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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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541.  アオハライド 《ネタバレ》 
 男が女々しくて優柔不断で決断力がまるで無いためにヒロインが振り回される、っていうのは最近の少女マンガ原作の映画のパターンで。もうダメ男ばっかり。世の女性達はそんなんがいいの?   で、これもそんな話なのですが、でも、ちゃんとその女々しい男の話に向き合って作られてる感じで。   目が印象的な映画です。まるで目力のある役者ばかりを選んだかのように、目が映画を語る重要なアクセントになっていて印象的。  見つめる、逸らす、泳がす、伏せる、見つける、目撃する、読む。  目が多くを語り、視線が絡む事で動き出す物語。   それからこの監督の良さ、生きた日本の風景を捉えるところ。『ソラニン』や『陽だまりの彼女』と同様に今回も風景が生きていて映画の空気を作り出しています。後半の舞台となる長崎の美しさ、そして小川にかかる橋とその先の坂という地形を、洸の抱えた心の傷に反映させる巧さ。  三木監督はこの国に生きている人の姿をキレイに捉える人だと思います。   青臭い話ではあるのですが、それこそがタイトルにかかっている「青い春に乗る」世界なわけで、その青い時に、それぞれが抱える悩みや痛み、想いを上手くすくい取った作品でした。
[映画館(邦画)] 7点(2015-01-01 22:43:47)(良:1票)
542.  海月姫 《ネタバレ》 
 マンガが原作ならばこういう描き方でいいでしょ?っていうのがハッキリ見て取れてツラいです。  リアリズムを廃したギャグ映像が生身の人間によって演じられる事で上滑りし続け、それはドラマを織り成してゆく事を阻害して。最終的にはとっ散らかったエピソードの羅列で終わる映画。   まず、デフォルメされたオタクの生態を笑うばかりで、その才能をあまりプラスとして描いてない、みんなで協力して、なんてところも各人の個性を活かしておらず、単なるオタクからの脱却こそを是としているばかりな点で、それでいいのかな?と。  ファッションショーの成功をクライマックスに据えた事で、結局「キレイに着飾った渋谷系のお嬢さんこそが正義」になってるんですよね。メガネ取ったら美人っていうアレをここでも繰り返していてセンスがとても古いです。   で、オタク状態では地味で、ドレスアップするとキレイって落差を話で見せていても実際のビジュアルで見せきれてない、その差を劇的に感じさせる事がちっともできていないのがまたダサくて。能年ちゃんをキレイに見せてるつもりのビジュアルは、本当にそれでいいのか?というカット多数。どう見てもホラーっぽいライティングまであるし。   説得力なんてモノは皆無で(ファッションショーのせいで政治家のパーティに誰も集まらないという理屈が一体どうしたら成立するのか、論理的に説明して貰いたいもので)、ならばせめてエピソードやキャラクターで楽しませて貰いたいものなのですが、類型的で(相手を酩酊させてベッドの写真を撮るって、つい最近他のマンガ原作映画で見ましたが)空虚な世界が広がるばかり。せめてせめて『三国志』や鉄道や和物やじじいの魅力を少しでも見せようよ・・・   それでもクラゲの魅力だけは幾分醸し出されていた感じで、クラゲがモチーフになった部分はなんとか楽しめたような、そして、キャラの多さでなんとか退屈さだけは免れたような。女装男子の蔵之介に救われてたかな。どう見ても男でしたが。   クレジット見るまで気付かんかったわ!って池脇千鶴や篠原ともえはおろか、能年玲奈の個性までも殺し気味なコスプレ映画ではありました。
[映画館(邦画)] 4点(2014-12-28 23:38:19)(良:1票)
543.  ベイマックス 《ネタバレ》 
 東京国際映画祭で鑑賞。   「宣伝では感動を前面に押し出してアメコミ原作、戦隊ものである事を隠してる」と批判されておりますが、アメコミものを売りにしたって30億が限界の今の日本じゃ、そりゃ260億『アナと雪の女王』層にアピールした方が賢いですよね。   さて、でも中身はちゃんとアメコミもので、戦隊もので、そしてちゃんとディズニーです。さすがに『アナと雪の女王』みたいなキラキラプリンセスの世界ではないですが、好みにうるさい御仁もディズニー大好きなちびっこも同時に満足させちゃう驚異の世界。印象としてはデキが良い時の『ドラえもん』映画。   物語は戦隊ものの雛形に沿っている感じで、悪に対抗すべく仲間が集い、協力し、挫折やすれ違いもあり、って。その中心になるのが主人公ヒロの兄タダシが遺したロボット、ベイマックスの存在。ヒロとベイマックスに焦点が当たり過ぎていて、他メンバーの存在感が薄めなのはちょっと残念なのですが(ゴーゴーをもっともっと見ていたいわ)、そのドラマは情感に溢れていて感動的です。   そして圧巻なのはそんな世界を描出するための膨大な量のありとあらゆるデザイン。画面の隅々まで詰まったハンパない情報量に目が回ります。そして、そのデザインの世界こそがこの映画のキモ。あらゆる人を釘付けにしてしまう魅力ある意匠の数々。  サンフランシスコと東京がブレンドされたサンフランソーキョーの街並は無論の事、未来志向のガジェットの数々、キャラクターに与えられた個性、エフェクトやモーション、カメラワークの1つ1つに至るまで血が通っています。  視覚情報に流れ込む『ベイマックス』の世界は、まるでその中に入り込んでキャラ達と触れ合うような感覚。それはディズニーランドにも通じる感覚。ディズニーの精神。   ディズニーの驚異的なデザイン力の前にひれ伏すしかない、そんな圧倒的な映画でした。  【追記】4DX版は世界とのシンクロ感が更に大幅に向上します。これまでに見た4DXは人称に対するエフェクトが曖昧だったりして必ずしも映像とエフェクトとの親和性が良いとは言えなかったのですが、これは見事。特にカーチェイスシーンと飛行シーンでの「そこに一緒にいる」感の強さ。機会があれば是非4DX版をご覧ください。
[試写会(字幕)] 9点(2014-12-25 23:35:02)(良:2票)
544.  薔薇色のブー子 《ネタバレ》 
 ただのネタ集映画なので、もう少しちゃんとまとめて欲しいなぁ、と。   一応、物語的なものはありますが、発展的なものというわけではなくて、動機と結論だけがあるのみ、みたいな。もちろん、その間に挟まっているのはただのネタ。   さっしーのキャラが統一されてません。どういうコなのかが見えてこないの。天然系なのか、受動的なのか、巻き込まれやすいタイプなのか、行動力あるのかないのか、とにかくネタの内容によって性格が変わります。最終的にどことなく魅力的に見えてくる、とかいう事がなくて、結局さっしーの演じたネタキャラです、で終わってます。なのでスタイル的には一応成長物語のように見えなくもないのですが、一人の人間としての個性が存在していないために成長もへったくれもなく、ただの動機と結論でしかないのです。   ネタもデパートの来店記念ネタの繰り返しなどはクドいばかり。繰り返しならば最終的なオチがあって然るべきだと思うのですが、ちゃんとオチてました? ただただネタをタレ流せばそれで成立する、って程度の考え方なんですよねぇ。  その上、ネタとしてすら成立してない、そこはキチンとしておこうよ、ってものもあったり。さっしーが無理心中に巻き込まれてボートから池に転落するエピソード、先に金づちだと言わせておきながら普通に自力で池から上がってます。金づちである設定の意味は一切ありませんし無理心中のオチも存在していません。  投げっぱなし、散らかしっぱなしでちゃんとオチ、サゲを付けないのは福田監督作品の悪いクセ。   物語的に父ユースケの存在がアレなので、ごくごく狭いところで閉じてしまうわけですが、それもなんか浅い映画という感じです。そんな取って付けたようなメッセージが必要なんでしょうかねぇ?   ネタをいかに笑えるか、というのがポイントの映画で、でも笑えないネタが多数を占める状態ではさっしーファン以外にはちょっとキツいなぁ、って感じ。いや、さっしーファンもこんなんで楽しめるのでしょうかねぇ? もう少しさっしーの魅力を引き出してあげた方が良かったんじゃない?とも思うのですが、元々コレこそがさっしーの魅力なんだ!って事だったら、すいません。
[映画館(邦画)] 4点(2014-12-17 06:11:05)
545.  怪盗グルーのミニオン危機一発 《ネタバレ》 
 前作に比べてヌルいです。前作もヌルかったかもしれませんが、今作はそれに輪をかけてヌルいです。何しろ前作で「幸せになりました」ってところから、今回は「もっと幸せになります」ってだけの映画ですから。   グルーはすっかり丸く優しいパパに、3人の女の子達はそれぞれに暮らしを謳歌し、ミニオン達は相変わらず楽しそうで、この幸せそうな世界に、あと足らないものは、と言ったら?   という事で、この映画は新登場の一人の女性、エージェントのルーシーの視点で描かれてゆく感じです。この世界に仲間入りをしてゆく、この世界に受け入れて貰える女性の話というのが本体のように思えるのですよね。  そのために陰謀だの戦いだのはほんのエッセンス程度。前作では一応核として存在した敵役との攻防も今回は隅に追いやられ、物語は主にグルーとルーシーがその関係を築いてゆく事に費やされます。  グルーを一方的に倒し誘拐するという冷徹な登場の仕方をするルーシーは、仕事仲間となり、協力して信頼関係を築き、私生活に触れ、恋をして、と。そのルーシーの変化は単なるアニメキャラを越えて、一人の人間の移ろいゆく心を見る感じで魅力的です。  特にグルーのお見合いデートに遭遇したルーシーの、彼の名誉を守るための可笑しくも健気でカッコいい一連の行動には「なんていいオンナなんでしょ」って。   血の繋がりの無い者同士が集まって家族を形成してゆく『グルー』の世界が、今回、嫁として、母として迎えられる存在のための映画となったのは必然的な流れだったのかもしれません。見事な愛すべき世界への補完でした。
[映画館(吹替)] 8点(2014-12-16 23:05:45)(良:1票)
546.  ゴーン・ガール 《ネタバレ》 
 フィンチャーらしく、少々ダラけたところがある感じで、もう少しタイトにできたんじゃないかと思います。  エピローグ部分なんて「まだ続くの?」って感じがして。その続いてゆく中に何か新たな展開があるのかと思いましたが、エピローグはあくまでエピローグの役割を果たすばかりで。1~2シーンでスパッと切ってしまった方がもっと色々な余韻を残せたんじゃないかなぁ。あの効果的なラストカットはあれこれと事後の説明をせずにさっと出した方がより効果的だった気がします(それだとただでさえツッコミが必要な細部のアラに加えて更にツッコミ箇所を増やす事になりますが)。   さて、エイミーは結局、母の描いた『完璧なエイミー』を嫌悪しつつ、一方ではそうあらねばならないという強迫観念に囚われていたのだろうな、と思います。常に理想像があって、その理想像に自分をピッタリとハメ込なければならない、そのためには手段をいとわない。理想像からかけ離れる事の恐怖に比べれば、他は大した問題ではないと。そんなエイミーを作り出したのは本と現実という二面性を創造した母親。   そしてもう1つ、大衆が求める理想像。理想的な夫婦の形、理想的な人間の生活。そこからはみ出すものを徹底的に叩く事で自尊心(と思い込んでいるもの)を維持している人々、それを煽るマスコミ。テレビやネットに触れている人々もまた、常識的、良識的な理想像に縛られて強迫観念から攻撃性を持つという点ではエイミーと同じな訳ですね。口では良識を説きつつ現実はその口とは必ずしも一致していない、でしょ?   つまりこれは、ごくごく当たり前な今の人間、理想的な人間を必死に演じている人々に対するシニカルなお話し。  エイミーみたいな存在が身近にいる可能性の話ではなくて、誰の心の中にも少なからず存在するエイミーの話。  他人の問題じゃなくて自分の問題なんですよ?って、まー、そこに思い至らないといつまで経ったって円満な夫婦関係なんて築けやしないんじゃないんスか? 一生独身であろう私が言うのもナンなんですが。
[映画館(字幕)] 7点(2014-12-14 15:07:25)(良:5票)
547.  楽園追放 -Expelled from Paradise- 《ネタバレ》 
 手描きとCGとの境目が判らないくらいのアニメアニメしたCGが良かったです。露出度高いコス着たヒロインがメインの萌えアニメだけどね。   でも、映画としては微妙。物語が転がらなさ過ぎなんですよね。映画全体の7割が「物語」ではなくて「説明」。世界の設定とかキャラ設定とか状況をひたすらキャラに説明させるための会話で埋め尽くされた映画。会話シーンタップリ、物語自体は敵?の正体含めてとても単純。登場人物少な目、水増し感ハンパないです。  クライマックスの戦闘シーンでやっとこさ話が転がってゆく感じがしますが、そこまでの体感時間の長いこと。アニメなら当然絵で世界を語って頂きたいところですが、映像は殆どヒロインのおっぱいやお尻やメカにしか興味がないような感じで。  もっと登場人物を増やして広がりを見せないと、その人類全体レベルの大規模な設定に対して実感できる世界が狭過ぎな感じがしてしまいます。何しろ2人と1台以外はその他大勢でしかありませんでしたからねぇ。   あとヒロイン、幼いのは外観だけのハズですが、実際の行動やメンタリティもかなり幼く思えて、とても優秀なエージェントには思えませんでした。結局はリアリズムよりも萌え優先なんだなぁ、って。   『インターステラー』と結構ネタカブリしてますが、それはつまりどちらの映画もSF設定に新鮮さは無いですよ、って事で。  国産アニメの絵柄を見事に表現したCGと共に、原作無しのオリジナルアニメ映画として出てきた、ってところは評価できる部分なので、あとは設定や脚本に目指すべき高みを見据えて頑張って頂きたいところです。
[映画館(邦画)] 5点(2014-12-14 00:56:16)
548.  宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟 《ネタバレ》 
 現代風にクリーンナップされたガトランティスの艦船とか、斉藤始やサーベラー登場とか、ここで『新銀河誕生』か!とか、そういう古びたヤマト世代をときめかす数々の小ネタはいいんですけど、でも映画としては志が低すぎてしまって。   『宇宙戦艦ヤマト2199』全26話を見ていてナンボです。いきなりこの作品から見て面白いか、或いは旧『ヤマト』を知っているなら面白いか、と問われればNO。完全に一見さんお断り。  今回の映画で描かれるエピソードは新シリーズの設定、エピソードから派生しているものばかりで「あのキャラと関連がある」「あのエピソードとシンクロしてる」というのが判らないままに見ると意味不明な箇所だらけです。  物語自体が全26話で完結している、その途中に起きた話となっているので単なるサイドストーリーの域を出ません。   で、ならばせめて密度のある、濃厚な物語を期待したいところなのですが、今回のキーとなる桐生美影がガミラスのバーガーの恋人に酷似しているという設定は単に謎解きのための都合のいい、それ以上には意味のない設定だったり、美影の父の死や斉藤始との関係が結局放置されたり、沢村とメルヒの関係が別にそんなに近いものには思えなかったり、色々と雑です。  特に大和ホテルに閉じ込められてからの停滞感は結構見ていてシンドく。「そういうミステリー的なモノは別に『ヤマト』で見たいとは思わないし」というのは14話でも思ったのですが、それを受け継ぐような形で映画でやられてしまうとキツいです。そこは好みの問題でしょうけれど、でもやっぱり『ヤマト』なら戦いの中でのドラマが見たいです。   こうしてまた『ヤマト』の新作が見られるというのはとても嬉しいのですが、いかんせん「映画」を見ている感覚に乏しく、その「知っていて当たり前」ばかりで構成された作品はテレビスペシャルの如き世界。  広い層を楽しませようという意識がとても薄い作りになっているという点では、今までの全ての『ヤマト映画』の中で最低だと思います。もう少し高い志を持って「映画」という表現に臨んで欲しかったと思いました。
[映画館(邦画)] 5点(2014-12-07 08:49:17)(良:1票)
549.  トワイライト ささらさや 《ネタバレ》 
 画はキレイなカットがいっぱいあって、あのミニチュア風の風景(実景の中央部分だけピントをハッキリさせて周囲をボカすとああ見えるという、iPhoneアプリでもカンタンに撮れる技法です)も味があって。でも、あのエフェクトに大して意味は無かった気が。   で、問題は音痴な脚本や演出。  感動させたいのならば、話がブレてしまうのはいけません。   大泉洋のモノローグで始まり、終わる映画ではあるのですが、映画本体はほぼガッキーの映画です。ガッキーが義父の目を逃れてささらでの生活を送ってゆくっていう。それがクライマックスに突如として大泉の映画になっちゃう。あのね、そこまでは観客の視点はガッキーに寄り添ってたと思うの。そこでいきなり大泉の方にシフトしたところで、じゃあ素直に感動できますか?ってハナシで。  常に大泉がガッキーに寄り添っているっていう、そこが感じられないの。大泉視点から外れちゃうの。中途半端な群像劇に突入する事で更にブレが生じて、その上、義父の素っ頓狂な行動で殆ど意味不明ワールドに突入して。  クライマックスの突如として大泉が父ちゃんの過去を見るあたりの強引さ、そしてそれ以上にその見せ方の下手さ(あの一連の映像から、何故父ちゃんが母ちゃんの死に向き合わなかったのかが理解できます?)、感動してくださーい!って叫んでるばかりで中身が見えてきませんよ?   ガッキーの成長、大泉の愛、父ちゃんの愛、ささらの人々の暮らし、一体何をいちばん描きたかった、何がいちばん大切だったの? それ、もう少し初期段階で明確化しとかないと。結果的にベテランキャストも勿体ない使い方になっちゃってますし。   ガッキーと赤ちゃんは魅力的でしたけどね。
[映画館(邦画)] 5点(2014-12-04 22:04:16)
550.  悪魔は誰だ 《ネタバレ》 
 韓国の犯罪ものというと凶暴なまでのバイオレンス描写を心配しちゃいますが、これはそういう血と暴力の映像世界ではないので、その点では安心です。が、心には痛い映画で。   一人の少女が誘拐され殺され、その時効と共に同じ手口の誘拐事件が起こる、その裏にある秘密とは?という事で、ミステリーの要素を多分に含みますが、でもこれ、ミステリーとしては成立してないというか、ミスリードの仕方があまりに卑怯で(笑)  時系列通りに描いているように見せかけて実は全く違った時間の事を描いているっていうミスリードが何か所も存在していて、ひたすら騙しにかかってくる状態。ラストの意外な展開!っていうのを盛り上げるための解体・再構築がテクニックを越えてあざとい感じで、その点では韓国映画らしいクドさ。   みすみす同じ過ちを繰り返す極端に無能な警察とか、あまりに簡単に事件の真相を暴く事になる便利アイテムの存在とかツッコミどころは満載。  追跡アクションに時間をかけたりして、娯楽映画色が強いのも題材の重さに対してどうなんでしょう?   でも、そのやるせない真相、人を本当に救ってはくれない法律の限界、個人が出来る事の儚さが胸に重くのしかかってきました。  ラスト、主役の刑事の選択というかもう強要ですね、アレもアレでどちらの立場から見ても決して納得できる行為ではありませんが、でも、それがせめてもの「人の心」なのかと思うと安易に善悪の判断はできない訳で、悪を駆逐できるのは必ずしも正義であるとは限らないのかな、と考えさせるのでした。
[映画館(字幕)] 6点(2014-12-02 23:20:59)(良:2票)
551.  サボタージュ(2014) 《ネタバレ》 
 「復讐アクション映画の間に血まみれ猟奇殺人映画が挟まってます」みたいな状態で、でもさすがに2本分楽しめてお得!ってわけにはいかず、ヘンな映画だなぁ(苦笑)って感じ。真相が明らかになると更にヘンさが増しちゃいますし。   シュワちゃん、『エクスペンダブルズ3』に比べても更に老け込んだような印象で、その老けたじいちゃんが殺人鬼に翻弄される様は痛々しさすら感じさせる状態。  それにしてもこの色気排除っぷりはどうなってるんだ?ってくらいにメンバーの一人も殺人の捜査に乗り出す捜査官もオバちゃん。嘘っぽくていいからピチピチしたの出してくれてもいいのに。空気が血と肉と内臓でグチャグチャと湿っぽい分、登場人物は渋いというか枯れてるというか乾燥してるというか。   嘘映像まで挿入したかなり無茶なミスリード、「お前さん、そこにいると撃たれると思うよ」と心の中で画面にツッコミ入れてるそばから撃たれるような判りやすい展開、クライマックスの突如のカーチェイス、なんだかなぁな真相、面白いというよりも失笑気味な部分の多い映画で。    それでも突如としてウエスタンとなるラストに滅びの美学を感じない事もない、ってところで、シュワちゃんが満足ならそれでいいんじゃない?みたいな、ちょっと投げ槍な肯定をしたところでこの映画の感想おしまい。
[映画館(字幕)] 5点(2014-12-02 22:41:30)
552.  フューリー(2014) 《ネタバレ》 
 「戦場では狂気こそが正常であり、常識的な人間はただの役立たず」という事を描いて、そこから逆説的に戦争を通して人間性のあり方を問うてくる映画でした。   無数の死が目の前に転がっている世界で、なお人は理性を保ち、人を信頼したり愛したりし得るのか、絶望の中に希望を見い出せるのか、と。狂気に駆られつつ、根底には信仰に根差した人間性を秘め、その矛盾を内包したまま戦場で生きる人々。  狂気の中の良識を垣間見せるベテランと徐々に狂気に染まってゆく新人との対比が効いています。   でも、そのキャラクターの在り様、ブラッド・ピットの中にトム・ハンクスの姿を、ローガン・ラーマンの中にチャーリー・シーンの姿を見てしまった感じで、この映画が今日の戦場映画の基準となった『プラトーン』『プライベート・ライアン』のその先に行った感じはしなかったのですね。そこはもう1つ、何か踏み込むものが欲しかったのですが。   激しい戦闘シーン、シネスコフレームを活かした構図など、画的な見どころも多い映画ですが、一方で肝心な戦車内の閉塞感はそんなに出ている感じがしなかったのは、車内の位置関係の描写不足やカメラポジションのあまりの自在っぷりに難があったからでしょうか。   そんな中で血と瓦礫の中で美しい憧憬の対象となっていた、戦車と対比された存在である馬が印象的でした。戦車は男の象徴で馬は女の象徴かな。
[映画館(字幕)] 7点(2014-12-02 22:12:43)(良:1票)
553.  西遊記 はじまりのはじまり 《ネタバレ》 
 エンドクレジットに「IMAX3D」とあるのに日本じゃIMAXはおろか3Dですら上映してませんね。なんか最近の日本の上映環境って設備と反比例するように貧乏臭い。   さて、チャウ・シンチー久々の作品、出演はせず監督・脚本のみですが、彼らしい映画に仕上がってます。多少のアラやツッコミどころをものともせずパワフルでエネルギッシュに映画を進めていって飽きさせません。  個性的な登場人物、大がかりなセットとCGを駆使したアクション、アイディアに溢れたエピソードやアイテムの数々、ひとときも目を離す隙のない具沢山な娯楽大作。  冒頭のエピソードが『ジョーズ』まんまな展開をするあたりで今回もスピルバーグの影響大って感じますけど。   でも、見終わって「痛快!」というわけにはいきませんでした。  冒頭のエピソードで幼い少女まで犠牲になる惨劇を描いて生まれる重さ、それが全編にのしかかっていて、そしてそれは最後に至って解消されるのではなく、更なるエピソードの積み重ねでしこりとなって残る感じ。  『西遊記』であればこそ誰にも有無を言わさない必然であるデウス・エクス・マキナによって物語は解決へと導かれる訳ですが、いくらなんでも映画はそこにべったりし過ぎた気がします。  悟りの境地がそこに至るまでにさして説得力を持っておらず、絶対的な存在の作用による到達点のように思えて、パーソナルな愛と総体的な愛とは同義であると語られるとは言え、極悪非道な悟空やその他の存在(その悲劇は口で語られるばかりで具体的な心理描写は無し)を許容し内包するだけの高まりに到達し得ていないように見えるのです。つまり平たく言っちゃえば「悟空クズ過ぎて観客的には納得できねえ」って事ですが。   そのデウス・エクス・マキナを作劇上、確信的に登場させたのでしょうけれど、絶対視するあまりに魂が見えず、なんだか賑やかな宗教映画の如き印象を抱いてしまったのでした。
[映画館(字幕)] 6点(2014-12-02 21:24:04)
554.  インターステラー 《ネタバレ》 
 相変わらずなげーよ、ノーラン。   相対性理論とか遠心力による疑似重力とかブラックホールとかワームホールとかシリンダー型コロニーとかの最低限の知識はあるという事を前提とした作り。細かい説明無し。なのに、そういうのを知っている人間に新たな何かを与えてくれる感じがしないんですよねぇ。  色々な過去作リンクが次々と浮かんでゆくけれど、それらの寄せ集め以上のものは果たして何があったかなぁ?って。そういう意味では『アバター』と似たような感覚。既視感たっぷり。   映画見てる最中に「これは『エイリアン2』のカットされたエピソードと『コンタクト』と『トップをねらえ!』な話か?」って思いましたが、結局その通りで。  で、他にも『宇宙戦艦ヤマト』『2001年宇宙の旅』『アビス』『ゼロ・グラビティ』等々の色々な既存のものを思い出し、そしてそこから更に新たなるモノは、となると、んー・・・。   それら全部削ぎ落として考えてゆくと「愛の物語」っていう事になるのですが、中盤のアン・ハサウェイのご高説に「お前、何言ってんのよ?」って思ってしまいましてねぇ。で、そのセリフを発展させる形で物語をねじ伏せていくんじゃない?と思っているとやっぱりそうで、あー・・・って。  マット・デイモンもそこに行きつくための極端なネガとして配されているのだなあ、と考えればその雑で無茶な存在っぷりも納得できるってモンで。   タイムスリップものにつきまとう起源の喪失というパラドックスが物語の大前提に存在している時点でこれはある種のおとぎ話なのでしょうね。「重力」をモチーフに不可逆である時間を次元的に超越する愛の物語。   ダラダラと長いエピローグ部分で色々と説明し過ぎちゃっていて、なんとも不粋な印象になっていたのが残念、と言いたいところですが、残念と思えるほどには元からノーランに何かを期待している人間ではないのでした、すいません。
[映画館(字幕)] 6点(2014-11-23 08:51:57)
555.  神さまの言うとおり 《ネタバレ》 
 『悪の教典』みたいに殺されてゆく者にちっともキャラクターが与えられていない、という訳ではなくて、多くの登場人物にそれなりの特徴なり感情表現なりが存在しているのでまだ興味を持って見る事ができました。   でも、不条理な出来事に対して中途半端に理屈・理由付けをしている、論理性を求めているような気がして、それが必要なのかどうかという点で疑問。  非現実的な事件が起きている、その外側の世界の描写がどうしても冷めてしまうんですよね。巨大なキューブが空に覆いかぶさるとか、中継されているとか、「神の子」として崇められてゆくとか、ひきこもりを動かすとか、しまいには神様の登場だとか、それ、要りますか?  それらの要素が酷く映画を安っぽいものにしてしまっている気がします。そういう外側の視点を入れるのならば、もっと綿密に構成されているべきですし、中で起きている事に対する説得力のある考察が必要だと思います。  それが単なるエッセンス程度の半端なものであるがゆえに、中と外との不条理の対比が明確化されず、全体が絵空事と化してテーマがボヤけてしまう、という感じ。   主演の福士蒼汰くんが弱いかな。『フォーゼ』でのコミカルな演技は面白かったのですが、映画では演技がいつも一緒みたいな感じで。つーか、キャラが『僕が処刑される未来』と同じじゃない?みたいな。どちらも「生」を見失ってるし。  ヒロインの山崎紘菜ちゃんは「このコ大丈夫ですかいな?」って思っちゃうTOHOシネマズの予告前のアレに比べるとちゃんと生きてたので良かったです。アレはスタイリストさんとかメイクさんとか照明に問題があるのかな・・・   半端な描写で余計な事を考えてしまう映画で(世界中で起こった事だとすると、他の国でもだるまさんや招き猫だったのか否か、とか)、冒頭からいきなり事件が起きて否応なく巻き込まれてゆく簡潔な展開に比べ、映画が進むにつれてどんどん雑音が多くなってしまう感じが残念でした。不条理なままじゃダメ?
[映画館(邦画)] 5点(2014-11-21 23:03:48)
556.  クローバー(2014) 《ネタバレ》 
 平成ゴジラが全作ビスタサイズだったのに対してミレニアムゴジラは全作シネスコサイズだったように、前世紀の終わり頃から邦画はシネスコサイズが増えています。それは大作に限らず、こういうラブストーリーにも。  オープニング、シネスコフレームを有効活用した、武井咲の動きに合わせてホテル内を大々的に移動するステディカムの映像がとても心地良く。  で、この映画で褒められるところはそこと、あと軽井沢のシーンでの青空くらいのもの。青空はこの映画の功績じゃありませんけど。   『愛と誠』で見せた武井咲のコメディ演技を求めた訳ですが、始まって20分くらいでもう映画館出ようかって思いました。貧乏性なんで最後まで見ちゃいましたけど。でも、後になればなるほど酷くなる映画で・・・   登場人物の誰にも共感できませんし、心が動きません。もうバラバラです。みんな勝手に行動し、勝手に自己主張するだけで、まるで調和が取れていません。ひたすらすれ違いが繰り返されるばかり。その延々と続く不協和音こそがこの映画の軸であり、この物語の芯なのかもしれませんが、そんな不協和音を延々と聴かされ続ける事の辛さについて、まるで無頓着な映画という感じ。   柘植はあんなので果たしてデキる男なのか、いい男なのかというと甚だ疑問で。優柔不断、意志薄弱、無神経、そんなマイナスなキーワードばかりが出てくる状態。っていうか、客に聞こえる状態で部下に説教するような上司は無能です。客を不快にさせるでしょ?  で、柘植がそんなだからヒロインを始めとする周囲の反応もヘンに思えてしまう訳で。登場人物全員頭悪い、そんな映画。   でも、その頭の悪さはこの映画を作った人々の姿勢に表れているのかな、と。いちいち仕草に馬鹿みたいに効果音を入れて、音で笑わせようとしてますが、何が面白いのやら。メール文字を画面に表示した上で内容を喋らせる、そこまでしないと観客は判らないと思っているんでしょうか。   この映画を作ってる人達は、マンガとか観客とか馬鹿にしてるのかなぁ?ってどんどんとスクリーン上に展開する惨状を眺めながら思ったのでした。   あ、結局シネスコの意味はもちろん無い映画でした。それからディズニーの有名な曲を2曲使っておりますが、単なる冒涜ですね。あれは他の映画のために作られた曲なのだからさぁ・・・
[映画館(邦画)] 2点(2014-11-21 23:03:07)
557.  近キョリ恋愛(2014) 《ネタバレ》 
 「女子生徒に手を出す高校教師のお話」という、もう基本中の基本が絶対的にダメダメな物語なのですが、その基本が腐ってるような設定を元にして、いかにちゃんとした恋愛映画に昇華してみせるか、というところに腐心している感じで。結果的には意外と良かったという印象。   これもまたマンガが原作のシネスコサイズ恋愛映画ですが、こちらはフレームの切り取り方、ライティング、色彩、どれもキレイにまとまっています。タイトルが出てくる画面の構成なんか、上手いなぁ、って。   物語は少女マンガらしいおなじみ「すれ違いの物語」。でも、本音をぶつけ合うのではなく、各キャラクターがお互い常に相手の事を思って本音を現さない、行動に出ないゆえのすれ違いという点で共感を得やすい感じがします。   映画は表情の無い、感情を表さない主人公ゆにの心の揺らぎに寄り添い、その内面の大きな変化の波をすくい取ってゆきます。ゆにの無意識な仕草による感情表現の多くは初期にセリフによって説明されているので判りやすい、単純な記号と化しているようにも思えます。だけど言葉や表情ではない、その仕草がゆにというキャラクターに魅力を与えているように思えます。  全編に渡って繰り返される、ぎゅっとスカートを握りしめるゆにの手のアップ、これがラストシーンで解き放たれた時、それがベタであると判っていながら感動してしまう、それは仕草の描写の積み重ねがあればこそ。あの描写こそは他のどのキャラクターでもない、ゆにのみに与えられた独自の解放の表現であるのです。   櫻井は教師という大前提がある以上、ダメな大人。嫉妬する幼なじみの教師も、ゆにを預かり腫れ物のように扱う教師も、同様にダメな大人。そのダメさ弱さをダメなりに見つめているように感じました。   肝心のクライマックスで大学生になったゆにの微妙なメイクや服装、そして不自然さ丸出しの夕陽の合成によってハリボテ感が出てしまったのが残念ですが、小松菜奈の魅力を上手く捉えた、爽やかな一編になっていました。
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-14 22:44:20)
558.  美女と野獣(2014) 《ネタバレ》 
 物語は大して面白くありません。  ベルの家族の描写に多くを割き過ぎなんですよね。序盤は「いつになったら野獣出てくるんだ?」って状態ですし、中盤はベルと野獣とのコミュニケーションがそんなには描かれておらず、クライマックスは兄達が悪党引き連れてやらかすアクションスペクタクル!になっちゃうし。そのアクションスペクタクル部分は『進撃の巨人』か『ジャックと天空の巨人』か、って感じでちょっとやり過ぎてて映画のカラーそのものを変えてしまっている感じですし。  もっと「美女と野獣」に時間を割り当てて貰いたかったところなのですが。   ヴァンサン・カッセルとレア・セドゥというキャスティングもちょっと新鮮味に欠けちゃう感じ。   一方、さすがゴシック&デカダンの国おフランス製、その退廃的な美術のウットリするような美しさ。もうそこだけで満足しちゃったりして。  人を寄せ付けない森、荒廃した城、その深く沈んだ色、散りばめられた無数の枯葉、そこに置かれる鮮やかなベルの色、泉の色、バラの色。  それこそは「美女と野獣」に相応しい鮮烈なイメージの世界。   ディズニーのカラフルで夢見る愛のお話しの世界とは全く異質で、ダークな要素を多分に含みますが、一方でディズニーのアニメーション映画があったからこそのデザインや映像、作品そのものの在り方も見受けられます。  製作が決定しているらしいディズニーの実写版『美女と野獣』がこの作品の存在を前にどのような映像を出してくるか楽しみです。
[映画館(字幕)] 7点(2014-11-09 22:18:39)
559.  デス・レース2000年 《ネタバレ》 
 もちろんチープだし演技とかカメラポジションとか繋ぎとかダメダメなのですが(意外に出番の多いスタローンの大根っぷりときたら!)、にしても見るべきところは沢山あって。   知識の浅い私には「近未来、人々が残虐なゲームを喜んで見る」という映画はこれと同年の『ローラーボール』あたりまでしか遡れませんが、ここら辺が元祖なのでしょうか。後年のリチャード・バックマン(スティーブン・キング)の『ランニングマン』『死のロングウォーク』と前者の映画化『バトルランナー』、『バトルロワイアル』、リメイク版、そして『ハンガーゲーム』と実のところ、ちっとも進化してません。やってる事は基本、このコーマン製B級映画と同じ。  命を賭して戦う人々は独裁的な政治によって抑圧された人民の象徴。解放への抵抗の物語。   レース参加がたったの5台(その上ハリボテ)というのが安さ爆発、でもレーサーとナビゲーター一人一人を描くのはこのくらいが適当かもしれません。それにレースシーンは主観映像が存分に使われていて、リメイク版よりもスピード感があります。   「流血!オッパイ!インモラル!」というしょーもない(中学生臭い)皮を被ってる映画ではありますが(それでも子供や老人を殺しそうに見せつつ殺さないあたりがこの映画の良心でしょうか)、70年代独特の混沌とした空気が充満していて、チープさの中から死の匂いと闘争の意志が滲みだしているような感じがしました。  この映画もまた一つの時代を映す鏡。   それにしても作り物丸出しの安っぽい残酷シーンの方がリアルなものよりかえってグロに思えるのは何故でしょうねぇ? その色彩や造形の毒々しさゆえかな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-11-07 21:33:08)
560.  グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 《ネタバレ》 
 オープニングのスクリーンプロセス、あそこに大きな意味があるとばかり思ったんですよね。ニセモノの道を走るニセモノのドライブ。また、以降ヒッチコックがモナコの街を眺める峠やグレースが車を走らせる道など、『泥棒成金』ネタが頻出して。ところがそれらが大して意味持ってないし。グレースの人生を思えば、あのファーストカットのイメージをラストまで引っ張れば効果的だったのに・・・   冒頭にちょっと期待を抱いたけれど、中身は音痴でした。  全編やたらに説明的な音楽がうるさいですし、ここぞという時に極端なクローズアップが頻出します。まるでクローズアップの効果を盲信しているかのように。  その盲信っぷりは重要なクライマックスで多用される事でも明白。そして、それが実際にはさしたる効果を生みはしなかった事も。  映画全体をサスペンスとし、国家存亡の危機に王妃が一大勝負に出る、そのクライマックスの語りにちっとも説得力が無く、ボヤけた腰砕けの展開で終わるような感じ。  舞踏会に臨む王妃が「武装」するシーンは『ランボー』や『エイリアン2』のパロディみたいな映像なわけで、ならばそれはもっと徹底的にやるべきです。  何もかもがボンヤリした印象。   そう、ニコールの極端なアップは逆に表情の印象をボヤけさせます。ヒッチコックはキチンと明るい場所に顔を持ってくる事を避けますし、見終わってみれば、キャストに印象に残る表情が少なく、全体にモヤがかかったような映画だったと。  それは女優と王妃の間で実体の見えなかったグレース・ケリーという人を象徴しているのかと言えば、決してそうではなくて。  女優と王妃とを煌びやかに描き分けてこそ、その裏側の実体も浮かび上がってくるものなんじゃないですかねぇ。
[映画館(字幕)] 4点(2014-11-06 21:23:39)(良:2票)
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