61. ゼロ・ダーク・サーティ
面白い。 映画のキモの一つは、やはり主人公マヤのキャラクターであろう。 と言っても、彼女の素性やバックボーンはほとんど作中に描かれない。唯一わかるのは、あるシーンでちらっと映る彼女のモニタの背景画像から、どうも子供がいるっぽい、ということくらいだ。なぜビンラディンをそこまで憎むのか(通常のアメリカ人なら当然の感情ではあるとは思うが)、どういった政治信条があるのかも不明。 しかし、そういったキャラクター性は一切削ぎ落とし、ただただ彼女の執念にのみ焦点を当てることで、ストーリーを濃密なものにしている。 彼女の何者も恐れず強気に行動する様は見ていてとても惚れ惚れする。 筋骨隆々の海兵隊に平然と無理難題を押し付けたり、自分の直属の上司どころか、そのはるか上の役職にまで食って掛かる様は、しびれるものがある。 彼女のキャラクターが深く描かれていない故に、ラストシーンで彼女が涙するのも、単純に思いを成し遂げて感極まったからではなく、何か別の意味があるのではないか?と思わせる。 実際にあったできごとを、フィクションを交えつつうまくサスペンスに仕立て上げているのも見事。 良い映画だった。 [インターネット(吹替)] 9点(2021-04-13 06:38:37) |
62. 湿地
《ネタバレ》 我々は子を生み育てることを無条件で尊いものだと考えがちなのだけれども、果たしてそれが正しいのか?そういうことを考えさせられる、非常に重いテーマを持った映画である。 最近は「生まれてくる子供が子供が不幸になるから」と「ブサイク」や「頭の悪いやつ」は子供を作るな、と言った発言がネットで見受けられる。これは、「負の遺伝子」が子供に受け継がれ、その為、子供が幸せになれないという理屈であり、いわゆる「反出生主義」というやつである。 人は生まれなければ、幸せを感じることもなかったかもしれないが、生まれたために不幸になることもある。 そしてこの映画は、まさに、自分の娘が負の遺伝子によって不幸になってしまったと考える男の苦悩の物語である。 彼にとっては、父によって娘を殺されてしまったようなものだ。いやそれどころではない、「父によって、自分が娘を殺すことになってしまった」のである。それはまるで呪いのようだ。 さらには、自分が、父親の不貞と脅迫によって、妊娠し生まれた子供ということも分かる。男にとって自分は「生まれないほうがよい存在」に思えたであろう。そして自分を生むことになった、父親に対する怒りや憎しみはすさまじいものだったろう。 ところが、だからと言って、娘の死の責任が、その親にあるとは言えない。レイプなどの犯罪行為は許される行為ではないが、子を作ったことそれ自体を責めていいのだろうか? このジレンマを抱えたまま物語は救いもなく終わってしまう。 非常に悲しく、やるせない結末でろう。 刑事の娘が、お腹の子供を、悩みつつも堕胎ではなく産もうとする意思を見せたことだけが、最後の救いであった。 さて、この映画は、こういう非常に重いテーマを、サスペンス調に描くことで見事にエンターテインメントに仕上げているといえる。 そしてこの映画には生まれたゆえに自分が、または家族が不幸になったと感じる人の悲劇を殺人事件にからめて見事にエンターテインメントに仕上げている。 また、物語全体を通して醸し出される、暗く、陰鬱で、それでいて荘厳な雰囲気も素晴らしい。 アイスランドという万年冬みたいな国ならではの味わい深さであり、作品の重いテーマによくマッチしている。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-04-13 06:33:53) |
63. プリズナーズ
《ネタバレ》 主人公である父親の取る行動や態度がどうにも気に障る。 娘が行方不明になって気が気でないのは分かるが、警察にまで無茶な注文をつける様は、これぞモンスターペアレントって感じ。 知的障害のある男を犯人と決めつけ、監禁して拷問するなど、もはや誰が悪役なんだか分かりゃしない。 しかし、彼の狂気もまた映画の見所であろう。 さて、サスペンスとして素晴らしい出来なのは認めるが、かと言って手放しに褒められるようなものでもない。 最大の問題点は分かりにくいことだ。話の大筋を理解することは容易だろうが、この映画のすべてと言わずとも9割方の内容を、一回見ただけで理解できる人間が果たしてどれくらいいるのだろうか? 分かりにくい部分は多数あるが、特に意味不明だったのは、黒人の少女が保護され、主人公が彼女と面会するシーン。 少女は主人公を見て「あなたもいた」と言った後パニックになる。主人公はそれを聞いて、突然病院を飛び出す。 このシーン、本当に意味がわからない。「あれ?実は親父が犯人なの?」って勘違いしそうになるくらい意味不明。解説サイトで説明を見てやっと理解はできたけど、あんな描き方で普通分かる? あとは、犯人が実は…という結末も、伏線がなさすぎて、驚きがなかった。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-04-13 06:00:48) |
64. ロープ 戦場の生命線
《ネタバレ》 最高にかっこいい奴らの映画だった。 たった一本のロープのために泥と埃まみれの世界を駆け回り、やっと手に入れたと思ったら最後の最後で全てがおじゃん。 主人公は少年がボールを盗まれたと勘違いしてボールを奪い取り、うまく行かなかった苛立ちを子供にぶつけるありさま。 本当に散々である。 そうであっても、やっぱり少年には優しさを見せ、次は下水が詰まったと聞けばどろんこのまま、さらに臭く汚い現場へ向かう。 それを「完璧な日」という皮肉を言って終わる。 かっこいい・・・最高にしびれる。 反戦が一つのテーマと言えるんだけど、最後にみんなが雨の中それぞれの表情を見せるシーンでは、戦争の愚かさをいつまで立っても学ばない人間だけど、それでもみんな生きていくんだよ、と言うメッセージのようにも思えた。 ラストでは、主人公たちのあの苦労は何だったんだ?とばかりに雨によって井戸の死体があっさり浮かび上がってしまうのも悲喜劇的で最高なオチである。 紛争地での悲惨な現実を描く話でありながら、出てくるのは、女にだらしない主人公や、つねにジョークを飛ばすちょっとイカれ気味のおっさんなど、さながらお気楽アクション映画ばりのキャラで、楽しく見れる。 非常に素晴らしい映画であった。 [インターネット(字幕)] 10点(2021-04-13 05:45:07) |
65. 残酷で異常
《ネタバレ》 タイトルやパッケージのイメージと大違いの内容。 残酷という文字が気になって敬遠する人もいそうだが、グロテスクな表現は一切ない。 ジャンルはホラーではなく、サスペンス、そしてヒューマンドラマであろう。 序盤で、色々と不可思議な事が起こり、「これはいったい何?」と興味を惹きつけておいて、そこから更に生まれる謎、徐々に明かされる真実、意外な展開・・・と見るものをがっつり物語に引き込む構成は見事の一言。 しかし、こんな醜いのが主人公の映画も久しぶりだ(笑) デブでメガネでダサい。いかにもモテなそう。モテないからアジア系の貧しい女性を金で釣って結婚し、モテないからひたすら彼女を独占しようとした、という解釈でよいのだろうか?うーん、中身もクズである。 死んでからやっと、イケメンになったけれども。 地獄なのに、けっこう簡単にそこから脱出する方法があったり、また、そのやり方さえ分かれば他の人間にもできそうなのになぜかやらない、あたりが少々引っかかるところか。 地獄の表現もいい。あのブラウン管にいるババアの恐ろしさは秀逸。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-04-10 08:00:12) |
66. 貞子vs伽椰子
貞子と伽椰子をどう戦わせるのか?という楽しみがあったのだが、なるほど、そう来たか。なかなかいいアイディアだと思う。 ただ、その楽しみにしていた「対決」シーンは数分で終わってしまう。 どうせやるなら、もっとガンガンやりあわなきゃ意味がない。そこをがっつりやらなくて、VSの意味があるのか? 最後は合体してるし・・・あのさあ。 ホラー映画としては、かなりバカっぽい。無頼漢風の霊能力者が出てきて、もうその時点で、ホラーの雰囲気はぶち壊しで、恐怖を楽しむような映画ではなくなってしまう。 まあ、でも「VS」なんてやってる時点で、まともなホラーは不可能で、見てる方もそこはあまり期待してないだろう。ネタとして鑑賞するしかない。 霊能力者の二人をもう少しどうにかしてほしかった。どっちもセリフが棒読みだし、指を動かしてまじないをする仕草のシーンなんて見ていてこっちが恥ずかしくなる程のダサさである。 ところで、あの少女の方は、意味ありげに出てきた割には大してストーリーに絡んでくるわけでも、アクセントになるわけでもなく、存在意義がなかったんだが、何であんなの出したの? [インターネット(邦画)] 4点(2021-04-10 07:53:10) |
67. ゴーン・ガール
《ネタバレ》 後味が悪い映画だなあ(笑) とにかく、女がろくでもないやつで見ていて鬱憤が貯まるので、最後は女をとっちめて終わってくれることを期待した。 しかし、全くそうはならない。 完全に女の勝ちで終わる。溜飲が下がらないどころか、逆流して口からあふれそうである。 この気分の悪さもこの映画の魅力であろう。 展開もよかった。 物語の半分くらいで、嫁のもくろみ、夫婦間の真実など、すべての謎の答えは出る。 そこで一回、そういうことかーと思わせておいて、おいおいまだ続くのかって構成は変わっていて、面白い。 話としてはさすがにできすぎで、あんなやり方で殺人現場を偽装しても、さすがに警察が一通り調べたらすぐバレるだろうなあ、とはちょっと思うけれど、それは言いっこなしですかね。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-04-10 07:41:22)(笑:1票) |
68. パラサイト 半地下の家族
コメディでドタバタやりながら、貧富の差を描くということらしいのだが、別に面白くない。 ただただ面白くない。 単純にコメディ部分が面白くないし、貧富の差がテーマと言われてもはいそうですか、という感想しか出てこない。 解説サイトを読むと、貧富の差を描くために、カメラワークまでこだわりの工夫があるそうだが、それに誰がきづくのか、そもそも、それがあったらそんなに映画は面白くなるのか?という代物 貧乏一家側の兄弟は見てられないほどブッサイクなのもウンザリ。 この映画が評価される理由がさっぱり分からんなあ… [地上波(吹替)] 3点(2021-01-15 07:09:17) |
69. ブルー・リベンジ (2013)
最後まで人間関係も、主人公が復讐に至る背後関係がさっぱりわからんまま終わる。 とにかく意味不明。 特筆すべき面白さが何も見いだせない駄作。 [インターネット(字幕)] 2点(2020-11-17 21:33:22) |
70. キングダム/見えざる敵
サウジとアメリカの微妙な関係や、サウジの王室の問題を描くようなリアルで社会派な映画かと思っていたら、割と普通なアクション映画でちょっと拍子抜けした。 個性的な面々の4人がドンパチやって、相手をバッタバッタとなぎ倒す。特攻野郎Aチームみたいな映画だった。 FBIの人間が揃いも揃って軍の特殊部隊ばりの戦闘力を持ってるし、四方八方を敵に囲まれ銃撃をくらっても全員無傷だったりと、んなアホなーと思ったが、要はアクション映画なわけだ。そう思えば全然オッケー。どうも最初に社会派映画なイメージがあったから、リアルな映画だと思ってしまったんだよな。気持ちを切り替えて見る必要あり。 メインで描こうとしていたのはサウジの警官と主人公の友情なのだろう。そのあたりの展開は悪くなかった。 しかし、この映画、最後の最後で強烈なカウンターパンチをかましてくれた。 事件は解決し、何だかいい感じで終わるのかと思いきや、憎しみの連鎖は続いていく、というある種のバッドエンド。なかなかこしゃくなことをしてくれる。 捕まえたかった真の犯人を自ら捕まえに行くのでなく、相手の方から来てくれたおかげで(しかもかなり偶然の結果)、倒すことができた、という展開はちょっとどうかと思った。 [インターネット(吹替)] 6点(2020-11-17 21:32:02) |
71. ある戦争
何かを得ようとすると、同時に、何かを失うことになる。我々の人生にはそういうジレンマが常につきまとう。そして常に正しい判断ができるわけでもないし、そもそも正しい判断などというもの自体ないのかもしれない。 戦争映画と思いきや、後半は法廷劇に様変わりするのだが、平和な自国に戻っても、そのジレンマが終始つきまとうというのが面白い。 ところで、「傷ついた足」が象徴的に使われているのだが、加えて煙草を小道具として多用してくる。この煙草にはどういった意味があったのか? [インターネット(字幕)] 8点(2020-11-17 21:17:17) |
72. ラスト・ターゲット(2010)
《ネタバレ》 お話がただただつまらない。 序盤は、非常に期待をそそられる。 雪山で狙われる、一緒にいた女を無情に殺す、その後イタリアの美しい街で隠れてすごす、主人公が何者なのか謎だがどうも闇の世界の人間っぽい。 いいね!すごくいい。これは面白くなりそうだ、と最初は思った。 しかし、その後は地味な展開が延々と続き、そのまま大して盛り上がりもないまま終了。 作ったやつ、このストーリーで見るものをどう楽しませたかったのかね? あと、風俗嬢に入れ込んじゃうってのはどうなの。 渋いオッサンと思ってたら、いきなり風俗に行って、オキニの子に入れ込んで通い続けるんだから、びっくりした。 ゴルゴ13もよく女を買ってたけど、欧米の感覚じゃ、買春するのはそんなにダサくないわけ? でも、ゴルゴはあくまで向こうから誘ってきた売春婦を買って、しかも、ガンガン気持ちよくさせてメロメロにさせてから去っていくんだが、この主人公、せっせと風俗店に通い詰めて、お気に入りの子を毎回指名してるんだよなあ。風俗にハマったサラリーマンかよ。 ところで、売春婦が殺される事件があったようだが、あれは一体何だったの?オキニの風俗嬢がピストルを持ってることの理由付けにしたかっただけか? ちなみに、最後で主人公を狙撃しようとした女が撃つ直前頭から血を吹いて倒れるシーン。あれを「女が誰かに狙撃された」と誤解している人もいるみたいだけれど、あれは、女が自分を狙ってくることを予見していた主人公が銃に細工をして撃ったら暴発するようにしていたということ。 さて、内容はいまいちではあったものの、 主人公が過ごした町は、一週間くらい滞在したい!と思わせるようなステキなところで、旅番組としてなら面白かったのかもしれない・・・ [インターネット(字幕)] 3点(2020-11-16 00:25:41)(良:1票) |
73. 帰ってきたヒトラー
こういう題材だから、ウィットに富んだ風刺がいっぱいあるのかと思ったがほとんどない。ヒットラー最期の12日間の有名シーンを、まさか自社でもパロディしてきたあたりくらいはクスリとしたけど、それ以外何一つ笑いどころはない。 政治的なメッセージもいまいち感じ取れない。 ストーリーはあってないようなもの。 いやほんと、何がしたいのか、どの部分を面白いと思わせたいのかってのが全然分からないまま終わってしまった。 [インターネット(吹替)] 2点(2020-11-16 00:18:33)(良:1票) |
74. ライト/オフ
ひどい映画。映画の宣伝に使われている「電気を消したら何か影が見えて、電気を消したら何もいない」というシーンは面白い演出だと思う。 でもそれだけ。 ストーリーはもうひとつ。 ホラー映画ながら、人間同士(特に家族の)の絆がテーマになっている。しかし、描き方が薄っぺらい。主人公とその母との間の確執が特に話の中心であり、最後に母が自らの命を断ってまで娘を守ろうとする、というのがこの映画の感動のクライマックスということになるのだろうが、そこまでにお膳立てができていないため、感動できない。というのは、主人公と母との確執の部分、要は過去にどういう経緯があって娘が家を出たか、がきっちり描かれていないためだ。そのへんがあやふやなまま、お母さんが銃で頭をふっとばしても、心が揺さぶられない。 じゃあ、ホラー映画として楽しめたかと言うと…うーん、怖くないよね、これ。 あと、暗くなったらオバケが出るというのに、どうしてアイツらはいちいちご丁寧に夜に寝るんだ?昼に寝て、夜は人の多い明るいところで過ごしてたら?なーんてしなくてもいいようなツッコミがずっと頭から離れなかったのも、映画がつまらなかったからであろう。 [インターネット(字幕)] 4点(2020-11-15 23:34:32)(良:1票) |
75. ヒトラー 最期の12日間
追い詰められた人々の悲壮感、ヒットラーの狂気、破滅に向かう中での人々の悲劇的な最期。 それらが強烈に心に来る。 ヒットラーやナチスと言えば今や世界中から忌み嫌われる存在ではあるが、それでも彼らが追い込まれ絶望し、自ら命を断つ姿は、胸を刺すものがある。 また、ヒットラーという人間やその考え方に、人々がいかに陶酔し、信仰と言ってもいいほどにのめり込んでしまっている姿も色々考えさせられるものがあって面白い。 世界中でパロディにされているという、日本でも主にニコニコ動画でよく目にする総統閣下のお怒りシーンもあるので、そこも必見かもしれない。 ただ、この手の史実モノは観る人を選ぶであろう というのもお話それ自体に大した面白みはない。ドラマ性が低い、派手なアクションシーンがあるわけでもない。 それでもこの映画を面白いと思えるのは「実際にあったから」という、これに尽きる。 なので史実モノが好きでないなら、そこまで楽しめないであろう。 あと細かい事を言うと、爆弾が落ちるたびにカメラが揺れるのだが、ちょっと揺らし方が強すぎ。ちょっと不快感があった。 色々書いたけれど面白い映画だった。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-11-15 23:31:39) |
76. K-19
《ネタバレ》 最初から最期まで気の抜けないストーリーは素晴らしい。2時間ずっと釘付けになる。 圧巻はやはり、原子炉に防護服無しで修理に行くシーンで、見てるだけで背すぎが凍る。下手なホラーより恐ろしい。 艦長と副艦長との衝突も見せ所なのだが、副艦長は艦長に途中で反旗を翻す展開になると思わせておいて、全く逆の行動に出るあたり、意表をついてきて面白い。 しかし、お話には致命的な問題がある。 艦長の判断に、他の乗組員がその度に反発するのだが、最終的には副艦長含め乗組員が艦長を信頼し従うというのが、話のキモになっている。しかし、残念ながら、それが全くうまく成立していない。 というのも、艦長がみんなから信頼を得られるような人格者であったり、艦長として正しい判断をしているとは、とても思えないからだ。 飲んだくれた原子炉担当を更迭したとかが正しかったかどうかは何とも言えないが、あの圧潰深度限界までの潜航や、海氷の厚さも不明なままの急浮上することに意味があるとは全く思えない。実際、急浮上によってアンテナが壊れてしまい、その後救助を呼ぶことも上層部の支持を仰ぐこともできず追い詰められていくことになってしまう。 常に部下の意見に全く耳を貸さず独断専行なのもどうかと思う。そして何よりも、原子炉事故発生以降、明らかに人命を軽視し、軍の威信や利益を守ることを優先した行動を取りまくってるのがひどすぎる。軍人としては正しいのかもしれないが、観ている方としては腹立たしい。 彼は命がけで原子炉内部に乗り込んで修理してくれた若者を、やれ英雄だ何だとのたまうが、いやいや、アンタ、副艦長が提案したように船を放棄して他国に援助を求めていれば彼らは死なずに済んだだろ?とどうしても思ってしまう。 艦長が無能だったり人命より職務を優先する判断をすることそれ自体見ていて気持ちのいいものではないが、それよりも問題は、そんな彼をどうして、乗組員たちが皆一様に支持し、ついていこうとするのか?そこが全然釈然としない。乗組員たちは「いつ」そして艦長の「どの行動」によって、今まで反目していたのに急に艦長を支持するように変わったの?全然分からない。 乗組員や副館長が最終的に彼についていきます!というのや、軍事裁判で彼をかばうところが、この映画の見せ場なんだろうが、とにかく上記の点が釈然としないから、全く感動なんてありゃしない。 どうしてこんな作りにしたのか、不思議で仕方がない。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-11-15 23:26:47) |
77. ゾンビ・サファリパーク
《ネタバレ》 安っぽいB級ゾンビ映画だと思ったら意外にしっかり作られていた。でも、その程度。お世辞にも褒められた出来ではない作品。 ハイテク&商業主義な巨大企業が裏で非人道的なことをやっていた!…なんて結末はゲップが出るほどよく見るネタで、意外性などあるわけもなく、ただただげんなり。彼氏の裏切りも予定調和。もうちょっとひねろうよ。 ヒロインはヘドが出るような人道主義者で、もはや助かる見込みのない感染した仲間を撃ち殺した彼氏を批判する。その後も各所で綺麗事といい子ちゃんぶりを発揮し、とにかくイライラさせてくれる。 展開はスピーティで、少なくとも見ていて飽きさせなかったのだけは評価したい。 [インターネット(吹替)] 5点(2020-03-21 07:15:36)(良:1票) |
78. クラウン
褒めるべきところが全くない映画。 ストーリーは最初から最後まで、これでもかと言うほどよくある展開で退屈の極み。 呪いの道具を身に着けて、悪霊つきになって、なんやかんやでドタバタあって、主人公も子供も無事で、悪いやつは死んだけど、呪いの道具は残ったまま…… これって、ほんと一部のスキもない超ありがちストーリー。 ピエロでホラーってのも今更すぎるしなあ。あと作中で語られる「ピエロというのは元々は悪魔で・・云々」の話は全部ウソ。そんな事実はどこにもない。そんなウソかますのもどうなの? 映像的な面白さも皆無で、肝心のピエロ化した男の姿がどんなふうになってるのかよくわからない。いつも暗かったり動いてたりでごまかしごまかし。子供を殺す、食べるシーンも同様。 低予算映画だから仕方ないんだろうけど、だったらせめて脚本の方をもう少しひねってくれよ。 [インターネット(字幕)] 2点(2019-07-04 22:10:24) |
79. スケア・キャンペーン
《ネタバレ》 悪くはない映画だが、不満も残る。 何度かどんでん返しのあるストーリーなのだけれど、自分はそこから更にもう一度、ラストに仰天のどんでん返しがあるんだろうなー、と思ってた。 というのも、マスク集団が、一体何者なのか、何が目的なのか、ずっと謎として残っていたから。全員顔が見えないわけだから、実はマスクを取ったら知ってる人物が…?という展開が来そうなものではないか。 ところが、そこは何もなし。すべて謎のまま終わった。 かなりの肩透かしだった。 あのマスク集団に関してさらなるどんでん返しと、決着を用意していてくれれば、この映画の評価もだいぶ変わったであろう。残念。 だいたいあのマスク集団は結局何だったんだ?主人公を逃がした意味もよく分からない。そのあたりはきっちり解決して終わってくれないと、喉に小骨が突っかかったままのようでスッキリしない。 面白かったが、惜しい。 [インターネット(字幕)] 7点(2019-07-04 21:58:37) |
80. タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら
《ネタバレ》 くだらなさすぎる。善良な二人の主人公がどんどん殺人鬼に仕立て上げられしまうところまでは、まだコミカル映画として楽しめた。そころが、後半、徐々に話がシリアスになってしまって一気に冷めた。相手の殺人鬼との格闘、彼の知られざる過去、主人公の勇気、主人公二人の友情、ヒロインとの愛…そういう言ってみれば「物語の王道的エンターテイメント要素」を真面目にやっちゃう。 あれだけ、前半ギャグでドタバタやってたのに、後半突然、そんなのを真面目にやったって面白いわけない。 話の大筋としても、ご都合主義な点が目立つ。大学生側も主人公側もなぜ警察に連絡しないの?なぜ逃げないの?いくらギャグ映画でも不合理不自然極まりない。 最後のどんでん返しは実は父親が犯人だったんだよ!ってだから何だ?って感じ。自分に自信を持てない冴えない男が、事件を通して成長するというというドラマもあまりに古臭いし、その描き方も、そもそも彼の「冴えない日常」が事前にきちんと描かれてないので心動かされない。 あと、あの殺人鬼大学生は結局生き残ってたわけだけど、ラスト、主人公のところには来ないのか。くだらなかっただけに、せめてバッドエンドにして最後のインパクトあればまだ面白かったかもしれない。 [インターネット(字幕)] 3点(2019-05-08 05:14:12) |