていく。 作品の空気もこの3人からも徐々に緊張感が薄れ、あたたかみが増していきます。 作品は不安定な空気を持続しながらも、その中にあるあたたかみに実に不思議な味わいがあります。  しかしこれらは過去の出来事であり、少年による回想を交えて品は進むので、 この不安定な幸せは長くは続かないであろうことを匂わせます。 次第に作品の焦点はこの3人は果たして本当に幸せになれるのか?というところに変わっていきますが、 少年が町で出会った少女が変なたとえ話を持ち出す。それは「ボニー&クライド」。 これによって見る者はますますこの3人から目が離せなくなっていきます。  ジェイソン・ライトマンは近年の作品の「マイレージ・マイライフ」や「ヤング≒アダルト」では、 人生の折り返し地点を過ぎた頃の男や女の揺れる気持ちを表現してきました。 本作はそこに思春期に差し掛かる子どもの存在を実にうまく挿入しています。 夏休みが終わり、新学期が始まる日。警官、銀行、隣人が次々に不安感を掻き立てる。 そして徐々に大きくなってくるパトカーのサイレン・・・。 しかし本作は「ボニー&クライド」にはならなかった。 長い年月を経てのラストシーンが感動的です。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-27 11:47:37)(良:1票)
280.  マダム・マロリーと魔法のスパイス 《ネタバレ》 
大ヒットを連発していた90年代から2000年頃までを境に、 以降近年に至るまで扱いが地味化の一途をたどるハルストレムの最新作です。 映画の中にある、この人ならではの優しさは本作でも全く変わることはありません。 苦労を重ねインドから、長い旅路を経てフランスの田舎町に辿り着いたインドの料理人一家。 辿り着いた田舎町で店を構えるまでは良かったのですが、頑固一徹の料理人親父を演じるオム・プリ。 そしてそう広くない道を挟んだ前にはもう一軒のレストランが。支配人を演じるのはヘレン・ミレン。 前半はレストランの経営をめぐりライバル関係にあるこの2人が、事あるごとにいがみ合う。  そしてもう1組の男と女。 インドの料理人の次男とヘレン・ミレンのレストランの副シェフの女性、2人のロマンス。 ハルストレムが描く若い2人のロマンスはいつも本当に爽やかです。 この2人の終盤の会話の中の「あの時、車が故障して本当によかった。理由があって車が故障したんだ」という台詞がいい。 人生、辛く苦しい時期は必ずありますが、そんな時こそ、それも全て理由があるんだと思いたいものです。 しかしお話の方はあれよあれよという間に幸せな方向に進んでいく。 いがみ合っていた2人が和解して以降、この2人の間に流れる穏やかな空気に心が和まされる。 単純なストーリーですが、こういう人情喜劇風の作品にはこんなストーリーがよく似合います。
[DVD(字幕)] 6点(2015-07-19 18:37:56)
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