481. 釣りバカ日誌15 ハマちゃんに明日はない!?
シリーズ作を順番通りに観ていないので朝原監督版「釣りバカ」を観たのはこれが初めてなんですが、結構良かったですよ。良い意味で「松竹的」というか、ギャグからもくどさが抜けて実に楽しく笑えたし、子供たちが「通りゃんせ」をしている路地で、江角マキコと筧利夫が再会して別れる所なんか、良い感じでした。小津作品へのオマージュもあんまりイヤミな感じがしなかったし、そういえば江角マキコの笑顔って原節子のそれにちょびっと似ているような気もしました(なんて言うと往年のファンに怒られるかな?)。格差社会に対する異議申し立てなんかも取り入れられていて、実は意外と社会派(笑)? [DVD(邦画)] 7点(2006-10-19 18:06:20) |
482. シックス・センス
「レディ・イン・ザ・ウォーター」を映画館で観た夜、早速これのDVDをレンタル。実はラストのアレの事は、ずいぶん前に知ってしまっていたのだけれど、それが良かったのか悪かったのか、自分にはこの作品がホラーとかサスペンスだと思えなかった。あえて分類するなら、これは「ゴースト・ニューヨークの幻(あんまり好きな映画じゃないんだけど)」に近い気がする。いや、やっぱ違うか、もっと広い意味での「愛」についての映画。あるいは「異端者の孤独」を描いた映画。主人公の少年は「死んだ人間の姿が見え、声が聞こえる」という設定だけど、これって単に「死者の声」ってことではなくて「耳を傾けられることなく、かき消されてしまう“想い”」ってことも含んでいるんじゃないだろうか。たとえば今では少年の通う小学校が建っている、かつて裁判所であった場所。普通に考えればそこは単なる「裁判所跡地」なのだけれど、少年にしてみれば、そこには様々な「かき消された声」に溢れる場所。その「声」というのは別に死者だけのものではなく、生きた人間のものでもあるのかもしれない。そしてその中には、インド系移民として自ら異端者(マイノリティー)であったシャマランの「声」も含まれていたのかもしれない。なんか、そんな気がした。 [DVD(字幕)] 7点(2006-10-12 18:27:20) |
483. レディ・イン・ザ・ウォーター
昨日この作品を観てから「この強引な(というか独りよがりに近い)力技で、半ば呆れつつも納得させられてしまうという映画体験、前にもしたことがあるぞ・・・」とずぅっと考えてて、気づいた。この作品、水野晴郎の「シベ超」にそっくりなのだ(いや、ウケ狙いとかそんなんじゃなく、マジで)。あの韓国系のお母さんの「ご宣託」は、まるで山下泰文大将の名(?)推理を聞かされているようだったし、監督本人にしか分からないような地平線の彼方に向かってひたすら突き進んでるような感じとか、物語の整合性とか客観性とか他人の目なんて知ったこっちゃないやい!っていう、ある種の純粋さとか。こんなこと言うとまるでこの作品をバカにしてるみたいだけど、僕にとって「シベ超」はとっても愛おしい作品で、だからこの作品も、何だかよく分かんないんだけど、何か愛おしい。ラストの「ガーディアン」のあのシーンは、バカバカしいんだけど感動的だったよ。今までシャマランの事を「ちょっと変わった一発屋」くらいにしか思ってなかったんだけど、これ観てちょっと好きになった。 [映画館(字幕)] 7点(2006-10-12 18:09:14) |
484. 釣りバカ日誌スペシャル
社長室で辞表を出そうとするくだりの、重役や課長を巻き込んでのケンケンガクガクが、いかにも森崎東的だなあ、と思わずニンマリ。ただ、富田靖子の恋のお話が前半だけで終わってしまってちょっともの足りなかったなあ。谷啓扮するお父さんとのやり取りとか、もうちょっとあれば良かったのに。ブルーハーツの曲の使い方はベリーナイシーだったのに、ちょっと残念。 [DVD(邦画)] 7点(2006-10-09 16:12:54) |
485. 時をかける少女(2006)
んむー・・・悪くないと思った、っていうかリメイクとしてはなかなか良いな、と思ったんですが、そーんなには入り込めなかった、かな。あのー、アニメの技術的なことはあまりよく分からないのですが、ほとんど動きのない背景の絵の前で人物が動いているのが妙に気になってしまって(あれは意図的なものなのかなあ?)・・・こんなこと言うと大勢の人にニラまれるかもしれないけれど、僕としてはやっぱ「ゲ(以下略) [映画館(字幕)] 7点(2006-10-07 17:54:46) |
486. 青 ~chong~
在日三世の監督が在日の高校生を主題にした青春作品。在日同士のイジメや、在日ゆえに感じる近親憎悪(そういえば在日である前田日明も「在日の敵は在日」みたいなこと、言っていたような)、日本人や祖国(であるはずの)韓国への複雑な感情などが描かれていて興味深かった。ヒロインの女の人も綺麗だったし。ただ、テーマのせいで気負ってしまったのかもしれないのだけれど、妙に台詞が説明くさいというか説教くさいのが気になった(「お前は間違ってないよ」とか)。新作「フラガール」で一気にブレイクした感のある李監督だけど、もう一度同じテーマで新作撮って欲しいな。 [DVD(邦画)] 7点(2006-10-07 17:40:51) |
487. シムソンズ
ストーリーは定型だし、映画というよりカーリングのPR映像のようだし、何ということもないと思ったけれど、それでも最後まで観てしまったのは、北海道のキラキラした大地と、主人公の女の子たちのキラキラが、妙に似つかわしかったからかな。個人的には徳井優演じるお父ちゃんのはしゃぎっぷりが可愛いと思いました。 [DVD(邦画)] 7点(2006-10-07 17:30:51) |
488. おもひでぽろぽろ
これ、公開当時に観たっきりだったのですが、久々に観直してみました。何人かの方が指摘されてるように「田舎=素朴」という構図がちぃっとありきたり。それに有機農法の説明がクドいのも(当時はあまり有機農法ってメジャーじゃなかったのかもしれないけど)、何だかなあ。高畑勲って良くも悪くも真面目というか「良識派」的というか・・・アベ君のエピソードが救い(?)だったかな。 [映画館(邦画)] 7点(2006-07-15 18:32:45) |
489. 恐竜100万年
んんー、僕はより「文明的」なのが金髪族で、より野蛮人的なのが黒髪族ってところに、ちょっと引っかかるものを感じてしまったんだけど、それは考え過ぎか。それにつけてもラクエル・ウェル乳じゃなかった、ラクエル・ウェルチ。あの「原始人ビキニ」は、ドンキホーテとかに売ってんのか? [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-07-12 18:11:43)(笑:1票) |
490. ドリトル先生不思議な旅
子供の頃は「ドリトル先生」をむさぼるように読んでいたので、この映画はずぅ~っと観たくて仕方なかった。実はあんまり原作の内容は覚えていないのだけれど、この映画作品はどちらかというと「ほら男爵」のノリに近いような気がした(歌の中に「先生の言うことは全部が本当じゃないかもしれないけど~」みたいな歌詞もあるしね)。あと、子供の頃は意識しなかったけど、実はドリトル先生って相当アナーキーな人だ。人間界のルールより動物との友愛を重んずるから平気で法律違反もしちゃうし、世間一般の「常識」なんて全く気にしない、どころか「なぜヒトは動物を“ケダモノ”扱いする!?ヒトの方がよっぽど“ケダモノ”じゃないか!」と異議申し立てをして、危うくkey違い収容所に収監されそうにもなる。そういえば、この映画でドリトル先生と仲良しなのはアイルランド人(19世紀にイギリスに住んでるアイルランド人の境遇がどんなだったか、興味のある人は調べてみてね)や、(当時は一人前の人間として認知されてなかったであろう)「女子供」だったりするし、「動物といるのは楽しいけれど、人間は苦手だ」と呟くドリトル先生には厭世的な所も感じられて、泥沼化したベトナム戦争や高まる公民権運動などの映画製作時の世相も無意識に反映してるのかなあ、と思ったりするのだけど、ま、それはそれとして、楽しいファンタジー映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-06-27 18:41:05) |
491. バッドアス!
「スウィート・スウィートバック」と続けて鑑賞。当時、黒人としては数少ない成功した監督だったメルヴィンが、(白人が主流である)映画会社からさかんに「ウケるコメディーを撮れ」と言われ続けていたにもかかわらず、少ない予算と日数、その他諸々の障害を乗り越えて「スウィート~」を完成させ、ヒットさせたという実話を元にしているのだから、話は勿論面白い。ただ、これは仕方のないことなのかもしれないけれど、オリジナルの「スウィート~」に比べてしまうと、どうしてもパワー不足のように感じてしまう。この作品の中でもメルヴィンが、周りから「独裁者」と言われるくらい唯我独尊の振る舞いで映画を作っていたという事、或いは徹夜で編集作業をしたせいで危うく失明しかけたエピソードなども語られているのだけれど、思うに実際は、ここで描かれてるよりももっともっとkey違いじみててスリリングな現場だったんじゃないか、と思うのだ。そう思うと、やっぱりこの作品は、普通のハリウッド作品にありがちな、ありふれたサクセスストーリーのように感じてしまう。んんん、題材が面白すぎる、というのも映画にとっては善し悪しだな。ただ、当時の状況がわりと丁寧に説明されているので(ってその“親切さ”が映画のパワー不足の要因であるとも思うのだけれど)、黒人映画の歴史に興味のある人は観てみて損はないです。 [DVD(字幕)] 7点(2006-06-22 19:24:43) |
492. 御金蔵破り
《ネタバレ》 石井輝男作品ってあまり観てないのだけれど、これはなかなか面白かったです。大川橋蔵扮する旗本くずれの若いやくざ者と千恵蔵扮する老いた大泥棒が手を組んで、天下の大将軍の「御金蔵」を狙う・・・という犯罪映画。そこに大川の元同僚で出世コースをひた走る若侍(杉浦直樹)や、獲物を横取りしようとしているやくざの親分(東映時代劇の悪役といえばこの人、安部徹!登場の仕方が可愛い)、そして千恵蔵をお縄にかけようとする、まるでルパンを追う銭形のとっつぁんのような十手持ち(霊界タンバ)などなどの思惑が絡んでいく、スリリングな展開でした。ヒロインの朝丘雪路もなかなか色っぽかった(但し、現在のバラエティ番組とかに出てくる彼女を思い出しちゃうと、ちょっとね、、)。冒頭の牢のシーンでリンチに使われる○○が、百両箱を持ち出すアイテムとして使われるというのが、いかにも石井作品ぽいなーと思いました。 [ビデオ(邦画)] 7点(2006-05-12 17:46:16) |
493. いちご白書
日本だとこの作品自体よりもバンバンの「『いちご白書』をもう一度」の方が有名なんじゃ・・・?という気がするけど、それってジェームス・ディーンよりも「ジェームスディーンみたいな女の子(by大沢逸美)」の方が有名みたいなモンか・・・どーでもいいけど(←じゃあ書くなよ)。これ観て思ったのは、学園紛争ってのは、いわば「祭り」だったんじゃないかなーと言う事。素朴な正義感と反抗心、そしてささやか(ではないかもしれないが)な下心、そういうものがエネルギーとなってたんじゃないか、と思う。だから駄目、というわけではなくて、むしろ人はイデオロギーとか主義主張とかによってではなく欲求や衝動で行動するものだろうし、実は歴史というものだってそういうエネルギーで突き動かされてきたんじゃなかろうか・・・と、ちょっと偉そうに俯瞰しすぎました。この映画の中では、最初ノンポリ(死語か?)だった主人公が悩んだ挙句学生のバリケードの中へ飛び込んでいく、あのシーンの高揚感が良かったと思います。あと、みんなで雑魚寝してるシーンも解放感があって良かったと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-05-09 19:53:45) |
494. 愛と哀しみの旅路
うむ、良い意味でも悪い意味でもマジメな映画。「告発モノ」の側面が強すぎて、ラブストーリーの部分がちょっと弱いかなー、と。例えばジョン・フォードがこの映画の監督だったら・・・と思ったりもしたのだけれど、ね。ただ、本筋とは関係ない、或る一点に関しては日本の映画ファンとして激しく感動致しました。Japan film research consultantのALAN PAUL、アンタはエライ! [ビデオ(字幕)] 7点(2006-05-03 19:26:50) |
495. 男の顔は履歴書
ワタクシごときがエラソーに言うのもナンだけど、この映画は成功作とは言い難いかも、しれない。とても壮大・シリアスな内容を、いわゆる任侠モノの形(90分程度の上映時間でラストは殴り込み、というパターン)に収めるのは無理があるし、その分台詞が説明的になっていてちょっとダサい(ダサいと言えば冒頭の「この映画は…<中略>…世界中の人間が互いに愛し合い信じあえる日を信じて作られたドラマである」という字幕も、そーとーキッツい。気持ちは分かるが)。のだが、敗戦直後の日本人と三国人(←石原慎ちゃんが好んで使うけど、つまりその頃、無法な在日をそう呼んでたんだな。差別的・侮蔑的なニュアンスを持ってしまっているから、今はあんま使わない方が良いと思う)の対立を軸に人間の善と悪、被害者と加害者という立場が時にダイナミックに反転する様を生々しく描いたこの作品には、えも言われぬ迫力がある。何と言うか加藤泰の、人間の弱さに対する怒り、憎しみや立場を捨てられない事への怒り、と悲しみが伝わってきて「日本人とか三国人とかナントカ人とか、関係ねぇ!同じ人間じゃねぇか畜生ォ!」という声が聞こえてきそうな、ある意味「パッチギ!」以上にパッチギ的な作品。出来れば「パッチギ!」に感動した人にも、或いは嫌悪感を持った人にも、観て欲しい。 [ビデオ(邦画)] 7点(2006-04-25 18:25:42)(良:1票) |
496. 次郎長三国志 第七部 初祝い清水港
ごめんなさい、第四部とこれだけ、ちょっと点数低めです。何せあの、ナミダナミダの第六部から続けてみたもので、「ええっ!?いきなりこんなにノー天気な話になっちゃって良いの?」と、戸惑ってしまったのです。後から、この作品がお正月映画として封切られた事を知って「なるほど」と思ったんですけど、そう言えば大政や鬼吉が縁日(?)で口上を述べたり、石松と三五郎が皿回しをしてたりする所は晴れやかな感じでしたねぇ。でも、個人的には傑作の第六部と第八部の間の、中休みというか箸休めというか、そんな感じでした。 [映画館(邦画)] 7点(2006-04-15 17:52:04) |
497. 次郎長三国志 第四部 勢揃い清水港
ゼイゼイ、はぁ~やっと第四部、、第四部、はねぇ、ゴメンナサイ、実はシリーズの中ではちょっと印象が薄かった。決してつまらなかったわけじゃないのだけれど・・・僕はこのシリーズ、東京の映画館で一日二作ずつ上映してるのを観に行ってたんですけど、結構強行軍だったので、これ観てた時はかなり疲れていたかもしれないです。今回は、石松と三五郎が、悪い奴に騙されて困っている力士一行を助ける為に相撲の興行を打つお話。それと新たな子分として漁師のせがれ、三保の豚松(加東大介)が加わる所が見所、かなあ。次の「毆り込み甲州路」が起承転結の「転」だとすると、この作品は「承」みたいな感じで、ちょっと地味な印象でした。また観る機会があれば違う印象かもしれないけどね。 [映画館(邦画)] 7点(2006-04-12 16:28:02) |
498. 吹けば飛ぶよな男だが
いかにもお涙頂戴な話ではあるし、緑魔子は千秋(実じゃなくて、ココリコ遠藤の奥さんの方)みたいだし、正直小沢昭一の活弁風ナレーションは無い方が良いと思ったのだけれど、なべおさみ演じるチンピラ三郎が良かった。下っ端ヤクザ(犬塚弘)や、三郎に「このド淫売!」と罵られながらも心の奥底でつながっているトルコ風呂の女将(ミヤコ蝶々)の描き方はいかにも森崎東らしい。も少し山田色が薄ければ良かったかな、と個人的には思う。 [DVD(邦画)] 7点(2006-03-25 15:33:30) |
499. 三人の名付親
これは、キリスト教文化圏以外の人間にはちょっと感覚がつかみにくいかも。あんまり専門的なことは分からないけれど、逆光のシーンが多くて人物が影のように映っているのが、まるで影絵のようで神秘的・印象的でした。一応西部劇だけど誰も殺されないし、途中主人公が水のない中逃避行する所はちょっとハードで異色な感じもするけど、脇役は魅力的だし(どこかの休憩所?に出てくる豪快なおばあさんとか、保安官に連れられてる、何度も注意されてる助手とか)、最後はお洒落でにんまり・じんわりする結末だし、やっぱりジョン・フォードだよなあってな感じでした。<2006.2.9追記>↑「逆光のシーンが多くて人物が影のように映っている」って書いたけど、ひょっとしてこれは、僕が観たDVDの画質があんまり良くなかったからかもしれないです。んー、そりゃ、めったに観られない古い作品をDVDで観られるのは嬉しいんだけどなぁ。 [DVD(字幕)] 7点(2006-02-07 13:46:35) |
500. 赤ちゃんに乾杯!
僕も「スリーメン~」よりこっちの方が良かったと思います。あっちは確か麻薬ディーラーとのゴタゴタを膨らましていたけれど、こっちはある種フェミニズム的視点が入ってて、しかも上品で軽やかなコメディーとして作られてる気がしました。赤ちゃんの世話に疲れ切った男たちの表情とあどけない赤ちゃんの顔を交互に映すところなんか良かったなー。そういえば最近は男性でも育児休暇が取れるようになってきたけれど(普及はしてないけど)、この映画の功績も小さくはないのかもね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-01-27 15:50:39) |