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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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61.  ハケンアニメ! 《ネタバレ》 
 2つのアニメ番組の制作に携わる人々の姿を通じて、作品を創造してゆく動機、意志、苦悩、スタッフ間の摩擦、調和、制作にまつわる現実的な障害、問題、組織のあり様を面白く、そして感動的に描いているわ。  創作意欲に突き動かされればそれで作品が成立するワケじゃなくて、1つの作品が世に送り出されるまでにとても多くの人手と手順を踏む事になる、それが生々しい混乱劇となって興味深く見られるの。   個性的な登場人物に揉まれながら成長してゆく新人監督を吉岡里帆さんが好演。最初から最後まで飾り気のない地味なキャラなのだけれど、だからこその存在感があって。  そして彼女が(一方的に?)反目する事になるプロデューサーの柄本佑さんは淡々としながら要所要所でインパクトを与えるおいしい役どころ。個人的にはこちらの『サウンドバック』組を中心に見てたカンジで中村倫也さん&尾野真千子さんの『運命戦線リデルライト』組にはそんなには気持ちが動かなかったかも。   映画は2つのアニメが競いあって放送開始から最終話まで駆け抜ける様を描いているのだけど、その期間の設定ゆえ、ちょっとエピソードが足らない感もありつつ長さを感じさせもして。いきなり全てが進行中な状態から始まって大勢の人達、多くの舞台、多くのセリフが駆け抜けて、それでも監督の自宅やお風呂屋さんのシーンで緩急付けてるつもり、なのでしょうけれどゴチャゴチャした印象とテンポ悪くなってる印象とが混在しちゃってるカンジね。  2つのアニメの映像がかなり挿入される事で更にゴチャついた感が無きにしもあらずなのだけど、でもその2つのアニメはしっかりと設定、デザインされて、よく動いてちゃんと世界が確立している状態は見事だわ。   あと、大事なところがパロディなのはむしろ残念。『ライトスタッフ』や『アルマゲドン』や『モンスターズ・インク』やアレやコレやでお馴染みの横並びスローモーとか、エンドロール後のラストカットとか、この映画オリジナルな映像ではないって印象になっちゃって。   そしてどうしても気になってしまうやりがい搾取感。この映画はアニメ業界の実態を色々と描きつつも現場の闇からは目を逸らしている感じね。熱意にほだされて動く下請のアニメーターたち、だけど下請スタジオの多くのアニメーターがいくら働いても残業手当も受け取れず10万円未満の固定給で生きている現実があって、でもこの映画は現場の上の人達の熱意は描いても、それを支える下の方の人達の問題は語らない、そこが「あくまで娯楽映画として見てください」っていう、本編で描かれていたしがらみを突破してゆく意志に反してるこの映画の皮肉な限界。  今、映画の製作現場でのセクハラやパワハラ、違法な労働体制が白日の下に晒されている中、この映画はひと昔前の作品って感じがしないでもないわ。
[映画館(邦画)] 6点(2022-05-26 15:53:05)(良:1票)
62.  トップガン マーヴェリック 《ネタバレ》 
 実際に役者さんが戦闘機に乗って撮ってる映像の迫力はもの凄いし、CGを多用してるようだけれどそれを全く感じさせない戦闘シーンに進化を感じたわ。  だけどナカミは良くも悪くも『トップガン』そのまんま。懐かしの80年代の世界。うわあ、今の時代にこんなの見せられてるんだぁ、って(ベッドシーンの映像表現なんかスゴいわよ)。   前作から36年が経過して、その時間の流れがしっかと映像に刻まれているわ。前作のキャラクターたちが辿った道、その重さ、残酷さ。だけど脳筋イケイケだった前作から何かが成長、進化するワケもなくそのまま脳筋イケイケな現在が展開してゆくのよね。ブルース・リー師匠の精神そのままに『スター・ウォーズ』のデススター攻略戦みたいな作戦に挑むマッチョたちの物語、過去の遺物なんて言わさない!って根性論の世界。マーヴェリックとグースの息子との不和だって根性論で乗り切ってゆくようなモノだし。ついでに音楽もメインはもちろんおなじみのアレね。  相変わらず悪い敵国だったら攻め入ってOK!って、だけどNATOに敵対する国を叩け!みたいなかなり生臭い状態なワケで。そこら辺、娯楽映画、ファンタジーとして割り切ってね、ってのも前作から変わらないのよね。あれだけのコトをしたらまず間違いなく開戦に至ると思うのだけど、そうならない世界のお話し。こことは違うマルチバースみたいなモン。   映画はトニーに敬意を表しているのかしら、前作のヤな撮り方まで踏襲しちゃってるわ。アゴと頭が切れた大アップ頻出とか逆光いっぱいとか。それでもスーパー35を70mmまでブローアップして粒子ザラザラだった前作に比べたら今回のIMAX版はかなりマシになったわ。   でもね、人殺しの道具な戦闘機をカッコいいと思っちゃうのもまた事実なのよね。戦闘機が飛んでる映像の気持ち良さ、大画面いっぱいの飛行ショットの爽快さは抗えないし、過去の遺物扱いされてもやっぱりF-14カッコいいわぁ、って。兵器に抱くカッコいいって感覚は戦意高揚のためのワナにかかった状態なのかしらねぇ。せめてそのカッコ良さは創作の中だけで完結していて欲しいものだけれど。   相変わらずのトムの俺様映画だけれど、それだけトムの頑張りっぷりもおなじみトム走りも見られるし、大迫力の映像と音響(前作はただやかましいだけだったけど)で迫力たっぷり、とりあえず頭カラッポにして見るのが吉、って映画。現実は全然別のハナシだけどね。
[試写会(字幕)] 6点(2022-05-13 20:50:47)(良:2票)
63.  シン・ウルトラマン 《ネタバレ》 
 初代マンのリアルタイム世代なのだけどウルトラシリーズは『帰ってきた~』途中でリタイア状態で(ランドセルにガムのシールべたべたに貼りまくってたのにスノーゴンの回を見てから恐くて見れなくなっちゃった)、以降殆ど縁のない状態ね(『80』の前半部分だけは楽しんだ記憶があるのだけど)。  初代は大好きで、だから今回の映画は庵野&樋口コンビの毎度のセンスで作品を壊しちゃうんじゃないかって不安と、トラウマの再現を見せられるんじゃないかって不安とがあったのだけれど、後者は無かったものの、前者はそれなりにやらかしてくれたカンジね。   最初の3分の1くらいは楽しんだの。例のバカくさい短いカットの積み重ねと(文字読み切れないわよ、っていうか読ます気もないでしょ?)ヘンなアングルの連続ながらも『シン・ゴジラ』よりもあくまで『ウルトラマン』寄りな世界で、『ウルトラマン』見てる、って実感できて。怪獣が出てきてウルトラマンが倒す、その当たり前なウルトラマンのカタチね。  だけど中盤以降、世界情勢がどうだこうだ武力としてのウルトラマンがどうだこうだと語り始めてからはグダグダ。未熟で愚かな人類を利用しようとする者、抹殺しようとする者、それに抗うウルトラマン、それを大量のセリフで語ってドラマはエピソードの羅列、お団子状態。ウルトラマンは神ではなくて自我を持った一宇宙人ですよ、と。ウルトラマンの個が見え過ぎちゃってて神秘性ひっぺがしちゃってるわ。  今回それを描くエピソードや映像が凡庸なオタク臭いシロモノに見えて、ちょっと退化してる?とも思えたし。ごく一部の人間のセリフばかりで実態見せない大状況とか(『大怪獣のあとしまつ』みもあるわ)オタク肯定とか使徒みたいなゼットンとか。全体的になんか音痴なカンジがするのよね。   それに役者さんをローアングルと大アップで撮りまくってるのだけど、映り方に対して無頓着な気がするのね。女優さんは綺麗に撮ろうよ・・・ってもう気になっちゃって仕方ないの。  更に更に長澤まさみさんに対する数々の描写が無神経過ぎてもう。自分のお尻叩く描写の繰り返しとか巨大化時のローアングルとか執拗に体のニオイ嗅がれるとか、昭和オヤジのイヤ~な嗜好をそのまま映像化してるみたいな感じで(そこに意味があるとしてエロティックやフェティッシュに描く必要は一切無いわよね? 擁護派はアレコレ理屈こねるけれど実際ツイッターには長澤まさみさんの太ももがどうのパンツがどうの体臭がどうのってツイートが溢れてるのが現実でしょ?そういう人には何も言わないワケ?ウンザリ。違和感抱いてる特オタさんたちもいっぱいいるのが救いだけれど。っていうか、コレ、仮にも『ウルトラマン』なのよ?)、この人達ってそういうのアップデートできないままに朽ちていくのかしら?って思ったわ。   やっぱりね、ウルトラマンは子供を楽しませて、子供に夢を見せてこそだと思うのね。懐古じじいのオモチャにしちゃダメだと思うわ。『仮面ライダー』も不安だわね・・・
[映画館(邦画)] 5点(2022-05-13 19:47:35)(良:3票)
64.  ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス 《ネタバレ》 
 予習として『ワンダヴィジョン』と『ホワット・イフ...?』と『ロキ』を見とけ、ってなハナシだったので見たのだけどなんだか余計にワケ判んなくなっちゃって。この人誰?この人どこに出てたっけ?この人死んだんだっけ?ってのが続出して更に前の映画を見直さなくちゃダメ?みたいな。『ワンダ』のダーシーがステキって思ったのだけど、それがアタマの中で『ソー』でステキだったダーシーと繋がるのは『ホワット』を見てから、って有り様。まあ『ワンダヴィジョン』は見ておいた方が吉、ってカンジ。ワンダがああなっていった経緯や二人の息子の事なんかが描かれているから。『ホワット・イフ...?』と『ロキ』はマルチバース的なアレって事でそんなには。   っていうか、予告編で思わせてた良いストレンジVS悪いストレンジっていうのを期待してしまうと思いきり肩透かし、それはもうごくごく一部分でしかなくて。むしろこれって『ワンダヴィジョン』の完結編的なカンジね。ストレンジ&未来のミズ・アメリカ(よね?)VSワンダ、って状態でワンダが徹底的にヴィランになっていて、あー、ワンダ、戻れないところまで来ちゃったのねぇ、って。なんか随分と可哀想な扱いになっちゃってない?   ストレンジの映画としては魔法ワールドの神秘!みたいな前作の方が面白かったかしらねぇ。今回は監督のカラーに合わせたってワケじゃないのでしょうけれど・・・いや、合わせてるかしらねぇ、とてもホラー色強いわ。サム・ライミ監督のテンション高めなホラー映像続出、かなりグロよ。特にキツかったのがヒーロー達が次々と惨殺される展開。容赦無し、お子様にトラウマ植え付けそうな感じでディズニーはアレでよくOK出したわね。見てて『X-MEN:フューチャー&パスト』でドン引きしたことを思い出したけどヒーローが惨殺される展開ってホント苦手。そしてそういうのが好きな人たちっていうのが確実に存在してるのよねぇ・・・。あと監督的&音楽的に『オズ はじまりの戦い』感も。ワンダがエヴァノラみたい。  アタシとしてはもっと“ストレンジ自身”が活躍する映画が見たかったわ。ストレンジおじさん、せっかくいいオトコなのに悪かったりゾンビだったり色々ヘン。   それにしてもマルチバースって概念はあまりよろしくないわね(『スパイダーバース』や『ノー・ウェイ・ホーム』は名作だったけれど)。色々なコトが出来ちゃうのでなんでもアリになっちゃって幾らでも広げられちゃう。ぶくぶくと肥大化して受け手は追い切れなくなっちゃうし製作側も制御も出来なくなるんじゃない? 映画だけならともかく「ドラマも見ないと完璧とは言えません、そのためにサブスクに契約して月額料金払いましょう」って、なんか・・・ねぇ?
[映画館(字幕)] 6点(2022-05-05 16:35:19)(良:1票)
65.  クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝 《ネタバレ》 
 満席に近い場内、沢山の子供たちにウケまくっていたのでこれで正解でしょうね。特にウケてたのは「・・・リスだな」ってところかな。で、ここから先は今の『クレヨンしんちゃん』を楽しんでる子供たちのためにはな~んの役にも立たない古びたオタクの戯言でしかないのでご了承を。   前年の『天カス学園』がマグレというか奇跡というか、今回は随分とまあ昔に戻ったモンね!って結構ネガティブな意味で感心しちゃったわ。個人的に迷走期だと思ってる頃の『クレしん』映画(ケツだけとかアミーゴとかプリンセスとか金矛とかオタケベとか花嫁とかスパイとか)を思わせてくれちゃう感覚が見事にスクリーンに甦って、今更この古臭い『クレしん』を見せられてる?って随分と醒めた、スクリーンから距離置いたような見方になっちゃったわ。   閉鎖的な村社会で抑圧された母子を解放に導くとか、利己的な欲望のために少しずつ削られてゆく地球資源の保護とか、そこに織り込まれたテーマやメッセージは判らないではないわ。でもそれを描く『クレしん』の要素は本当に毎度のアレって状態。素晴らしき野原一家が地球の危機を救うため、そしてゲストキャラを救うためにファンタジーな世界で頑張ります!って。アタシ、野原一家(や、かすかべ防衛隊)に地球の命運を任せちゃうパターンにウンザリしちゃうのよね。野原一家はアベンジャーズやプリキュアのようなモノだとは思ってないし。春我部(春日部)市の一戸建て住宅に住む普通の一家よね。  物語的にもスッキリできない部分が色々あって。ちよめの、母親の想いが優先されてて病院での取り違えを偽装するという大きな問題部分を軽く扱っている感がするし、動物化してしまった祖父や父はそのままでいいのかいな、っていう感じだし。  クライマックスで正義に目覚めてボスを裏切る事になるくノ一はそこまでドラマが全然描かれていないので唐突な存在だし(途中で命令に躊躇する表現はあったけれど)、ヘソの栓を戻す展開はごちゃごちゃと様々な要素が混乱しちゃってて盛り上がりきれなくて。  第一、具体的なタイムリミットが提示されるにも関わらず、それが物語に全く関わってこないのよね。そこから時限サスペンスを作れそうなのに、逆にリミットがある状況でみんなそれを気にする事なく一体何をモタモタやってるの?ってイラつくだけの状態になっちゃってて。あの幽閉されていた博士は単に状況説明のために存在しただけ?  毎度の野原一家の家族愛描写は本当に毎度の繰り返しだし。もう『寅さん』的な。   『ブリブリ王国』『わくわく温泉』『ヤキニクロード』『カスカベボーイズ』などを思わせるエピソードやビジュアル満載!なのだけれどそれが有難いこととも思わないしねぇ。アクションシーンでの枚数使った作画は良かったわ。ボスの歌唱シーンや昭和ネタが無かったのも良かったわ。   あと、しんのすけは安易に泣かせたらダメ。原作からの伝統的にダメ。   でもそれも今の時代にほんの短い期間『クレしん』に親しむ子供たちにとってはなんの問題もないわよね。大人のクセしてずーっと『クレしん』見続けてきてアレコレとケチ付けてるのは雑音みたいなモノ。オタクの言う事って基本信じる必要ないわ。
[映画館(邦画)] 5点(2022-04-25 16:08:46)
66.  ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 《ネタバレ》 
 原作のJ・K・ローリング氏、トランスフォビアとして批判を受けているけれど彼女の長い長い釈明文を読んだ限りでは彼女の言う事はその殆どが正しいと思うわ。ただ、“彼女が認めた”トランスジェンダーの人と、逆に彼女が批判するトランス団体、更にトランスのフリした性犯罪者以外の(つまり大部分の)性自認に悩む人々に対して上から目線の彼女の文章はとても冷酷。それを支持するフェミニストもまた差別主義者か否かはともかく冷酷ね。  そんなローリング氏に今後一切ビタ一文お金を落とす気は無いのだけれど、一方で『ハリー・ポッター』に原作時点から親しんでカウントダウン上映から始まってハリー、ハーマイオニーとセドリックとチョウ、ロンとジニーとルーナの舞台挨拶見に行って、ほぼ全作初日に見てるアタシがいきなりスッパリ断ち切れるのか?って問題もあって(それ以前に一応映画オタクなので)、色々と葛藤しながら貯まったポイントで鑑賞したわ。   前作よりは面白かったかしらねぇ。何しろ前作はキャラ設定の説明に終始して魔法生物ほぼ置き去り状態だったもの。それに比べたら今回は魔法生物が一応物語に重要な存在となっているものね。それでもキャラ設定の披露がメインで物語的には薄い、ってのは相変わらずかしら。今回の主軸はダンブルドアとグリンデルバルドの愛憎劇、原作者公式の二次創作かよ!って感もあるけれど、そういうのが好きなんでしょうね。ニュート主役なのに目立たないわよ。  『ハリー・ポッター』シリーズの少なくとも前半では楽しい要素だった魔法もここでは闘いと展開に都合のいい要素のための存在になっていて、デヴィッド・イェーツ監督の作風とも相まって楽しい魔法ワールドはもはや遠い昔。殺伐とした世界の混沌をキャラ萌えで愉しむという、ついて来られるヤツだけついて来い、みたいな感じになってきた気もするわ。  物語はひたすらに点で存在していて流れにはなっていなくて、唐突な展開をしがち(いきなりホグワーツかよ!みたいな)で、そこら辺はローリング氏の問題かしらね。アタシ、これまでの映画のレビューを読み返してみたら『アズカバンの囚人』以降、原作に対しては批判的ね。それでも今回、完全解決とはいかないけれど話に一応のケリがつく感じなのは良かったわ。  それにジュード・ロウとマッツ・ミケルセンは落ち着いた、大人の表情で関係を物語り、一方でクライマックスでは激しい戦いで秘めた想いをぶつけて魅せてくれたわ。ジョニー・デップからマッツに交代した事で獲得したモノっていうのが確実にあったように思うの。   でも『ファンタビ』ってこれ以降も拗らせイケおじバトルが好きな人向けの世界が続くのかしら? 個人的にはかなり遠く距離を置くカンジになるのでもうどうでもいいけど(投げ槍)。
[映画館(字幕)] 5点(2022-04-22 21:39:40)(笑:1票)
67.  モービウス 《ネタバレ》 
 あまりにありがちな物語を補うホラーな演出や映像は良かったわ。戦闘シーンでのもや~んとしたエフェクトもちょっと独自性があったと思うし。   でもいかんせん新鮮味がない、どっかで見たようなハナシばかりで出来上がっちゃってるのよね。『ドクター・ストレンジ』『ザ・フライ』『ダレン・シャン』『クロニクル』『スパイダーマン』等々、映画を見ていて色々連想したわ。  主人公、ヒゲ面はあんまり表情が判らなくて個性が隠れちゃってるカンジ。CGでワル顔になった瞬間とかのイメージばかりが強いわ。お友達でライバルで悪役なカレの方がノーマル時からクセ強くて良かったわね。  事件を追うエージェント二人もなんか添え物感が否めない地味さだし。   『ヴェノム』シリーズといいコレといい、『スパイダーマン』以外はソニー=マーベルってそこそこで作ってる感じがしちゃうわね。ディズニー=マーベルは盛り過ぎ&量産し過ぎな感もあるけれど。他作品との関連を小出しにして匂わせはするのだけれどちっとも期待できないほどにはそもそもの魅力に欠けてしまっているように思うの。もっと1本の映画だけで満足させて欲しいわ。   ところで主人公のカレ、船からどうやって街に戻ったのかしら? アタシまさか気付かない間に寝ちゃってた?
[映画館(字幕)] 5点(2022-04-10 21:43:50)
68.  ベルファスト 《ネタバレ》 
 少年が生きるごくごく狭い範囲の視点から描かれる複雑な世界の物語。   小さな街のコミュニティの中に宗教の対立があって破壊と暴力があって、家族の葛藤があって、でももちろん少年の等身大の、恋や楽しみや勉強や悪さ等々、様々な事柄があって。少年なりに捉えた社会と個人との関わり、成り立ちが楽しかったり切なかったり悲しかったりするわ。少年の、周囲の状況に流されやすいカンジがコミカルで愛らしいの。   画作りはちょっと作為的に過ぎる気もするの。モノクロとカラーの使い分け、余白をたっぷり取った、被写体を偏らせた構図、フレームの中に更にフレームを作った画、ぐーっと仰瞰でひとびとを捉えた画。それらは少年の視点とはちょっと違う、多分にゲージュツを意識した感があって、もう少し抑えた方が良かったかも、と思ったわ。  でも『宇宙大作戦』や『真昼の決闘』『恐竜100万年』『チキチキバンバン』といった作品が散りばめられていて、少年が生きた時代を示すと共に少年の生きる現実と対比された夢のカタチとしてノスタルジックに機能してたわね。   ベルファストという土地に縛られた一家が状況に追われるカタチで呪縛から解き放たれてゆく、でもそこに希望が垣間見えるのが救いね。
[映画館(字幕)] 7点(2022-04-10 19:37:42)(良:1票)
69.  SING/シング:ネクストステージ 《ネタバレ》 
 吹替版、字幕版の両方見てからのレビュー。   前作の方が物語としては面白かったのね。前作はどん底なひとびと(全員、人じゃないけど)が這い上がって自分の居場所を勝ち取るサクセスストーリーだったのだけれど、今回は前作で既に成功してそれなりの地位、それなりの立場から始まる物語なワケで。その苦悩やジレンマも多くはもう一段上へ、というもの。田舎芝居から一流のブロードウェイミュージカルへ、という状態、プロフェッショナリズムについてのハナシになっていて、ちょっと遠い存在へと昇っていっちゃったねぇ、って感はあるのね。相変わらず山師なコアラはヤバいヤツだけど。   だけど今回は1つの大きな舞台を創り上げるという流れで物語が組み立てられていて、そこに向ってゆく様々な力、完成された舞台の魅力で前作以上に盛り上がりを見せてくれるわ。裏方のひとびとの仕事にもスポットライトが当たっていてスケールの大きな群像劇になっているの。  キャラが増えた分、ひとりひとりの扱いは小さくなった感があるわ。キャラの振れ幅が小さくなった分、ドラマチックな要素は薄まったし、新キャラで重要なポジションなハズのクレイ・キャロウェイですらそのくらいで心変わりしちゃうんだって程度のドラマの量だし。  そうしてまで描かれる群像と、同時進行してゆく多数のエピソードで形作られてゆく大きな流れ、そしてたっぷりと時間を取って魅せるクライマックスのステージが圧巻なのね。一流のショウを見ている気分になれるの。その背後で展開する、舞台を阻止しようとするジミー・クリスタルとの攻防のサスペンスがジャマなくらいには。  個人的に特に良かったのは新キャラでジミーの娘のポーシャのステージね。お金持ちのワガママ娘から一転、父親の呪縛から離れて飛び立つ舞台、しなやかなデザインと動きも伴って、とてもキモチいい、爽快な歌と映像だったわ。   前作はそれなりに字幕版と吹替版とにデキの差があった、吹替版はそこまででは・・・って印象だったのだけれども、今回はプロ意識の物語に合わせるような感じで吹替がグレードアップしていてとても成長したものになった、字幕版との差をあまり感じないものになったと思うの。歌唱シーンが前作よりもテクニカルな、難度の高いものを要求されてる状態なのだけどみんな見事にこなしていて。それに初参加のアイナ・ジ・エンドさんはキャラにぴたっとハマってまるでポーシャは彼女のために作られたキャラみたいにすら思えるし。稲葉さんは声優としてはアレだけど歌はさすがだし。   前作からのキャラも今回登場の新キャラもみんな好きで、そんなキャラたちが織り成す世界が大好きで。でも今回最大の功労者はイグアナのミス・クローリーかしらね。
[映画館(吹替)] 8点(2022-04-10 18:44:23)(良:1票)
70.  シャドウ・イン・クラウド 《ネタバレ》 
 予告編を見た時には「大戦時に活躍した女性パイロットの話?・・・ってそっちかーい!」って心の中でツッコミを入れたのだけど(いきなりグレムリン襲撃だものね)、本編を見たらもっとずっとツッコミの量は沢山だったし、そしてもっとずっと色々な意味で複雑な映画だったわ。   予想していた映画と違って始まってわりとすぐにワンシチュエーション映画のようになるのね。狭い空間に閉じ込められたクロエの一人芝居がずっと続くの。そこは無線から流れてくる男達のホモソーシャルとセクハラと男尊女卑の世界。クロエが大量に浴びるハラスメントのストレスはハッキリ言ってとてもシンドいのね。その上、グレムリンと日本軍の戦闘機が登場して、だけど誰も信じない。頭のおかしなバカな女の戯言など誰が信じるか、って。見ているこちらはクロエがひた隠しにしている秘密まで加わってストレスたっぷりになってゆくわ。  そして「秘密の任務」で運んでいるモノの中身が判明した瞬間から映画はガラリとカラーを変えるの。ここから別のジャンルに突入しました、くらいに。『未来少年コナン』の巨大機ギガントみたいな世界よ。逆さだからもっと大変かしら。もうツッコミの嵐みたいな世界に突入するのだけれど、ここからクロエの逆襲大暴走とばかりにこれまでクロエを抑圧してきたモノたちへの反撃が繰り広げられるのね。役立たずな男たちを越え、脅威や災難を越えてゆくの。  ラストは人間パワーローダーね。『エイリアン2』のリプリーとパワーローダーが生身のクロエひとりに集約されて、周囲は畏怖の念におののくという。映画はエンドクレジットの写真と共に高らかにフェミニズムを謳いあげ、見終ってなんだか凄いモノを見ちゃったわ、って。   危機的状況下で男と女は共闘しなければならない、とかじゃないのね。とりあえず男なんてどうでもいいの、女は女で生きる意志と力を持ってる、って感じでホモソーシャルを仕方なしに許容したりとかしない。それがいっそ痛快で清々しいわ。  83分と短いけれど(エンドロールを除いたら75分ちょっとくらいかしら?)ほぼ出ずっぱり、繊細な演技から大々的なアクションまでこなすクロエの奮闘っぷりをたっぷり堪能できる映画。あくまでB級感覚のバケモノが出てくるツッコミだらけのヘンな映画、だけどね。
[映画館(字幕)] 7点(2022-04-10 12:56:01)
71.  THE BATMAN-ザ・バットマン- 《ネタバレ》 
 『セブン』の世界のバットマン、みたいな映画ね。   陰鬱な、雨が降り続く鉛色の街で繰り広げられる犯罪とそれを追う人々の物語。っていうかジャンル的にはホントに刑事アクション、探偵アクションものな雰囲気が強くて(ゴードン警部とのバディものでもあるし)、ヒーローがバキバキ活躍します、って映画ではないのよね。  その雰囲気作りのために多くがリアルでそして地味だわ。ペンギンは普通のおっちゃんだしキャットウーマンはなんか鼻マスク? リドラー(古いおたくはついナゾラーって言っちゃうわね)は安い仮装したヘンタイ、みたいな。バットマンだけはちゃんとしてるけど。  ヒーローものとしての華は徹底的に排除されてるのね。   謎を追ってあっち行きこっち行きあっちに戻って、みたいな展開が芯にあって、その上でブルース・ウェインの過去と現在があって、キャットウーマンの過去と現在があって、リドラーの・・・で、クライマックスのスペクタクルな展開があるので盛り沢山、その分長いわ。『ダークナイト』と一緒で「まだ~?」ってなっちゃった。  『セブン』みたいとは書いたけど演出やカメラはそこまでは到達していないので目を見張るほど、というホドでもないし、バットマンとして説明しておかなくちゃいけない部分はさすがに知ってるワケだしねぇ。今回は自分の知識とどれだけ違いがあるのかしら?っていう興味はあったけれど。   でもパティンソンは良いわ。従来のブルース・ウェインとバットマンの光と影みたいな描き分けは無くなってずーっと影。ずーっと暗いの。むしろブルース・ウェイン状態の方がコミュ障の人間嫌いだもの。バットマン状態では暴力ってカタチで他者とコミュニケーション取ってるもの。  バットマンになる時には目の周りを黒く塗ってる、そのマスクをしてない状態が妙に似合ってて。アタシがアレ真似してもV8を讃えよ!みたいになるわね。  パティンソン、16年半前に生で見た時には(ハリポタの時ね)軽そうなにいちゃんってカンジだったけど、憂いを含んだいいオトコになったわ。   こういうイメージこそが『バットマン』だ!みたいなのがファンの本音なんでしょうけれど、アタシ的にはもう少しヒーローものとしての華が欲しかったかな。あともうちょい短く。
[映画館(字幕)] 6点(2022-03-17 16:17:38)(良:1票)
72.  ゴーストバスターズ/アフターライフ 《ネタバレ》 
 『ゴーストバスターズ』は全部リアルタイムで見てきてるのだけれど、好きなのは黒歴史扱いされてそうな2016年版だけなのよね。1作目は笑えないコメディとちょぼちょぼなスペクタクルって印象しかないわ。  でも今回の映画はとってもワクワクしたし感動したのね。1作目のことを大切にして、1作目への愛に溢れていて。1作目から37年を経た時の重さがリアルに伝わってきて、自分が生きた年月と重なって実感を伴って感慨深くて。  1作目のあのクルマ、あのガジェットの数々、懐かしい日々、還らない人・・・。音楽もエルマー・バーンスタインが創造した世界にきっちりとオマージュを捧げていて。深い深いノスタルジーと感傷の世界へと誘われていったわ。   でもちょっと待った。この映画自体、なんか新しいコトしてる?   出てくるモノは1作目で創造されたモノばっかり。登場人物たちは1作目のガジェットを使うだけだし、敵は1作目のゴーザ、門の神、鍵の神、緑の大食いのアイツとマシュマロマン。1作目のネタばかりで構成されちゃってるのよね。  オリジナルなのはドラマ部分くらいなのだけれど、それも1作目のキャラクターから発展させたものだし、1作目のオマージュばかりに忙しくてこの映画独自の魅力はなんだかとても頼りないモノになっちゃってるのね。せっかく主人公の女の子は魅力的なのに、彼女と彼女をめぐる人々のドラマはスカスカ、お母さんもお兄ちゃんも先生も仲間もあまりちゃんと活躍できてはいなくて、クライマックスの肝心なところはやっぱり大々的ノスタルジー!って状態。   これ、1作目が存在しなければ一切何も成立しない映画なの。せめて次世代へのバトンタッチをきっちりちゃんとしておくべきなのだけどラストシーンもあんなでしょ? 懐かしさに感動した、感傷的になった、でもそれだけでいいのかしら?   映画もアンタも共にトシ取ったし、みんなで一緒に棺桶にGO!みたいな感覚になっちゃったわよ。
[映画館(字幕)] 6点(2022-03-17 15:05:52)
73.  クライ・マッチョ 《ネタバレ》 
 誘拐した子供と旅をするロードムービー『パーフェクト ワールド』、若者との出会い、ふれあいを描く『グラン・トリノ』。今回の映画の設定に、イーストウッドの過去作から予感させるほろ苦い結末。ところが。   イーストウッドもさすがに老いは隠せようもなくて、ヨレヨレした姿をスクリーンに晒してるわ。お世辞にも「矍鑠とした」なんて言えないわね。  で、そのヨレヨレが人妻から誘惑されたり未亡人に惚れられたりする映画なのよね、コレ。無いわー、それ絶対無いわーって。しかも前かがみにヨタヨタと歩くような爺さんが暴れ馬に乗っちゃうのよ。途端にカッコ良く溌剌とした姿に・・・ああ、当然スタントマンよね、って。  これってホラ吹き男爵の物語みたいなモノね。数々の武勇伝を抱えた、女性や子供にモテモテの爺さま。でもそれってイーストウッド自身の事なんじゃないかしら。映画というホラを吹き続けた男の物語。   イーストウッド監督作品には自分が主演のものと自分は出てないものとがあって、自分が出てないものは実話ベースのドラマティックな映画が多い一方、自分が出ている作品はカッコいい自分のハナシよ。ちょっと影があったり妙に屈折したところがあったりもするけれど、基本カッコつけたオトコの物語。冒険野郎で孤高の存在でワイルドでちょっとユーモラスさもあって。  『運び屋』でもすっとぼけた爺さんとして周囲を振り回してみせたけれど、それもこれも映画界の老練ホラ吹き男爵イーストウッドの遊び心なのかもしれないわ。  少年とニワトリを相棒にしたロードムービー、ここ一番で活躍するのはニワトリだったりして、高齢なのにまだ現役で頑張ってるイーストウッドの作品だからって真面目にスクリーンに向き合ってるこちらをケムに巻いてみせるのよ。   あーホラ吹き男爵にひと泡吹かされたわ、ってカンジなのだけど、それをまた体験できたのは幸せなコトなのよね。
[映画館(字幕)] 7点(2022-02-15 22:07:06)
74.  フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
 タランティーノの『グラインドハウス』の雑誌版みたいな構成、ならばもっと細かく色々盛っても良かったんじゃない?って。冒頭の自転車エピソードはともかく続く3つのエピソードはどれもちょっと長い感じがして、そしてどれもそんなには面白い話とも思えなくて。豪華キャストも人によってはなんか勿体ないカンジ。シャラメくん、そんなオチ? ビル・マーレーって狂言回し? パンフレット見て「え?どこに出てた?」って有名人もいっぱい。  だけど映像の見せ方、凝り方はとても楽しくて、それを見ているだけで特に他の事を気にする必要もない感じ。   基本はビスタサイズの土台にスタンダードサイズでの展開。たまに横にズレて黒味に文字が入ったり、上下黒帯でシネスコサイズになったり。モノクロだったりカラーだったり突然アニメーションになったり。  ウェス・アンダーソン監督お馴染みのシンメトリー、平行移動、前後移動、断面図みたいな世界、追いかけっこ、「映像で遊んでます」って感覚。フレームにキチッと納められた要素はまるで重箱に入ったお節料理や幕の内弁当、はたまた工具箱や食器棚、収納ケースの中身のようで、陳列された世界をただ眺める、それだけの映画だとも言えるかも。   ウェス・アンダーソン監督の全編作り物これ見よがし(もはや露出狂的かもしれないわね)な世界には賛否あるけれど、アタシはワリと好き。
[映画館(字幕)] 7点(2022-02-15 16:54:53)
75.  ウエスト・サイド・ストーリー(2021)
 前回の映画はそんなに好きじゃなくて、今回もそんなにだったのだけれども、「そんなに」の感覚そのものは昔とは別だったわ。昔は物語に引っかかったのだけど、何しろ40年以上前に見たっきりだし。で、じゃあ何が今回そんなになのかな?ってしばし考え込んで。   一つには舞台のミュージカルをいっぱい観るようになって(ヅカオタだし)、生の歌と踊りと演技に触れる事で自分なりにミュージカル映画の在り様を考えるようになって。  古のミュージカル映画はアステアやジーン・ケリーのダンスをそれこそコッテリと見せてくれたわ。きっちり全身の動きを捉えて。だけど前回の『ウエスト・サイド物語』も含めて、以後ミュージカル映画ってカット割り過ぎになった感じがするのね。MTV時代を経て尚更細切れになって。テンポ良く繋ぐジョン・ランディスの『スリラー』の感覚、アレね。でもアレはリズムのキモチ良さを伝える手法ではあっても演者の実力はあんまり伝わらない。  ソロのヴォーカルならばアップでも細かくカット割ってもいいけれど、ダンスのソロやデュエットは足元をしっかり、全身を捉えて、群舞は俯瞰で、しっかと長く撮ってこそ。でもみんな細かく切っちゃう。それってリズム的にはキモチ良くてもダンスを魅せるという点についてはとっても物足らない。ミュージカル映画は演者の実力をあまり信用してないジャンルなんじゃないかしら?って思ってしまうのよね。実際の実力もそうなのかもしれないけれど。この映画もどうにもダンスを見る気持ち良さには繋がりきってゆかなかったわ。もっとステップを見せて、もっと全体を見せて、って。   そしてもう一つ。あたしアレだわ、やっぱりヤヌス・カミンスキーの撮影があんまり好きじゃないんだわ。スピルバーグ大好き!だけど昔の方がカメラは良かったわよねぇ、って。光と影の使い方が特徴的っていうのはスピルバーグ的には昔からだし、ならばバトラーやジグモンドやダビューの方がステキだったわ、って。スローカムはそんなでも、だけど。  今回の映画なんか冒頭にティーガーIのフリしたT34/85がキュルキュル出てきても、トライポッドがヴォーン!って言いながら出てきてもおかしくないような画でしょ。コレが今のスピルバーグ印だ、って言われても、それでいいのかしら?って思ってしまうのね。まあスピルバーグがカミンスキーに絶対の信頼を置いてるようなので仕方ない、こちらが合わないだけのハナシなのだけれども。  でもね、ミュージカルはカチッとした、被写体をしっかと捉える画で見たいのね。スティディカム使いながらなおガタガタするような画はあんまり見たくないのよね。   結局は好みの問題なのでしょうけれど、目とアタマで舞台を切り取ってゆくっていう行為が日常的になってからはミュージカル映画の見方も変わってきたわ。
[映画館(字幕)] 6点(2022-02-15 15:47:56)(良:2票)
76.  スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 《ネタバレ》 
 初日に見たのだけど「これ絶対ネタバレしちゃいけないヤツ!」って。だけどネタバレ無しで感想なんて書けないので公開からひと月経過するまでレビュー書くの待ったわ。さすがにホントに見たかった人はもう見たでしょ? 以下激しくネタバレしてるのでご注意。   見終って「凄いモノ見た」って感じだったのね。  これまでのトムスパイダーマンってMCUの大きな流れの中の1つ、アベンジャーズに参加した大勢の中の一人って状態だったじゃない。スパイダーマン誕生エピソードすらすっ飛ばされて社長やサノスに振り回されまくりよ。  それが今回はそのポジションを維持しつつも過去のスパイダーマン映画を1本の映画の中に内包してひたすら救済に走るの。ヴィランズだけじゃなくてトビースパイダーマンもアンドリュースパイダーマンも、そして中途半端に終わってしまった感のある2つの映画シリーズの存在自体をも。  当然トムの顔が現れると思ったそこにアンドリューの顔が現れた瞬間、満員の場内からどよめきが、そして一拍置いて拍手が巻き起こって、その瞬間に立ち会えた事に感動したわ。  それぞれのスパイダーマンが抱えた辛さや痛みを共有し分かちあい、そして力を合わせて前進する、これまでの『スパイダーマン』の集大成にして大きなフィナーレになっているのね。   それは勿論ライミ版『スパイダーマン1~3』、マーク・ウェブ版『アメイジング・スパイダーマン1、2』、そして『スパイダーマン:ホームカミング』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』を見ていてこそ成立するものだし、更に最低『ドクター・ストレンジ』と『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』程度は見てるべきだし、ならば『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』と『アベンジャーズ/エンドゲーム』そして『スパイダーマン:スパイダーバース』も欠かせないし・・・ってマーベルモノにつきもののそれ単体じゃどうにもこうにも状態ではあるのね。  でもその歴史につきあってきた時間の流れの重さ、そこを経た上での感動、感慨は1本の映画だけでは到底語れない大きさね。   その上で、あんなに淋しい切ない結末でいいの?スパイダーマンの「大いなる力には大いなる責任が伴う」ってテーマ、孤独なヒーロー、スパイダーマンって結局こういうモノでしょ?っていうのを最後に持ってきてそれでトムスパイダーマン=ピーター自身は救われてるの?って思ったりもしたけれど、でもあれでやっとトムスパイダーマンは独立した存在になって彼だけの物語を歩み始めたとも言えるのね。当初からアベンジャーズに縛られ振り回されてきたスパイダーマンが総てのしがらみから切り離されて自分だけの空間から自分だけの人生をスタートさせる、ここがトムスパイダーマンの本当の始まりなのかもしれないわ。
[映画館(字幕)] 8点(2022-02-08 19:53:09)
77.  大怪獣のあとしまつ 《ネタバレ》 
 6点だと『シン・ゴジラ』より点数上だわね・・・   ネットではかなり騒がれてるけれど大袈裟過ぎるわね。悪いクセよ。コレ、いつもの三木聡監督作品。それ以上でもそれ以下でもなくて。マトモじゃないヘンな人達が出てきてユルい物語を展開する毎度のアレ。ふせえりさんと岩松了さんが出てきてわちゃわちゃするヤツ。  最大の問題は怪獣をモチーフにして大作然として作られた事でいつもの三木聡作品よりもずっと広い層、特に五月蠅い層にアピールしちゃった、ってところかしらねぇ。こんなのホントはテアトル新宿あたりで上映して判ってるお客さんだけで「あーやっぱり」って感覚を共有してればいいようなモノなのに新宿ピカデリーの1番スクリーンにかけるようなマネするから。前作『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』あたりから作品の内容と製作・公開規模との間に齟齬が生じてるカンジね。   川の上に横たわる大怪獣の死体をどうするか、それぞれの思惑で動く政府の人々とそれに振り回される現場。シリアスほぼ無し、くだらない笑いと下ネタで繰り広げられる混乱劇。三木聡監督のセンスに慣れてなければ地獄かもしれないわ。慣れていてもシンドい部分が無きにしもあらずだけれど。  特に終盤のガス放出を巡ってのアクションからラストのオチまでのグダグダな展開は見ていてツラいわ。盛り上げるためのテンポの悪いタメ、結局は無駄になる部分にやたらに時間をかけて肝心なところで思いきり失速するの、三木監督のよろしくない点ね。   でもまあアタシはそういう三木監督らしさを楽しめもしたし、『シン・ゴジラ』や『パシフィック・リム』『クローバーフィールド』『バトルシップ』あたりを思いきりダメにしたような感じとかもそれはそれで楽しいし。一方で震災、原発事故やコロナ禍を映して皮肉った、悲観的な視点も感じられて。ちょっとネトウヨ的視点があったりしない?とも思ったけれど。   『亀は意外と速く泳ぐ』で蒼井優さんに「〇ンコ」言わせちゃうような監督だからシチュエーション的に土屋大鳳ちゃんにも「ウ〇コ」言わせそうだったけど言わなかったわね「ウン〇」。でも蒼井優さんが感電して頭チリチリになるような映画撮ってる監督の映画なので、そういうモンだって覚悟しなくちゃだわ。これでも『大日本人』や『ギャラクシー街道』なんかに比べたら全然フツーよ? 『デビルマン』は元からそこまで酷いと思ってないので基準にならないけど。
[映画館(邦画)] 6点(2022-02-08 15:45:54)(良:2票)
78.  劇場版 呪術廻戦 0 《ネタバレ》 
 日曜の朝、神田沙也加さんの訃報にショックを受けて一週間でいちばん大切な時間「『プリキュア』見ながら朝ごはん」も味が全く判らず(コロナでなく)、何もやる気が起きなくて朝の9時半から夜の9時半までぼーっとアニマックスの『呪術廻戦』一挙放送を全部見てたわ。  それは伝統的なジャンプマンガフォーマットに最近のヤな流行りの人体欠損流血要素盛り盛りマンガでついでに『ハリー・ポッター』なカンジで(かなりスレたカンジのハリーとロンとハーマイオニーよね)、あんまり面白くなかったのね。もっともアタシは48年も前に『りぼん』『週マ』『別マ』に走って『ジャンプ』から離れてるので『ジャンプ』の何を語れるの?ってのはあるんだけど。   そんな状態でついでに『鬼滅』ボロクソに言ったアタシだから当然コレもボロクソに言いそうなモンだけれどこちらは楽しんだし面白かったわ。  何しろちゃんと映画一本で物語の始まりから終わりまで描かれてる、ここ大切ね。『呪術廻戦』の知識が一切無くてもこれ一作で楽しめる作りになってるの。  展開は早いし登場人物多いしエピソード盛り過ぎお団子状態で、もう少しゆっくり個々のキャラのドラマをじっくり見せて欲しいわ、とは思うものの、シネスコの画角に緩急、メリハリのあるアクションとドラマとスペクタクルの絵巻が繰り広げられて、映画見てる、って感覚をしっかりと感じさせて貰ったわ。   それに異形の者との純愛映画として『スタートレック』(ロバート・ワイズ版ね)『スペース・バンパイア』『パラサイト・イヴ』にも通じる(引用作品がイマイチ?)、クローネンバーグ的でもある物語を見せてくれてそれが感動的だったりして。  主人公・憂太は声だけじゃなくて性格的にもかなりシンジ君だけど正編の方の少年マンガ特有の最初から万能感丸出しな主人公・悠仁に比べると奥ゆかしく?って好感度高め。スクイブな真希姐さんは魅力的だしパンダ可愛いし。   あからさまに2曲の歌の尺に合わせた画面スカスカクレジットのろのろスクロールの長いエンドロールがウザかったのとマーベル映画的なエンドロール後のエピソードが???ってカンジだったけれど(アレで満席のお客さん達の余韻がヘンな事になってた気も)、洋画大作を蹴散らしてまで公開された事に怒りを覚えるような低レベルの作品ではなくてひと安心ってところ。
[映画館(邦画)] 7点(2021-12-26 11:17:45)(良:1票)
79.  ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ 《ネタバレ》 
 「ミシェル・ウィリアムズがステキ」以外のコレと言った感想が出てこない映画で困っちゃったわね。   今回はヴェノムとエディの痴話喧嘩を延々と見せられる恋愛映画だったりして、そこを楽しめるのならばいいのだけど、いかんせんアタシから見たら魅力に欠ける2人なのよね。エディなんてただのダメ男以外になーんにもなしって状態だから見ててむしろツライし、ヴェノムは妙に人間臭過ぎちゃって怪物エイリアンとしての誇りは何処行っちゃったワケ?ってカンジだわ。いじけちゃってる夜の酒場シーンなんて共感性羞恥出ちゃうわよ。  で、もう一方のボニーとクライド組はただもう悪いだけ。それにくっついてるコピー赤ヴェノムはほぼキャラ無し。  何しろさっくりと終わっちゃう簡潔な短い映画なので世界もごく小さめ、ミシェルの扱いもその程度?って感じ、特に作品世界の発展的進行があるってほどでもなくて。こんなものなのねぇ、さっさとピーター・パーカー出しちゃってバキバキやってよ、くらいな。   IMAXでバーン!って見せるホドでもない、ちょっとしたドタバタアクションってところかしらねぇ。ついでにBRAVIAの宣伝とかもういいから。
[映画館(字幕)] 5点(2021-12-21 21:24:25)
80.  マトリックス レザレクションズ 《ネタバレ》 
 ただの焼き直しだったり一作目に比べて極端に精彩を欠いてたりとかしてたらヤだなぁっていう不安と、新しいマトリックスの物語が見られるっていう期待と。見終っての感想としては、前者と後者の印象が4:6くらいの割合だったので6点ね。  前者についてはきっと作ってる側もかなり意識したのよね、3部作をメタ化する事で作ってる側の心情の吐露とかホンネとか言い訳とかにも思わせて楽しませてくれたし、後者は結局なんだったのよ?ふざけてんの?って状態だった『レボリューション』を仕切り直してネオとトリニティの更なる物語を見せてくれたし。   ただ、いくら言い訳しても茶化しても精彩の欠きっぷりは如何ともし難いわ。映像表現と美術と音楽、明らかにレベルダウンしてるわ。一作目の独特なフィルムノワール感は失われて最近のCGいっぱい使ってます系映画の中に埋もれてしまうようなフツーなカンジになって。アクションも一作目こそが元祖で以降多くの作品で真似されたけれど、本家ですらそこに及ばなくて残念ね。  クライマックスなんてラナ監督ってばゾンビ映画やりたかったのねぇ、って。大したデキでもなかった『新感染半島 ファイナル・ステージ』のクライマックスの再現したかったのかしら?みたいな(カーチェイスとゾンビね)。  モーフィアスはメタ発言ばっかりで軽過ぎだし、スミスは妙に人間臭くなって喋り過ぎだし。  そうね、この映画、デキの悪いアニメみたいに設定をセリフで説明しまくりだわ。それだけ説明しなければならないほど、『レボリューション』で世界をややこしい事にしちゃってたっていうのもあるんでしょうけれど、仕切り直しに時間かけ過ぎね。押井守のウザいトコまで真似しなくていいのよ?   でも一作目の映像表現の最大の見せ場だったバレットタイムをキーワードに時間を操られたサスペンスシーンは見ていて面白かったし、女性艦長の活躍やトリニティの覚醒等、ラナ監督の変遷を感じられて良かったわ。ネオとトリニティの関係はちょっと某古典SFを思わせたりもしたけれど。   何かと不満はあるけれど、でも『リローデッド』以降そーんなには褒められたモンでもなかった気もするので、これもまあそんなモンよ、ってところ。
[映画館(字幕)] 6点(2021-12-21 20:39:15)
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