101. ゾンビ/ディレクターズカット完全版
かなり衝撃を受けた。緑の草原に抜けるような青い空。そこにヨロヨロとゾンビが歩いてくる。何てシュールで爽やか。通常のホラーのパターンといえば、主役たちが逃げ惑い、見つかったら悲鳴をあげてダッシュというのが王道。しかしこれはゾンビの動きが遅く、腕力も普通ということで、何とかなるんじゃないか、という妙な距離感。怖いことは怖いんですが、化け物の怖さではなく話が通じない一途さに対する怖さ。ゾンビたちは何も変わってないのに人間側が勝手にバタバタしてひどい目にあっていくという皮肉な視線、ホラーにおける怪物を突き放して社会的に見る視線が何とも言えずクールでかっこいい。 10点(2004-04-13 01:55:19) |
102. ロスト・チルドレン
出てくる大人がほとんどブチ切れてて、子供は至ってクール。最高にかっこいい。ワンの純朴さとミエッタの妙な色気の対比が良い。どうでもいいけど、ドミニク・ピノンはあれだけやってもギャラ一人分なのかと気になった。 9点(2004-04-07 17:40:56) |
103. 卒業(1967)
《ネタバレ》 物語の主になる男女がろくでなしってのが最高。有名なラストシーン後のバスの中で、笑顔から何とも言えない複雑な表情に変わっていくところが秀逸。二人が自分の足で走っていくのではなく、好きなところでは降りられないバスに乗るのが何とも暗示的。 9点(2004-04-07 17:36:53)(良:1票) |
104. スキャナーズ
頭ボーンだけの色モノ映画かとなめてかかってたら、意外と深くてびびった。薬害問題まで絡むとは。プルプルするサイキックバトルシーンは耳鳴りのような音に救われている。あれがなければ相当変。 7点(2004-04-07 17:31:32) |
105. マン・オン・ザ・ムーン
感性が鋭すぎて周りがついていけず、いつのまにか一人ぼっちになってしまう孤独感は結構出てた。でも親を出した割には芸事に反対っぽかった父親がいつのまにか折れてるし、エピソードはゼロ。ラリー・フリントでも思ったことだけど、社会での出来事が面白いと、それをただ追うだけになってしまい、感情的に薄っぺらくなってしまう。フィリピンでの自虐的な笑い等良いシーンもポツンポツンとあるものの全体的に中途半端。 5点(2004-04-07 17:26:25) |
106. プラン9・フロム・アウター・スペース
これも怪物の花嫁同様、敵側の正体を早い段階でばらしてしまってる(目的はかなり引っ張ってるけど)。じれったくて仕方ない。セットのしょぼさ、昼→夜への唐突な変化等、金銭面や技術面のネタが多いのですが、エド・ウッドが最低と言われる真髄は前述の盛り上げ方のヘタクソさ、会話シーンの単調さ等、監督としての核となる部分であり、むしろ言い訳ができる分金が無くて良かったんじゃないかと。とんでもなくイカレた映画をとる才能はあったのに、その隠れた才能に気づかずまともな映画をとろうとしてしまった事が最大の悲劇なのだろう。 3点(2004-04-07 17:14:57)(笑:1票) (良:2票) |
107. 怪物の花嫁
想像してた以上にひどかった。エド・ウッドの人となりは知らないけど妙な律儀さゆえか、記者に追われる側の手の内を序盤にほぼばらしてしまっている。スリルとサスペンス台無し。誉めるところと言えば、終盤の展開が結構意表突かれたのと、ヘルメットのリアルなあごヒモが妙にツボにはまって笑いが止まらなかったところくらい。 2点(2004-04-07 17:03:40)(笑:2票) |
108. ナイト・オン・ザ・プラネット
普段あまりタクシーには乗らないのでわからないけど、客と運転手ってあんなに話すものなのだろうか。それはともかく、ニューヨーク、パリ、ヘルシンキのエピソードがとても良い。ウィノナ・ライダーだけが何か無理してるように見えたのと、地球儀がショボいのが残念。 9点(2004-04-07 16:55:20) |
109. イングリッシュ・ペイシェント
情緒たっぷりのメロドラマ。戦争に対して突き放したスタンスを保ち、過去と現在を交えながら徹底して個人の話が展開する。戦争や政治に関する妙な大義名分をおくびにも出さず、個人の感情に焦点をしぼったところがとても良かった。 8点(2004-04-07 16:47:39) |
110. ブリジット・ジョーンズの日記
《ネタバレ》 ブリジットの描かれ方が女の悪い面までさらけ出していてリアルに見えますが、作品はいたってノーマルなファンタジー。いい男に巡り合えなかった理由はほとんど内面的なものなのに、そこを何も努力しないまま2人の男前に惚れられる。全然リアルじゃない。傷つきやすいがゆえにひねくれてしまった人は大抵悪循環に陥るので、現実には何の参考にもならない話だけど、最後自力で追いかけて行ったところは素晴らしかった。 7点(2004-04-07 16:42:07) |
111. ペーパー・ムーン
アディの何気ない行動や表情で、感情が細やかかつストレートに伝わってくる。テンポも軽快で一つ一つのエピソードも面白いが、作品のほとんどがアディの可愛さで成り立っていると言っても過言でない。初めてリボンをつけた時の渋い顔が最高。 9点(2004-04-07 16:35:06) |
112. グランド・ホテル
感じの良い男爵が泥棒、ニコニコしているおじさんが余命わずか、美しいダンサーは落ち目、偉そうな社長は仕事でピンチと、外見とは裏腹な設定に社会の表面的な部分への軽い皮肉を感じた。登場人物それぞれのドラマはとても面白かったのですが、冒頭とラストに出てくる、ドクターの芝居がかったセリフが野暮でした。 8点(2004-04-07 16:30:11) |
113. フォレスト・ガンプ/一期一会
狭い視野を保って一直線に進んで、知らないうちに成功してたというよくできたおとぎ話。世渡りがヘタだとか空気が読めないとかいうことを気にしないのが最強だと学んだ。 8点(2004-04-07 16:23:50) |
114. ラストエンペラー
何をするわけでもなく、したいことがあるわけでもなく、明るい未来も無い。セリフにも出てくる「観客のいない劇場」という言葉がぴったりの虚無感。贅を尽くしたスケールの大きさがさらに虚しさを引き立てる。他者の都合のためだけに生きさせられた一人の男の哀しい人生をじっくり味わえた。 9点(2004-04-07 12:03:34) |
115. カサブランカ
とてもチンケなメロドラマ。ヒロインの自己中、自己陶酔っぷりにうんざりした。映画史上最強のクソ女ではなかろうか。何がひどいと言って、単に不安と寂しさから自分の意思で不倫しただけのくせに、都合の悪い部分にはほとんど触れず、戦争に絡んだ大義名分で自己を正当化し守ろうとする卑劣さ。自分の外見をしっかり計算に入れているずる賢さ。映画自体も、舞台がそもそも人々が動けない街であり展開も緩慢、会話シーンは妙に寄っててエド・ウッドの映画を思い出した。イタイ女性のためだけの映画ってとこでしょうか。 4点(2004-04-07 11:58:55)(良:2票) |
116. わが谷は緑なりき
《ネタバレ》 単なる善人ばかりが出る映画でもないし、ことさらに悲劇ばかりを見せつけるわけでもない。本当の人間がいる。あれだけ威厳に満ちていた父親が段々しょんぼりと小さく見えてくる様。朗らかだった母が、寂しさからどんどんひねくれていく様。とても細やかでリアル。祝い事がある時は共に盛り上がっていた村人たちが、心無い噂でコロッと集団で態度が変わる田舎の恐ろしさから牧師の情けないキレっぷりまで、喜怒哀楽に溢れた素晴らしいドラマ。 10点(2004-04-07 11:47:51)(良:2票) |
117. 海の上のピアニスト
全く未来の無い内向的な話。音楽やそこから派生する雰囲気は確かにいいのですが、それだけ。終盤の展開もやや強引に感じられる。全体に言い訳がましい作品。 5点(2004-04-07 11:34:10) |
118. グレンとグレンダ
アイディアはとても面白いと思うし、妙に長くてシュールな妄想シーンも好き。でも語り手が二重になってしまう変な構造や、脈絡無く現れるベラ・ルゴシの違和感が作品をものすごくダメにしちゃってる。心理描写を全部ナレーションで説明してしまうヤボっぷりといい、いくら金が無いとはいえ演出のセンスが無い。70分ほどの短い映画がかなり長く感じられた。 4点(2004-04-01 19:29:31) |
119. めまい(1958)
ジェームズ・スチュアートの宝田明的風貌、ねばっこい目、暑苦しい芝居がどうにも受け付けない。サスペンスタッチの展開は面白かったけれども高所恐怖症の設定の使い方が中途半端で穴があるように感じられたし、ラブストーリーも安っぽい。トリックにはあっさりだまされて楽しめたのでそれなりに満足はしましたが、傑作と言うまではどうかと。 7点(2004-03-29 02:54:32) |
120. 鳥(1963)
集団の鳥がとにかく不気味で気持ち悪い。怖い。理由も解決も何もなく終わってしまう、何とも釈然としない映画。でも安易でご都合主義な理由や解決を与えていたら名作とは呼ばれなかっただろうとは思う。単体を見ている分には何とも思わないけど、集団になると異常に気持ち悪く見えるという人間心理を身近な鳥で表したところが鋭い。 7点(2004-03-29 02:47:53) |