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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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521.  あげまん 《ネタバレ》 
 伊丹監督は作中にて、自らの妻である宮本信子を「良い女だ」「美人だ」と褒めさせる事が多いのですが、本作は「妻を賛美する為に撮った」という側面が、最も強い映画なのではないでしょうか。  「やりたい事、全部やってごらんなさいよ」  「ダメだって、良いじゃないの」「一文無しになったって良いじゃないの」 「貴方くらい、私が養ってあげるわよ」   これらの台詞って、きっと監督が奥さんに言ってもらいたかった事、あるいは実際に言われたり感じ取ったりしたメッセージなんじゃないかと思えて、微笑ましかったですね。  「人間にとって、人間を自由にするくらい面白い事はない」   という台詞もまた、映画監督である自らの価値観を示した一言だったのかと思えたりして、興味深い。   映画全体としては、主人公が売春したと誤解されてしまう件と、次期首相候補の政治家と対決する件、二つのクライマックスが終盤に立て続けに起きる形になっている辺りが、やや忙しない印象を受けましたね。  全編に亘って「伊丹節」とも呼べそうな、独特の楽しい雰囲気が漂っているのは間違いないのですが、肝心の山場に差し掛かっても、どうにも気持ちが盛り上がらない。  主役の男女二組が復縁するハッピーエンドに関しても、ちょっとオチが弱かったみたいで (えっ、これで終わり?)  と拍子抜けしてしまったのが残念です。   それでも、タイトルとなっている「あげまん」の説得力というか (こんな女性が傍にいてくれたら、自分も色々と成功出来るんじゃないかな……)  と感じさせるだけの魅力を、主人公がしっかり備えている辺りは、お見事でしたね。   個人的好みとしては、序盤における「恋人探しの香港&ヨーロッパ旅行」の件が、妙に楽しそうに思えたもので、そちらを主題とした映画も観てみたかったところです。
[DVD(邦画)] 5点(2016-06-30 04:27:38)
522.  ワイルド・ワイルド・ウエスト 《ネタバレ》 
 スチームパンクな世界観は好みだし、真面目に作った馬鹿映画という雰囲気も決して嫌いではないのですが、今一つノリ切れず。   背景の書き割りが物凄くわざとらしい辺りなんかは、恐らく意図的な演出なのでしょうけど(普通に撮って欲しかったなぁ……)と、つい思ってしまいましたね。  女装ネタが二回続くのも食傷気味でしたし、黒人差別問題やら虐殺やらの陰鬱なネタと陽気な作風とのギャップも気になります。  何よりの問題は、折角ケネス・ブラナーが印象的なラスボスを演じてくれていたのに、彼を倒すシーンが呆気無さ過ぎた点でしょうか。  そういった基礎的な部分をキチッと仕上げてこそ、ふざけた部分の魅力も引き立つと思っているので、クライマックスの消化不良感は、実に残念。   けれど、本作独自の魅力も幾つかあって、どうにも憎めない映画でもあるのですよね。  特に巨大な蜘蛛型ロボットのインパクトは凄まじく、西部劇風の荒野を雄大な機械が闊歩していく様は、実に素晴らしい。  自動追跡首切りマシーンの原理が「磁石」という馬鹿々々しさも良かったし、それらを倒す方法が「二つを衝突させて自爆させる事」という辺りにも、王道な面白さを感じられます。  主人公コンビが二人揃ってヒロインに振られてしまい、憮然とした表情のまま、シンクロした動作で帽子を被ってみせる場面なんかも良かったですね。  紆余曲折はあったけれど、最後の最後で二人は息の合ったパートナー同士になれたのだな、という事が伝わって来て、ほのぼのとさせられました。
[DVD(吹替)] 5点(2016-06-24 22:29:46)
523.  ハミングバード 《ネタバレ》 
 まさかジェイソン・ステイサム主演の恋愛映画を拝める日が来るとは思っておらず、驚かされましたね。  互いに心の傷を抱えた者同士の、束の間の交流。  二人の心情が、とても丁寧に描かれている作品だと感じました。   そこかしこにアクション映画としての要素が含まれている事に関しては、嬉しくもあったのですが、やや焦点がズレているようにも思えて、少し残念。  主人公が精神的な病を抱えているという設定も、ちょっと感情移入しにくいものがありましたね。  終盤にて「見えるか? ハミングバードだ」と言われても、今一つ共感出来なくて、どうしても距離を置いてしまいます。   一番の難点は、ヒロインがドレス姿に着替えて会いに来てくれたシーンにて、主人公ほどの衝撃と喜びを味わえなかった事でしょうか。  非常にマニアックな発言で申し訳ないのですが、彼女に関しては「眼鏡をかけたシスター」としての普段の姿の方が好みだったもので、着飾った姿には(なんか……普通の美人のお姉ちゃんだなぁ)と、あんまりテンションが上がらなかったりしたのですよね。   ラストも微かな救いはあるけれど、ハッピーエンドとも言い難いものがあり、これも好みではありません。  けれど「人並みに生きられたこの夏を、君と過ごせて良かった」という告白に対しては、胸を打たれるものがあったし、悲劇的であるがゆえの美しさのようなものは感じられましたね。  子供時代に性的虐待を行っていた大人を殺傷したというヒロインの過去には同情出来たのに対し、戦場で仲間を殺された腹いせに無関係な民間人を殺したという主人公の過去には流石に同情出来ない点がマイナスだと思っていたのですが、それに関しても(あぁ、だからヒロインと違って主人公は自殺のような末路を辿るのか……)と、一応は納得。   ビターな味わいの、大人の映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2016-06-20 23:03:39)(良:1票)
524.  ティファニーで朝食を 《ネタバレ》 
 冒頭、ヒロインがティファニーの展示品を眺めながら朝食を取るシーンは凄く良いですね。  さぁ、これからどんな映画が始まるのだろうと大いに期待させられたのですが……終わってみれば、そこが最も印象的な一幕だったというオチでした。   全体的に「オシャレ」な雰囲気が漂っており、主人公達の住んでいる部屋の内装や、街並みを眺めているだけでも結構楽しかったりするのですが、肝心のストーリーが凡庸な恋愛モノといった印象で、観賞中は退屈さを覚えてしまったのも事実。   オードリー・ヘプバーンは流石の可愛らしさだし、清楚なルックスとは正反対の役柄を演じてみせたギャップも、意外と悪くないと思えただけに、話にノリ切れなかった事が残念でした。  当初の予定では、ヒロインを演じるのはマリリン・モンローのはずだったとの事ですが、もしそちらの配役で撮られていたら、どんな形に仕上がっていたのかも気になるところです。   上述のように、色々と物足りない内容ではあるのですが、古き良き映画として、その時代の雰囲気を楽しむ事は出来ましたし 「あの朝食のシーン、素敵だね」  と会話のネタが一つ増えるという意味でも、観る価値はあった映画だと思います。
[DVD(字幕)] 5点(2016-06-16 10:44:27)
525.  隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS 《ネタバレ》 
 映画をリメイクするというのは、勇気のいる事だと思います。  それが原作小説や原作漫画の存在しない「オリジナル」の映画であり、しかも名作と呼ばれる品であるならば、尚の事。   本作に関しては、元ネタである1958年版の後に、立て続けに観賞する形を取ったのですが、中盤以降の展開を大胆にアレンジしているのが特徴ですね。  最初、主人公の名前は「武蔵」で松本潤が演じると聞いた時には「えっ、何それ? 全く新しい人物を主役に据えるの?」と思ったものですが、蓋を開けてみれば「太平」の名前を「武蔵」に変えただけ、と言っても差し支えない程度の変更でした。  アイドルに疎い自分でも知っているようなビッグネームが主人公とヒロインを演じている訳ですが、ちゃんとある程度「汚れた」デザインを心掛けており、役者当人の顔立ちの違いはあっても、全体的なイメージはそれほど離れてはいなかった事も好印象。  特に男性側に関しては、美男子であるにも拘わらず髭ぼうぼうで小汚い乞食のような格好で終始通した事には、思わず感心。  「追っ手を欺く為に」とか何とか理由付けして、途中で髭を剃って髪を整えて、小奇麗な身なりに変身するのも可能だったでしょうからね。  その点に関しては、オリジナル版の下層階級と上層階級の対比を守ろうとしたのだろうなと、誠意を感じました。  女性の肌の露出度が下がっているのは、残念といえば残念ですが、まぁコレは元々がサービス過剰というか「ちょっと黒澤監督、助平な観客に媚び過ぎじゃないか?」と思っていたりもしたので、肌を晒さない衣装にした気持ちも分かります。  他にも、色々と小ネタも盛り込まれているし、スタッフはオリジナル版を愛し、リスペクトした上で真面目に作ったのだろうなと思いました。   ただ、どうしてもある程度は比較しながら観てしまうので、気になる点も多かったですね。  まずは、演出が物凄く分かり易くて、大袈裟な点。  六郎太に斬られて死んだと思われた武蔵が、実は生きていたと分かる場面なんかも、勿体付けてさも驚きの展開みたいに描いているのですが、いくらなんでもそれは生きてるって分かるよと、ついつい苦笑してしまったのですよね。  こういう万人向けの演出は好ましいと思っているのですが、本作は流石に分かり易過ぎたのと、その頻度が高過ぎるように感じられて、食傷気味になってしまいました。  また、一本の映画として観た場合には意味不明に感じられる「オリジナル版のパロディ演出」も多くて、好きで盛り込んだのは分かるけど、何もそこまでしなくても……と思ってしまいましたね。  武蔵と新八が籤引きをするシーンなんて、オリジナルと違って目の前で姫様が無防備な寝姿を晒している訳でもないのに、道端で急に始めるものだから、唐突感が否めない。  極め付けは「裏切り御免」の使い方で、いやいや今までそんな喋り方してなかったじゃない、オリジナルにあった台詞を無理やり真似させてるの丸分かりだよ! と、冷めた気持ちになってしまいました。   でも、リメイクならではの長所も幾つかあって、関所をオリジナル版と同じ手法で通過出来てホッとした後に、突然呼び止められてドキッとさせられるサプライズなんかは、素直に驚かされて、嬉しかったですね。  阿部寛演じる六郎太も貫録があって良かったし、兵衛さんが元ネタと思しき悪役の鷹山なんかも、面白いキャラクターだったと思います。  何より興奮したのが、オリジナル版でほぼ唯一の不満点だった「クライマックスでの主役不在」が解消されている事。  ちょっとそこの「姫を助け出す」パートが長過ぎるよ! と思ったりもしたのですが、それでもやっぱり、喜びの方が大きかったです。  民を信じて金を預けた姫様が裏切られる事なく、笑顔で出迎えられた結末も、それに伴う主人公との別れなども、良かったと思います。   その他、友人から「ダースベイダーのそっくりさんが出るよ」と聞かされていたもので、覚悟して観賞していたら「これ、蒲生氏郷じゃん!」とツッコまされたという余談もあったりして、何だかんだで楽しい時間を過ごせた映画でした。
[DVD(邦画)] 5点(2016-06-08 11:32:52)
526.  未来は今 《ネタバレ》 
 例の「丸いアレ」に関しては、最後まで謎のままなのかなと予想していたのですが、中盤にてアッサリと正体が判明。  しかも名前も機能もそのまんま「フラフープ」とは、意表を突かれましたね。   (これって、もしかして実話物だったりするの?)と思っていた矢先に終盤は「突然の時間停止」→「天使との対話」なんてトンデモ展開が飛び出すものだから、もう吃驚。  呆れる気持ち半分、笑ってしまう気持ち半分、といったところですが、こういった悪ふざけ演出は、決して嫌いではないです。  ……でも、出来ればもう少し伏線を張っておいて欲しかったなぁ、と思わされたのも事実。  ここを、もう少し丁寧に描いてくれていたら、もっと楽しめたかも知れません。   コーエン兄弟の作品にしてはブラックユーモアが薄めで、とても観やすい作りとなっているのも特徴ですね。  自分としては嬉しかったのですが、それによって個性を感じられなくなったという、痛し痒しな面もありそう。   善良だった主人公が出世によって心を歪ませてしまい、そこから改心して元に戻った後にヒロインと結ばれるハッピーエンドに関しては、非常に道徳的な作りだったと思います。  上述の「悪ふざけ」な演出と、この「道徳的」なストーリーラインのチグハグな感じを受け入れられるかどうかで、評価が変わってきそうな一本です。   とはいえ、あんまり難しく考えないで、子供向けのファンタジー映画のような感覚で観賞するのが、一番楽しめる方法なのかも知れませんね。  勤続四十八年になる主人公の同僚や、エベレーターボーイなど、脇役達も個性的で、魅力的。  ティム・ロビンスとポール・ニューマンの共演という一点に限っても、観る価値はある一本だと思います
[DVD(吹替)] 5点(2016-06-07 06:02:24)(良:1票)
527.  グレンとグレンダ 《ネタバレ》 
 てっきり「特殊な性癖だからといって差別するのは良くない」という内容の映画かと思っていたのですが、少々異なる印象を受けましたね。  そういった道徳的な主張よりも「私は女装は好きだが同性愛者ではない」という監督の叫びが聞こえてくるかのような内容だったのです。  こんな時には、ついつい「どっちでも似たようなもんじゃないのか?」と思ってしまうものですが、それが特殊性癖の人にとっては「理解されない」という悲哀に繋がっているのかな……などと、色々と考えさせられるものがありました。   そんな深読みはさておいて、映画単品として評価すると、これが意外や意外。  シュールな映像表現が続いて、中々飽きさせない作りとなっているのですよね。  いきなり牛が飛び出す展開には思わず笑みが零れたし、デヴィッド・リンチが影響を受けたとしか思えない場面などもあったりして、若干の退屈さを覚えながらも、不思議と画面から目を離せない。  ヒロインが女物のセーターを主人公に手渡し、理解と愛情を示す結末なども、それなりに感動的に仕上がっていたと思います。   監督と主演を兼任しているエド・ウッドに関しては「史上最低の映画監督」などという称号も与えられていますが、本作を観賞した限りでは、それは不当な評価であると感じられました。  彼の破天荒な人柄、生涯、そして何よりも「作品から漂う不思議な愛嬌」ゆえに、親しみを込めてそう呼ばれているのではないかな、と考える次第です。
[DVD(字幕)] 5点(2016-06-04 18:09:35)(良:2票)
528.  レッド・ライト 《ネタバレ》 
 超能力者と、その真贋を見極めようとする科学者との対決というテーマは、非常に興味をそそられます。   けれど、この映画の場合は意図的にそれをクライマックスに持ってこなかったというか、結果として「本物の超能力者VS偽物の超能力者」という形になっているのですよね。  これには意表を突かれましたが、最初の路線通りに話を進めて欲しかったなぁ……とも思ってしまいました。   なんせ、大物俳優であるデ・ニーロと、シガニー・ウィーバーの対決になるのかと思われた中で、後者が唐突に途中退場する形ですからね。  衝撃的な展開ではあるのですが、疑り深い性分なせいか「これ、本当に死んだの?」なんて思ってしまい、今一つノリ切れませんでした。   超能力は本物か? 偽物か? とデ・ニーロに視点を集中させておいたところで、主人公であるキリアン・マーフィの存在によって「本物の超能力は存在する」と証明されるオチは、素直に面白かったです。  伏線も丁寧だったし、当人が予め「自白」していた事が明かされるフラッシュバック演出なんかも、心憎い。   ただ、それは結果的に「憎きインチキ超能力者の嘘を暴く」というカタルシスを薄める形にもなっている気がします。  きちんと科学的な考証によって「偽の超能力」を否定してみせて、決着を付けた後に、エンディングにてサラっと「実は主人公こそが超能力者」と明かしたりするような形の方が、好みかも。   幽霊屋敷のラップ音の正体、机を浮かしてみせるトリック、電波を使った読心術暴きなど、前半における「超常現象の謎解き」部分が面白かっただけに、後半の展開は残念。  それでも、主人公が「超能力」を証明してみせた事が、ラストの「生命維持装置を切る」行為に繋がる脚本には、唸らされましたね。  実際に死後の世界があるかどうかは分かりませんが、この映画の中では存在していて欲しいものです。
[DVD(吹替)] 5点(2016-06-02 21:43:23)(良:1票)
529.  ルビー・スパークス 《ネタバレ》 
 理想の恋人を現実世界に召喚してみせるも、結局は彼女も思い通りになってくれない……というお話なのかと思いきや「主人公が本気で彼女を操ろうとすれば、簡単に操れてしまう」と証明されるシーンが衝撃的。  ホラー映画テイストな演出も相まって、大いに恐怖を抱かせてくれましたね。  劇中で二人が観賞し、楽しそうに笑い合っていたゾンビ映画「ブレインデッド」よりも怖かった気がします。   「ありのままの自分を愛してくれる人」を作り出したはずの主人公が求めていたのは、結局「貴方は天才!」と絶賛してくれるだけの操り人形に過ぎなかったというオチも、何とも哀れ。  最後には「誰にも操られない、自由になった彼女」と再会する事となる訳ですが、これはココから本当の恋が始まるというハッピーエンドなのか、あるいは主人公が彼女の存在に囚われたまま離れられないバッドエンドなのか、解釈が分かれそうなところです。  自分としては、前者であると信じたいのですが、どうも後者であるようにも思えてしまい、今一つスッキリしない感じが残りました。   以下、映画の内容とは直接関係無い事なのですが、この脚本を書いたのはヒロイン役のゾーイ・カザンであり、プライベートでも恋人であるポール・ダノに主人公を演じてもらったというのが、とても興味深かったですね。  一見すると、本作は「女性に幻想を抱く男性」を揶揄した代物であるかのように思えます。  けれど実際は「理想の彼氏」を求める女性によって作りだされたものであり、ルビーではなく「悩める天才小説家の青年」であるカルヴィンこそが「(脚本家にとっての)都合の良い妄想の産物」ではないか、とも思えました。  キャスティングからしても、それを隠そうとする意図は無く、確信犯的に二重構造を楽しみながら、この映画を作ったのではないかな……と感じられて、何だか微笑ましかったです。
[DVD(吹替)] 5点(2016-06-02 17:35:23)(良:1票)
530.  プルート・ナッシュ 《ネタバレ》 
 黒幕が主人公のクローンであるという展開には意表を突かれましたし、二人が殴り合う場面なども面白かったです。  でも、悪役側に対しては「見分ける方法くらい用意しておけよ!」とツッコまずにはいられない。  そういった、何処か間の抜けた感じが本作の魅力なのでしょうか。   時間を損したという訳では決してなく、観ている間は退屈しなかったけれど「ああぁ、良い映画だなぁ……」と思える瞬間が訪れなかった事は、非常に残念。  主演がエディ・マーフィで、監督は「トレマーズ」と同じ人、という事で期待値が高過ぎたのかも知れませんね。  もっと肩の力を抜いて、リラックスした状態で観るべき映画だったのだと思われます。   そんな本作で目を引くのは、やはり脇を固める豪華な出演陣。  バート・ヤングが冒頭にチョイ役で顔見せしていたりして、自分としてはそれだけでも嬉しかったりしましたね。  特にランディ・クエイド演じるロボットのブルーノは、とても愛嬌があって、本作最大の癒しキャラ。  そして、主人公の母親としてパム・グリアが登場するのには驚いたし、クスッとさせられました。  何せ彼女が出てくる場面って、特にストーリー上は必要無かったように思えますからね。 「出したいから出したんだ、文句あるか」  という作り手側のメッセージが伝わって来るかのようで、少々呆れながらも、妙に微笑ましくて憎めなかったです。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-28 14:36:13)
531.  理由(1995) 《ネタバレ》 
 こういったストーリー展開の場合、観客はどうしても「無実の黒人青年」に肩入れしてしまう訳で、それを逆手に取った巧みな脚本だったと思います。   けれど、本作に関しては伏線が足りなかった印象も受けましたね。  終盤にて「実は本当に少女を殺していた」と明かすのであれば、もっと納得出来る材料を予め提示しておいて欲しかったです。  ローレンス・フィッシュバーン演じる警官に関しても、事前に「嫌な奴」として描き過ぎていた為なのか、終盤に共闘してくれても盛り上がるものを感じなくて、非常に残念。  思うに、前半にて登場人物の善悪に関するミスリードを徹底的に行っていた弊害なのではないでしょうか。   作中で最も悲劇的な事件であろう「少女の殺害」の動機が弱過ぎるのも気になります。  主人公の妻に対する復讐が目的だったなら、こんなに遠回りしなくても、もっとスマートな方法があったのでは? という疑念が拭えなくて、全ては「観客の意表を突く為のどんでん返し」ありきの後付けに思えてしまいました。   冒頭にて、如何にも同情を誘う存在であった「孫の無実を信じて、主人公に真相解明を依頼する老母」が、終盤は丸っきり姿を見せなかった事も不満。  主人公達が助かってハッピーエンドな空気で終わりたかった気持ちも分かりますが、物語を盛り上げる為に彼女を登場させた以上は「本当に孫が悪人だったと知って、嘆き悲しむ老母」という姿も、しっかり描いておくべきなんじゃないかな、と思った次第です。   上述のように、観賞後は色々と気になる点が多かったりもしたのですが、観ている間は素直に楽しめましたね。  この映画、ズルいよなぁ……と思いつつ、作り手の力量を認めさせられる。  そんな一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-27 20:26:59)(良:2票)
532.  ザ・インタープリター 《ネタバレ》 
 ニコール・キッドマンという人は、本当に美しい女優さんだなと、しみじみ実感。   主人公二人が共に悲劇的な過去を背負っている為、互いに慰め合っている内に恋愛感情が芽生えていく流れかな……と予想していたら、それを裏切ってくれたのが気持ち良かったですね。   冒頭のサッカー場での、少年達による銃殺シーンも衝撃的でしたし、中盤に起きるバス爆破シーンの迫力も見事。  実は一連の暗殺事件は、大統領側による狂言だったというオチも面白いと思います。   ただ、そういった要素の一つ一つは魅力的だと思うのですが、映画全体として考えた場合、少し贅沢過ぎたようにも感じました。  それというのも、立て続けにスケールの大きい事件が起こってしまうものだから、何やら置いてけぼり感覚があったのです。  なまじリアルな作風で、主人公達の能力も等身大であるがゆえに 「こんな事件、本当に彼女達で解決出来るの?」  という疑問符が浮かんでしまい、どうも画面に集中する事が出来ませんでした。  ニコール演じるシルヴィアが、大統領に銃を向けるクライマックスに関しても 「ここまで感情移入させて描いてきた主人公に、要人殺害の罪を背負わせたりはするまい」  と、何処か冷めた目で見つめてしまう事になったのが、非常に残念。   ラストにて読み上げられる死亡者リスト。  そして「誰も待っていない、思い出だけが残る故郷」に帰ると告げるシルヴィアの姿は、とても印象的で良かったですね。  自分にとっては、少し歯車が噛み合いませんでしたが、丁寧に作られた真面目な映画だと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-26 19:17:40)
533.  スピーク(2010) 《ネタバレ》 
 POV方式の映画って、たまに凄く観たくなります。  手ブレの多い映像は苦手なはずだし、このジャンルが特別に好きという訳でもないはずなのに、それでも禁断症状のように身体がPOVを求めてしまうのですよね。   本作も、そんな欲求を適度に満たしてくれる「お化け屋敷的な映画」として、気軽に楽しむ事が出来ました。  物凄く怖いという訳ではないのですが、何処か安心感を伴った「約束された怖さ」を提供してくれる感じですね。  こんな具合に、やたらと血が飛び出したり大きな音で驚かせたりする訳でも無い、落ち付いて観賞出来るホラー映画って、貴重だと思います。   内容としては、ノーカット風の撮影でリアルタイムな感覚を重視した作りが意欲的。  手ブレも比較的控えめで、観易い映像だった事も嬉しかったです。   才能はあるのかも知れないが、今一つ芽が出ないでいる映画監督の主人公と、その弟のカメラマンとの関係性なんかも、程好い生々しさがあって好印象。  ずっと昔に、短編映画の賞を取った事を自慢のタネにして、自分は凄い奴なんだと見栄を張っている兄の姿なんて、妙にリアリティがありましたね。  そんな兄を馬鹿にしながらも、律儀に映画撮影に付き合い、本心では兄を認めている弟。  舞台を一箇所に限定する事なく、この兄弟で色んな怪奇スポットを次々に巡っていく内容なんかも、観てみたかったものです。    オチは投げっぱなしで納得がいかないし、回収されていないと感じる伏線も多く、総じて「面白い映画」とは言い難いものがありましたが、細かい点で好印象を与えてくれる為、何だか憎めない、愛嬌のある映画でした。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-26 16:04:17)
534.  猛獣大脱走(1983) 《ネタバレ》 
 動物って怖いなぁと、しみじみ思わされた作品ですね。   やたらと残酷な描写が多い気がして、監督さんの経歴をチェックしてみたら「さらばアフリカ」などのモンド映画を数多く手掛けてきた人だと知って、大いに納得。  モンスターパニック映画というよりも「グレートハンティング」に近い代物であるように感じられました。   それでも、アスファルトの道路上を疾走するチーターなど、極めて珍しい映像も収められており、一見の価値はあるかと。  象の鼻さえも恐ろしい存在として描いているカメラワークには、素直に感心させられましたね。  一方で、ネズミを火炎放射器で焼き殺す件に関しては 「人間が殺される場面ではフェイクを用いているが、他の動物が殺される場面では本当に殺している」  というのが伝わってきて、何となく居心地が悪かったりもしました。   ラストシーンにて、子供達も狂気に犯されてしまい「人間も、また動物である」と示して終わるのは、非常に衝撃的。  色々と悪趣味な内容ではあるのですが、劇映画としても、人間が猛獣に襲われる衝撃映像集としても、水準以上のクオリティを備えているのではないでしょうか。  「怖いもの見たさ」という人間独特の感情を満たす上では、的確な一本かと思う次第です。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-25 08:50:41)
535.  ゲット スマート 《ネタバレ》 
 お気に入りのラブコメ映画「50回目のファースト・キス」と同じ監督さんという事で、大いに期待していた本作。  ところが、ジャンルの違いもあるからなのか、今一つ楽しむ事が出来ませんでした。   好きな女優さんであるアン・ハサウェイがヒロイン役ですし、アクションシーンなども結構しっかり描かれていたと思うのですが、熱中する場面も無く、気が付けばエンドロールになっていたという印象ですね。  自分にとっては善玉の印象が強いドウェイン・ジョンソンが実は悪役であったという展開なども、意外性があって良かったはずなのに、何故か興奮を誘われない。   その理由として、一つ印象に残っているのは、飛行機内にて手枷を掛けられた主人公が悪戦苦闘する場面。  スパイらしく、小型のクロスボウで狙いを定め、手枷を破壊しようとするも、見事に失敗。  自らの足に矢が突き刺さってしまい、悶える事になる……というギャグがあるのですが、これ、一回目はクスっと笑えたのです。  ところが二回も三回も失敗して矢が刺さるのを繰り返されてしまうものだから(もういいよ……)と、少々飽きてしまったのですよね。  で、ようやく最後に成功するのかと思ったら、間違えてボタンを押してしまって床が開き、そのまま主人公が地上に向かって真っ逆さま、という顛末だったのです。  この「肩透かし」っぷりがシュールで面白い、という人もいるのでしょうが、自分としては(どうも、この映画とは相性が悪いな)と思えてしまい、以降は少し距離を置いて観賞していたような気がします。   書類仕事は優秀であっても、実務においてはドジな主人公。  そんな彼が、有能な相棒の助けと幸運とで事態を乗り切っていくだけなく、終盤にて「やれば出来る男」と実力を証明してみせるストーリーラインなどは、とても好み。  最後も安心のハッピーエンドで、何故この映画を楽しむ事が出来なかったのか、自分でも納得出来ないくらいですね。  面白いはずなのに面白くないという、不思議な感覚。  映画と自分との「ズレっぷり」が残念に感じられる一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-20 06:54:56)(良:1票)
536.  カイト/KITE 《ネタバレ》 
 元々はアダルトアニメ作品だった原作「A KITE」を一般向け作品として実写リメイクしたという本作。  何となく「レジェンド・オブ・パイレーツ」という映画を思い出させるエピソードですが、そういった「元々はアダルト物である」という点については、上手く隠しているというか、殆ど感じさせない作りとなっていますね。  寂しい事なのかも知れませんが、個人的には好印象でした。   それで、自分は原作アニメの方についても視聴済みなのですが、こちらは素直に「面白い」と言える作品だったと思います。  当サイトの採点基準に則るのであれば「7点」といった感じで、アニメならではの破天荒なアクション演出の数々、大いに楽しませて頂きました。  残念ながら(?)アダルト要素を排した「インターナショナルバージョン」であった為、途中で場面が飛び飛びになってしまう事も併せ、ストーリー面では疑問もあったのですが、満足度は高めの一品でしたね。   で、この実写版「カイト/KITE」なのですが……元ネタのアニメ版を観ていると、致命的な欠点があると思うのです。  それは何もクオリティの差だとか、そんな事では無くて、こちらの実写版では最大のオチとして扱われている「主人公の両親を殺したのはアカイである」という情報。  これって、アニメ版では始まってすぐに分かる事というか、基礎設定みたいなものなのですよね。  「主人公である少女サワは幼い頃に両親を殺されてしまい、犯人である悪徳警官のアカイのもとに引き取られる事になる。  彼女は何時かアカイに復讐を遂げる為に、あえて彼の言いなりになって殺人技術を磨き、殺し屋稼業を続けているのだった……」   というストーリーな訳ですから、サミュエル・L・ジャクソン演じるアカイが黒幕である事なんて、こっちはとっくに承知の上。  にも拘らず、記憶を失ってしまう薬によって主人公は操られ、何も知らないままアカイを信用しているという時点で、致命的に感情移入が出来なくなってしまったのです。   その代わりのように「アカイは純粋な悪人ではなく、意外と良い奴だった?」という要素も盛り込まれており、ドラマを盛り上げているとは思うのですが、これも今一つノリ切れず。  ネタバレ済みの映画を観るのは本作が初めてではありませんが、今回に関しては「よりにもよってそこを、どんでん返しのオチに使っちゃうのか……」という居心地の悪さを、どうしても感じてしまいましたね。   アクションシーンは頑張ってくれていたと思いますし、役者さん達の演技にも特に不満などは無かっただけに、予備知識無しでコチラを先に観ていたら、もっと楽しめたかも知れません。  上述の原作アニメ版と点数が逆転していた可能性だってあると思います。   自分はネタバレに対して神経質な人間では無かったはずなのですが 「一時的に記憶を失わせる薬、欲しいなぁ……」  と、久々に思わされた映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-19 13:48:07)(良:1票)
537.  パニック・トレイン 《ネタバレ》 
 こういったジャンルの品で「犯人の正体が不明」のままで終わるパターンは、意外と多いように思えます。  ただ、不明のままでも納得させられる作品と 「結局、犯人の正体って何? 目的は?」  と疑問符が残ったままになってしまう作品がある訳で、本作は残念ながら後者であるように感じられました。   理由を分析してみるに「こいつが犯人じゃないか?」というミスリードが多過ぎたのではないでしょうか。  こんな事を言い出すと、疑り深い自らの性根が嫌になったりもするのですが、まずヒロインが怪し過ぎました。  シングルファザーの主人公にも、その息子にも極めて親切であり、美人。  そして列車の中で出会ったばかりにも拘らず、主人公に積極的にアプローチを掛けてきて、恋仲となる事が暗示される……とくれば「彼女が一連の事件の犯人」「そうでなくとも、何らかの目的があって主人公に近付いた訳アリの人物」と推理してしまいます。  そして、彼女以外にも色々と胡散臭げな人々が登場する訳ですが、それらは全て、主人公の仲間となってくれる良い人達ばかりだったというオチなのです。   結局、冒頭にてチラッと画面に映ったヘルメット姿の人物が「正体不明の犯人」のまま、映画の最後まで居座る形となったのですよね。  的外れな考えをする自分が愚かだったというだけなのですが、どうしても肩透かし感が強かったです。   作中にて主人公達が 「きっと犯人は列車を暴走させて、乗客を道連れに自殺するつもりだ」  と動機を推測するのですが、これに関しても明確な答え合わせは行われないまま。  もっと終盤で明かされたのであれば(まぁ、そういう動機も有り得るか……)と納得出来たかも知れませんが、情報として作中で提示するのが、あまりにも早過ぎたように思えますね。  それ以外は動機に関する描写が無いまま、どんどんストーリーが進行して、結局そのまま終わったものだから(えっ? まさか、あれが真相だったの?)と戸惑うばかり。   結局、この映画は犯人だの動機だのといった謎解きではなくて 「個性豊かな乗客達が、如何にして暴走する列車から脱出するか」  を描く事がメインだったのでしょうね。   いがみ合っていた乗客達が、一致団結して事態の解決に当たる姿は、上述のような疑心暗鬼の雰囲気もあっただけに、意外性があって痛快でした。  また、息子役の少年も可愛らしく(この子を守ってあげたい…)と感じさせられる存在であるだけに、その父親である主人公に、素直に感情移入出来た点なども良かったと思います。  燃え盛る先頭車両から主人公が脱出してみせるという、アクション要素の強いクライマックスの後に、ハッピーエンドを迎えてくれる点なども好み。  そちらの方面から集中して観賞すれば、きっと楽しめる代物だったのだろうなと、勿体無く感じられる映画でした。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-18 09:52:46)
538.  スティック・イット! 《ネタバレ》 
 女子の体操競技には、あまり興味が無かったような自分にも分かりやすく、楽しめる内容となっていましたね。  編集のテンポが良く、音楽もノリノリで、観客を飽きさせません。   レオタードがズレるのを防ぐ為に、滑り止めのスプレーを吹きかける場面などの 「詳しい人なら知っているので、ついつい説明を省いてしまいそうな部分」  を、きちんと映像化して教えてくれた形なのも嬉しかったですね。  主人公ヘイリーの皮肉っぽいモノローグによる 「体操競技って、こんな感じ」  という解説も、初心者に親切な作りとなっていて、ありがたい。  一見すると優雅で美しい世界に思えるかも知れないけど、その実は血が滲む程に厳しいトレーニングを行っているんだぞ、と分からせてくれる辺りも好みでした。   ただ、終盤の展開には少し疑問というか、観ていて呆気に取られてしまい、最後まで一緒にノリ切れなかったのが残念。  そりゃあ主人公の主張が間違っているとは思いませんし、ブラが見えた程度で減点の対象になるのは納得いきませんが、だからって周りの選手達も揃ってサポタージュしてみせるだなんて、流石に無理があるように思えました。  最後の床運動に関しても、本来なら型破りで痛快なシークエンスなのでしょうが、上述の展開にて興醒めしたせいもあり、どこか距離を置いて眺めるような形になってしまった次第。   気持ち良くハッピーエンドで終わってくれた事も含めて、素直に「面白かった!」と言いたいところなのですが……  やっぱり、クライマックスで不満を感じた以上は、それをやると嘘になってしまいそうです。  何だか自分が劇中の意地悪な審査員になってしまったようにも思えて、心苦しい限り。   それでも、実際に観ている間は、心地良い気分に浸れる場面が幾つもあった映画でした。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-16 07:57:22)
539.  プライド&グローリー 《ネタバレ》 
 実に豪華な出演陣。  そして監督さんは「ウォーリアー」を手掛けた人と知り、観るのを楽しみにしていた一本なのですが、少々ノリきれない内容でした。   期待値が高過ぎたのでしょうけれど、真面目で丁寧に作られた刑事ドラマだなと思う一方で「胸を打つ」「心に響く」といった感情を抱く事が出来ないままエンドロールを迎えてしまい、残念でしたね。  理由を分析してみるに、まず主人公であるエドワード・ノートン演じるレイと、コリン・ファレル演じるジミーの、どちらにも共感を抱けなかったのが大きかったかなと。  いくら家庭の事情があるとはいえ、完全なる悪徳警官なジミーの事を同情的に描いているような作りには違和感を覚えますし、レイに関しても、公的な意味での「正義」と「家族」どっちつかずな印象を受けてしまいました。  特にノートンは好きな俳優さんなので「もっと両者の板挟みになって苦悩する男を魅力的に演じられたのでは?」なんていう、身勝手な不満も抱いてしまいましたね。   終盤に銃を置いてから二人が殴り合う展開、ジミーがレイを庇うようにして犠牲になる展開なども、心の歯車が映画とカチっと合わさっていれば、きっと感動的な場面だったとは思うのですが、自分ときたら「えっ? 何でそうなるの?」とボケた反応をする始末で、恐らくは物凄く真面目に作ってくれたであろう監督さん達に対し、申し訳ない思いです。   導入部の、スタジアムから事件現場へと視点が切り替わる流れには、本当にワクワクさせられましたし、一見すると模範的な警察官一家が大きな歪みを抱えているというストーリーを丁寧に描いてくれた作品だとは思います。  あと何かもう一つでも取っ掛かりがあれば「好きな映画」と言えそうなものを感じさせてくれただけに、残念な映画でした。
[DVD(字幕)] 5点(2016-05-14 20:40:12)
540.  グリーン・デスティニー 《ネタバレ》 
 この作品が、後世の武侠映画に与えた影響は大きいのでしょうね。  ただ、それゆえに、現代の目からすると斬新どころか、陳腐にさえ見えてしまうのが残念なところ。  それだけ模倣されてきた画期的な作品という事ではないか、と頭の片隅では感じているのですが、観賞中「これは凄い!」と唸らされる場面には遭遇出来ませんでした。   とはいえ、終始退屈だったという訳では決してなく、壁走りや竹の上を走る場面、剣を使って敵の剣のギザギザ部分を一気に削ぎ落とす場面などは面白かったし、テンションも上がりましたね。  今時はこんなシンプルな、分かりやすい引っ張り上げ方のワイヤーアクションには中々お目に掛かれないという事もあり、何やらストップモーションで動く怪獣を見るような、時代が違うからこその目新しさもありました。   ではストーリーはどうかというと、残念ながら好みとは言い難い内容。  まず、主人公であろうイェンの立ち位置が「悪い事をしてしまって大人に追いかけられている子供」という印象なのです。  善人とは言い難いし、かといって格好良い悪党でもない。  作中の雰囲気からしても、いずれ彼女に罰が当たるという事は随所から感じ取る事が出来るので、彼女に感情移入して物語を追いかけると、酷く居心地の悪い感覚を味わう事になるのですよね。  じゃあ俯瞰で楽しもうと距離を置いて観賞すれば、何だか家出娘が引き返せずにどんどん深みに嵌っていくのを見守るだけのような気分になって、やっぱり楽しめない。  結末もハッピーエンドとは思えず、スッキリしない後味となってしまいました。   好みの映画ではない、と断言出来たら気持ちも楽なのですが、上述のアクションの数々など、面白かった部分も確かに存在しているのが、悩ましいところですね。  著名な竹林での攻防シーンも、非常に緑が印象的で、白い着物が幻想的で、美しさすら感じました。  とかく知名度が高く、エポックメイキング的な作品という事もあり、何とも判断が難しい。  この映画は面白いかと問われたら、素直に頷く事は出来ませんが、そういった諸々を含めて、観る価値はあった映画だと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-07 07:51:36)
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