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1041.  愛のお荷物
出生が増えすぎてさあどうしましょう、なんて今ではまったく考えられない問題意識の作品(しかも子供を「お荷物」!)。しかしそれはそれとして、次々に予想に反して懐胎が発覚する、というのは、大いなる洗練されたコメディの予感がするのだが、その美味しい設定を生かしきれていない。みんなが同じような会話で同じような芝居しかしていないので、結局は単なる水増し設定にしかなっていないのです。冒頭、10分にわたって国会質疑シーンを延々と映す堂々たる自信ぶり(レイアウトとかが今と一緒なのはちょっとびっくり)なんかには、なかなか期待が持てたのですが。
[DVD(邦画)] 4点(2019-09-04 00:11:05)
1042.  ロードハウス/孤独の街(1989) 《ネタバレ》 
大方B級アクションだろうと思って見ていたら、意外にちゃんとしているのですよ。導入部分の店に来たところの描写も、エキストラ投入しまくりで気合が入っていますし、なかなかアクションを出さないスウェイジのじわっと来る迫力もなかなか。筋立ては正統派ウエスタン。そうそう、ジェフ・ヒーリーの演奏シーン満載で、演技部分も結構あるというのも、ファンにはたまらないのではないでしょうか。と、いい感じで進んでいたのですが、肝心のクライマックスはいきなりしょぼかったかなあ、あそこまで引っ張ったんだったら、もっと頭脳戦が展開されるとか、敵の悪辣ぶりや強者ぶりがさらに際立つとか、もう少し何か欲しいところでした。
[DVD(字幕)] 6点(2019-09-03 01:29:38)
1043.  コクーン2/遥かなる地球
結局、せっかく前作で曲がりなりにも作り上げた世界を自ら萎ませてしまって、その辺のSFコメディと何の変わりもない内容になっているのですね。また、周辺人物がごちゃごちゃと妙に多いのも、作品の筋と焦点をぼやかしています。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2019-08-30 22:32:03)
1044.  浮き雲(1996)
本来はもっといろいろドラマを秘めているはずなのに、撮り方があまりにも平坦なので、狭い箱の中で登場人物がチマチマ動いているだけのように見えてしまうのです。計算が画面から透けて見える作品は、面白くありません。
[DVD(字幕)] 4点(2019-08-29 00:08:35)
1045.  愛しのタチアナ
何かこう、いろいろ狙いすぎなのが伝わってしまって、かえって作為的にしか見えないのです。
[DVD(字幕)] 4点(2019-08-27 23:23:23)
1046.  スリー・ビルボード 《ネタバレ》 
3枚の看板という設定に溺れることなく、そこからストーリーは次々に意外な展開を見せる。役者陣の演技も堅実。元夫のアホ彼女が登場人物中唯一本質を突いていた(しかも別に何も意識せずに)とか、妙に面白いところもある。と、良いところはいろいろ目につくのですが、それでも何か食い足りないのは、脚本の計算ずくぶりが前に出すぎていて、物語としての躍動がないというか、アンダー・コントロール感が漂っているからなのです。贅沢?
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2019-08-23 01:22:34)
1047.  野火(2014)
意図的にやっているのかもしれないけど、背景の風景や映像が綺麗すぎるのは、やはりどうにも気になります。そこで戦闘が行われたという気がせず、主人公以下数名だけが脈絡なく突然放り込まれただけのように見えるので、肝心の心理描写に説得性がないのです。あと、全体的にみんな最後の方まで動きが元気なので、そもそも飢餓状態にも見えないのだな。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2019-08-22 01:40:05)
1048.  ラスト・ワルツ
どこまでも渋くて職人肌でシニア好みのバンドと思っていたのですが、まず冒頭部分から、並び立つリック・ダンコとロビー・ロバートソンの美しい格好良さにびっくり。レヴォン・ヘルムのワイルドさにもびっくり。"Up On The Cripple Creek"なんて、地味なカントリー風味の曲だと思い込んでいたのですが、こんなアグレッシブナンバーだったのですね。●ただそんな彼らも、豪華ゲストが次々登場する瞬間、「超一流サポーティング黒子バックバンドメンバー」になってしまって、全力でそのゲストを盛り立てるために一致団結して集中してしまうという・・・自分たちのファイナル・コンサートなんですから、自分たちが目立てばいいのに、どうして最後まであなたたちはそうなのですか、と言いたくなってしまうのですが、それこそが彼らの持ち味であり、本質だったのでしょうね。
[DVD(字幕)] 7点(2019-08-21 23:16:27)
1049.  シェイプ・オブ・ウォーター 《ネタバレ》 
何かこう、よくあるでしょ、「異形のものがどこかから捕らえられて、政治的ないし経済的に利用されようとしているんだけど、主人公あるいはその周辺人物は意思疎通が可能になって、『勝手な利用はやめろ!彼(彼女)にも意思があるんだ!自分たちにはそれが分かるんだ!』と主張して悪の上層部と闘う」みたいな映画が。で、「それって結局は、同じように上から目線でコントロールしようとしているだけであって、人格(人かどうかは別として)を尊重しているわけでもなく、ペットを飼う行為と一緒だよね」という意識で作られたのが、この作品ではないでしょうか。●映像的には、前半の施設内の無機質で無色で鬱屈した雰囲気の撮り方から後半の開放感へという流れが素晴らしい。また、あのラブシーンの美しさ(部屋に水を満たすという発想も込み)は、やはり賞賛されるべきではないでしょうか。何よりも優れているのは、迷いなく衣服を脱ぎ去る主人公が、その行動の一直線ぶりを同時に象徴しているということ。●最後、ストリックランドが桟橋で都合よく追いついてしまうのは、その辺のB級サスペンスっぽくて、このダーク・ラブロマンスに合っていない。せっかく(?)「神」に噛まれたという設定なんだから、そこからじわじわ全身が腐っていくとか、何かなかったのかな。
[DVD(字幕)] 7点(2019-08-14 18:52:05)
1050.  死霊の盆踊り
すぐに見てしまってはもったいないので、「グレンダ」「花嫁」「プラン9」という事前準備をクリアし、ワクワク感を高めてから挑むことにした。余裕で凌駕していた。今から振り返ると、3作品がまともに見えてしまうのは何なんだろう。一番の衝撃は、ダンサーズにはきちんと"Hawaiian Dance""Skeleton Dance""Cat Dance"とか、それぞれ役名がついていたこと。つまり、適当に無秩序に出てきているようなダンサーズには、もしかすると登場のコンセプトとか必然性があったかもしれないのだ。あまり信じたくはないが、制作者はこの作品を真面目に作っていたのかもしれない。
[DVD(字幕)] 2点(2019-08-10 00:10:23)(笑:2票)
1051.  プラン9・フロム・アウター・スペース
設定からして、これはもしかすると「グレン」や「花嫁」を上回る、真の意味でのぶっ飛び最低映画を体験できるのではないか?と期待したのですが、単につまらないだけでした。
[DVD(字幕)] 3点(2019-08-01 23:56:18)
1052.  怪物の花嫁 《ネタバレ》 
例のタコのインパクトがあまりにも強烈なのですが、それ以外は普通の映画の範疇内なのではないでしょうか?いえ、その上でどうかと言われれば、やはりつまらないのですが。終盤の救出シークエンスなど、変に映画の王道風に作ろうとしているため、かえってつまらなさが強調されています。
[DVD(字幕)] 3点(2019-07-31 00:41:17)
1053.  グレンとグレンダ
内容的には、ただの思いつき撮影映像の羅列であって、そもそも映画と言っていいのかどうかも躊躇するところですが・・・ただ、53年という時点で女装嗜好と性転換の違いを明確に発信していた先鋭性とか、視点の三重構造という無駄に凝った構成の妙な説得力とかによって、最後の最後で強引に着地をまとめているのは若干好印象なので困る。
[DVD(字幕)] 3点(2019-07-29 01:46:13)
1054.  モラン神父
じわじわとした会話の積み重ねは、実に品があって心地良い。前半は周りにあれこれと人がいたのが、いつの間にかいなくなっているという集約の構成も巧妙。ただ、その後に何か変化があるかというと特にあるわけではないので、結局は最初と同じ状態のまま終わってしまったという感も拭えないのだが。
[DVD(字幕)] 6点(2019-07-23 01:09:26)
1055.  ある戦慄 《ネタバレ》 
設定とあらすじからは、チンピラ2人組が延々と暴力で車内を占拠し・・・みたいなのを想像していたのですが、大きく違う。最初、ビリヤード場のマスターや通りがかりのカップルに、何かしそうでしない(「強盗をする」と具体的に計画したときだけ、他人に手を出している)。むしろこの2人の行動を組み立てているのは、成立していそうでしていなそうでやっぱりしているような会話群。それを一気に見せ切る序盤でスリルが高まりますが、返す刀で、そこから実に前半の50分が、乗客の列車までの道筋に費やされている。いよいよ2人が車内に登場した後は、すでにふれられていますが、直接的な暴力はほとんどなし。むしろ、中途半端に頭がよく、微妙にずれているので対応が困難な言葉責め攻撃によって車内を制圧する。この呼吸感、空気感、押しと引きが見事です。挙げ句の果てには、事態が解決したのにハッピーさのかけらもない無言のエンディング。二度と見たくはないのですが、見る価値は十分にあった作品でした。
[DVD(字幕)] 7点(2019-07-17 01:08:54)
1056.  シルビアのいる街で
別に物語性がなくてもよいのですが、結局は映像の執拗な積み重ねが「語って」しまっているので、手法の意味がないのです。かえって、作為性が画面に滲み出る結果となっています。これだったら、30分くらいのショート・フィルムにして、あとは全部想像に委ねます、の方がまだ潔かったんじゃない?
[DVD(字幕)] 3点(2019-07-16 03:50:47)
1057.  トータル・リコール(2012)
記憶探求モノというのは割と好きなのですが、そしてこの作品も、導入部ではなかなか魅力的な展開を見せてくれるのですが、結局は途中からその辺の綾がどこかに行ってしまって、ただの追いかけっこになってしまっているのですね。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-07-16 00:47:36)
1058.  アギーレ/神の怒り 《ネタバレ》 
冒頭の山中行軍ロングショットの強烈さだけで、つかみはOKすぎるというか、すでに一発KO状態です。その後、おもむろに別動隊が結成され、川下りとなり、さあスタート、となるのですが、もうその時点で、迫り来る破滅や破綻の予感が画面から全開です。川辺にただみんなで座っているだけのシーンでも、これは着実に崩壊に向かっているというのがなぜか分かってしまいます。最後の仁王立ちのアギーレは、もはや人間なのか亡霊なのかも判然としません。ストーリーらしいストーリーは何もないのに、何かとんでもないものを見てしまったという気分でした。
[DVD(字幕)] 7点(2019-07-13 03:02:24)
1059.  瀬降り物語
山野を流浪しながら生活する山の民を描いた作品。と、題材はとてつもなく魅力的ですし、大自然の風景を駆使し、山中生活もきちんと描いている導入部では期待が高まるのです。ところが、中盤以降が着実に失速していて・・・原因はいろいろ考えられるのですが、一番の理由は、登場人物の言動が結局はその辺の街中の人たちと一緒で、長年の山間生活が個人の内部にどのように根付き、どのように表れるのか、という点に踏み込まれていないこと。そして、その状態で進行しているので、最後の収め方のところなどはほとんどグシャグシャになっています。あと、女優4人を脱がせているのも、何かあったらとりあえず脱がせました、という感じで、必然性や敬意が感じられません。
[DVD(邦画)] 5点(2019-07-08 01:24:40)
1060.  マネーモンスター 《ネタバレ》 
導入部では、まあ大体定石通りの展開なのかな?と予想していましたが、意外に悪くありませんでした。MVPは犯人をさんざん怒鳴りつけてあっさり消えるあの彼女さん。普通ならここで涙の説得か何かが入って、それを契機に次のステップへ・・・なのですが、台風のように全部破壊し尽くして去ってしまいました。その後の、犯人も局関係者も警察も含めた「どうすんだよこれ」感がたまりません。あと、座ったまま指示だけの芝居を続けるジュリア・ロバーツもなかなか楽しそうでした。それに比べるとジョージ・クルーニーはちょっと大物感がありすぎて、この役に要求される出発点としての軽薄さや小市民感が少し足りない感じ。20年くらい前だったらはまり役だったのでしょうけど。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-07-06 01:02:25)(良:1票)
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