1001. キング・オブ・コメディ(1982)
《ネタバレ》 面白いんだけど、自分がこんな風な痛い男になってないか、チェックしながら観てしまった。ちょっと腹の立つところも・・。でも最後、売れるんだよね、この人。でもいつまで芸能界にいられるか、ってとこまでは描かない。痛い映画ではあるけど、愛する人の前で最後、アピールするとこなど格好いい男の話でもあった。デニーロは、現状に押しつぶされても、凹まないで、犯罪に走る人間をやらせたら、ピカイチだね。 [ビデオ(字幕)] 7点(2016-09-23 10:46:05) |
1002. ダイヤルMを廻せ!
《ネタバレ》 これは思い出の映画です。昔、NHKの教養テレビで月に一回、名画をノーカットで放送してて、高校生のときにこれを見て、度肝を抜かれた映画である。以来、映画の虫となった。上手には上手がいる、としみじみ思ったものだ。 [ビデオ(字幕)] 8点(2016-09-19 22:57:16) |
1003. 彼岸花
《ネタバレ》 おぉ!小津映画がカラーになってる。でも基本、白黒と変わらぬ演出。強いて言えば、赤の色が有名な映画。もう、小津節の人情喜劇、全開!って感じで、頑固親父と、その彼を結局手綱づけてる周囲の女性たち。小津映画の女性たちはみな初々しい。これが日本映画の良さなんだね。山本富士子のお母さんのお喋りは勘弁してほしいが(笑) [ビデオ(邦画)] 8点(2016-09-19 12:32:29) |
1004. ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女
《ネタバレ》 破滅の美というのが映画のジャンルとして確かにある。多くはラストが悲劇的である。それを観て、散りゆく花の一瞬の美しさに我々は安全地帯から酔う。しかし我々はその代償としてナニモノでもない。この映画もそうである。不倫の官能に堕ちていく男女の作家は、自分たちの遍歴を何らかの形でそれぞれ文章にするということで大作をモノにする。そうではあるが、やはり退廃である。映画の主人公たちは、文章にするという秩序立てで、とりあえず乱れた生活の中で精神状態を保ってはいる。しかし作家ならいいが、これが家族ならたまったものではない。それでも女性作家の旦那は、銀行家という職業のせいか、どこか鈍い。しかし男性作家の妻は、旦那の写し鏡のごとく、乱れた生活の中にいて、逃げ出しはするが、それでも戻ってきた時は、文字にするという身の処し方を知らぬ故、混乱する。監督のカウフマンは自分はお気に入りの作家だ。「存在の耐えられぬ軽さ」で退廃の人生を描いた彼は、ここではもう悲劇の行方までは細かく描かない。それよりも作家であることで、何とか立っている女性作家の妖しげな美しさを丁寧に描いてる。カウフマン監督作品の佳作さが残念だ。もっと彼の真骨頂の作品を観たかった。しかし彼もこのような退廃の美を描くなかで、自分を見失ってしまったのかもしれない。 [ビデオ(字幕)] 7点(2016-09-19 08:54:58) |
1005. 母と暮せば
《ネタバレ》 山田洋次の映画は、心がほっこりする。AIには創れない映画だ。結局、どんなにビッグデータやらAIやら言ったところで、こんなもんでいいよねの姿勢がコンピューターにある限り、山田洋次の愛の込められた作品には到底勝てまい。さて本作だが、ご存知井上ひさし原作の「父と暮せば」へ捧ぐ作品になっている。優しい父親役の原田芳雄と宮沢りえのじゃんけんのシーンが忘れられない。ここでは山田洋次らしく、幽霊さんにも寅さんみたく失恋させてしまう。そして吉永小百合のラストのこの世とのお別れのシーン。山田洋次がここ何作かで、自分の作品にどんどん落とし前をつけるような作品を創っていってることは確かだ。「小さいおうち」がそうだった。山田映画で子どもの頃から観てきた吉岡くんにけりをつけている。山田監督が死の準備に入っていることは仕方のないことだ。それは避けられないもの。我々は寂しい気持ちはあるものの見守るしかない。 [DVD(邦画)] 7点(2016-09-18 22:25:31)(良:1票) |
1006. 独裁者と小さな孫
《ネタバレ》 マフマルバフは、「カンダハール」でもそうだったが、ラストはいつもこうだ。映画が落とし前の芸術ならば、この独裁者の悪行を知らない我々には、丁度いい幕引きだ。我々にはこのお祖父さんの孫を思う気持ちしか知らないのだから、そのお祖父さんが処刑されるシーンは、鑑賞後最悪の気持ちになるので、ここで終わるのが正しい。でも「カンダハール」では、全く罪のない女性のあのラストの幕引きは、映画をたくさん観てきた中でも印象に残ってる映画だった。マフマルバフという名前も、そこで強く刻まれた。中々地方にいてはお目にかかれない監督だが、今回久しぶりに観ることが出来た。映画をよく知っている人だなぁと改めて思わされた。 [DVD(字幕)] 6点(2016-09-17 15:04:43) |
1007. フットルース
《ネタバレ》 どこにでもあるような普通の高校生の話。でもご機嫌の音楽にのって踊ると、気分はもうスーパースター。その気持ちで保守的な町の大人たちに立ち向かう。パーティをやりとげた彼らの踊りは最高だった! [ビデオ(字幕)] 7点(2016-09-14 23:26:47) |
1008. ザ・ウォーク
《ネタバレ》 WTCを映画として残しておきたかったのかもしれない。CGと分かっているので、緊張感はなかったが、話の進行役の主人公が自由の女神から話しかけてるので、ひょっとしたら失敗して死んだのかもしれないと思わせる演出(?)で、ラストはやきもきした。でもまぁこんな映画もあっていいんじゃないでしょうか?楽しめました。 [DVD(字幕)] 6点(2016-09-10 20:12:30) |
1009. オデッセイ(2015)
《ネタバレ》 う~ん、面白かった。観てるだけで、強くなった気がするもん。確かにアメリカ人は強い。そして開拓者精神があふれてる。(でもそれは私的には、あの広い大陸とクルマ文化のせいもある気がするんだけど)(でも日本人よりはサバイバル能力あるよね~)何より火星に取り残されるのが、タフでクールでそしてワイルドなマットディモン。彼の知的な風貌と強靭な肉体から、火星からの帰還の話も何やら説得力が出てくるから不思議。他の役者なら、ここまで映画として成立したかどうか。でもアメリカの荒野を制したのと同じように、宇宙でも通用するのかどうか。でもまぁ映画なんだから、楽しまにゃ損、損。面白いぞ!! [DVD(字幕)] 8点(2016-09-10 01:51:14) |
1010. 心の指紋
《ネタバレ》 「ナチュラルボーンキラーズ」の極悪人役のウディハレルソンが、ここでは一転して良識派の人質役の医者を演じる。ちょっとクスッと笑ってしまった。それにしてもマイケルチミノは、明らかに自分の好きなタイプの作家だ。「ディアハンター」で気づくべきだったが、学生の頃に観てから、最近「天国の門」を観るまで、ノーマークだった。佳作なので、自分もうっかりしてた。一言でいうなら、切れ味だけの作家ではなく、大きな器も扱える正統派で健闘しているシャープな作家である。この本作でも、彼らしさが最後までうかがえる。シャープな作家なら、避けて通るであろう伝承や奇跡にも触れてみせるのがチミノだ。あ~、もっと作品があればいいのにと思う。本作では、グランドキャニオン、モニュメントヴァレーでの大掛かりな撮影を敢行して、インディアンへの仕打ちという、またもアメリカの黒歴史を扱っている。本当に骨太な作家だった。亡くなられたことに哀悼の意を表します。 [ビデオ(字幕)] 8点(2016-09-04 20:25:35) |
1011. 天国の門
《ネタバレ》 こんな凄まじい映画だったとは・・。タイトルからして牧歌的なイメージがあり、3時間を超える長さなので、今まで観るのに気が乗らなかったが、いざ観てしまうと、凄まじい、この一言に尽きる。郡の人間全員に死刑宣告が出る、殺し屋が金の匂いがして嗅ぎ付ける、皆も黙って殺られはしないという、確かに映画会社潰しただけの内容だった。しかもラストの戦闘シーンに至るまでが実に丁寧で、アメリカの大自然の中、男と女の三角関係が描かれる。だからこそのラストの無常さ。これはニューシネマをもの凄く金をかけて創った映画だという印象を受けた。80年代の映画ではあるが、内容はニューシネマだと思う。しかし移民を扱った映画としては、かなりの問題提起だ。アメリカの歴史にはこういう面もあるのだと勉強になった。マイケルチミノはやはり凄い。僕の中では「ディアハンター」の監督のイメージしかなかったが、やはり本作こそ人生をかけた大作であったように思う。そのチミノ監督も亡くなられてしまった。ご苦労さまでしたの一言です。この作品は、やはり話題と共に、映画そのものも映画史上に敢然と刻まれる映画だったと思います。 [ビデオ(字幕)] 10点(2016-09-04 00:36:01) |
1012. ランボー3/怒りのアフガン
《ネタバレ》 一人対多数のコンセプトで創られ始めたランボーシリーズ。本作では一人対ソ連(この頃はまだロシアじゃなかった)。それにしても銃弾飛び交う中、上半身裸で暴れまくるランボー。彼の筋肉は防弾チョッキなのだろうかと思ってしまう。とにかくアメリカ人は退かないとスタローンは言いたいようだ。最後の戦車対武装ヘリの対決が、映画「戦闘機対戦車」を思い出した。 [ビデオ(字幕)] 5点(2016-09-03 10:25:15) |
1013. ランボー/怒りの脱出
《ネタバレ》 ようやく鑑賞。シルベスタースタローンをロッキーシリーズで見直して、ランボーシリーズも面白いのでは?と期待して、鑑賞。1作目は割と好きだった。本作は80年代を代表する映画として紹介されてたので、気分をあの頃に持っていって観ました。う~ん、この映画を観て、中東との戦争に志願して行ったアメリカ人がいるのでは?と少し複雑な気持ちに・・。 [ビデオ(字幕)] 5点(2016-09-03 10:15:12) |
1014. トゥルー・ロマンス
《ネタバレ》 トニースコットとタランティーノのタッグ。トニー色が強かったが、デニスホッパーのお父さんとクリストファーウォーケンのシーンはタラちゃんっぽいね。自分を殺すかもしれない相手に、デニスホッパーが静かに悪口言ってるとこのシーンで、音楽が流れるあたり・・。 [ビデオ(字幕)] 6点(2016-08-30 20:18:01) |
1015. セント・オブ・ウーマン/夢の香り
《ネタバレ》 この映画を観た後、思ったこと。この国(アメリカ)は何て手強いんだろう、てことだった。戦争で手足を奪われたり、悲惨な光景を目の当たりにしてきたアルパチーノ演じる軍人が最後、生徒たちの前で言った「一番悲惨なのは魂がつぶれた人間」という言葉に、生徒たちの多くが拍手を送る光景を見て思った。映画だけど、支持されてる映画ってことは共感されてるってことだ。1990年代の映画だが、エリート校の生徒たちがこのような考えをもって大人になるのだとしたら、2010年代の暗礁に乗り上げたようなアメリカではあるが、地下に脈打つ国民の魂は死んではいないってことかもしれない。でも中東との戦争で変わったかな?でも根っこはこういう国民性だよね。日本のエリート校はどうだろう?陰惨ないじめなどのあるこの国で、果たしてこのアメリカと伍する国民性を持ちうるか?そう思った。しかし偏屈な盲目軍人をアルパチーノが見事に演じていた。この人の愛すべき老人になろうとしない毒舌に、最後は皆が拍手を送るんだなぁと微笑ましく思った。 [ビデオ(字幕)] 8点(2016-08-28 21:56:07) |
1016. はなれ瞽女おりん
《ネタバレ》 この世の地獄が見えぬよう、神様が眼を見えなくしたと教えられて育つおりん。まさしくこの映画での展開は、地獄模様。かくしておりんは絶望して、自ら命を絶つ。本当に救いのない映画だった。一体、監督の言いたいことは何だったんだろう?無常だろうな・・。岩下志麻の美しさが、それを際立たせていた。花は萎れるがゆえに美しい。そんな世の無常を謳った映画だった。 [DVD(邦画)] 7点(2016-08-27 20:08:47) |
1017. オーケストラの少女
《ネタバレ》 イイですね~。観るなら、こんな映画を観たいですよね~。あり得ない話と一笑するのも野暮。せめて生きづらい世だもの、せめて映画を観るときは、顔がにやけてしまうような映画が観たいですよね~。面白い映画とは、こういうのを言うんでしょうね~。 [ビデオ(字幕)] 8点(2016-08-26 23:45:20) |
1018. ショート・カッツ
《ネタバレ》 アルトマン節、絶好調!浮気をごまかす嘘に爆笑する妻、下半身露出して痴話げんかする女性、等々もうこれでもかって感じで、群像劇中の女性のB面を描く。これは結婚してる男性にはうなづけるとこがあるのだろうか?それともアメリカという国がやり過ぎなのだろうか?それか嫌われ者のアルトマンの人生観なのだろうか?しかしよくまぁこんなに淡々と生活を描くだけで3時間ももたせるよ。BGMもほとんどなくて、それどもついつい見入っちゃうのは、他人の家の裏事情に好奇心が行くからかな?いやアルトマンが上手いんだろうな。群像劇を見せる演出が只者じゃない。・・で最後まで観て、地震しか起きない、って変な映画(笑)。これで終わり?って皆思うよね。それかやっと終わったと思うか?アルトマン群像劇は自分は「ナッシュビル」が断然好きだなぁ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2016-08-21 22:41:11) |
1019. 白いドレスの女(1981)
《ネタバレ》 まぁこんな悪女、いないんでしょうけどね。話の面白さに重点を置いた映画。ローレンスカスダンは「再会の時」でもそうだったけど、男性に精神的に頼らない女性をいち早く描いてた監督。男性の目線から、そのような女性を描くというのはやっぱり画期的(?)だったんだと思う。それにしてもキャサリンターナーは冷たい美人に見える風貌なのかな。後に「女と男の名誉」では殺し屋まで演じてる。まぁ冷たい女性じゃないんでしょうけどね。 [ビデオ(字幕)] 6点(2016-08-21 14:36:34) |
1020. 野火(2014)
《ネタバレ》 人肉を食べたという内容は、前からあってドキュメンタリーの「ゆきゆきて、神軍」や、アメリカでは「生きてこそ」とかある。しかしそこに人間としてあるまじき行為だという罪の意識を深く問いかけるのは、大岡昇平の「野火」が筆頭だろう。高校の時、課題図書にまでなった。先生には悪かったけど、最後まで読んでない(笑)。その映画であるが、塚本監督はどっちかというと映像作家である。だから戦闘場面は彼らしい映像で我々に投げつける。そこはいいのだが、人肉を食べるまでの葛藤や、飢えの凄まじさみたいのは、あまり描かれてなかったように思う。でもこんな戦争映画、日本になかった。やはり功績大と言えると思う。 [DVD(邦画)] 7点(2016-08-21 07:57:15) |