61. ボーン・アイデンティティー
つまらないです。冒頭からして嫌な予感が。マット・デイモンが瀕死であろうと、記憶喪失であろうと、組織に追い詰められても生き延びる気がしましたし、女と連れ立って逃げつつ戦うのだろなと思っているとそのとおりになっていました。サスペンスがサスペンスとして機能せず、他にも見るべきところが見当たらなかったのでこの点数です。 [DVD(字幕)] 3点(2010-12-26 23:59:03) |
62. ナイト&デイ
このところばたばた続きで、頭がアホ状態でも楽しめる映画をと思い立ちチョイス。妻と映画館で観ました。期待通りのこれぞハリウッド映画という出来栄えで満足できました。キャメロン・ディアス天然ぶりは、『バニラ・スカイ』での怨念を晴らしているようでもあります。カップルが銃を乱射して全ての窮地を切り抜け、観終わった後には「あーおもしろかった」以外何も残らない、バカ映画(ほめ言葉)のお手本のような作品です。他方、妻は余力があったのかかなり真剣に鑑賞したらしく、キャメロン・ディアスのおバカっぷりに立腹したそうです。このテの作品に突っ込みを入れるのはナンセンスだと言ったら、現実にこんな女性がいたらイラっとしないのと返され、そう言われるとそうだと言うと、ちょっと満足そうな顔をしました。 [映画館(字幕)] 6点(2010-12-26 23:47:44) |
63. マイ・ブラザー(2009)
《ネタバレ》 名画座で『ハート・ロッカー』に続いて観ました。『ハート・ロッカー』では現代の戦場で仕事をする(銃を持って戦う・爆弾処理を行う)兵士の姿を見、本作では、アフガニスタンからの帰りを待つ家族の姿を追体験することができます。大人三人の熱演も見ものですが、注目すべきは長女。帰還した父への違和感、目線やしぐさで表現される言葉以前の微妙なニュアンスによる表現がずば抜けて素晴らしく、この長女なしに本作は成り立たないと思えるほどです。命を奪うことにより深く心の傷を負ったトビー・マグワイアの姿から 、兵士という職業は人を殺す覚悟が必要であり、生きて戦場から帰るためには躊躇があってはならないことが伺え知れます。ある命を奪うことで別の命を守る、ということが前提の職業であることを今更ながらに痛感させられました。何度も言って恐縮ですが、この二本立てプログラムは素晴らしかったです。都合4時間ほどの疑似体験ですが、戦争の本質をイヤというほど思い知らされました。パルシネマさんに感謝。 [映画館(字幕)] 8点(2010-12-26 23:20:21) |
64. ハート・ロッカー
《ネタバレ》 アクション好みの会社の同期が良かったというので名画で観にてきました。本作品だけではさして目新しさを感じない作品だったかもしれませんが、同時上映の『マイブラザー』を観たことにより、戦場に行くことを職業とする人々の感覚が胸に迫ってきました。イラク・バクダッドで爆弾処理班のチーフを務める主人公は、経験と勘にものをいわせて修羅場を乗り切り続けます。彼が死なないのは職業的能力の高さの現れであり優秀な兵士であることが伺えます。舞台となるイラクは、戦争は終結しているとはいえども、米兵は常に狙われているという緊張感と、爆弾がいつ炸裂するかというスリル、そこそこ迫力のあるアクションシーン(中盤の狙撃シーンは良い)で中だるみしません。印象的だったのは帰国し妻と行動を共にする場面です。シリアルを買っておくように伝えられた彼は、数多くのシリアルが並ぶ棚からひとつを選ぶことができません。自宅のキッチンで妻に職場(戦場)での出来事を話している際、にんじんを切るよう頼まれた際、実に不満気に、ぎこちなさそうに包丁を手に取る姿です。知悉している装備からひとつを選ぶこと、訓練と実戦で得た経験から命令を下すことはたやすくできても、日常生活における選択と実践ができない。狙撃シーンで新兵に飲み物を持ってくるよう指示するシーンとの対比が印象的です。命令することに慣れていても、命令されることはなく、職場(戦場)での有能さを軽くあしらう妻への苛立ちのようであり、制服(戦闘服)を着ていないことへの落ち着きの無さの現われのようでありました。再び職場(戦場)へ戻る彼は、仕事中毒でもなんでもなく、煩わしい家庭から遠ざかろうと仕事に逃げるサラリーマンの姿のようであり、某大国の姿と重なるようでもあります。『マイ・ブラザー』と続けて観たことによる+1点で、6点献上。 [映画館(字幕)] 6点(2010-12-26 23:19:30)(良:1票) |
65. ブラック・レイン
大阪・心斎橋の引っ掛け橋、十三の風俗街、阪急百貨店前の天井の高い通路(建替えでもう見られなくなった・・・残念)など、大阪が舞台のポリスアクションです。私、大阪出身でして、大抵のシーンがどこで撮られているかがわかります(ちなみに松田優作の女のいるバーが入っているビルはハリボテです。あんなものは心斎橋にありません)。リドリー・スコット以下、マイケル・ダグラス、アンディ・ガルシアらが見知った場所を走り回っていたことを思うと無性に嬉しくなってしまいますね。ハリウッドのポリスアクションに欠かせないエンタテイメント要素である車・銃・女の三大要素が日本を舞台として選択されたことにより見事に排除されて、オートバイ・ヤクザそして大阪弁に代替されています。日本という舞台設定は『キル・ビル』のようにタランティーノの趣味の延長ではなく、そんなアホなというシーンはあるものの、作品のテンションを持続させるため大真面目に演出のネタとして生かされています。例えばデコトラ。主要人物が乗っているわけでもなく、大阪だからといってそこらへんを走っているわけでありませんが、日本という得体の知れない土地を表現するため目にとまったのでしょう。そして松田優作。ジャパニーズ・ヤクザとして胸を張れるのは本作における彼の演技以外知りません。ヤクザ連中のドスの効いた大阪弁も素晴らしく、島木譲二が本物のヤクザ役を張っていたり、十三のネオン街や卸売り場の屋台など、異国情緒を演出すべく大阪文化総出で挑んだ傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2010-12-26 23:06:41) |
66. それでも恋するバルセロナ
うーん、期待を上回る部分と、やっぱり、という部分が混ざり合い総評としては普通といったところです。ペネロペの魅力が炸裂していて、嵐のような感情の爆発の一瞬ののちになまめかしい肢体をくねらすこの落差が素晴らしく、スカーレット・ヨハンソンがそのへんの留学生にしか見えません。やっぱり、と思ったのはウディ・アレンとは相性がイマイチであるということ。情報過多のナレーションはやはりいただけません。映画は映像で全てを語ってこそ映画であるということを私は改めて強く感じました。 [映画館(字幕)] 5点(2010-12-26 22:35:53) |
67. ロード・オブ・ウォー
貿易商ニコラス・ケイジの生活と意見。弾丸の一生から始まるオープニングは、工業製品のひとつである武器もまた生産者がおり消費者の手に渡り使用されることを明確に語っています。武器はその存在自体が違法である麻薬や薬物と異なり、合法的に輸出されるものとそうでないものがあり、裏舞台にこそ商人が暗躍する余地があるというものです。武器を輸出するなんてトンデモナイ! 死の商人! そうかなぁ。合法的に輸出した農業用トラックの荷台に銃座を付けたら? ラジコンヘリに毒ガスを載せたら? 水食料を「敵」に輸出したら? 手が血で汚れていないと断言できる人はどれだけいるでしょう。ニコラス・ケイジに24時間の足止めを食らわせたイーサン・ホーク? 命と引き換えに武器満載のトラック破壊した弟? 我々は世界を良くするためにどこから始めればいいのでしょうか。この正義漢2人に共感した人は今日から玄関の鍵を開けて生活すべきです。できない? 安心しなさい。あなたにぴったりの護身用スタンガンをお持ちしましたよ。 [DVD(字幕)] 8点(2010-12-26 22:25:01) |
68. 容疑者Xの献身
《ネタバレ》 妻のレコメンドで観てみました。うーん。何で邦画は(お金も掛かり有名俳優を起用した作品は特に)こうもテレビっぽいのでしょう。福山の大げさなキャラ立て、狂言回しとしても実際にも映画に何一つ貢献しない柴崎コウ、警察組織の胸元についている嘘くさいステッカーなど、芸術性の無さにがっくりしてしまいます。それはさておき本題ですが、ままあといったところでしょうか。私は犯人究明よりも堤真一がいかに松雪泰子に救われるに至り、身代わりとなることを決意したのかに興味が湧きました。ラストで2人の出会いがフラッシュバックされ、松雪泰子の登場で堤真一の完全な献身が断ち切られるのは出色の出来でした。ただ、福山が真相を究明できるのか・できないのかについてはまったく関心が湧かなかったですねぇ。彼は各種の犯行(殺人)の道徳的是非には興味がなく、真実を追究するために警察の手伝いをしているようですが、 福山は愛を知った堤真一への嫉妬から真相を暴いたように感じたのは、穿った見方ですかね。本作で最も不幸なのは惨殺されたうえに身の上ひとつ顧みられないホームレスですが、論理的でないとうそぶき愛という主題に取り組むことすらしない福山はそれに次いでいるのではないでしょうか。 [DVD(邦画)] 5点(2010-12-26 01:09:32)(良:1票) |
69. Kids Return キッズ・リターン
溢れるエネルギーをボクシングに注ぐ者、極道者として生きることで己の過回転を防ぐ者。 ハムスターの運動器具で体を動かすだけでは足りず、何かを手に入れ何者かになるため足掻くけれども何が欲しいのかわからないという焦燥感が強烈に匂い発っています。冒頭、高校のグランドで向かい合って自転車に二人乗りするシーン。ペダルは漕げるものの方向が定まらずフラフラとしながらも、授業中に堂々と走り回る姿が本作の雰囲気を見事に表現しています。彼らは何者でもないがゆえに何者にでもなれるのです。北野武監督で一番好きな作品です。音楽も素晴らしい。 [DVD(邦画)] 9点(2010-12-26 00:38:57)(良:2票) |
70. ビッグ
《ネタバレ》 以前観たときは非常に楽しめたのですが、今回観直して見てさほど惹きつけられませんでした。トム・ハンクスの演技が炸裂していて安心して観られる作品であることには違いないのですが、いまいちヒロインの魅力がパッとせずのめりこめませんでした。でもおもちゃ屋でのピアノシーンはいいですね。 [DVD(字幕)] 5点(2010-12-26 00:18:36) |
71. フォーリング・ダウン
《ネタバレ》 例えるなら激しく音漏れしている人のヘッドホンを引っこ抜き耳元で「やかましい!」と叫ぶ、携帯電話での情報交換に余念のない人に「車内での通話はご遠慮下さい」と睨みつける、日々感じるストレスに正面から立ち向かい自力(脅し含む)でストレスを解消するイカレクレマーの映画です。電話のための両替を拒む店主にキれ、マクドのモーニングセットを食べるために銃を持ち出し、自分が正当なクレームをつけていることを強調して暴れまわりこちらも応援目線で観てしまいますが、興味深いのが彼もまたキれる他人に出くわすところ。視点を変えれば彼は権利を主張する他人から迷惑を受ける可能性のある一人であり、少し他人よりもクレームの声が高いだけでしていることは同じなのです。皆が感じる些細なストレスがこの映画に充満していて、その熱量がハンパありません。ロバート・デュバルでさえ鬱憤を爆発させるその一人になっています。ただ難点は、衝動的な殺人を犯し一線を踏み越えてしまった際、その背景がうかがえ知れる心理的な描写がなかったところです。この描きこみが明確であれば『タクシードライバー』クラスの映画になりえたかもしれません。 [DVD(字幕)] 7点(2010-12-26 00:12:20)(良:2票) |
72. ふるさと
《ネタバレ》 思い出深い作品です。徳山ダム建設により、ダム湖に沈む定めとなった村落に住む老人と少年の物語です。ダム工事で生計を立てる息子夫婦と家に置き去りにされた老人。岐阜の工場で仕事をしていた頃、岐阜市柳ケ瀬の映画館で鑑賞しました。観客は30人ほどだったでしょうか。映されるのはダムの底に沈んだ街であり、もうこの世には存在しない土地。二度とふるさとを見ることはできず、訪れることすらできないというリアリティが胸に迫り、生まれ育った土地を離れようとしない老人の気持ちが実に痛ましいほどに伝わってきます。鑑賞後、金華山という岐阜県・愛知県を一望できる山に登り、街の灯りを眺めながら、この街が深い谷に沈むとしたらどうだろうかと想像しました。人々は何を思い、どこへ行くのだろうかと。それでも人々は生活を続け、生きられる限り生きるのに違いありません。それは一体何なのか? 何がそうさせるのか? 知りたくてその週末に完成した徳山ダムを訪れました。一見、山道を行く際に通り過ぎる何の変哲もないダムであり、人里離れた山奥には不釣合いな高規格の道路が整備されていました。教えられなければ底に街が沈んでいることはわからないでしょう。ただ、水面に向かって伸びてゆく急勾配の道と、錆びた速度標識が生活の名残をとどめていました。ふるさとを失っても人々は生き、今日もどこかで生活を続けている。ただそれだけであるということ。人間の業ともいうべきなにかに触れた気がして自分が生きていることに対する感謝の念が湧き立ったことをよく覚えています。映画によって現実の行動を喚起されたのはこれが初めてだったかもしれません。満点です。 [DVD(字幕)] 10点(2010-12-22 23:06:19) |
73. オールウェイズ
《ネタバレ》 恋人を遺して先に死んでしまったパイロットが、恋人と真に別れるまでを描いたファンタジー映画です。ホリー・ハンター目当てで手に取ってみましたが、小学生の頃淀川さんの解説つきで日曜洋画劇場で放送していたのを思い出しました。「なぜ恋を重ねることができるのか」「与えられた一生を生きるとはなにか」といった、あまたの映画が描いてきたテーマなのですが、全編に渡りかなりコテコテな演出でもって見せられるためか、ちっともキュンとしない作品です。ラスト10分はホリー・ハンターの演技が炸裂して、ホリー好きの私としてはそこそこ満足できました。 [DVD(字幕)] 5点(2010-12-22 22:33:09) |
74. 長江哀歌
《ネタバレ》 ダム建設工事が進む長江上流の街をさすらう男女を別々の視点から描いた良作です。高低差のある町並みを静かに追いかけてゆくカメラワーク、ダム建設のために解体されてゆく家屋、汗ばむ男たちの裸体と大河のうねりが絶妙に組み合わさっています。映像の隙間の作り方が素晴らしく、携帯番号を交換するだけのシーンや、扇風機で胸元の汗を飛ばすシーンであっても、思わず見入ってしまう魅力がありました。 [DVD(字幕)] 8点(2010-12-22 22:31:37)(良:1票) |
75. アイランド(2005)
《ネタバレ》 序盤は近未来SFの醍醐味を堪能できます。どこにいるのか、何が起ころうとしているのか、何がアリで、何がダメな世界なのか。無機質な一室での朝は私の生涯の一冊である『1984(小説)』を思い起こさせ、期待値は高まる一方。成人体でありながら知能・精神年齢は15歳前後のクローンであるという設定、世間とは隔絶され培養されているという設定もツボど真ん中。しかしながら重厚なテーマを切り捨てただの逃走劇となり果てた中盤以降が残念で仕方ありません。クローンという新たな種から焦点をぼかさず、突き詰めてゆけば傑作に成りえる可能性を秘めていたと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2010-12-22 21:55:59) |
76. スター・トレック(2009)
オリジナルシリーズは未見。中学生の頃、本作に入れ込んでいた同級生から「エンタープライズ号」「ミスター・スポック」「カーク船長」「クリンゴン」といった単語を耳にしていたので大体の世界観は知っているつもりでしたが、アクションと恋愛をメインに据えた『スターウォーズ』シリーズとは異なり、宇宙とは何かという哲学的な広がりを持ったシリーズであることが伺え知れました。冒頭の艦隊船は迫力があります。しかしながら、なぜかつい『ギャラクシー・クエスト』が観たくなりました。 [DVD(字幕)] 6点(2010-12-22 21:42:46) |
77. レインマン
《ネタバレ》 破産寸前の外車ディーラーを演じるトム・クルーズが、勘当状態にあった父の訃報をきっかけに施設で生活していた障害を持つ兄(ダスティン・ホフマン)の存在を初めて知り、ロサンゼルスまでの数日間の旅を追うロード・ムービーです。始めは意思疎通もままならなダスティン・ホフマンを邪険に扱っていたトム・クルーズが、兄と心を通わせてゆくきっかけが自分にとって益となる(お金をもたらす)から、というところに綺麗事ではないリアリティを感じます。 [DVD(字幕)] 5点(2010-12-22 21:41:27) |
78. 抱擁のかけら
《ネタバレ》 さすがアドモバル、本作も安心して見られる良質のドラマ作品でした。自動車事故で死別した恋人との思い出を回想する盲目の元映画監督の、彼女とのなれそめから始まり失明するまでの思い出話です。おなじみの劇中劇や未編集の映画フィルムを通じて恋人に触れたり、読唇術のシーンなど、映画ならではの表現が散りばめられていてアドモバルらしい凝った作りですが、やはり観るべきはペネロペでしょう。あるときは少女のように可憐であり、あるときは炎のような激しさを併せ持つ情熱的な女性が余すことなく表現されています。バルセロナでの喧騒から離れ、旅先のホテルの一室で、ソファで抱き合って映画を観るシーンが非常に印象に残っています。タランティーノのように趣味に走らず、アドモバルにはこれからも良質な映画を作り続けて欲しいです。 [DVD(字幕)] 7点(2010-12-11 14:04:00) |
79. ランボー
《ネタバレ》 戦場でしか己を見出すことができなくなされてしまった男がアメリカに生まれた悲劇。ベトナム従軍後、NYに戻った『タクシードライバー』のデニーロは幸運だった。都会の多様性が彼を許容したが、田舎町の保安官はその閉鎖性と同質性に長く浸かりすぎているがゆえに、よそ者の中に血の匂いを鋭敏にかぎ分けてしまいます。保安官は長く慣れ親しんだ自分のやり方を強引に押し通そうと山狩りを始めますが、類稀な戦闘能力を持つランボーは、意図せずにして己のフィールドに保安官一派を引きずりこみ、圧倒します。その先天的な、あるいはトラウトマン大佐によって刷り込まれてしまった、ほとんど肉体的反射というものに近い恐るべき戦闘能力でしか世の中を渡ることができなくされてしまった男の悲劇です。「戦闘マシーン」ではない独りの男としてランボーが描かれる、戦友を訪ねる冒頭のシーンと、ラスと、トラウトマン大佐に慟哭するシーンが、強く印象に残る傑作です。 [DVD(字幕)] 8点(2010-12-11 13:42:44) |
80. 恋人までの距離(ディスタンス)
《ネタバレ》 連れ合いお気に入りのごひいきの映画、と聞いてとても真剣に観ました。が、ダメでした。会話主体の進行は良かった。「質問タイム」や「仮想電話ごっこ」などは、初対面同士を掘り下げる効率的な手法であると同時に、お互いの何に期待して何を言うのだろうという穏やかな好奇心を誘うものがありました。ウィーンの町並みも美しい。しかし致命的であったのは、「ナンパもの」であったことでしょうか。映画開30分でキス。オヤ? そろそろお芝居を見に行く時間やで何してんねんと思いきや、ド忘れしてスマートボールを興じているところでアレ? 船の上で一夜限りの出会いを楽しむ約束をした直後、誰もいない日の出前の公園でチョメチョメ。 アレレ! 予想した展開であるものの、イーサン・ホークの会話も行動も、結局は最後までいくための雰囲気作りに消費されてしまったものに見えてしまったのでした。お互いが徐々に惹かれあってゆくのではなく列車を降りる時点で惹かれあっているので、この男女関係にはサスペンスがないことが問題、と思いました。 [DVD(字幕)] 3点(2010-12-11 13:38:44) |