41. ぐるりのこと。
はっきりとしたストーリーがあるわけでなく、フワッとしたりズシっとしたり、なんと評していいか判らない掴みどころのない映画です。140分と長尺でワンシーンワンシーンが長まわしで穏やかなのに、ちっとも退屈だと思わされないのは、ボーっとしてるようで包み込むような優しさを持つリリーさんと、独特な存在感を持つ木村多江の二人から発される自然で重みのある言葉と雰囲気に魅了されていたからかもしれません。 主演二人の絡みは中盤極端に少なくなり、心情や状況もはっきりと説明されずもやもやしながら、二人の会話のシーンを心待ちにしてしまいました。 理解できないのが人間なのだ、というセリフとしっかりと整合されている作り方に感心しました。なんか凄いと思うんです、この映画。 [映画館(邦画)] 9点(2008-06-27 11:49:59) |
42. SUMMER NUDE サマーヌード
好きなんだけどマイナーですねぇ。監督デビュー作ということで、素人臭い部分は割とありますが、それを補って余りあるエネルギーと独自のアプローチがあります。基本コント風で物語はすすみ、笑えたり笑えなかったりするんですが、誠実だったり不純だったりする魅力的な登場人物達が自然に絡み合い、ドカンと打ち上がるシーンでの高揚感は相当に気持ちが良く、感動します。 そして、それぞれの人物たちにはそれぞれ、人物によっては到底納得いかないような意外な結末も用意されており、人生の喜怒哀楽がつまった切ないコメディとなっております。 具志堅氏の棒読みの味が楽しめれば、この映画にハマれるんじゃないでしょうか。 また、サマーヌードと言えば真心ブラザーズの超名曲を思い出しますが残念ながら使われていません。この映画を代わりに盛り上げるのはブルハ・ハイロウズから厳選された名曲達でこれまた素晴らしい。もっとメジャーになってほしいという気持ちもこめて甘めの9点。 [DVD(邦画)] 9点(2008-06-10 23:59:28) |
43. ソウ
かなりの力作だと思います。なんといっても最初から最後まで、色々な場面が同時進行で進むんですが、どの場面になっても1分足りとも緊張感が途切れないでピリピリしてるのがスゴイ。映像はそれほどエグくないのに、これほどまでに観る方をずっと不安にさせとくってのはなかなかできないのではないでしょうか。すごく疲れます。 オチはおかしいんじゃないかとか、あちこち納得いかないことがあるとか、もっとあそこをああすれば的なとこは多々ありますが、面白かったからいーや。この手のサスペンスでは久々にかなり満足しました。そして、食欲なくしました。 [映画館(字幕)] 9点(2008-05-26 14:47:00) |
44. シン・シティ
漫画原作ながら、陰惨な殺戮映画。白黒と部分的カラーを使った映像はめちゃめちゃカッコつけしいだが、かっこええ。その使い方のおかげでグロいシーンを見やすくしてるのがやらしいが巧い。観る人を選ぶだろうが、豪華キャスト、製作陣にみあった魅せられる映画。 [DVD(字幕)] 9点(2008-05-20 18:16:08) |
45. フランキー・ワイルドの素晴らしき世界
《ネタバレ》 本物のDJのインタビュー交じりの、耳の聴こえないDJの実話風ドラマ。 演出・音楽がイチイチクールでやたらかっこよいです。聴覚を失うときの自分vs自分のシーンは壮絶かつエキサイティング。泣き言一つ言わず、自分自身をぶっ殺し、自身で立ち直るフランキーが逞しくカッコよすぎる。演ずるポール・ケイの表情、飄々としたキャラクターがなんとも素晴らしい。 スパッと音楽をやめるのかと思いきや、思いつきでスパッとやってみる。天才ってのはこういうもんなのかもしんないすね。無駄に感動のドラマにすることなく、ひたすらクールでホットな雰囲気がイカしてます。もっと皆に見てほしいです。 [DVD(字幕)] 9点(2008-05-12 12:36:39) |
46. シティ・オブ・ゴッド
とにかくスタイリッシュでセンスが良い。陰鬱さもなく、ストーリー展開も面白いので長丁場も退屈させず、のめりこまされます。この映画を面白い、カッコいいと思ってしまってはいけないのかもしれないが、それは監督の凄まじい手腕のせいだ。 ブラジルにはあんな恐ろしい部分もあるのだと、冷静にリアルなことと考えるとなんとも 複雑な気分になります。この監督でコメディとかが見てみたいですね。 [DVD(字幕)] 9点(2008-05-05 17:38:53) |
47. SURVIVE STYLE5+
《ネタバレ》 スタイリッシュ系の映画は嫌いなんですが、これはいけました。映像はやたらポップカラーで、ストーリーはむちゃくちゃなんですが、5つの話の微妙な絡みとラストの収束の仕方がなかなか気持ち良いので大満足です。岸部さんのはばたきには感動したような気がしなくもない。 [DVD(字幕)] 9点(2008-04-22 12:54:26) |
48. プラネット・テラー in グラインドハウス
《ネタバレ》 B級映画を知りつくしたロドリゲス監督が徹底的にB級を追及した、ある意味S級のゾンビアクション映画。登場人物は皆どこかイってるし、無駄にグロいし、無駄に劇的なバカバカしいアクション満載で、どん引きとゲラゲラ笑いの連続です。まぁ、ブルース・ウィリスだったら、ブシェミを見たかったが。 B級の定石を守りながら、映画の中盤を強引にカットしてしまうやり方などで、映画の常識は無視してくれます。よっぽどの映画バカじゃないとこんなのは撮れないでしょ。見終わった瞬間、愛着をこめて「ばかじゃねーの?」と言ってやりたくなる一本。面白かった。 [DVD(字幕)] 9点(2008-04-16 08:37:58) |
49. ゴーストワールド
《ネタバレ》 社会不適合者の男女間の友情や恋愛模様と、なんとなく上手くいかない日常。 周りの人間はバカばっか、な視点ですが、バカな端役たちがいい味を出していて笑わせてくれます。来るはずのないバスという隠喩的な小道具が絶妙な働きをしていて、見終わった後に何とも言えない余韻を残してくれます。オタクがはまり役のブシェミとむちむちバーチは、なかなかのベストカップルに見えます。ゴーストワールドには何が待っているんでしょうか。 [映画館(字幕)] 9点(2008-04-14 17:09:56) |
50. エンド・オブ・ザ・センチュリー
《ネタバレ》 伝説のパンクロックバンド、ラモーンズのドキュメントフィルムです。 ラモーンズ誕生以前のロックムーブメントから、ラモーンズの20年にも渡る歴史を丁寧に、それでいてしっかり面白くみせてくれます。 笑えるところも多いし、メンバー間の確執やら、セールス面の悩み等のツラさなども出ていて、ドキュメンタリーと言えど、ドラマチックで感情移入しまくりです。 ストゥージズや、ニューヨークドールズ、クラッシュ、ピストルズ、ダムド等の映像も少ないながらもでてきて、テンションあがります。 もちろんラモーンズメンバーや、その周辺のインタビューも満載で、ライブ映像は圧倒的にかっこよく、ジョー・ストラマーが無邪気にラモーンズのことを話す様は愛おしいです。ラモーンズや、その周辺が少しでも好きなら存分に楽しめるし、そうでない人もそこそこ楽しめそうな、しっかりとしたドキュメントです。ラモーンズよ永遠に。 『ラモーンズの通った道にはバンドが産まれる』 [映画館(字幕)] 9点(2008-04-01 14:20:18) |
51. グラディエーター
ストーリーは平凡だが、その見せ方が素晴らしく飽きない。とにかくマキシマスがかっこよすぎる! 強い男の熱すぎる復讐劇でした。 [ビデオ(字幕)] 9点(2008-03-31 14:33:45) |
52. 嫌われ松子の一生
コメディ風、メルヘン悲劇。ストーリーはもろ昭和。 終始愛されないズタボロの嫌われ松子の一生にげんなりしつつも、過剰なまでの現代的ポップカラーな映像や、素っ頓狂なミュージカル、多彩なキャストを欲張りかつバカバカしく使った演出に笑わされ、目を逸らすことを許されず引っ張られてしまいました。 若干長くて疲れるし、気も滅入るけど一息で見て笑い飛ばしてやりたい一本。 [DVD(邦画)] 9点(2008-03-27 17:03:57) |
53. カタクリ家の幸福
《ネタバレ》 言う事なしのとんでもないバカ映画です。全てがむちゃくちゃなブラックコメディミュージカルです。意味不明なテンションで、いきなり歌うわいきなり死ぬわいきなりクレイアニメになるわ、ここまでめちゃくちゃやってくれれば言う事ありません。面白いです。笑えます。ジュリーやキヨシロウの歌が聞けるのも得した気分。 [ビデオ(字幕)] 9点(2008-03-25 11:24:45) |
54. オールド・ボーイ(2003)
大変出来の良い映画でした。前半は、ストーリーの割に軽い雰囲気で実はコメディなのかなぁと思いきや、バイオレンスシーンはどんどん激しくなるし、ストーリーもどんど んヘビーになっていくし、見終わった後はひたすら脱力感が残りました。 全体的に質が高く、飽きさせるところもなく、主人公の男の存在感はスゴイです。ただ、あまりにも悪趣味としか言えないようなシーンや展開が多いため少しげんなりしてしまうとこはありました。 [映画館(字幕)] 9点(2008-03-24 18:56:49) |
55. WEEKEND BLUES ウィークエンド・ブルース
丸一日の記憶を失った男の巻き込まれ方コメディサスペンス。テレビドラマ以下ともいえる映像を見れば一発で分かるくらいの超低予算作品。 見るのをためらわれるような映像に尻ごみしてしまうのは最初の10分くらいで、気がつけば息もつかせぬ巧みなストーリー展開に吸い込まれてしまいます。 音楽のつかいかたもなかなか良いし、何より会話や役者の表情が良い。めちゃくちゃな展開も時系列のずらしも、話の全てが伏線となって後半へのカタルシスに繋がります。そして、なんとも一筋縄でいかないひねくれたラスト。映像以外には文句のつけようがない一本。映画は脚本が命だとつくづく感じさせられます。 [DVD(邦画)] 9点(2008-03-18 14:13:26)(良:2票) |
56. インファナル・アフェア
《ネタバレ》 はっきりいって演出や映像面は個人的に受けつけず、特に音楽の使い方や人が死んだときの演出なんかひどいと思いました。 しかし、そんなことを帳消しにするくらい優れた脚本で、最後まで先の読めない圧倒的な緊張感のもとに、いつの間にか時間を忘れ、真剣に見入ってしまいました。面白かった。 [DVD(字幕)] 9点(2008-03-18 13:55:49) |
57. リトル・ミス・サンシャイン
《ネタバレ》 ボロボロの家族の珍道中コメディ。コメディセンスもキャラクターもストーリーも音楽も全てが好みです。 道中で家族それぞれが絶望的な状況におちいっていくものの、腹は出てるが可愛らしいオリーブのミスコンという共通の目標により、ギリギリ繋がり、そして次第にしっかりと繋がっていく過程は素晴らしい。 ブラックな部分、暗い部分もありつつ、しっかりと前向きに笑える上質のファミリーコメディだと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2008-02-22 14:37:30) |
58. それでもボクはやってない
《ネタバレ》 コメディエンターテイメント映画監督周防氏による、シリアスな社会派痴漢冤罪裁判ドラマですね。 こんな不条理があってたまるか、とイライラしっぱなしの二時間半。絶対勝てるに決まってると思って共にたたかった二時間半。・・・燃えつきました。んなアホな、と笑い飛ばしたいのに、徹底的なリアリティにより黙らされてしまいます。まったく腹の立つ傑作。 [DVD(邦画)] 9点(2008-02-22 14:34:22)(良:1票) |
59. 転がれ!たま子
序盤は、日本版アメリとも言えるほどポップでメルヘンな映像と主人公のキャラクター等のシュールさ。小さい物語に合わせて、ぼんやりした雰囲気がだんだんシャキっとしていくのが巧み。 笑いもさることながら、引き篭もりからだんだんと自立していく女の子の成長物語が素敵です。主演の山田さんは、なんとも魅力的な女優さんです。 [DVD(邦画)] 9点(2008-01-29 14:37:35) |
60. 世界最速のインディアン
実話をもとにした、世界最速を目指すバイク乗りの爺さんが主役の話なんですがカメラワークなど、画がとにかくかっこいい。そして、アンソニーがなんともいい味出しまくりで、周りの皆がいい奴になってしまうのも納得。 ロードムービー的な序盤から、レースの後半まで多彩なキャラクターが登場し、見どころ十二分。ジジイかっこええ。漢だ。 [DVD(字幕)] 9点(2008-01-26 16:32:40) |