381. チャイルド・ゲーム
家にまつわる因縁がそこに住む家族を狂わせていくという、フランス製のオーソドックスな怪談映画。物語のキーポイントはタイトル通り幼い兄妹なんですが、タイトルほど子供達は活躍せず、両親の精神が徐々に侵されていく様がメインになってます。しかし、これは両親が妄想を見てるのか、実際の出来事なのか、幽霊の仕業なのか、単なる精神病なのかを、もう少し明確に表現しても良かった。これでは単に解り辛いだけ。最後に大きなどんでん返しが待ってる訳ではないので、本作ではミステリーより、途中の恐怖こそ大事にして欲しかったと思います。そんな訳で、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-04-09 00:03:07) |
382. ホームドラマ
《ネタバレ》 普通のホームドラマには絶対登場してこない要素だけで構成された、裏ホームドラマ(これがフランソワ・オゾンの長編デヴュー作になるのかな?)。この映画は、家庭が崩壊する過程(オヤジギャグじゃありません…)を描いてる訳じゃない。この家庭も含めたほとんどの家庭は、とっくの昔に崩壊してるのです。言わば本作は、「家庭という幻想」を打ち破る過程を描いてる。通常のホームドラマはすったもんだの挙句、常に良識に押し付けられた幻想に戻ることをハッピー・エンドとしています。しかしこの家族は、最後まで幻想を追った父親を排除することで幻想を否定し、独自の家庭を作り上げるのです。幸せな家庭のイメージからは程遠くても、結束した家族って、現実にも結構多いんじゃないでしょうか、7点献上。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-04-09 00:02:40) |
383. とまどい
《ネタバレ》 何だかなぁ、観てるこっちが戸惑っちゃう…。そもそも、本作に登場する一体誰が戸惑ってたんだ? 映画を観た限り、「とまどい」と言うよりは確かに「躊躇」と言う方が近いと思う。ストーリーはプラトニックな旦那と妾の物語って感じ。肉体関係は最後まで無いにしろ、「ネリーとアルノー氏」の関係は明らかな愛人契約。しかし二人とも納得づくの筈なのに、また、途中からはお互いに愛情さえ芽生え始めた様なのに、関係は一向に発展していかない。抑制された男女間に発生するサスペンスや、若しくは女性の自立を描いた映画でもなさそう。もちろん直接的なエロ・シーンも無い。そしてエマニュエル・ベアール演じる主人公・ネリーに、私は映画の始めと終わりで変化を感じることも出来ませんでした、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-04-09 00:02:11) |
384. パリ・ルーヴル美術館の秘密
大ルーヴル整備に伴う作業に追われる美術館の裏側を追ったドキュメンタリー。解説も音楽も入れずに、ひたすら淡々と職人や学芸員達の仕事振りを映していく。表の顔である美術品はルーヴルに行けば何時でも見られる訳ですから、滅多に見られない「そこで働く人々の仕事」に焦点を絞ったのは良かったと思います。1,200人にも及ぶあらゆる職種の職員に支えられて、世界最高の美術館が運営されてることが良く解ります。確かに本作には特別な「秘密」も無かったし、映画的に全く装飾されて無いので面白いとは言えませんけど、私には中々興味深い映画でした、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-04-09 00:01:40) |
385. 禁じられた遊び(1952)
最近、何十年か振りでちゃんと鑑賞した。もちろんストーリーは知ってたし、名作という認識もありましたけど、ここまで完成された映画だったのかと改めて驚いた。そして泣いた。この映画の凄さは、反戦や命の尊さを声高に叫ぶのではなく、ユーモラスな物語で真正面から「死の身近さ」を描いてること(+ブリジット・フォッセーの神懸り的演技)だと思う。現在は死というものが日常からかけ離れ、何か特別なことの様に感じますけど、生きとし生ける物は必ず死に、況してや戦時下に於いては死こそ日常。これだけ死が日常に氾濫する中では、それを遊びの道具とすることも幼い子供にとっては当然の成り行き。これはTVゲームの中で殺人しまくるのとは全く次元の違う、死のリアルさを知ってる子供の「ゲーム」です、10点献上。 [地上波(吹替)] 10点(2006-04-09 00:01:06) |
386. エミリー・ローズ
演出に多少の不満が残りましたが、かなり面白かった。「エクソシスト」より面白いかも…(リンダ・ブレアだってノミネートされたんだから、本作の「恐怖感」を一身に担ってたジェニファー・カーペンター嬢も助演女優賞候補にすべきでした)。オカルト・ホラー要素と共に合理主義vs神秘主義の法廷劇が展開し、最終的に物語は「なぜ神父は頑なに自ら証言台へ立つことにこだわったのか?」という一点に収束していく。ある意味、この裁判は尊厳死裁判に近いものがある。病人が自らの信念の元に治療を拒み、その病人と同じ信念を持った者がそれを認めて死なせてしまう。これは過失致死罪に当たるのか? 近代の法体系では本作の結論はやむを得ず、且つ妥当な量刑だったと思います。信仰とは無条件に信ずること。そこに理屈の入り込む余地はなく、また、この世にはしばしば理屈の及ばないことも起きるのです。それにしても、どこまでが「実話」なんだろ? 7点献上。 [映画館(字幕)] 7点(2006-04-02 00:05:41)(良:1票) |
387. ブロークバック・マウンテン
テーマ云々以前に、万人受けする映画じゃない。アン・リーの叙情性は、ブロークバック山の風景やラスト・カット等で存分に発揮されてたと思いますけど、私には少し淡々とし過ぎ。また、時間経過も子供の成長によって自動的に判る仕組みとなってましたが、そこから20年という時の重みを感じることはありませんでした。むしろ監督よりも俳優陣が素晴らしい。主演の二人はもちろんのこと、アイドル女優だと思ってたアン・ハサウェイが意外にも良かった(当然オッパイも含めて)。ところで、私は二人の友情に共感し、且つ同情しました。ゲイじゃなくたって、なだめたりすかしたりしなきゃならない彼女や奥さんといるよりも、気の合う野郎と酒を酌み交わした方が癒されることも多いのが、仕事に疲れた男ってもんですヨ、6点献上。 [映画館(字幕)] 6点(2006-04-02 00:05:20) |
388. ソウ2
前回は全然違うジャンルの映画を期待して自滅しましたけど、今回はこういう映画だと解って観たので、映画の出来に関係なく、こちらの方が楽しめた様な気はします。が、手放しで絶賛とまではいきません。うるさい音響と編集は相変わらず。そして、物語はテンポの良さを通り越して超ハイスピードで進み、全くこちらに考える余裕を与えてくれない。多少でもこっちが考えるからこそ、種明かしされた後に「納得」や「驚き」や「快感」が得られる筈。しかし、これでは秘密の「消費」でしかない。これは非常に勿体ない演出だと思う。たぶん作られる「3」では少し改善して欲しい、6点献上。 [DVD(字幕)] 6点(2006-04-02 00:04:43) |
389. ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]
もちろん「宇宙忍者ゴームズ」のオリジナル・タイトルが“Fantastic 4”だったなんて、本作がやって来るまで気にしたこと等ありませんでした(「ゴームズ」同様、原題もダサかった…)。懐かしいですねぇ。で、ここ最近のアメコミ・ヒーロー映画から比べると、本作はティーン向けポップコーン・ムービーに徹した作りになってました(我が国のティーンにも訴求する為か、エンディングでORANGE RANGEの曲が使われてたのには驚いた)。お約束の「ヒーローであることの悩みや苦しみ」は希薄になり、その代わりXスポーツ等を意味も無く絡めながら、サクサクと物語は進んでいきます。一番の設定ミスは【とっすぃ】さんご指摘の、岩男が元に戻ってしまったこと。こんなに簡単に元に戻ったり超人になったり出来たんじゃ、4人の「ファンタスティック度」が一気に低下してしまう。ま、所詮はマンガですから、本来はこのくらい軽い作りで良いのかもしれませんね。そういったことで、5点献上。 [DVD(字幕)] 5点(2006-04-02 00:04:20) |
390. バッドサンタ
基本ストーリー・ラインは非常にオーソドックスな「クリスマスの奇跡」ながら、聖夜とは無縁なものばかりで彩った、バッドでブラックで、且つライトなアメリカならではのクリスマス・コメディ。ビリー・ボブ・ソーントンのダメっぷりが徹底してて、とにかく痛快(どんなにダメな奴でも小便まで漏らすか?)。そして、どのネタよりも「身障者ネタ」の危なさが痛快。解雇をほのめかされた時の「アフリカ系アメリカ人の身体障害者をクビにするのか? 不当解雇で、小さい人が小さいプラカードを持って店の前に集結することになるぞ!」という脅し文句は、本国では大丈夫なのかいな? 6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-04-02 00:03:51) |
391. ロスト・イン・ラ・マンチャ
本作からは「芸術家が妥協を許さなかったので製作断念に追い込まれた」という印象は受けない。それなりに順調だった部分もあったんでしょうが、徹底してトラブルばかりを編集してあるので、「元々、全く準備不足で無謀な企画だったものが、案の定、度重なる不運に見舞われて頓挫した」という印象(ヴァネッサ・パラディの名前が大きく出てるのに、本人は一度たりとも現場に顔を見せてない!)。たぶん通常のメイキング・フィルムとして撮り始めたものが、こうもアイロニカルに世に出ることになろうとは、誰も予想しなかったことでしょう(「モンティ・パイソン」風に紹介されるテリー・ギリアムのプロフィールが最も辛辣だったと思う)。「ブラザーズ・グリム」を観た限りでは、彼は相当トラウマを引きずってるみたいですね…、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-04-02 00:03:21) |
392. パトリオット
もちろんアメリカ万歳映画なんですけど、“patriot”等という言葉を堂々と映画のタイトルに出来るアメリカを、「能天気だなぁ」と思うと同時に羨ましくも感じます。日本で「愛国者」なんていうタイトルの映画が今あったら、かなり胡散臭い右翼映画だと思われて、誰一人として見向きもしないでしょう。で、本作は9.11以前の作品ではありますが、観てみると、9.11以前と以後で映画の内容には大差が無いことが良く判ります。話は非常に好戦的。劇中では、大儀の為には神父でさえも武器を取ることが美徳とされてます。しかし、本作、そして「ブレイブハート」「ワンス・アンド・フォーエバー」という、ほとんどストーリーに変わりのない愛国者三部作の中では、個人的に本作が一番素直に面白く鑑賞できました。ということで、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-04-02 00:02:47) |
393. 電話で抱きしめて
もう、とにかく巻頭からラストまで凄くやかましい。「女三人寄れば姦しい」とは言うものの、姦し過ぎ。メグ・ライアンとダイアン・キートンとリサ・クドローが、全編忙しなく動き回り、ヒステリックに喋りまくる。場面もカメラワークも、三人と父親を絶えず行ったり来たり。姉妹が反目し合っても仲直りしても、父親が暴れても病床に伏しても、ずっと同じテンションが続く。終わる頃には、こちらはぐったり…。これでダイアン・キートンという人が、実は相当に落ち着きの無い人だということが判ります(「恋愛適齢期」の演技がたぶん地なんでしょう)。邦題もどーしょーもありませんね、4点献上。 [ビデオ(字幕)] 4点(2006-04-02 00:02:13) |
394. ブレックファースト・オブ・チャンピオンズ
アメリカ消費社会の現状を、かなりシュールに描いたブラック・コメディ。そと面が普通な人々も、内面は全員が心身症か性倒錯者。家庭は既にメディアに侵略され、夫婦の会話もテレビCMのキャッチフレーズで代行する。金持ちでも偉人でもなく、「テレビに露出してる」ということだけがセレブの条件。一歩外に出れば、そこに溢れるのは自分達の生活の副産物・産業廃棄物。異常と正常の規範は無くなり、むやみやたらとカミングアウトして、ひたすら権利を主張することだけを是とする社会。God bless America! カート・ヴォネガットJr.の原作は未読ですし、確かに映画としての出来も余り良くないとは思いましたけど、この辛辣な内容だけで私は充分楽しめました。でもこの状況を、日本も笑って見てはいられませんね、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-04-02 00:01:31) |
395. 2ガールズ
原題は「愛し合う2人の女の子のトンでもなくマジな大冒険」とでも訳せば良いんでしょうか。タイトル程トンでもない冒険が繰り広げられる訳ではありませんが、映画は非常に初々しくて楽しい「ガール・ミーツ・ガール」型のラヴ・コメディになってます。私が特に気になったのが、主人公の暮らすゲイの叔母の家。「ゲイの家庭」と言うよりも、これは「コミュニティ」と呼んだ方が良い。主人公はゲイだから叔母さんの家にいるのか、叔母さんと暮らしてるからゲイになったのか? ま、そんなことは置いといて、二人の女の子の恋愛の過程はストレートのそれと全く変わらない。同系統のスウェーデン映画「ショー・ミー・ラヴ」よりも「明確な」レズビアン映画になってますが、本作はその気の無い人でも充分楽しめると思います、7点献上。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-04-02 00:00:56) |
396. 亡国のイージス
「ローレライ」や「戦国自衛隊1549」と比べれば圧倒的に「品質」が高く、本物のイージス艦はもちろんのこと、艦内以外も含めた各所のセットも重厚に作られていて違和感は覚えなかった。ハープーンの発射シーンから着弾の遠景等も邦画とは思えない程カッコ良い。その代わり脚本の整理が悪く、状況が判り辛い上に異様にモタモタしてる。そして予算の関係からか、この手の映画に絶対必要な数の「カット」を撮れなかったと思われるのが残念(これは編集で「カット」されたからではない筈)。もし5年以上前にこれが製作されていたら素直に驚いたと思いますけど、今となっては多少不満の残る仕上がりでした。あと、話の中身は確かに「沈黙の戦艦」+「ザ・ロック」なんですけど、作りは凄く韓国映画っぽく感じました、6点献上。 [DVD(邦画)] 6点(2006-03-17 00:04:58)(良:1票) |
397. 着信アリ2
前作も終盤はイミフでしたけど、今回はいよいよ全編に亘って意味不明。これって、いつから「声の主」じゃなくて「電話を取った人」が殺されるようになったの?(しかも「電話を取るのは本人が取った後でも可」って、前作と全く矛盾してるじゃん!) 「中村由美は覚醒した!」って、何に覚醒したのよ? そして、台湾と日本の事件の繋がりって一体何だったのさ? 全く訳が解らない。全く訳が解らないから、どう怖がっていいのかも判らない。だから全く怖くない。演出も近年のこの手の邦画の中では抜きん出て下手。ということで、目を剥いて絶叫するミムラ嬢の必死さに、3点献上。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2006-03-17 00:04:35) |
398. 怪談新耳袋 劇場版
全く起承転結の無い、奇怪なエピソードの羅列。確かに実際に経験する(って、したことないですけど…)怪談は唐突に発生するだけで「ストーリー」なんか無いんでしょうけど、それを「映画」として観せられてもあんまり面白くないです。TV版は観たことありませんが、要するに番組の合間に流れる「世界の車窓から」みたいなミニ番組なんですよね。そのコンセプトならこれでも良いと思いますけど、立て続けの90分は持たない。「呪怨」も起承転結の無いオムニバスに近い作りでしたけど、「家」なり「伽椰子」なりが柱となって映画を支えてました。ここに支えはありません、3点献上。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2006-03-17 00:04:11)(良:1票) |
399. eiko【エイコ】
中々可愛らしい物語で、カメラワークやBGM等の演出も定石ながら的を射ていたし、麻生久美子の魅力は全開だったし、何気に豪華なキャスティングも良かったですけど、どうしても「映像」が受け付けない。全編、ドキュメンタリーでもないのに、照明等を考慮しない白っちゃけた安っぽいビデオ映像が続く。ファンタジックでハート・ウォーミングな作品なら、その雰囲気に合った映像というものがある。今の時代、私も一概にビデオ撮影を否定はしませんが(「エピソード3」も「完全ビデオ映画」ですしね)、本作も一応は「映画」なんですから、もう少し映像にもこだわって欲しい、5点献上。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-03-17 00:03:45) |
400. T.R.Y.
普通、地上波で放送された映画を生で観てる時は、CMが入るとその度に「こんな所でCMなんか入れやがって。ケッ、この商品は絶対買わんぞ!」等と思うのが常ですけど、この映画の場合はCMが入る度に何故かホッとしてしまった。むしろ、このままCMがずっと続いてくれないかとさえ思った。それ程につまらない。そう言えば巻頭では、波の向こうから東映の三角マークが誇らしげに近づいて来てましたっけ…。「T.R.Y」等というセンスの欠片も無いタイトルが示す通り、脚本、演出、編集、演技と、全てに於いてセンスが無さ過ぎる。大体、何で詐欺師が常に堂々と本名を名乗ってんのよ? それに、こんな髪型(しかも茶髪)した奴が大正時代にいたか? これは明らかに同じ会社の「デビルマン」より出来損ないです、1点献上。 [地上波(邦画)] 1点(2006-03-17 00:03:14)(笑:1票) |