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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2260
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 お世話になっております。
只今『真・女神転生VV』攻略中のため新規投稿お休みしております。

2024.6.28


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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81.  不機嫌な赤いバラ 《ネタバレ》 
最初はニコラス・ケイジに同情しまくり。頭ではマダムの寂しさを想像できても、やっぱり憎たらしい。彼を主体にストーリーが進行するから尚更です。マダムに対する見方が変わるのは、物語が彼女の視点に移行した時。久しぶりに訪ねてきた息子に喜ぶマダムの顔は、ごく普通の母の顔。しかし静かに息子の願いを断った顔は、元ファーストレディのそれでした。その表情が絶妙です。彼女が置かれてきた状況、抱いてきた想い、それらを瞬時に察することが出来ました。心の隙間を縫って彼女の心が流れ込んでくるよう。不意をつかれて涙しました。ここからの畳み掛けが上手い。観客には、マダムがニコラスを重用する理由が明かされ、彼女に対する理解が深まります。さらにニコラスも、彼女と酒を酌み交わすことで気持ちを通じさせます。一気に和みムード。しかしマダムの表情は晴れません。今後の成り行き(病気に起因する悲劇)を予感した矢先の急展開。虚をつかれました。ニコラスの心情を慮ると辛過ぎる。彼は後悔の念に苛まれたはずです。マダムのわがままを許してしまった、己の甘さを責めたと思う。彼女と打ち解けたがゆえに、出てしまった緩み。ただし、運転手と対峙した時に彼がとった行動は、後悔に由来したものではありません。この時の彼はプロではなかった。彼はただただ、マダムを助けたかった。その強い想いが伝わってきます。ビジネスを超えた繋がりを感じずにはいられません。ラストも秀逸。退院時に車椅子に乗れという看護師。その規則に論理性はありません。車の座席位置でモメたのとは訳が違います。それでもなお、規則に従えと言うニコラス。彼の顔をじっと見据えた後、従うマダム。2人の新たな絆を感じます。マダムの人生は、得たものより、失ったものの方が多いかもしれない。でも最後に信頼できる人間を得られたのは、何よりの幸いだと思います。不機嫌なバラは、これからも不機嫌であり続ける。それが彼女らしく生きることだから。そしてニコラスの髪も抜け続けるでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-06-20 17:41:22)(笑:1票) (良:2票)
82.  フロム・ダスク・ティル・ドーン 《ネタバレ》 
前半のクライムサスペンス調から一転して、後半はおバカアクションホラー。この変わり様には驚きました。悪趣味ぶりも際立っています。でもこんなテイストも嫌いじゃない。たぶんバカのさじ加減がいい具合なのだと思います。手の平を撃たれているのに、苦しむそぶりを見せないタランティーノ。おそらく人格が“壊れている”ことの暗示でもあるでしょうが、それにしても大雑把な表現です。そうかと思えば、「人間の体は硬くて杭が通らないけど、バンパイアの体は柔らかいから簡単に杭が通るんだ」なんて説明をご丁寧にしてくれる。この妙なこだわりが面白い。終盤のバンパイア狩りアクションの爽快さが、前半の胸糞悪い空気を吹き飛ばしているように感じました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2007-06-17 18:31:59)
83.  ボーン・コレクター 《ネタバレ》 
テレビ吹替え版での観賞です。主人公が捜査に加わった事件のうち、明らかに3件目だけテイストが違います。水蒸気、ネズミとその手口の(見た目の)残虐さは目を覆うばかりだったのに、最後の犯行だけは溺死を誘うというヌルさ。トーンダウンは否めません。本命のターゲット、主人公殺しに至っては何の準備もしていなかったみたいですし。せっかく猟奇的な殺人を展開してきただけに、言葉は変ですがもったいない気がしました。テレビ用にカットしてあるためか、全体的に粗さも感じます。それでも、この手のサスペンスとしては、まずまずといった印象でした。目を引惹かれたのはアンジェリーナ・ジョリー。今のような貫禄はなく、警官の制服を着ているというよりも、着られている初々しさが微笑ましかったです。
[地上波(吹替)] 6点(2007-06-16 18:39:27)
84.  ホット・ショット
松本人志の『大日本人』が、ほぼボークのみで構成されているコメディだとしたら、本作は全てが直球勝負のパロディ。ベースとなる元ネタ『トップガン』は未見ですが、全く問題なく楽しめました。ホントくだらない。くだらないけど、これが世界基準なのかも。下ネタあり、ブラックあり。ベタで分かり易いネタが満載。30秒に1回は必ず笑いの仕掛けがありました。その徹底ぶりが素晴らしいです。気軽に観られるコンパクトさもいい。気分をリセットしたい時など、重宝する作品だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-06-11 18:18:43)
85.  ドラえもん のび太とアニマル惑星
子供向けの作品として手堅い出来。環境問題を扱っており、教育的にも良さそう。いわゆる大人が子供に見せたい映画だと思います。自分も親なので、こういう作品はありがたいです。ただ、好きかといえば、そうでもない。それはアニマルプラネットがあまりにも完璧すぎるから。動物たちは争う必要がなく、環境が破壊される心配もない。良いことずくめに思えます。でもそれって、つまらない世界だとも思います。いろいろ不都合があったほうが、歯ごたえがあって遣り甲斐がある。もっとも今の世の中は、遣り甲斐あり過ぎですが。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2007-06-10 02:59:40)
86.  イゴールの約束 《ネタバレ》 
物語が進むにつれて父親とイゴールの結びつきの強さが明らかになります。そして同時に違和感を覚えます。それは親子に距離感が無いから。お揃いの指輪、刺青、カラオケでデュエット熱唱。年頃の息子と父親の関係とは思えない。一心同体。血肉を分けた子ですから、父が息子を同一視する心情は分かります。それは愛情でもある。ただし、本作のケースは度を越えています。父にとって息子は、今も幼い子供のまま。コミュニケーションの取り方ひとつ見ても、それが伺えます。しかし父は子を縛っていることに気付いていません。それは息子にしても同じ。いや、気付いていないというより、甘んじていると言うべきか。束縛は苦痛ではありません。面倒な選択と決断をしなくていいなら楽なものです。しかし、少年はそれを“よし”としない生き物のはず。従順だったイゴールの反発。それは父と共有してきた価値観の放棄を意味しました。そのきっかけは“死”。自分が関与した人の死は、彼に大きな衝撃を与えたでしょう。その圧力が束縛を切る力に転化したのではないか。そしてキーとなるのが、死んだアミドゥの妻の存在。幼子を抱えながら凛と振舞うその姿は、あるべき母親像そのもの。イゴールが自身の母を彼女に重ねたと想像するのは難くありません。そういえば彼女に抱きついたイゴールは、まるで母に甘える子供のようでした。母親不在の状況が父子の濃密過ぎる関係を構築し、仮初めの母が息子の自立を促したと見てとれます。そうだとすれば興味深い。イゴールが自立のために払った代償はとてつもなく大きいものでした。しかし、もし“今払わなかったら”と考えるともっと恐ろしい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-05-28 18:14:50)(良:1票)
87.  スリーピー・ホロウ 《ネタバレ》 
首なし騎士は怖い(ウォーケンの首つきのほうがもっと怖い)ですが、一番恐ろしいのはやっぱり人間。主人公も主人公にあるまじきダメっぷり。正統派ゴシックホラーの趣ですが、人間の暗所と短所が存分に描かれている、紛れも無いバートン作品。この毒気こそが監督の魅力。無駄に悪趣味な部分もありますけど。思った以上にミステリーとして楽しめましたが、こういうジャンルに不慣れなためか、タネ明かしが少々もたついたように感じました。ところで冒頭に出された宿題、“主人公の理想は現場で活かされるのか”については、結局どうでもよくなってしまったような。物語の締めにもう一工夫あって良かったかも。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-05-22 18:10:37)
88.  ガメラ 大怪獣空中決戦
もし、ギャオスやガメラが今の日本に現れたら。それを大真面目に描いてみせた本作。その真摯な姿勢がたまらない。子供の心を忘れずに、それでいて大人の分別を持っていないとこうは行かない。大人である自分も童心に帰って楽しむことが出来ました。キャスティングも絶妙。こう言っては失礼ですが、人気俳優がいなかったのがよかった。日テレが協賛ゆえ、お馴染みの局アナが使えたのも大きい。こういう真剣な遊び心のある作品は支持したいです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-05-05 02:19:41)
89.  無問題(モウマンタイ) 《ネタバレ》 
岡村と中国娘との交流。通訳を介するところがミソです。ジェスチャーでも片言でも、2人だけのコミュニケーションならば、自ずと心の距離は縮まる。寝食を共にしているなら尚更です。でもそれではありきたり。通訳という第3者の介入を許すことで、互いに好意を抱き、気持ちを確認するまでの時間が長く取れました。ドラマに奥行が出ます。通訳の元カノ、そして岡村と娘の3者が集うシーンが最大の見せ場。3者の微妙な想いが伝わってきます。とくに元カノの気持ちは誰よりも複雑。岡村に対して愛はありません。でも情は残っている。そこに生まれる嫉妬とライバル心。彼女がウソ通訳をするのは必然でした。岡村も自分の気持ちをハッキリさせられないでいる。香港まで来させた想いは簡単に切り捨てられない。元カノの手前もあるし、自身を否定することにもなるから。でも本心は自分が一番知っている。娘の立場も岡村に近い。ただ素直に想いを告げられる分、彼女の方がずっと強い心を持っていると言えます。コメディやアクションの要素は薄く、意外なほど真っ当なラブストーリー。先に挙げた場面の他にも、岡村が娘に日本語を教えるくだり(ここでは99岡村の顔)、収容バスで交わされる言葉など、印象的なシーンは結構あります。印象は悪くないです。ただイマイチ乗り切れないのは、序盤が退屈であったことと、主軸に沿わないアクションとコメディが物語の雑味になったこと。恋物語として魅せる力がある作品なので、岡村の動きを封じる決断があっても良かったと思います。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2007-05-03 18:49:46)
90.  スネーク・アイズ(1998) 《ネタバレ》 
有名な難解作品、あるいはそういう作風の監督だと知っていれば、覚悟して作品に望みます。また、観ている途中、明らかに構成が凝っていると分かると、気を引き締めます。もちろん物語に惹き込まれれば、食い入るように観ます。でもそれ以外の場合は、スッと観てしまう。それ自体は悪いことだとは思いませんが、後から“しまった”と思うことがあります。本作はそのパターン。何となく腑に落ちない部分はあれど、「ちょっとカメラワークの凝った普通のサスペンス」と評価を下すところでした。でもラストカットでそれが間違いであることに気付かされます。本作はそんなに浅いお話じゃない。序盤のカメラワークに感心し、主人公の決断に呑気に感動している場合じゃなかった。「スネークアイズ」の本当の意味。それが分からないと、本作を堪能したことになりません。でも観終わって気付いても後の祭り。皆さんのレビューを拝見して納得しました。映画の楽しみ方と奥の深さをひとつ教えてもらいました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-05-02 19:48:15)
91.  ナビィの恋 《ネタバレ》 
恋で焦がした胸の痛みは、一生かかっても消えない。恋は全ての倫理観に勝る力を秘めている。だからナビィの決断には、賛同できなくても共感はできます。残された時間を大切にして欲しいと願います。それよりもおじぃの方が気にかかる。おじぃの心情は察して余りある。もともと自分は“代わりの男”。それを負い目にしつつも、数十年寄り添ってきたという自負もある。しかし、代替品はどこまでも代替品。遂に本命にはなれなかったのでしょうか。いや違う気がする。おじぃもまた本命になれた。連れ添った年月の価値は重いと思う。いやそう思いたい。2人が過ごしてきた時間は、ナビィに残された時間よりも遥かに長く尊い。勿論おじぃの本音は“行かないでくれ”。最新のマッサージチェアーが家に届いたときの2人の顔。ぎこちない動き。双方の想いは語らずとも伝わります。それに恋で胸を焦がしたのはナビィだけじゃない。おじぃもまた、少年の日の想いを忘れられないのです。だからおじぃはナビィの好きにさせた。沖縄の風土と人、音楽に心を洗われ、切なくほろ苦く、でも笑顔になれる物語を堪能しました。(余談。占い師の存在について。どうにも胡散臭い(失礼)占いを島民が信じて疑わないのには訳があると思いました。恐らく血が濃くなり過ぎるのを避けるための知恵ではないかと。そうだとするならば、ナビィの恋が実るのには相当の歳月が必要だったことになります。)
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-04-27 18:40:51)(良:2票)
92.  トレマーズ 《ネタバレ》 
クリーチャー系パニック映画のお手本のような作品。救援を期待できない陸の孤島。相手は得体の知れない化け物。でも生物だからちゃんと殺せる。弱点があるから戦える。でも狡猾で、まともにいったら勝ち目は薄い。設定の加減が絶妙です。相手が強大すぎると戦う意欲は失せますし、逆に弱いと物足りない。相手に分(ぶ)がある中で、如何に工夫して戦うか。冒険心を実にくすぐります。それに人間描写も的確。とくにガンマニア夫婦。自慢の銃のコレクション。チャンスがあるなら何としても撃ちたいし、有事のために備えた水や食べ物だから、こんな時にこそ使いたい。おまけに窮地に陥った原因を他人のせいにしちゃう。とことん人間の本質を突いています。本来ならサスペンス・ホラー寄りになっておかしくないお話を、コメディタッチに清々しく仕上げた手腕はお見事。敵の能力判明後、死者がほとんど出なかったのも上品です。まさに愛すべき作品。カテゴリ的にはB級もB級ですが、これは一級品です。
[DVD(字幕)] 8点(2007-04-19 18:01:01)(良:2票)
93.  スチュアート・リトル 《ネタバレ》 
本来人間の子供が演じる役回りをネズミに置き換える。この力技を違和感なく観客に納得させているのは、ネズミというチョイスが絶妙だからだと思います。ネコやイヌではこうは行かない。世界観をファンタジーに逃げるのではなく、あくまで現実世界の中でコレをやっている。結構スゴイと思いました。(注:あらゆる動物が人間と会話するのであれば、完全なファンタジー。でも本作は、ネズミのみに例外を認めている。ですから本作の世界観は“現実”と考えます。)主人公をネズミにしたことでコメディの要素を生み、楽しい作品に仕上げています。その手際はお見事。ただ設定とは裏腹に描かれる物語はどこまでも現実感を欠きます。家族愛。偏見を失くすこと。美しいテーマは垣間見えます。しかし心を捉えません。実の子を亡くしたとき、ネコを亡くしたとき、スチュアートを亡くしたとき。あの一家は同じように泣くのだろうか。偏見を失くそうというメッセージもそう。偏見とは、壁の無いところに壁を立てるようなもの。本作では逆に、在るはずの壁を無いものとして扱っています。両方とも結局は同じこと。“違い”を誤魔化すのは偏見と同じくらい危ういことです。ただサラリと表面だけを楽しむには最適な作品だとは思います。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2007-04-05 19:56:28)(良:2票)
94.  ニンゲン合格
黒沢監督作品は、本作で自身6作目の鑑賞。やはりこの監督とは相性がいいようです。淡々とした語り口ながら、気付いたらいつも物語に引き込まれています。教え上手の先生の授業を受けているような感覚。手取り足取り、懇切丁寧が良いとは限りません。要所を押さえて適切なヒント。考える時間が丁度いい。答え合わせに喜びや驚きがあるので、内容がどんどん頭に入ってくる。(たまにヒントが少なかったり、フォローが無かったりもしますが。)この先生は教材のセレクトも抜群。役所広司の仕事ぶりは間違いないですし、西島秀俊のハマリ具合は絶妙でした。生徒を震え上がらせることでは定評のある先生。本作ではいつもと違って、かなりギャグをとばしています。一般受けが良いかどうかは分かりませんが、自分は結構笑いました。確かにポニーじゃない(笑)。タイトルをそのまま受け取るか、皮肉と取るか…。今回の宿題も楽しめそうです。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-03-22 18:25:25)
95.  乱気流/タービュランス 《ネタバレ》 
一昔前ならパイロット不在という状況だけで、十分にドラマになりました。しかしテクノロジーは進歩し、自動操縦で着陸可能だという。そうなるとドラマの要素を外部に求めざるを得なくなる。苦心の跡は感じられます。ただ、もう少し納得できる展開にして欲しかった。極限状態ゆえ冷静を欠いたにせよ、主人公のプロ意識を欠く行動は目に余ります。戦闘機が旅客機への攻撃を止めた経過もよく分からない。おまけにその戦闘機の神技炸裂で緊張感が途切れます。ああ、何でもアリなんだ。航空パニックものは、どう料理しても満足感を得られる優良な素材だと思うのですが、これはいただけなかったです。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2007-03-15 18:39:55)
96.  マーズ・アタック! 《ネタバレ》 
設定はSFの王道。タッチはコメディでもそのメッセージは強烈です。“火星人VS地球人”の構図はそのまま“人間VSペット(犬)”、そして“アメリカ移民VSネイティブアメリカン”に置き換えられます。痛烈な皮肉と批判が込められているのは明らかです。強者の側から一方的に物事を考えてはいないか。弱者の立場になって考えてみろ。痛快でした。ただ、ダイレクト過ぎる気がしました。人面犬(&犬面人)の表現はあからさま且つ悪趣味ですし、先住民問題にしても直接キャストにスピーチさせるのでは芸がない。スマートさに欠けたと思います。この手の比喩表現は、薄いくらいで調度いい。むしろその方が心に残るような気がします。決して嫌いな作品ではないのですが、自分には少々アクが強かったようです。もっともこのアクこそがティム・バートンなのですが。
[DVD(字幕)] 7点(2007-03-10 18:39:05)
97.  ジャイアント・ピーチ 《ネタバレ》 
空飛ぶ巨大なピーチ、擬人化した虫たち、人形に変わった主人公。全て“魔法”で説明がつきます。機械の大魚も、ナイトメアのジャック登場にも違和感はありません。それは主人公の視点で物語が進んでいるから。実写→アニメへの移行は、世界が客観(現実)から主観(非現実)に移ったことも意味していると思います。主観の世界でなら、何が起こっても不思議ではありません。ニューヨークに到着して、主人公の魔法は解けます。実写に戻るのは、現実に戻るということ。アニメ世界の住人たちも、主人公同様に魔法が解けて、在るべき姿に戻るはず。蜘蛛女はクモに、天道虫おばさんはテントウムシに。それが暗黙のルールだと思っていました。しかしこの予想は外れます。擬人化した虫たちはそのまんま。意地悪おばさんに至っては、車で海底を走ってきたという。ということは、作品の世界全てが現実・非現実の区別のないファンタジーだったのか?いや、そうではありません。巨大な桃は見物料が取れるほど特別なものだった。虫たちもニュースになる存在。本作にも“非現実”の概念はあります。つまり、“非現実から現実に戻ること”よりも“非現実を現実に変えよう”。それが本作の主張です。アニメの世界を現実に変えよう。車は海底を走れないなんて誰が決めたの。“見方を変える”とは、こういうことだと思いました。もちろん不幸な境遇にだって当てはまります。前向きなメッセージだと思いました。なお、スタッフロール終了後、もうひとつ“見方を変える”サンプルがあります。少々悪趣味な遊び心が、ティム・バートンっぽいです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-03-07 17:52:45)
98.  ライアー 《ネタバレ》 
救急車の隊員、大金を掴んだ太っちょ刑事、火葬、ラストカット。ネタばらしは丁寧なので、つくりとして不親切ではないのでしょう。ただ、思ったほど驚きがありませんでした。ご指摘の方もおられるように同系列『ユージュアル~』には及ばないと思いました。また謎として残った殺人事件の真相についても、あれこれと思いを巡らせようとは思いません。本作の要はそこにはありません。事件そのものに興味を持たせる工夫が欲しいと思いました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2007-03-04 17:56:59)
99.  フォーリング・ダウン 《ネタバレ》 
小さなイライラの積み重ね。溜まったストレスの大きさは自分では案外分からないものです。キレるきっかけは僅かな事でいい。瞬間的にキレた場合は、すぐ我に帰ることが出来ます。しかし“タガが外れた”時はそうはいきません。本作の主人公はこのケース。ただし車を捨てた時点で、完全に外れている訳ではありません。ちゃんと段階を踏んでいます。破壊を実行するごとに、その内容もアイテムもエスカレート。そして殺人という一線を越えます。高いハードル。「プレゼントを壊された」「相手がナチス信仰者」という2つの要因が彼の背中を押しています。砕け散ったのは、プレゼントだけではありません。とてもリアルに感じました。自分が本作の主人公にならないとは言い切れない。ですから彼には、“失業していた”とか“もともと短気だった”“精神的に病んでいた”という設定は必要無かった気がします。主人公と対比される存在が退職間際の刑事。嫌味な上司にアホな同僚。不安定な妻。彼もまた、いつキレてもおかしくない状況です。しかし彼は決してキレたりしません。つまり普通の人はキレたりしないという意味。これも不要です。普通の人がキレるから、誰の身の上にも起こりうるから怖いのだと思います。主人公が特別な存在になってしまったことで、少し醒めてしまいました。残念。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2007-02-28 18:05:00)(良:1票)
100.  フィッシャー・キング 《ネタバレ》 
罪の意識を負いながら、罰が与えらないこと。贖罪が叶わぬことは、罪の重さを知る者にとっては最大の罰です。理不尽な形で愛する者を失うこと。これもまた神から罰を与えられたようなもの。ジャックはともかく、バリーには何ら非がありません。しかしこういった悲劇が突如降り掛かるのも現実です。重い罰を与えられた2人の出会いは、単なる偶然か、あるいは神の配剤か。いずれにしてもこの出会いが、2人の人生を動かします。瀕死の状態の彼らを救った“癒し”。それは聖杯に象徴されます。もちろんウソ聖杯にその力はありません。彼らにとっての聖杯は、恋人の支えであり、友情でした。心を傷つけるのも人なら、癒すのもまた人。もっともジャックは後悔の念を、バリーは妻を失った悲しみを、一生負い続けるのは変わりません。真のハッピーエンドは、本作には存在しないのだと思います。しかし2人は罪に対する“許し”を得ました。僅かな許し。でもそれが生きる力になるのだと思います。重いテーマでありながら、自分は楽しく、そして正面から物語と向き合えました。脚本が抜群に素晴らしい。駅の舞踏会、夜の公園シーンを、忘れることはないでしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2007-02-25 00:19:04)
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