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Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1615
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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561.  ジョルジュ・バタイユ ママン 《ネタバレ》 
理性を脱ぎ捨てた先に、神は現れる。全編を覆い尽くすグロテスクな性描写が意味するのは、人智に依っては理解し難き「神」、その如き母の愛を得るべく、息子に課せられた試練だ。あまりに不道徳で不条理なその終着を彼が本能的に拒むのは、至極当然な事である。しかし人間を辞さなければ、彼は母の愛をも得られないのだ。これは中々に気の毒な事ではないか。  本作に於ける「神」、これが務まるのは、如何にも「怪物」イザベル・ユペールくらいなもんであろう(その絶大な、かつ変態的な存在感を以てして)。エロくてゲスい見た目の割には、内容の方がそこそこ在る(流石バタイユ)。
[DVD(字幕)] 7点(2020-05-15 23:15:15)
562.  髪結いの亭主 《ネタバレ》 
こーいうのも何だが、床屋で流れる時間って単調で退屈で、それでいて理髪師との距離感は近いから、それが男と女ならある意味凄くフェティッシュな空間だし、そこからこういう物語を捻り出したってのが、実に面白い着眼点だと思うのですね。  何ごとも無い毎日、何ごとも無い店、何も無い人生。そこに在るのはただ、唐突にもたらされた愛だけ。手に入れた喜びよりも、失う恐怖が心を覆い尽くす。シンプルな内容だからこそ、前述の状況設定の絶妙さが際立っていたかと。  フランスの恋愛映画なら不可欠と言える性愛描写も、フェティッシュな側面を活かして程良く艶やかに、かつコミカルさも兼ね備えて中々に観ていて楽しかった。仄かに、しかし確実に、残された者の悲哀と絶望を醸しつつも、どこかこれも温かみを感じる様なラストも、私にはとても心地良かった。良作。
[DVD(字幕)] 7点(2020-05-13 01:26:30)
563.  コンスタンティン 《ネタバレ》 
ジョンの話、アンジェラ(イザベル)の話、悪魔の企て&「運命の槍」の話、と、複数のストーリーがそれぞれ謎を含んで展開してゆくが、やや説明不足で(登場人物自体もかなり多い割に)かつ盛り上がるポイントをイマイチ欠くため、終盤まであまりテンションがハイになってゆかない。世界観・設定面も、実は奥行きは無くもないのだろうが、やはり突っ込んだ説明・展開は不足しており、総じてちょっと浅い仕上りになっているかという印象。ただ、クライマックスでは色々とまずまず整理されるので、モヤモヤ感までは残らない(とは言え、肝心の真相というのも引っ張った割には平凡かなあと感じるが)。  がしかし、ダークでスタイリッシュな映像表現の出来はまずまずだし(地獄の風景なんかは結構好み)、ジョン、サタン、ガブリエル(+アンジェラも)の演技もそこそこだと感じるし、そして前述のとおり、深みは出せていないが最低限のポイントは掬い上げた上で2時間できっちり整理したなという話の内容の出来も好意的に捉えたとして(良いか悪いかで言ったら)個人的には出来は良い方かと思う。特にキアヌがとても良い雰囲気だったので、おまけの1点アップ。  一つだけ、ガブリエル(+オーラスのチャズもだが)のコスチュームだけは率直にダサいと思う(サタンが白スーツなんだから、天使だってあんな如何にもな格好じゃなくていいと思うのだけど)。つくづく神って、センス無いよね。
[DVD(字幕)] 7点(2020-05-06 21:58:19)
564.  ポール・ヴァーホーヴェン/トリック 《ネタバレ》 
ドキュメンタリ部分は、監督がとにかくよく喋ること!まあ映画監督ってのはノンビリした人じゃ務まらないかなとは思うが。  で、本編。肝心カナメの脚本の方は、全然普通に悪くない出来に仕上がっている。が、あまりに小綺麗に整い過ぎており、奇抜な製作方法をとったことの妙味は少ない。あと、少しギュギュっと纏まりが良過ぎるのもやや微妙(元々このサイズにすることに決まってたのかも知れないが、普通に90分映画にしてもう少し遊びを入れても良かったかと)。そもそも、ヴァーホーヴェンらしさというものもそこまでハッキリとは見当たらない(百歩譲ってメレルの開幕オッパイくらいか)。無茶な残虐展開は検討から外したとは言ってたけど、オランダ人、本気出してくれ。
[DVD(字幕)] 7点(2020-05-06 15:22:29)(良:1票)
565.  氷の微笑 《ネタバレ》 
世紀のクールビューティ、シャロン・ストーンが稀代の毒婦を演じている、ただそれだけの映画。そして、ただそれだけで十分な映画だとも言える。色々とモヤっとしたまま終わらせるというサスペンスとしては禁じ手を犯していることもあり、正直、内容面には観るべきモノはさほど無い。しかし、グレース・ケリーをも彷彿とさせる抜けば玉散る氷の美貌なシャロン姐さんが、ヴァーホーヴェン流の超イヤらしいセックスシーンをこれでもかと熱演することによって醸される品格のある妖艶さは、もはや一つの奇跡である。これは、エレガントさと色っぽさを史上最高レベルで兼備するシャロン姐さんだからこそ成立する映画なのだし、姐さんの年齢的にもこの三十凸凹より上でも下でも恐らくダメで、人類史上このタイミングでしか撮れなかった映画なのではないかと思っている(ヴァーホーヴェンは流石の目の付け所ですね)。  今(2020)であれば、誰なら務まるか?例えば、マーゴット・ロビー(→×色気が安っぽい)、レベッカ・ファーガソン(→×色気が圧倒的に足りない)、ガル・ガドット(→×ちょっとヴァイタリティ過ぎてクールさが足りない)、スカヨハ(→×ちょっと機を逸した感が…)、シャーリーズ・セロン(→×姐さんも10年前なら…)、ジェニファー・ローレンス(→×…ビューティ?)、あとは…  個人的には、アンバー・ハード、レア・セドゥとかなら少しはピンと来るかと……か、無茶を承知でナタリー・ポートマンとか……
[DVD(字幕)] 7点(2020-05-04 21:59:28)
566.  蜜蜂と遠雷 《ネタバレ》 
架空のピアノコンクールを舞台にしつつも、一重に、演奏場面における厳密なリアリティとその臨場感を映像の中に最大限に引き出しつつ、それを「損なわない」ことに最重点を置いた作風だと言える。言ってしまえば本作はドキュメンタリにより近く、更に言えば「物語」ですらない。それを紡ぐのはギリギリ松坂桃李ぐらいなもんで、あとは森崎ウィンのフルートがどーたらのくだりを除けば、松岡茉優すらも演奏者でなければ殆ど傍観者でしかないという徹底ぶりである。確かに今作、映像は(演奏場面以外も含めて)文句無しに色々と実に素晴らしい出来であった(て褒めてみたら、これ撮影日本人じゃないのですね…)。  しかし、映像に引き出されたそのクオリティの大部分は、もともと音楽演奏が持つ素晴らしさそのものだと言って過言ではない。とどのつまり、本作の感動はコンサートを直に鑑賞したときのそれと全く変わらないのだ。もちろん、音源だけを聴取する場合よりは遥かにリアルな感覚を得られるだろう。しかしそもそも本作には、描くべき物語と表現すべき深遠な音楽観が存在した筈だ。映像作品としての映画に本来求められるのは、映像と音楽、そして物語の調和による世界観・価値観の表出であるべきだと、私は信じて止まない。  映像にせよ音楽にせよ、それぞれの素晴らしさは確実に備えている作品である。特にいちクラシック音楽ファンとして、それを感じ取れることの価値は大いに認めよう。いま一歩、表現者としてその先を見据えて欲しいのだ。
[DVD(邦画)] 7点(2020-05-04 17:17:15)
567.  追憶(2017) 《ネタバレ》 
昭和の名作を彷彿とさせる様な重く凍てついた雰囲気で始まり、その後も岡田准一を取り巻く展開はシリアスそのもの、なので率直に、相当に悲劇的なラストをどこかで期待していた。だから、意表を突く結末には個人的には正直言って大いに拍子抜けしたし、その意味では終盤までの重厚さはある種、ミスリードと言えるものだったとも思う(ただ、そもそもそんな重厚な大河サスペンスが100分の映画にゃならんよねえ…)。  でもそれは、たとえ不幸な過去があっても人はそれを乗り越えられる、というメッセージにも感じられるし、このささやかなハッピーエンドを喜ぶ方が人間としては自然だろう、とも思う。重ねて、テクニカルなものだったとしても全体の重苦しい雰囲気は中々に上質であったし、豪華俳優陣の演技も総じて素晴らしかった。少し贔屓目が入るが、1点プラスしておきたい。
[DVD(邦画)] 7点(2020-04-16 18:32:05)
568.  愛欲のプロヴァンス 《ネタバレ》 
南仏の明るく美しい風景をバックにしつつも、妙にアンニュイな冴えないオッサン。最初見るからに怪しい青年が出てきてよもやソッチ系の話かと身構えたが、別にただ飲んだくれただけで話は続いてゆく。その後、若いカワイ子ちゃんが出てくるも、彼女も妙に情緒不安定でどことなくメンヘラ風味。男も女も、どうにも拭い去れない過去があるらしい。  そこら辺が繋がってくるのはだいぶ終盤で、その時点では単なる三角関係の話かと思ったら、ラストは正に「ありえね~」な大ドンデン返しの一撃必殺。背徳的なバッドエンドは左程好みとは言えないが、カワイ子ちゃんを思う存分抱いたオッサンが地獄に堕ちたのをザマア見ろと横目で見つつ、単純な話ながらさり気なくも巧みな伏線の貼り方や、心情の移り変わりの自然な表現の上手さ、快刀乱麻な伏線回収の鮮やかさを含め、最後まで観ると結構よい仕事だったとも思う。お手軽でダウナー系な恋愛映画としては、観て疲れることもなく、そこそこ有用かと。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-04-14 16:47:34)(笑:1票)
569.  恐怖ノ黒電話 《ネタバレ》 
確実にタイトルで損をしている作品ですね。これじゃあ、クラシカルでオーソドックスな(古臭い)ホラーだとしか想像できませんですよ(非常に優れたアイデアのあるモダンな作品なのに…)。  敵の為すがまま、いつ、何をされるかも分からないと言う防御力ゼロの状況は、まるでサメ映画でサメが居る暗い海に放り込まれたかの様な極度の心地悪さを常時醸し出している。しかも、相手はサメではなくて悪辣で悪知恵のはたらく女サイコだという、実に不快で逃げ出したくなる様な極上のホラー具合だ。女サイコは(当然ながら)姿が見えず、終盤、一瞬姿が映りかけるもすぐ消えてしまう、という敢えて「見せない」恐怖の演出もまた秀逸だと感じる。ネガティブなラストも、過去を変えた弊害であることを含めてコレも好みではあるが、DV元旦那についてはラストで殺される以外にはあまり上手く使えていなかった様にも思う(奴が何をどうしたいのかがイマイチ分からないのも一因かと)。どちらかと言えば間違い無くシナリオは複雑な方であることもあって、ツッコもうと思えばツッコめる箇所も幾つか在る…とも言えるが、無理に気にするのも野暮であろう。結論、文句無しの優秀ホラーかと。
[DVD(字幕)] 7点(2020-04-13 21:52:02)(良:1票)
570.  少林寺拳法 《ネタバレ》 
少林拳は中国の武術であるが、「少林寺拳法」はれっきとした日本の武道であり、日本武道評議会に属する武道9団体のひとつである。本作は、その少林寺拳法を創始した開祖・宗道臣先生の一代記である。日本の武道なのに少林寺、というのは、開祖が戦中、特務機関員として中国大陸で任務遂行中に、各地の達人から技術を学んだことに由来している(らしい)。  後年の開祖は、武道を通して若者を教育し社会を正そうとした至極立派な人格者であるが、色々と聞くに、戦後直後は本作で描かれているような(相当に)荒っぽい熱血漢であったのも事実らしい。恐らく演じている千葉真一の感じも含めて、本作は(少なくとも前半は)割とリアルな線を突いている作品なのだと思っている(チンポコの件も、流石にここまではやらないと思うが、半殺し・腕の1本や2本ぐらいは普通にやりかねないと思っている)。  映画としては、任侠ものを時代相応のヤクザ映画ぽく思い切り血腥くしたという風だが、千葉真一はアクションも迫力も率直に出色と言える出来で、シンプルでコンパクトな内容とのバランスも含めて、この手の映画として決して出来が悪い訳では無いと思う。アクションについては、よく見ると実際の少林寺拳法の技術(稽古してる時の「型」は無論、アクションシーンの投げ技・極め技・受けからの突き蹴り等も)がふんだんに盛り込まれ、拳法経験者ならではの見せ場も豊富だと言える。  余談だが、開祖の高弟には実際に隻腕で、代りに錫杖を伝授されて大いに武名を馳せた人物が実在する。誠直也演じる友田のキャラクター造形に、このことが関連している可能性は大いにあると言えるだろう。
[DVD(邦画)] 7点(2020-04-12 00:04:18)
571.  恋におちて 《ネタバレ》 
コンセプトが「100%プラトニック」という元ネタに比べると、今作は少しだけプラトニックを脱しかけ(未遂)てはいるが(2人の人間臭そうな人となりや時代・お国柄的に不自然でない程度にナニはしつつも)基本的には清純で、背徳感はやはり薄い。かつ、主演2人の演技の質や(特にいい歳こいて恋する乙女なストリープ)、脚本の出来自体は元ネタをもやや上回るかと。  ただ、個人的にはラストは元ネタ通りハッキリ別れて終わる方が良かった。束の間の恋は相手の悪い点が全く見えないからこそ美しいのであって、美しいまま終わるのが良いのだ。
[DVD(字幕)] 7点(2020-04-11 20:31:42)
572.  キッスで殺せ! 《ネタバレ》 
アルドリッチ、大好きなのですよ。彼我の双方が死力を尽くす、正に死闘と言うべき争い。そしてそれがもたらす重厚なスリルの素晴らしさたるや。本作もずっと観たいと思っていた所、微妙に中古DVDの価格が下がっていたので、世知辛い昨今、少しでもテンションを上げてゆくために思い切って購入してしまった。  ただ、本作に関して言えば展開運びは決して巧みとも言えず、かなり終盤までグダグダと、かつ率直にイマイチよく分からない展開が続くのも事実。しかしながら、随所で冴え渡るお得意のヴァイオレンス描写に加え、非常に個性的なその他のシーンも多く(ヴァ・ヴァ・ブーンとか)、観ていて決して飽きが来るとかいう訳ではない。そして件のラストはこれまた非常に独特な一種のショックシーンになっており、これは確かに「名作というよりはむしろカルト」という類いの映画と言って間違いは無い。普通にそこそこ面白くもあるが、だいぶんマニア向けな作品かと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2020-04-04 23:00:37)
573.  ちょき 《ネタバレ》 
ひなびた和歌山の静かで美しくてやさしい情景に包まれた、淡くてささやかな物語。この雰囲気は個人的にはとても好み。こういう愛のかたち、素晴らしいことだと率直に思う。このふたりなら、慈しみ合い、支え合っていけるだろうと。  主演女優はエライ透明感のある美人さんで、素朴な演技も含めて少し唐田えりかちゃんを思い出した。その意味ではひとつ枠が空いたので、今後も頑張ってくれると嬉しい。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-03-28 22:41:09)(笑:1票) (良:1票)
574.  弥生、三月 君を愛した30年 《ネタバレ》 
とある男女の30年を3月の1日ずつで、というのは中々面白いアイデアだと思い、初日に参上した。こうしたパッチワークな形式に耐えるべく、分かり易い(少しベタとも言える)話を分かり易く語るという形にはなっているが、30年分のタップリな見せ場を一定のテンポの良さを保ってスムーズに進行していく点では、非常に観易く楽しめる映画であったと思う。  難しさがあるとすれば、30年超の年月を一人の役者で演じ抜く部分には、特に中年の演技に困難な点があったのではないかと見えた(単に、ちょっと元気が良過ぎるかなっちゅうレベルではあるのだけど、まあ20代の役者なら誰しもが苦戦する所かも知れない)。また、ストーリーの時間の流れが断絶した中での演技でもあり、やや表面的で浅い芝居になっていると思われる箇所も散見された様に思う。  と、少し批判じみたことも述べたが、それは置いて、主演2人+1の演技は率直にかなり良かった。どこまでも一本気な波留、頼りないけど決して憎めない成田凌は中々に爽やかで上々だし、そしてすぐに死んじゃう杉咲花も、後半ではカセットテープの音声だけでその卓越した演技センスを存分に発揮しており、その点は非常に満足度が高かった。卒業式や出会いと別れ、そして桜。三月の持つこの上なくノスタルジックな情景をふんだんに盛り込んだ作品の空気もかなり心地良かった。まずまず。
[映画館(邦画)] 7点(2020-03-20 16:21:44)
575.  スウィート17モンスター 《ネタバレ》 
世界が私にやさしくないから、私も人にやさしくなんかしてやらない、というのは究極的には大きな間違い(それも致命的な勘違い)で、そーいう「世界」の側から見ればどーでもいい平等意識なんぞに矢鱈と拘っている時点でハッキリ言ってそいつはガキなのだ(実年齢に関わらず)。この世界において、人は平等などではない。個々人が世界に果たせる貢献に応じて、世界は平等に「対価」を払うというだけである。  個人的には「モンスター」は少し言い過ぎで、主人公のイタさはあくまで(ギリ)傍から見れば「微笑ましい」レベルであり(まあ母・兄からすればかなり厄介者ではあろうが)、そこの絶妙なコミカル加減が本作のメインディッシュなのは間違いない。周囲の人間も実は結構「イイひと」が多く(ニックですら、実は決してそこまで悪い奴じゃないと思う)、しかしこのかなりイタい主人公は甘い顔を見せてると永遠に気づかないのでちょっとキツめに接しとくか、という感じも奥ゆかしくて面白い。ただ、コメディとしては十分に面白いと思うものの、青春の「成長」物語としては極めてシンプルな内容で、話自体が全体としてそこまでよく出来ている訳ではない、というのが個人的結論。  とは言え、特に主演のヘイリー・スタインフェルドの熱演を筆頭に俳優陣の演技は揃って実に素晴らしかった。ウディ・ハレルソンも爽やかアジアンも率直にとても好かった。足し引きして、個人的には相当お気に入り。
[DVD(字幕)] 7点(2020-03-19 23:32:02)
576.  ジュディ 虹の彼方に 《ネタバレ》 
『オズの魔法使』で、ジュディ・ガーランドは永劫不滅の輝きを手に入れた。映画文化が存する限り、彼女は全ての映画愛好者にとって極め付きの「美しい過去」で在り続け、だから彼女の物語は得も言われぬ「身に覚えの無い」郷愁を我々にもたらす。そして、彼女の人生全体を覆い尽くす闇こそが、その虚像の眩さを一層際立たせている。本作は、彼女が手にした永遠と、そのために払った代償の双方を描き出していると言える。  レネー・ゼルウィガーの演技・演唱は(特に歌唱面で)極めて高水準で、率直に言って(足し引きすると)『エディット・ピアフ/愛の賛歌』のマリオン・コティヤールと比較しても遜色の無いレベルと言ってよいだろう。ただし、結構ひたすらに鬱々と暗い話の内容自体の出来について言えば、個人的には本作は『エディット・ピアフ/愛の賛歌』には及ばない様に思う(ラストのカタルシスがやっぱ少し弱いかと)。もう1点加えても良いかとも思ったが、そちらとの点数の上下関係を考慮してこの評価とさせていただく。
[映画館(字幕)] 7点(2020-03-14 21:54:53)(良:1票)
577.  半世界 《ネタバレ》 
まず一点めは、紘と明の親子の関係。ガサツで無関心な父親と、それが許せない息子。思うに、人間社会ってここんとこは凄いスピードで進歩してて、社会生活に必要とされるコミュニケーション能力の水準なんかは特に急速に上がってきてる様にも思う。だから、ある面で子供の方が親よりも成長してしまってるなんてのが、結構普遍的な親子の在り方なのかも知れない。とりわけ今作みたいに、親が組織の一員として働いている訳では無い人とかだと、その面では特にそうなのかもとも思う。  率直に言って明の方が「大人」に見えるのですよね。まあこういう親子って割と多いのかもとも思うのだけど、今作ではそれが非常にリアリティが有るというか、納得がいく状況だなあと。でも紘にも事情はあって、親父の様に立派にやりたいんだけどそれもままならない、でもそれって、社会の要求に合わせて職人としての自分も進歩していかないとダメだからで、そういった所も総じて、紘は非常に頼りなく見える(それこそ中学生のバカなまま、中年に、親に、なってしまったかの様な)。  でも、ラストに明はそんな父親を肯定し、受け入れたのだと思う。子供が物心つくころには親ってもう完成しちゃってる歳だし、結局は子供の方から歩み寄るしかない。でも、父は最後に確かに、自分にも歩み寄ってくれた。ある哀しい結末を描きつつ、一方でひとつの望ましい親子の関係を描き切った映画だ、とも思うのですね。  もう一点は、瑛介の再生。厳しい言い方をすれば、彼も紘と同様(というのも何だが)、父に、夫に、そして「大人」に成り損ねた、といってもよいのかも知れない。でも最後には彼も、前向きな心を取り戻して逃げるのを止める。それは紘が彼とは違って、決して辛いことから逃げなかった、からなのではないかと思うのですね。  かなり繊細な映画だと思うが、色々と思う所が有るのを、はっきり台詞には出さないけど芝居の中に醸し出せるという腕達者を揃えているのもあり、十二分に伝わる優れた作品に仕上がっていると思う。一方で、紘だけはあんまり何も考えていない(という役な)ので、そこには稲垣吾郎を配した、というのも、実に適役だと言える。
[映画館(邦画)] 7点(2020-03-02 22:54:55)(良:1票)
578.  ミッドサマー 《ネタバレ》 
私の率直な本作の感想は、気味の悪いホラーを観たと言うより、とある異文化の記録映像をタップリと観せられたが、それが非常に文化的・美的で、ある種芸術的でもあった、である(その異文化の様相は、ある人には気味悪く、またある人には滑稽に、私にはあくまで「そういう世界があるんだなあ」と映った、ということだと思う)。  要点を端的に言うと、今作で描かれる映像世界が、地に足を付けたリアリティと、実存世界から離れた純粋芸術的な美しさを兼ね備える非常に優れた出来だった、ということだ。まず、村の情景や衣装等の美術、儀式の内容などは、実際にこういうコミュニティが存在している様な錯覚を覚えるほどに良く出来ていた。そして、明るく、広々として、そして地球上の実在のどんな場所より「白い」景色は実に美しかった。一番美しかったのはやはりあの崖である(その見渡す限りの白さと、弾け飛ぶ人体の赤を含めて)。  正直「観たかったのとはだいぶ違う」映画に思ったし、面白いという作品とも違うと思うのだが、特に映像面の出来の良さが非常に鮮烈に感じられた。そこに1点を加点して、この評価としたい。
[映画館(字幕)] 7点(2020-02-26 00:09:57)(良:1票)
579.  アトミック・ブロンド 《ネタバレ》 
スパイものとしては平凡な筋で、しかも正直かなり分かりにくい(意味の分からない無駄なレズネタとかも分からなさを助長する)。しかし、それを補って余り有るアクションの高品質さ。特に打撃が本気でブン殴ってるようにしか見えない大迫力。ハンディカムを戦闘真っただ中に放り込んだかのような撮影も非常に見事。セロン姐さんの頑張りも出色。アクションとしては超オススメ。
[DVD(字幕)] 7点(2020-02-22 00:40:12)(良:1票)
580.  屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ 《ネタバレ》 
『ハウス・ジャック・ビルト』も極めて醜悪な作品だったが、それでもあちらは随所に一種のスタイリッシュさや女優の美しさ等の「虚飾」を纏っていたのに対し、本作ではそういう取り繕った要素はほぼ完全に徹底的に排除され、本当にひたすらに醜悪で、そして混沌と老醜・汚穢・悪臭に満ち満ちた作品となっている。何つーか、主演男優に限らず登場人物の大半に、人間性(は少し言い過ぎかもだが)・理性とか衛生観念であるとかを全く感じられないとでも言おうか。  フリッツ・ホンカは(本作での描かれ方も、また実際の殺人者としても)典型的な「無秩序型」のシリアルキラーで、その衝動的な殺人動機の根本的な部分は満たされない過剰な性欲、およびアルコール依存に依拠するものであり、真に精神異常系の殺人者とまで言えるかどうかは微妙かと思う(頭が足りないのと精神を病んでいるのは全く違うのだし)。しかしそれでもやはり、あれほどまでに衝動的に「女だったら何でもいい」的に行動するホンカの有様、そしてそんなホンカにヒョイヒョイついていく婆さん娼婦達も含め、そこにはもはや「狂気」としか言い様の無いものしか感じ取れないのが正直なトコロ。実話なことも含めてこれも非常に強烈な映画だが(ある程度は誇張だと思いたい)、見応えは文字通り抜群。この手の(グロ)映画に興味がある人にとっては、観て損は絶対に無い。
[映画館(字幕)] 7点(2020-02-17 20:56:14)
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