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delft-Qさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 122
性別 男性
自己紹介 自分の感性は、きわめて平凡だと自分でもわかっています。ただ、ほんとうはよくわかっていないのに、「わかった!」「よかった!」というのだけはしないつもりです。

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101.  ミスティック・リバー 《ネタバレ》 
見終えて戸惑った。深い作品なのかそうでもないのか。人間の実像を飾らず描こうとしたのか、エンタテインメント性のほうをメインとしているのか。後味の悪いストーリーだと片付けていいのか、あるいはそれこそを主張したかったのだと評価すべきなのか。どのようにも受け取れ、そういう意味で見る側を選ぶ作品だと思う。   父としてはあれほど強くなれたジミーも自らの罪には弱く、不幸を身にまとっているあいだは仮借なく正義を求めたショーンも人並みの幸福を手にした瞬間からただのサラリーマンポリスに成り下がる。妻たちも、善良だけれどクレバーとはいえず、子どもへの愛に自らをごまかし、その子どもからは愛の報いを得られないセレステ、天使の顔の下に悪魔も潜ませているアナベス……ここで訴えようとした「人間の真実」がこうした善悪・強弱入り混じったものだというのなら、不易の人間の姿というよりは、それこそすでに幾多の映画で描かれてきた、少々、「いまさら」の感があるアナクロなものに感じる。   ストーリー面では、かなり早い時点で犯人や結末が見えてき、サスペンスとして物足りない。あるいは、ほんとうは話せるのに話せないふりをしてきたという設定等は、いくらなんでもムリがある。   といったように、さまざまな意味で戸惑いを感じる作品で、イマイチしっくりこないものが残るのである。また、登場人物の誰一人に対しても共感することができなかったのも、そうした戸惑いの原因かも。ということで、前評判ほどではないと思え、6点也です。
6点(2004-08-18 00:24:43)
102.  フォレスト・ガンプ/一期一会
面白かったけれど、これ以上の点は私にはつけられないです。事前のイメージとは、まったく違う内容で、これは、いわゆる、おとぎ話ですね。  よく比較される「ショーシャンク」ともども、よくできた佳作という印象が共通します。  8点以上つけれらないのは、あまりにも主人公に都合のよすぎる話が連続したからで、ファンタジーにあまりリアリティを求める必要はないのかもしれませんが、荒唐無稽すぎて、本作から何かを得ようという気にはなりませんでした。なお、邦題の「一期一会」は不要だったのでは、とも思いました。
7点(2004-07-11 14:09:33)
103.  魔女の宅急便(1989) 《ネタバレ》 
素直な作品だった。そして、その素直さがよかった。これと比べてみると、最近の宮崎映画は要素が多すぎて、かえって印象が散漫になっていると感じる。本作では、たとえば、キキが飛ぶところなども、「ヒュー」とかいった擬音はいっさい用いられておらず、無音。ただ、すぅーと空に浮かび上がり、飛ぶだけ。それに象徴される全編を通じての飾り気のなさが好感を呼ぶ。  物語面でも、一度張った伏線は、あとあとちゃんと受けられ、しっかりとつくられていた(それに対して、「千と千尋」なんかでは、カオナシの思わせぶりな登場で伏線張られまくった挙句、結局、あのような描かれ方とはのけぞった)。「成長」というテーマに沿って、ケレンミなく、適度な起伏を持ちながらストーリーが展開する。そして、ひとしきりの山場を超えてラスト。無駄な、あるいは無意味なキャラクターもなかったところもよかった(やはり、「千と千尋」では無意味なキャラがいっぱいいたと思う)。  宮崎映画の“古きよき時代”の一作として評価したい。とともに、本作以降、凋落していったのが残念である。
8点(2004-07-07 22:15:21)
104.  レナードの朝 《ネタバレ》 
この映画のレビューは、平常心では書けなくなってしまった。本作を見終えた直後、知人の訃報が飛び込んできたからだ。最悪のタイミングだった。映画によってかきたてられていた感情が、なおさらざわめき立ってしまい、必要以上に衝撃を受けてしまった。    月並みな言い方になるが、健康に一日一日暮らせること、それがどれほど幸せで感謝すべきものを本作は思い知らせてくれる。どんな宝石よりも尊く、どれほどの残高がある貯金よりも大切にすべきものなのだ。私の知人は突然の死によって、レナードたちは原因不明の病気によって、そのかけがえのない珠を否応なく奪い取られたのである。この映画を見た以上、私たちは彼らの無念さを忘れてはならない。忘れてしまっては、映画を見た意味がない。  昨今、自殺する人が増えている。それぞれ、やむにやまれぬ事情があるのだとは思うが、決行する前に本作を見てほしい。そして、ふつうに生きようとどれだけ努力しても、叶えられない非情な運命の人たちもいることを知ってほしい。    映画の後半は切なすぎる。1969年の奇跡の夏が終わりを告げつつあるとき、レナードたちに少しずつ、だが確実に病魔が再びしのびよってくる。何とか抗うため、セイヤー医師はためらいながらもLドーパの投薬量を増やしていく。しかし、それでも病魔の歩みを止めることはできず、レナードはゆっくりと「向こう」へと消えてゆく。    レナードが女性と最初で最後のダンスを踊るシーンと、発作が起こるなか「カメラで撮れ」といい続けるシーンは、こらえきれない。デニーロの演技が過剰という声もあるが、実際、これぐらいの発作は起こることを知ってもらいたい。私には過剰演技とは思えなかった。    最後、ストーリーはセイヤー医師とエレノア看護師に転換して終わる。この部分の評価は分かれるところだろうが、私は蛇足だったように感じた。ちょっと示唆するぐらいで止めておいてほしかった。    脚色や演出に突っ込みどころがないわけではないが、それでもなお本作は、ただ「ふつうに生きる」こと、それが実はどれほど恵まれたことか、健全ないのちの輝きを改めて知らしめてくれる映画史上に残る傑作だと思う。「ショーシャンク」とよく比較されるが、私はためらいなく本作に軍配を上げる。  
9点(2004-07-07 00:38:04)(良:1票)
105.  となりのトトロ 《ネタバレ》 
知人から「必ず見ておくべき映画の一つ」といわれ、また世評にも高いので、遅ればせながらではあったが、ようやく見た。ん~、でも何だか評価がむずかしい。面白くなかったかといえば、そんなことはない。けれども心から堪能できたかというと、そうともいえない。5点は厳しいけれど、8点はつけられないという感じ。――と、引き算をしていくと、6点か7点ということになり、ちょっとサービスして7点。(と思ったけれど、ほかの作品への評価との整合性を考えなおし、やっぱり6点とする)  ファンタジーとしては、それなりによくできていたとは思う。さつきとめいの暮らしのなかにトトロが入り込んでくるのも巧みだったし、トトロとの交流もつかず離れず、いい距離感だった。ストーリー的にも、穏やかに展開する田舎での生活のなかに一通の電報が波紋を呼び、トトロの活躍があって、ハッピーエンドを迎える、とまとまっていた。    その一方、ところどころ“あざとさ”が見えたのが私にとっては心理的な抵抗となった。“あざとさ”とまでいうといいすぎかもしれないが、トトロのあくびのしかたとか、空の飛び方とか、ネコバスというキャラ、小トトロなど、「かわい~」といわせる味つけがうますぎてイヤみに感じたのだ。ま、私だけかもしれないが。音楽についても同様で、心地よすぎてわざとらしいといえば、わざとらしい。そうした、“受け狙い”でやや興ざめしたということになる。    それから、この映画は子どもが見てもわからないだろうという気もした。また、私は「もののけ」「千と千尋」を見てから本作を見るという順番になったが、「トトロ」を見てみて、その後、「もののけ」、「千と千尋」という道筋をたどったことがとてもよく理解できた。「千と千尋」は、結局、「トトロ」返りをした作品だったのだということである。その観点でみたとき、「千と千尋」が生まれたのも必然とさえ思えた。いまのところ宮崎映画で、私にとっての最高作は、結局、「ナウシカ」にさかのぼってしまう。  なお、糸井重里のお父さんは、ヒドすぎた。 
6点(2004-07-04 23:34:29)
106.  ラスト サムライ 《ネタバレ》 
けっこういいできだった。アメリカ人が描いた日本が舞台ながら、日本人の私から見ても、それほど違和感がなかったのは、作り手の日本の歴史や文化に対する理解、あるいはリスペクトがあったからだろう。もっとも、森のなかにソテツみたいなのが生えていたり、農村の雰囲気がどこかしら日本とは異なりはしたが。トム・クルーズはよく頑張っていた。殺陣もサマになっていた。さすが、である。渡辺謙、真田広之の好演については、いまさら私が改めていうまでもない。小雪の演技力だけ物足りなかった。  時代の流れからすると、勝元たちは滅びの道を歩むしかないわけだが、映画のストーリー、シナリオとしてどう描ききるのだろうかと政府軍と闘い出すころから興味をもって見た。隘路をゆくように、かなり苦労したようだが、見せ場もつくり、いちおうかたちをつくって終わらせたのには脚本家の努力のあとがうかがえる。ただし、あまりにも主役オンリーハッピーエンドが、空々しい感、なきにしもあらずではあったが。 最後の闘いの場面では、勝元たちにもう少し知恵ある迎撃を見せてほしかった。  本作のベースが、勝元=西郷隆盛、政府軍VS反乱軍=田原坂であったことを念頭に置けば、非常によくわかる。おそらく日本人では制作できなかったであろう作品としても貴重といえるかもしれない。  ところで、今年、日本を訪れるアメリカ人が増えているようだが、本作の刺激によってだとすると、現実の現在の日本を見て、彼らはどんなふうに感じているのか聞いてみたいもんだ。
7点(2004-06-22 00:42:25)
107.  ディープ・インパクト(1998) 《ネタバレ》 
アルマゲより、私にはこちらのほうがよかった。基本的には彗星激突というパニックものだが、人間ドラマもわりとしっかりと描かれており、冒頭ではティア・レオーニのヒロイン同様、見ているこちらも「エリーとは何なんだ?」と、ちょっとしたサスペンステイストも楽しめた。また、レポーターの父娘の確執、若き彗星発見者イライジャ・ウッドの恋のゆくえ、そしてメサイア号の挑戦と、3つのディメンションで物語が進行する複雑さのうえに最後のドンデンで結末を迎えるシナリオは大変よくできていて感心した。  その一方、彗星激突にいたるプロセスに科学的な緊迫感がもう少しほしかったのと、激突したときのCG映像が思ったより短く、物足りない感じが残った。音楽も、この種の作品にありがちな妙にコケおどし的なものよりも、本作みたいな静かなもののほうがしっくりきてよかった。このあたりは女性監督の感性の賜物か。単なるSFパニックものに終わらない魅力があったと思う。  お決まり的ではあったが、イライジャ親子、あるいはイライジャの新妻の親子の別離シーンではちょっとウルウルしてしまった。それから、メサイア号の目が見えなくなったクルーに船長が『白鯨』を読んでやるシーンもよかった。にしても、ティア・レオーニって、いい女だなあ!
7点(2004-06-20 22:08:51)
108.  たそがれ清兵衛 《ネタバレ》 
よくも悪くも山田洋次の映画という感じ。アラがなく、ソツもないけれど、強烈な何かもない。いわゆる佳作。  立身出世を求めない清兵衛の生き方が人気だというが、組織の中で、あのように自ら窓際族となって孤立しながらも、なおかつ尊厳を身にまとっているというのは、現実にはほとんどありえない。多くの組織人は、一生懸命仕事に励んでいるにもかかわらず結果が出なかったり、認められなかったりするのが実際ではないだろうか。なので、実は器用な人間である(と私には思える)清兵衛にまったき共感を感じることはできなかった。同じ藤沢周平原作でも、仕事自体にも一生懸命だった『蝉しぐれ』の牧文四郎のほうが共感できる。  恋情あり、活劇ありとエンタテインメントの要素は押えてあるので楽しめるが、他方、テーマに深まりが見られなかったのが物足りない。アカデミー賞ノミネートまではいっても、受賞にいたらなかったのは本作のあり方を如実に反映して象徴的。  絵は大変美しく、山々には必ずといっていいほど高圧鉄塔が立ち並ぶなか、よく撮影地を探したもんだと感心。
6点(2004-06-20 13:42:57)(良:1票)
109.  嗤う伊右衛門 《ネタバレ》 
私は原作を読んでいたので何とかなったが、映画で初めて本作にふれた人は、はたしてストーリーが理解できただろうか。原作に忠実すぎ、話が複雑でわかりにくかった。もっと本質に絞ったシナリオのほうがよかった。  作り手も俳優陣も頑張った力作だとは思うが、基本的なところで矛盾をかかえていた。それは、最後のドンデン返しを大事にするなら、そこに至るまでの伊右衛門と岩の心理はあまり描いてはならず、逆に最初から伊右衛門と岩の愛を描けば、最後のドンデン返しは犠牲にせざるを得ない、というアンビバレントな図式である。本作では、そこのところジレンマの処理が中途半端で、チョロっと愛情が描かれ、そのぶんだけラストの驚き・発見が矮小化されてしまっていた。いずれかに徹するべきだったろう。  あと、音楽、梅のキャスティングに問題があった。ほんとうは、梅も女性としては魅力的でなければならなかった。 なお、ラストの東京俯瞰が蛇足というのはまったく同感。あれで作品の格がワンランク落ちた。 
5点(2004-06-20 01:08:00)(良:1票)
110.  ショーシャンクの空に 《ネタバレ》 
当サイトで常に最高の評価を得ている話題作。いっぺん見ておかないと、と前から思っていたのがようやく実現、いい映画だった。長時間にもかかわらずダレることもなく、ドンデン返しもあり、楽しめた。ティム・ロビンスは主人公のイメージにピッタリだし、モーガン・フリーマンの味わいある存在感も映画全体のクオリティをアップさせていたと思う。    でも、こういうことをいうと水を差すようで恐縮ながら、私には10点つけられる、あるいは10点をつける必要がある作品とは感じられなかった。何より、冤罪で投獄された男の“落とし前”が脱獄というかたちで処理された点に最大の違和感が残った。無実だからといって脱獄でOKなのか? ナンだか、肝心なところが誤魔化されたような印象なのである。そこをオミットしての自由や夢の実現といわれても、引っかかりが残ってすっきりと快哉を叫ぶことができない。  また、それが気になるためか、結局、本作を通じて何がいいたいのかもよくわからない。主人公の人間性に触れよというのか、あるいは、ただエンタテインメントとして楽しめばよいのか。巷間、テーマは「希望」だというが、その希望の達成のされ方が脱獄しての大金持ちという描かれ方では、どうにもすんなりと呑み込めない消化不良感にさいなまれる。たとえ、どれだけ時間がかかっても、何らかのめぐり合わせによって、ついには冤罪が晴れ、アメリカ大統領の名で彼の無実がつまびらかにされる――といったものだったら、まさに「希望」がテーマだといえただろうが。  ということで、Aクラスであることには異論はないけれど、Aクラスのワン・オブ・ゼムにとどまるというのが私の評価。超Aクラスとは思えなかった。あ~、みなさんから叩かれそう! 
7点(2004-06-20 00:36:28)(良:4票)
111.  エニグマ 《ネタバレ》 
ストーリーについていけなかった。Uボートが連合軍船団を見つけたら暗号解読の「突破口」が見出せると解読スタッフたちが興奮気味に語り合ったり、最後のところで「結局、クレアがみなを手玉に取ったんだ」と謎解きをするあたり。私の頭が“エニグマ”ではないからではあるが。 が、それでも面白く感じることはできた。あの暗号解読装置は、よく昔の人はアナログでこんな機械をつくったもんだと感心したし、クラシックカーを使ってのチェイスは「いいのか、そんなことして!」と別の意味で手に汗をにぎったりも。 なお、「エニグマ」というタイトルからは、もっとアクション中心のイメージを受けたので、必ずしも合っていないと思った。
6点(2004-05-17 23:53:27)(笑:1票)
112.  北斗の拳(1995)
俺はもう死んでいる。
0点(2004-05-06 21:12:12)(笑:7票)
113.  WATARIDORI 《ネタバレ》 
人によって評価がかなり分かれそうな気がするが、基本的に私にはOKだった。何といっても、この映像はお宝というほかない。過去、このようなアングルから鳥たちの営みを見た人類はいないはずだ。つくり手の労をねぎらわずにはいられない。脚色面も、余計なことはいわず、淡々と進行したのがよかった(もっとも、きれいにまとめられすぎている感がなきにしもあらずだが)。まさに鳥たちの目線で鳥たちの驚異の世界に触れることができ、すばらしい映像体験ではあった。 それはそうなのだが、では見終わったあとに、自分のなかに何が残ったかといえば、ほとんど何も引っかからなかったことが気になった。正直なところ、とくに心を揺さぶられたわけでもないし、何かを得たというわけでもない。まるで美味なるシャーベットを食べたあとのように、おいしいのはおいしかったのだけれど、何ら腹の足しになっていないのとよく似ている。何かが物足りない。その何かは、必ずしも鑑賞直後のいま、自分でもよくわからないが、つくり手自身、メインテーマとして鑑賞者に何を伝えたいのかがイマイチ把握できていなかったからではないか、という気がしないでもない。 なお、驚異的な映像の数々ではあるが、いったい、それを得るために何をしたんだ?と気になる面もあった。
7点(2004-05-06 00:40:34)
114.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 
10点の目安は「傑作中の傑作。ここ何年間で最高の作品」となっている。それからすれば私には文句なしに10点満点! ここ何年間どころか、映画史上に残る名作だと思う。 最初は11人が有罪で、無罪は1人だったのが、ひとりずつ“転向”していくプロセスはスリリングですらある。しかも、その状況変化にまったく無理が感じられない。驚嘆すべきシナリオである。 主人公のヘンリー・フォンダの描き方もうまい。彼は必ずしも正義の人ではない。建築家という職業柄か、細かいことが気になるタチゆえ、わずかでも疑問が残るとそれが看過できないというだけといえば、それだけなのだ。途中、洗面所で顔を洗うシーンが出てくるが、顔を洗ったあと、爪に入ったゴミまでほじくり出している。またラストシーンでは、陪審員室をあとにするとき最後の最後まで忘れ物などがないか確認している。神経質な人間なのである。 登場人物もそれぞれ、「こういうヤツ、いるよな」という個性がきちっと設定され、演技ともども見事というほかない(説得力ある12の個性をかたちづくるのは、なかなか難しい仕事だと思う)。どこをつついてもアラがない。 それにしても、と思うのは、アメリカとはこれだけの映画がつくれる国であったはずなのに、現在の国情はいったいどうしたのだ、ということ。また、いま日本でも裁判員制度が導入されようとしているが、実際の裁判にのぞむ前にこの映画を見ることを義務づけてはどうかとも思った。
10点(2004-05-05 19:01:58)
115.  交渉人(1998) 《ネタバレ》 
警官が無実を晴らすために人質をとって立てこもるという非現実的な設定。だけど、それを補って余りある内容があった。話のテンポもこの種の作品に適度だし、最後のどんでん返しには虚を衝かれた。よくできたシナリオだったと思う。ただ、“IQ180の駆け引き”とはいえず、宣伝に偽りありの感は残った。『シェーン』をもう一度見てみたい気にも(笑)。
7点(2004-05-05 14:25:04)
116.  フィラデルフィア 《ネタバレ》 
床に倒れる――トム・ハンクスのただそれだけの動作に「名演」を見せつけられた。さすがにハリウッドの底力はすごい。 図書館で司書に「個室のほうがいいでしょう?」と親切ごかしの差別を受け、「あなたはそのほうがいいのか?」と切り返すセリフ、シナリオも光った。 ホモセクシュアルそしてエイズという重いテーマをステレオタイプに訴えるのではなく、映画という娯楽性を十二分に踏まえたうえで、観客に考えさせる。演出、脚本、俳優たちの演技、すべてが高いレベルで結実。これを名作といわずして何を名作というのか、と思わずにはいられない。
9点(2004-05-05 11:33:57)
117.  CASSHERN 《ネタバレ》 
いろんな意味で残念な映画だった。①「キャシャーン」というとっておきのキャラをリメイクしたが、それを生かすことができなかった、②PVで高い評価を受けてきた監督のカリスマ性が裏切られた、③テーマとメッセージはピュアなものがあり傾聴すべきにもかかわらず、伝え方があまりにも稚拙すぎた、など。 監督の「無益な争いはもうやめようではないか」という根底にある願いは、いまや貴重なほどストレート。ヒカルちゃんが魅かれるのもわかる気がする。が、それと映画監督としての手腕は、あくまで別ものとして見なければならない。 あまりにもお粗末なシナリオ、メッセージの大半を登場人物のセリフで語らせる愚、効果を上げているとは思えないカットとシーンの連続、一本調子のBGMなど、ほかの方々の指摘通りで、作品としてメリハリのないものとなってしまった。クオリティは低い。 また、いま一つ指摘しておきたいのはアクションシーンについて。「キャシャーン」を現在に蘇らせた以上、見応えあるアクションシーンが見たかった。本作のカンドコロとさえいっていいように思う。ところが、これが超期待外れ。はっきりいって、チャンバラでお茶を濁したようなものだったり、挙句の果ては、シーンが変わったら、もう闘ったあとになっていたりで、「これはないだろう」と思わずつぶやいてしまった。どなたかが「おもしろいものを、つまらなくつくってしまった」と書いていらしたが、まったく同感。多くの酷評もやむなしと思う。 紀里谷氏の2作目、3作目が実現するかどうか、きわめて厳しい状況となった気がするが、もしリベンジを図るなら、こんどはもっとよくシナリオを練ってからチャレンジしてもらいたいものだ。
3点(2004-05-05 09:53:09)
118.  ライフ・イズ・ビューティフル 《ネタバレ》 
力作であることは間違いない。戦争の現実・悲惨さをちりばめながら、過酷な環境でも貫かれる家族愛が悲しくも朗らかに描かれる。ベニーニも終始熱演を見せてくれる。 が、基本的なところでの違和感が必ずしも作品世界になじみ込ませることをしなかった。それはイタリア人と日本人である自分とのあいだに生じる一種のメンタリティギャップなのだろうか。 誇張されたベニーニの演技、収容所でウソのゲームを続けるという設定、あそこまでドイツ人をコケにする描き方……物語の枠組み自体には共感を覚えても、作品化する際の演出が大味に感じられ、粗っぽい印象につながってしまった。そのためか、私の両目から涙が出ることはなかった(イタリアの人たちは大泣きしたのだろうか)。 不出来な作品だとまでは思わないが、60年代とか70年代のものならまだしも、97年の映画ということからすると、いま少しシナリオと演出に練りがほしかった。 
6点(2004-05-04 09:45:15)
119.  シカゴ(2002) 《ネタバレ》 
評判のよい映画だったので楽しみに見ましたが、私には9点とか10点をつけられるものではありませんでした。 シナリオもよくできているし、演出もユニーク。俳優陣も頑張っている。でも、正直なところ、終始、覚めた自分がいて、映画のなかにのめり込むことができませんでした。 おそらくそれは、ミュージカルとしての味つけの違和感(私にとっては)からくるものだったかと。 歌い踊るシーンは、すべて劇場設定になっていましたが、ああいう演出では映画で見る必然性を感じなかった。むしろ、「シアターで生を見てみたい」という気にさせられるばかりだったのです。そのため、ミュージカルシーンが始まると、いつしか「またか」といった気になってしまう自分に驚いたり。もっと自然にミュージカルシーンを見られる演出のほうがよかったと思います。そうであれば、のめり込むことができたような気がします。 素材はすばらしいものがそろっていただけに、ちょっと残念な一作でした。
6点(2004-05-03 14:03:39)
120.  HERO(2002) 《ネタバレ》 
純粋スペクタクルアクション系を想像していただけに、まったく異なる作品性格に驚いた。  この映画の白眉は、なんといっても始皇帝という存在に対する新解釈に尽きるだろう。トニー・レオンの残剣がなぜ「始皇帝は生かしておかねばならない」とこだわったのか。その理由を知ったとき、見る者は「あっ」となり、すぐ「そうかもしれない」と納得させられるものがあった。この1点によって、本作に一気に深みが与えられ、机上論的理想を追求するだけでは理想は実現しない現実の難解さを物語る深遠さを得た。  また、始皇帝にも始皇帝なりの正義があったと設定したところもよかった。彼が「結局、自分を理解してくれるのは、刺客の残剣だったとは」と嘆じるシーンは印象的。単なる勧善懲悪ものに終わらない魅力がある。  お決まりのワイヤーアクションもほどほどに楽しめ、あれぐらいでよかったという気がする。演出素材として水を活用してあったのも、私には効果的に思え、好感を抱けた。頭の中の戦いについては、あんなふうにできるのか、という声も聞こえてきそうだが、ま、あれはあれでええんでないかい、といった感じ。  別角度からの感想としては、中国・香港映画もここまで洗練されたか、という印象も残った。どこか荒削りでB級っぽいイメージはもはや過去のもの。そこに中国・香港映画の原点を求める人にとっては、決別の作品となったかもしれない。  
8点(2004-04-24 12:24:15)
021.64%
100.00%
264.92%
375.74%
454.10%
51411.48%
63024.59%
72520.49%
8119.02%
9129.84%
10108.20%

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