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もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 542
性別 男性

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  女と男のいる舗道 《ネタバレ》 
ヌーヴェルヴァーグとかは勿論のこと、予備知識はなるべく入れずに観るようにしているのですが、この映画の一番最初でキャストとスタッフのクレジットがアンナ・カリーナの横顔の上に載せられているのを見て、何て斬新なオープニングなんだと衝撃を受けました。 ストーリーが章ごとに区分されて進む形式やこのオープニングクレジットなど、これがヌーヴェルヴァーグ的な表現なのかどうかはわかりませんが、今のこの時代に観ても十分に驚きを与えうる映画だと思います。 必見はアンナ・カリーナが「裁かるゝジャンヌ」を観ているシーンで、劇中で涙を流すジャンヌをアンナ・カリーナにオーバーラップさせる演出。このセンスはもう最高。 また、手紙に自身の特徴を書いているときに立ち上がって身長を測っていた姿がとても可愛らしく、手を広げて測っているときに顔が指で押されてフニャっとなってしまっている時の表情がたまらなく好きですし、「右を向くのも自分の責任、不幸になるのも・・・」と、哲学的な会話が展開されるのもゴダールらしい味が出ていていいです。 最後に銃で撃たれて悲劇的な結末を迎えるところや、全体的なストーリーが自分好みではないところが残念でしたが、客を楽しませるために「面白いストーリーを作ってみました」みたいなわざとらしい話を聞かされるくらいなら、こういうストーリーの方が何倍も楽しめると思います。
[映画館(字幕)] 6点(2011-08-12 00:02:11)
22.  荒野の七人 《ネタバレ》 
オリジナルの方はまだ観ていないのですが、「七人の●●」とか「●●の七人」という作品で、7人全員にスポット当てることが出来ているものって、あるんでしょうか? この映画も、途中までは凄く良い。人数集めをするシーンで、一人また一人と仲間が増えていく時の高揚感は他の映画では感じることの出来ない盛り上げ方で、ここまではかなり好き。けど、5人目くらいまではしっかりと人物描写をしながら人数を増やしていっているのですが、最後の方になるとちょこっと顔出して終わりといった手抜きとも言える進め方なのでどうしても中途半端な印象が残ってしまいます。ここは上映時間をあと30分増やしてでも7人全員のキャラを確立させて村に行って欲しかったです。 ついでに、もう一つ不満なのが村民の態度が コロッと一変してしまうくだりなんですが、「死体がこの辺一帯に散乱するのはイヤだ」とか言って7人が逆に締め出しを食らうところは、まぁ、起承転結の“転”にあたるところを組み込んだつもりなんでしょうけど、馬鹿げていると言うか何というか、あれだけ頼っておきながら手のひら返されて裏切られるとイラッとさせられてしまって、ここは大きくトーンダウンしてしまいました。 それと、1回目の銃撃戦の後のダラダラとした流れもダメ。 ユル・ブリンナーを初めとする豪華キャストの格好良さにオマケして、大甘の6点。
[映画館(字幕)] 6点(2011-07-09 15:01:28)(良:2票)
23.  スローガン 《ネタバレ》 
大筋のストーリーは特に印象に残らず、ごく普通の恋愛物といった内容。 注目すべきは、冒頭のアフターシェーブローションのCMの時点でもう既に本編に突入しているという奇想天外な幕開けでしょう。 自分はこの映画を劇場で観たのですが、フランスの映画館で流れる上映前のCMを流してくれているんだなと思って見ていたら、それも映画の一部だったというのが驚愕で、ここは一杯食わされました。 他には、ベネチアの水路を猛スピードで駆け巡るシーンがあったっけなぁ?という感じで、フィーリングの問題ではあるんですけども、自分にとってはそれだけの映画にしかなりませんでした。 何が「スローガン」なのかもサッパリ・・・?
[映画館(字幕)] 5点(2011-04-10 14:37:34)
24.  地下室のメロディー 《ネタバレ》 
犯罪映画というのは、道義的に犯罪が成功するようには作ってはいけないので、最後は何らかの形で失敗に終わってしまう事を我々は承知の上で観るのですが、観る側のそのような予想を上回らなければ作品としての面白さが出てこないため、そういう意味で監督としての力量が問われる実に難しいジャンルなわけです。 この映画の場合、人気俳優のギャバンとドロンが手錠をかけられたりして終わるようなことはしないので、彼らのファンに配慮しつつ(?)、更に、プールに紙幣を浮かべ画面の全てを覆い尽くしたりするアーティスティックな映像で幕を下ろすところなんかも、自分にとってはなかなか好みな感じでした。 ちょっと意外かもしれませんが、この映画で目を引いたのがシーンの切り替えの鮮やかさなんですが、例えば、序盤のレストランでのディナーのシーンでナポレオンというブランデーの話題になって会話が進んだと思った次の瞬間、自宅のテーブルのナポレオンのボトルの映像に切り替わったり、また、カジノで下見をしているシーンで1週間後にも同じことが起こると言って胴元がエレベーターに乗り込むシーンの直後に、ホテルの一室で小箱をエレベーターに見立てて作戦会議をしているシーンにジャンプするというシーンの移動があり、これがまた何ともスマートと言いますか、おしゃれなテクニックだなぁと感心してしまいました。 また、最後のプールの待ち合わせのシーンで、警察が事情聴取でプールの周りをうろついていて現金を渡すのにやきもきさせられるシーンがあり、ここで警察が近づいたり遠ざかったりしてヒヤヒヤさせられてしまうのもさることながら、警察の足元を映すのみの至極単純な方法であれだけの緊迫感を出せるというのも見事というしかなく、ギャバン演じるシャルルの方も、新聞を1~2センチ微動させるのみで心情を描き出しており、サングラスをかけていて表情を読み取りにくいというハンデなんぞお構いなしといった感じで、絶対にセンスある作家でないとこれらの事はできないと思います。 一方のドロンの方も、警察が迫ってきていることの焦りをあれだけ顔に出さずに演じられるのも、さすが名優のなせる業ですし、警察にジリジリと静かに追い詰められ、耐え切れずにバッグを沈めてしまうフランシスの心の弱さを完璧に表現したドロンとヴェルヌイユは素晴らしいです。
[映画館(字幕)] 7点(2010-11-03 23:20:19)
25.  ベラクルスの男 《ネタバレ》 
自分が未熟なのかわかりませんが、どうもリノ・ヴァンチュラが主役というのが最後までしっくりこなかったような感じでした。 ストーリー上のキャラクターには凄くマッチしていて、演技とか立ち振る舞いとかは全然問題ない。ただ、映画を彩るには至っておらず、華に欠ける感じがあったように思えます。かと言って、ギャバンなら成功したかと言えば、それでも上手くいくとは思えず、要は、配役の問題ではなくストーリーそのものに面白さが感じられなかった。 簡単に言えば、緩急の“緩”の部分が約9割存在し、ここがダメ。1割の“急”の部分である銃撃戦の緊迫感だけが良かったということ。 大統領邸に入り込んで暗殺するシーンや、その後の車ごと襲撃されるシーンとか、鉄橋での銃撃戦も最後に電車に乗り込んで行く瞬間まで目が離せなくて、ここは結構良かったと思いますが、やはり残りの9割の部分が拙かったかなと。 ここは、人物描写やストーリーの中の社会情勢を描かなければならない所なのに、特に大統領を暗殺しなければいけないような、民衆が不満を持っていると劇中で言われているような悪政ぶりや近隣の住民の労苦がほとんど伝わって来ず、そこがイマイチ映画に入り込めない原因のような気がしました。 ついでといってはなんですが、BGMも決定的に古臭い。この映画、たぶん小説で読んだ方が面白いような気がしました。
[映画館(字幕)] 5点(2010-09-24 00:04:14)
26.  2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 
映画というのは客からお金を取って成り立つ商売であって、例えば、ピカソのような芸術作品を美術館に行ってお金を払い鑑賞すると、その絵を理解して納得する人は少ないと思いますが、ほとんどの人は満足し、鑑賞に費やしたお金と時間を後悔する人はほとんどいないと思う。さて、この映画はどうでしょうか。 この映画の余りの異質さに、なんでこんな映画が世に出たんだろうと思った。 この原作を読んだりして、この世界を表現したいと考えたクリエイターは他にもいたかもしれませんが、実際にその方法と資金の両方を持ち得たのは世界でキューブリックただ1人だったということ。この世界を表現してしまったのが、趣味で映像を撮る個人作家やイラストレーターや漫画家ではなくキューブリックだったということでしょう。 映画を見た後に皆さんのレビューを拝見してみると、映画の中に出てきたあの石板の役割や意味が少し理解できたような気がしたので再度鑑賞してみましたが、特に印象は変わることはなかったです。 つまり、面白くないものはどう逆立ちしても面白くないわけであって、原作を読もうが色んな解釈を聞こうが「だから何だ」で終わってしまうことがほとんど。 この映画に限らず、「原作を読んで評価が上がりました」とか「理解できない人は原作を読んだ方がいい」というレビューがあちこちで見受けられますが、映画の評価はあくまでも映画そのもので評するべきだと思います。 この映画の決定的にダメなところが、機械が人間に危害を加えようとするところなんですが、機械に対する考察や知識に欠けていると言わざるを得ません。多くは語りませんが、キューブリックは「ロボット3原則」についてもう少し勉強してからこの映画を作るべきで、それを知っていればHALが人間を陥れようとするくだりはこの映画の中に組み込まれなかったと思いますし、この映画の中でも肝となる部分ですので、ここでのリアリティのない安易な未来観のせいか、どうしてもこの映画に対して安っぽさを感じてしまいます。 それと、細かいところですが、船員二人が球体の中で作戦会議をする時に、スイッチを順々に切るシーンがありましたが、あのスイッチがいかにもアナログ的で笑ってしまった。キューブリックも未来に対しての先見があるようでいて、こんな映画を作って格好つけてはいるけども、やっぱりアナログの時代の人なんだなぁと思ってしまいました。
[映画館(字幕)] 6点(2010-08-21 10:34:06)(笑:1票)
27.  8 1/2 《ネタバレ》 
冒頭の人間凧の映像の格好良さから、早くもテンションが上がってきたのですが、ストーリー全体を通して見てみると、自分の理解が及ばないところが多々あり、それが非常に残念、というか、悔しい。 けども、主人公の苦悩は十分に伝わってきて、その描き方が面白いと思いました。 自分の考えを理解してもらえない、周りの人間を信頼できないとかは、何か共感できてしまったり・・・少なくとも、嫌いではないですこの映画。 ただ、現実と幻想の境界を把握しきれないままだったので、再度機会があれば是非とも観てみたいと思いました。 
[映画館(字幕)] 6点(2010-03-25 00:32:50)(良:1票)
28.  汚れなき抱擁 《ネタバレ》 
最近の日本でも、性の不一致で離婚する夫婦が多いみたいですが、約50年前のこの映画のストーリーはそれとはひと味違った模様。 特にこの映画の中ではっきりと出ていたのが、宗教的な観点による性に対する考え方でしょう。 結婚後の夫婦間における性交渉は神聖なものであってそれを行わないのは罪である、とは劇中の教会の言い分。 この映画の中では出てきませんが、もし仮にこの二人が婚前に関係を持ったりすれば、たとえどんなに愛し合っていようともそれは罪になってしまうのだろう。行われる行為に変わりはないけども、ここで宗教観なり道徳観なりが顔を出してくるわけで、それによってその行為の善悪が振り分けられるところが面白いといえば面白い。 この映画の中では、アントニオは神を冒涜したということになるわけですが、見ての通り故意的なものはなく、それどころか、愛しすぎていたがために起きてしまった悲劇というところが、何ともいえず辛い。 最後のアントニオの表情は、もし自分がその場にいたらとても声なんて掛けられなくなってしまいそうで、鏡越しでないと見れないくらいです。 この、鏡越しにというのがミソで、アントニオの寂しげな背中とうつむいた表情をワンカットで同時に見せていて、しかも、このワンカットだけでも光源の位置や光量に色々と変化をつけながら撮っているところが凄くおしゃれ。 他にも演出面ですと、使用人の女が床に倒れ父親は誰なのかと一人一人名前を挙げ終わったタイミングで背後にアントニオが現れるところとか、親父が電話で息子に真相を聞くシーンのカットバックとか、上手いなぁと思う箇所が他にも色々ありました。 途中、子供の問題に親が介入してきたところで冷めてしまいましたが、評価を下げる程ではなかったです。 宗教も結婚という制度も人間が作ったものですが、この二つについて色々と考えさせられる映画だなと思いました。
[ビデオ(字幕)] 7点(2010-01-23 11:34:19)
29.  トパーズ(1969) 《ネタバレ》 
面白くない!とは断言できませんが、楽しめなかったと思います。 まず、ストーリーが難解すぎます。アメリカ・キューバ・ソ連・フランスと4ヶ国も行き来して、しかもそれぞれの国に出てくるキャスト達も人数だけがやたらと多く、それでいてその登場人物のほとんどが馴染みの薄い顔ばかり。また、主人公が画面に出てくる回数が少なく(ストーリーの構成上、仕方がないですが)、しかも、このF.スタフォードという男、主役を張れる存在感をまるで持ち合わせていない。主人公にしてはかなり地味だったように思えました。エンディングにしても、終盤に向けての盛り上がりが全くと言っていいほどなく、無理やりラストに持っていったという印象で、突然尻切れトンボのように終わってしまったのは、かなり妥協の跡が見られます。 しかし、監督はもちろんヒッチコック大先生!大まかなストーリー構成は評価できませんが、シーンの一つ一つが実にしっかりと作られている。さすがはヒッチコックと言うべき箇所が非常に多く存在するのです。 先に述べたキャスト陣のチョイスにはやや難がありますが、全ての役者の演技がパーフェクト!特に、港に出向いて写真を撮りに行った女の演技が素晴らしい。また、お得意の要所要所で垣間見られるサスペンスには舌を巻くものばかり。花屋のベランダやホテルの入り口付近での、観る側に会話の内容を想像させる一連のやりとりなんかはヒッチコックの十八番でしょう。赤革を持ち去るシーンや、フランスでの密談でアンリー・ジャレエが主人公の向こう側で黙々と食事をしているシーンなどを見ると、やっぱりサスペンスはヒッチコックに尽きるなぁと思いますね。この辺の、映画を構成するそれぞれのパーツのレベルで見れば、現代のそんじょそこらのサスペンス映画なんかよりも本作の方がずっとクオリティが高いと言えるでしょう。 私は、この作品がヒッチコックのファンの間ではかなり貶されている事を承知の上で観たのですが、DVDの解説で評論家の人までもが「ヒッチコックの作品の全てが傑作と言うわけではない」なんて言ってるのには、なんだか悲しくなってきちゃったなぁ~。
[DVD(字幕)] 5点(2009-11-04 01:09:09)
30.  反撥 《ネタバレ》 
スクリーンで見たので、オープニングのカトリーヌ・ドヌーヴの目のアップが超ド迫力で、あのワンショットに完全に圧倒されました。 60年代の他のカトリーヌ・ドヌーヴの作品を観てから本作を観ると、他の作品での彼女が演じる役柄との間にとんでもなく大きなギャップがあるのに驚かされます。 本作のドヌーヴは目つきからして違う。内に秘めた狂気が伝わってくるようで怖い。演技ではなく本当に精神が蝕まれているかのようです。釘を打ちつけるときの手の震え、ペンを持ってガラスに文字を書いているときのあの目つきは鳥肌が立ちます。 それと、この映画はカメラの動かし方がとても魅力的。カメラがゆっくりと動いて部屋の中で起こっている状況を長回しで映し出す場面が幾度となく出てきましたが、これがまた何ともいえない独特の狂気の世界を表現していると思うのです。また、ウサギの料理やジャガイモが腐敗していく様が時間が経過するごとに映し出されたりするのもいい味出してますね。終盤近くでの、管理人が部屋に入ってきてドヌーヴの体を求めるシーンがありましたが、普通こんなシーンでは他の映画だと、管理人と剃刀のアップを交互に映したりするものですが、この映画では画面の隅の方に剃刀をちらつかせるという方法でスリルを高めていたのが非常に個性的で斬新な印象を受けます。この監督のフィルモグラフィーを見てみると、やっぱりサスペンスが多い。どうりで撮り方が上手いわけです。
[映画館(字幕)] 8点(2009-11-04 00:55:04)(良:1票)
31.  シェルブールの雨傘 《ネタバレ》 
何度もこの映画を観ていると、色々なシーンでの監督の計算高さに感服させられます。最も凄いのは、オープニングクレジットのシーン。傘の配置(動かし方)が実に綿密に計算されていて、文字が出ていないところを、そのスペースを埋めるように傘が通っているのです。見事! そして、この映画で背景が効果的に用いられている点を主張したい。というのは、序盤でドヌーヴが店から出てきて二人で抱き合うシーンでは、白地の模様入りの壁が背景になっているのですが、ギイが兵役を終えて帰還した時と、修理工場を辞めてからもう一度彼女の店に行く時にも、序盤で二人が抱き合うシーンのその白地の壁がそのまま出てくるわけなのですよ。つまりここで、序盤での幸せだった頃との対比をこのわずか1,2秒のシーンでさり気なく表現していると思うのですが、このようなちょっと気を抜くと見過ごしてしまいそうなくらいの些細な演出が私は大好きなのです。 ここまで計算されていると、あの街並みは実はロケではなくわざわざセットを作って行われたのではないかという疑念まで湧いてきてしまいそうです。 ストーリーの方が、これがまたこの映画のさり気ない演出に負けないくらいにナチュラルに仕上がっているので気づかずに素通りしてしまいそうですが、身篭った娘の母親の心情なんか、初めて娘の妊娠を打ち明けられた時はカンカンに怒っていたのがお腹が大きくなるにつれて娘に対して少しずつやさしくなっていき、しまいには子供の服まで買ってきてしまったりする心理描写は妊婦の娘をもった母の心情をとてもうまく描いていると思います。鋭い人間観察ができる人でないとこのようには描けないでしょう。だんだんと手紙の様子が変わっていって、最後の方になると質問に答えなくなったとか、違う話題に話をそらせたりするのも、本当にありそうで怖いですし、また、「誰の責任とは言わないが困っている」や、「それが、申し上げました通り・・・」なんて、本当に実際に聞いたことがあるような日常で普通に交わされるナチュラルな台詞ですよね。 それと、ラストの場面の会話をよく見てみると、今は「自分の店と幸せな家庭」という守りつづけていくものがある、というギイの確固たる決意が垣間見れたのに対し、ジュヌヴィエーヴの方はわずかながら寂しげな気持ちがあるように見えました。この二人の心理描写もまたナチュラル(自然な感じ)です。
[地上波(字幕)] 10点(2009-11-04 00:48:59)(良:3票)
32.  太陽がいっぱい 《ネタバレ》 
初めて観たときのあのラストの衝撃は今でも忘れられません。このまま完全犯罪がまかり通る結末なんて道徳的に絶対ありえない、とまで思っていたにもかかわらず、息が出来なくなるほどの見事なエンディングを見せてくれました。あの映像からほんのわずかな場面を見せるだけでfinishにもっていくその展開の速さ(その間たった2,3分)はもう、芸術品です。 それと、今回の鑑賞で気づいたのですが、この監督は女性に対しての視点の鋭さがあるような気がします。それは、船の中でも仕事をするというちょっと真面目な部分だったり、トムが一人で帰ってきたときにほとんどマルジュが一人で喋ってしまってトムが全然喋らないまま事態が片付けられてしまう所、バレエのおばさん達がレストランに入った時も一人で喋って事を済ませてしまう所や、終盤でトムがマルジュの部屋に入ってきた所でもそういうシーンが見られます。 また、ストーリー全体を見ると、初めて観たときはフィリップ殺害シーンの波のうねりやナポリの市場の散策シーン、ホテルの一室でサインの練習をしているシーンなど、見どころがいろいろあって中弛みのない展開のように思えたのですが、肝腎のラストにかけての盛り上がりがないため、全体としてややストーリーに起伏がないような気がします。  けど、テレビでやっていると必ず見てしまうし、リバイバル上映で3回も見てしまうくらいです。映画館のロビーで流れていたBGMに誘われてついつい観てしまったということもありました(2本立て上映の1本目だけを観て帰ろうとした)。何だかんだ言って、やっぱり好きな映画なんです。
[映画館(字幕)] 8点(2009-11-04 00:42:12)
33.  甘い生活 《ネタバレ》 
ストーリーは何てことはない、ゴシップ記者マルチェロの、行く先々で起きる出来事を羅列し繋ぎ合わせただけのストーリーのように思えます。 が、しかし、その一つ一つが全て失意の残る終わり方だったり、絶望感漂う終わり方で締めたところがなかなか興味深い。 トレビの泉で水しぶきと戯れていたら突然噴水が止まりそこにあった幻想的な雰囲気が消えて一瞬にして現実に連れ戻されてしまったり、奇跡が起こるとされる聖地に行っても奇跡が起こるどころか大雨に見舞われたり、互いを認め合う親友が一家心中をしてしまったり、元気だった親父にふと暗い背中を見せられたりと、何かと人生うまくいっていない様子。 極めつけはラスト。惰性や習慣で騒いでいたかのような、さほど大したことのないパーティーのように感じましたが、終わって外に出てみるとそこにあるのはやっぱり虚しさばかり・・・。しかも浜に上がった巨大な魚は、大海での威厳や存在感は一体どこへやらと言わんばかりの無残な姿でマルチェロの前に現れる。 どのエピソードもみんな暗い。一旦持ち上げといて不意に足元をすくわれるような、そんな暗い結末ばかりが映画を形成していくのだけど、こういう流れのストーリーは実は結構好き。 時折出てくるローマの街並みも、街灯が車のガラスやボンネットに反射することで画面全体がキラキラと輝いていて、モノクロの映像美を存分に堪能できるし、ニーノ・ロータの音楽も最初から最後まで(特にラストの乱痴気騒ぎで流れるヘンな曲「パトリシア」)完璧。 後で気がついたことですが、オープニングでヘリに乗ったマルチェロの声が相手に届かないというシーンが出てくるのに対し、エンディングでは逆に、相手からの声がマルチェロに届かないというシーンが描かれている。これは一体?!? 映画全体では一貫したストーリーはないように思えたけども、主人公マルチェロには最初と最後で変化が生じているということなのだろうか・・・と思ったら、どちらも自分から去ってしまってますね、ハイ。
[映画館(字幕)] 8点(2009-11-04 00:33:53)(良:1票)
34.  不貞の女 《ネタバレ》 
ストーリーが凄く単純で、ひねりがなさすぎて全く面白くない。 普通にやれば40分くらいで終わっちゃうんじゃないかってくらい薄~~~いストーリーです。 自分が気になったのは、浮気相手を殺害した後の部屋の中を後始末をするシーン。 完全に証拠を消し去ったように描きたかったのでしょうか、死体の手の近くだけ血を拭き取っただけで、完全に拭い去ったようには見えず、おまけに、グラスの指紋を拭き取ってもいないし、とてもじゃないですが完全に証拠を消したようには見えませんでした。 そんなもんだから、「あぁ、あの時は完全に証拠を消し去っていたんだなぁ~」と後の警察とのやりとりで初めて解りました。 また、その後の死体を沈めるシーンですが、ヒッチコックのあの映画と比べるとまさに月とスッポンだし、布に包んだ死体もあの大きな人が入っているようにはとても見えないし・・・というわけで、ストーリーそのものも特に面白くもなく、細部に至っても注目するべきポイントもないという、かなり不満の残る映画でした。 ところで、「ドクトル・ジバゴ」という映画は観たことがないですが、その映画が面白いかどうかはともかくとして、その上映場所を不倫のきっかけの場としてしまうのって・・・どうなんでしょ?
[映画館(字幕)] 4点(2009-03-09 02:19:13)
35.  肉屋 《ネタバレ》 
この映画を見終って、以前にも似たようなエンディングを見たことあるなぁと記憶をたどっていたら、自分がちょっと前に観たシャブロルのあの映画にありつきました。 まぁ、この映画にも一応ストーリーはあるのだけど、どうも面白くない。 主人公の周りで殺人が連続して起きるのだけど、見ての通りの小さい村で、犯人として第三者が新たに介入してくる可能性もなさそうなので、観る側としては男の心理描写や殺人を犯すいきさつなどに焦点を絞って観ることになるのですが、特に殺人を犯した理由などは特に見当たらず衝動に駆られての犯行のようで、観る側としてはそういうのが一番タチが悪く、またレビューにも困るわけなのです。 ストーリーがなくても入り込める映画というのは何回も観てきましたが、面白く感じられる映画というのは、そこに描かれた世界観に入り込めるかどうかというのが一番のポイントとなると思います。 この映画の場合、死体の映し方が特別綺麗な訳でもなく、また、殺害方法が目を奪われるような巧妙さがあるわけでもないため、殺人という犯罪が、非道徳的な面がそのまま出てしまい、それを感じさせないほどのストーリーや映像面での面白さがないのが入り込めなかった理由のような気がしました。 ステファーヌ・オードランは綺麗だったし、最後の朝焼けの美しさは印象に残りましたが。
[映画館(字幕)] 5点(2009-03-08 15:52:05)
36.  ローラ(1961) 《ネタバレ》 
この映画の製作された1960年といえば、カラー映画が台頭してきている頃ですが、初恋というノスタルジックな題材を描いたこの映画には、むしろモノクロで撮ったのが正解でしょう。 この映画のモノクロ画面の面白いところは、屋外だろうが家の中だろうが、撮影のための照明を一切使わずに、全て自然光で撮っているということ。人物の表情が捉えにくいシーンもありますが、あたかも自分が実際にその場所にいて、その場で会話をしているかのような妙なリアリティーがあります。夜8時のシーンにもかかわらず、部屋の中に太陽の光が差し込んできたりしますが、そういうとこはまぁご愛敬ということで(笑)。 この映画を観たのは2回目なのですが、1回目に観たときと同様、冒頭のカフェに来たおばさんの息子ミシェルのくだりがどうも弱すぎるような気がします。そのおかげで、映画中盤でローラの初恋の相手がミシェルだと言われても、しばらくその繋がりに気づかなかったりします。 ところでこの映画、女目線で見ればハッピーエンドなのかもしれませんが、自分は男なので、最後に一人トボトボと歩くローラン・カサールを見て、どうも不公平なエンディングのように思えてしまいます。ジャック・ドゥミがこんな映画を作るわけがない。こんな理不尽なエンディングがあってたまるかと思い、もしかしたらローラは本当は幸せを掴んだように見えて実はそうじゃないのかもとか、ローラン・カサールはどこかしらで幸せを掴んでるのかも、とかいろいろ考えてみましたが、この監督の後の映画でローラの行く末を語る場面があります。何もそんなにしなくても…というほどですが。
[映画館(字幕)] 6点(2009-02-07 02:26:03)
37.  輪舞(1964) 《ネタバレ》 
オープニングの影絵&キャスト・スタッフ紹介は大好き。 その直後の、夜の街の街灯の光の色加減なんて、もう堪らなく好き。 終始に渡って、ただ何の脈絡もなく語り合っているだけの映画なので、ハッキリ言ってストーリー的な面白さは全くないです。 しいて見どころを挙げるとすれば、登場する女優さんたちを眺めるのと色鮮やかな画面模様くらいでしょうかね。 色使いなんかは、この時代の特徴とも言える独特の色合いが出ていて凄く好きなのですが、スコープサイズの画面を使っているだけに、ちょっと画面の構図がイマイチなシーンがいくつかあったのが残念でした。 先にレビューなされた方のコメントを拝見すると、オフュルス版のオリジナルの方が評価が高いようですが、この映画は観ての通り、ストーリーを語る映画ではなく、画面の華やかさが求められるべきであるので、これはこれで成功しているのではと思います。オリジナル版は未見なので何とも言えませんが。
[映画館(字幕)] 6点(2008-10-30 01:22:52)
38.  気のいい女たち 《ネタバレ》 
クロード・シャブロルってこんな映画を撮る人だったっけ?って思ってしまうほどストーリーに面白味がない。 ところどころでバカ騒ぎしているシーンがありますが、どうもイマイチ面白くない。何でかはわかりませんが、その場の楽しさが伝わってこないんです。 それと、序盤のうちからバイクに乗って追い回す男が小さく出てきますが、こんなサスペンスの雰囲気が出る筈のシーンであるにもかかわらず、サスペンスの“サ”の字も感じられないまま時間だけが進んでいくといった内容・・・。 この男、中ほどでコミカルな一面を見せますが、そのお陰で、その後の森の中を歩くシーンが全然シマリのない画面になってしまうのです。 クールな印象を持たせておいて、時にコミカルな一面を覗かせる、というのはそのギャップが良い方に働くものですが、あの男のようにレストランでバカやった後で真顔で森の中を歩いても、やっぱりどこかミスマッチで、殺人のシーンも見ていて嘘臭く感じてしまいます。 ラストシーンも意味不明で、チョビ髭の男の存在や役柄も良くなかったし、登場する女優陣が皆個性が出ていなかったのも、ダメな原因の一つかなぁと思いました。
[映画館(字幕)] 5点(2008-10-29 00:12:34)
39.  めんどりの肉 《ネタバレ》 
金の魔力というべきか、人の浅ましさというべきか。ただひたすら、おぞましいものを見てしまったという感じです。 登場人物のほとんどが悪い奴ばかりで、この手の犯罪ものは、悪事を働いた人間は逮捕されるか死んでしまうかでラストを迎えなければ道義的にマズいので、そこを上手にまとめられるかが監督のセンスの見せ所なわけです。 まぁ、女は撃たれて死んで1人の男は最後に車が炎上して終わったし、もう1人の男もいずれ捕まるでしょうから道義的にはオッケーなんですけど、どう見ても重すぎる。リアルに懲らしめるラストよりも、笑いや皮肉を込めたエンディングにした方が、もう少し娯楽色が出て良かったのになぁと思いました。 他にもいくつか意見を述べさせていただくと、あの女の悪女ぶりは他の映画にも類を見ないほど悪びれていたので、あのようなアッサリした死に方よりももっと残酷な死に方を見せてほしかったというのと、ガレージを掘り返そうとしたあの犬がもう少し深く穴を掘ってくれてればもっとスリルが出たのに、という事です。新聞紙のモンタージュ写真で、ちょっとしたサスペンスなワンシーンがあっただけに残念。 あと、映画の後半辺りで、トマの前妻の兄というオヤジに熱湯をかぶせたシーンが凄かった。体張りすぎでビックリしました。ポテトを揚げるシーンでしたけど、まさか本当に油を浴びせたんじゃないよね???
[映画館(字幕)] 7点(2008-10-23 23:30:09)
40.  太陽はひとりぼっち 《ネタバレ》 
愛の不毛3部作のうちのひとつ、というくらいの予備知識しかないままで観ましたが、さすがアントニオーニ。やはり、わからない・・・。 この映画は、前半1時間は寝ててもいいと思う(ウソウソ^^)。 延々と続く証券取引所のシーンは、あからさまにストーリーの本筋から外れる箇所と判るだけに、かなり退屈してしまいますが、面白くなってくるのはその後のシーンから。 モニカ・ヴィッティ扮するヴィットリアは「何で質問ばかりするの?」「互いに知り合わなくても愛し合うことは出来るわ」と言う。 実際に彼女はその言葉通り、相手をよく知らないまま情事に耽る。しかし、アパートを出た後の彼女は、やはり満たされることがないまま、虚しさだけが残り町を彷徨う。その時に映し出される風景の強烈な寂寥感・・・。これでもかというくらいの、無機質なカットの数々。 時代はカラーに変遷していく中、あえて(?)モノクロでこの映画を撮ったのは大正解でしょう。 原題のEclipseが意味するのは、何か一部が欠けるという事だそうで、登場人物、すなわち現代人の心が満たされない様を描いた作品、と解釈しました。 ところで、これは自分なりのアホな解釈ですが、前半の証券取引所のシーンも実は意味があって、つまり、恋愛も株の取引も同じだという事かなぁと・・・。 恋愛もお互いのことを知らずに、事だけを済ましてしまうと良くないし、株についても、会社の中身を知らずに投資すると痛い目に合うぞ~という、アントニオーニの愛とお金に関するちょっとした人生指南の映画・・・・・んなわけないっつうの! 
[映画館(字幕)] 7点(2008-10-21 02:23:56)
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