521. 人のセックスを笑うな
《ネタバレ》 不思議な面白さを持った映画でした。描かれるのは美大生の男女とその美大の女性講師の恋愛模様だけど、ストーリーは無いに等しい。三角関係のドロドロって感じでもない。永作博美演じる講師がユニークな人柄だけど、その生き方がテーマという訳でもない。長まわしのカメラがこの三人の遣り取りを写し続けるが、ほとんどのシーンが次の展開に繋がって行かない。でも、これが不思議と飽きない。ギャラリーでお菓子をつまむシーンや、ストーブに灯油を入れるシーンなんかがその代表で、味があって記憶に残る。演出の主眼が言葉や仕草の日常性の抽出に置かれているってことなのでしょう。鑑賞後に良く考えられていたと気付いたのが画角。アップにしたら被写体の特定部分が強調されて味が薄れるし、離れすぎると見えなくなる。興味を持って、客観的に見える距離感とでも言うのだろうか。そこに神経を使ってました。のぞき見感覚の演出ですね。タイトルは逆説的にのぞかれた方の言葉なのでしょう。主演3人の演技力によるところが大きいのでしょうが、私はその「のぞき」に引き込まれたクチです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-11-18 13:34:47)(良:1票) |
522. 椿三十郎(2007)
《ネタバレ》 製作サイドに黒澤オリジナル版を超えようという意識は無かったと思う。映画関係者なら尚更わかると思うが黒澤版にはそれほど隙がない。 森田氏は「今の若い人にあの脚本の素晴らしさを知ってもらいたい」と言ったらしい。最初から白旗を上げてるようだけど、森田版を観終わった後に実感したのはまさにその点だった。中途半端に脚本に手が入っていないおかげで、自分は安心して役者の違いと演技の違いを楽しみ、役者が変わっても全く退屈しなかった脚本の出来の良さに改めて感心した。ちなみに織田裕二には「四番バッターではなく一番バッターの三十郎を演って欲しい」と言って口説いたらしい。三船敏郎のあの演技に比肩し得る役者がイメージできず、方向性を変えるしかなかったのだろう。そう考えると、菊井側の侍を大量に斬殺するシーンのもたつき方も頷けるし、三十郎初心者には筋の通ったキャラクターに見えたはずである。自分はこの映画を楽しんだ。黒澤版との違いも楽しめた。おそらく森田版は目的を達していると思う。 だから、改めて言っておきたい。この映画を観たからといって、黒澤版を観ずに「椿三十郎」を終わらせているとしたら、それは大間違いです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-11-09 00:19:15)(良:2票) |
523. エースをねらえ!
女性が主人公のスポ根ものとしてはナンバーワンです。映画は岡ひろみが早く上手くなり過ぎであっけないけど、TVシリーズで重苦しかったいじめのシーンなんかがごっそり無くなっていて心安らかに観られました。宗像コーチが母親と岡を重ねていたという映画のオリジナル設定も違和感なかったです。アニメ界屈指の出崎・杉野コンビとはいえ、男がこういう世界を描いたことにも感心します。 余談。趣味でテニスをやっていますが、仲間でカラオケに行ったら誰かが必ずTVシリーズの主題歌を入れます。「♪サーブ、スマッシュ、ボレー♪」はもちろん素振り付き! [地上波(邦画)] 7点(2008-11-08 22:36:46) |
524. ジャイアンツ
つまり、この一家を根本からしっかりと支えている親父の骨太な人柄が「ジャイアンツ」なんですね。でも、一般の評価がそうであるように、自分もジェームズ・ディーンに惹かれました。特に前半の、斜めに構えた屈折した人柄を繊細に演じる様は、すでに誰も真似の出来ない領域を確立していた感があります。 [DVD(字幕)] 7点(2008-11-08 04:18:42)(良:1票) |
525. プラネット・テラー in グラインドハウス
最後までバカバカしいパワーが減衰せずに突っ走り切ったB級映画の王道。特に言うこと無し。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-10-31 01:27:52) |
526. 夜顔
《ネタバレ》 この監督、100歳で現役なんですね! 年齢に関係するかどうかは定かじゃないけど、他では観れない面白み溢れる画面でした。 「昼顔」のエンディングが残したひとつの疑問。ユッソンはセヴリーヌ の亭主に真実を告げたか否か…?。 問題のシーンでのユッソンのセリフ。「私が秘密を話したか、何も話さなかったか。分かるかな? ふたつのうちのどちらが真実でどちらが嘘か」。セヴリーヌ は一瞬考えた後に、何かに気付いた表情をし、激怒して席を立つ。2回見直して得た私の解釈。答えがどちらかにあったなら、「ふたつのうちの…」なんて言わない。答えはたぶん「何かを話したけど、秘密を(正確に)話した訳ではない」。セヴリーヌ は40年も亭主の涙の意味を考え続けたが、その思考シミュレーションの前提となる部分が違っていたことに気付き激怒した。ユッソンがどんな話をしたかは分からないままだけど、どうでしょう、この解釈? でも、直後に新しい問題が投げつけられる。あのニワトリはなに? 意味なんてあるのか? 全然分かりません。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-10-30 00:11:31) |
527. APPLESEED アップルシード
ライブ3DCGアニメという意味では、アニメらしい見せ方を残しながらリアルを追求している姿勢を評価します。実写にしなかった必然性を見い出せなかった某有名ゲームソフトの映画版よりは、正しい方向性だと思います。そんな手法の話でなくとも、世界観、キャラクター、ストーリーなど、良くまとまった映画だと思います。オープニングの戦闘シーンの主人公の動きが斬新で好きです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-10-23 01:54:28) |
528. もののけ姫
《ネタバレ》 神話の時代の終焉を描いた大河アニメ、といったところでしょうか。アシタカの聖人のような優等生ぶりとサンの120%の純粋さが鼻に付きました。周囲のキャラクターが(もののけを含めて)しっかり人間臭かったので、主演のふたりが浮いてましたね。 [映画館(邦画)] 7点(2008-10-23 01:44:44) |
529. 紅の豚
町工場でパートのおばさんたちが飛行機を作るシーンが好きです。昼食の食卓を用意するシーンに人間の営みの逞しさを感じます。この監督の人間を捉える視点にオーバーラップしているのだと思います。 [映画館(邦画)] 7点(2008-10-23 01:27:10) |
530. コールド マウンテン
そういえば南北戦争ものって、ほとんど見た記憶がなかった。それがアメリカにもたらした荒廃をテーマにしたものも初めての印象でちょっと勉強になった。この描写が正しいという前提でだけど…。ジュード・ロウは寡黙な男が似合う。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-10-22 01:37:23) |
531. 茄子 アンダルシアの夏
見どころがたくさんあった。自転車の疾走シーンのスピード感、南スペインの美術表現、ゴール間際のアニメ的演出、兄に好きな女性を取られた大人の失恋、そしてレースに優勝した日が兄たちの結婚式というめぐり合わせ…。生まれ育った土地を離れて暮らしている者にとって、故郷はいろんな意味を持つ存在になる。人生の一部がひとつの塊としてそこにある。つかの間、高台から故郷の街の灯を眺めると、未来ではなく自分が歩んだ過去に想いが巡る。そして、明日もレースは続く。主人公本人より、観ているこちらがより感傷的になってしまう見事な短編でした。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-10-20 01:31:35) |
532. デス・プルーフ in グラインドハウス
なだらかな坂をゆっくり上って行くゴンドラ。その長いイントロの先には長さに比例した壮絶な急降下。これはとんでもない絶叫型アトラクション。なんでお前たちはブレーキを踏んで停まらないんだ? 久しぶりに大声で笑った快作でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-10-20 01:02:00) |
533. エイリアンVS. プレデター
「エイリアン」「エイリアン2」という2大傑作と「プレデター」では、映画の格が違うだろー。なのにエイリアンはやられ役かい!? と言いたい「エイリアン」ファンです。 [DVD(字幕)] 7点(2008-10-06 02:50:48)(笑:1票) |
534. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
こーいう映画だったのか。友情のお話ですね。公開当時からすごく評価されていたけれど、その時に見逃した為に最近まで観る機会がなかった。こういう作品は一度見逃すと、上映時間が長いこともあって、なかなか正対する気力が興らなかった。観始めると長さは気にならなかったです。おとなしい演技ではあるが、十分に持たせるデ・ニーロは流石です。 [DVD(字幕)] 7点(2008-10-06 00:55:35) |
535. 最後の恋、初めての恋
お姉さん役のシュー・ジンレイが良かったです。 撮影スタッフに知人がいて、その苦労話に感銘をうけたこともあって+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2008-10-06 00:36:41) |
536. ギルバート・グレイプ
《ネタバレ》 内容は愉快なお話じゃないんだけど、気持ちの良い映画だった。これは監督の手腕ですね。土地や家族とのしがらみを断ち切ってしまえない若者の苦悩が深刻にならずに、優しく表現されていました。ディカプリオの知的障害児演技はすごかった。 [DVD(字幕)] 7点(2008-10-04 03:26:22) |
537. 世界の中心で、愛をさけぶ
数年前ですが、結構素直に感動しました。勢いで原作も買って読みました(笑)。初めての長澤まさみが瑞々しかった。自分が若かった頃の、ピュアな恋心を思い出させるパワーがありました。 [DVD(邦画)] 7点(2008-09-22 00:28:36) |
538. インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
あの少女がホントにバンパイアだったなら、成長した姿を見なくて済んだものを…。 [DVD(字幕)] 7点(2008-09-18 12:49:16) |
539. バットマン ビギンズ
《ネタバレ》 旧シリーズの世界観にイマイチ馴染めなかったけど、このバットマンは心安らかに楽しめました。何が違ったのかをよくよく考えてみると、旧シリーズは仮面ライダーと同じなんですね。悪役たちが荒唐無稽すぎる。だからバットマンが頑張っても所詮はライダーキックだし、正義や倫理も芯が定まらなかったんだと思います。今作では、舞台となるゴッサムシティは変わらないけど、街の見映えは普通の都市になり、主人公も修行からやり直したりして、随分と身近な人になりました。結果、お話が人間ドラマになって、安心して楽しめたんだと思います。まだ観ていないけど「ダークナイト」が楽しみです。 [DVD(字幕)] 7点(2008-09-17 19:39:36)(良:1票) |
540. 隣人13号
面白かったです。中村獅童のキレぶりに最後までダレずに観ました。彼はこれでしょう。吉村由美のヤンママもはまってました。この監督、初メガホン(←今でもこういう言い方するのかな?)のようですが、ちょっとフツーじゃない才能を感じました。今後に期待します。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-09-16 01:04:59) |