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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別 男性

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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361.  ミリオンズ 《ネタバレ》 
ダニー・ボイル監督らしいユニークであり、ファンタジックであり、独特な世界観は見事である。 また、全体的に子ども目線で上手く描かれているように思われる。 しかし、自分に宗教的な素養が足りないことも問題かもしれないが、物足りなさを覚える作品となっている。 教訓的な要素も、感動的な要素もあまり感じられなかった。 序盤こそ、面白みを感じていたが、中盤に差し掛かり失速していった気がする。 起承転結のうち、“転”が上手く描けていないのではないかと思われる。 お金の存在を知った父親と女性、犯人の登場、ユーロ騒動が上手く機能しているとは思えず、結論に対してスムーズにオチていないのではないか。 ユーロ騒動が描かれているが、彼らが欲を出しすぎて、時期を失して、ポンド紙幣が全て紙切れ同然となったというオチもなく、あまり意味をなさない(ユーロ騒動があったから大金が手に入ったわけだが)。 また、本作のテーマの一つである“母親が聖人になれたか”というオチに導くとすれば、ダミアンの起こした行動がもう少し周囲の人間を変えていくようなミラクルが欲しかったところだ。 ダミアンが正しい使い道を模索して、失敗を繰り返しながら、本当の使い道を探し出したり、周囲の者が大切なものに気づくという流れにもっていけなかっただろうか。 お金を燃やして終わり、井戸を掘り当てて終わりというオチは、キレいではあるが、どことなく疑問や中途半端さを感じた。
[DVD(字幕)] 5点(2009-05-10 21:40:20)
362.  レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦― 《ネタバレ》 
「あまりエキサイトできなかった」というのが正直な感想。 なまじ三国志をかじっていると「こんなもの三国志じゃない」という気持ちが強くなり、冷静に楽しむことができなかった。我々が見聞きした「三国志」とは異なる、誰も知らない新たな「三国志」を作りたいというのがジョン・ウーの狙いかもしれない。 そのチャレンジ・スピリットは評価したいが、オリジナルを超えられなければ、それはただの改悪ということになってしまう。 一番の問題は、孔明の存在があまりにも軽すぎるのではないか。 孫尚、小喬よりもインパクトが欠けるというのは、いかがなものかと思う。 平安な未来への戦いにおいて、男ばかりではなく女も戦ったということを描きたいという気持ちは分かるが、あまりにもバランスを失している気がする。 “間者”や“茶”というアイディアが逆に良すぎるので、もっと比重を軽くしてもよい。また「赤壁の戦い」において語る必要のある「連環の計」「苦肉の策」「拝風台」も無視あるいは適当な処理でごまかしているのも問題だ。 これらを描かずに、孫尚と蹴球の選手との交友を描いたり、疫病の万延を描く必要があったのだろうか。 孫尚と蹴球の選手との交友を描くことによって、敵も味方も分かり合えるということを描きたいのかもしれないが、上手くオチているとは思えず、ただのお人好しを利用したようにしか思えない。描くとするのならば、戦場での再開においてもう一工夫あってもよかった。 疫病の万延に関しては「これはきっと孔明のワナに違いない」「終盤には曹操の虚を突くだろう」という期待通りだったが、「呉軍が曹操軍の逆襲に遭い絶体絶命になる」→「窮地に陥った際に、背後から劉備軍が登場する」→「ピンチから形勢逆転する」→「疫病による仲違いは実は計略だったと観客に明かす」というのが普通の“流れ”ではないか。“計略”というものは、敵だけではなく味方を欺くことが必要だが、観客をも上手く欺く必要がある。それにもかかわらず、途中から手の内を明かしているようでは全く欺きになっていない。この流れだけ見ても、ジョン・ウーの演出にはやや疑問が残る。肝心のバトルについてもそれほど見応えを感じられなかった。 ジョン・ウーのバトルに対するビジョンが見えてこなく、それぞれのキャラクターがそれぞれの仕事をきっちりと果たしたといえない。
[映画館(字幕)] 5点(2009-04-12 01:32:24)
363.  チェ 28歳の革命 《ネタバレ》 
ゲバラについては詳しくは知らないが、ドキュメンタリーを見たことがあるので、「名前」を知っているというレベルではない。ある程度の全体像を掴んでいたので、それなりには楽しむことはできた。上映前の説明と本作の映像だけでは足りないので、“知識”で流れやキャラクターや時代背景などを補えないと少々苦しいか。 それにしても、ソダーバーグ監督の相変わらず訳の分からない演出が微妙だ(他の作品よりはマシなレベルか)。一貫としたストーリーはなく、イメージやエピソードをぶつ切り状態にしている。ドキュメンタリー風なタッチをメインにして、観客にも一人の兵士として参加してもらおうとしているのだろうか。 そういう趣旨は分かるが、“狙い”はやや空回りして、むしろ“逆効果”のような気もする。全体的にボヤボヤしすぎてしまい、全体像が掴みづらくなってしまう。 後編を見ないとなんとも言えないが、単に山中を行進して、市街戦を繰り広げて、国連で演説したり、インタビューを受けたりしているとしか描かれていない。 素直に撮りたくないというのは分かるが、“褒めること”も“貶すこと”もしにくい映画に仕上がっている。 確かに、ゲバラをヒーローに描くことはできないのだろう。 アメリカ人には敵国ともいえるキューバの革命を賞賛することもできない。 こういう場合には、ありのままの“事実”のみを描かざるを得ない。 一方のサイドに感情を込めて肩入れすることはできないので、ニュートラルのまま突っ走らざるを得ないのは分かる。 そうすると、彼の「革命」に対する想いが見えてこなくなってしまう。 『革命とは“愛”だ』という言葉はカッコいいが、その“愛”を感じさせるものが欲しいところだ。 戦うことだけではなく、食料を調達することも、仲間の怪我を治療することも“革命”というセリフがあった。 読み書きを教えることも当然“革命”なのだろう。 規律を厳しくしたり、仲間を処刑することも、兵士に革命を放棄させることも彼にとっては“革命”だ。 本作に描かれていることは、彼にとっての“革命”の総てなのかもしれないが、“革命に対するパッション”というギアをもう一段、深く入れて欲しかったところだ。 後編を見たところで、「ゲバラの生き様」「ゲバラがなぜ賞賛されるべき人物なのか」「革命とは何か」を感じることはできないだろう。 こういう部分は本で勉強するしかないようだ。
[映画館(字幕)] 5点(2009-01-24 23:45:07)(良:1票)
364.  宮廷画家ゴヤは見た 《ネタバレ》 
ゴヤの画家としての生涯を描く映画ではないとはもちろん思っていたが、ゴヤの眼を通してみるスペインの狂乱や異端審問がメインとは思わなかった。 思いも寄らない内容の映画だったが、傍観者・ゴヤの目や絵を通してみる当時のヨーロッパの狂気が上手く演出されており、インパクトの強い映画に仕上がっている。 ただ、ハマれる人はハマれそうだが、自分にはどこかピンとこなかったというのが正直な感想。 時代背景やゴヤなどの知識を持ち合わせていなかったからだろうか。自分にはレベルが高い映画だったかもしれない。 原題は「Goya's Ghosts」、直訳すれば「ゴヤの幽霊たち」になる。 本作における「幽霊」とは、顔が描かれていない絵の際に触れていたと思う。 本作でゴヤのモデルになったロレンソとイネスは歴史上の存在ではなく、架空の存在のようなので、これを指していることになりそうだ。 しかし、彼らの関係を通して、何をフォアマンは伝えたかったのかが自分にはぴったりとはハマらなかった。 彼らの間に“愛”などというものはもちろん存在しないだろう。 ロレンソはイネスのことを忘れており、その後も病院送りにしている。 イネスにとってもロレンソを愛しているというよりも、彼の存在と自分の子どもを拠り所にして15年間精神をかろうじて保っていたというところだろう。 最後にイネスとロレンソが手を繋いだのは、“愛”というよりも“家族”という想いを込めたためと思われる。 彼らの関係はそれほど重要ではないのかもしれない。 二人の関係よりも、ロレンソが最後に改宗しなかった辺りがポイントとなりそうだ。 異端審問をして、さらにその審問を異端視して、またその異端視を異端されるというエンドレスの抗争が描かれている。 今日にも通じる“宗教”という考え方の違う対立による根深さは永遠に消え去ることのないということを描こうとしているようだ。 これを解決する術はなく、紛争はいつまでも永遠に続くのかというフォアマンの憂いを感じられる。 狂った世界において、ロレンソ自身が処刑される際に窓辺にいる自分の娘と赤ん坊の姿を見て、何かを悟ったようなところが印象的であった。 一番人間らしい心を持っていたのは精神を病んでしまったイネスということなのかもしれない。 ゴヤの作品も理解するのは一筋縄にはいかないが、フォアマン作品も一筋縄ではいかないような独特の仕上りとなっている。
[映画館(字幕)] 5点(2008-10-21 23:09:59)
365.  スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ 《ネタバレ》 
「スター・ウォーズ」については、それほど詳しくはなく、素人からの目線でレビューしたい。 画像については、それほど違和感がなかったが、実写ではない分、バトルシーンにはどうしても迫力を欠いてしまうところがある。 実写では迫力などでごまかすことができるので飽きずに済むところがあるが、飽きずにもたせるには展開の面白みがなく、短い映画にも関わらず非常に長いと感じられた作品。 また、アニメ作品「クローン大戦」を見ていないと、ヴェントレスという敵キャラクターが分からないので、やや違和感があるのではないか。むしろグリーヴァス将軍の登場を期待していたので、やや拍子抜けしたところがある。 まだまだ続きがありそうだが、ⅡとⅢを繋ぐブリッジストーリーとしては、本作だけでは物足りなさすぎる。 ジャバの息子の誘拐など、子ども騙し的なネタしか描かれていないので、本作を観たとしても、大きなものはあまり得られないと思う。 最初から最後まで、クローンとドロイドがただ無益な撃ち合いをしているという印象しか残らなかった。 一番驚かされたのは、アナキンがパダワンを取っていたということだろう。 ただ、このエピソードも個人的にはあまり好ましいとは思わなかった。 パダワンを持つということは、ジェダイの騎士としてそれなりに責任が増すのであるから、ジェダイを裏切るという最終的な方向とは逆の意味に繋がってしまう。 また、パダワンを持たせるというアイディアは、オビワンとヨーダの考えのようであるので、二人はアナキンのことを一人前と認めている証拠でもある。 一本立ちを認めないオビワンのことをアナキンは憎んでいたはずではなかったか。 パダワンを持ったことでジェダイを憎むような展開になればよかったが、そんな展開にもならなかったので、やはりアナキンにパダワンを持たせる効果がよく分からない。 任務を優先することを第一に考えるジェダイと、ピンチに陥ったパダワンの生命を考えるアナキンとの間に亀裂が生じるという展開にでもなれば、本作にも意義が生じるとは思ったが、結局パダワンが自分の危機を一人で切り抜けるという面白くもない展開になってしまった。 慎重派オビワンと無鉄砲アナキンとのコンビとは違う、無鉄砲コンビの誕生もそれほどすっきりしたものを感じられないのも惜しいところであり、全体的には評価しにくい作品となっている。
[映画館(字幕)] 5点(2008-08-24 22:51:28)(良:1票)
366.  ハンティング・パーティ 《ネタバレ》 
「言っていることは分かるけど、結局何が言いたかったの?」という映画。 ジャーナリスト魂を描きたいというよりも、「戦犯をCIAや国連は野放しにしている」という事実を伝えたいとしか思えない内容だ。 フォックス(実在のカラジッチをモデルにしている)はセルビアの英雄と目されている人物であり、そんな人物にアメリカのCIAが手を出したら、国際情勢が混乱するというのは明白だろう。そういった微妙なバランスが存在すると思われるので、CIAは手を出したくても手を出さない、手を出せるけれども手を出さないという政策的な判断をしているのではないか。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の背景を詳しく知らないので、偉そうなことは言えないが、彼が大虐殺に関わっていたとしても、彼を捕まえることで「万事解決」という単純なものではないはずだ。本作を見る限りでは、ボスニアには紛争の傷跡・悲劇の爪痕が色濃く残っているようであり、火種を再燃しないということに専念しているのではないか。 また、ドキュメントで行きたいのか、フィクションで行きたいのか、やや中途半端となったのも大きな問題か。トンネル後のストーリーは完全なフィクションと思われるが、本作のフィクション部分がかなり幼稚だ。ジャーナリストはあくまでもジャーナリストであり、警察でもなければ、CIAでもなく、ましてや正義のヒーローでもない。 「彼に会って虐殺の真相や彼の信念をインタビューしたい」というものならば納得できるが、「何の策略や計画もないのに彼を捕まえたい、恋人を殺された復讐をしたい、金が欲しい」という内容に納得できる観客は少ないだろう。 何とか面白くしようと思い、脚色をどんどんと加えていくうちに、大切にすべき方向性を見誤ったような気がする。 見ている最中は、「ひょっとして、こいつらジャーナリスト魂なんてものは持ち合わせておらず、ただただ生死の狭間で体験できる独特のスリルを味わいたいだけじゃないのか。戦争や紛争がなくなった(実際にはまだまだ絶えないが・・・)ので、ただ危険地域に足を踏み入れたかっただけじゃないのか」と思っていたが、そういった意図もなさそうだ。 題材的には面白そうなのだが、「ジャーナリスト魂」を感じさせる内容になっていないのが残念だ。彼らは危険地域にわざわざ近づく、ミーハーな人間と同じではないかと思ってしまう。
[映画館(字幕)] 5点(2008-05-23 22:45:31)(良:1票)
367.  NEXT-ネクスト- 《ネタバレ》 
質などを総合的に判断すると点数は低いが、個人的にはそれほど嫌いな作品ではない。 その理由は、ニコラス・ケイジが出演しているからだ。 とはいっても、ニコラス・ケイジそのものが好きなわけではない。 彼の醸し出す胡散臭さが妙に本作の胡散臭さにマッチしているから、面白く感じられるのである。 もし、本作の主人公がマット・デイモンだったら、「ふざけんな」とブチ切れていただろう。 ニコラス・ケイジだから、「何でもあり」「破綻していようが何でも許せてしまう」という気持ちになれる。 しょぼい能力に見合うだけのチープなオーラを備えているので、彼はある意味でいい役者だ。 むしろ、彼を活かすために、もっとカッコ付けずに、なぜB級っぽく全体を演出出来ないものかと逆に怒ってしまうほどだ。 一般の観客には合わない作品だとは思うが、ニコラス・ケイジのB級テイストを感じ取れる人には向いている。 核兵器の爆発という大きなストーリーの割には、胡散臭い男を巡るFBIとテロリストの小さいストーリーに終わってしまう辺りが最高だ。 途中までは悪くなかったが、最後の銃撃戦が少々イマイチか。 肝心のクライマックスとしては、あまり納得はいかない。 さすがに分身するのはやりすぎだ。 冒頭の「カジノ脱出」を超えるような神業を披露して欲しかったところだ。 「こいつはスゲエ」「こいつは神だ」と思えるような動きを上手く演出できないものか。 その神業の行き着く先は、絶対に「分身」ではないだろう。 ニコラス・ケイジの余裕の動きと、それに必死に応えるFBI・SWATの連携を、微妙な違和感をもって上手く演出できれば、絶対に面白い作品に仕上がったはずだ。 議論が分かれそうな、オチや終わり方も個人的にはそれほど嫌いではない。 エンドクレジットが始まる前に、「この辺りで終わらした方がいいだろうな」と感じられたからだ。 あれ以上描けば、「蛇足」になってしまう。 このオチのために最後まで取っておいたのかもしれないが、途中でも「失敗する未来」をもっと多用しても面白かったかもしれない。 「死んだ」と思ったら、それは現実ではなかったという展開がもっとあってもいい。 「バンテージポイント」のように、要所要所で何度も何度も巻き戻されると、一風変わった映画に仕上がったのではないか。
[映画館(字幕)] 5点(2008-05-05 14:54:44)
368.  つぐない 《ネタバレ》 
素材自体は悪くないが、ココロに訴えてくるものがまるでない。 したがって、評価は下げたい。 素材はいいので、一流の演出家ならば、もっと泣ける作品に仕上げることはできたはずだ。 何を描きたいのかが明確になっておらず、散漫としているのが残念である。 本作のメインに当たる部分は、何よりも“虚構”の世界ではないだろうか。 「つぐない」の本当の意味を考えると、ここにもっと光を当てないと何も意味はなさないと思う。 もし、自分が脚本家ならば、現実の世界よりも、虚構の世界をメインに組み立てたい。 ロビーが浜辺で眠りについた後は、「ロビーがイギリスに戻り、セシーリアの元に帰ってきて、彼らが再開するシーン」を感動的に描きたいところだ。 「わたしの元に帰ってきて」というのがセシーリアの一番の願いだったからだ。 そして、「彼らが海辺の家で幸せに暮らしているところをブライオニーが訪れ、贖罪を求めた後に、二人に許されるというシーン」をきちんと描きたい。 しかしながら、許された後に、ブライオニーが老人となった“現実”の世界に戻ってしまい、実際の真相・顛末を語るというのが普通に考えられる筋書きではないか。 “現実”の世界よりも、“虚構”の世界こそメインにならなくてはいけない作品だ。 今まで見てきた世界が現実の世界ではなく、ブライオニーの考えた創作の世界だと知れば、観客は驚きを隠せないだろう。 そして、「つぐない」の本当の意味を知るはずだ。 イアン・マキューアンの原作は読んでいないが、そういう趣旨を込めた作品だと思う。 本作では微妙な感じで終わってしまったが、個人的には、“虚構”の世界なのだから、ブライオニーは二人に許されてもよいのではないかと思う。 彼女はつぐなったのわけだから、それは報われてもよいはずだ。 死を目の前にして、二人に許されれば、彼女もきっと安らかに眠れるのではないか。 ただ、“浜辺での長回し”や“窓際で二人がキスをする部分を映しながら、ブライオニーが立ち去る部分を描く”など、映像的な部分においては見応えがあった。 ジョー・ライト監督の前作「プライドと偏見」においても、美しい背景を上手く利用する才能は際立っており、その点だけは評価できる。
[映画館(字幕)] 5点(2008-04-14 00:32:51)
369.  フィクサー(2007) 《ネタバレ》 
点数を付けるのが、非常に難しい作品だ。 賞レースに加わっているだけのことはあり、映画の質はそれなりに高いといえる。 俳優の演技、緊迫感溢れる演出を飽きることなく堪能することはできた。 しかし、ストーリーがあまりにも面白みに欠ける。 ソダーバーグが製作に関わっており、彼の監督作品やプロデュース作品と同様の感想を抱く。いったい何を伝えたかったのが分からない。 友情なのか、正義なのか、社会派映画なのか、「フィクサー」の活躍なのか、法廷系サスペンスなのか、大企業による陰謀モノなのか、何に焦点を当てたのだろうか。 楽しめない理由はいくつかある。 まず「トム・ウィルキンソンの精神病」だ。 なぜ精神病という設定にして、異常行動を取らせる必要があるのか。 正義感に溢れ、愛に悩むノーマルな弁護士という設定の方が絶対に面白くなったはずだ。 そして、次は「ジョージ・クルーニーの借金」だ。 ギャンブル狂いで文無しであり、さらに突然借金を抱えて苦しい状況が分かる。 「どうしても数日以内に大金が必要だ」というのは面白い設定だ。 ただ、この面白い設定がまるで活きてこない。「金」を取るのか、それとも「正義」や「友情」を取るのかという葛藤があってこそ、活きてくるものだ。 フィクサーとして揉み消しを依頼されて、事件を解決すれば多額の金を手に入れられるが、友人の本来の目的を知り、どちらの側に付くのかを悩んでこそ面白いものとなる。 「金」に傾くかのように観客をミスリードしておき、最後には・・・というのが定石だろう。 さらに、最後は「ティルダ・スウィントンの弱い悪役ぶり」だ。 精神的な弱さを抱えているにも関わらず、重役に抜擢され、追い込まれているという設定は面白い。企業を守るための彼女の暴走は、精神的な弱さによるものだろう。 ただ、そんな弱い悪役では迫力に欠ける。 表では「フィクサー」を使って合法的な解決を図ろうとしながら、裏では「殺し屋」を使って非合法的な解決を図ろうとする二面性を抱えるような悪役の方が面白いと思う。 精神的な弱さがあるのに強がろうとするからこそ、表と裏の顔が大きく乖離していくものだ。本作では、ただのプレッシャーに弱い女性としか映らず、内面の複雑な想いなどは感じられなかった。 これらを踏まえると、どうしても高い評価はできない。
[映画館(字幕)] 5点(2008-04-13 01:45:09)(良:2票)
370.  ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記 《ネタバレ》 
“普通”という評価が妥当の作品。冒険映画なのに、まったく冒険していない映画だ。実際に現存するアイテムや実在人物、史実といったリアリティを重視しているのかもしれないが、世界観がかなり小さく感じられる。パリやロンドンに行ったからといって世界観が大きくなるものではない。もっと夢のある世界に広げられないものだろうか。 ディズニー映画だからなのか、主要キャラクターを誰も殺すこともできず(一人死んだエド・ハリスがかわいそうだ)、どんどんとパーティーが増えているのが見苦しい。 パーティーが増えた結果、最後に随行する悪役がエド・ハリス一人になってしまうのが強引過ぎる。そして、その肝心の悪役にも魅力が欠けるのが最大の失敗だ。なんだかんだで「結局皆を救ってくれた善い人」というオチがディズニー映画らしくもある。 そういうオチにしたいのならば、初めからそういう脚本にすればよかったのだ。 エド・ハリスたちは、宝探しを自分たちでできないくせに、銃や車を使って、ニコラス・ケイジ達を殺そうとしているのがあまりにもナンセンスだ。「彼らが探してくれる」とエド・ハリスはつぶやいていたが、言っている事とやっている事はメチャクチャだ。宝探しを妨害したいのか、宝探しを便乗したいのか、ゴチャゴチャになっている。自分ならば、エド・ハリスは優秀なトレジャーハンターという設定にして、ニコラス・ケイジのライバルという扱いにするだろう。そして、彼らの邪魔をする第三者を別にきちんと用意すると思う。ライバルであったが、最後に皆を助けて死ねば、オチとして盛り上がったことだろう。 また、脚本もイマイチよく分からないところがある。 “「ゲイツ家の汚名」を払拭するという目的”→“宝探しへという目的”にどうしてすり替わったのかがややピンと来ない。 脚本だけではなく、演出も分かりづらいところがある。 肝心のエド・ハリスとニコラス・ケイジの重要なラストシーンのやり取りの扱いが雑だ。 「俺が残る」「いや、俺が残る」「じゃあ、俺が残る」「どうぞどうぞ」という流れではなかったと思うが、いつのまにかニコラス・ケイジからエド・ハリスへとポジションが変化しているのを不思議に思う者がいるだろう。 “激流によってああなった”とだいたいの流れはなんとなく分かるものの、一言で言えば演出がヘタクソなのだろう。
[映画館(字幕)] 5点(2008-01-07 01:43:15)(良:2票)
371.  王の男 《ネタバレ》 
「グエムル」に抜かれるまで韓国歴代興行成績の一位であり、また本作のような歴史物は結構好きなため、期待を込めて鑑賞したけど、悪くはないけど良くもないという印象。チャンセンとヨンサングン役の俳優の演技は結構良かったが、欠点としては脚本がだいぶ粗い感じがする。主要キャラクターの内面がほとんど読み取れない。行動に対する動機付けが描けていないから、なぜそのような行動を取るのかがよく分からない。そのために感情移入できないという悪循環に陥っている。それぞれの心理面を探るまでの材料すら与えられていない気がした。特に肝心要のコンギルの心理描写が弱すぎる。 <以下ネタバレ>王の寵愛を一身に受けていたノクスがコンギルを嵌めようとする行為は理解できる。芸人たちを宮廷に住まわせることによって、宮廷に巣食う重臣を追放し、母親を失った呪縛から開放させ、ヨンサングンを暴君ではなく、立派な王にさせたいと考えた重臣チョソンの行為も理解できる。 理解できないのがヨンサングンがコンギルに嵌まる点だ。美男子だからといって、自分の内面までもさらけ出す理由はない。彼の孤独の矛先がなぜコンギルに向かったのか、もう少し踏み込むべきだっただろう。 王の孤独や悲しみを知り、コンギルが王に同情する点は理解できる。しかし、芸人の相方という関係を超えた存在であるチャンセンの「宮廷を出よう」という言葉をないがしろにするほど、王に尽くす義理はないだろう。 チャンセンにとっても、何度も出ようといったにも関わらず、自分よりも王を取ったコンギルのために、重臣チョソンが救ってくれた自分の命を無駄にするほどの関係が描きこまれていない。 このストーリーを自分なりに解釈するしかないようだ。コンギルは王に対して同情というよりも、愛情を抱いてしまったと解釈すればよいのかもしれない。だから、コンギルは王の下から離れようとしなかったのかもしれない(王に「行かせてくれ」と頼んでいたが)。しかし、チャンセンが身を賭して、自分の命を救ってくれたことと自分のために戻ってきてくれたことによって、彼の本当の愛と相方として切っても切れない絆に気付かされたのかなとも考えられる。だから、チャンセンが死ぬのならば、自害しようとしたのではないか。王がコンギルの気持ちに気付いていないとしたら、チャンセンが最後の芸で「王が盲目だった」と皮肉ったようにも感じることができる。
[映画館(字幕)] 5点(2006-12-19 00:07:54)
372.  ブラック・ダリア
つまらないというよりも、よく分からない映画。
[映画館(字幕)] 5点(2006-10-15 00:16:39)
373.  ミッション・トゥ・マーズ 《ネタバレ》 
サスペンスの巨匠ブライアンデパルマ監督がこんなSFも創れるんだと、まず驚かされた。映像からは、デパルマ監督特有の匂いは感じられない。CGを駆使した創り込みも丁寧であり、新ジャンルの挑戦への気合、既存の自己のイメージからの脱却も感じられ、それなりに好感はもてる。 しかし、映画自体は、「2001年宇宙の旅」をベースにして、「未知との遭遇」「アポロ13」「アルマゲドン」などのSF映画を何もかもごちゃ混ぜにして創り上げられた印象を受けた。「これはどこかで観たな」という既視感を感じさせる映画になってしまっているのが残念だ。 オチ自体は別に悪くはないと思うが、こんな骨だけで肉のついていない脚本でよくここまでの映画に仕立てたものだと少しは監督を評価したい。この地味なストーリーならば、アイディアを各所から拝借しないと、一本の映画としては、もたないだろう。 その他に本作の問題としてテンポの悪さが挙げられると思う。イライラするほどテンポが悪すぎる。おまけにシニーズが事故の際、酸素減少中にも関わらず、なぜかヘルメットを被らないという意味不明な行動をとるため、そのイライラが頂点に達する。 その宇宙船の事故も取って付けたようにしか感じない。脚本が貧弱なためか、ストーリーを膨らませるために「アポロ13」などを参考にしてやむを得ず描いたようにしか感じなかった。 また、それに伴うウッディの死も単なる感動狙いではないか。ストーリー上、それほど大きな効果や意味は感じられなかった。シニーズは病気で亡くなった妻の言葉「別の世界を観たい」や妻の失意がきっかけになって、地球に還らず宇宙船に乗るという決断を下したわけだが、ウッディの死が、誰かの気持ちや行動を変えたというわけではなく、単に火星に到着するための「犠牲」という形式上の効果しか生んでいないのは勿体無さ過ぎる。ウッディの奥さんにもっと大きな影響を与えないと、彼の死はあまり意味はないだろう。シニーズも妻の言葉だけでなく、ウッディからも大きな影響を受けたという風にした方がよりラストの行動の理由付けにも納得がいくのではないか。ラストにウッディのネックレスを渡す(=ウッディの魂も連れて行く)といったことはしているものの、ウッディの死を上手くストーリーに活かすことができなかったことが、本作が傑作にならずに多くのSF映画の中に埋没してしまった理由の一つのようにも感じる。
[DVD(字幕)] 5点(2006-09-13 20:40:57)
374.  プライドと偏見 《ネタバレ》 
嫌な奴だと思っていたが、実はシャイなだけで、実は誰も知らなかったけど良い奴でしたというだけのストーリー。 「誤解」や「関係修復」など、エリザベスとダーシーの関係をもっと中心に描けばよかったのだが、姉の恋愛、妹の恋愛、いとこの恋愛なども同様に近い比重で描くので、ややこしくなり、登場人物のいかなるキャラクターにも感情移入しにくくなっている。 誰と誰が上手くいこうとあまり自分の感情が動くことはなかったのが残念だ。 同じ原作者である「いつか晴れた日に」では姉妹ともに上手くいって本当に良かったなとマジで感じられたので、同じ原作者であっても、この両作には何らかの“違い”が存在するのだろう。 好きな人には好きなんだろうと感じさせる内容であるが、個人的にはあまり好きな部類ではなかった。 また、ストーリーに起伏やイベントがなく、何もかも突然すぎるところがあるのも問題だ。 ただ、美しい風景が上手く描かれていたり、カメラワークの面白さは評価できる。 演出もそれなりには努力しているのが分かる。 エリザベスとダーシーの二人の手が触れた瞬間のエリザベスのクローズアップした表情、エリザベスがブランコで一人でグルグルしているときの表情、三人で話しているときの沈黙の時間、そして朝日の中にいる二人といったように、観客に対して、「この場面で何かを感じてほしい」という狙いが分かりやすい演出手法を取っているのが特徴になっていると思う。 演技については、キーラとベネット夫妻を演じたブレッシンとサザーランドは説明がなくても、バックグラウンドやキャラクターの性格が感じられるよい演技をしていたが、他の役者はあまりパッとせず特筆すべき者はいなかったと思われる。
[DVD(字幕)] 5点(2006-07-09 17:12:13)(良:2票)
375.  Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?(2004) 《ネタバレ》 
オリジナルに比べてバランスの悪さが目立った。 オリジナルはダンスや夫婦などのパートナーの在り方や信頼感を問いた作品であるが、本リメイク作は、その視点がだいぶ欠けているのに、ストーリーや流れだけをオリジナルに近づけようとしているために、バランスが悪くなっていると思う。 オリジナルにもっと近づけるか、それとももっとアメリカ的に大胆に脚色した方がよかったのではないか。
[DVD(字幕)] 5点(2006-06-22 00:00:12)
376.  アンジェラ(2005) 《ネタバレ》 
母国フランスでは大コケ・駄作扱いされていた本作だけど、まったく駄作というわけではなく悪くはなかった。しかし良くも悪くもない中途半端な映画という印象を受けた。 映画自体は、説教くさいテーマであったが「嘘をいわずに真実をいえ」「人に愛されるような人間になり、なおかつ自分自身も愛せ」「自分に自信をもて」などそれなりのテーマを描きつつ、ラブストーリー的な要素や「別れの辛さ」なんてものも描かれている。しかし、これらのテーマなどが上手く演出されてはいないという気がする。特に、アンジェラの過去がなく苦悩するところや、アンジェラがアンドレのことを本当に好きになり始めて困惑してはやく空に帰りたがるという、肝心の「終盤」をかっ飛ばすほどに雑に演出しすぎている。ここは繊細に演出すべきだろう。 また、アンジェラが天使であることがあまり活かされているとは思えない。途中で正体も明かしてしまっているため更に面白さがなくなっている。天使とはっきりと描くのではなく、ラストは「果たして、アンジェラとは、夢だったのか、幻だったのか、天使だったのか、それとも生身の人間だったのか…」というような余韻を感じたかった。「グランブルー」「ニキータ」「レオン」で感じた「二人の別れ」の「前向きな切なさ」のようなものを演出できる人ではなかったか、リュックベッソンという監督は。お決まりのハリウッドエンディングを良しとする人だっただろうか。 むしろアンジェラは生身の人間の方が面白いのではないか。傷ついた男女が同じ時間、同じ橋で自殺未遂を図るという奇妙な出会いから、お互いがお互いの心の傷を癒していくというストーリーの方がよりベターな気がする。 また、この映画は「最後の戦い」でみせた白黒映画であり、「グランブルー」のような美しい風景をみせており、レオンでの名ゼリフ「「OK」は言うな。(個人的には使って欲しくなかった)」やフィフスエレメントで描いた「愛してる」と言い出せないシーンなど、リュックベッソンの集大成のような映画になっている。しかし逆の見方をすると、前作から6年経ったベッソンの成長のなさ、才能の限界や、監督能力の減退を見せつけられたような気もする。 この内容なら思いきって「最後の戦い」のように全くセリフをつけず、演出と俳優の演技だけでみせつけ、終盤の「ジュテーム」のみをセリフにするとか思いきった演出がみたかったところだ。
[映画館(字幕)] 5点(2006-05-15 22:58:58)(良:2票)
377.  グッドナイト&グッドラック 《ネタバレ》 
この映画の主題である「赤狩り」は、エリアカザン監督のアカデミー賞名誉賞受賞の際にも問題(「赤狩り時代」に仲間を売ったとされ、表彰時にブーイングが浴びせられた)になったが、今なおハリウッドに影を落とす問題である。この映画を通して、その歴史の一端を学ぶことができる点では評価できるかもしれない。 しかし、確かに歴史的に非常に価値ある映像はみせてもらったとは思うが、どうにも物足りなさも覚えた。 この映画では「赤狩り」の首謀者であるマッカーシー上院議員を糾弾するという趣旨は全くないため、比較的客観的・中立的な立場から描かれていると思われる。 そのためか、いまいちエド・マローの内面やその葛藤、苦悩をうかがいしることができなかった。 また、この映画を通して、「表現の自由」とは、「報道の自由」とは、「思想の自由」とは、「国家による思想の弾圧に対するメディアの在り方や我々自身の対応」とは、など色々と考えられるテーマが散りばめられていると思うが、あまりそれらを考える手がかりにはならなかったと思う。 一言でいいあらわせば、映画をみたというより、歴史の勉強をしたというのが正直な感想であった。
[映画館(字幕)] 5点(2006-05-02 21:30:13)
378.  プロデューサーズ(2005) 《ネタバレ》 
観終わった後、他の観客から拍手が溢れていたり(有楽町の日劇)、ここでも結構評判よくいいようですが、自分には全く面白さを感じられなかったな。 下ネタが嫌いなわけではないし、下らない笑いが嫌いなわけでもないけど、コメディ作品なのに全く笑えないし、最後が心が温まるようなものでもなかった。 笑えるシーンの唯一の例外としては、獄中にいるネイサンレインが「あの野郎!俺の過去まで奪いやがった」と怒るシーンくらいかな。 ミュージックシーンでも会計士のシーンくらいしか目新しい感じのはなかったし、楽しめた人には申し訳ないが、ただ単に騒々しいだけの映画でした。
[映画館(字幕)] 5点(2006-04-23 03:50:45)(良:1票)
379.  ファンタスティック・フォー [超能力ユニット] 《ネタバレ》 
悪くはなかった。しかし、あまりにも無難な映画に仕上りすぎていて、全くと言っていいほど満足感を味わえない作品になっている。 アメコミであってもスパイダーマンやバットマンなど、歴史に名を残している作品がある中で、この映画には「野心」というか、「冒険心」のようなものが全く感じられない。 映画会社から、大ヒットしなくていいから、コケない映画を創ってほしいと頼まれれば、このような映画になるだろう。映画ファンのためではなく、映画会社のために映画を創ろうとすれば、このような味気ない作品になるのではないか。 とにかく、適当にバランスよく、アクション、笑い、ラブストーリー、友情、エロ、SF、次作への期待を適度に細切れにして混ぜこんで、過度な暴力的描写(銀行の役員に風穴を開けたくらいの例外あり)を避ければ、ファミリーも楽しめるだろうくらいの感覚でしかない。あとは既存のアメコミなどから演出を似せれば、この映画のでき上がりだろう。したがって、まるで新鮮味がない。 アクションや適度な笑いで楽しませることは必須であるが、色々と余計なことを考えてしまい行動にうつせない科学者(=現代の若者)や、人と違うことに対するコンプレックスに苦悩し自信がもてない主人公(=現代の若者)の内面の変化という面にもさらに描きこむことはしないと、そのうち子どもからも愛想つかされてしまうのではないか。
[DVD(字幕)] 5点(2006-04-09 19:56:04)
380.  メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 《ネタバレ》 
深そうなテーマ(暴力や人種差別など)をちりばめつつも、なかなか本質が捉えにくい映画になっていると思う。 それにしても、宣伝文句の感動のラストというのはいかがなものかと思うが、なかなかシュールなラストになっているのには驚いた。 その辺にごろごろしている普通の観慣れた作品に飽きた人には勧められる一風変わった映画なのかもしれないけど、あまり一般の人には勧められない映画かな。 <以下ネタバレ>①バリーペッパーの役をもうちょい小悪役にした方が話がすんなり入るのではないかなと思う。メルキアデス殺した行為には殺意はなく単なる事故であり、嫁とショッピングを楽しむ余裕もないほど、追い詰められひどく罪悪感を感じている者に対して余りありすぎる報復ではないか。むしろ嫁との浮気を妬んで殺したとかの方が良かったのではないか。 ②ジョーンズとメルキアデスとの関係がフラッシュバックのように挿入されているが、二人の関係の強固さがイマイチ伺いしれないのではないか。なぜジョーンズが法を犯してまで、メルキアデスとの約束にこだわるのか、自分にはよく伝わってこなかった。ジョーンズの動機がわからないために感情移入ができるはずもない。もっとメルキアデスがどういう人間であるかを観客に知らせた方がよかったのではないか。 ③メルキアデスがなぜジョーンズにあのようなことを真面目に言ったのだろうか。自分が死んだら自分の身を故郷に戻してほしいという想いがあったのかもしれないが、生前の彼の真面目な行動とあの言葉がどうにも結びついてこない。 ④3度の埋葬というタイトルだが、それぞれに確かに意味があるのかもしれないが、タイトルになるほどのインパクトが1、2度にあったのだろうか。
[映画館(字幕)] 5点(2006-03-19 00:52:56)(良:2票)
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