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ボビーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1016
性別 男性
ホームページ http://blog.livedoor.jp/gepper26/
年齢 37歳
自己紹介 いつまでもこどもでいたいから映画は感情で観る。その一方で、もうこどもではいられないから観終わったら映画を考える。その二分化された人間らしさがちゃんと伝わってくる映画が好き。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  グラン・トリノ
血を流さず、悪を罰する。永遠に繋がる復讐心の連鎖を、皺らだけの手のひらだけで、その心をその場に置き去りにする。ぼくにはその手のひらの温もりが心に強く残った。グラン・トリノのハンドルを通して、彼にも必ず伝わっている。
[映画館(字幕)] 10点(2011-06-24 01:30:30)(良:1票)
22.  茶の味
自分はどうしても高校生の少年に感情移入しっぱなしで、土屋アンナ演じる鈴石アオイとの淡い関係に興奮しまくりでした。始めて彼女を見た瞬間から胸が熱くなり、いつも彼女の行動ばかりが気になり、そして始めて会話ができた時の一生忘れられそうに無い程の喜び。あぁ、わかるよ!ヒシヒシと伝わってくるよ君の気持ちが!切なくなるほど純粋な彼の心に終始夢中でした。それ以外の家族のストーリーも笑えて楽しくて、そんな中にもほんの少しの涙が零れるような感動的なエピソードもあり、映画が終った後もこの家族のその先の生活を見守っていたくなる心境になってしまうほど、楽しくて素晴らしい映画でした。
[DVD(字幕)] 7点(2011-06-22 21:44:50)
23.  隠し剣 鬼の爪
基本的にチャンバラなんていらない。観たいのはそこに住んでいた人達の生き方や生き様や、それを取り巻く町の様子や世界の様子が観たいのだ。この作品は僕が求めていたそれらにピッタリと合致し、僕に大きな感動と喜びを与えてくれた。変わり行く時代の変化、そこに住む人達の様子、そして侍の心。何もかもが日本にしかない、日本だけの匂いを感じさせ、日本と云う国の歴史や文化の原点を観させてもらったような心境。時代劇の中に登場するチャンバラは最後の最後に少しだけ見せれば良いと思う。黒澤監督の『椿三十朗』のように、ほんの一瞬で伝わる刀の強さや繊細さ。この作品はまさにそれ。美しい映像、演技、音楽。今のこの時代にこれほどまでに洗礼された時代劇を観れた事に感激。同じでも構わない、もっとたくさん観たい。
[DVD(字幕)] 8点(2011-06-22 21:43:43)(良:1票)
24.  es[エス](2001)
人間の可能性というのは上下左右どこにでも 無限大なのだと改めて痛感させられる 実験内容でした。まさに、 惨たらしい実験をまじまじと見せつけられ、 うずうずする思いを ひたすら鑑賞中抱かされました。 プラスでポジティブシンキングな 可能性、変化、成長というのは、 王道パターンであり、 むしろそれこそ映画の流れではありますが、 やはり本当の人間の姿を描くとなると マイナスなネガティブな印象を受ける 可能性、豹変、狂気と化していく様の方が、 人間を観た気にとってもなるもんです。 実験を実験として、その中しか見せないところもまた、 その臨場感、現実味を強く抱かされた要因の一つに あったように思います。 とにかく、グッと引き込まれるその引力は、 豹変の見事さ、残酷さ、えげつなさが、 あまりにも自然体で説得力に溢れ、 新鮮で納得せずにいられなかったからだと思いました。 人間とは、美しい生き物だ!なんて綺麗事を 軽はずみに言えなくなり、価値観さえも 変えてしまう驚異的な傑作だと思います。   
[DVD(字幕)] 9点(2011-06-05 12:52:17)
25.  ミスター・ノーバディ
なぜこんな支離滅裂な、終始転結のないストーリーテリングに感動してしまうのか!己に解いた。わからん!でも、「トト・ザ・ヒーロー」と同じで、ニモにとっては空想、妄想かもしれないそれは、確実にぼくの目の前には存在していて、確実にぼくの心を激しく揺さぶった。ニモと同じように愛おしく思い、嘆き、喜んだ。「トト・ザ・ヒーロー」の監督の新作がやってのか・・・ま、見に行ってみますか・・・軽い!ぼく、軽い!そんなフワッと足を運んだ映画館で、グサッとやられましたわ!なんてことはない、ただただやっぱり監督の描く少年少女の無垢で純粋で熱い想いは、孫悟空のにょいぼうの如く、真っすぐに伸びて伸びて、ぼくには抵抗のしようがないほど爽やかに突き刺さる。その気持ち良さたるは、ピュアな恋心の始まりの瞬間のよう!アンナ好き!嗚呼、気持ちいい。
[映画館(字幕)] 9点(2011-05-25 11:08:05)(良:1票)
26.  エリックを探して
これまでこんなチャーミングなケンローチ作品があったっけ。優しく爽やかで、軽やかで微笑ましい。カントナ作戦とはつまり、リスクを恐れず挑戦する気持ち。そこにはテーマとして仲間を信じることや観客を喜ばせることがあった。ぼくは観客、彼らはカントナ。 エリックの中にもカントナがいて、彼の力強くて健気で、無条件な愛情が本当に気持ち良かった。 自己啓発して現れたカントナは、自分自身。無条件で自分を愛してくれるのは自分自身以外の何者でもない。 自分でみずからの背を押す、誰もがそうやってでしか決断し、前へは進めない。 ケンローチがいつも教えてくれる事と、根底は変わらない。イギリス社会で働き、家庭があり、苦しみ、迷いながら生きる庶民の話。ただ、憎しみや妬み、恨みのベクトルの向かう方向やその強さをちょっと変えただけ。 今後もケンローチさんには、この作品のような作風の映画をたまに描いて欲しい。
[映画館(字幕)] 8点(2011-01-23 23:57:05)(良:1票)
27.  バベル
なんだか、どのストーリーも尻窄みな印象。 日本のストーリーなんてもう、 本当にさっぱり意味がわからない。 どっかに焦点が絞られていくのかと思いきや、 分散したまんま。 どうなんだろ。 一本の銃が人生を狂わすという内容なの? だとすると日本は弱すぎる。セリフでの説明しかないし、 陰部を見せる少女のストーリーは意味不明。 抽象的な意味があるにしても、 それがぼくには見つけられない。 考えなければならないのかも知れないが、 考えたいと思う内容ですらないのが残念。 ただ、少年が銃を打ってしまう悲しさ、悲惨さは 胸を打たれた。あの短編に点数献上。
[DVD(字幕)] 6点(2010-05-23 21:44:23)
28.  レスラー 《ネタバレ》 
バカだなラム。愚かだ。でも、そうするしかないんだよな、きっと。 リングの上で人生の最高潮を迎え、リングの外を蔑ろにしてきたラム。 彼が生きたのはリングの上でしかない。リングから降りたら何もない。 家族も、名誉も、地位も、金もない。リングの上にいることが生きること。 だから引退なんてできない。引退したら彼には何もない。 彼にとってリングにいることは呼吸することと同じ。 彼にとってリングに立つことはトイレに行くことと同じ。 彼にとってのリングの上で戦うことはベッドで眠ることと同じ。 彼はリングの上でその全てを終わらせたのだとおもう。 バカで愚かだけど、最高にカッコいい。   
[DVD(字幕)] 9点(2010-05-23 21:26:47)(良:1票)
29.  アバター(2009)
確かにこれは映画舘で観るべき映画でしたね。 まぁ、映画は映画舘で見なきゃ根本的にはダメなんですが、 この映画に限っては内容はさておいても映像を堪能するという 意味において映画舘で観るべきでした。 あれだけ凄いと映画ってなんだっけって気分になってしまいますね。 人間を、人間の感情を観るために映画を見るのに、 この作品はもうそこの次元を二の次にしてしまいます。 内容的には、人の『生きる』という意味の中には 『考え、行動する』のも含まれているとぼくは思います。 軍人だった主人公にとって自らの足で歩き、走り、飛ぶという行為は とても重要だったのではないかと思います。 やりたいこともまともに出来ず、どこかしら生きる目的を失っていた 主人公にとってはアバターの世界はまさしく生きている実感の持てる 世界になっていたのかも知れません。だから最後の決断に至ったのだと思います。 この彼の感情の流れ自体、非現実的なストーリーあってのものだと思います。 やはり目がいくのはあのアバターの世界。 日本の現実社会を描くことが否応なしに求められる映画産業の中にいるぼくとしては 同じ映画だというのはなんとも理解し難いです。 まるで本物のようなパンドラの世界に圧倒されっぱなしです。 昔幼い頃に「ジュラシックパーク」を観た時のあの ティラノサウルスをカッコいいと興奮した時のように 終盤の戦闘シーンはかなり興奮しました。プテラノドンぽいの、 サイっぽいの、虎っぽいの、全部ぼくをワクワクさせてくれました。 おうちの液晶ですらこれだけ楽しめたなら、 3Dであの戦闘シーンを観たらどうなっていたか… 残念、無念。  
[DVD(字幕)] 7点(2010-05-23 21:03:59)
30.  扉をたたく人
タイトル後のファーストカットから訪問者が訪れます。 この作品は玄関や扉付近でのお芝居が本当に多く、  それがこの作品のテーマであることを意味しているように思います。 他人との繋がりの場である玄関や扉の持つ比喩的な 出会いと別れの表現が全編通して大変うまく描かれていました。 音楽以外に興味のない男が、音楽を通して他者への 興味、関心を抱いていくという内容で、作り方が 強引ではなく、とてもスマートで心地良かったです。 1人ぼっちを平然と受け入れていた男が、 他者に興味を持ったことで孤独を知り、 ラストカットでのあの俯きかげんに、寂しそうにジャンべを 強く強く叩くシーンはとても心揺さぶられました。 アップが無くても彼の涙も想いもヒシヒシと感じれました。 社会と人間を丁寧に描いた優しい映画でした。  
[DVD(字幕)] 8点(2010-05-23 20:29:04)(良:1票)
31.  ディア・ドクター 《ネタバレ》 
伊野が偽ってまで医師になろうとした動機は定かになっていないが、想像する事はできます。一つは、年間2,000万円という大金目当て。そうとうお金に困っていたのかな?バックグラウンドはあまり描かれていませんが、お金が必要な家庭で育ったようには見えませんでした。この時点で、お金目的ではないことは理解できます。西川監督の演出上でも、そのような印象を受けない人物でした。ただただ伊野は村長に頭を下げられ、心が動いたのでしょう。さほど大きな理由もなく、ただ「やってみるか」くらいの気持ちだったのではないでしょうか。だから月日が経つにつれて、高齢化の進む村での命と隣り合わせの状況の辛さや、極端なまでの期待、絶対の信頼を向けられる重圧、プレッシャーなどが募りに募り、潰れそうになっていたのではないでしょうか。命の重み、老人の苦しむ姿、家族の温もり、それらすべてが鉛のような罪悪感となり、伊野の背中に伸しかかり、逃げ出すしか術がなくなっていたのではないでしょうか。ラストのドキュメンタリータッチの描写は伊野を否定しているが、僕には肯定に見えて仕方ありませんでした。
[映画館(邦画)] 8点(2009-09-11 16:21:07)
32.  ウォーリー 《ネタバレ》 
やっと戻ってきたような気がします、本来のピクサー作品。人の世界の脇役を主役に持ってくるピクサー本来の作品作りの本領が存分に生かされている素晴らしい作品だと思います。時代設定をこれまでにない、遠い未来に持ってきたことで初めて成立するストーリーテリングで、全てに置いて“巧い”という感想を抱きました。人もロボットもみな同じ、生きる目的がないと生きていけないものです。ウォーリーがひたすらゴミを集め続けたのは、本来の“掃除”ではなく、“宝物探し”が目的なのではないかと思いました。彼は宝物の何かを700年間探し続けた末に、イヴと出会うことができました。ウォーリーとイヴの喜怒哀楽や恋など、あるはずのない彼らの感情に入り込むことができる物語作りに感動しました。人間という存在は脇役に、主軸はどこまでいってもこの作品ではロボットです。プログラムされた目的よりも大切なことに気づいていく、その姿に涙涙。ロボットだからこそ持つ感情。葛藤。そこにはすごく当たり前だけど、見落しがちな大切な思いがたくさん詰め込まれていました。人間の醜い姿にリアルを感じ、ロボットたちもいつの間にかリアルへ。ラストの地球へ向かわせ方と、終わらせ方が見事です。
[映画館(字幕)] 9点(2008-12-31 09:51:43)(良:1票)
33.  ライフ・イズ・ミラクル 《ネタバレ》 
絶望的な状況と希望に溢れた関係が同じ空間内に存在しており、その相反する状況がとてもコミカルで口元がニヤニヤしてしまった。ルカの切迫した感情が、アバーハによって次第に解きほぐされ、癒され、そして家族がどうでも良くなっていく様が素敵だった。また、二人が愛し合う姿は生きることそのもののように見え、それは戦火が激しくなればなるほど二人の想いも燃えていき、活き活きと輝いていくように見えた。“死”と“生”は常に表裏一体で、その状態がまさに画面の中にしっかりと描かれていた。エミール・クストリッツァ監督の作品を観ていると、そのことを常に意識して作品を描いているように思えてくる。生きることが恋をすることで、恋をすることは生きること?なのかな?まぁ、それはさて置いても、ロバとルナが失恋で死にたいと思うのは、つまり生きる希望を見失ったからだと思った。アバーハの魅力には、脳天打ち抜かれたように頭がクラクラした。笑顔も顔をクシャクシャにして泣きながらルナの名を呼ぶ姿も、ルナの服を口に銜えて走る姿も、上目使いも、全部可愛い。それを観ただけで満たされ、癒される。動物たちのように、無邪気で無知で愛くるしく、純粋無垢で自由奔放で抱きしめたくなる。クストリッツァ監督の女性の趣味があまりにも素晴らしい!
[DVD(字幕)] 9点(2008-08-30 22:46:27)
34.  西瓜 《ネタバレ》 
水不足の台湾。パリから帰国したばかりなのに、水を集めまくる不可思議な魅力を持つ女、シャンチーと、そんな彼女を抱きたいと強く思っているAV男優のシャオカン。同じマンションで、シャンチーに自分がAV男優であることを気付かれないために必死になるシャオカンの姿が、なんとも素朴で健気で、嫌われたくないと思うその繊細な感情が素敵だった。シャンチーもシャンチーで妙にピュアで、どっかちょっとネジが外れているみたいで可愛らしく、とにかくもう無茶苦茶魅力的だった。シャンチーもシャオカンも純粋で、近づきそうなのに中々近づけない姿に胸がキュンキュンした。そんな二人がラストシーンで繋がる。心も身体も一瞬にして。互いに求めていて、それでも純粋すぎて近づけなかった二人が、AVの撮影という状況の中で、本能的に近付いていく。爆睡しているAV女優に挿入したまま、小窓から顔を覗かせているシャンチーを見つめるシャオカン。シャンチーの喘ぐ声とその表情を見て、シャオカンは燃える。まるで二人が繋がっているように見える。そこにいるのは二人だけのように思えてくる。どうとも取れるラスト。ブワッと広がった想像の可能性の渦に僕は酔い痴れました。素晴らしい。
[DVD(字幕)] 9点(2008-08-23 13:59:16)
35.  画家と庭師とカンパーニュ 《ネタバレ》 
前作「ピエロの赤い鼻」よりも断然、台詞の掛け合い具合や人物たちの動きが素晴らしくなっており、スクリーンを観ているただそれだけですごく楽しめた。幼い頃仲の良かった二人が久しぶりに出会い、余白の部分を埋めあうように様々な会話にふける。青々と美しい緑、クシャクシャで愛くるしいバカ犬、日向に横たわる美女、吊り上げた大きな魚。それらの飾らない美しさと、庭師、ジェルダンの振る舞いが同じように飾っておらず、あるがままの幸せや喜びをしっかりと噛み締めているようだった。そんなジェルダンや自然に影響を受け、次第に魅力的に変化していく画家のキャンバスを好きにならずにはいられない。優しくて暖かい物語。テンポが良くて、尺も短く、ラストシーンまでじっと集中して観続けることができた。終始、コミカルな空気で包まれているため、どんなに悲しみの結末を予感できたとしても笑顔で見届けることができた。今後の、ジャン・ベッケル監督にも期待が持てる。
[映画館(字幕)] 8点(2008-08-23 13:34:39)(良:1票)
36.  バイオハザード(2001)
回を増すごとに、だんだんと白けた目線で物語を見てしまう自分がいることが、何より恐ろしい。僕自身もゾンビのように、ドロドロとした知識によってピュアなハートを失っていき、終いには過去の自分が大切にしていた物事までも傷つけていく気がする。嗚呼、ミラよ、僕を蹴飛ばしてくれ。その美しい足で…それで死ねたら本望だ…
[映画館(字幕)] 6点(2008-08-23 01:09:59)
37.  きみの友だち 《ネタバレ》 
全編を通して驚くほどベタのオンパレードですけど、それでも観れてしまうのは、それが何より共感しやすい物事だからだと思います。しかし、あまりにも真ん中にある二人の女の子だけの話だけだと流石に萎えてしまいます。それを回避するためにある種のオムニバスのような構成になっていたのだと思いました。天井の画とか卑劣なほどベタですが、憎めないです…素敵だから…色々と想像できてしまうから… この作品で問いたいのは、「友」とは?だったと思います。本当の友情を求める少女、片思いのような友情に縋りつく少年、あまりにも不器用すぎて友情を築けない少年。それぞれ抱える想いがどっかで真ん中の物語に重なってくる。それは自分の記憶にも触れてくるから涙が出てきて厄介でした。良いお話過ぎて、ちょっと鼻に付きますが、それでも貶し切れない素敵な作品です。
[映画館(邦画)] 7点(2008-08-21 19:00:57)(良:1票)
38.  ぐるりのこと。 《ネタバレ》 
映画は救いだと、ある監督が言いました。この作品はまさに救いであり、希望だと思います。何事にも真面目に取り組む頑張り屋の翔子とだらしなく見える法廷画家のカナオ。皆そうなんだろうけど、頑張りすぎるとネジが外れて、崩れてしまいます。苦しいときに苦しいと言えず、悲しいときに悲しいと言えない、そのあまりにも急過ぎる時間の流れの中で、翔子はまるで溺れないようにもがいているように見えました。そんな疲労や苦痛が積もりに積もってしまった翔子は、崩れてしまったのだと思いました。だけど、そんな中でも、翔子のそばにいたカナオはどんな時も目を逸らさず、逃げず、抱きしめ、受け入れようとしているように見えました。現代社会には、人それぞれ異なった人生を歩み、それぞれの事情を背負っているのが当たり前なのに、その抱えているものも見ようともせずに頭ごなしに否定する人々や結果だけ見て、全てを判断してしまう人々、そして生きることは答え合わせではないはずなのに、間違いを恐れ、思い込みに捕らわれ、頭でっかちで凝り固まった考えしかできない人々など、それはもうたくさんの人がいます。それらの常識と呼ばれる凝り固まった考えに橋口監督は「二十才の微熱」の頃から疑問符を投げかけ続けているように思います。その橋口監督の考え方は、簡単に言えば他者への感心や尊重だと思います。ラストのカナオの台詞にも「人、人、人」とありますが、社会は人の集まりなのでそこから逃れることも目を逸らすこともできないのですが、それでも社会は他者への興味、関心、尊重が薄く感じられます。そんな世界で、橋口監督が描いたカナオという人物の、まわりの人間に関心と尊重をしっかり持つ姿勢にはすごく感動しました。法廷であろうと、妻に対してであろうと、ご近所さんであろうと、道を歩くあかの他人にであろうと、彼は関心を持ち、他人を尊重していたように思います。それは理想でしかないのかもしれませんが、僕はあのカナオの姿を目指したいと思えました。
[映画館(邦画)] 9点(2008-08-21 18:25:35)(良:3票)
39.  ネバーランド 《ネタバレ》 
序盤でのジョニー・デップ演ずるジェームズと子供達との心温まる絡みは、幸せな気分と楽しい気持ちにさせてくれた。子供達の笑顔やジェームズが語る幻想的な物語の数々、ロンドンの美しい風景や繊細で美しい音楽など、いくつもの素晴らしい演出が絶妙に混ざり合い“映画”という形でしっかりと僕の五感に届き、本当に幸せな気持ちで心を満たしてくれた。しかし、中盤頃からそんな幸せなストーリーに少しずつ悲しい影が入りこんでくる。胸が締め付けられるように切なく、悲しい。そして、終盤でシルヴィアと子供達はネバーランドを目にし、そんな彼女達の幸せそうな姿と、その映像の美しさのあまり、僕の目からは止めど無く涙が溢れてきました。切ないけど、嬉しい。嬉しいけど、やっぱり悲しい。だけど、人を信じ、夢を信じ、希望を信じる事の大切さを、改めて深く考えさせてくれました。この信じる事が何より難しくなった世の中で、こんなに“信じる”という事を強烈に意識させる映画が出てきた事はとても素晴らしい事だと思う。そして、今まで観た事のないジョニー・デップの演技にはとても感動しました。でも、デップ以上に、ピーター役のフレディ・ハイモア君の演技には、終始感動させられっぱなしでした。
[映画館(字幕)] 9点(2008-08-13 18:48:30)(良:1票)
40.  百万円と苦虫女 《ネタバレ》 
この作品はとにかく蒼井優さんが素晴らしい。 彼女が町や村を転々とするのは、彼女が寂しがり屋で臆病で、弱い人間だから。人と関わるという事は、とにかく面倒なことで、迷惑をかけたり足を引っ張られたりするものだと思う。それは社会で生きるなら逃れられないことで、それから100パーセント逃れようとするのなら、社会の存在しない無人島に行くか、生きることをやめるしかない。だけど、彼女がそこまでしなかったのは、生きていたいからで、誰かとどこかで繋がっていたから。彼女は逃げて逃げて、でも最後は逃げたのではなく、別れたのだと思う。物語はある種のオムニバスのように、目的を果たすたびに住む町を変え、そこで出会った人との繋がりが、彼女を少しずつ変化させたのだと思った。 恋に落ちた瞬間も、弟への申し訳なさも、愛した人と別れる瞬間の力強い表情も、全てが変化の着地点に見え、その全てのカットが記憶に鮮明に残っている。 でも、彼女の弱さや脆さは誰しも心の奥に持っているものだから、彼女の心の小さな小さな起伏をしっかり掴むことができたのだと思う。そして、それが掴むことが出来たのは、蒼井優さんの演技が素晴らしいからであり、それを搾り出すように引き出すことに成功したタナダユキ監督の演出あってだと思った。
[映画館(邦画)] 8点(2008-08-09 22:43:35)
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