21. ポセイドン(2006)
《ネタバレ》 名作「ポセイドン・アドベンチャー」と比較してはいけないのであろう。パニック・アクション・サスペンス娯楽大作として、テンポも良くメリハリも効いており(90年より前の映画と現代の映画の大きな違いはこの点か?、ある種の「間」「間合い」を楽しむ以前の映画に比べ、現代映画は、とにかくスピーディーでコンパクトが良しとされている傾向にあると感じる)、この手の映画特有の「お約束」も存分に取り入れられている(人の生き残り方、恋愛事情、親子愛、どうしようもない男の早期死亡、奮闘するお年寄り、閉所恐怖症等の病気持ちの存在、がんばる子供、etc・・・。この点をリアリティの欠如と言ってしまってはいけない種類の映画)。映像も良くできており、カメラアングル等の撮影もなかなか。見て損はない。 [DVD(字幕)] 6点(2006-12-02 00:29:57) |
22. M:i:III
《ネタバレ》 アクション映画としては、さすがの出来栄え。スパイ映画としてはジメジメしすぎ、もっとカラッと描いてほしかった、恋愛や結婚を絡めるのは、ある意味、ルール違反ではなかろうか?オリジナルのテレビ(邦題「スパイ大作戦」)が好きだった私にとっては、映画第1作目で、テレビのヒーローであったダンディで仲間思いのチームリーダ-のジム・フェルプス(ジョン・ボイドが演じた)が、裏切り者として描かれてから、どうもこの映画シリーズは、不信感を持って見てしまっている。クルーズの年齢を考えても、最後にしてほしい。それにしても、クルーズの「走り方」はカッコ悪い、松田優作を見て勉強してほしいものだ。 [DVD(字幕)] 6点(2006-11-29 23:56:31)(笑:1票) |
23. インサイド・マン
《ネタバレ》 なんとも評価しにくい作品。主演の3人とも肩の力が抜けた演技をしており、名優たちの掛け合いを楽しむ映画なのかもしれない。プロットとしては、それほどのものはなかった感じがするし、「何のために?」「何が強調したいか?」等の主題はぼやけているように感じた。本格サスペンスとしては、物足りなさを感じざるをえない。 [DVD(字幕)] 4点(2006-11-29 20:48:34) |
24. オーメン(2006)
《ネタバレ》 オリジナルに忠実なリメーク。どうしても比較してしまいたくなるだろう。本作品は、ペックやホールデンといったハリウッドきっての名男優を父親役としていない。その点では、逆にリアリティがあるのかもしれない。また、70年代映画特有の「間」がなく、現代映画のスピーディな展開に仕上げている(上映時間は6分しか違わないが・・・)。ダミアンは、成長前の悪魔の子として、より人間的に描いているようにも感じた。オリジナルを見ている人は、物足りなさを感じるかもしれないが、本作品を先に見た人が、オリジナルを見ると、古臭く間延びした感じがするのであろう。オリジナルの素晴らしさは当然に認識しつつも、時代にマッチした仕上がりであったと思う。 [DVD(字幕)] 5点(2006-11-29 20:42:27) |
25. キスキス,バンバン
《ネタバレ》 個人的には非常に好きな映画。ハチャメチャでプロットもあったものではないが、謎解きも一応は筋が通っている。スーパーマン等のヒーローの「不死身」より、こういった種類の「不死身」の方がおもしろい、指がなくなったり、やたらと身体は痛んでいるが・・・。悪く言えば「内輪受け」の作品かもしれないが、出演者もスタッフも随分と楽しんだ映画だったのではないか?アドリブも豊富だったのではないかと思う。その「楽しさ」が見ていて伝わってくる感じがした。 [DVD(字幕)] 7点(2006-09-29 01:11:54) |
26. すべてはその朝始まった
《ネタバレ》 米仏の名男優(?)を二人も揃えて、いささか出来が良くないと言わざるを得ない。相棒がいきなり射殺され家族の身が危ないのに警察にも通報しない危機感のない主人公、そしてオカネを取り戻すためと最後には自分でカタをつけに行くがオカネが戻ってきたのもただの偶然、加えてラストシーンは取って付けたような展開でありあのままなんのお咎めなしなんてありえない。製作者サイドが訴えたいのは、結局は家族のために戦う強い(不倫しかけた)父親像?サスペンスとしては、あまりに矛盾も多く工夫も少なくプロットも崩壊しているお粗末な作品であろう。私にとっては本年度ワースト。 [DVD(字幕)] 2点(2006-09-28 03:09:18) |
27. イーオン・フラックス(2005)
シャーリーズ・セロン、アンジェリーナ・ジョリー、ミラ・ジョボビッチ。この3人の女優には、その生い立ち以外にも同じ臭いを感じる。セロンとジョリーはオスカー女優であるにもかかわらず、自身の身体をまさに映像の道具として使い、恥じらいがない反面で色気もない。この作品で、この3人が「アクション映画の揃い踏み」をしたことになるが、三者三様で映画としてもおもしろいので何やら複雑な心情である。「モンスター」で醜い女性を演じた(だからこそ、オスカーが取れたのだが・・・)後のこの作品、セロンが「私はこのとおり美しいのよ、スタイルもいいのよ、アクションもできるわ!」と主張している映画なのであろう。ハル・ベリーやセロン、オスカー女優も一昔前とは性質が変わってきたようだ、それだけ競争の激しい世界か・・・。オスカーを取りながらも、こういう系統の映画に出演し、ほとんどスタントなしで演じたセロンの敬意を表したい。 [DVD(字幕)] 6点(2006-09-27 16:07:47)(良:1票) |
28. トゥー・フォー・ザ・マネー
《ネタバレ》 主人公(マコノヒー演ずるスポーツ予想屋)のモデルとなった実在の人物自身の売り込みによって映画化したとのことであるが、どうも話としては薄っぺらいしリアリティに欠ける感は否めない。ブックメーカーという職は日本にはないので(英ではさかんなようであるが)、その実像を描写した点は興味深かった。それと、パチーノの存在感は相変わらずである、セリフ回しはやや時代遅れの感もあるが、やはり迫力は充分であった。 [DVD(字幕)] 5点(2006-09-27 00:03:16) |
29. ユニコーン・キラーを追え(前・後編)<TVM>
《ネタバレ》 時代背景を考えれば「ありがち」な話なのかもしれないが、ヒロイン(ナオミ・ワッツ)は、どうして一度逃げているのにまた男の元に戻ったのか?どうして暴力を振るわれても付いていくのか?どうしてストリッパーまでするのか?どうしても、この女心は男の私には理解できない。興味深かったのは、米と仏の法解釈の違い。米は「米が先進的・実務的で、仏は古典的・非効率的」と考え、仏は「仏は人道的・伝統的で、米は野蛮」と考える。この狭間の中で、犯罪者が自由に生きていけたというのはおかしなものである。この実話を見て思ったのは、「先進的なカリスマには、まともな人間はいないのか?(まともな人間じゃカリスマになれないのは、どこの国でも同じなのか?)」。 [DVD(字幕)] 6点(2006-09-21 02:22:04) |
30. 穴/HOLES
《ネタバレ》 おもしろい。この映画のジャンルはなんだろう?ミステリーであり、アドベンチャーであり、コメディーであり、ファンタジーであり、ロマンスであるヒューマンドラマ。砂漠という舞台、そこにある無数の穴の映像には魅惑さえ感じた。各キャラも個性的で良い。シガニー・ウィーバーやジョン・ヴォイトという「チョイ落ち」の名優に、こういう配役をするなんて、なかなかのものである。 [DVD(字幕)] 7点(2006-09-21 02:09:26) |
31. バットマン ビギンズ
《ネタバレ》 なかなか渋く仕上がっており、脚本も手がけたクリストファー・ノーランらしさも、そこそこは出ていたと思う。身辺を整えていく過程は少し滑稽さを感じたが、人間くさく描きたい以降も感じたし、ベールもしっかり演じていた。でも、ノーラン監督には、オリジナリティ溢れる新作を期待したい。 [DVD(字幕)] 5点(2006-09-18 01:52:08) |
32. デッド・カーム/戦慄の航海
《ネタバレ》 「海」という誰の助けも得られない場所における「船」という密室での展開は設定としてはおもしろい。が、犯人役がクレイジーなのはしょうがないとしても、主演の二人も「間抜け」すぎる。こんな犯人を退治するチャンスは何度でもあるにもかかわらず、銃を奪われたり、犯人を捕らえても殺したり海に捨てたりしないキッドマン、色々してもなんと自分の犬に邪魔される始末。人の船で閉じ込められてしまうニール(この設定は余分)。ラストシーンにいたっては、思わず笑ってしまった、照明弾がどうして犯人の口にああ見事に入るわけ??と、演出・プロットともにイマイチながら、音楽を入れるのを極力押さえ、静けさで「海における孤独」を表現しており雰囲気は良かった。 [DVD(字幕)] 4点(2006-09-11 03:42:03) |
33. 殺人ゲームへの招待
《ネタバレ》 この時代にマッチした良い香りがする作品。このコメディを今作っても、この雰囲気は出ないだろう。「大きな家の中に怪しい人物が集まり殺人事件が起こる→誰が犯人か?」というクリスティーやクイーンに見られるようないわゆる本格派推理小説の王道パターンをパロディにしたという点だけでも、センスを感じる。しかも、(DVDでは、)エンディングが3種類も用意されており、それぞれで犯人が違うというのもナイス・アイデアではないか?この3つの結論に矛盾することなく、一つのストーリーが作られているわけであり、コメディ的な側面以外でも、そのプロットは楽しめる作品である。 [DVD(字幕)] 6点(2006-09-10 01:28:19) |
34. キャビン・フィーバー(2002)
《ネタバレ》 すごい作品。展開が理不尽で支離滅裂で我儘で滅茶苦茶。製作者の意図だろう。伝染病をめぐり、友情が壊れ、愛情が壊れ、人間としての理性が壊れ、そして人間自身が壊れていく。この過程がシニカルに描かれていた。また音楽は良いセンスをしていると思う。救いようの無さに妙なエネルギーを感じてしまう作品である。 [DVD(字幕)] 7点(2006-09-08 03:06:24) |
35. プライマー
《ネタバレ》 タイムマシーン物、パラレルワールド物は、どこか矛盾が生じてくる。例えば、同じ時に同一人物が二人いてもいいの?とか、それぞれの「時」に自分がいるなら過去に戻っても今は変えられないんじゃないか?、とか。製作者は、ただの娯楽作品にするのではなく、このパラドックスに真剣に取り組んだのであろう。地味ではあるが、見ても損はしない。でも、もう少しゆっくり描いてほしかった。 [DVD(字幕)] 6点(2006-09-06 03:16:59) |
36. HYDE ハイド
《ネタバレ》 現代版「ジキル&ハイド」として、設定やテーマはおもしろい。しかし、後先考えない大量殺人犯にしてしまうのはどうであろう?心の葛藤をもっと描いてほしかった。そして、無理にホラー仕立てにして、視聴する側を脅かす演出も無意味。ラストシーンもあっさりしすぎ。映像的なセンスもあったと思っただけに、その点が残念。もっと骨太な作品にできたと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2006-09-06 02:52:51) |
37. シリアナ
乾いた雰囲気でリアリティを表現したかったのであろう、題材といい描写といいクルーニーと共同で本作品を製作総指揮したソダーバーグ監督の「トラフィック」と重なる作品、「オスカー狙いだな」と感じてしまう。民族性の違い、国益(パートナー選択を含む)の考え方等を伏線を絡ませながら描いているが、確かにわかりにくい。デイモンの役どころは非常に中途半端に思えた。ラストシーンはちょっとやりすぎ、一気にフィクションの世界に戻されてしまった感がある。CIA工作員の実話をベースにしていることを考えれば、自由の国・アメリカの情報開示への懐の深さを感じさせた。 [DVD(字幕)] 5点(2006-09-06 00:33:06) |
38. ステイ
《ネタバレ》 一番乗り?「チョコレート」「ネバーランド」の監督の作品なのに、ユアン・マクレガー&ナオミ・ワッツ出演なのに、そんなにマイナー作品?正直言って、難解な作品ではあった。印象としては、デイビッド・リンチ作品からドロドロした部分を排除しスタイリッシュにした感じ、リンチほどの深みはないが。映像は非常に凝っている、特にシーンがチェンジする際の描写方法はおもしろい。私なりにこの作品を解釈すれば、ヘンリーが事故を起こし死ぬまでの短い時間に、事故を起こした謝罪の念を抱きながら、頭の中に描いた幻想なのであろう。幻想の中の登場人物は、事故現場に偶然にも居合わせた人々であり、主要人物には自分自身も投影している。頭の中で死を認識する(罪を悔いて自害する)準備をしたという点では、「記憶の扉」や「ジェイコブス・ラダー」「シックス・センス」「アザーズ」に通じるいわゆる「夢オチ」とも言える。しかし、ラストシーンで、マクレガーがワッツをコーヒーに誘うが、死を目前にしたヘンリーの幻想が現場に居合わせた人々に影響を与えているということなのか?難しい。指輪や絵や風船といった小物を伏線として巧みに使い、確かに難解ではあるが、「こだわり」を感じさせる作品であった。 [DVD(字幕)] 6点(2006-09-04 02:50:44)(良:2票) |
39. アンダーワールド/エボリューション
《ネタバレ》 前作はこうコメントしていた。「スタイリッシュな映像・音楽、アクションだけでなく、プロット、脚本もしっかりしていて、テーマもある上質な映画。民族同士の戦いが、旧式伝統を重んじる保守層と自由・平和・融合を求める革新層の戦いへと変質するストーリーはありがちだが、バンパイア族(ブルジョア)と狼男族(プロレタリアート)でそれを描いている点は秀逸。」続編であるこの作品も悪くはない、だが、やはり前作には劣る感は否めない。ストーリーは、それぞれの発祥や隠された秘密を描き、矛盾無く膨らましてはいるが、おどろおどろしい感覚が強く、前作の「スタイリッシュでスピード感あふれる展開」は影を潜めてしまった。CGやロケ等に相当なオカネもかけたとは思うが、残念である。ただし、ヒロインの体当たりな演技は見事で、魅力にあふれていたと思う。 [ビデオ(字幕)] 6点(2006-08-31 00:54:36) |
40. ミュンヘン
《ネタバレ》 大作であり、名作と思う。しかし、セミ・ドキュメントであるのはわかるが、脚色しすぎと感じた。時代背景はあるにしても、経験不足の素人集団の暗殺が簡単に運んだり(各国の警察はなにしてる?)、情報が簡単に取れたり(最も難しい問題なのに・・・)、エロ女性暗殺者がバーで誘ったり(こんなヒットウーマンは現実にいるの?)、アクション・ヒーローのごとく戦闘に参加したり(戦闘訓練は?銃を扱ったことあったの?)、いささかリアリティに欠ける感は否めない。主人公のチームは、もっと汚く、ずるく、かっこ悪く、弱々しく描写してほしかった。モサドの暗躍をもう少し具体的に描いても良かったと思う。一方で、主人公の心理描写は見事であったと思う。また、取り巻きのキャラもそれぞれ光っていた。ある意味、「仲間」「家族」「国家」というそれぞれのコミュニティにおける自分自身の意味を問う作品であった。 [DVD(字幕)] 7点(2006-08-31 00:39:57) |