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枕流さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 496
性別 男性
年齢 42歳
自己紹介 皆様のレビュー、いつも参考にさせていただいております。私のレビューも参考になれば幸いです。

2012年以降忙しくなったので、レビューを一言にしています(上半期分は6月末にまとめて投稿)。参考にしにくいかもしれませんが、あしからずご了承ください。採点基準は以前と同様です。

私の連絡先はこちら⇒えむいーあーる75jp[あっとまーく]yahoo.co.jp

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401.  アニー・ホール 《ネタバレ》 
実験的な手法を取り入れたアレンの初期の代表作であり、半自伝的な映画。登場人物の思いが活字になったり、突然観客にしゃべりかけたり、挙句は劇がアニメになったりとハチャメチャで斬新な演出だが、それが全くスベっていないという驚異的な映画。「アリーmyラブ」を最初に見た時、この映画を思い出した。 アレン演じるアルビー・シンガーとダイアン・キートン演じるアニー・ホールの恋愛模様が話の焦点なのだが、この頃からアレンの「独善的なインテリ」という自虐ネタは冴え渡っており、アニーを大学に行かせるエピソードや自分好みの本を執拗に押し付けるところなどからもそれが窺える。それが馬鹿馬鹿しいと薄々気づいていながらもやめられないところが身につまされる。世の中全てを笑いのめすコメディアンでありながら、自らのエゴに苦しめられる彼の気持ちは痛いほどよく分かる。精神分析を15年受け続けているという彼の台詞からも彼自身が一個の悩める人間に過ぎないことが分かろうというものだ。 ラストの卵の小話は、恋愛って本当にそのとおりだと共感し、感心した。同じ夢を共に見るのが恋愛なら、それは儚いし、傍から見れば馬鹿げているかもしれないが、本人たちは至って本気。夢だからこそ余計に美しくなるのであればそれはそれでよいではないか?アレンの気持ちの良い恋愛肯定には、毎度微笑ましくなる。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-19 10:15:00)
402.  アメリカを売った男 《ネタバレ》 
名優クリス・クーパーの老獪な演技とそれに立ち向かうライアン・フィリップの清新で時に荒々しい演技がぶつかり合い、何とも見ごたえのある作品に仕上がっている。優れたサスペンスであると同時に一種の人物ドラマとしても鑑賞に堪える。 この映画はハンセンという男を隅から隅まで描けているわけではない。しかし、(回りから見た)彼は過不足なく描けている。一つ一つのエピソードはどれも印象的だ。エリックと出会ってすぐに、「自分について5つのことを言え。うち1つは嘘を言え」と迫るシーンやエリックが彼の家庭を訪問するシーンは特に面白い。前者では彼の尊大さが剥き出しにされ、後者では彼の他人を欺く悦びが活写されている。彼は要するに全てを騙したかったのではないか。ひりつく勝負を求めていたのではないか。公園でのシーンも、彼は何発撃ったかを正確に把握し、そしてエリックに向かって引き金を引いた。優れた頭脳を持ちながら、エキセントリックであるがために組織で上を目指せなかった男がひねくれ果てた姿には一種の同情や哀しみさえ覚える。 爆発的な何かは感じられないが非常に完成度の作品だった。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-18 00:51:44)
403.  ミスト 《ネタバレ》 
よくあるパニック映画の範疇を出ない、というかそれを更に冗長にした映画だ。スーパーに立てこもるまでは分かるのだが、その後の展開から監督が観客に何を伝えたかったのかが判然としない。原理主義者と懐疑的なインテリと頭の単純な田舎者を槍玉に挙げるのは分かったが、「で?」という感じだ。彼らは間違っているから死にました。めでたしめでたしなのか?それなら最後の展開は更に理解不能だ。 そもそも「霧の中の何か」が出てくるのが早すぎる。恐怖映画を撮りたいのか密室劇を撮りたいのかをはっきり決めなかった(あるいは虻蜂取らずになったのか)のが最大の失策だろう。伝えたい内容の割りに映画の尺が長すぎる。ラスト付近の巨大の化け物にはちょっと圧倒されたから4点だが、その価値はないかもしれない。 序盤に「遊星からの物体X」のポスターが出てくるが、それよりは格段に落ちる作品だ。
[DVD(字幕)] 4点(2009-04-15 21:08:40)
404.  バンク・ジョブ 《ネタバレ》 
実話かどうかという点にはあまり重きをおかずに映画を観るのだが、この作品に関しては、そこが特に重要な気がした。痛快なクライム・エンタテイメントとしても一応の出来ではあるのだが、これが実話だとすると更に興味深い。 無線傍受のシーンやその後の展開はスリリングなのだが、どこか間が抜けていて、Mi-5や警察の対応に疑問を覚えるシーンも多い。特にMi-5の対応が非常に紳士的なのには驚いた。あれだけテリーと接触しておいて、尾行もせずに素直に交渉に応じるのはどうかと思った。ラストも彼らを連れ去って、内々のうちに殺してしまったほうが安心な気がするのだが。ある意味でのどかな時代だったんだろう。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-15 20:45:56)
405.  ビッグ・フィッシュ
前半はどちらかというと冗長で、初見の時に得られた感動が今回も得られるかどうか不安になったが、尻上がりに調子を上げていき、ラストで爆発した。あのオチを全く覚えていなかった自分の健忘症ぶりには恥ずかしくなったが、何度も映画を楽しむことが出来る特異な才能と考えることにしよう。ティム・バートン監督独特の怪奇趣味とファンタジックなテイストが絶妙に入り混じった快作。ほんの少しの想像力がある人なら誰でも楽しめるという点で、この監督の作品の入門版としても最適かもしれない。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-12 21:05:57)
406.  ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 
この映画をどう観るかはその人が今までどんな恋愛をしてきたかによってかなり異なると思う。私にとって、この映画は非常に「哀しい」映画だった。そして、同時に「正しく」生きていこうと決意するきっかけになった。 まず、筋はありえなさそうでありえそうな、日常の中の非日常といった感じ。若者向けのメルヘンとしては良いところを衝いている。その後の展開も特におかしな点は無かった。 キャストの面から見ると、妻夫木も池脇もとても良い演技をしていたと思う。妻夫木はイケメンだが普通の大学生を、池脇はエキセントリックな中にも可愛げのある女の子を好演していた。板尾の自然な演技も光る。関西弁はよく分からないが、上野が不自然で池脇のが可愛いと思った。博多弁はちょっといただけない部分もあるが、まあまあ合格点か。 さて、何が「哀し」かったかだが、やはりラスト付近の妻夫木の嗚咽だろう。「守る」と決めた人間を守れなかった口惜しさ、彼女に対する罪悪感、自分に対する慰めなどの全てが詰まった涙だったのではないか。彼を責めることは容易い。しかし、私にはそれはできなかった。自分も他人を捨てたことがあるから。別れの予感があるにもかかわらず一度は受け入れ、そして切り離すのはあまりにも残酷な行為ではないか?彼も私も残酷だったということだ。池脇が「帰れと言われて帰る奴は帰れ!」と妻夫木を詰りながら、背中に縋って泣くシーンがあるが、私は心の中でずっと「帰れ!帰れ!」と叫び続けていた。映画として成り立たなくなるけど。「帰れ」と言われて、いったん帰ろうとする人間には相手を救うことなど結局は出来はしない。そもそも「救う」という考え方が心の中に入り込んでいる時点で非常にその恋愛は難しくなる(と思う)。それが出来る人を私は尊敬する。私も含め大部分の人間はそれが出来ないのだからそういう恋愛をする権利は無い。だが、1回目は分からない。私のように傲慢な人間は本気で救えると勘違いする。しかし絶対に繰り返してはならない。ちょっと長いけどこう思った。 映画に戻るが、ラストの料理のシーンは救いだ。だが、病んだ私には彼女の神々しい背中は彼岸のもののように映った。
[DVD(邦画)] 9点(2009-03-26 22:29:44)(良:2票)
407.  欲望という名の電車(1951) 《ネタバレ》 
この映画を初めて観たのは、まだ小学生か中学生の頃で、当然ながら隠喩的な表現などはよく理解できなかった。しかし、うまく説明できないが、当時から大きな魅力をこの作品に対して感じていた。登場人物たちの性格描写がとても鮮やかで、そこに惹きつけられたのだろう。時を経て、このたび改めて鑑賞したが、自分が成長して、ストーリーの背後にある欲望や醜い感情の蠢きが良く見えるようになっているだけに、鑑賞後は重い気持ちになった。 本来のラストは、ステラがスタンリーの下に戻るものだったとか。倫理的な圧力によって、ステラが「二度と戻らない」と独言するラストに変えられているが、そのつぶやきにリアリティを感じないのは私だけではないだろう。むしろ彼女にそうつぶやかせることで、更に彼女の複雑な心情が表されている。彼女は結局スタンリーの下に戻るはずだ。それを言外に表した表現の素晴らしさは賞賛に値する。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-08 02:16:14)
408.  夫たち、妻たち 《ネタバレ》 
限りなく苦いコメディであり、アレンの自己客体化の神髄が味わえる。この映画が「笑える」のは彼の透徹した目が人間の肉体を貫いて、その心を捉えているからだ。この映画で、僕は彼と共に感動し、彼と共に喜び、彼と共に悲しむことができた。 映画のテーマは、彼の十八番の「インテリ恋愛模様」なのだが、本作が特に優れているのは、効果的に手持ちカメラを使った点と観客を精神分析医(=神)の立場に配置したことである。観客は登場人物一人ひとりの意識の中(あくまでも彼らが自己分析した自己に止まるが)に入り込むことが出来る。赤裸々な人間の感情をこれほど捉えた映画は今までに観たことがない。アレンの目線はどこまでも「男性的」なので女性には理解できない部分があるかもしれないが、彼の描くジュディは怖ろしいほどリアルで、彼女は男から見た知的な女の魅力と面倒くささを体現していた。サリーやレインの描き方もうまい。まだ観ていない彼の映画があることが幸せだ。
[DVD(字幕)] 9点(2009-03-04 23:02:25)
409.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
2時間以上に渡る大作だが、この映画が言いたい事は「母の愛は絶対」。これだけだ。殺人犯がどうなろうが、警察の腐敗がどこまで進行していようが、アンジェリーナ・ジョリー演じるクリスティンには興味が無い。彼女の眼中には我が子しかない。"I want my son back!"。何度も繰り返されるこの台詞がこれほど強烈に胸に響くとは思わなかった。彼女は我が子を見つける助けになる者には協力し、それを妨げる者とは激しく争う。我が子のためなら、母親は鬼神にもなると言うが、それをリアルに演じきったアンジェリーナ・ジョリーの演技は見事だ。僅かな望みを追いかけ、只管に目的へと邁進する彼女の姿を「女」と警部は嗤うが、愛に生きる者とはそうあって当然ではないのか?最近観た「ナイロビの蜂」は恋愛の極致を描いているが、この映画には「母の愛」の真髄を見せられた。 映画のつくりだが、視点が定まっている映画だけに、安定感があり、まさに良い映画のお手本のような仕上がりとなっている。ある意味で、面白みに欠けるという評があるのは納得だが、映画館に観に行くコストを考えるとこの安定感は有り難いのも事実だ。もう少し、愛の利己性とそれが周囲に与える影響みたいな部分に焦点を当てても面白かったかもしれないが、監督がこの映画で伝えたいのはそこではないのだろうから仕方が無い。 ラストで「希望」と答えて笑うクリスティンの表情にはやられた。決して諦めない。何と尊いことか。
[映画館(字幕)] 8点(2009-03-02 00:00:50)
410.  ノーカントリー 《ネタバレ》 
コーエン兄弟の冷徹な無常観が最も分かり易く現れた作品であり、彼らの映画が苦手な私でも楽しめる作品に仕上がっている。「バーバー」でも感じたが、彼らは人生における「運」や「偶然」に対する執着心が強い。いいことをした奴が殺されたり、悪い奴がのさばったりする様を淡々と描いて、多くの観客の不快感を煽る。破壊的なまでに不条理なストーリーが多いのだが、不条理という「理」にも縛られないので、まるっきり予測不能で解釈しにくい。 映画を含めた「作品」には多かれ少なかれ、製作者の理想や考えが混入される。これは当然のことで、そうでないと何を伝えたかったんだ?ということにもなりかねない。コーエン兄弟がすごいのは、実話的な不条理さを抉り出し、それを観客に単に「提示」するところなのだ。「実話的な不条理さ」と書いたが、現実とは不条理なものだ。親切心から殺される人もいれば、悪知恵で難を逃れる人もいる。その様をコーエン兄弟は何も加工せずに観客に見せる。誇示するのでもなく、オブラートに包むのでもなくただあるがままの姿で。その伝え方も彼らが伝えたいことの一部なのだろう。 もちろん、撮影方法や話の進め方、画面の構成や音響など、技術的な部分では十分に工夫が凝らされている。本作では、夜に話が多く進行することもあり、明暗の使い方が特にうまいと感じた。 ハビエル・バルデム演じる殺人鬼が人の命を淡々と奪っていく様は本当に怖ろしい。彼の交通事故は先述の「バーバー」からある程度予測できたが、その後の少年たちとのやり取りにはやられたと思った。ラストのトミー・リー・ジョーンズの夢の話には正直ピンと来なかったが、アカデミー賞を取るのも納得できる出来栄えだった。
[DVD(字幕)] 8点(2009-02-22 22:06:13)
411.  大いなる陰謀 《ネタバレ》 
観る前から知ってましたが、とりあえず、ひとくさりこのしょうもないタイトルを脳内でけなした後、このレビューを書いています。民主党員の作った民主党員のための映画みたいになっているのが、ちょっと気に食わないですが、確かにイラク戦争は失敗に終わったので、あながち間違いとはいえないでしょう。後づけの感はありますが。 共和党政治家のホープとリベラルなジャーナリスト、それに反戦派の大学教授と役者は揃っています。当然ながら、共和党政治家は少し常軌を逸した人物として描かれており、その時点でジャーナリストと大学教授に肩入れしやすい構成にしているのは、ちょっとずるいところですね。全体的な雰囲気としては、イタい共和党に率いられた民衆が戦争を支持するんだけど、それを止められない民主党も残念だみたいな自虐的なノリの映画です。戦争に志願する人のことをダメだとは止められないし、それなりに敬意も払わないといけない。でも、この戦争は間違ってるんだからそれは犬死だよね。。。という彼ら(というかレッドフォード)の心の声が聞こえてきます。 で、結局どうすればいいのか明確な答えを出さないのもずるいところ。即時撤兵して復権した過激派による粛清が行われるのを淡々と見ていればいいのでしょうか。アメリカがそれで良いというのだったらそれまでですが、その際は日本ももうちょっと安全保障の問題を考えておかないとまずいですね。個人的には東アジアはけっこう地理的に危険だと思っています。 散々批判しましたが、考えされられましたし、トム・クルーズの演技はうまいと感じたから7点です。それにしても何だこのタイトル。
[DVD(字幕)] 7点(2009-02-16 23:59:43)(良:1票)
412.  ブレードランナー/ファイナル・カット 《ネタバレ》 
正直に申し上げてデッカードがレプリかどうかなどということに全く興味は無く、というかそういうテーマがあろうとは気づきもせず、2時間この映画を観たが、それでも十分に面白かった。ストーリーの映画かと思いきや、意外と雰囲気の映画だったのだが、それもこの強烈な世界の前では、どちらでも良くなった。東洋的で混沌とした街に咲く退廃美。止まない雨も印象的だ。何よりも観るべきはルドガー・ハウアーの怪演か。「地獄の黙示録」のマーロン・ブランドーを思い出した。レプリだけに行動が予測不能。恐るべき力を持つ子供が最期に見せる思いには胸を打たれる。万人向けではないが、感じる人は何かを感じる作品。
[DVD(字幕)] 7点(2009-02-16 23:26:58)
413.  シモーヌ 《ネタバレ》 
アンドリュー・ニコル監督の作品はどれも好きだが、この作品も期待を裏切らない出来だった。この監督がうまいところは、ちょっと笑えないレベルの話すらも笑いに変えられるユーモア精神、人物造詣とストーリーテリングの妙、それに印象に残るシーンを作り出すことができるところである。また、基本的に、話の展開が控えめでやりすぎないところもよい。 本作もアクの強いアル・パチーノをうまく使って嫌みのないハートフル・コメディに仕上げている。彼が演じるヴィクターの深い悩みは映画界だけにとどまらず、様々な世界で働く才人に共通した悩みであろう。使える奴がいない⇒作り出したい。ヴィクターはその夢をかなえるのだが、最終的には人間とのコミュニケーションを求めざるを得ない。ラストシーンにはその素晴らしさが溢れており、逆説的な人間讃歌に仕上がっている。元妻役、娘役の好演も光った。特に娘はすごくかわいらしく、エヴァン・レイチェル・ウッドの名前は覚えておこうと思った。 現実的には、映画監督ヴィクター一人でシモーヌの演技全てを作り出すなんて絶対無理に決まっており、土台無理があるストーリーなのだが、一編の寓話としてみると、非常に面白い。ニコル監督の近況としては、ダリをモチーフにした作品の次には、お得意のSF映画が控えていると聞く。ますます目が離せないのだが、最もびっくりしたのはこの映画の後、シモーヌ役のレイチェル・ロバーツと結婚していること。なかなかやりおる…。
[DVD(字幕)] 8点(2009-02-14 14:45:43)
414.  ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 《ネタバレ》 
やっちゃったー!というのが鑑賞後の感想。「ギャング・オブ・ニューヨーク」を思い出した。雰囲気がすごい似てて。 これは、ダニエル・デイ・ルイスの怪演を観るべき映画でしょう!特に、ラストの迫力なんて誰にも出来るもんじゃない。ジャック・ニコルソン並みに怖い。 この映画が残念なのは、他に見るべき部分が無いってこと。ストーリーがあまりにもスカスカすぎる。雰囲気だけで話が進行するし、息子と父親の関係性や神父と彼らの関係性もさっぱり。人と人の化学反応を僅かなシーンだけで描こうとするからこうなる。絵的に美しいシーン、キャストの好演など観るべきところはあるのだが、十分に活かされていない。ダニエル・デイ・ルイスが絡むとこうなってしまうのか。彼の実力に製作側が魅せられて、彼の宣伝フィルムを撮ったみたいになってしまっている。主演男優賞は納得だが、これでは共演者がかわいそうだ。
[DVD(字幕)] 5点(2009-02-11 18:02:02)
415.  近松物語 《ネタバレ》 
いわゆる王道の悲恋モノなのだが、全く泣けなかった。泣くとかいう次元ではなくて、完全に圧倒されてしまった。特に構図が美しすぎて、もう何とも言えない。以春の二階、船で漕ぎ出すシーン、おさんが山中で茂兵衛を追いかけるシーン等々、まさに一幅の絵のようで、言葉を失う。日本の映画ってこんなに凄い(凄かった?)んだと改めて感じた。 キャストの演技力にもしびれる。特に船中のシーンでの香川京子の演技は鬼気迫るエロティシズムを感じて、ぞくぞくした。「死にとうない!生きていたい!」と叫ぶ彼女の顔には、妖艶を通り越して一種の恐怖すら覚える。あと、個人的には、茂兵衛役の長谷川一夫は顔が甘すぎて、ちょっといただけないと感じた。 鑑賞後、何点にしようか迷ったが、率直につけると7点止まりになってしまう。凄いものを観たというのは分かるのだが、なぜか彼らに感情移入できなかった。映画として、あまりにも完璧である故なのかもしれない。気持ちの面で、消化不良のまま、置いていかれた感じがする。認めたくは無いが、洋画に毒されているのかもしれない。たまには日本のものを観かえして、感受性を養っておこうと思った。
[DVD(邦画)] 7点(2009-02-01 18:36:06)
416.  アメリカン・ギャングスター 《ネタバレ》 
監督はリドリー・スコット、キャストはデンゼル・ワシントンとラッセル・クロウの2大スターを起用し、万全の態勢で制作されたと言っても過言ではない。ギャング映画好きのツボを押さえた骨太な構成で、良い映画のお手本を観ているかのようだ。長さも全く気にならない。ただし、強烈なインパクトに欠けるのも確かだ。エピソードや場面の一つ一つに「意味」が充満している「ゴッドファーザー」等の傑作と比べると、やはり見劣りしてしまう。フランク、リッチーのキャラクターについては、よく理解できたが、脇役の魅力が伝わってこない。悪役のトルーポ刑事が辛うじて味を出しているが、フランクの家族については、一定の存在感を出している母親を除いて、妻も弟も背景の一部になってしまっている。リッチーの離婚係争も本筋とはほとんど関係ないところで進行してしまう。実話だからしょうがないと割り切ってしまえばそれまでだが、これでは7点以上はつけられない。主役2人の好演(取調室での掛け合いは見事!)が光るだけに残念だ。
[DVD(字幕)] 7点(2009-01-31 21:46:33)
417.  007/慰めの報酬 《ネタバレ》 
前日に「カジノ・ロワイヤル」を再鑑賞し、万全の状態で臨んだ。相変わらずの凝ったオープニングで、期待も膨らむ。前作はトランプをモチーフにしていて、カラフルで華やかだったから、個人的には前作の方が好み。でも、今作の砂をモチーフにした造形もすごく良かった。 初めから怒涛のアクションシーンが炸裂するつくりも、前作と共通している点でしょう。今回は壮絶なカーチェイスで幕を開け、そこからイタリアのシエナで追いかけっこ。前作はボンドの特性を披露する見事なアクションシーンだったのに対し、今作はそこまで意識はされておらず、残念だった。ボーンシリーズ以降、メジャーになったカットバック多用型の(個人的には好みだが、何が起こっているかわかりにくいという意見もある)アクションシーンだった。 ただし、その後の展開はアクションのつぎはぎのような印象が否めず、大満足とはいかなかった。ストーリーも一本調子で変化に欠ける。ボスキャラのマチュー・アマルリックも少し貧弱で線が細い。総合的な印象としては、前作の方が良かったが、映画館で観れば、十分楽しめるレベルだと思う。 今作がシリーズの中で果たす役割としては、①敵の「組織」はかなり大規模であることが明らかになったと言うことと②ボンドが過去の思いをふっきり、スパイとして一応の完成形に到達したということだろう。次作では、ボンドの温かさと冷たさをどう出していくかが難しくなったと思う。スパイに成りきったボンドが、あまり人情味を出してもおかしいし、かと言って目的のためには手段を選ばず、誰彼かまわず利用する冷酷なマシーンと化していても、支持は得られないだろう。次作のボンドの人物造形に課されるハードルがぐんと増した気がする。 意外だったのは、前作よりもアクションシーンの比重が増していたこと。監督の人選などから、もっとドラマ性を高める方向に持っていくのかと思っていたが、良い意味でも悪い意味でも裏切られた。
[映画館(字幕)] 7点(2009-01-25 18:18:17)
418.  シリアナ 《ネタバレ》 
7点の判断基準は「他人に薦められなくもない」ということなのですが、はっきり言ってこの映画は、他人に薦められません。「トラフィック」に輪をかけてストーリーが複雑な上に、徹底的に説明を省略するものだから、置いていかれる人が多数でしょう。私も細かい部分も含めると把握しきれているかどうか。。。しかし、こういう陰謀モノの話は基本的に好きですし、キャストもいい仕事していますし、話の流れも嫌いではありませんから、7点は与えたいところです。確かにいくらなんでも観客を突き放し過ぎという皆さんのご意見には頷くしかありませんが。 話の中で疑問に思ったところが、2点あって、ホワイティングはボブをハメようとするんですけど、そんなまどろっこしいことをする前に消したほうが早かったのではないかと。自宅に侵入されたのは、少しお粗末でしたね。FBIの動きの方が早くて間に合わなかったということなのかな。もう1点は、最後のボブの動きをなぜCIA、FBIが止めなかったのかということ。目をつけられていても、普通に国外に出られるものなんでしょうか?以上2点がちょっと気になりましたが、頭の体操には良い映画でした。
[DVD(字幕)] 7点(2009-01-25 01:08:16)
419.  007/カジノ・ロワイヤル(2006) 《ネタバレ》 
クールなオープニングに加え、けっこうハードなバイオレンスシーンで、冒頭から圧倒される。今までとは違うんだぞ!という監督の心意気を示し、観客の意識を引き締めてくれる演出が心憎い。引き続いて、マダガスカルでのチェイスシーンもド迫力の中で、新しいボンドのパーソナリティーを無駄なく説明しており、監督の手腕を感じる。 メインがポーカー勝負ということもあり、盛り上げ方は難しかったようで、ストーリーの中盤はアクション映画とは最早呼べないような状況になっており、確かに少しダレる。しかし、ホテルのバスルームのシーン等、ドラマ性を高めるシーンは増えており、作品の出来としては、全く見劣りしない。ラスト、泣けるし。 昔のボンドに郷愁を感じられる方も多いようだが、特に思い入れの無い僕にとっては、今作のボーンシリーズ風のボンドで全く問題なし。むしろ、ダニエル・クレイグはすごくセクシーだと思う。「かっこ良さ」の基準も変わってきていて、現代は、やはりこういう人間味のあるキャラクターがウケるのではないか。あえて、下品な表現をすれば、ボンド・ガールをとっかえひっかえで良いのか?という話だろう。女性の地位が向上してきた、時代の要請に合った方針転換であり、好ましいと思う。エヴァ・グリーンがハマリ役というのもありますが、「モノを言う」女性が相手役と言うのも良いと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2009-01-24 22:04:46)(良:1票)
420.  ワールド・オブ・ライズ 《ネタバレ》 
これはまたガツンと来る映画でした。リドリー・スコットの面目躍如といった感じでしょうか。ストーリーはほぼ1本に収斂されており、単調と言えないことも無いのですが、骨太なストーリー展開がそれを補って余りあります。主役の2人+マーク・ストロングがいい演技をするものだから、映画に文字通り引き込まれました。 話の内容はさておき、この映画で最も面白かったのは、やはり上記の三者の関係性でしょう。会社で言えば、本社と現場と取引先でしょうか。この三者の虚々実々のやり取りにはシビれました。あくまでも正論をふりかざす本社、誠実さを要求する取引先、間で苦慮するのは現場なんですねえ。普通のビジネスと違うのは、バランスの取り方で死ぬか生きるかが決まるということ。ストーリーの内容よりも、ヒリつくような緊張感をもった三者の関係性こそが、この映画のキモではないかと感じました。 強烈な印象を残す!というわけではありませんが、高いエンタテイメント性を保ちつつ、リアリティとフィクションの絶妙な隙間を描ききった佳作と言えるでしょう。 ラストのディカプリオの眼の演技もいい!ちょっと偉そうかもしれませんが、何て言うか、いい俳優になったなあと感動しました。
[映画館(字幕)] 8点(2009-01-17 22:33:36)(良:3票)
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