441. クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁
《ネタバレ》 未来のしんのすけが5歳児のしんのすけを呼び寄せた理由を放置して、そこから離れたドタバタが長く展開するので、やや散漫な印象を持ちました。でも、しんのすけの婚約者、しっかりした人でした。しかも(このシリーズの作画にしては)美人じゃないですか。どんな大人になるのやら、という懸念の一部を解消してくれました。春日部防衛隊の面々の未来の姿も面白かったです。ちなみに、5歳の頃のしんのすけが最強のオバカパワーの保有者ってことなんですね。 鑑賞中、幼稚園児に未来の自分の姿を見せるのはどうかと思っていました。それがどんな姿であれ、元の時代に戻った後の生活に良い影響を残すと思えないからです。最後に記憶を消すような配慮があるはずだとも思っていました。隕石が落ちなかったので未来も変わると言い訳したつもりでしょうが、未来の自分たちの姿を目の当たりにした彼らの記憶が変わる訳ではありません。私はそこに致命的な不手際を覚えます。3点減点です。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2013-02-06 02:02:09) |
442. フェア・ゲーム(1995)
《ネタバレ》 なんだか楽しかったですよ。おバカ映画との誉れ高い本作ですが、とてもバカです。死にかけた直後にエッチします。エッチしながら人を撃ち殺します。殺し屋や諜報員ではなく、一般人の話です。周囲にかける迷惑を省みる態度が一切ありません。楽しそうな人生です。正しく評するなら、某スーパーモデルがバカというより、脚本がバカなんです。彼女の感情がシーンごとにリセットされて連続性が無いからバカに見えるんです。でも、脚本がバカなことは、女優がバカじゃないことの証明にはならないのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2013-02-04 01:25:19)(笑:1票) |
443. U・ボート
《ネタバレ》 ハリウッド制作のヒトラーものは何作かありますが、ドイツ人の視線から二次大戦を振り返っている映画は多くないと思います。少なくとも、私はあまり記憶に有りません。反戦を安易に台詞にするような映画とは違い、映画全体から漂ってくる絶望感に押し潰されるような作品です。暗い、狭い、汚い、男臭い。カメラはほとんど船外には出ず、潜水艦の中を這いずり回る。水圧に潰される恐怖も、駆逐艦に追われる恐怖も、音と船員の表情で演出する。この圧迫感がハンパない。危機を回避するたびに訪れるか細い希望は、次の絶望への序曲に過ぎない。それまでに観たどの戦争映画よりも陰惨で容赦の無い作品でした。 学生時代に「映画は監督で観るもの」という認識を持った初期に「ただ者じゃない」と思わせた監督の一人がこの方でした。そう思わせたのは、まさしく本作の語り口です。徹底的に暗い。爽快感皆無。それを1本の映画として完遂させるには、よほど監督の中に徹底した方向性が無いと出来ない芸当だと思いました。大事なのは「暗い」ことではなく「徹底した方向性」の方です。つまり、演出とはコンセプチュアルなものであるはずだから。本作には、観客に迎合するような表現には断固として安住しない意志を感じます。 でも、その姿勢が最も顕著なのはこのデビュー作でしょう。ハリウッド進出後の作品は、本作ほど際立っていません。この監督をして、そうさせるのがハリウッドのダイナミズムなのかとも思います。 [映画館(字幕)] 9点(2013-02-04 01:00:20) |
444. アフロ田中
《ネタバレ》 スピリッツを読んでいた頃は楽しんでいた連載でした。その「切実さ」が笑えるという印象でした。本作もそうです。笑えるシーンほど、鋭いところを抉っている。当人がマジメに取り組んだり、必死になったりしている姿は、少し見方を変えるだけでコメディに映るという例だと思います。特に無断欠勤の謝罪シーンの噛み合わない会話は秀逸。本人は「言い訳をしない潔さ」で最大級の謝罪姿勢を提示しているつもりだけど(社会常識的には)謝罪になっていない。そりゃモヤモヤが残るよね。私にも残りました。 映画における笑いにも種別があることが良く分かります。ネタ自体はナンセンスだけど、笑って済ますことを躊躇わせる何かを感じます。それは繰り返しになりますが「切実さ」ということなのかなと思います。 レビュー数は多くありませんが、これはおススメです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-01-31 23:36:58)(良:2票) |
445. ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
《ネタバレ》 ともかく、自然と動物たちの描写が素晴らしいです。主人公と一緒に漂流するトラはもちろん、登場する動物全てが美しく、生き生きと躍動していました。近年のネイチャードキュメンタリーは驚くような映像を写していますが、それにストーリーを組み込んだような見応えで、劇場のスクリーンで観ることをおススメしたいです。 鑑賞中、これはフィクションなのかノンフィクションなのかということが気になりました。そう考えた時、制作者の狙いもそこにあることに気付きました。人間と猛獣の交流とも思えるこの内容を、どのように着地させるかは鑑賞側に委ねられているということです。それが自然と自分の繋がりを量る指標になるのだと思います。終盤でキャストを替えた話を用意してくれましたが、親切すぎるかなと思いました。 必要があれば殺し、必要が無ければ関与しない。絶対的な殺戮能力を持つトラの行動は超然として迷いが無い。その姿勢が神々しく映るのは、自然の摂理そのものだからです。信仰が定まらない主人公も、そこに神の存在を意識しているようでした。この感覚に共感しました。 主人公とトラはコミュニケーションを成立させたように見えますが、振り返らずに森へ還る彼の姿が、あくまで限定的なものであることを物語ります。人が感じる動物との交流は、動物側が感じているそれとは別物であることを示唆しています。そこに厳かな距離を感じました。 地元での3D上映は吹替え版しか無く、吹き替えにアレルギーを覚える自分は2D版での鑑賞でした。IMAXで観たかったよ~。 [映画館(字幕)] 7点(2013-01-31 23:29:23) |
446. しあわせの法則
《ネタバレ》 10年ほど前の公開作品ですが、豪華とも思えるキャストに惹かれて鑑賞しました。変な映画でした。ストーリーの中に「しあわせの法則」らしきものは見当たりません。逆に、ブラックコメディかと思わせるようなエンディングでした。少し環境が変わるだけでたやすく傾く婚約関係が普通とも思えませんが、無いとも言えない。それを漫然と見せられただけのような印象でした。もう少しメッセージらしきものを残して欲しかったですね。本作を見る限り、この二人は結婚なんてする必要はありませんな。それこそ人生の墓場になります。未婚中年の参考意見ということで…。ケイト・ベッキンセールのスレンダーボディにプラス1点です。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2013-01-31 22:27:23) |
447. ヤング≒アダルト
《ネタバレ》 彼女のプライドの拠りどころは、自分の容姿と都市部で働いていること。前者は経年劣化する相対的な価値で、後者は引っ越すだけで誰でも入手可能。つまり、期限付きで極めて狭いエリアに対してだけ有効なプライドです。彼女はそのプライドを意地でも貫こうとします。おそらく、本人もその愚かさを少しは自覚しているはずです。 本作の大半は、虚栄とも言える彼女のスタンスをこき下ろし続けます。徹底的にイタイ負け犬女の遠吠えです。でも、彼女が尻込みして終わらないところがテーマだと思います。見栄であれ虚栄であれ、それが彼女のパワーの根源になっているからです。 幼少から思春期を生れた土地で過ごした後、そこを離れて都市部で働く人は多い。彼らにとっては、都市部で働くこと自体が成功の記号のひとつなのです。それは自己満足以外の何物でもないけれど、自分の中の価値を追求することは人生の意義でもある。そんな気分を本作は代弁していると思います。 原題は「成熟しきれない大人」という意味でしょう。成熟しきれない。結構じゃないですか。それが貪欲へ前へ進む動機とパワーの源になるなら、成熟なんて糞くらえだと思います。私はかなりいい歳ですが、ヤングアダルトでいたいと思っています。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-01-31 22:14:55) |
448. イレイザーヘッド
多くの人がそうであるようにデヴィッド・リンチは「エレファントマン」から入りましたが、その前にこんな映画を撮っていたんですね。おそらく本作が彼の原点なのでしょう。 これは全てが心象風景なのだと思います。夢が見せる世界と考えても良い。夢の中を描いた映画は他にもあるけど、ここまで徹底してネガティブ一辺倒な作品は記憶にない。実際に生まれた赤ん坊があの姿かどうかは別にして、家族に願ってもいないモノが加わった状況に対する悲観だけを純化して映画にしたのでしょう。自分の子供を愛せない苦しみ、将来への不安、周囲からの孤立、境遇に対する怒り、そんなことをストーリーや台詞では無く、登場人物の感情描写も入れずに映像化している。映るもの全てが悲観的な感情の反映なのだと思う。 そう割り切って観ると、少しだけ分かり易くなります。上手く言えませんが、陰とか裏とか反対側だけを描いた映画という印象です。とても特異で突き抜けた部分は評価できるけど、これが面白いかどうかは話が別で、観るなら元気な時の方が良さそうです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-01-31 20:25:30) |
449. LOOPER/ルーパー
《ネタバレ》 序盤、けっこうな時間を費やして世界観を解説する。全てに納得する訳ではないけれど、決定的な齟齬を感じることもない。映像の端々に映る芸の細かい設定に期待が募った。タイムトラベルによる未来や過去への移動に主眼を置かず、ただの殺人手段にしているところが面白い。TKと呼ばれる念動力はストーリーに対する必然が乏しく、専ら視覚を盛り上げるための設定だったと思うが、その効果はあった。小僧が暴走するシーンは「AKIRA」なんかを彷彿した。ということで、SFとしては良く出来た部類に入ると思うんだけど、観終えた充足感がイマイチでした。登場人物に共感できる余地が少ないからだと思う。主人公は殺し屋で、ある時点から30年の寿命を覚悟している。気怠い諦観を抱えたような生き様が良く分からない。自分の命が危ういとはいえ、未来の自分を殺そうとする姿勢も釈然としない。妻の復活に躍起になる熟年主人公の大暴れには、殊更に身勝手を感じた。また、ラストは負のループを断ち切ったように見えるが、ルーパーによる暗殺の仕組みを温存したとも取れる。タイムトラベルものって時間を越えて「因果」をオチにするが、念入りな設定の見返りとして、全ての「因果」にケリを付けられなかったという印象です。 [映画館(字幕)] 6点(2013-01-30 11:00:32) |
450. 蜘蛛女(1993)
《ネタバレ》 確かに美人には分類されるけど、若くもないし可愛くもない、もちろん優しくもない。そんな女にどうして魅かれるのか。それは女性の股間の力。マジな話です。オトコって、100Gの重力に引かれるように、女性のアソコに引き寄せられる。たぶんDNAが負わせた宿命です。本作は、その辺りをよ~く理解して演出されています。ちなみ事故車両からトンズラするシーンの迫力はクモ女と云うよりクマ女です。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2013-01-27 01:20:02)(笑:2票) |
451. 夢(1990)
劇場で観た時から違和感があったんだけど、再見してなんとなくその正体が見えた気がした。それは、どうしてこんな企画が成立したのかということ。周囲と監督自身が、そのキャリアを骨董品のように扱っている気がして仕方がない。映像には力があるが、メッセージを台詞でダラダラと喋るあたりはダイレクト過ぎて陳腐に思える。カットを積み重ねてストーリーを表現することを諦めてしまったかのような姿勢を感じる。もう映画作家というより、映像作家という感じ。個人的には、周囲、特にマスコミが黒澤氏を巨匠扱いし過ぎたんじゃないかと思っている。60年代までの作品には、その評価に見合う傑作も何作かあるが、それらは基本的にストーリーが面白く、それに見合う映像の迫力があって得られた評価だと思っている。 [映画館(邦画)] 4点(2013-01-27 01:01:24) |
452. エスパイ
撮る作品のほとんどすべてを駄作にする福田純監督ですが、本作には見どころがあります。エスパイは、Specialなオッパイって意味です、絶対。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2013-01-27 00:52:34) |
453. ミッドナイト・ラン
《ネタバレ》 登場人物たちの利己主義がバランスよく絡み続け、本作をレベルの高いエンタテイメントに仕上げています。内容的にはハードボイルドだけど、要所で挟まる軽妙な音楽がそれを中和し、ロードムービーを喜劇風にまとめます。 賞金稼ぎは、なぜ会計士を逃がそうと思ったのでしょう。それは念願とも言える仇敵の逮捕機会を会計士が提供してくれたからです。賞金稼ぎなりの感謝の印でした。でも、会計士は賞金稼ぎのことを思ってアクションした訳ではありません。そのまま別れたら、賞金稼ぎは会計士にとって「恩人」になってしまいます。だから30万ドルを贈りました。稼ぎ損ねた賞金を補填してあげたと云うより、貸し借りなしの対等な関係になりたかったのだと思います。対等な関係とは、つまり「友人」です。それに気付いた賞金稼ぎが振り返った時、友人の姿は消えていました。彼らの再会はいつか叶うと思います。 [ビデオ(字幕)] 7点(2013-01-27 00:24:10)(良:3票) |
454. 許されざる者(1960)
《ネタバレ》 白人が先住民の部落を襲撃した際に、殺さずに連れてきた赤ん坊が美しく成長してヘプバーンになる。ヘプバーンの実兄が彼女を取り戻しに来て撃ち合いになり、先住民は皆殺し。話し合いでの解決を拒否したのは白人側。先住民を皆殺しにして、空を見上げて微笑む一家。そんな映画です。 制作当時、本作は家族の絆を描こうとした映画だったのだと思う。でも半世紀を経た現在では民族差別を描いた映画に見える。演出のトーンと感じることの齟齬に違和感を覚え、不快が残る。この映画における「許されざる者」は誰なのか? たぶんヘプバーンの一家だ。でも、これは仕方のないことなんだと胸を張って言い訳をしているように感じる。 ヘプバーンが先住民の娘だと分かった途端に毛嫌いする周囲の人達。そこに一切の迷いが無いので、当時(1960年)の先住民は単に悪者という記号だったのだと思う。悪者は皆殺しにされても仕方ないよね、が基本姿勢。 こういう映画は、例えば「先住民」という字幕を「日本人」に置き換えて読むと差別を実感しやすい。なんでそこまで言われるのかって気分になる。現在では「許されざる映画」が正しい邦題。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2013-01-26 02:23:20) |
455. テス
《ネタバレ》 学生時代から気にしつつ観ていなかった映画のひとつ。何も悪いことはやっていないけど、悪い方向へ人生が傾いてゆく美人のお話でした。彼女の人生が転び始めたきっかけは、成金富豪のドラ息子に目を付けられたこと。美貌が災いした、と取れば良いのだろうか…。彼女自身は、自分の美しさを意識せずに、普通に生きようとしていたようです。でも、運が悪いというか、タイミングが悪いというか、ことが上手く運ばない。最期は人殺しで絞首刑。殺した相手は自分の人生を狂わせたドラ息子。そこに彼女の矜持を見せられる思いですが、人殺しは勝利ではない。後味がよろしくない映画です。正確な年代は失念しましたが、女性が自分の力だけでは人生を切り開けない時代だったのです。文学調の淡々とした3時間ですが、ナスターシャ・キンスキーの美貌に飽きない私は退屈しませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-01-26 01:03:58) |
456. アルゴ
地元では上映されなかった作品ですが、帰省先で観る機会を得ました。実話の映画化ということにびっくりします。鑑賞翌日、アルジェリアのイスラム過激派のテロで邦人の犠牲が確認されました。見応えのある作品でしたが、面白いと云う意識は吹っ飛びました。 [映画館(字幕)] 7点(2013-01-25 11:41:31) |
457. ONE PIECE FILM Z
《ネタバレ》 「ワンピース展」に行って感激し、その勢いで観て来ました。イマイチでした。 細かいことを言うと、映画のスクリーンでキャラクターパーツ(例えばゾロの刀やサンジのつま先など)をクローズアップにされると見づらくて仕方がないです。視界いっぱいにスクリーンが拡がる席に座ることも悪いのですが、TVアニメの演出とは区別して欲しいと思いました。 それは瑣末で、「STRONG WORLD」でも感じたことですが、毎週の連載に覚える高揚感が無いんですね。すみません、連載と比較しています。「ワンピース」の特長のひとつは、航海を通して積み上げられたエピソードを踏まえながら新しさを重ねて行くことだと思います。連載で5年前や10年前に登場したキャラと再会し、ストーリーに意外性と面白さと重みを与えるようなことです。大河ドラマ的です。単発の映画ではその特長を活かし難い。麦わらの一味の一発芸の羅列のような印象を覚えます。元海軍大将のゼットはしっかりとプロフィールを持っていますが、「彼の部下を殺した海賊が七武海になった」という経過より、その七武海は誰だったのかに興味が募ります。ドフラミンゴだと当たり前だけど、ハンコックなら面白そうだ、とか。その七武海をストーリーに絡ませるのが本来の「ワンピース」らしさだと思います。傍系のストーリーにするなら、CP9との再戦なんかは面白そうですけどね。 本作に関しては、台詞に「子供向け」を感じました。いい歳した大人が感動できるマンガが「ワンピース」ですが、映画の方はあくまで子供のための作品だと思います。 [映画館(邦画)] 4点(2013-01-25 04:54:50) |
458. ONE PIECE FILM STRONG WORLD
《ネタバレ》 著者が制作に関わっているだけあって、「ワンピース」らしい劇場版ではありました。キャラクターの個性や見せ方に違和感が無いという意味です。でも、特筆することがありません。至って普通の見応えで、不満もないけど、満足って感じでもない。敢えて言うなら、羽で空を飛ぶ人たちには違和感を覚えました。連載の方はひとつのエピソードに多くの新キャラが絡みながらも、それ以前の航海との連続性の中でストーリーが展開し、「大河ドラマ的」な趣きがあります。それが「ワンピース」という作品の特長のひとつだと思います。2時間弱の単発映画ではその特長が活きて来ないという印象です。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2013-01-25 03:42:27) |
459. 東京ゴッドファーザーズ
《ネタバレ》 善行が奇跡に繋がるようなプロットですが、ホームレスを主人公に据えているところに意味があるのだと思いました。 ホームレスがどんな意識で日々を暮らしているのかは全く知りませんが、基本的には消費カロリーが極めて低い人たちなんだと思います。その生活が赤ん坊を拾ったことで変化します。自分の力では生きられない赤ん坊の世話にカロリーを消費する。母親を探すうちに事件に巻き込まれて消費カロリーが跳ね上がる。それは即ち、ホームレスの社会回帰を暗示します。対人的・空間的に限定されていたホームレスの行動範囲が拡がったことが奇跡に繋がったと云うより、それなりにカロリーを消費しない限り奇跡は起こらないと考えるべきなのでしょう。 アクションには結果が伴い、プラスもあればマイナスもある。マイナスが重なることもありますが、アクションしない限りはプラスに転じない。そんな理屈をホームレスに赤ん坊をくっ付けて分かりやすく見せてくれます。アニメじゃなくても良さそうな内容ですが、アニメだから素直に入っていけるのだと思いました。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-01-16 02:41:30) |
460. レ・ミゼラブル(2012)
《ネタバレ》 私は面白いと思わなかったんですが、こうも評価が高いと自分の感じ方に不安を覚えます。元々ミュージカルは苦手と言ってますが、苦にならない作品もある。「サウンド・オブ・ミュージック」は素晴らしいと思うし、先日の「愛と誠」はとても楽しめました。本作と同様に、個人的にツマラナイと思っても世間の評判が高いのは「シェルブール」や「オペラ座」だったりします。こうやって何作か並べてやっと気づいたことですが、どうやら悲劇的なシーンで歌われるのが嫌いなんですね。だいたい、悲しいシーンって演出的には「間」で見せたりすることが多いと思いますが、そこで歌われると共感できない脳みそ構造のようです。 本作のレビューになっていないので付け加えますが、人物のアップが短いカットで矢継ぎ早に切り換わるので、歌詞の字幕を追うのが苦しかったです。ほとんどのカットが手持ちカメラだということにも疲れました。フランス革命の流れに不案内なので、何に対して闘っているのかも解からず、これもストレスでした。悲劇的なシーンに共感できないと、ストーリーが単調で大味に思えます。 ミュージカルは楽しい方がいいです、個人的に。 [映画館(字幕)] 4点(2013-01-14 23:05:10) |