Menu
 > レビュワー
 > Yuki2Invy さんの口コミ一覧。32ページ目
Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1615
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81
>> カレンダー表示
>> 通常表示
621.  許された子どもたち 《ネタバレ》 
これは、観る人に依って本当に様々な評価・意見・感想が出てくるだろう…という映画ですね。第一に、少なくともその部分についてはまま優れた社会派作品だと言えるものと思います。ただまあ単純に映画としては、少し演技の質がハイ・クオリティというモノでもないごく素朴な感じだったり(或いは部分的には展開運びも少しチープだったり)もあって、やや寓話的とも言える様な「つくりもの」ぽさが雰囲気として滲んでいる…とも思いますが。  本作における最も根本的な問題提起とゆーのはまず、例え「正当な」理由があったとしても、人が人に、或いは社会が人に対して暴力や制裁(それは社会正義を実行する為の「刑罰」を含む)を与えることが果たして正しいのか、というトコロまで遡れるモノかとも思います。全く只の理想論を語るなら、こーいった暴力や制裁は無くて済むなら無い方が好いし、減らしてゆけるなら減らした方が好い、とも言えるのかとは思うのです(例えば「死刑廃止論」とか、或いは今作でも描かれる「疑わしきは罰せず」の原則とかも、根本的にはそーいう話なのではないかと思っています)。とは言え、絶対的な現実の状況として、人が人に対して振るう暴力(=加害者と被害者が発生する状況)とゆーのを今の社会から完全に無くすコトはコレも絶対に無理なのであって、だからそのカウンターパートとしての(社会正義を維持するための)刑罰としての暴力は「正当な理由があれば」許容せざるを得ない、つまり現在の社会は理由があれば人が人を傷つけることを許しているのであって、そしてその理由の「正当さ」の判断がコレも常に「絶対に正しい」という保証もまた無いのだ、というコトだと思うのですね。個人的には、だから「理由があればいじめても(暴力を振るっても・制裁を与えても)善いのか」という今作で為される問いかけとゆーのが、月並な言葉ですがやはりとても深い論点だなと感じました。コレ、私も答え出ないし、今作でも答えは全然描かれてないのですよね(言っちゃあ結構投げっぱなしな映画かも知れんですね)。  ※まあでも、深いとも言いつつ若干は屁理屈の様な議論だとも感じるのです。「絶対に正しい」ワケじゃないからといって、ソレは「正しく」ないのか、とゆーと、ソレは決してそーでもないかな、とも思うのであって。それこそ「凡そ確からしい」正しさを備えるモノとゆーのは、今の社会にも決して全く無いワケではないとも思いますし、そのレベルの正しさでいったんは満足しておけば(=イレギュラーなケースは個々に議論すれば)さほど問題も無いのかなあ…とも思ってますケドね。  前述どおり答えの出ない議論を盛大に喚起するよーな映画だと思いますが、折角思い悩まされたのだから何らか前向きなアンサー・気付き(行動指針)を捻り出せたら好いな…とも思うのです。どーすれば(どーしてゆけば)ある程度十分にこの社会で正しく在り続けられるのでしょーかね?パッと思い浮かんだのは「法に縋る」というコトでしたが、でも、法律的に問題が無いとゆーのと社会的に正しい・正義だとゆーのは全然イコールではない、とスグに思い直しましたし(今作でも例えば、問題の非常に重大な根幹部分である少年審判における主人公側の振舞いとゆーのは、それこそ法的には何の問題も無い行為だとも思うのですよ)、法的に正しければ善いなどとゆーのは、あくまで「正義」を追及していく上ではそもそも非常に不健全な態度だ、とも思いますね(結局「法的に問題が無い」は、実は結構トンデモない言葉だとも思います)。  あとは例えば一種の「非暴力・不服従」とか、つまり社会の仕組みがどーあれ自分個人としては他者を傷つけるという意味での暴力を行使しない(=それによる自分個人への不利益は甘受する)といった指針も目標になり得るかな…などとも思ったのですが、そう腹を括った自分がそのように覚悟するのは善いとして、コレも例えば今作の様に自分に近しい人・家族が何らか「抵抗」せざるを得ない状況に追い込まれたとき、この態度を取り続けることが出来るのか(それが正しいのか)というトコロにはまた論点が残るという様な気もします(取り分け今作の様な場面において、親が子どもをある面で「守らない」とゆーのが本当に正しいのか、と)。そもそもコレを正しいとしたとして、とは言え前述どおり社会における暴力一般が「正しい」のかという議論にはノータッチのままになってしまってるとも思いますし、そもそも仮にでも社会における暴力が「必要」なモノであるなら、ソコから自分だけ勝手にドロップアウトするとゆーのはある種社会的に無責任だ、とすら思えるのですね。
[DVD(邦画)] 8点(2022-01-29 18:47:52)
622.  インシデント 《ネタバレ》 
通常、スラッシャー・ホラーにおいては、まずはヤリ○ンから殺されてゆく…とゆーのが絶対法則なのであって、ソレが今作では処女&童貞の方が狙われる、とゆーの自体が一種の脱構築とゆーか、少なくとも意表を突くという意味ではまま良好なアイデアだと思うのですね。かつ(おそらく陽キャに違いない)今作の製作陣が「処女&童貞が狙われるってなったら、マジ乱パ開くしかねーべさ!」「ヒョ~そのアイデア、マジパナイっすわヒャッハ~!!」てな具合に本作の構成をノリノリでつくり上げていった(のであろう)とゆーのも決して想像に難くない…ともやはり思われるのですよ。そして実際、平凡な前半が終わってブリタニー・マーフィちゃんが理科室で大暴れ→全校総出の乱パが現実味を帯びてゆく…というド真ん中のあたりは、私自身もかなりワクワクしながら観れていたのも(恥ずかしながら)また事実ではあるのでございますね。  しかし今作、最後まで観ると結論的にはアイデア倒れだったとゆーか、特に(そっから)中盤以降は総じてどーにもショボっちいのですよね。一切合切ひっくるめて腑に落ちない・納得いかない諸々をあげつらうってだけでも、例えば…   ・中盤以降の展開運びが単純にスローモーでだいぶダルい。 ・肝心の乱パの描写もどーにもショボい(全然「乱痴気騒ぎ」な感じがしない)。 ・そもそも、狙ったコが処女or童貞かを確かめてそーだったらトドメを刺すモンだとして、当初4人連続でアタリを引くとゆーのは結構なご都合主義ではないか。 ・とゆーか、非常に肝心なハズの「犯人が処女&童貞を狙う理由(理屈)」とゆーのが、コレも実に弱っちい(薄っぺらい)。 ★結局犯人はごく凡人…なのにも関わらず、ケニーが助けに入った段階では親子+ケニーvs犯人の3対1になってるのに、ガキどもがマトモに戦わないモンだから親父は殺されちゃうし、その後だってあれだけ(乱パに)大集合してんだから少しは抵抗してくれよ…つーか。コレも要するにですね、スラッシャーの「最大のキモ」たる殺人鬼のキャラ(凶悪さ・強大さ)のつくり込みが、これまた非常に雑だとゆーコトに他ならん…と思われるのですね。 ★そして何より、同級生が2日で4人も殺されてんのに破廉恥に浮かれてゆく生徒諸君とゆーのにだって、当たり前ですがコレはもう「狂気」とゆーべきモノしか感じ取れないです(=流石にちょっと感情移入・同情は出来ない、てか)。   もう一つだけ、何ゆえに今作の邦題は『インシデント』なんてのになってるのでしょーか?え、コレ担当のかたは中身観ないで付けた、とかじゃねーでしょーね?いくらB級ホラーとは言え、ココまでやる気(売る気)の無いヤツも中々珍しい…とも思うのですよね。
[DVD(字幕)] 4点(2022-01-27 22:03:38)
623.  ベティ・ペイジ 《ネタバレ》 
アメリカって、戦後暫く位までは(意外なホドに)エロ方面には社会的に厳しかったみたいなのですね。やはりキリスト教の国ですからその面でのモラルもワリと厳格だった、というコトなのかと思うのですが、だから確かに、まず今作で描かれる様なベティ・ペイジの仕事とゆーのは少なくとも当時においては非常に衝撃的(にハレンチ)なモノだった、というのは厳然たる事実なのでしょうし、まただから本作は、彼女がどのような人物で何をやったのかをごく淡々と描いていくだけ…であったとしても、ソレ自体でも(下手に脚色しなくても)彼女の存在or行為の社会的「意義」を(時代考証を加味すれば実は適切に)描き出している…とゆーのも、少なくとも頭では理解できなくもないのですよね。  とは言え、コレはただ時代の移り変わりが為せるワザではありますが、その彼女の実際の行為の内容自体は、また確実に現在においてはそこまで糾弾される様な衝撃的なモノではない、だからソレをそのまま現代で映画にするとゆーのは、やはり少し分かり難い(取り分け、非アメリカ人である我々にとっては)とも思います。もう少し噛み砕いて言えば、現代でコレに該当するかも知れない例えばポルノ女優とか娼婦、だとかいった方々の「お仕事」とゆーのは、またおそらく今後数百年のスパンでは「当たり前・一般的なモノ」というレベルになることはない様にも思われる、という意味で、やはり彼女の行為の「衝撃度」とゆーのには「普遍性」とまで言えるモノは備わっていない…とも思うのです(=だからこの映画もまた、実は「普遍的」なモノには為り得ないのではないか、と)。モチロン、彼女が最初にこの分野の第一人者となったという新規性や、彼女の業績そのものの素晴らしさ(普遍性)には個人的にも全く異論は無いのですケドね(ソコは取って付けながらも明言はしておきたいのです)。  主演はグレッチェン・モルでしたが、中々どーして見た目の完成度(=本人に似てるかどーか)はかなり高度だったと思いますよ(まーあの特徴的な前髪に大いに助けられてるとは思いますが)。軽い作品で他登場人物はあまり印象にも残らなかった…のが正直なトコロでしたが、強いて挙げるならアーヴィング・クロウの妹役のリリ・テイラーがちょっと面白かったです。
[DVD(字幕)] 5点(2022-01-27 21:54:47)
624.  ずっと独身でいるつもり? 《ネタバレ》 
登場人物においてだって、男の側の面々とゆーのが押し並べてかなりしょーも無い連中で揃えられているコトからしても、まずはごく「女性向け」な映画だと言って間違いはないかと。ただ、そーいったバイアス強めの状況設定を通してであっても、肝心なテーマの表現とゆーの自体は(確かにやや強引・安直ではあるものの)、描き出される「結婚しなければ幸せに為れない訳じゃない」「結婚したからと言って必ず幸せに為れる訳でもない」といったモノについてはまず説得力とゆーのがも~十分だと思うし、更にその中にそっと置いていかれる様な「たとえ結婚しても自立した(ひとりの)人間で在り続けるべき」という価値観とかにだって、コレもまあ十分に共感は出来るかと思われるのですね(私は男のほーですケド)。重ねて、決して巧みだ・スマートだ・粋だとは言わないまでも、やりたいコトとゆーのはある程度チャンと出来ている(伝わる)映画だ、とは思われますです。そんなに悪くはないかと。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-01-24 21:42:01)
625.  ティーズラマ 《ネタバレ》 
「史上最低の映画とは?」となれば、ソレは多分『死霊の盆踊り』だろう…とゆーのが昨今の本邦ではもはや共通認識に成りつつあるかと思うのですが、個人的にはココには少しだけ違和感とでもゆーべきモノがあるのですね。つまり、あの映画は60年代アメリカで盛んにつくられた「ヌーディ・キューティ」と言われるポルノ映画の一作であり、要は「ハダカが映って(さえ)いればナンでも好い」という類の作品なのであって、かつ更に溯るコト50年代にはその「ヌーディ・キューティ」の原型たる「バーレスク映画」とゆーのもシコシコとつくられていた…とゆーのまで含めると、このコト自体は(『死霊の盆踊り』の知名度に比すれば)あまり世間でも知られていない事実だと言えるかと思います。要は結論、ヌーディ・キューティなら(或いはバーレスク映画なら)別にアレに限らずどれも大体あんな感じじゃねーのかね?(ソコまで大差は無いのでは?)というコトが言いたいのです。  本作はその「バーレスク映画」の中では比較的有名な作品で、ややカルト的な扱いもされている…とのコトですね。一重にソレは出演者のスペシャリティ、つまり50年代の伝説的ピンナップ・ガールことベティ・ペイジと、往年の伝説的バーレスク・パフォーマーことテンペスト・ストームが出演してるというコトに依るものです。とは言え、映画としての内容自体は前述どおり精々『死霊の盆踊り』並み…とでも言いますか、現代の視点からするとかな~り温めな…というモノではあるのですね(=コッチも所詮薄着のおねーさんがゆーてチンタラ踊ってるだけ…てなモンで)。そもそもバーレスクという文化自体、戦前までにはストリップ主体のエロティックなショーが主流になっていたというコトらしいのですが次第に規制を受けて衰退し、本作時点の50年代においてはバーレスクそのものがもはや「過去のもの」になりつつあった…てなコトだそーなのです。また50年代ではまだエロに対する全般的な規制自体も厳格なままであって、だからバーレスク映画はヌーディ・キューティに比べてもエロの面はかなり控えめな質感に留まっています。まず乳首は映りませんし、その他の肌の露出もだいぶ控えられています(特に下半身については、かなり分厚いパンティを履き込んでその上に布を一枚纏わせているのが標準、てな感じすかね)。その意味で言えば、オッパイはバルン!と全開で尻もTバックで丸出し!な『死霊の盆踊り』の方がエロ的な価値はハッキリ高いとまで言えるでしょう(少なくとも「表面的」には)。  ただ今回、実は『死霊の盆踊り』の方もYouTubeでリマスター版をレンタルして観直しました(画質がスゲー綺麗になっててビビりましたわ)。そこで2作を観比べてみると、確かに『死霊の盆踊り』の方はそれでも諸々と非常に出来が悪い、つまりは本作『ティーズラマ』は(規制が厳しい中で)可能な限り色々と「工夫」とゆーのを施そうとはしているのだな…というコトも確実に実感できたとは言えるのですよね。  何よりとにかく『死霊の盆踊り』とゆーのは異常なまでにメリハリとゆーのが無い映画だ、というコトなのですよ。個々の演者のパフォーマンスにしても最初から最後まで全く抑揚・盛上りやストーリーというものが無いと感じます。『ティーズラマ』ではパフォーマーは3分間の中で多少は踊りにもバリエーションを付けようという姿勢が垣間見えますし、そもそもストリップ宜しく(ランジェリーまでとは言え)段々と脱いでゆく…というストーリーが基本的にはあるものなのですが、『死霊の盆踊り』は何故か「最初から脱げるトコロまで脱いで出て来る」or「最初は服着てるケド次の瞬間全開になってる(=脱いでる過程を映さない)」という2パターンしかないのですよ(コレは率直に「何故だ?」と思いますね)。あとそもそも『死霊の盆踊り』では揃えたダンサーも皆似た様な体形、かつ全員最後はトップレスにTバック…とルックス面でもバリエーションが皆無です。『ティーズラマ』ではまずテンペスト・ストームが文字通りの爆乳を引っ提げた超ダイナミックな容貌にして、一方ではモデル体形の娘もチャンと居たり…とある程度のバリエーションがあります(ベティ・ペイジは絵に描いた様なボンキュッボン!で凄いクビレでした)。もう一つ、特にペイジとストームの両名はパフォーマンス中の表情や「品の作り方」が非常に多彩でココは確かに実に魅力的です(流石)。コレも『死霊の盆踊り』のおねーちゃん達がパフォーマンス中終始ごく微妙な表情をしているのとは違いが一目瞭然ですね。これぐらい、ある種コレを「本職」にしてるのなら当然のコトかとは思うのですが、ソレを『ティーズラマ』は多少は出来てるケド『死霊の盆踊り』は全然出来てない…とゆーのもまた間違い無いとは感じられましたのですね。
[DVD(字幕なし「原語」)] 4点(2022-01-22 01:31:19)
626.  特捜部Q キジ殺し 《ネタバレ》 
サスペンスとしては全くもって捻りの無いつくりで、トリック的なモノも(モチロン)見当たりませんし、ラストも非常に力技な感じです。かつ、言いたかねーですケドもツッコミどころもだいぶん”ふんだん”だったかと。第一に、いくら有力な卒業生のコネクションが在るからとゆーて、何年にも渡ってあれだけ何件も凶悪犯罪を犯しておいてソレを全部揉消すとゆーのはちと無理でしょう(1件2件ならともかく)。第二に、キアステンが20年間行方不明…といって、その実探し始めたら(敵味方ともに)ワリとすぐ見つけているワケで、なら何故ディトリウは彼女を20年も放っておいたのか(=もっと早く見つけて殺してしまえばスッキリしそーなモンなのに…)。最後に、いくらカールが無鉄砲とは言え、令状無しにウルレク宅に侵入して押収した証拠とゆーのはどっからどー考えても「違法収集証拠」で裁判では採用できないと思われます。全体的にちょっとかなり雑ですね(やっつけ…という感じすら受けます)。
[DVD(字幕)] 4点(2022-01-19 16:14:06)
627.  特捜部Q 檻の中の女 《ネタバレ》 
特捜部Qって、またなんかチープな名付けよね…ナンだQって…(まあ別に「Xファイル課」だって大概だとは思うケドさ)  ただ本作は、ほぼマジメ一辺倒で極めて「お堅い」サスペンスで、昨今のいわゆる「北欧もの」の典型と言ってしまって好いだろうと思う。特にそのハードな雰囲気はこれも上々と言って好いだろうとも思われるものの、とは言え純粋に事件ものとして見た時にはあんまし目新しい要素とゆーのが無くって、結論的にはごく平凡かと(監禁対象が議員なのに真相は徹頭徹尾「怨恨」である点とか、あとハミ出し刑事がやり過ぎて終いに停職になるくだりとかはもはや見飽きた感もあって)。そしてそもそも、当初この失踪事件の結論があまりに簡単に自殺に落ち着いてしまった辺りの事情があまり説明されていないのも、個人的には少し気になったりしますね。ただまあ重ねて主演2人の雰囲気・演技の硬派な感じも含め、諸々ひっくるめてもサスペンスとしては非常に「手堅い」部類ではあるし、尺もごくコンパクトなので暇潰しにはある程度使えるかと。タダで観れるとかゆーのなら、観ておいて損も無い気はしますかね。
[DVD(字幕)] 5点(2022-01-19 16:12:39)(良:1票)
628.  クライ・マッチョ 《ネタバレ》 
流石のイーストウッドでも90歳を越えてくると如何せん老いは隠せず、かなりヨボヨボと頼りなく見えましたね。そーすると必然、お話の方もややヘナヘナしちゃってるとゆーか、必ずしも緊迫するシーンが無いとも言えない映画なのにどーにも全体的に弱々しくてキレが無い…のですね。登場キャラも総じてそんな感じで少なくともスーパーマンやスーパーヴィランだとかいったカロリーの高い奴は出て来ない=ごく普通の人しか出て来ない、という映画だと言えるかと。加えて、特に序盤は単純に脚本が雑で安っぽくもありますね(例えば、お母ちゃんがイーストウッドをベッドに誘うシーンとかはいくら何でもそりゃご無体な…てか)。  ただ、後半はそれでもワリと面白く観れていた気もします。結局のトコロ今作はイーストウッド主演で撮るべき映画だったのか?とゆーのが最大の論点になっている気もするのですが(一番最初はシュワちゃんで撮ろうとしてた…と聞いて驚愕してますケド)、その「意図」とゆーのはある程度(個人的にはチャンと)感じ取れた…とでも言いますか。年寄りって、人生経験豊富なだけあって意外と結構ハイスペックだったりするんだよな~とは常々思っているトコロであります。なんか色々器用だったり知識も豊富だったり、あとは枯れて丸くなったが故に人間の取り扱い(特に子供)とかなんかも更に達者になった、てコトもあったりするかと(もちろん年を取ってむしろ剣呑になってもーてる…て人も居るとは思いますが)。そーいった熟年の魅力というモノが今作では大いに感じられたとも思いましたし、ソコはイーストウッドが(主演まで)務めたコトのひとつの意味であったのではないかな、と。個人的には印象はまずまず悪くない映画でありました。
[映画館(字幕)] 6点(2022-01-19 15:06:58)
629.  夜と霧 《ネタバレ》 
短編ドキュメンタリで、語り口も非常に淡々としたものだが、終盤の映像の凄惨さは中々に凄まじい。ただ、そもそもこの題材を短編作品で語る、という建付けにはなんとはなしに疑問(無理)があると感じるのもまた事実かと。個人的には、より後年のNHK『映像の世紀』をかつて観たときの方が衝撃は上だったとも思う(まあ、アッチを先に観たとゆーのもデカいのは確かだが)。  とは言え、例えば学校の授業で使うのには(尺的にも)持って来いだと思うし、そういった目的に供するとしてのクオリティもまた間違い無く十二分以上かと。今後とも、とても価値の在る作品で在り続けるのも確実と言えるだろう。
[DVD(字幕)] 7点(2022-01-15 19:32:56)
630.  スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 《ネタバレ》 
ホランド版は前シリーズと比べても少し若年層向け・ごくコミカルに楽しく観れるという質感かと感じており、ソコは今作も概ね踏襲してると思うのですが、一方で今作は結末含め全体としてしっとりする場面も多くて中でややシリアスめではあるのです。ところが、今作での騒ぎの元凶はとゆーと(マーベルでもチョイ珍しく)完全に主人公側に存在するのであって、彼らの若さ・バカさ・茶目っ気が為せる業、という点を考慮すると、雰囲気+成り行きからの全体の纏まりとゆーのはやや微妙かな…とも思ったのですね。オーラスも、私個人としてはも~ただ素直で完ペキなハッピー・エンドの方が観たかった…とも思いました(エンドロールなんかは最後の最後までほのかに期待してしまいました)。まあ権利関係がややっこしいスパイダーマンはMCUからはいったん御役御免…というコトなのかも知れませんが(→一転、ココぞという場面でまたブチ込まれる方により期待したいトコロではありますケド)。  しかし、いったんの完結編としてはその豪華さ(何と言っても出演者)はあの『エンドゲーム』にすら匹敵するとゆーか、この20年のスパイダーマン映画の集大成とでも言うべきゴージャスなモノでした。トビー・マグワイア、最近見なかったなあ~とも思っていたのですが実に素晴らしい仕事でしたね!私もサム・ライミ版は大好きで(ナンなら『アベンジャーズ』より好きなぐらい)、グリーンゴブリンを殺そうとするホランドを押し留めるシーン、年齢を経た今の彼だからこそ出来る真のヒーローの姿を垣間見たとでも言いますか、その無言のメッセージに感じ入って自分を取り戻すホランドも含めて今作ではココが一番グッときましたですね。他、アンドリュー・ガーフィールドも相変わらず爽やかでしたし、ウィレム・デフォーの迫力・凄みも際立ってました。贅沢ですね。  評点は少しだけ迷ったのですが、素直に楽しめたので高めに寄せておきます。
[映画館(字幕)] 8点(2022-01-14 18:04:40)
631.  ダンサー・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》 
「なぜジーンを産んだ」「(病気が)遺伝することは分かっていたのに」  この問いに対するセルマの「赤ちゃんをこの腕に抱きたかったの」という答え。コレとゆーのは、本当に人間のいちばん奥底にあるモノだ、とゆーか、人間からその人間性(善きにせよ悪しきにせよ)を根こそぎ奪い取ったとして、その最後に残っているのがコレだ、という様にも(私には)感じられたのですね。コレこそがヒトのヒトたりし最も美しい部分だ、と言っても好いものか、と(私としては)。私が今まで観た映画のどのシーンよりも美しいシーンだった、とも思います。本当に大好きですね。  今般、4Kデジタルリマスター版が公開されるってその予告編でドンピシャこのシーンが流れて、ついまた観に行ってしまいました。まあ、この肝心なシーンを予告編で流しちゃって好いのか?と思うトコロではありますケド。
[映画館(字幕)] 9点(2022-01-08 19:33:04)(良:1票)
632.  ドライブ・マイ・カー 《ネタバレ》 
まず、かなり長尺な映画だが、一方で(根本的な)話の内容はそんなに大層なモンだったかな?と思ってしまう…てのがごく正直なトコロ。もちろん、主要キャストの演技&文学的な脚本とかの端的な質の高さは在る、でも、その西島秀俊と妻の霧島れいか、そしてこの2人の関係に纏わりついてくる岡田将生にしたってソコまで複雑というワケでもないごく分かり易いキャラにも思えるし、結局は西島秀俊が霧島れいかに終始振り回されっ放し(→そして何だかんだ最後には吹っ切れてゆく)というごくシンプルなお話だ、とも思う。ただ構成自体は、丁寧にタップリと夫妻の関係性を語り込む序盤+ある一つの「演劇」をつくり込んでゆく中盤+西島秀俊のお話の本チャンたる終盤、と3時間をある程度密度を高く維持するだけの要素の物量は備わっていたとも思うし、個人的にはその中盤なんかも後述どおり実はかなり面白く・興味深く観れたのは確かなのですよね(でもだからとゆーか、全然違う映画な筈なのに観終わった感じは監督の『親密さ』を観た時のソレにかなり似通ってた…と思ったりもしますケドね)。もうひとつ確かなのは、本作で一番「ユニーク」なのは間違い無く三浦透子のキャラ(と実際のその演技)だというコトですね。お話的にも特に終盤は非常に重要な役割を果たしていますし、全編通して(実は)彼女のアレコレにより注目して観てゆくべき映画だ、という様な気がしますですね。  中盤の演劇の話が面白かったという部分については、私が個人的に特に興味深かったのは、演出家の西島秀俊と俳優・スタッフとのやり取りとゆーのは、イベントそのものとゆーよりはそのイベントをつくり出す「チーム」をつくってゆく過程の方により近いモノに見えた、という点ですかね。演劇なんか取り分けそーなのかと思いますが、結局ソコが一番本質的な「クリエイト」なのではないかな、と言いますか(モノよりヒト、的な)。その意味では今回の演劇の建付け(メンバーの多国籍さ・ダイバーシティと、だからそれこそ表面的な「言葉」に頼らないという様な手法)も相まって、なんとゆーかむしろその過程からは博愛主義とか或いはコスモポリタニズムにも通じる様な価値観を感じ取れるとゆーか、その意味でもどこか爽やかなモノを感じました。ソコら辺を加味してもう一点足そうかとも思ったのですが、迷いに迷ってこの評点(据え置き)とします。
[映画館(邦画)] 7点(2022-01-08 19:20:16)
633.  民衆の敵(1931) 《ネタバレ》 
キャグニーの出世作というコトで鑑賞したものですが、確かにかなり平坦・淡々とゆーか、特に前半~中盤は起伏やキレを欠くイマイチな出来かと思います。ただ、これぞギャングスター!と言うべきキャグニーの悪辣ぶりはまずまず際立っていますし、終盤にかけてはその面も次第に加速し、かつ手榴弾やらマシンガンやらのヴァイオレンス描写も(時代を考えれば)結構派手なモノが見られたのではないでしょーか。凄惨極まるオーラスの見応えの高さを加味して、甘めのこの評価とさせて頂きます。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-01-04 22:02:26)
634.  蒲田行進曲 《ネタバレ》 
勢いが命!とゆーか、だからまァ~確かにコテコテにおバカな映画ですよね(そもそも、池田屋にはなんであんなバカみたいな梯子段があんのですかね?)。加えて、実に格好の悪い人たちの映画でもあります(地味に往生際もだいぶん悪かったりで)。人気?俳優の腰巾着で、腹ボテの女を厄介払いに押し付けられても文句のひとつも言えやしない…でも、少し考えると、事情はあれどもその女には実際に惚れてはいるのだから(かつ人間的にはその女性は間違いなく人生を共にする価値のある人なのだから)ソコら辺はグッと飲み込んで受け入れる…てのも、銀ちゃんだって恩人は恩人なのだからソコはバカになって恩返しに一肌脱ぐ…てのも、頭がイイとは言えませんケドも実にとても格好好いコトだとも思うのですよね(=これぞ「漢気」)。ただバカなのはまあ困りますケド、イザって時に「バカに為れる」てのは、人間としては最上位に大事なコトだとも(ずっと前から)心に留めているコトではあります。格好付けてる(orアレコレ損得を考え込んでる)暇があったら、飛び出せ!と言われてる様な気もしますですね(今年はそーいう年にしたいですね)。  今作では松坂慶子だけは、徹底的に美しい・格好好い・善なる存在として描かれている様に思います。ルックスのレベルが(なんか)桁違いに高いコトも相まって、ちょっと神々しい…とすら感じるとゆーか。その意味でもまた、どこかお得感のある映画です。
[インターネット(邦画)] 9点(2022-01-01 23:50:06)
635.  天井桟敷の人々 《ネタバレ》 
それこそ十数年振りに観ましたが、流石にハタチそこそこの時に比べれば一番肝心な「ガランスの魅力」にも多少は気付き易くなってたかな…と思います。ただまあ、諸々と結構分かり難いキャラではありますよね。そりゃ確かに美人だけど年増(年代を考えれば大年増)てのは、売れない芸人としてはまあ適切かとも思うのですが、男たちがガランスに片っ端から惹きつけられてゆく様子からはどーみても(若い)只の超絶美人(に対する反応)の様にしか思えなくて、かつ彼女自身のあの奔放さだってどちらかと言えば後者(=只の美人)の方にこそより整合しそう…てなモンで。  他に感じたのは、恋愛映画としてのシンプルさ(=それ故のエッセンシャルで普遍的・永劫不滅なクオリティ)と、それを彩るその他諸々のクオリティの「高尚さ」ですかね。かなり長尺な作品ながらガランスとバチストの2人のシーンとゆーのはかなり限定的で、それ自体が2人の関係性の特別さを好く表現していたとも思います。そんな2人の純愛が描かれる世界(世界観)をつくり込むその他の要素については、まずは脚本(台詞)のハイ・ソサエティぶりに今回少しビックリしました(脚本のジャック・プレヴェール氏は本業は詩人なのですね)。あるいは、都度挿入されていく(主に)バチスタ演じるパントマイム・無言劇の芸術性の高さや、そしてそういった美しく洒落た要素を孕みつつもその他の部分では醜悪なサマを確実に垣間見せる清濁綯交ぜのパリ…が舞台だからこそ、2人の愛の純粋さがより際立って感じられる…ともやはり感じるのですよね。  オーラスは、こんなんもうナンも言えねー!ですわね(コレはもう先にやったモン勝ち!てか)。トコロに依っては恋愛映画史上最高!とすら言われる作品てのは、やっぱ伊達じゃないですね。傑作。
[インターネット(字幕)] 9点(2021-12-31 23:18:23)
636.  偶然と想像 《ネタバレ》 
ごく純粋な会話劇3作によるオムニバスですが、概ねその3話はそれぞれ3パートに分かれる、その中核たる第2パートとゆーのが各々かなり同じ様な特徴を強く備えておるのですね。ココだけ、台詞に感情が入るのを極端に排除しているとゆーか、非常に淡々とした朗読的な台詞読みになっていて第一にはとにかく独特だな、という印象を受けました(ただ思えば『スパイの妻』の東出クンとかも似た様な感じが実は強く出てた…かとも思います)。各々また第1・第3パートはもう少し自然に感情が入った演技に仕上がっているので、ソコも含めてコレは高度に意図的なモノだと思いますね。コレによって、まずは非常に文学的(詩的)で、かつ単なる恋愛事象にまつわる一個人の感情とゆーよりは、ソレがより(監督の)「思想」に近い様な思考・価値観としての表現に見えてくるとゆーか、単純に静かで文芸映画的な雰囲気が心地好かった以上にとても効果的な演出だと思いましたね。    1.魔法(よりもっと不確か):35分 濱口監督の作品には、偶にかなり「アレ」な女性が出てきますよね。元はと言えば『PASSION』の時の占部房子も相っ当にチャランポランな女にも見えましたし、続く『永遠に君を愛す』の河井青葉の逆ギレも中々なモンでした。何より記憶に新しい『寝ても覚めても』の唐田えりかちゃんたるや…おそらくこの人、こーいうのが「好き」なんでしょうね。とゆーのも、そーいう(控えめに言って)「飛んでる」女性てのを総じてごく滑稽に描きつつも、やはり同時に彼女らがごく魅力的に見えてしまう様に(どいつもこいつも)描いちゃってるのですよね(=何故かナンだか憎めない…つーか)。コレは、フツーに考えればポジティブな価値観だとは思うのですし、男としても(=こーいう視点はやや不適切かとも思いますが)ある種「立派」なコトだと思います。とは言え若干ながらソコには、そこはかとなく「妙な」性癖とゆーのを感じ取れる…てな気もしますケドね。  今作はその系統としては、古川琴音ちゃんのキャラ自体はワリとシリアス方面に寄せて仕上げてた様にも思いますが、前述どおりの感情を排除した演出方針の所為もあってナンとゆーか一層「ヤバい」女の子にも見えて、名状しがたい「面白さ」とゆーのは逆に強く感じ取れた…とも思います。「感情」が彼女にそう言わせている・させている、のではなく、彼女のもっとより深く「魂」がそう囁いているかの様な、つーかね。第2パートからの(思いがけずの)緊迫感は中々に見事で一気に観入ってしまいました。そしてその意味からはオーラス、吹っ切れた彼女がふと表情を(ほんの微かに)緩めるラストショットが、個人的に非常に気に入りましたね(観てるコッチもやっと少しだけホッと出来た…とゆーか)。   2.扉は開けたままで:45分 文芸的な、という意味では、間違い無く一番文芸的な作品でしたね。とゆーか、あの小説のあのくだりはコレも監督が執筆したんすかね?だとしたら、何とも(やっぱ)変態な…もとい、素晴らしい才能ですね!コレをあーいう美人に読ませて、ソレを渋川清彦がただ聴いてる…てダケでもはや「勝ったも同然」かとも思いますが、前述どおりごく文学的・朗読的な静かな演技の中にそっと置いていかれる様な2人の感情の微かな発露の奥ゆかしさてのも、実に味わい深かったです。ラスト、あまりに間抜けな「バッド」エンドは個人的には少しだけ好みではありませんでしたが(=単に土下座小僧が「勝った」カタチになってるのが私ちょっと気に食わない…というダケのコトなのは重々分かってますケドさ)まあ3作のオムニバスなら一品くらいはこんくらいビターでも…とも思いますかね。   3.もう一度:40分 コッチは、その建付け自体は3作中で一番コミカルだと言えるとも思いますが(映画館でも結構笑いが起きてた)、ヒューマニズム的な傾向とゆーのも一番強め・かつ分かり易いモノだったかと思います(個人的には一番お気に入り)。伝えなかったことの後悔、忘れてしまったことの寂しさ、それでもふと一歩踏み出そうという勇気…誰しもが確実に共感できるという感情が色々と込められていた様に思います。第3話のこの「偶然」については謂わば「僥倖」と言って好い様なごく喜ばしいモノだったとも思いましたし、同時にソレは夏子が自分の人生を(辛さを乗り越えて)キチンと振り返った・総括したコトが呼び込んだ「必然」だったのかも知れない…とも思いました(少なくとも私は、そう思いたいですね)。
[映画館(邦画)] 8点(2021-12-31 20:39:18)
637.  デス・レター 呪いの手紙 《ネタバレ》 
シナリオは全体として高度に整合性が取れているというワケでは決してないのだケド、サスペンス調で常に謎 or 不可解さを残しつつ、オーラスを経てもごく「語り過ぎる」コトなく終わってゆく多少の「もどかしさ」とゆーモノは、まずは(現代のモスクワを舞台にしつつも)やや幻想怪奇的な全体の雰囲気とも好くマッチしていたと思いますし、その他諸々含めても(=恐怖描写の控えめな質感やキャストのシリアスな演技、等)映画としての纏まりとゆーの自体はまたかなり良好だったと言えるかと(だからホラーとしてもサスペンスとしても十二分に成立はしてたかと)。  ただ一点、それでもこのお話はおそらく50分~長くて60分が精々、というレベルの容量だったとも思うのですね(何なら45分でも少しギュギュっとした方が好かったか…とさえ)。その意味では、映画としてはごく非常に短い尺に留めた判断自体はこれも適切だったと思いますが、本質的には「最適化」はされていない(=本来は別のフォーマットに乗せるべき)作品だ、とも思わずには居られないのですね。その点で、少し厳しいよーですが1点引いてこの評価と致しますです。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-12-31 01:36:45)
638.  ハナ子さん 《ネタバレ》 
つい先日亡くなられた落語家・川柳川柳師のそれこそ十八番(とゆーか師は、ほぼこの噺しか演らないという非常に稀有な落語家であった)、史上屈指の傑作(新作)落語『ガーコン』に因れば、戦中に広く歌われた「軍歌」の曲調とゆーのも、戦局に応じてまた変化していった…とのコトである。連戦連勝だった開戦当初は当然の如くに威勢の好かったものが、次第に負けが込んでゆくに連れて段々と重く暗くなってゆき…という次第だ。更にのち、終戦間際は逆に妙に暢気な曲ばかり流れていた…とゆーのも、師の言だったかは定かでないがコレも何処かで聞いたエピソードだったと記憶している。  徹頭徹尾明るく長閑で笑いの絶えない本作であるが、コレは上述における「余裕」を意味するものか、それとも既にして「末期的」様相を呈しておるものか、どちらであろうか。その意味でゆーと、私が常々思案しているとある事柄として、それこそ例えばホラー映画とゆーのが巷で繁盛している…てのは、逆説的にその社会が健全であることを意味しているというひとつの視点である。つまり、現実がホラー映画以上の「恐怖」と化してしまった人とゆーのは、ホラー映画なんか決して観に来たりはしないというコトなのだ。その視点からすればやはり、今作の底抜けの明るさとゆーのは(既に1943年初頭にして)コレも逆説的に当時の世相の暗さ・不健全さを如実に示している様に思えて仕方が無い…のであって、今作も中々、今だにただ楽しく観れるという作品ではないかな…とゆーのが率直なトコロではありますね。  しかし、一方で本作に描き込まれる家族の情景(或いはその「幸福」)というモノには、だからこその切実さ・真実味が確かに籠められている様にもまた思われるのですね。ラストなんかも、ハナ子が実際に泣いているシーンとゆーのはそれこそ検閲によってカットされてしまった…とのコトですが、それでも尚、ハナ子が実は泣いているという「事実」自体は、轟夕起子の演技を通じて確実に我々にもひしひしと伝わってくるのです。ひとつの「時代」を確かに投影した映画としては、本作もまた小さくない価値を立派に備えている、と言えるのではないかと思いますね。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-12-30 18:05:17)
639.  鴛鴦歌合戦 《ネタバレ》 
あくまで軽~いオペレッタですが、中々どーして見所も多いし完成度も諸々高いしで、よくこんなのを1週間で撮っちゃえたモンだな!と率直に思ったのですね。オーラスの殺陣的な立ち回りについてはちょっと雑にも見えましたケド、コレすら全体の軽いコメディのノリには見事に適合している…とも思えて、ココまで来ると多分コレは「偶然」の範疇なのではないかな…とも思いました(コレを狙ってやれたとしたら、もう確実に天才だなと)。  女の子3人が皆お淑やか過ぎずお転婆過ぎず、また実に愛嬌があって(+お歌も達者で)出色の出来でしたね。中でもやはり、お春を演じる市川春代の愛くるしさが実に素晴らしかったと思います。片岡千恵蔵の演技の方はややお手軽感が強くて少~し好みからは外れるのですケド、まあコレも全体の雰囲気にはごくマッチしていた…とも思います。80年越しの今なお、実に手堅い優良娯楽作と言えるでしょう。是非。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-12-30 18:05:15)
640.  AWAKE(2020) 《ネタバレ》 
映画としては単純にそこそこ以上に面白い+細かいトコロまで比較的好く出来てる方の作品だ、と思いました。ただその総合的なクオリティはそもそも、まずスタイリッシュな画づくりの質がそこそこだったり、そして吉沢亮の演技もまずまずだったり、という要素も多分に在るにせよ、根本的には今作の元ネタが実話、かつソレが正に「小説よりも奇なり」という極めて良質な題材だった、というコトに依るトコロが大きいとも思われます。実際の映画としても、登場人物のキャラクターから事件の顛末のワリと細かい部分までが結構キッチリ事実に則した半ノンフィクションと言って好い様な質感ですし、その意味では「素材そのものの味を楽しもう」という系統の映画だと言えるかも知れません(おそらく本件については各所でドキュメンタリ的な纏め方は既に為されているのかとも思うのですが、やっぱ好いネタだし劇映画にもしとこーぜ!的なノリなのかな…とも)。  その観点からすると(まずもって多少は脚色が加わっているというコトもあるにせよ)、やはり映画に纏める上で若干は分かり易さを高めるべく簡略化(ないしは取捨選択)している箇所がある…という面については賛否両論があるのかも知れないと思いますね。吉沢亮(=AWAKE製作者)側で言うと、実際の対局後には彼からは非常に物議を醸す様な発言があったのも有名なトコロかと思いますし、対する若葉竜也(=棋士)側についてだって、そもそもの実際の電王戦のフォーマット・(将棋界に於ける)位置づけなんかの説明が省略されているが故に彼がこの対局に望む上での諸々の状況・思惑だとか、或いは彼が実際にはどのような準備をして如何なる戦略のもとにあの手を指すコトを決断したのか…という部分もやはり単純化されていた(=少なくとも詳細には説明されなかった)という、少しバカリの口惜しさは感じられましたかね(まあ、ドキュメンタリではなく劇映画としてはコレも十二分に適切な纏め方だとは思うのですケド)。  とは言え(そうは言っても)本作は、肝心なこの事件の本質の部分についてはワリと嘘偽り無く(かつ比較的分かり易く)的確に描き出せていた様には思われるのです。そしてそれ故、この事件が将棋の歴史の上でもかなり大きな意味を持つモノであったということも今作によって再び顕かにされたと言えるかとも思えますし、そーいう事件の顛末を映画という手に取り易いメディアとして後世に残したという意味でも今作にはある種の付加価値があったと思うのですね。色々な意味で決して悪くない、好い方の仕事だったのではないかと思います。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-12-30 16:22:17)
040.25%
1120.74%
2191.18%
3905.57%
420312.57%
528017.34%
637423.16%
732320.00%
823314.43%
9704.33%
1070.43%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS