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61.  ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー 《ネタバレ》 
スター・ウォーズ(以下SW)というシリーズには新作が出るたびに「こんなのSWじゃない」と喚くおじさんおばさんが大量発生するのだが、そんな話をします。  まず序盤の風景からして違和感がある。と言うか現実世界と違和感がない風景がSWに現れるという違和感。港湾施設にトラス構造の鉄骨建築。物理法則と経済効率で造られた見慣れた光景をこの世界に出してはいかん。そもそもSWは舞台を「はるかな過去」に設定した時点でSFではなくファンタジーなのだが、制作陣はSWをSFだと思って現実性のあるテクノロジーを描こうとしたのではないか。ファンタジー世界の確立に必要なのは現実感より様式感だ。  その様式だが、この映画はエピソード4の少し前の時代を描いているが「第二次世界大戦前」の様式なんだね。SWの世界は善意と鍛錬、でなければ暴力と恐怖が統べる。例えば帝国は皇帝個人の直接的な力で支配している。ところがこの映画で立ちはだかるのは戦争や差別や官僚主義といった近代的な「システム」。Ep4の「少し前の時代」を描こうとして現代の「少し前の時代」を描いてしまうのはいくらなんでも想像力なさすぎだろう?  ストーリーは敵かと思えば味方、味方かと思えば敵のどんでん返しばっかりで少々安直。そして主要登場人物がずっと変な作り笑いをしている。というかこの作品は(ルーカス時代と違って)役者の演技が良いディズニーSWにしては演技がみんな駄目。チューバッカまで大根に見える。特に主演のオールデン・エアエンライク、片口上げるハリソンスマイルやったのは序盤一回だけだよな?そんなに難しいか?  そもそもハン・ソロは肝心な時に「俺のせいじゃない!」と口走るような奴だぞ。なんかディズニーはハン・ソロの存在を支離滅裂にしてしまったね。そもそもこの映画の脚本はSWじゃなくて普通の現代劇で作ればよかったんじゃないの?ディカプリオ主演とかで。そしてもういい加減ローレンス・カスダンが『帝国の逆襲』を再現してくれるという幻想は捨てよう。
[DVD(字幕)] 4点(2019-09-24 23:27:03)(良:1票)
62.  ロッキー3 《ネタバレ》 
『ロッキー』と『ロッキー2』はボクシング映画と言うより人生映画だがこの『3』でようやくボクシングそのものを描く映画になる。それにしてもオープニング中に時間の経過と現状を一気に紹介する見せ方が上手い。凄いのは初めてチャンピオンになった『2』から惜しげもなく引退間近まで時間を進めていること。シリーズ1~3作目まではその都度これで終わらせるつもりで作っているようだ。最初から続編ありきで始める昨今の映画はちょっと見習ってほしい。  『3』でのロッキーはゴロつき時代とは全く異なる堂々たるチャンピオンぶりでスーツも似合っている。体も脇腹の腹斜筋が浮き出た見事なもので最強のチャンピオンの設定に説得力を与えている。そしてミッキーとの絆が前半で語り尽くされる。ミッキーが名伯楽イメージなのはこの『3』あってのことだ。  クラバー・ラングはひたすら悪意を撒き散らす「悪役」だが、あのむやみな闘志はボクシングでは必ずしも悪とは言えない。そしてロッキーはラングが持っている「虎の目」を取り戻すために苦闘する。その折り返し点になるのはエイドリアンとの言い争い。『2』の時のように格好つけて一言で済ませず泥臭くいくのが良い。泥臭いと言えば80年代始めのカリフォルニアはシリコンバレーを擁する今とは隔世の感があるのが興味深い。そしてたぶん現地の本物のボクサーなのだろう、ジムにいる男たちが獣のような目をしている。  ストーリーは挫折から闘志を取り戻して試合に向かう、というもはや黄金パターンだが『3』ではトレーニングでアゲていく描写にカタルシスがある。まさに友情・努力・勝利でその過程の「特訓」シーンにあのテーマが使われる。そして試合では『2』でも使われた音楽がより効果的な使われ方をしていてさらにアガる。そしてクライマックス後の締め方も小粋。ラストシーンがダラダラ長い昨今の映画はちょっと見習(略)。  この映画は全体として人物の心情をきちんと映像で表現するので観ていてわかりやすい。そりゃ文芸的、芸術的な価値では初代に及ばないだろうが、映画表現として最高の部類だろう。少なくともこの1作で見ればシルベスター・スタローンは役者として超一流、アクション俳優として超々一流、監督としては神だ。10点満点中13点を進呈。
[インターネット(字幕)] 10点(2019-08-19 00:13:25)
63.  ロッキー2 《ネタバレ》 
もし『ロッキー』が初代で終わっていたら映画単体としてはさらに高い評価を受けていたかもしれない。しかしアポロには周囲の反対を押し切ってでも再戦する必要があった。ロッキーは転職がうまく行かない上に妻が過労で倒れ子供も出来る。そんな登場人物たちと同じく映画の制作者側もおそらく「再戦」に追い込まれた。どうしてもこの続編で前作の決着を付けなければならない。  最初から本気になったアポロは本当に強いチャンピオンに見えて恐い。しかしながら映画全体は前作同様ボクシングより人生に焦点が当てられる。一発屋の悲哀、「普通の暮らし」の厳しさ。そして闘志を失ったロッキーが再起へ折り返す一点、その一点はエイドリアンの一言だけ。そこが劇的ではあるのだが、いかにも劇的にしましたという作為が垣間見えるのが残念。そのせいでディテールが堅牢なこの作品が全体の構成としてもろく感じられてしまう。(そしてもうひとつ、ミッキーのオーソドックスチェンジ作戦、あれ意味あった?)  たぶんだが一般的に「ロッキー」シリーズに抱くイメージが全部揃ってるのは実はこの『2』だよね。みんなが知ってるロッキーはこの『2』のロッキー。貧しい境遇、不器用で打たれ強いハードパンチャー、厳しくも熱い頑固じじいトレーナー、乗り越えるべき強いチャンピオン、純愛、そしてダブルノックアウト。『ロッキー2』は最高の映画でも最高のボクシング映画でも最高のロッキー映画でもないかもしれないが、あらゆる映画や漫画その他の文化に最も大きな影響を与えているような気がする。
[インターネット(字幕)] 7点(2019-08-18 23:25:31)
64.  ロッキー 《ネタバレ》 
長年うろ覚えでしかなかった名作をちゃんと観直してみました。おおこれはたしかに名作だ。そして後の派手な大作群とはまったく違う、とても地味で心のこもった丁寧な作品。  まず若いスタローンが美しい。まるでギリシア彫刻のようで、それがしゃべるとまったく学のない粗野な、しかし根は悪くなさげなイタリア移民の若者そのものになる。もしこの映画がスタローン自身の企画だと知らなかったらよくこんな役者を見つけてこられたなと思うところだ。そして物語も当時の売れない俳優スタローンの境遇をなぞる。  初代『ロッキー』のロッキーは大した才能もなく、さらにはやる気すらなく底辺の生活に甘んじている、ただ友人の妹の地味ぃ~な店員に恋するだけの若者。ミッキーは名伯楽どころか罵詈雑言ばかり吐き捨て、あげくビッグマッチが転がり込んでくると手のひらを返してすり寄ってくる。その「ビッグマッチ」の相手、アポロはボクサーとして完璧なら頭も切れて茶目っ気がありプロモーターの才もある。ロッキーを指名してしまったのはうかつだったが、彼に落ち度はない。  この映画には悪役はいない。そしてロッキーもエイドリアンも無名のセコンド陣もみんな本物。その本物が織りなす重苦しさの中でバート・ヤング演じるポーリーが唯一「上手い俳優」っぽさで軽やかな風を吹かせてくれる。そういう奇蹟のバランスで成り立っている。仮にもし『ロッキー』1作で終わっていたらこの映画自体の価値はさらに高いものになっていたかもしれない。ただそうならなかったことでロッキーはただの名作映画の地位に収まらずあらゆるカルチャーに影響を与えていく存在になった気がする。
[インターネット(字幕)] 9点(2019-08-18 21:53:27)(良:3票)
65.  カンフー・パンダ 《ネタバレ》 
まずオープニングのアーティスティックな紙芝居(?)アニメが素晴らしい。話が始まるとあ、普通の3D-CGアニメなのね、となるが、その世界がデタラメ。その中でも主人公のパンダが一番デタラメ。  個人的に気に入ったのは安直なネーミング。マスター・ファイブの虎が「タイガー」で猿が「モンキー」etc。極め付きに老師がシーフー(師傅=中国語で「先生」)って適当すぎ!。亀のウーグウェイ老師も後で調べてみるとまさに中国語で亀「乌龟(wūguī)」のことらしい。  リアリティラインが自由すぎる世界で展開もやっぱりデタラメなのだが、筋道だけはしっかりとしている。シーフー老師が「パンダ!」と呼んでいたのを名前の「ポ―」と呼ぶ瞬間、最初冷たい(当たり前だ)マスター・ファイブのうち最初にポーの頑張りを認める優しい2人。そしていかにもネコ科の子供らしい、タイ・ランの幼少時代の愛らしさ。あれを溺愛してしまう老師の気持ちがよくわかる。  各動物は極端にデフォルメされているのに質感がリアルで動きもよく研究されている。そしてアクションもドラゴンボールばりにデフォルメされているにもかかわらず、カンフーの動作がきっちり再現されていて確かな重量感を感じる。  一番気に入ったのは親父が主人公に「秘密」を明かすところ。なんでガチョウが父親で息子がパンダなんだ、ずっと感じていた疑問に全然関係ない答えが帰ってくる。そしてそれがまさに全体の鍵となる。  この映画を予備知識なしで観たのでエンドロールでキャストの豪華さに驚いた。話は単純なので、子供に見せるんじゃなかったらぜひ字幕で名優たちの声の演技を堪能しよう。そしてこの映画はADHDの子やその傾向を抱えた人に見てほしいと思う。やらされるとてんで駄目だけど好きなことなら頑張れる、そこに勇気をもらえるかもしれない。
[DVD(字幕)] 9点(2019-08-07 22:47:05)(良:1票)
66.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 
まず最初のストーリーロールの一行目から薄っぺらい。続くシーンもことごとく漫画、というかアメコミっぽい。ああCGだけの薄味エンタメなのね、と斜に構えていると役者の演技が良いのでだんだん引き込まれる。まるでキャラクターが深みを増すにつれ面白くなる連載漫画みたいだ。  その連載漫画ノリは次の週の展開を考えていない行きあたりばったりなのでまるで先が読めない。しかしそれをやり過ぎて全体の話の整合性がかなり危うくなる。ここまでやるともはや「諸行無常」で一体何なのこの話!?こいつら全員バカなの!?と言いたくなる。  でもそもそも現実世界ってそうじゃない?頭の良い奴らが訳の分からない思い込みで空気読んで忖度してアホな切り盛りしてるじゃない?映画で現実の問題を見せられたくないって?いやいや、現実世界の中で空想のストーリーを仕立てて生きている奴、ちょっと多すぎでしょう。この映画は完全な架空世界で誰一人として思い通りにならない展開をやっちゃうのが痛快だ。思うに今作でようやく「WARS」の名にふさわしくなったんじゃないだろうか。実際大勢死ぬし。  この映画はストーリーの破綻なんかより、しょうもないギャグや無意味なマスコット動物、そして2時間半の長さが問題だ。つまり余計なシーンをバッサリやれば(僕的には)名作だ。なにより役者の演技がみんな素晴らしい。ほぼ全員七転八倒のひどい役回りなのに大したものだ。そして最後に大きな+点、赤い塩の惑星。絵面が良くて効果的、しかもどこかにありそう。新シリーズには数少ない「新しい世界」だ。  ライアン・ジョンソンはたしかに映画監督として未熟な点も多々あるだろうが、間違いなく才能がある。でも次はお上手なJJエイブラムズなんだね。どうせみんな気持ちよく転がされてファン大歓喜なんでしょ?あーあ。
[DVD(字幕)] 8点(2019-08-05 22:39:22)
67.  インサイド・ヘッド 《ネタバレ》 
これは本当に凄い。同じ記憶が別の感情に触れるとカラーを変える。感情が迷路に迷い込むと性格を構成する要素が停止する。脳内地図を移動するのは思考。眠ると思考も止まるが感情と想像は動いている。喜びと悲しみはコンビ。怒りと恐れと嫌悪はトリオ。喜びは原動力だが道を憶えているのは悲しみ。怒りが突破口を開き嫌悪がそれを焚きつける。恐れは身を守る。イマジナリー・フレンドは成長のために犠牲となって忘れ去られる。11歳が12歳になるとコンソールがいきなり複雑になる。  少年とおっさんの感情メンバーがやたら単純なのは面白い。そうなんだよ、我々の種族では感情は「同時」に働かず「一緒に」動いてしまうんだよ。女性教師が休暇と男のことだけ考えてたり、このあたりの描写は少女の複雑さに魅せられた大人のいかにも大人っぽい自己診断という感じがする。でもあんたらのバックヤードも実際は多分えらいことになってるよ。  この映画では人間の原動力であるヨロコビが世界の仕組みや様相、他のメンバーの大切さを学んで進む成長物語になっている。現実世界でも物事を学ばないで得る「喜び」はすぐ虚無に落ちてしまう。そんな知的な話でありながら知性はあくまで脇に置くという知性が凄い。  追記:一つだけ文句を。子供向け映画で邦題『インサイド・ヘッド』てなんだよ。「あたまのなか(直訳案)」「ライリーの大切な仲間たち(平凡案)」「ココロレンジャー(冒険案)」でもなんでもいいから邦題考えようよ。邦題は何かと叩かれやすいが、ひるむな。もしアナ雪が邦題「フローズン」だったらどうなってた?
[DVD(字幕)] 9点(2019-07-02 23:43:42)(良:1票)
68.  オースティン・パワーズ 《ネタバレ》 
元ネタの007シリーズや英語のニュアンスが分からないとなかなか厳しいようですね。ああここ多分笑うとこなんだろーなー、と思いながら時間が経つのを待つ鑑賞体験。ただエリザベス・ハーレイはいい!特に銀ピタ衣装を着(させられ)るシーンはものすごく可愛い。あのくだりだけで+3点しようじゃないか!!!・・・・・・・・。
[インターネット(字幕)] 3点(2019-06-11 20:12:58)
69.  ゴーストバスターズ(2016) 《ネタバレ》 
今頃オリジナルシリーズを観て乗れなかったという者だが、正直これはかなりいい。やはり現代の映画なので「ゴースト」の存在が受容されていく社会の描写がちゃんと描かれている。最初から街のヒーローというわけじゃない。  キャストがとにかく素晴らしいのだが、特にケイト・マッキノンが最高でどのシーンでも超個性的で格好良い。これは惚れてまうやろ。「二刀流」の殺陣のシーンとかああいうの他のキャラでももっとやればよかったのに。とんでもないバカ男を演じたクリス・ヘムズワースも取り憑かれてからの「普通さ」がかえって不気味で良かった。このバカ男にクリステン・ウィグの生真面目博士がなぜか入れあげるのが面白い。ケビンが吹き出したコーヒーを奪い取って飲むとかネタとしてギリギリだろ(笑)。周囲がマッドなのでメリッサ・マッカーシーが常識人役になって影が薄くなるのは仕方がない。  不満点としては、まずオリジナルをリスペクトするのは良いが、ビル・マーレイ以外はカメオ出演が無理やり過ぎる。もっと自然に出す方法はいくらでもある気がするのだが。あと現代の作品として設定や成立過程を丁寧に描くのは良いが、ラストがこれまた今風にだらだらと長い。長すぎて収まらずエンドロールでも延々やってる。みんな、もっと映画はすっきり終わらせる勇気を持とう。カットした分はいくらでもDVDの特典映像に入れればいいだろ。
[インターネット(字幕)] 8点(2019-05-27 14:31:24)
70.  ゴーストバスターズ2 《ネタバレ》 
オリジナルの『ゴーストバスターズ』は80年代という時代性を反映していて今観るとちょっと辛いものがある。その点この『2』は少し時代が進んでいるぶん、前作についていけない身にはだいぶ観やすくなっている。まず話の進み方が丁寧。テンポが悪くなったという評も多いが、ストーリーのすっ飛ばしや雑なプロットがなくなった。若干シリアスにもなっているが、言ってみるとより「映画」になっている。前作では「間抜け役」と「小役人」はずっと駄目なキャラクターとして固定されていたが、この作品ではちゃんと救済される。リック・モラニスはちょっと救済されすぎなような気がするが。  この映画は初代の良さと様式を活かしながら前に進もうとした。それが成功したとは言い難いが個人的にはこっちの方が好きだ。そういえばタイトル曲もちゃんと当時の先進スタイルにアップデートされている。やはり真面目に作られた映画ではあったんだよ。
[インターネット(字幕)] 6点(2019-05-27 13:45:41)
71.  ゴーストバスターズ(1984) 《ネタバレ》 
いつか観るつもりで観ていなかった有名映画を21世紀も初頭を過ぎた時代に初見で観ました。ゆるっ!これはかなり当時の時代性を反映した映画で、いつ誰が観ても名作というものじゃない気がする。  冒頭のビル・マーレイが演じる、女子学生を口説くためにインチキ実験をする教授、あれTVのコントなら成立するでしょう。これを素で映画として見るとかなり感じが悪い。この映画は当時のTVのお笑い人気タレントを当時流行したSFXと組み合わせた流行×流行がたまたま時代性のツボにはまった映画であって、だから人気があったのにシリーズとして続かなかったのだと思う。  今の時代から見ると「ゴースト」が社会に認知される過程がばっさり省かれていて、話のテンポが良いというより雑な感じがする。アメリカ人にとってはTVでおなじみの顔がいつもの調子で荒唐無稽な活躍をするのが痛快だったのだろう。正直ヒロインが賢く強く美しいシガニー・ウィーバーじゃなくて単に可愛い子だったらかなり締まりのない作品になっている気がする。
[インターネット(字幕)] 5点(2019-05-27 12:37:39)
72.  インクレディブル・ハルク(2008) 《ネタバレ》 
制御不能のスーパーパワーを持ってしまた男の苦悩、理不尽な追撃からの逃走劇、それらがとても丁寧に作られている。その中でエドワード・ノートンとリヴ・タイラーの演技が画面に格調すら与えている。荒唐無稽な設定に「成り立ち」を人間性を含めてきちんと描く現代のスーパーヒーロー映画らしい。  問題はそこから「面白さ」が一向に生まれてこないことだよ。ハルクはずっと苦しんでばかりでカタルシスというものがない。それならそれでひたすらシリアスに物語を(アベンジャーズ用に)完遂するのかと言うと、中盤以降は急に雑になる。「ミスター・ブルー」はとんでもなくバカっぽいし(よくこんな男に命運を任せる気になるな)、最強の敵として立ちはだかるティム・ロスはあまり強そうに見えない。名優の演技だけでなんとかするのは無理だよ。そして逃げ惑うモブがうざい。お前らは「山道で飛び出してきて延々車の進行方向に逃げ続ける野ウサギ(実体験)」か?人間なら前頭葉を使え。  そして素材も改造度もはるかに上の相手を倒すロジックが「必殺技」。これは技名を叫んで繰り出す映画だったのか?それならもうちょっと早くそのノリを見せておかないと唐突過ぎるぞ。おまけにラストのシーンでいつのまにかやたら人がたくさん立ってるが、そこはボロビルの屋上じゃなかたっけか?合成する前の撮影で設定を間違えただろう?  2008年というのは「悩み苦しむスーパーヒーロー」が大流行していた頃で、たしかにシリアスな部分はよくできてはいる。それとハルクの設定や物語との接地に失敗した感がある。
[インターネット(字幕)] 5点(2019-05-27 10:14:35)
73.  ハウルの動く城 《ネタバレ》 
前半1時間に繰り広げられるジブリお得意の生活描写、街の風景、背景の物体感、遠景の移り変わりetc...とてもお見事。そして申し訳ないが、これがとてもしんどい。自分はジブリのジブリ的な描写がかなり苦手なようだ。実写なら撮れば写ってしまう風景も人が描くと創造の「圧」が出る。僕の脳はその圧に翻弄されて混乱を始める。  1時間過ぎたあたりからはストーリーが転がりだして急に方向が定まる。『風の谷のナウシカ』の蠱のような飛行機や、形をどんどん変えていく城の物体感がとても良い。そして年齢が行ったり来たりその間で微妙ーに揺れ動くソフィーの造形、それに忠実に付ける倍賞千恵子の演技が凄い。さすがに10代の声は大人っぽすぎるがそこは仕方ないだろう。  観る前は知り合いに「キムタクがあまりにもキムタク」と言われたが、個人的にはまったくそんな風に感じなかった。この人普通にしゃべると本当に良い声だな。パニック演技もチャーミング。むしろ美輪明宏が変容まで美輪明宏にしか聞こえない方が気になった。あと神木隆之介ってこの頃から上手いんだな。  そして問題のラスト10分。まるで打ち切りが決まった少年ジャンプ漫画のような超展開。あらゆる残積問題をすべてキスで解決するキス魔ソフィー。バーサンになって自分の人間力に気付いたようだが、今度は女の魔力に目覚めたか。本当の魔女はお前だよソフィー。  自分にとっては上映時間の約6割が最高で、後の時間はなんじゃこれ?ということで6点にします。
[DVD(邦画)] 6点(2019-05-15 23:09:12)
74.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 
名だたる評論家たちが年間ベストに挙げ、巷も大絶賛。どうやら僕はそこに乗れない少数派のようだ。  たしかに良い映画だとは思うが、この映画の「感動」って元のクイーンの曲の力にあるんじゃない?それは別に悪いことじゃないし再現度はそりゃ素晴らしいが、そこが大事ならもっと音楽に焦点を当てればよかったのにと思う。しかし長い上映時間の大半を占めるのはフレディのセクシュアリティの葛藤。果たしてこれはストーリーとして何度も繰り返して表現すべきプロットだろうか?。フレディのソロ活動がカネまみれでクイーンを裏切る「完全悪」みたいな扱いなのもよく分からない。もっと分からないのはライアン・メイとロジャー・テイラーがこの映画のかなりの権限を握っているらしいこと。つまりその他史実の改変もこの二人の意向てこと?(少なくともOKは出しているはず)  ライブ・エイドの演奏場面はもちろん素晴らしいのだが、当たり前だけど本物のライブ映像の方がもっと良いんだよ(笑)。このへんは音楽やスポーツの伝記映画の宿命ではある。しかしこれをクライマックスにするのならそこに至る雌伏の時期が物語上必要だが、それは「無駄な」ソロ活動や乱痴気騒ぎに「うつつを抜かしていた」フレディが「ファミリー」の元に帰る、という話なんだな。それでいいのかブライアン&ロジャー?  個人的にはフレディ役は当初の予定だったらしいサシャ・バロン・コーエンで観てみたかった。ラミ・マレックは確かに頑張っているが、フレディ・マーキュリーという人のとんでもない「強さ」を表現しきれていないように感じる。そりゃフレディは繊細で闇も弱さもある人だったろうが、どんな大観衆も圧倒する強さがこの役には必要だろう。サシャならそれができたように思うのだが。
[映画館(字幕)] 6点(2019-01-01 20:43:25)(良:2票)
75.  ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years(2016) 《ネタバレ》 
ビートルズは偉大だ、時代を変えたと何百回聞かされてきたか分からないが、この映画を観てようやくその意味が分かった気がする。以前はあのファンの熱狂が不思議だった。そりゃ曲は良いが狂いすぎでしょと。  あの時代は二度の大戦の後。古い価値観は完全に否定された、にもかかわらず大人達は相変わらず同じことを言い、行い、押し付けてくる。そんな中で新しい価値観を堂々と提示する若者がビートルズだった。彼らは奇跡のような才能を授かったが、それに加えて短くも濃密な下積み期間で演奏者としての技量と仲間意識を確立していた。それが彼らを消費物として使い潰されることから守ることになった。世に出た時には彼らはすでに圧倒的な才能と確実な演奏技術、そして仲間意識に支えられた揺るぎない自信と落ち着きを持った賢い若者たちだった。ビートルズの登場は新しい時代そのものだったようだ。  賢い若者たちも中年になるとその言動が「炎上」を引き起こすようになる。しかし彼らはそこから逃げない。ビートルズは自分たちの作り出した状況から、本当にやりたいことから、言いたいことから逃げなかった。才能だけならもっとある人やグループもいたかもしれない。でもそれを完遂して世に出せたのがビートルズだったんだね。
[インターネット(字幕)] 8点(2019-01-01 20:21:41)
76.  マイケル・ムーアの世界侵略のススメ 《ネタバレ》 
まったく泣けてくるわ。この映画で比較されるアメリカの問題はほとんど日本にも共通する問題。ただし日本にはマイケル・ムーアのような「侵略者」はいない。この映画を見ていると国、というか人間の社会が何のためにあるのか考えさせられる。その構成員が幸せになるために、生き残るためにどうやってその力を活かすか。  この映画は身近な楽しい話題から重い話、普遍的な課題へという展開が上手い。そして「侵略」ネタが実はアメリカ発であったことが希望を抱かせる。ムーア本人が言うように各国にも問題はあるし「道は遠い」のだが。そしてこれはやはり日本も同じなんだよね。かつては工業製品の信頼性が日本だけのものだった時代があったんだよ(今もそうだと信じてる人は多いが)。  相変わらず断トツNo.1経済大国のアメリカがこれからどうするかは分からないが、変革する力は持っている。さて我々日本人は果たして自分たちの問題を「ノミとハンマーでダウン」できるのかな。それともそんな問題は存在しないと思い込んで停滞を延ばし続けるのだろうか?
[インターネット(字幕)] 10点(2018-11-19 22:15:01)
77.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
イーストウッドの映画は「観やすい」。人種差別、異民族文化、貧困、世代の断絶、暴力ととにかく重いテーマを真正面から扱いながら、観やすい、というのは凄い。イーストウッドという人はやはり大した映画人だ。  過酷な体験を持ち身の回りのことはきちんとこなし妻を愛し続け、しかし世間的にはその能力を評価されることはないウォルトにはみんな共感するでしょう。人格者の若い神父、何も言わずお礼の食べ物を届け続けるベトナム婦人たち、もちろんタオやスーにも共感するでしょう。でも偏屈なウォルト爺さんにうんざりする息子たちや間を取り持とうとする嫁、我関せずの孫たちにも共感しない?もっと言うとスーにちょっかいかけてウォルトに撃退される黒人ギャングたち、何もできない白人彼氏、コミュニティ内に生き場所を見つけようとしてあがく最低最悪なゲス野郎ベトナム人ギャング共にもちょっと共感しないかな?  自立したアメリカ人であろうとするスーは結局自分のコミュニティ内の暴力に打ちのめされる。そしてコミュニティは守ってくれず外側にある社会システムに訴えようとしない。ウォルトはそのアメリカ社会を信じて身を投じる決断をするわけだが、この決着の付け方に僕は違和感を感じる。要はこれが保守思想家であるイーストウッドが信じる核の部分なんだろう。  イーストウッドは人間とその集合である社会とそれが「信じるもの」を信じていて、かつ現実を見据えている。まことに立派な態度だとは思う。この映画は傑作には違いないが、果たしてこれが普遍的なメッセージとなりうるのかという疑問も感じる。そしてフォード社のグラン・トリノという車が理想の象徴になっていることにこの思想の限界を感じるのだ。
[インターネット(字幕)] 6点(2018-10-10 23:30:09)(良:1票)
78.  LOOPER/ルーパー 《ネタバレ》 
この監督のテイストはクリストファー・ノーランに似ている。カット割りとシーン描写が上手くリズム感と説得力があるが、全体のテーマに腑に落ちないものがある。この腑に落ちなさをノーランより思い切り開き直って展開するのが面白い。が、問題もある。  ルーパー達が持たされる「ラッパ銃」は射程が短いので処刑には使えるが攻撃に向かない(わざわざそれを実演するプロットまである)。だから最後はあの選択しかない。これは良い。しかし突然変異によって人口の何割かが超能力を持つ(だから現代でもできるはずの時代設定が近未来になっている)という設定は未来の大悪党の能力の理由付けためのものに過ぎない。これはいらんでしょう。結局ストーリーの「ために」作られた設定があからさまだからノイズに感じる。そもそも映画の設定なんてどんなに無茶でも物語内で整合性が取れていればその世界に入っていけるのだが、ストーリーの都合という「舞台裏」が見えてくると興ざめしてしまう。  ブルース・ウィリスとジョセフ・ゴードン=レヴィットは印象こそ違うがメイクのおかげもあって並ぶとけっこう似ている。だが役者は頑張ってもストーリーに同一人物性を現すものがない。そりゃ30年経てば人は変わるでしょう。若い時の方が賢明ということもあるでしょう。しかし同一人物の根本的な人間性がすれ違ったままというのはどうなのか。この映画は魅力はあるがSFとしても人間ドラマとしてもちょっと破綻が多すぎる。
[インターネット(字幕)] 5点(2018-10-06 03:39:30)
79.  神様メール 《ネタバレ》 
序盤からこれは斜に構えた無神論的世界観のコメディなのか、と思っていたらしっかりキリスト教、それもカトリックの世界でした。  とにかく欧米の奴らにとってキリスト教世界観は抜き難いものなのだな、ジーザス・クライスト(JC)は大好きだがユダヤ教の父なる神は大嫌いなのだな、そして現代の世界にモディファイした新たなメシアを求めているのだな、ということはよく分かった。その新たな救世主、エアを演じたピリ・グロワーヌがとても良い。そうだね、「無垢な賢い少女」が世界を救うことに文句のある奴はいないよね。  とにかくどのシーンもキャラクターも魅力的で次の展開が余命無い、もとい読めない。もうこの先どうなってもいいや、と思っていたらオチがあれでいいのかという(笑)。しかし最後は男女の性愛でハッピーを表現するあたり、やはりカトリシズムなのだな。  人はどうしても世界が「あるべき形」になってほしいという願望がある。自分の余命がはっきり分かったらどうする?やっぱりやりたいことやるよね。劇中「悪用」する奴は一人だけだが、そいつは単なる自業自得で終わる。この映画は徹頭徹尾「宗教映画」なのだが、それを現代性と完全にマッチさせて爽やかなエロと共にまとめ上げたことに拍手。
[インターネット(字幕)] 9点(2018-09-23 19:57:56)
80.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
全体が緊迫感のある会話劇で出来ていてこの詰め詰め感は魅力的だが、残念ながら脚本が力不足で台詞の言葉尻がいちいち軽い。登場人物がやたら多いので演技が玉石混交になるのは仕方ないが、特に主役級の長谷川博己と石原さとみが致命的。特に石原さとみは変な英語なんかより気の強い優秀なキャリアガールを演じた結果が蓮っ葉になるのは駄目でしょう。背伸び感が強すぎて将来の大統領とか無知無理無理。  役者で良かったのは市川実日子、高橋一生、國村隼、津田寛治。この4人は玉石混交の「玉」。もし彼らがいなかったらこの映画はかなり締まりのないものになっていたはず。  そもそも現代に怪獣が現れるという「リアリティ」がこの映画の肝だと思うのだが、その肝心の怪獣ゴジラの造形は頂けない。いくらなんでもあの目はないでしょ。動きも巨大生物のスケールにまで考えが及んでいない。とは言え、このゴジラはハリウッド怪獣映画によくある「人間に嫌がらせするためだけに現れるご都合主義的モンスター」ではなく、意図不明な謎の生物、人智を超えた災害としての怪獣である。これは本来のゴジラ、つまりは災害大国日本のリアリティを持った怪獣像でもある。  しかしどうしても許容できないのは音楽。明らかな打ち込みなのは仕方ないにしても楽曲の質は低くサウンドはしょぼく、かつ音量が中途半端。あれじゃ劇中に誰かがラジカセで鳴らしているみたいでノイズにしかならない。いっそBGMなしの方がよっぽど良かったが・・・。  この映画は傑作の部類だとは思うがノイズも多い。台詞のノイズ、演技のノイズ、造形のノイズ、そして音楽がノイズ!!!僕はどうしても減点法で映画を観る癖があるのでこのくらいの点数になってしまう。
[インターネット(邦画)] 6点(2018-09-20 00:30:48)
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474.40%
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