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アングロファイルさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1000
性別 男性
年齢 60歳
自己紹介 レビュー数が1000に達したということで、活動を停止します。(今のところ)仕事がひじょうに忙しいので、映画を楽しむゆとりがありません。落ち着いたら再開するかもしれませんが、とりあえず未定です。

皆さま、ありがとうございました。縁があったらまたお会いしましょう。

※変更要望は出すかもしれません。

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941.  人情紙風船 《ネタバレ》 
長屋の様子や町の風景、特に建物などは江戸時代の風情が出ているような感じがして(実際にどうだったのか、もちろん知るよしもないが)、丁寧に作られているという印象。人物描写も個性が出ていてよいです。お駒・忠七カップルがどうからむのかと思っていたら、なかなか面白く使いました。このあたりとか、毛利宛の文の使い方は、あいかわらずうまいです。とはいえ、口角泡を飛ばして絶賛するほどの出来とも思えません。まあ、普通にいい映画という程度のものでしょうか。 それにしても、山中・三村コンビというのは、威張っている奴、権力を笠に着た奴がとことん嫌いだったんでしょうなぁ。もしも戦後まで活躍していたら、松本清張を原作に映画を撮っていたかもしれません。そういえばこの2人は、同い年でしたね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-12-20 20:16:50)
942.  バリー・リンドン 《ネタバレ》 
アイルランドの田舎者が、波瀾万丈の末女貴族と結婚して逆玉に成功するけど、結局金を浪費したあげくに零落するという、なんともわかりやすいお話です。物語としては、成り上がっていく前半が面白い。主人公があっちこっちと寄り道するのが、目先が変わって楽しめます。ここではレドモンドを最初に襲う追いはぎ親子とか、シュヴァリエ・ド・バリバリのような悪党(“悪人”ではなく)が、魅力を感じさせます。これに比べると、レドモンド自身はそれほどでも。しかし、波瀾万丈成功譚としては、よいと思います。 これに比べると、後半は落ちていくばかりですが、あまり変化がなく面白味に欠けます。妻や継子との確執も、ありがちといえばありがち。こちらはむしろ、自然の景観や屋敷(お城?)など、映像美が素晴らしい。まあ前半も美しいのですが、後半は話がいまいちな分、よけいに目立ちました。 合計3時間ほどあるわけですが、特に長いとは感じませんでした。ちょうどいいくらい? ただし内容的には、まあこんなもんかというくらいで、可もあり不可もあり。強烈にこちらを引きつける要素というものは、見つかりませんでした。こういうものが嫌いではありませんが。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-12-02 19:47:14)
943.  曲がれ!スプーン 《ネタバレ》 
不覚にも感動してしまいました。もちろん、よくないところも多い。序盤のテレビスタッフや番組の描き方はパターンでなんか嫌みだし、米が喫茶店にたどり着くまでが長い。最後のUFOのくだりは、実際には必要がないと思う。しかし喫茶店に終結したエスパーのメンバーが個性的で、そこでくり広げられる芝居はなかなか面白い。ただ、実質的には彼らが主人公で、米はむしろ狂言回し的役割なので、長澤まさみのファンが見るとガッカリするかも。 で、どこに感動したかというと、「子供の頃の夢を見続けましょうね」……というのではなく、人同士のふれあい・心の通い合い。幼い頃から信じてきた超常現象をとことん否定され続けてきた米に対し、その存在を、表だっては知られないよう“こっそり”と教えるエスパーたち。そんな彼らに対し、やはり表だっては何も言わないけれど、ちゃんと理解してあげている米。なんという奥ゆかしさ。その相手を思いやる気持ち、無言のうちに通わせる心の交流が、私の琴線に触れたようです。両者の間を取り持つテレパシストの椎名が、新参者でこれまでエスパーであることの孤独を噛みしめてきたというのも、意図的なものでしょう。 だから、てっきり米がカフェ・ド・念力を去る場面で終わるかと思ったら、あんな場面が続くとは……。子供たちの静止画を多用して、これ見よがしに感動させようという場面でした。さりげないエスパーたちと対照的で、逆に彼らのよさを際だたせていると思えば、効果はあったと思います。UFOを呼ぶ男がやらせかもと思わせるところもあったり、どうして一筋縄ではいかないものがあるようです。全体的に見ると伏線がうまく効いていて、そこにも魅力を感じました。
[映画館(邦画)] 8点(2009-11-29 18:26:51)
944.  野ばら 《ネタバレ》 
文部(科学)省特選間違いなし、みたいな映画でした。しかし作り自体はしっかりしていて、特に終盤指導者が楽譜を浄書してもらう場面をきちんと入れていたり、写真を撮っていたのは二人が恋仲であることを現していると思ったら、違う使われ方をしたりといったところに感心しました。全般的にユーモアにあふれているのもいいです。“モーツァルトを現代風リズムで”っていうのが楽しい。子供たちが単なるいい子ちゃんでないところもマル。登場人物の中では、主人公を最初に引き取る元船長が素晴らしい。特に最後の別れのあと、帽子を目深にかぶるあたりがよかった。この人がいるかどうかで、映画のでき自体がまったく変わってしまいそうです。 50年以上前の映画ですが、映像はそれほど傷んでなくて、当時の街並みや風景が総天然色で楽しめるのも、非常に価値があると思います。お涙頂戴の「感動名作」だと、軽く見てはいけません。ただ、毒気がないとダメという人にだけは向かないでしょう。ちなみに、8月に録画していたものをやっと見たわけですが、これは失敗。夏向きの映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-11-24 19:33:32)
945.  河内山宗俊 《ネタバレ》 
基本的に、私はヤクザとかマフィアが嫌いなので、その手の映画はまず見ません。そのためか、これを見ている間違和感というか、何とはなしに居心地の悪さを感じておりました。結果、それほどいい印象は持っておりません。もちろん、映像はいいし小柄や爪楊枝などの小道具の使い方もうまい。手を貸した姉弟が坂を転がるように落ちていくものの、最後まで助けてやるのだという男気も魅力的です。が、それでもやはり高くは評価できません。それに、どうもカットされた場面があるようで、あの二人がなぜ心中しなければいけないのか、まったくわかりません。これは録音のせいで聞き漏らしたのではないと思います。そんなこともあって、まあ普通の点数。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-11-22 21:03:47)
946.  パリは燃えているか 《ネタバレ》 
これは……映画としては、決していいできとは思えません。オールスター・キャストなのでエピソードが散漫になったり、話の流れが平板だったり(特に前半)。実際のフィルムを使っているのも、画面の調子が変わって「?」となります。 しかし、それでも3時間近くの間見入ってしまうのは、やはり歴史的事実を扱っているところから来るのでしょう。つまり“事実に基づいたフィクション”ではなく、“多少脚色されたドキュメンタリー”という要素が強いと思われます。原作も小説ではなく、ノンフィクションですし。そう考えれば、現実のフィルムを使用しているのは、むしろ必要な措置と言ってよいでしょう。まあ、映画として全然ダメというわけでもなく、ガロア少佐が連合軍と接触しようとするあたりはそれなりにサスペンスがありますし、後半パリへ進軍してからはけっこう盛り上げます。ここでは、ドイツ軍に攻撃するため、あるアパートメントの部屋に入るエピソードがあるのですが、そこに住むおばあさんが面白かった。この映画には珍しく、ユーモアのある場面でした。 フランス人にとってこのパリ解放はきわめて重要な出来事でしょうし、パリバンザイ、フランス万歳になるのは致し方なし。パリを破壊から救ったコルティッツ将軍やスウェーデン領事ノルドリンク氏は、かなり好意的に描かれています(この2人が一番得をしてるでしょう)。そうではあっても、第二次世界大戦の重要な出来事を描いたドキュメントとして、それなりに価値のある映画であると思います。 また、ベルモンドのファンとしては、30年来の見たい映画だったので、念願かなって感無量です(評価には関係しませんが)。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-11-16 19:32:32)
947.  丹下左膳餘話 百萬兩の壺 《ネタバレ》 
笑わせてホロリとさせる、いかにも日本的な人情喜劇でした。喜劇といっても呵々大笑ではなくクスクス笑いを誘いますが、その方がよかったですね。 なにより、夫婦喧嘩のような左膳とお藤のやりとりがおかしい。喜代三さんはプロの俳優ではないようですが、逆に役者には出せない味が出ていました。全般的には、言動が噛み合っていないちぐはぐ感でおかしみを出しています。ただ、こればかりが多用されていたので、途中でしつこく感じてきました。一方、「十年かかるか、二十年かかるか。まるで仇討ちだ。」とか言っておきながら、七兵衛の仇に偶然出会ったりするのも、考えてみればおかしい。あるいは、壺を必死に確保しておきながら、百万両を探さず、あいかわらずノホホンとしているところとか。小市民的な喜びを描いているあたりも、松竹や吉本の喜劇に通ずるところがあるようです(源三郎が小市民かどうかは疑問ですが)。 絵としては、編集が旨い。これはやはり、いい映画に共通しているところでしょう。特に、家出した安坊を捜して左膳が矢場の内外を駆け回るところ。事前に矢場の周囲をちゃんと撮っているので、こちらにも左膳の動きがよくわかります。そしてカットのつなぎの素早く巧みなこと。あそこが一番印象に残っています。古い映画なので、台詞が聞き取りにくいことが残念。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-11-15 16:41:11)
948.  俺たちに明日はない 《ネタバレ》 
昔洋画劇場で見ていますが、最後以外は覚えていません。というわけで初見と変わらないと思いますが、案外よかった。どの程度事実に即しているのかわかりませんが、とりあえずこの映画での主人公二人は、けっこう「普通の若者」として描かれています。有名な強盗にしては、最初はドジだったり、予想外に人を殺すことになって動揺したりと、悪い面は薄められているようです。その一方で、冗談を言ったり互いを気遣ったりと、恋人同士であることを印象づける描写が多かったと思います。また、二人が強盗を成功させて「有名」になっていく過程は、台詞で説明されているだけ。強盗する場面自体、それほど多くはありません。要するに、二人の青春物語であるという面が強調されているようですし、そのような映画であると思って見ると、若者らしい言動に共感を覚えたりします。最後ばかりが有名ですが、実はそこに至るまでの関係を丁寧に描いていることがよくわかりました。そちらの方に引き込まれます。 そう思ってしまうのも、主演の二人が素晴らしいからでしょう。ウォーレン・ベイティがこんなに二枚目で格好いいとは思わなかったし、フェイ・ダナウェイの美しさはいまさら言うまでもなく。ハックマン以下の共演者も、曲者ぞろいで魅力的。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-11-09 21:45:59)(良:1票)
949.  いつか読書する日 《ネタバレ》 
作品自体の核というか、アイデアはいいと思うのですが、それがうまく生かされていない。「死を待つ妻の願い」なんて、無下にできるわけがないじゃないですか。あれはかなり卑怯だとだと思う。あんなことを書かれたら、本当は妻を愛していても美奈子の気持ちに応えなきゃならなくなる。高梨にしてみれば、死んで妻の元へ行けた方がよかったのかも(だから笑ってる?)。あの親子も、結局最後のために出して、途中の話はついでなんじゃないかと疑うくらい、本筋とつながらない。認知症の小父さんも同じ。うまく説明できないところだけ登場人物の語りにしているけど、そこも語りを使わずうまく伝える方法はなかったものか。どうもこうした、ギクシャクした箇所が多すぎます。中年女性の秘めた恋・純愛を描くというのはけっこうですが、もう少し上手にやってくれよと、同じ中年の男は思います。映像、特にカメラワークは素晴らしかった。池辺晋一郎の音楽はこの人らしいメロディだけど、あまりやる気がなさそうでしたね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2009-11-08 16:55:55)
950.  甘い生活
セレブな方々のお話では、貧乏人の私にはピンと来ません。酒は飲めないしバカ騒ぎは嫌い。それと長い。スタイナーや父親とのエピソードはよかったので、その辺を中心に2時間程度に収めたら、印象が変わったかも。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2009-11-03 17:34:18)
951.  原子力潜水艦浮上せず 《ネタバレ》 
これはパニック映画……とは言えませんね。だいたい登場人物の大半が軍人ですから、非常時にパニックに陥るようでは困ります。一応タイムリミット・サスペンスになるのでしょうが、けっこう時間があるので、助けられる方も余裕です。しかしそれでは映画にならないと、都合よく(?)アクシデントが起こり、救出作業は遅れて犠牲者も増える。このあたりの展開が、リアルな演出とちぐはぐになってしまったと思います。話の先がけっこう読めてしまったのも残念。後半登場するゲイツ大佐がなかなかナイスなキャラクターで、完全に主役のチャールトン・ヘストンを食ってしまいました。こういういいところもあるのですが、どうもインパクトに欠けます。最後はアメリカ海軍の宣伝みたいになっちゃいましたし。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-11-02 19:11:01)
952.  枢機卿 《ネタバレ》 
神学校を出たばかりのカトリック神父が、枢機卿に任ぜられるまでの道のりを描いた物語……というと地味で宗教臭さプンプンかと思いますが、意外と娯楽路線。前半は教義に忠実すぎたため、異教徒との結婚を希望した妹の力になれず、あげく妹は娘と引き替えに命を落とす羽目に。後半はKKKがはびこるジョージア州の教会へ助けに行って逆に鞭打たれたり、ナチスドイツとの併合に揺れるオーストリアで当地の枢機卿と対立したりと、けっこう派手なお話。さらに、休職中に恋した女性と、彼女が結婚してから再会するというチョー・ベタな展開まであります。しかもそれでかなり面白かったりする。全般的にハリウッド的というか、アメリカ的。特に後半では、主人公がアメリカ人であることがことあるごとに強調され、最後のスピーチなどはモロにアメリカの正義をぶっていて、「ハン!」という反発の声も聞こえてきそうですが、そんなところも含めて興味深い映画でした。聖職者が主人公ですが、宗教にこだわらず普通のドラマとして見られるので、一般の日本人でも楽しめるでしょう。「アメリカバンザイ」が気にならなければですが。映像・音楽(音響)も美しい。かなりおすすめ。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-11-01 11:04:59)(良:1票)
953.  激突!<TVM> 《ネタバレ》 
評判がいいようですが、正直なところとても退屈。特に主人公の独白がおもしろくない。カフェのシーンとかスクールバスのあたりなど、車が走っていない場面は中だるみ。また、主人公が必死になればなるほど、彼がバカに見えてきて、こちらもバカバカしくなってきます。よかったのはヘビ好きのおかみさんがやっているスタンドのところくらい? 終盤、主人公がその気になってもっとも盛り上がるはずのところも、特にどうということもなく冷静に眺めていました。ともかく全編にわたって、スリルもサスペンスも感じません。まあこれは、私が車を運転しないからかもしれません。 映像はスピルバーグらしく凝ったところがありますが、裏返せばあざといことこの上なし。 まあなんにせよ、アメリカでなければ撮れない映画でしょうね。というか、こういうアイデアが出てこないでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2009-10-31 10:26:10)(良:1票)
954.  晩春 《ネタバレ》 
小津作品初鑑賞ですが、たいへん素晴らしかった。父と娘の愛憎をあますところなく描き、見ごたえがありました。特に感心したのは、原節子の撮り方。さんざん嫁に行けと言われ、さらに父が再婚するのではという疑念にとらわれた紀子は、それまでよりも数年老けたかのような印象を受けます。まるで魔女のような。心理状態を表情というか、顔全体で表すみごとな演出でした。途中、能の場面まで来て、長い映画だなと思ったら、まだ半分程度。短い時間のうちに、さまざまなドラマを豊かに物語る、密度の濃い作品。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2009-10-27 19:36:52)
955.  ある貴婦人の肖像 《ネタバレ》 
いや~、これは見ごたえがありましたね。 ただ、ヒロインのイザベルには、あまり魅力を感じません。もっとも、「若くて愚かな女性」の物語なので、それで正解なのでしょう。彼女は伯父の遺産相続後フィレンツェに渡り、オズモンドと出会って惹かれるわけですが、どこがよかったのか今ひとつよくわかりません。芸術家肌の彼が、自由人であるように思えたのかな? このあたりまではまあ普通なのですが、二人が結婚し、以前イザベルに求婚したウォーバートン卿と、オズモンドの娘パンジーが出会うあたりから、俄然面白くなってきます。イザベル夫妻とウォーバートン、さらにはパンジーと彼女に恋するロジエのそれぞれの思惑が交錯し、微妙な人間関係・心理の綾が描かれて行きます。ここでイザベルはあちらこちらから板挟みになり、かなり苦しい立場に追い込まれます。ヒロインが共感を呼ぶような人物ならば、ここは見ているこちらも心苦しくなってきますが、なにしろ魅力のない人物ですから、感情移入することなく客観的に見ることができます。そうなってみると、この人たちの関係はかなり面白い。ローマにやって来ているイザベルの従兄弟ラルフも、いいアクセントになっています。このパートは本当にすばらしい。 やがて帰郷したラルフ危篤の報を受けたイザベルはイギリスに渡り、最後に二人の心は通い合うわけですが、ここで重要だと思われるのは、過去のラルフの行動。イザベルが遺産を相続したのはラルフが父親に進言したのだということを、彼女はすでに示唆されています。遺産相続の結果彼女は金目当てのオズモンドに引っかかり、不幸な結婚をするわけですから、元を質せばラルフが原因と考えられます。しかしそれでも彼に対する思いは変わらなかったわけですから、これは間接的にせよ自らの現状を認め、肯定したことになるのでは。となると、曖昧な終わり方をしていますが、やはりあのあとイザベルはローマに戻るのでしょう。もちろんそこには、暖かい団欒は待っているわけではありません。しかしイザベル自身には、少しは変化が起こっているのではないかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-10-25 11:22:19)
956.  ナイアガラ 《ネタバレ》 
久しぶりに見ましたが、かなり面白かった。ベル・タワーや靴、間違い電話を装った秘密の連絡、売店での絵葉書を使った通信、クラクションを鳴らして注意をそらすくだり、船のガス欠など、小技がかなり利いている。やはりミステリー映画では、こうしたちょっとしたポイントの積み重ねが、全体の面白さを引き出します。序盤でジョセフ・コットンとジーン・ピータースが「滝に巻き込まれた小枝」について話しますが、これも終盤を暗示しているようで、なかなか旨い。中だるみするのが欠点ですが、思い返すとあの副社長(?)がダメなようです。笑いをとろうとしているようですが、失敗していて白けてしまいました。また、最後はめでたしめでたしになるわけですが、主人公格が二人とも死んでしまうので、爽快感に欠けるというか、なんとなくモヤモヤが残ります。が、それらを差し引いても傑作と申し上げて差し支えないでしょう。 それにしても、モンローが出ているせいでワリを食っているようですね。もったいないというか、実に残念。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-10-23 19:33:23)
957.  聖女ジャンヌ・ダーク 《ネタバレ》 
前半はジャンヌが王太子シャルルと会ってその信任を得、オルレアンを解放するエピソード。そして後半がジャンヌの異端審問裁判で、どちらかというとこちらがメインのようです。つまり宗教裁判であり、キリスト教徒ではない日本人からすればやや退屈で、どのような意義があるのか判然としない(なんとなくはわかりますが)内容でした。もともと舞台劇だったためか動きが少なく、台詞が中心で、オルレアン解放に関しても派手な戦闘場面は出てきません。非常に地味ですが、俳優たちの演技もあって引き込まれます。 しかし、本質的に宗教劇なので、今ひとつ魅力が感じられません。未公開に終わっているのも、宗教色が強いためでしょうか。また、台詞が中心なので、字幕よりも吹き替えで見てみたいものです。 シャルル7世の元に、ジャンヌはじめ死んだ者たちが幽霊となって現れるという設定は面白いです。これは元の劇にあったのか、それとも映画のシナリオを担当したグレアム・グリーンのアイデアかは、わかりませんが。あと、デビュー作ながらジーン・セバーグが大熱演で、そこが一番の見ものでした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-10-19 21:12:24)
958.  クヒオ大佐 《ネタバレ》 
コメディのように宣伝されていますが、それほど笑えません。笑いをとろうとしているようではありますが、ほとんど空回り。しのぶの弟との会話はおかしかったけど、この男同士の話だけ。メインとなるクヒオ大佐と女性との場面はダメです。 ダメといえば、人物の掘り下げが全体的に浅い。特にメインのヒロインであるはずのしのぶサンについては、弟がちょっと過去に触れるくらいで、背景がほとんど描かれていません。だからなぜクヒオに惹かれるのか、よくわかりません。この点では、2番手に回った春ちゃん・理香ちゃんの学芸員コンビの方がまだよかったと思います。そしてクヒオ自身にしても、人物像がはっきりしない。終盤回想がありますが、それで「過去を忘れたい男」ということを描けても、なぜ詐欺に走るのかが明確ではありません。そこに至るステップが省略されて、結果だけ出されてもついていけない。 あと、内野聖陽演ずる藤原も、なぜ出てきたのか不明確。途中の高橋に対する台詞などを考えると、あくまで“湾岸戦争当時のアメリカの批判”をやりたかったとも思えますが、藤原の出番が唐突すぎて結びつかず、単なるオマケにしか思えません。それとも、本当にオマケにすぎないのか? 映画の流れもメリハリがついていない(特に前半)。山場もたいして盛り上がらない。制作側は何を描くのか、描きたいのかよくわかっているのでしょうが、見せ方が下手すぎ。もっと観客の立場に立って作ってもらいたいものです。堺雅人はいい役者さんだと思うのですが、これでは熱演も浮かばれません。 主題歌はなかなかよかったし、春ちゃんと理香ちゃんが魅力的だったので、おまけでプラス1点。
[映画館(邦画)] 5点(2009-10-18 13:23:20)
959.  努力しないで出世する方法 《ネタバレ》 
アメリカにもこういうサラリーマン映画があったのですね。ここに出てくる上司たちは、セクハラ・パワハラはあたりまえ。極端におべっかに弱く、社員の能力よりも学閥の方が大切だったりして、単純といえば単純な人たちです。必死になって出世しようとする人たちを風刺しているようで、思い当たるところがある人は居心地が悪いかもしれません。 コメディとしては、作品が古いためかそれほど笑えません。「努力しないで出世する方法」という本を手にした主人公が、その教えに従ってトントン拍子に出世するのですが、これがうまく行きすぎというか、運がよすぎ。そこが笑うポイントだと思うのですが、それほどとも感じませんでした。おかしかったのは、終盤株の場所がバレてしまうところでしょうか。まったくこの社長は……。 ミュージカルとしても、あまり華がありません。それはおそらく、主人公カップルが地味なせいでしょう。ブロードウェイのキャストをそのまま起用したようですが、舞台ではよくても残念ながら銀幕では栄えないと思います。社長はけっこうよかったのですが。むしろ社長の愛人はじめ、脇役陣が光っていたと思います。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-10-15 18:52:55)
960.  幸福な食卓 《ネタバレ》 
平凡じゃない一家の、平凡な日常をスケッチしたような映画でした。中原家の人たちはバラバラなようでいて、肝心なところでは強い絆で結ばれている。ただ、お互いをあまり束縛しないだけ。 だから、大事な末娘が大きな心の傷を負ったら、娘のためにみんなでふたたび集まるのです。そのきっかけが「人の死」というのは、わかりやすいけど裏を返せば安易。この辺をひとひねりしてほしかった。 あと、最後に歌が流れる場面は、モロに宣伝のようで好ましくないです。あれでいくばくかのお金が入るのかもしれませんが、映画の流れとしては唐突だし、曲も内容に合っているとは思えません。 とはいえ、淡々としていながらも引き込まれる魅力を持った映画。きっと、主役二人の貢献が大きいと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-10-13 19:31:11)(良:1票)
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