421. トランスポーター イグニション
《ネタバレ》 てっきりストーリーも第一作をなぞる形かと思っていたので、全く新しいストーリーが繰り広げられる事に吃驚。 とはいえ、脚本はリュック・ベッソンが担当している為か「あぁ、またこの展開か」と思ってしまうくらいに、観ていて安心感がありましたね。 謎のブロンド美女集団なんて如何にもといった感じで、相変わらずだなぁと嬉しくなってしまいます。 主人公フランクに関しては、クールでスタイリッシュな印象。 前シリーズのジェイソン・ステイサムに比べると、紅い唇が印象的なエド・スクラインは黒スーツが良く似合っており、冒頭のアクションにはエレガントさすら漂わせているのが、独特の魅力だと思えます。 一方で、あのスーツ姿とは不釣り合いな野性味、何をやらかすか分からない危なさが薄れているように感じられるという、後発ならではの弱みもあるかと。 それと、やはり目立つのは父親の存在ですね。 「これは孤独なプロフェッショナルという主人公のタイプには似合わない、恐らくは途中で殺されて復讐を誓う展開なのだろうな……」 という安易な予想を裏切ってくれたのは、素直に嬉しい。 序盤から「親父さんの職業に秘密があるな」と勘付かせて、そちらの期待は裏切らずに、元スパイという設定が中盤で判明する辺りなどは、好みのバランスでした。 ところが一転、終盤になると少し期待外れというか、テンションが下がる展開に。 まず、親父さんのキャラクターが目立ち過ぎた結果、主人公フランクの存在感が薄まってしまった事。 そしてストーリーの中核を担うのがヒロインのアンナであると判明し、フランクが単なる「アンナを手助けする相棒ポジション」にしか思えなくなってしまったのには困りました。 一番の難点は、父親が誘拐されてしまう流れを二度続けてやられた事で、これには思わず「またかよ!」と声が出てしまいましたね。 それにラスボスは主人公と因縁のあるキャラクターなのだし、アンナの手助けによって決着が付く展開にするのではなく、実力で気持ち良く勝って欲しかったところです。 恐らくはシリーズ第一作にて、ヒロインが拳銃で主人公の危機を救う結末へのオマージュなのでしょうが、それならラスボスを倒した後、満身創痍で端役に追い詰められた後に救われる展開でも良かったかな、と。 上記のように不満点もあったりするのですが、そういうものだと予め知った上で、割り切って観れば、主人公達の親子関係は微笑ましいものがありましたし、充分に楽しめる内容だと思います。 特に、カーアクションの面白さは折り紙付き。 路上の消火栓を破壊して道路を水浸しにする事によって追っ手を足止めする件や、空港でのジャンプなどは見応えがありました。 今回は「事前に期待した内容とは違っていた」という意味で、今一つ盛り上がれませんでしたが、また時間を置いて再見し、その魅力を確かめてみたくなる。 そんな一品でした。 [DVD(吹替)] 6点(2016-04-12 07:37:21) |
422. ロミオ・マスト・ダイ
《ネタバレ》 安心して楽しめるアクション映画だと思います。 一応はマフィアの抗争がストーリーの核となっているのですが、人物相関図が複雑過ぎるという事も無く、黒幕が誰なのかもキチンと観客に教えてくれる親切設計。 主人公の登場、及び正体が判明するまでに少し時間が掛かる点は気になりますが、それでも肩の力を抜いて、リラックスしながら観賞する事が出来る内容かと。 ジェット・リー主演作の中では、確か二番目か三番目に触れた作品だったので、観賞中「へぇ、ジェット・リーって、こういうコミカルさを備えた役も出来るのか」と、新鮮な気持ちを味わえた記憶がありますね。 所々ワイヤーで宙吊りにしているのが分かり易い箇所があり、そこは好みとは言い難いものがありましたが、ホースを使った格闘シーンや、敵を倒す際のレントゲン演出なんかは素直に面白かったです。 後者も多用していたらマンネリだったかも知れませんが、回数が少なかったので好印象。 死人も次々に出る映画なのですが、作中で観客が好感を抱きそうなキャラクターである「ヒロインの父親」「モーモーちゃん」などは明確な死亡シーンが描かれておらず、後味が悪くならないようにしている辺りには、作り手の配慮が感じられましたね。 ラストの格闘シーンでも、足元の炎で盛り上げてくれたりして、何だかそれだけで満足してしまいます。 主人公と黒幕との対峙、そして結末には、若干のほろ苦さもありましたが、その後にヒロインと抱擁を交わして「救い」を感じさせて終わるバランスなども好み。 押さえるべきところは押さえてくれている一品です。 [DVD(吹替)] 6点(2016-04-05 07:55:48) |
423. New York 結婚狂騒曲
《ネタバレ》 こういったラブコメ映画において「主人公が結婚式を直前でキャンセルする」という展開が訪れると、大抵は相手方が可哀想になってしまうのですが、本作はそれを感じさせませんでしたね。 何といっても「振られる」形となる婚約者のコリン・ファースが格好良い。 このまま結婚したら君は不幸になる、という理由で潔く身を引いてみせるなど、中々出来る事ではありません。 少し女性主人公側にとって都合の良過ぎる展開ではないか、と思えない事も無いのですが、こういった場合に婚約者側を分かり易い悪役にしてしまう展開よりも、ずっと好感が持てると思います。 とはいえ、中盤において、女性側には婚約者がいるにも拘らず情熱に任せて性交渉を行る主人公カップルなど「おいおい、それで良いの?」と感じてしまう部分が多かったのも事実。 その後に主人公は直ぐに後悔する事となるのですが、ここで少し作中人物に距離を感じてしまったというか、白けた気持ちになってしまったのは残念でした。 ラストに関しては「結婚式を中止させる為の手段として火災報知機を鳴らす」→「消防士である意中の彼が駆け付けてくれて、そのまま二人は結ばれる」という形となっており、綺麗に纏まっているなぁ、と素直に感心。 上述の婚約者を筆頭として「過去に間違いを犯したからこそ、真の伴侶に出会えた」と語る父親など、脇役に魅力を感じさせるキャラクターも多く、最後は安心のハッピーエンド。 観賞中は色々とモヤモヤした気持ちに襲われた一方で、観賞後には「良かった」と感じさせてくれる、そんな一作でありました。 [DVD(字幕)] 6点(2016-04-04 07:18:51) |
424. メイズ・ランナー 最期の迷宮
《ネタバレ》 やっぱりゾンビ映画。 2の時点で分かってた事ではあるんだけど、3では更にゾンビ濃度が高まってるんですよね。 それも、ただ単に「ゾンビ好きに媚びる為にゾンビを出しました」って訳でもなく、その要素を劇中で活かし「主人公の親友ニュートがゾンビ化してしまい、殺してくれと訴えてくる」って展開になるんだから、お見事です。 物語としては本作が一番盛り上がるし、最終章に相応しい内容だったと思います。 冒頭から「走行中の列車を襲撃し、仲間を救出しようとする主人公達」って見せ場が用意されているのも、嬉しい限り。 他にも「高所からプールにダイブ」とか「バスをクレーンで釣り上げる」とか、要所要所で見せ場があるし、作り手の誠意を感じます。 これに関しては、単純に観ていて面白いっていうよりは(あぁ、ちゃんと観客を楽しませようとしてるんだな……)と思えてきて、安心させられるって類の長所ですね。 「そんなのは、娯楽映画として当たり前の事だ」って考える人もいるでしょうけど、それが出来ていない映画だって沢山ある訳だし、自分としては評価したいです。 そんな訳で、1→2→3と順当に成長してきた、シリーズ最高傑作と称えたい気持ちもあるんですが…… 素直に褒めきれない部分も多かったりして、そこは残念。 まず、上述のニュートに関しても、3単体では「主人公の相棒であり、大切な親友」として描かれてるけど、1と2では全然そんな事は無くて「仲間その1」でしかなかった訳だから、ちょっと唐突なんですよね。 3で急に仲良くなったような形ではなく、1から親友として描いていたら、その劇的な死も更に盛り上がったはずなので、実に惜しい。 これに関しては「1のチャックに比べたら、3のニュートの方が退場のさせ方は上手くなってる」と褒める事も出来そうだし、判断が難しいです。 あとは「実は生きていたギャリー」って展開で、これはもう、申し訳無いけど失敗してると思います。 そりゃあギャリーのファンなら嬉しいかも知れないけど、どう考えても「死んだと思ってたキャラが、実は生きていた」というサプライズ展開やりたかっただけって感じであり、必然性も無いし、ギャリーという存在を活かしきれてもいないんですよね。 宿敵だった主人公のトーマスにも「頑張れ」と声かけたりして、いつのまにか普通に信頼出来る仲間みたいになってるし、劇的な和解イベントも無し。 ギャリーを串刺しにした張本人のミンホに対しても「誰にでも間違いはある」で済ませちゃうんだから、大いに拍子抜け。 これならギャリーではなく、本作から登場した新キャラって事にしても、充分成立したと思います。 他にも「ヒロインのテレサまで、ニュートのおまけみたいに死んじゃうのが可哀想」とか「結局、世界がウイルスから救われたかどうかも分からない」っていう曖昧さとか、欠点を論えばキリが無いんだけど…… 「友達でいてくれて、ありがとう」という最後のニュートの手紙は、中々グッと来るものがあったし、三部作を完走して良かったと、そう思えましたね。 またトーマスやニュート達に会いたくなったら、1から3まで観返したくなる。 なんだかんだで愛着が湧いちゃう、憎めない友達のような映画でした。 [DVD(吹替)] 5点(2023-11-28 18:55:38)(良:1票) |
425. メイズ・ランナー
《ネタバレ》 三部作を完走した上で、再鑑賞。 2以降の展開に「迷路、関係無いじゃん」とツッコまされた訳ですが、実は1の途中から既に関係無くなってるんですよね、これ。 そもそも主人公のトーマスが「ランナー」になった時には、既に迷路は全体図を把握されており、閉じ込められた皆に希望を持たせる為に、リーダー達が「まだ踏破していない」と他の面々を騙してただけと判明するんだから、もう吃驚です。 若者達が迷路に閉じ込められた理由も、結局は「実験の為」という在来な代物だったし、新薬開発の為に本当にこんな大仕掛けが必要だったのかと、甚だ疑問が残るし…… 正直、あまり褒められた出来栄えの映画ではないと思います。 ただ、原作小説は人気シリーズとの事で、言われてみれば本作って「人気のある原作を映画化した結果、微妙な出来栄えになってしまった」っていう典型のような品なんですよね。 登場人物も、それぞれにファンが生まれていそうな魅力は感じられたのですが、いかんせん映画の尺の中では描写が足りず、中途半端に終わってしまったという印象。 例えば、金髪のニュートなんかは如何にも良い奴っぽくて、これは主人公の相棒になって活躍するんだろうなと思わせる存在感があったのに、目立った活躍なんか全くしないで「仲間その1」っていうポジションのまま終わってしまうんです。 ヒロインのテレサも、典型的な「紅一点が必要だから用意してみました」というだけの存在であり、見せ場なんて皆無。 ニュートにせよテレサにせよ、2以降では役目が与えられているキャラだけに、この1での扱いの悪さは勿体無かったです。 ラストにて、憎まれ役のギャリーが涙ながらに「迷路はオレの家だ、皆の家だ」と訴えても、そんな愛着を抱くに至る経緯が描かれてないから、心に響かないし…… 最年少のチャックの死をクライマックスに据えるなら、事前に主人公とチャックの交流を濃い目に描いておくべきだったと思うしで、やはり全体的に拙いというか、未熟な印象が強いです。 一応、良かった点も挙げておくなら「狭い迷路の中で、化け物に襲われる恐ろしさ」というホラー映画な魅力は、しっかり描けている事。 「迷路の道が閉じるって特性を活かして、化け物を倒す」「手近な位置から順番に仕舞っていく扉に追いつくように走り、窮地を脱する」などの、迷路という舞台設定を活かしたアクションが描かれていた事は、評価に値すると思います。 後は、病に犯され正気を失った仲間を迷路に押し込む件なんかは「蠅の王」的な狂気を感じさせて、中々良かったんじゃないかと。 個人的には、ヒロインのテレサをもっと活かし「男だけの園に女の子が送られてきた事により、奪い合いになる」っていう「アナタハンの女王」的な展開にしても良かったんじゃないかって、初見の際には、そう思えたんですが…… そんな道は選ばず、健全な雰囲気で纏めた辺りも、今となっては長所に感じられますね。 適度な怖さ、適度なエグさを楽しめるという意味では、ティーンズ向け映画として成功してるのかも知れません。 [DVD(吹替)] 5点(2023-11-28 18:42:40)(良:1票) |
426. チェイサー(2017)
《ネタバレ》 ノンストップな追跡劇が面白い……と言いたいとこなんだけど、ちょっと微妙でしたね。 奇を衒った作りではなく「誘拐犯を追いかけ、子供を取り戻す主人公」というシンプルなストーリーだし、時間も94分と短めに纏まっているし、主演はハリー・ベリーだしで、褒めたくなる要素は一杯なんだけど、肝心の「映画としての面白さ」が足りてない。 どうして楽しめなかったんだろうと考えてみたんですが、本作に関しては「骨太でシンプルな作り」という、本来なら長所となるべき部分が、仇となってしまったのかも知れません。 誘拐犯の正体は驚きのあの人とか、実は深い目的があったとか、そういう訳でもないし、本当に「主人公VS誘拐犯」ってだけの話ですからね。 序盤に主人公がウェイトレスとして働く場面を、結構な尺を取って描いており、これは伏線なのかな(揉めてた客が再登場して主人公を助けてくれるとか、あるいは誘拐犯の一味とか)と思っていたら、全然関係無かったっていうのも、観ていてズッコけちゃいましたし。 中盤にて、主人公の車が燃料切れを起こしちゃうのも、何だか象徴的。 「ネタが無いので、仕方無く燃料切れにして引き延ばしました」としか思えない展開であり、そこで車だけじゃなく、映画自体も息切れしちゃってた気がします。 尺稼ぎが露骨というか、この映画には、94分でも長過ぎたんじゃないかと。 とはいえ最初に述べた通り、自分としては「褒めたくなる」「好きなタイプ」の品だったので、以下は良かった点を。 まず、冒頭で「息子の成長を見守る母」の姿を描き、母子の絆をしっかり感じさせるのは嬉しかったですね。 こういう映画である以上、そういう描写は必要不可欠だし、やって当たり前だろって話ではあるんですが…… 「当たり前の事を、ちゃんとやってくれてる安心感」が得られるっていうのは、立派な長所だと思います。 警察が全然活躍しないで、主人公が孤軍奮闘して息子を救うって展開に、しっかり説得力があったのも良い。 この場合の説得力っていうのは「警察に任せた方が息子が助かる確率は高いのに、自力で何とかしちゃうのは説得力に欠ける」とか、そういう現実的な代物ではなく、作劇として「主人公は警察に任せておけずに、自力で息子を救おうとする」っていう、主人公の心の描き方としての説得力ですね。 警察署にて、行方不明になったまま帰らない子供達のポスターを見つめ「我が子は決して、こんな風にはさせない」「何もせず待ってるだけなんて、耐えられない」と考える流れには、自然に感情移入出来ましたし。 正しい道じゃないかも知れないけど、観客として「それで良い」「そうするのが正解」「頑張って欲しい」と思える道を選ぶ主人公っていうのは、やっぱり魅力的です。 [ブルーレイ(吹替)] 5点(2023-08-22 00:43:15)(良:1票) |
427. パワーレンジャー(2017)
《ネタバレ》 「パワーレンジャー」(1995年)「パワーレンジャーターボ/誕生! ターボパワー」(1997年)と併せて、三作連続で鑑賞したのですが…… 前二作はテレビシリーズの劇場版という趣が強い為、予備知識無しで楽しめたのは本作のみでしたね。 単純に出来栄えとしても、三作品の中では一番良かったんじゃないかと思います。 ただ、それは「シリーズの中では一番面白い」というだけであり、純粋にコレ単品で評価するとなると……結構厳しいです。 学園物なテイストを盛り込んだのは悪くないと思うし、ちゃんと巨大ロボットも登場して「戦隊物に必要な事」は最低限やってくれているんですが、どうも物足りない。 映像のクオリティも高くて「本気でリブートする」「続編を何本も作れるような、人気シリーズにしてみせる」という心意気は伝わってきたんですが……残念ながら、その熱意が面白さに繋がっていないんですよね。 ちょっと酷な言い方をするなら「熱意は感じるけど、センスは感じない映画」って事になっちゃうと思います。 いや本当、悪い映画って訳じゃないんですけどね。 元々自分が特撮ヒーロー物を好きってのを差し引いても、一定のクオリティは有って、娯楽映画として及第点に達してると思いますし。 超人的な力を手に入れて喜ぶ姿とか、皆で焚火を囲んで絆を深める場面とか、若者達が主役ならではの「青春映画」としての魅力も描けてたと思います。 でもやっぱり、作り手にセンスが欠けてるというか…… 例えば、絶体絶命の場面でブルー(元いじめられっ子)が主人公のレッドに「友達になってくれて、ありがとう」と伝える場面とか、演出次第で、もっと感動的に出来たはずなんです。 なのに本作は(えっ、何で?)と戸惑うくらい、そういうオイシイ場面をアッサリ流してしまう。 それはレッドが父親を助ける場面も然りであり「父親がレッドの正体に気付く」とか「喧嘩しがちだった二人が和解する」とか、いくらでも面白い展開に出来たはずなのに、ただ助けるだけで終わっちゃうんですよね。 本当に勿体無くて、観ていて焦れったい。 エピローグにて「新たな戦士」の登場を示唆する一方で、倒しそびれた敵などが存在しない辺りは「観客にモヤモヤを残さない、誠実な作り」と褒める事も出来そうなんですけど…… 何か、さっきから「作り手の誠意」ばかり褒める形になっていて「映画の面白さ」を褒められないのが、寂しい限りです。 「好きな映画」とも「面白い映画」とも言えそうにない。 でも、絶妙に嫌いになれないという、不思議な感じ。 粗が有るのは分かってるけど、何とか肯定してあげたくなる。 「ヒロインや女怪人が可愛いってだけでも充分じゃん」とか、そういう軽いノリでフォローしたくなる。 まだ半人前だけど、頑張って戦ってるヒーローを応援したくなるような…… そういう「応援したくなる映画」っていうのが、一番的確な評かも知れません。 [インターネット(吹替)] 5点(2023-07-19 19:27:16) |
428. アダルトボーイズ青春白書
《ネタバレ》 大人の夏休み感が味わえる一本。 「日々の疲れを癒したい」「アウトドアを追体験したい」って願いを叶えてくれる作りになってるし、娯楽映画としての完成度は高かったと思います。 自然の中で、大人も子供も笑顔ではしゃぐ様が描かれているし、皆にとって「楽しい夏の思い出」になったんだろうなと、ほのぼのさせられました。 ともすれば「最近の子供はけしからん、俺達が子供の頃はそうじゃなかった」「残酷なテレビゲームばかりやってないで、もっと健全な遊びをやりなさい」という説教臭い内容になりそうなストーリーだし、実際そういうメッセージ性も込められてた気はしますが…… 観ていて違和感を覚えるほどじゃなかったし、あまり押し付けがましくないバランスにしてるのも良かったですね。 子供達を外に連れ出す場面も「せっかくアウトドアが楽しめる環境なのだから、自宅では出来ない遊びをしよう」って雰囲気だったし、この辺りのバランス感覚は上手かったと思います。 ただ、どうも波長が合わないというか…… 登場人物に対する印象が「悪い奴らではないんだろうけど、友達になりたいとは思えない」みたいな感じだったりするのが、非常に残念。 例として挙げるなら「甲高い声のマッチョマンを笑いものにする場面」「皆が並んでるのにズルして横入りする場面」などがそれであり、ちょっと主人公達が「嫌な奴ら」に思えちゃうんです。 クライマックスのバスケの試合にて、主人公が故意にシュートを外して負けるのを美談みたいに描いてるのも、納得出来ないものがあります。 「主人公は大人になった」「この世には、勝敗より大切なものがある」って言いたいんでしょうけど、どう考えても対戦相手に失礼というか…… 精神的な成長というより、単に主人公が自己満足の為に他者を利用して「わざと負けてあげた」という優越感に浸ってるだけに思えちゃったんですよね。 ベタな言い方かも知れないけど、そこは相手に対する礼儀として真剣勝負を行って欲しかったです。 とはいえ、その辺りに関しても「本作はスポーツではなく、休暇が主題だから」と考えれば、決定的な瑕とは言えないだろうし…… 基本的には楽しい内容だったので、それなりに満足。 また何時か、夏休み気分を味わいたい時に再見したら、もっと好きになれる映画かも知れません。 [DVD(吹替)] 5点(2023-07-18 09:07:12) |
429. 11ミリオン・ジョブ
《ネタバレ》 劇中、一番気になったのは警備員の主人公クリスが「俺は、ちゃんと応戦しましたよ」と上司に話す場面。 実際には、強盗に襲われた際に応戦したのは同僚のトニーであり、クリスは怯えて蹲ってただけなんだと、映画本編にて描かれているんですよね。 つい見栄を張ってしまったという事なのかも知れませんが、何だか「この映画自体、クリスの証言を元に作ってるんだから、当てにならないよ」という、作り手からのメッセージにも思えました。 そもそも本作では「真面目な青年だったクリスが、犯罪に手を染めてしまい悲劇的な末路を辿る」ってストーリーが描かれてる訳だけど、映画本編が終わった後に流れるクリス・ポタミティス本人へのインタビュー映像は、それまでと丸っきり毛色が違っているんです。 明るく笑って犯罪を後悔してる様子なんて無いし、それどころか盗んだ金を隠し持ったままである事を示唆してインタビューが終わるんだから、もう吃驚。 今まで観てきた映画は、あの涙ながらに逮捕された主人公の姿は何だったんだと、映画の終わりに「現実」から冷や水を浴びせられた気分です。 死んだと思われた犬が生きててホッとしてたら「同じように撃たれて死んだと思われたジミーも、実は生きてた」という展開になったりとか、脚本は上手かったし、演者さん達の力量も確かだったんですけどね。 実際は稚拙極まる犯行だったのに、刑事達が勝手に「犯人は頭が良い」「巨大組織の犯行」なんて過大評価しちゃう流れも面白いし、クリス達が逮捕される場面では、金を隠した石像が目の前にあるのに警官達は全く気付かないっていうのも、皮肉なユーモアがあって良い。 刑事目線ではない、犯人目線の映画ならではの魅力が、しっかり描けてたと思います。 だからこそ、もっと堂々とした悪党の主人公として、開き直って描くべきだったというか…… 「主人公を悲劇のヒーローみたいに描くのに無理があった」という、前提を間違えたせいで全てが台無しになっちゃったパターンなんでしょうね。 実話を映画にする難しさを感じた一本でした。 [DVD(吹替)] 5点(2023-07-11 01:52:20) |
430. ハンニバル・ライジング
《ネタバレ》 「ハンニバル」の時点で(殺人鬼であるレクターを、ヒーローとして描こうとしてるのでは?)って違和感があった訳だけど、本作では完全にヒーローに変身しちゃってますね。 「羊たちの沈黙」にて、罪の無い警官を平気で殺してた男が、良くもまぁここまで変わったもんだと、妙に感心しちゃいます。 そんな具合に、皮肉な目線で捉えるなら「レクターを正義の味方みたいに描かないで欲しい」とか何とか、文句も言えちゃう訳だけど…… 意外や意外、これが結構楽しめたんですよね。 後のシリーズと切り離し、本作単体で考えるなら「妹を殺した連中と、愛する女性を侮辱した男しか殺してない主人公」って形になってるし、シンプルな復讐劇として、奇麗に纏まってると思います。 むしろ本作に関しては「主人公は後のハンニバル・レクターである」って点が、デメリットになってるんじゃないかと思えたくらい。 レディ・ムラサキから剣道を習い、それを活かして最初の殺人を行う訳だけど(それなら、後々も日本刀がレクターの得意武器となるはずでは?)って、気になっちゃうんですよね。 それと、この後レクターは上述の通り「罪の無い警官を平気で殺してた男」に変貌する訳だけど、その変貌するキッカケなども描かれていないから「殺人鬼ハンニバル・レクターが誕生した理由」ってのが、見えてこないんです。 あえて言うなら、愛する女性のレディ・ムラサキに振られた事が「復讐者」から「殺人鬼」に変わった理由かとも思えるんですが…… それにしては、エンディングにて「復讐」を完遂しようとする姿で終わってるしで、何かチグハグですよね。 素人の浅知恵ですが、本作に関しては「純粋な復讐劇」として考えるなら、自らも妹を食べていたと悟った主人公は、復讐を完遂した後に自殺する結末の方が良かったと思うし、逆に「ハンニバル・レクター誕生を描いた物語」として考えるなら、復讐の為じゃなく快楽の為に殺人を犯すようになった場面を描くべきだったと思います。 「ハンニバル」よりは面白いって思えた一作なんですが、この辺りの歪さに関しては、正直褒められないです。 その他にも「山小屋の兵士達が、それほど餓えてるように見えない」とか「失語症が治るカタルシスを描かずに、あっさり治しちゃうのは勿体無い」とか、色々と気になる点も多い映画なんですが…… レクターが返り血を舐める場面なんかは、素直に恰好良かったし「正義では裁けない悪を、悪をもって誅す」というダークヒーロー的な魅力は、しっかり描けてたと思います。 何より見逃せない功績は、本作にてレクターに美形属性が備わった点ですね。 本作で美少年としてのレクターが描かれたからこそ、後にドラマ版「ハンニバル」が生まれたのかも知れないし…… そう考えると、非常に意義のある一本だったと思います。 [DVD(吹替)] 5点(2023-05-10 03:21:23)(良:1票) |
431. 抱きたいカンケイ
《ネタバレ》 セックスフレンドが恋人同士になるという、非常にシンプルなラブコメ。 主演は大好きなアシュトン・カッチャーとナタリー・ポートマンだし、これは面白そうと期待値を高めて鑑賞したのですが…… 結果としては(思ってた程には、楽しめなかった)という感じであり、残念でしたね。 この辺りは、同年公開で似たようなテーマを扱っていた「ステイ・フレンズ」(2011年)に対し(全然期待してなかったのに、面白かった)という印象を抱いたのとは好対照であり、何だか興味深いです。 上述の通り、主演の二人は大好きなので、彼らが動いて喋ってるのを見てるだけでも楽しいって気持ちはあるんですが、脚本が肌に合わなかったんですよね。 大前提として「主人公達は二人とも、父親絡みのトラウマが原因で恋に臆病になってる」「だから恋人にならず、セックスフレンドのままであり続けようとしてる」っていう設定がある訳なんだけど、それに説得力を感じなかったんです。 (別に恋人になったら、それはそれで良いじゃん)と思えちゃうし、二人が恋愛恐怖症みたいになってるのが不自然。 「愛する人を失う悲しみが大きかったからこそ、誰かを愛するのを恐れるようになった」というのであれば、その事を、もっと丁寧に描いて欲しかったです。 ラブコメお約束の「二人が結ばれる直前に喧嘩する場面」でも、大きなイベントというか、劇的な誤解や擦れ違いがあった訳でもなく、本当に意地張って痴話喧嘩してるだけなので、盛り上がらない。 恋のかませ犬にされた脇役達が、エンディングにて他の人物と結ばれてるのも唐突だったし…… 全体的に話作りが拙かったように思えます。 あと、これは男目線の偏った意見かも知れませんが、本作のヒロインであるエマに魅力を感じなかったんですよね。 「急にいなくならないで」「だって、君がそうしろって……」「言うこと聞かないでよ」のやり取りなんかは、流石にワガママ過ぎて呆れちゃいましたし。 そんなに悪い子じゃないかと思われた元カレのヴァネッサが、終盤にて「最低な女」っぷりを見せ付け、その後に「それに比べて、エマは優しい」みたいな展開になるのも「周りの人物を貶め、相対的にヒロインを持ち上げてる」って感じであり、ちょっと姑息。 好きな女優さんが演じてるという前提が無かったら、かなりキツかった気がします。 一応、良かった部分も挙げておくなら 「劇中劇の学園ドラマが面白そう」 「撮影現場で役者が煙草吸ってるのを女性スタッフが注意する様が、本当の生徒と先生みたいで愉快」 「エマがパターゴルフをやって、ホールインワンを連発する場面は痛快」 と、そのくらいになるでしょうか。 あとは、ラストにて「恋人らしく寄り添って眠る二人」で終わる形なのも、直球なハッピーエンドって感じであり、好きですね。 中盤にて、何時の間にか恋人みたいに寄り添って寝入ってた事に気付き、起きぬけに「これじゃ純愛みたい……最悪」と嘆くヒロインの姿があったからこそ、幸せそうな寝顔を祝福する事が出来たし、後味は良かったです。 思えば、その中盤の時点で「いっそ、本当に純愛しちゃおうか?」なんて提案されて、二人が結ばれるオチでも、全然問題無かったような気もするし…… とにかく「相思相愛な二人が結ばれない理由」が希薄過ぎて、観ていてもどかしかったですね。 「馬鹿な意地張ってないで、さっさとクッ付けよ」という、ラブコメ主人公の友達みたいな気分を味わえるという意味では、貴重な一本かも知れません。 [DVD(吹替)] 5点(2023-04-11 07:36:56)(良:2票) |
432. AVA エヴァ
《ネタバレ》 「美人女優による殺し屋映画」という、そんな一言で片付いてしまいそうな内容。 取り立てて語るような事も無い出来栄えだったのですが…… それって要するに「際立って良い部分も無ければ、悪い部分も無い」という事であり、娯楽映画としては優れてるのかも知れませんね。 とりあえず、観ている間それほど退屈しなかったのは確かです。 あえて良かった部分を語るなら、冒頭の場面。 最初に主人公エヴァに殺される男が「聞き飽きてるかも知れないけど」と前置きしてから命乞いする様は中々面白かったし、この映画を象徴する台詞にも思えましたね。 「皆、こういうタイプの映画は観飽きてるかも知れないけど、それでも観て欲しいんだ」っていう、作り手からのメッセージみたいでした。 如何にも怪し気で、ラスボスになるかと思われたジョン・マルコビッチ演じるデュークが「実は主人公を大切に想ってる親のような存在」として終わったのが意外だったとか、逆に良い人そうな元彼のマイケルが意外と駄目な奴だったとか、程好いサプライズがあった辺りも、何か安心感がありましたね。 多分これ、完全に予想通りの展開だったら、退屈な映画って印象になってたと思うんです。 でも本作に関しては「娯楽映画に必要なだけのサプライズ要素」を、しっかり備えてるバランスであり、ここは評価に値すると思います。 映画の終わりでは「幸せな最期だった」というデュークのメッセージと共に、主人公エヴァも殺される事が示唆されるんだけど、あんまりバッドエンドとは思えなかったのも、不思議な感覚でしたね。 案外あっさり敵を返り討ちにして、エヴァが生き延びる未来も有り得そうだし、結末を観客に委ねる度合いが高かった気がします。 「ハッピーエンドでも、バッドエンドでも、好きなように解釈して良いよ」って優しさが感じられて、それが心地良いんだけど、ちょっと物足りなくもあるという…… 何か、つくづく曖昧というか、語るのが難しい一本でした。 [DVD(吹替)] 5点(2023-03-28 07:27:10)(良:2票) |
433. サンダーフォース ~正義のスーパーヒロインズ~
《ネタバレ》 スーパーヒロインだけでなく市長まで女性にしているし、とことん女性賛歌の映画って感じですね。 例えば、悪の美女であるレーザーとの決着が付いておらず、取り逃がした形になってるのも「続編に繋げる為」というより「たとえ悪役でも女は倒さないよ、倒すのは男だけ」っていうメッセージに思えちゃうんです。 主人公の一人であるエミリーがシングルマザーっていうのも象徴的であり、明らかに「正義の味方」側から男を排除してる。 一応、序盤には脇役として男キャラも何人かいたはずなのに、途中からどんどん出番が減っちゃいますからね。 そんな中、一番出番のある男性キャラが悪役のクラブであり「主人公リディアと恋に落ちて、土壇場で裏切る」というオイシイ役かと思われたのですが…… これまた全然活躍しないで、裏切った途端あっさりラスボスに蹴飛ばされて終わりっていうんだから、徹底しています。 世の中には男性賛歌の映画なんて溢れてる訳だし、こういう映画もあっても良いとは思うんだけど…… ここまで極端だと、流石に戸惑いが大きくて、素直に楽しめなかったのが残念です。 米国では妙に人気がある「嘔吐ギャグ」も、個人的には全然ピンと来なかったりするもので、最後の最後にそれが飛び出すっていうのも、何か印象的したね。 極端な女性賛美も、嘔吐で笑いを取るのも、別にそれが悪い訳じゃないんだけど、何となく肌に合わないっていう、居心地の悪い気分のままで映画が終わっちゃいました。 痩せた美女じゃなく、太ったオバさんがスーパーヒロインになるって発想は面白かったし、薬を飲んだ途端に超人に変わるのではなく、地道にトレーニングを重ねて強くなる描写も好みだしで、良かった部分も色々あるんですけどね。 エミリーの祖母に「実は私達、サンダーフォースなの」と正体を明かそうとしたら「レズビアンなの」って告白だと勘違いされちゃう件も可笑しくって、個人的には、ここが一番お気に入りかも。 爆弾と共に身を投げる直前、リディアが「友達でいてくれて、ありがとう」とエミリーに告げる場面もグッと来たし、映画のクオリティ自体は高かったと思います。 他にも、主演のメリッサ・マッカーシーはベン・ファルコーン監督の妻とか「ソー:ラブ&サンダー」(2022年)にも二人は本作を連想させる役柄で出演してるとか、色々と面白い小話に事欠かない映画ですね。 こういう形のスーパーヒロイン物もあるって事で、この手のジャンルが好きな人なら、チェックしておく価値はあると思います。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-10-19 09:59:07)(良:1票) |
434. バブルへGO!! タイムマシンはドラム式
《ネタバレ》 馬場監督の映画ではお馴染みの「田中真理子」と「吉岡文男」の名前が出てくるという、それだけでもファンとしては嬉しくなっちゃいますね。 インタビューによると、元々は「タイムマシンを題材にした映画を撮りたい」という気持ちがあり、バブル要素は後付けで話を作り上げたとの事ですが、それも納得。 終わってみれば「タイムスリップした先はバブル景気の頃でした」というのは大して重要ではなく「タイムマシンによって過去を変えた結果、現代の状況が良くなる」という、王道なハッピーエンドストーリーでしたからね。 とかく世間では「馬場監督」=「バブル映画」というイメージで語られがちだけど、一番の傑作と言える「メッセンジャー」(1999年)はバブルと関係無い内容だったし、少なくとも監督当人は、そこまで「バブル」に拘ってる訳では無いんじゃないかなって気がします。 実際どうだったかはさておき、馬場監督がバブル期に手掛けた過去作よりも「贅沢過ぎて有り得ない世界」が描かれており、意図的に「バブル」をギャグとして描いてると分かる辺りも、興味深いポイント。 監督自身も「俺なんかがそういうストーリーを考えたとき、最高! っていうバブルは思いつかない。絶対」と語られていますし、誇張されまくってるであろうバブル期の描写が、ナンセンスギャグっぽくて面白かったですね。 案外、本当にバブル期を経験した年代の人こそ「有り得ねぇ」「こんなんじゃなかった」と笑いながらツッコみ、自分みたいにバブル期を直接知らない世代ほど「当時は凄かったんだ」と真に受けちゃう人も多いんじゃないかなって、そんな風に思えました。 「百円玉」「髪を掻く仕草」などの伏線が、ちゃんと分かり易いのも親切だし「クラブ」や「ヤバい」という言葉の意味が、時代を経て変わってるのを示す場面なんかも、如何にもタイムトラベル物っぽくて、ニヤリとしちゃいましたね。 かと思えば、首相に「話せば分かる」と訴えるという五・一五事件をパロった場面もあったりして、本当に幅広く色んなネタが散りばめられているので、観ていて飽きなかったです。 主演の阿部寛は実際に「バブルのド真ん中にいた」との事で、バブル期の世界を遊び過ごしてる姿に説得力があった辺りも良い。 ヒロイン格の真弓を演じた広末涼子も、わざとらしい仕草や演技が愛らしく、2007年当時は無かったであろう「あざと可愛い」って言葉が似合うような魅力がありましたね。 当初は「女を口説こうとする男」として彼女に接していた主人公が、その正体を悟った途端に「娘を守ろうとする父親」に変貌する様も微笑ましく、個人的には、ここの「軟派男が父親の顔になる瞬間」が、本作の白眉だったように思えます。 そんな具合に、色々と良い部分もある映画なんですが…… 正直に告白すると、総合的な満足度としては、決して高くなかったんですよね。 この度、馬場監督の映画五本を通して鑑賞し、デビュー作から徐々に面白さがアップしていく様を見守ってきていたもので(あの「メッセンジャー」の次に撮った映画となれば、さぞ傑作だろう)と、勝手にハードルを上げ過ぎてしまったのかも。 作品全体の演出が、やたらコメディタッチ……というより漫画的なのも(何か、馬場監督らしくないな)と思えて戸惑ったし、台詞の切れ味も鈍ってた気がします。 上述の「父親の顔になった主人公」って場面が好きだっただけに、ラストにて「結局、今も愛人を囲ってるような浮気者のまま」と示唆して終わるのも、ガッカリしちゃったし…… ここまで「何もかも上手くいくハッピーエンド」にした訳だから、そこは変に捻ったりせず「家族を大切にするパパになりました」で良かったと思うんですよね。 「国の景気なんかより、家族の絆が大事」って結論を出したはずなのに、最後の最後で「景気は上向いたけど、家庭不和の火種は残ったまま」になるだなんて、どうにも受け入れ難いものがありました。 そんな訳で、結果的に「最新作がデビュー作の次につまんない」って評価になってしまった事が、本当に残念。 でも馬場監督って、まだまだ現役で2022年にもドラマの監督を務めてる訳だし…… 自分としては映画の新作にも、是非期待したいですね。 以前チラっと語っていた「波の数だけ抱きしめて」 (1991年)の続編っぽい話とか、何とか実現させて欲しいものです。 [ブルーレイ(邦画)] 5点(2022-10-10 18:13:49)(良:1票) |
435. 私をスキーに連れてって
《ネタバレ》 馬場監督の映画の中では、一番バブルの匂いがする代わりに、一番完成度が低い映画って感じですね。 「あの頃の雰囲気を楽しみたい」という目的で鑑賞するならば、同監督作の中では最も適してるでしょうし、バブル期とか関係無く、純粋に物語を楽しみたいというのであれば、かなり退屈な映画になっちゃうと思います。 そもそも商業映画デビュー作なので、作りが粗いのも仕方無い話ではあるんですが…… 馬場監督の映画の中で、始まって二十分ほどで(退屈だなぁ)って感じたのは本作だけですし、かなりキツい出来栄えです。 まず、根本的にストーリーが古臭いというか、ベタで王道な魅力も無いもんだから(わざわざ映画にするほどの話じゃないだろ)って思えちゃうんですよね。 主人公とヒロインの恋路にしたって、中盤でアッサリ誤解がとけて問題無く結ばれるし、新製品のお披露目イベントにしても「苦労した主人公達は結局間に合わず、別行動の仲間達が成功させた」ってオチになるもんだから、拍子抜け。 紆余曲折を経て恋が成就したとか、頑張って仕事を成功させたとか、そういうカタルシスを得られ難い作りになっており、観た後にスッキリした気持ちになれないんです。 最後に「バーンっ!」って銃を撃つ仕草で終わるのも(それ、最後まで引っ張るようなネタかな?)って微妙に思えたし、テンションが低いままで、映画の終わりを見届ける形になっちゃいました。 そんな訳で、どうしても高く評価出来ない一作なんですけど…… 監督のファンとしては、それだけじゃあ寂しいので、以下は良かった点を。 まずは何と言っても、オシャレな作りなのが良かったです。 ヒロインの真っ白いスキーウェア姿は素直に可愛いなって思えましたし「冬の間恋人にするなら最高ね」なんて台詞回しも良い。 素敵な内装の山小屋で、バニーガールに給仕されたシャンペンを味わう場面なんかも、憧れちゃうものがありましたね。 真理子さんが面白おかしく話してた「矢野を好きだった女の子」の正体が、実は真理子さん自身だったと判明する件にも感心しちゃったし、話の盛り上がりという意味では、あそこがピークだったかも。 スキーを楽しむ場面も中々爽快感があったし、車やトランシーバーなどのアイテムの使い方も上手かったと思います。 そして何といっても、ユーミンの曲が魅力的。 映画作りにおいて、映像よりも音を重視しているという馬場監督らしく、全編に素敵なナンバーが散りばめられており、ミュージックビデオ的な楽しみ方も出来ちゃうんですよね。 この映画のMVPって、画面には登場していない荒井由実(松任谷由実)なのではって思えたくらいです。 後は……「メッセンジャー」(1999年)でも加山雄三を起用してる馬場監督だけど、この頃から「若大将シリーズ」へのリスペクトを感じさせるのが微笑ましいとか、そのくらいになるでしょうか。 「時代と寝た映画」って言葉がありますけど、恐らく本作も、それに当てはまるんでしょうね。 ただ、時を越えて愛されるユーミンの曲に比べると、本作に関しては「昔の恋人」って感じであり、思い出の中でこそ輝く存在じゃないかな……と、そんな風に思えました。 [DVD(邦画)] 5点(2022-10-10 17:42:45) |
436. お買いもの中毒な私!
《ネタバレ》 「主人公に感情移入出来ない」というのは、映画にとって致命的な欠点だと思います。 本作のレベッカが正にそれに当てはまり(お買いもの中毒とか、そういうのを差し引いても性格に難有り)ってタイプだったんだから、困っちゃいますね。 借金取りをストーカーと言って誤魔化すくらいなら笑えるんだけど「親友の結婚式の為のドレスより、テレビ出演の為のドレスを優先させる」って場面とか、流石に身勝手過ぎて呆れちゃいます。 一応、最後に「お買いもの中毒」では無くなるハッピーエンドを迎えるんですが、何か「良い子に生まれ変わった」というよりは単に「浪費癖が無くなって、人生が上手く転がっただけ」って感じであり、根本的な解決には思えなかったのも痛い。 (この主人公の一番の問題点って、そこじゃないのでは?)って、映画とのズレを感じてしまう結末だったから、どうもスッキリしなかったです。 ただ、脇役には魅力的なキャラが揃っており、その点は良かったですね。 親友のスーズなんて、主人公より良い子で美人に思えたし、特にお気に入り。 父親役のジョン・グッドマンや、クリスティン・スコット・トーマスなど、見慣れた顔触れが揃っているのも、画面に安心感を与えてた気がします。 それと、典型的な「王子様」キャラであるルークに対しても、普通なら(こういうタイプ、女性は好きそうだよね)って斜に構えちゃうはずなのに、何か嫌いになれなかったんですよね。 それというのもレベッカが傍迷惑過ぎて、それに振り回されるルークが不憫に思えたからだろうし、そういう意味では貴重な感覚を味わえた気がします。 主人公ではなく、彼等の方に感情移入して「レベッカに呆れつつも、見捨てられずに見守る目線」で楽しむ事が可能って意味では、中々良く出来た映画だったのかも知れません。 後は……「BGMのチョイスや使い方も良かった」「金融の知識なんか無かった主人公が、ハッタリと強運で成功していく様は中々面白い」「買いもの依存症のセラピーグループも、良いキャラが揃ってた」とか、そのくらいかな? こうして列挙してみると、意外と長所も盛り沢山な映画だなって、驚かされますね。 根本的に自分には浪費癖が無い為、主人公のレベッカと相性が良くないのは当たり前って気もするんですが…… 別に人殺しの経験が無くとも、殺し屋の主人公に感情移入する事は可能な訳だし、やっぱり主人公の描き方には、もうちょっと気を遣って欲しいです。 「浪費癖に悩まされてるけど、友達は大切にする優しい子」ってタイプの主人公だったら、もっと好きになれた映画だと思います。 [DVD(吹替)] 5点(2022-09-29 19:48:02)(良:1票) |
437. ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝
《ネタバレ》 始皇帝暗殺を題材にした「HERO」(2002年)を踏まえた上で鑑賞すると、今作でジェット・リーが始皇帝を模したキャラを演じてるのって、感慨深いものがありますね。 敵の強さや、スケールの大きさという意味合いでも今作がシリーズで一番だろうし、貴重な「悪の親玉であるジェット・リー」が拝めるってだけでも、一見の価値有りな映画だと思います。 ただ、面白さという点に関しては……正直、結構厳しいです。 エヴリン役が他の女優さんに変わってるとか、アレックスが幼児から大人に急成長してるのに戸惑うとか「続編映画ならではの違和感」も大きいんだけど、そういうの抜きで単品として評価しても(えっ、何で?)と思っちゃうポイントが多いんですよね。 上述のジェット・リー演じるハン皇帝にしたって、中盤で見せる三つ首の竜の姿が迫力満点だったのに、終盤では竜に変身せず、人型のまま倒されちゃうというんだから、もうガッカリ。 唐突に出てきて「雪山以外じゃ活動出来ないから」とばかりに、唐突に姿を消しちゃうイエティも、また然りですね。 せっかく魅力的なモンスターを登場させてるのに、それを活かし切れていなかったと思います。 他にも、前作と違って「死に際まで互いを救おうとする悪のカップル」を描いてるのは良いんだけど「彼らが強く愛し合ってる」という伏線が無いから、唐突で感動出来ないんですよね。 最後のオチが「ペルーでミイラが発見された」っていうのも、凄く微妙。 ガッカリした気分のまま映画が終わっちゃうので、何だか映画全体の印象まで悪くなっちゃいます。 そんな訳で、三部作の中では明らかに見劣りする出来なんだけど…… シリーズのファンとしては、文句ばかりじゃ寂しくなるので、以下は良かった点を。 まず「リックが二丁拳銃で戦う場面がある」って事に関しては、素直に嬉しかったですね。 時代設定に合わせ、主武装はマシンガンになっているのに、ちゃんと序盤で二丁拳銃姿も見せたっていうのは、ファンサービスとして正解だったと思います。 中華街を馬車で暴走したりとか、前作のようなカーチェイス場面があるのも嬉しい。 新たなヒロイン格となるリンも可愛かったし、特に「不死の命を捨てて」と言われ、嬉しそうに微笑む場面なんかは、胸がときめくものがありましたね。 アレックスと彼女の恋路が、悲劇に終わったりせず、無事に結ばれる結末であった事にも、ホッと一安心です。 やっぱり、このシリーズにはハッピーエンドが似合うと思います。 なお、2022年現在「ハムナプトラ」の四作目は作られておらず「ペルーのミイラ」がどうなったかについては、謎のままとなってる訳ですが…… きっとリック達なら、何時ものようにミイラを倒して、そして世界を救ってみせちゃうんでしょうね。 更なる続編があるのなら、アレックスとリンの間に生まれた子供。 つまりは、リックの初孫なんかが登場する事にも、期待したいものです。 [ブルーレイ(吹替)] 5点(2022-09-11 15:48:43) |
438. レッド・ウォーター/サメ地獄<TVM>
《ネタバレ》 (夏だなぁ……サメ映画観なきゃ)という想いで鑑賞。 ルー・ダイアモンド・フィリップスが主演だし、割と期待値は高めだったんですが…… どうもチグハグというか「予想も期待も裏切る内容」って感じだったのが残念ですね。 これは低予算のサメ映画では結構ある事なんだけど、本作でも「銃を持った悪人の方が、サメより脅威」という現象が起きてしまっているんです。 それ自体は決して悪い事じゃないんですが、本作の場合は「銃を持った悪人を倒すカタルシス」が描かれていないのが問題なんですよね。 盗まれた金を探しに来た悪人達に、主人公グループが監禁される流れな訳だけど、主人公が頑張って反撃しようとしても、あっさり鎮圧されちゃう。 で、形勢逆転のキッカケになるのが「悪人達の仲間割れ」であり、それに乗じて主人公達が逃げ出すって形なので、何ともスッキリしないんです。 しかも悪人達の中で、最も有能でボスキャラと思われた人物が、無能な仲間に殺されるって形なので「強敵を倒した達成感」も得られず仕舞い。 流れとしては「一番有能な敵が不意打ちで無能な敵に殺される」→「その無能な敵もサメに殺される」→「主人公がサメを殺して事件解決」って形であり、どうもややこしいというか…… こんな複雑なストーリーの品よりも、最後の「主人公がサメを倒す」という一点に特化した映画が観たかったなと、つい思っちゃいました。 他にも「嫌味な憎まれ役だったジーンが死ぬ場面は感動的に描く」「良い人枠なハンクはアッサリとサメに喰われ、その後に笑いを取ったりしてる」ってのも、何ともチグハグな演出。 普通は「憎まれ役をサメに喰わせて、観客をスッキリさせる」「良い人が死ぬ場面は感動的に盛り上げる」ってのが、サメ映画のお約束ですからね。 意外性を狙ったのかも知れませんが、結果的には「ベタで王道な魅力」が失われてしまっただけに思えました。 そんなこんなで、褒めるのは難しい作品なのですが…… ラスト数分で、思い出したようにサメ映画らしい内容になり、しかも「石油採掘用のドリルでサメを倒す」っていう痛快なクライマックスを見せてくれたのは、嬉しかったですね。 これまで色んなサメ映画を観てきたけど「ドリルで倒す」ってパターンは初めてだし、何かもうそれだけで(良いもん見たな……)って満足しちゃいます。 その後にダラダラと引っ張る真似もせず、警察のヘリが現れて「助かった……」という安堵感と共に終わる辺りも気持ち良い。 主人公の船の名前は「ビターエンド」だったけど、ハッピーエンドと言って良さそうな、スッキリとした終わり方でしたね。 終わり良ければ全て良し……ってのは大袈裟かも知れませんけど、一応「サメ映画を観た」って気持ちにはさせてくれたので、満足です。 [DVD(吹替)] 5点(2022-07-13 22:42:02) |
439. ローラーガールズ・ダイアリー
《ネタバレ》 監督としてのドリュー・バリモアの処女作という事もあってか、全体的に粗削りだったのが残念。 それも才気が尖っているがゆえの粗さって訳ではなく、なんていうか「ダンスに慣れておらず、下手だけど頑張って踊ってる女の子」って感じの粗さなんですよね。 好意的に捉えれば可愛らしく思えるし、応援したい気持ちにもなるんだけど…… それ以上に「観ていて、もどかしい」「もっと上達した後の踊りも見てみたい」って感じてしまうという、そんな未熟さの方が色濃く出ちゃってた気がします。 特に序盤において「この主人公は、どんな性格なのか」「どんな境遇の子なのか」の説明が不足しており、置いてけぼりのまま物語が進んで行っちゃうんだから、何とも居心地悪い。 明るい作風なのか暗い作風なのかも中途半端で、心のアンテナが面白さを受信出来なかったんですよね。 内気な眼鏡っ娘が「ローラーゲーム」というスポーツで才能を開花させていくっていうのは王道な魅力があるし、観ていて不愉快になる場面もなかったんですが、どうにも物足りない。 決定的な理由としては、主人公のブリスが初めてローラーゲームを観戦する場面が短過ぎて「彼女はローラーゲームに魅了された」という展開に、説得力が欠けてるのがマズかったように思えます。 その後、ブリスが「貴女達の大ファンになりました」と言い出し、入団テストを受ける流れになっても(えっ、何にそこまで感動したの?)と思えちゃうし、主人公に感情移入出来ないんです。 これなら「特に乗り気じゃないけど、親への反抗も兼ねて流されるままにテストを受けて合格した」「それから徐々にローラーゲームの魅力に目覚めていった」って形にした方が良かったんじゃないでしょうか。 ラブコメ部分の「王子様」にあたるオリバーも、やたら曖昧な立ち位置であり、結局「単なる浮気者」だったのか「誤解されて彼女にフラれた不幸な男」なのか、どっちつかずでハッキリしないのも困り物。 決勝で負けてしまう展開と併せ「恋もスポーツも、そうそう上手くいく事ばかりじゃない」という「青春の挫折」を描きたかったのかも知れませんが、それなら決勝で負けてしまうってだけでも充分だと思うし、色恋沙汰を絡める事で軸がブレてしまった気がします。 他にも「母娘の和解が雑」とか「決勝で負ける場面や、ラストシーンがアッサリし過ぎていて物足りない」とか、欠点を論えば幾らでも書けちゃう映画ではあるんですが…… 上述の通り「可愛い女の子」的な魅力も備え持ってるので、嫌いにはなれなかったんですよね。 「ローラーゲームのルール」について、劇中で分かり易く説明してあるってだけでも、娯楽映画としての最低限はクリアしていますし。 ちゃんと観客の事を考えた、独りよがりじゃない誠実な作りだったと思います。 スポーツ物のお約束である「主人公チームが生まれ変わり、初勝利を収めるシーン」は痛快だったし、仲間との協力プレイである「ホイップ」を多用するチームって設定にしたのも、正解だったと思いますね。 嫌味な敵役とも最後は心を通わせ「好敵手」って関係になるのも、実に気持ち良い。 あとは単純に、主演のエレン・ペイジ(2022年現在は、性転換してエリオット・ペイジに改名済み)や、彼女のチームメイトとして出演してるドリュー・バリモアがキュートなので、彼女達を愛でる「アイドル映画」として楽しめるっていうのも、立派な長所だと思います。 スタッフロールも愉快で賑やかな雰囲気なので、後味が良いって辺りも嬉しい。 総評としては、純粋な面白さって意味では物足りないんだけど…… 「面白い映画」ではなく「可愛い映画」を求めて観るのであれば、問題無い出来栄えじゃないかって気がしますね。 この作品の後、ドリューは監督業に手を出していないようですが、次回作にも期待したくなる一本でした。 [DVD(吹替)] 5点(2022-05-31 18:31:30)(良:2票) |
440. バトルクリーク・ブロー
《ネタバレ》 ジャッキーが自伝にて「ジャッキー・チェンが歩き回っているだけの映画を、金払って観ようという人はいない」と語っている通り、商業的には失敗した映画。 その原因は「燃えよドラゴン」(1973年)を手掛けたロバート・クローズ監督が、ジャッキーに「ブルース・リーのような魅力」を求めてしまったからに他ならない……なんてイメージがあったのですが、久し振りに再見し、それは間違いだったと気付かされましたね。 それというのも、本作は意外にもコメディ色が強くて「ジャッキーらしい魅力」を、ちゃんと描こうとしてた痕跡があるんです。 (これはブルース・リーっぽいな)と感じた場面なんて「敵の屋敷に侵入する場面」「友人を殺された仇討ちしようと、怒りの声を放つ場面」くらいでしたし。 少なくとも「ジャッキーにブルース・リーの真似事やらせたから失敗したんだ」って認識は間違ってたみたいで、大いに反省させられました。 ただ、映画として面白かったかどうかっていうと……やっぱり「微妙」「退屈」って印象の方が強いです。 ジャッキー当人はキレのある動きを見せているんだけど、肝心の相手側が「戦ってる」というより「事前の打ち合わせ通りに動いてる」って感じが見え見えで、迫力が伝わってこないんですよね。 ローラーレースの場面でもスローモーションを多用していてテンポが悪いし、演出も良くなかったと思います。 そして致命的なのが、脚本の拙さ。 何せ本作と来たら「ジャッキーが人質を取られてギャングの言いなりとなり、要求通りにストリートファイトの大会で優勝しました」ってだけの話なんです。 一応、途中で仇敵の一人は倒して溜飲を下げてるんだけど、肝心のギャングの親玉は無傷どころか、ジャッキーが言いなりになってくれたお陰で万々歳。 そんな親玉に「約束通り人質を解放する」って言われ、ジャッキーは笑顔になって終わるんだけど…… (それでハッピーエンドにして良いのか?)ってツッコむしか無かったです。 主人公の父親が料理店を経営してるとか、現実のジャッキーの生い立ちにリンクさせるような設定は悪くなかっただけに、どうにも着地の仕方に納得出来ない。 どんなにベタでも良いから「人質を取った卑劣なギャングに復讐するカタルシス」は描いて欲しかったですね。 「口笛を交えたBGMは良い感じ」とか「特訓の描写は頑張ってる」とか、一応褒めるべき点はあるし、何より自分は「ジャッキー・チェンが歩き回っているだけの映画」でも結構楽しめちゃう口なので、駄作と断ずる事は出来ないんですが…… 失敗作扱いされても、特に反論しようって気にはなれないです。 それと、後世の人間としては「紆余曲折を経て、ジャッキーはハリウッドで大成功を収めた」のを知ってるからこそ、余裕を持って鑑賞出来たけど…… もし自分が「公開当時のジャッキーファン」だったとしたら、相当キツかったと思いますね。 (違うんだ、ジャッキーは本当は凄い奴なんだ)(ハリウッドで通用しなかったのは偶々なんだ)って想いで一杯になってた気がします。 成功してくれて良かったです、本当に。 [DVD(吹替)] 5点(2022-05-18 03:49:19)(良:2票) |