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anemoneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 646
性別 女性
自己紹介 2006年のレビュー本数4本ってあんまりですわね。
2005年には「姑獲鳥の夏」まで見ていたクセに。
ってこういう使い方やっぱ邪道ですよね。来年こそは。

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81.  テルマ&ルイーズ 《ネタバレ》 
20世紀の「俺たちに明日はない」として語り継がれるにふさわしい作品。アメリカン・ニューシネマの心意気を今なお持ち続ける最後の1人がイギリス出身のリドリー・スコットだというのは実に不思議なところだが、「青春をモチーフとしたアンハッピー・エンドのロードムービー」をニューシネマの定義付けと見るならば彼ほどその流れの中心に居続ける作家は珍しいであろう。「エイリアン」など一見してそれとわかりにくい作品も多い中、これはベタベタに真正面からニューシネマの再現を目指した異質な作品。加えて女に本当の友情はあるか、という人類永遠の命題にも取り組み、いくらかファンタジックすぎるきらいはあれど女性にとってはある種のカタルシスを感じられる仕上がりとなっている。男に依存して生きることしかして来なかったテルマが、逃避行の中で女を取り戻し、やがては予想外の方向に羽ばたいて行く様子など、絶望的な負のベクトルに突き進みながらもネガティブな「解放」を描いて小気味良い。ハーヴェイ・カイテルの報われない善良さ、心に傷を負いながらもひたむきに生きていたはずのルイーズの失墜ぶり、実にドラマティックに、不条理そのものを正攻法で描いた作品として、長く心に残る映画である。おそらく映画史上どこを見回しても、オンナがカッコよく死んで行く映画はなかった。だから私はこの映画を、永遠に支持する。
10点(2003-11-29 14:14:03)(良:1票)
82.  依頼人(1994)
はっきり言ってコレは好き。貧乏な家の子供が事件に巻き込まれてしまったら、という設定がそもそもオイシすぎるが、たまたまそのコに助けを求められてしまったスーザン・サランドンの擬似母性が、あまりタフではないシングルマザーのメアリー・ルイーズ・パーカーとせめぎ合っているバランスが絶妙。対するトミー・リー・ジョーンズの憎み切れないワルさもいい感じだし、これはもうメンツの勝利に尽きますね。もちろんストーリーがオイシイのは言うに及ばず。ブラッド・レンフロの生意気な個性もこの頃は素晴らしかった。おもしろいストーリーと、上手い役者が揃えば、それなりの映画が出来るという一つの手本にはなっていると思う。何よりレジー・ラヴ可愛いです。満点。
10点(2003-11-29 13:23:15)
83.  女はみんな生きている
ここ何年か観て来た映画が全てかすんでしまうほど強烈な印象を残しましたね。冒頭の掴みからテンポよくどんどん話に引きずり込まれ、サスペンスでありながら爆笑モノのコメディでもあり、「男と女」という永遠の命題を扱った痛烈な男性批判映画でもある。これを観て感動する男性はほとんどいないだろうと思うけど、女性にとってはこれほど小気味良く、最初から最後まで楽しめる作品というのは実際それほど多くないのではないでしょうか。わからず屋で仕事一筋の夫、家を出て恋人と同棲を始めてしまった息子に振り回されっぱなしの平凡な主婦と、これまでの人生のほとんどを男に踏みつけられて生きて来た娼婦の、痛快とも言える復讐と再生の物語。この映画を観ることが出来て良かったと、長く思い続けられる一作だと思います。
10点(2003-11-23 23:05:30)
84.  パルプ・フィクション
コメントすることさえ恐れ多く感じられるほど素晴らしいの一語に尽きる傑作。おそらくかなりな映画人が「こんなことやっちゃってみたいけどおっかなくてできないな~」と感じていたことをさくっとやって見せてくれちゃうタランティーノという人は本物のバカだ。だから素敵なんだけど。非常にインチキ臭い仕立てではあるが実は緻密に計算されていることは明らか。ただしミスター・クリーン役を演じたハーヴェイ・カイテルが急遽電話で呼び出された時、なんで朝の7時からカクテルパーティなんかに出ていたのかとか、みみっちい疑問は残る。だから何?
10点(2003-11-22 23:20:02)
85.  シン・レッド・ライン
こういうのを傑作と言うんでしょうね。美しくて美しくて美しくて美しい。最初から最後まで徹頭徹尾キレ続けているニック・ノルティだけがあんまり美しくないですが、まあ薬味も必要だということで。私はこの映画、劇場で4回観たのですが、最後の1回は確信犯的に寝に行きました。大きなスクリーンでこの映画を上映している中でうたた寝してみたかったので。実にいい気分でしたよ。良い映画って寝てても良く寝られる。
10点(2003-11-22 20:21:20)
86.  処刑人 《ネタバレ》 
わりと観た映画のことを忘れやすい私ですが、この映画のことは生涯忘れないでしょう。映画としての出来は、正直ダメダメだと思います。ストーリーはいい加減だし、終わり方は唐突だし、ロッコの死なんかオイオイ本当にそれでいいの?って感じだし、各キャラクターの描かれ方の配分とストーリーに占める重要度がイマイチ合ってない感じがする。そういうムチャクチャさを含めて、「すげー!」と思わせてくれるのはやっぱり手腕なんだと思うし、仮に単なる計算違いというか素人の仕事なんだとしても、この当たり度はセオリー通りにキチンとやろうとしてる人にはなかなか出せないものですよね。ウィレム・デフォーは一人で勝手に楽しんじゃっているし、これでいいのかと言われたら答えはノーなんだけどとにかくこれは好き。続編が作られるっていう噂を聞いたけどヘタに欲を出しちゃったらこういう映画はたぶんダメでしょうね。大手製作会社がシルベスター・スタローンとブラピで作ろうとしたって聞いたけど、これ本当にウィレム・デフォー無しで成立できたんだろうか。
10点(2003-11-22 17:58:45)(良:1票)
87.  ミーン・マシーン
刑務所モノのセオリーを踏襲しつつほどよくはみ出した感じがさすがガイ・リッチーという感じで楽しめました。こういう映画はキャラクターが命だと思うんですが、個々のキャラクターにきちんと愛着を感じさせてくれるあたり、やっぱり登場人物の多い作品を扱い馴れているだけのことはあると思います。これ以前の作品に比べると話が素直ですが、こういうのは遅れて来た青春モノと捉えて素直に感動するのが一番良いんではないでしょうか。スポーツを通じてみんなのココロが一つになって行く、みたいなシャラ臭い話ですけど、どうせならこのぐらいシンプルなメッセージの方がわかりやすくていいじゃん?と思う立場から高得点を献上します。ガイ・リッチーらしい仕掛けもところどころにあるんですが、敢えてシンプルな作りを心がけているなあと感じました。TPOを守れることもプロとしての大切な技術だと思います。観終わった後の好感度は非常に高かったです。
[DVD(字幕)] 9点(2007-04-19 01:23:54)
88.  隣のリッチマン
ジャック・ブラックに魅力を感じたことが一度も無く、バリー・レビンソンの映画を面白いと思ったことがほとんど無いので全く期待はしていませんでしたが、クリストファー・ウォーケンの存在が全てを変えたと言っても過言ではありません。一度本格的にコメディをやっているところを見てみたいものだと長年思っていましたが、今回のベン・スティラーとのカップリングはまさに期待通り。全編を通して二人の珍道中が一番楽しく、久しぶりに正しく笑わせて戴きました。ジャック・ブラックって芸風がバカ殿様なんだよなーと思っていたらこの映画では本当にバカ殿そのものだったのも、むしろ邪魔にならなくて丁度良いと思いました。ベン・スティラーの卑屈な個性もなかなか良く活かされていたと思います。たぶんバリー・レビンソンという監督は、傑作を撮ろうとするからダメなんであって、この映画とか「レインマン」「グッドモーニング・ベトナム」のように役者頼みの作品の方が本領を発揮出来るのではないでしょうか。庭にメリーゴーランドを建てたり屋内ボーリング場を作ったりという隣のリッチマンの典型的な成り上がりぶりもそれなりに楽しめますし、特に感動すべき点などを期待するのでなければ土曜の晩にご家庭で楽しむ映画として強くお勧め出来ると思います。
[DVD(字幕)] 9点(2007-03-31 03:15:48)
89.  電車男
そもそもベタでヒネリもへったくれもないストーリーがウケたのがこの作品なんだと思うが、だからこそ主人公を魅力的に演じることの出来る俳優の存在は必須だったし、電車男のいじらしさやカワイさを体現し切った山田孝之の力量にはただもう脱帽するばかり。実際に彼女いない歴37年のアニオタを弟に持つ身としてはっきり言わせてもらうが、山田孝之の見せる怯えた眼差しにはシャレにならないほどのリアリティがあり、その無限の感性には畏怖心すら感じさせられた。この人の存在感だけに支えられる形でこの稀に見る単純素直なストーリーを飽きさせずに展開させて行くわけだが、2ちゃんねるというコミュニティ自体が本来持っているいかがわしさの本質を失うことなく、キレイごと過ぎる物語をキレイにまとめた卒の無さは驚嘆に値する。エルメスを演じた中谷美紀は大画面にはちょっとキツいような気がしたが、半分偶像という難しいポジションをうまく分担出来たと思う。全体にテレビっぽいチャチな作りではあると思うが、ネット文化を映画に置き換えるという作業の中で当然意識されるべきキッチュさとの釣り合いを取るために留まり切れるギリギリの場所に着地出来ている。そういう意味では非常にバランスの取れた作品だと思うし、「電車男」を敢えて映画に置き換える必然性まで立ち返ってしまうと言い訳の苦しいところではあるが、実際にやれるとしたらこれ以外に無いだろうというレベルには達していると思う。ピュアであることに人々が過剰な期待を寄せている時代だからこそこういう作品がウケるんだろうというウンザリ感を凌駕して、何しろ山田孝之の存在感は圧巻。わたしはこの人をこの映画で初めて知ったのだが、日本人の若者でここまで演技というモノを理解出来た人材ってそう多くは出て来ないと思う。どうせこれを見るのは1回だけだし、と決めつけて足を運んだ劇場だったが、まさかこんな映画をもう1度見たくなるなんて、我ながらかなり驚き。公開4週目にして土曜の深夜に邦画がほぼ満席というのも初めてなら、エンドクレジット終了まで、誰一人客席を立とうとしなかったというのも初めて。前半は吹き出すのがコワくてお茶も飲めないほど笑い続け、後半はイヤッてほど泣けました。しかもそれが全部、山田孝之の仕業です。これは凄いことだと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2005-07-10 13:40:11)(良:3票)
90.  ミリオンダラー・ベイビー
ごめんなさい。映画として何一つケチのつけようのない素晴らしい出来だと思うのですが、話がどうしてもダメでした。泣かされ損というか、この救いの無さに、たとえようのないあざとさを感じます。これほどまでに欠点の少ない映画は何年に1回見るかどうかというほどのこの出来栄えの中で、どうしてこれほどまでに嫌な話を描かなければならなかったのか、わたしにはとても理解出来ません。シナリオは非常に良く出来ていますし、ヒラリー・スワンクの卑屈な個性もこの役柄に怖いくらいハマりました。モーガン・フリーマン、クリント・イーストウッドも、おそらく当たり役と言って良いでしょう。何箇所か、ありがちな、でも必要なカタルシスはありますし、ラストでは伝えたいものもしっかり伝わって来ます。でもこの映画が、イーストウッド監督作品でありながら都市部を中心とした小規模な公開に終わったのは、この映画が実際にここで描かれている地方の貧しい人々の目に、入れられるものではなかったからでしょう。アメリカで貧しい家に生まれるというのがどういうことか、この作品は徹底的に残酷にそのテーマを取り上げながら、結局絶望しか描けていない。貧困は「ミスティック・リバー」でも強調されたテーマですし、イーストウッドにはそれを描きたいという強い渇望があるように見えますが、こうしたテーマに悲しさだけしか見出せないところが、実はハリウッドスターとしての彼の限界なのではないかと感じました。皿洗いをして、床掃除をして、人生に後悔しながら死んでいく人たちが、この映画を観て素晴らしいと思うでしょうか。映画が本当に夢を与えなければならない人たちに対して、この映画が勇気や力を与えるでしょうか。大変良く出来た映画であるという観点から高い点をつけますが、わたし自身はこの映画を二度と観ないと思います。もしかしたらわたしがイーストウッドの作品を観るのは、これが最後になるかも知れません。それぐらい、嫌な映画でした。
[映画館(字幕)] 9点(2005-05-30 00:02:57)(良:3票)
91.  コントロール(2004)
レイ・リオッタ、ウィレム・デフォーというまさに異色の顔合わせでもわかるように、派手さはないが手堅い作りでまさに秀作という表現がふさわしい作品。更正の見込みのない正真正銘の社会病質者にレイ・リオッタ、彼を実験台にして精神をコントロールする新薬を完成させようとする科学者役にウィレム・デフォー。マッド・サイエンティスト物の流れを汲んでいながら、狂っているのがどちらなのか微妙に悟らせないキャスティングが効果を上げている。スケール感を見誤らず、シンプルな構成でタイトに見せる作りは好感度大。この手の作品は流行り過ぎてしまいもはや何が来てもさほどの目新しさはないのだが、心理劇としてもミステリとしてもそれなりの水準は満たしているし、この顔ぶれ・このストーリーに賭ける期待に値するものはきっちり返して来る。いろんな意味でブレの少ない、やるべきことをきっちりやった映画だと思います。お勧め出来ます。
9点(2005-03-27 02:56:27)(良:1票)
92.  セルラー
シナリオの完成度の高さと、正当派アクション映画としての見せ方の上手さに脱帽。ネタ依存型の一発芸的なシナリオが流行りすぎてしまった昨今、たたみかけるように「次」を見せて行く展開はシナリオ作法のセオリーの手本ともなり得る。映画のシナリオってこういう風に書くものですよ、って今さら言われてしまう土壌もどうかと思うが。ハリウッドのカー・スタントの手法を知り尽くしたデビッド・R・エリスも本領を発揮。のっけからアップテンポな展開に観客を一気に引きずり込み、一度もトーンダウンせずにラストまで引っ張り抜いた力技にはあっぱれと言うより他はない。惜しむらくは50歳を超えたキム・ベイシンガーのくしゃくしゃの表情がもはやスクリーンでのアップには耐えられなかったこと。狙いなのかも知れないが音楽がやけにうるさくて選曲がダサかったこと。せめて40歳前後の女優が演じて選曲がカッコよかったら満点あげても全然惜しくない出来だっただけに無念でならない。よって痛恨の1点減点。でもウィリアム・H・メイシーのファンは必見。これを見逃したら、メイシーファンは一生後悔すると思う。トイレタイムは無いのでご注意下さい。
9点(2005-03-06 16:26:56)(良:2票)
93.  シリアル・キラー アイリーン 「モンスター」と呼ばれた女
単なる覗き見趣味かと思ったらなかなか見ごたえのあるドキュメンタリーでした。何しろ死刑囚の肉声ですから・・・。生前のアイリーン・ウォーノスと親交のあった監督にしてはずいぶん引いた視線で、私情を交えずに淡々と描かれているところにプロっぽさを感じました。これを見て気づいたことは、「モンスター」でシャーリーズ・セロンが必死に真似していたのは逮捕後11年も経ったこのフィルムのアイリーンだということ。逮捕直後の裁判の映像などを見ると、30代前半のアイリーンは年齢の割には若干老けた印象はあるものの、決してあんなお化けブタではありません。確かに歯並びの悪さは目につきますが、ちゃんと身ぎれいにしてお化粧だってしていたし、目の大きな、笑顔の魅力的な女性です。必要以上にアイリーンの醜女ぶりを強調した「モンスター」がいかにキワモノ趣味だったかということがよくわかり、どうしてもあの映画を好きになれない人間として非常に納得出来ました。死刑執行が近づくにつれて、明らかに正気を失って行くアイリーンや、25年間一度も会っていない娘の話を聞かされる母親の表情、十代の頃のアイリーンの悲惨な状況について証言する昔の友人たち、胸をつまされるシーンも多い作品ですが、下手な小細工をせず率直な語り口で、センチメンタリズムに走らず、あくまでもドキュメンタリーとして勝負した、一見の価値ある作品だと思います。
9点(2005-02-20 04:35:23)
94.  TAXI NY
ヨーロッパ作品のハリウッドリメイクって私の中ではコケやすいんですけど、珍しく成功した例だと思います。元々の「TAXI」があまりフランス映画の王道を行ってるというわけでもないので、ある意味やりやすかったのかも知れません。サミー・ナセリを安易にアダム・サンドラーあたりに置き換えないで、クイーン・ラティファを持って来たのは大正解でしたね。へんに原作のイメージをひきずることなく、良い味だけが引き継がれたという感じがします。突き抜けたバカさ加減はやっぱり原作の方が上かなあ・・・という気もしますが、これもハリウッドではある意味ありがちな物だからかも知れません。イカしたお姉ちゃんたちが無駄に露出するお着替えシーンなんかはいかにもアメリカ~っ、という感じですが、フランス版の方がもっとキワどいエッチネタ出して来てたような気がしますし、このへんの匙加減の探り方に仏米の差が出て来るところも面白いですね。アン・マーグレット、いったいナニやってんだか(^^;ジミー・ファロンのコミカルな演技も非常にほどほど感があって安心して楽しめました。珍しく、日本人にもちゃんと笑えるコメディです。お勧め出来ます。
9点(2005-01-11 01:00:14)(良:1票)
95.  バッドサンタ
いいなあ、この映画。わたしはありきたりじゃない話が好きだし、先が読めない話が好き。新しいな、と思える話が好きだし、その話にぴったりの俳優がその時たまたまちょうどいい年齢だったりするとものすごく嬉しくなってしまう。ビリー・ボブ・ソーントンはけっこうどんな役でもこなせる俳優だと思うけど、この役はまさにハマリ役だったんではないでしょうか。何しろ史上最悪のサンタさんですからね。 そんなに意表をつく展開か、と言われると意外にそうでもない話なんだけど、ありそうでなさそうな絶妙なズレ加減がいい。笑いのツボはかなりブラックで、ひねりもオチもけっこう辛口。決してファンタジーにはならないシビアな姿勢も非常に好感が持てました。いろんな意味で、オトナ向けの作品ですよね。 どう考えてもロクなものにはなりっこないウィリーのくそったれな人生が、決してある日突然バラ色に姿を変えるわけでもなく、突然魔法のように立派な人間に生まれ変われるわけでもない。彼の人生をそのまま肯定するわけでもなく、さりとて否定するわけでもなく、ただ「いいじゃんそれで」に帰結するところが凄い暖かいと感じました。ある意味断崖絶壁まで追い詰められているウィリーを、悲壮感に走らず淡々と演じ切ったビリー・ボブ・ソーントンの上手さが際立つ一編です。好きだなあ、こういうの。
9点(2005-01-02 23:55:31)(良:1票)
96.  イブラヒムおじさんとコーランの花たち
60年代初頭のパリの裏町を舞台に、家庭に恵まれない孤独な少年と、彼に愛情を注ぐイブラヒムおじさんとの心の交流を描く・・・というといかにもありがちな話ではあるのだが、込められたメッセージはあまりにも深く、重い。最後の肉親であった父親に裏切られたユダヤ人の少年は、異教徒であるイブラヒムおじさんの養子になりたいと願い出る。彼にとってユダヤ人としてのアイデンティティは家族の裏切りによって完全に否定され、イブラヒムおじさんこそが彼の欲していた全てを与えてくれる存在であったことになる。だが人生に必要なものは全てコーランの中にあると言い切るイブラヒムおじさんの孤独な半生が明らかになるにつれて、実は少年モモの存在こそが、おじさんの人生にコーランだけでは決して与えられなかった最後の一片であったことがわかってしまう。二人の旅するおじさんの故郷、そこは赤茶けた大地の中にわずか4、50軒の家が肩を寄せあう貧しい村だ。その村からフランスに渡り、何十年もの歳月を黙々と働き続けて来たおじさんにとって、モモはその長い人生が決して無駄ではなかったことを証明する一つの光明でもある。底辺で生きる人々のささやかな幸福を描いた作品はいつも、心の中に一筋のやるせない翳りを残し続ける。パリの裏町でひっそりと数十年間に渡る地味な人生を歩き続けたイブラヒムおじさんの孤独は、オマー・シャリフの名演技と共に永く記憶に残り続けるだろう。
9点(2004-11-30 01:12:01)(良:1票)
97.  ウェルカム トゥ コリンウッド
いいなあ、これ(笑)ウィリアム・H・メイシーとかマイケル・ジェターがお腹いっぱい観られる映画ってあんまりないですよね。しかもまさかと思うほどのハマリ役で。赤ん坊抱えたウィリアム・H・メイシーとか、もうイヤってほどいい感じです。パトリシア・クラークソンの悪女役もステキ。もしかしたらちょっぴりガイ・リッチー入ってるかな?というテンションで、シケた街の冴えないワルたちのドタバタを淡々と、さりげなく冷酷に。冒頭でいきなりボーゼンと立ち尽くすメンバーのくたびれ果てた姿から始まる倒叙劇だが、もちろん何がどうなったらそういう結末に行き着くのかは観るまでわからない仕組みになっているし、わかりっこないおバカな展開が非常に心地よい。やっぱり一番の花はマイケル・ジェター、この人は非常に達者な人でどこに出て来ても当然いい味出してるんですけど、残念ながら滅多に名前が出て来ることってないですね。これはハリウッドの反逆児ソダーバーグが面白半分に、だけど丁寧に丁寧に作った映画。それにしてもソダーバーグとジョージ・クルーニーって本当に異常に気が合ってますね。とにかくロクなことしない二人だけど、こういうイキでお洒落なコメディが作れるんだからこれからもどんどん悪ノリしてもらいたいです。選曲センスも◎。
9点(2004-10-17 05:08:56)
98.  ダイヴ
はっきり言ってジャケットに書いてあった解説とはずいぶん違う内容だナ~、とは思いましたが(笑)ミステリー仕立てを装っているけど実際にはちょっと毛色の変わった人間ドラマですね。話がどう転がって行くのかわからない迷走感と、主要キャラが数珠繋ぎに代わって行く展開が、ちょっと面白いな、と思いました。橋の上にずうっと立っていた男、遺体となって発見された彼を巡って何人かの証言からその人生が明らかになって行く趣向ですが、平行して展開される2人の参考人の断片的な証言から、ひたすら橋の上で彼が待ち続けたものが何だったのか、明らかにされるシーンでは思わずうるっと来ました。いかにも田舎町のダメ人間といったヴィニーを演じたケヴィン・ディロンのダメっぷりが印象的です。原題の「Interstate 84」からしてこれは三文ミステリーとして紹介するよりはもうちょっと文学的な内容だと触れ込んだ方が良かった気がしますが、ケヴィン・スペイシーのブランドイメージが悪い方に影響したようですね。実は描きたかったものは全然違うものだったように思うのですが。晩秋のNY郊外、美しい田園風景を舞台に描かれる「家族って何だろう?」という映画です。お間違えのないように(^^;
9点(2004-10-11 03:16:50)
99.  シビル・アクション
実話を映画化する以上、小説よりも奇なる部分を求めてしまうのは仕方のないことだと思うので断腸の思いで減点。でもこれはなかなか良く出来た作品だと思います。カネになる訴訟を探して企業相手の環境汚染訴訟に関わりあった主人公が、思いっきり情に流されて泥沼にハマッて行くみっともなさが良い。人生カネより正義なんだぞ、といういかにもアメリカ人好みのアンサクセス・ストーリーですが、どこまでもビジネスライクに訴訟社会を泳ぎ切る意気込みに溢れた上昇志向の中堅弁護士から、被害者の心情に巻き込まれて良心の囁きに耳を傾け始める、どこかで善良さを捨て切れない主人公像にジョン・トラボルタの個性が圧倒的にハマりました。トニー・シャローブ、ウィリアム・H・メイシー、彼らの存在感は物語の不透明感を際立たせると同時に、どちらかと言えば陽性で浮世離れしたトラボルタの個性を現実の世界に引き戻す重要な役割を果たしていると思われます。96~99年はジョン・トラボルタの当たり年で、この機を逃すまいと彼は俳優であれば一度はやりたかったであろう役を山ほどこなしました。これは彼なりの「セルピコ」だったんだろうと思いますし、アメリカ人俳優なら誰でも一度はやってみたいであろう理想と真実に全てを賭ける男の物語です。そのファンタジーにどこまでつきあえるかが好き嫌いを分ける鍵となるでしょうが、私は基本的にこういうバカは大好きなので。社会派と言うには今いちキレが悪い気もしますが、たまにはハリウッドにこんな映画があっても良いのではないでしょうか。
9点(2004-10-09 02:18:55)
100.  ハピネス(1998)
いいなあ、これ。ずばり「ハピネス」=「射精」と言い切ってしまった率直さに感動しました。こういうのを見ると、様々な屁理屈とか、美しさを装った物語の数々にオトコたちが必死で隠しておこうとしたモノが剥き出しにされた感じがします。この世に起こる数々の悲喜劇は、結局のところオトコたちが繰り広げる「その瞬間」に至るための哀しいまでの努力、突き進む欲望が発端になっているんじゃないの、という極めてシンプルな結論をココまであからさまに描いた作品は珍しいでしょう。あり得ないほどデキすぎた展開や、映画ならではのファンタジーを極力排除し、むごたらしく現実をつきつける手法は前作の「ウェルカム・ドールハウス」と同じです。現実版「マグノリア」という感じがしてその実直さ、ストレートな物言いに感心しまくり。この作品が男性監督から出て来たという点について、極めて高く評価したいと思います。わたしはウディ・アレンの初期の作品が好きですし、スパイク・リーの作品が好きです。この作品は彼らの描いて来た世界にある種圧倒的に通じるものを感じます。たぶん自らのカッコ悪さを思いっきり笑い飛ばす彼らのふっ切れた部分に例えようもない潔さを感じさせてくれるのだと思います。ペーソス、と一言でまとめてしまうのは簡単なのでしょうが。
9点(2004-09-27 18:11:13)(良:1票)
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