101. ぼくたちのムッシュ・ラザール
《ネタバレ》 なんといってもラストシーンが素晴らし過ぎる!アルジェリアの国情やカナダの教育現場について知識があれば、もっと感動できたと思うのに・・・。様々な事情を、無理に答えを探そうとしたり、大げさなメッセージを語り過ぎるわけでもなく、それがかえって大きな感動を生んだと思います。大人が「子供のために」と思ってやっていることが、過保護を通り越して歪んだ方向に進もうとしている。でも「おっしゃることはごもっとも」なので誰も反論できないというのは、日本だけでなく世界中そういう風潮なのですね・・・。ストーリーとはまったく関係ありませんが、アリスの大人びた魅力に惹きつけられてしまいました(笑) [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-07-06 20:31:37) |
102. ラスト、コーション
《ネタバレ》 スパイが敵を愛する、というのはよくある設定ですが、いわゆる「スパイもの」ではなく、哀しく切ない恋愛映画でした。「逃げて」のあとはもう・・・・・ 他にも見どころはいろいろあるのでしょうが、こういう映画、ちょっと苦手で、この映画の奥深いところにまで目が届いてないかもしれません。でも、見終わったあとに気持ちがどよ~んとしてしまうので、もう一度観ようという気にはならないと思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-06-22 23:15:39) |
103. しとやかな獣
《ネタバレ》 愉快なコメディーかと思って見始めたら、最後は笑えない結末でしたね。特にラストの山岡久乃、すご過ぎる!しかもそこで終わらないで、遠くから見た高層団地を初めて映して締めるというセンスに驚きです。この映画の目的って、高度経済成長の副産物に対する皮肉なんでしょうが、それを団地の一室だけで展開させるってすごい!また、蕎麦を食べるシーンで踊り出す兄妹、そしてものすごい色の夕焼け・・・このシュールさをこの時代に成り立たせていたとは・・・。こういうセンスを真似しようとして大失敗している日本映画、昔は(今も?)たくさんあったような気がします。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-06-15 22:15:25)(良:1票) |
104. 屋根裏部屋のマリアたち
《ネタバレ》 当時のフランスとスペインの事情、いろいろあったんでしょうけど、重苦しい話にならず、ラテン系の人々の、陽気で生き生きとした姿が素敵に描かれていましたね。どんな展開になるのかと思ったら、ダンナ様、マリアと・・・(笑) 3年後、訪れた先で、マリアの居場所をこっそり教えてくれたおっさん、いいですね!ああいう感覚、男同士でないとわからない・・・かな? [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-06-11 21:34:44)(良:1票) |
105. ピクニックatハンギング・ロック
《ネタバレ》 まったく前知識なく見始め、「ミステリー?オカルト?サイコサスペンス?」といろいろ思いめぐらせながら観ていたら、後半は眠くなって、鑑賞ポイントを思いっきり外してしまったようです。もやもやした後味になってしまったので、機会があればもう一度じっくり見直したいですね。(2014.5.2→5.24に2回目鑑賞) ■■■■前回はさっぱり意味がわからずに終わってしまいましが気になったのでもう一度観ました。すると印象がまったく違って、素晴らしく素敵な映画に思えてきました。 ◆まるで顔のように見える岩山・・・これは、100万年の間に精霊的なものが宿り、ミランダたちは彼らに「呼ばれた(=バレンタインデーに愛の告白をされた?)」のではないかと・・・。そして本来なら、セーラも呼ばれていたはずが、校長のせいで岩山に行けなかった。セーラの岩山行きを邪魔した校長は最後に死んで(山に殺されて)しまった・・・。◆彼女たちが山に入り、恍惚な表情を浮かべたり体をゆすったりしているシーンは「山」の愛撫を受け入れているということで、その象徴として靴下を脱いだのでは?◆男の子がミランダに魅せられて探しに行ったけど、女の子を見つけて服の一部を持ち帰ったがひどい目に・・・その服の相手はアーマで、山の怒りに触れた男の子はひどい目に、その男の子が気になってしまったアーマも「山」から追い出されてしまった・・・◆小太りの子は用無しなので、山が「イヤな感じ」を与え、絶叫したのは「てめえ、もう帰れ!」と、イヤな感じをMAXにした◆おばちゃん教師も実は山に呼ばれていた(冒頭の「マクロウ先生に変なカードを贈った~」云々のくだりから)が、これは山を地質学的にしか見ることができないおばちゃんを抹殺するため。おばちゃんが読んでる本も数学やら物理学の本で、つまりおばちゃんの死は、科学第一主義の現代社会に対する警鐘かも?◆セーラが死んだのは、結局山に来なかったことへの報い・・・または、めがねの子が言った「ただの運命」かもしれない◆フランスのマドモアゼルは、最初からそれをすべて知っていた?(山の手先?)・・・以上は自分の勝手な解釈で、まったくの的外れかもしれません。バッハの平均律など、音楽とともに表現された美しさはすべてミランダを表現しているように感じ、結局は、ミランダに対する山の恋物語・・・と結論付けるのは強引かもですね(笑) [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-05-02 21:24:54)(良:2票) |
106. 舟を編む
この映画は、スタッフみんなが大渡海のようにコツコツとまじめに作ってきた、そんな印象を受けました。地味な話だけど芯がしっかりしているし、変に笑いや一般ウケに走らないところが高いセンスを感じました。日本も、こういう仕事がきちんと評価される社会になってほしいですね。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-04-26 22:58:41)(良:1票) |
107. さんかく
《ネタバレ》 同居しているカップルの部屋に、ある日彼女の妹がやってきて・・・となると、三角関係でてんやわんや・・・というB級ドラマ的な展開が予想できますが、よく練られた脚本のおかげで、かなりクオリティの高い作品に仕上がってました。職場に現れる・家に現れる・ストーカー等、迷惑かけられた側が違う相手に同じことをしでかす面白さもありましたが、やはり百瀬・佳代・桃の3人の描き方がバツグンでした。それぞれ、かなり際立ったキャラに見えますが、実は、男・女・少女って、基本みんなこんな感じですよね?特に百瀬は、まるで自分を見ているようで、知られたくない自分の本質を暴かれたような恥ずかしさを感じました(笑)。また、桃役の小野えれぴょん、すごくかわいいというわけではないけどつい引き込まれる独特のムードやハスキーな声など、桃にぴったりで、最高のキャスティングだと思いました。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-04-07 11:11:56)(良:1票) |
108. フライド・グリーン・トマト
見ごたえもあるし、楽しいし、いい作品でした。過去と現在との絡め方も上手で違和感ないし、よくできた脚本ですね。ただ、作品の出来には関係ありませんが、個人的にイジーのキャラや顔がものすごく嫌いだったのがちょっと残念・・・。 [地上波(字幕)] 8点(2014-03-09 00:29:06) |
109. トライアングル(2009)
《ネタバレ》 これはなかなかの傑作!アイディアとよく練られた脚本で、かなり高いレベルに仕上がった映画だと思います。単に登場人物が殺人鬼に次々と惨殺されるという低級ホラーとはまったくの別物。殺人鬼の正体は誰?なぜ殺そうとするのか?その理由が解明されるたびにどんどん引き込まれ、最後、「死神を騙してこの世に居座った罰」の意味がわかった時には「おぉ~!」と思わず唸ってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-01-17 23:30:37) |
110. 灼熱の魂
《ネタバレ》 見ごたえもあり、サスペンス的な要素も入って、見始めるとつい目が離せなくなるほど面白かったのですが、キツい話だな~!というのが正直な感想です。宗教や民族問題から生まれる憎しみの連鎖と、父と兄を探すことで知らされる母親の痛切な過去、この二つをうまく絡めて、上質な出来に仕上がっていたと思います。でも悲惨過ぎて、2度と観たくないですが・・・。ただ、プールサイドでの出来事は、展開上ちょっと都合良すぎかな?って感じです。【ネタバレ有】と書いていますが、“オチ”を書いてしまうと、観る面白味が激減するので、1+1=1の意味は伏せておきます。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-01-10 10:17:53) |
111. ゆれる
《ネタバレ》 橋もゆれる、心もゆれる、兄弟の関係もゆれて画面までゆれる・・・。 西川監督の作品を観たのはこの作品が初めてで、その後、「ディア・ドクター」「夢売るふたり」も観ましたが、人の心理の揺れる様を描かせたら、日本で西川監督の右に出る人はいないんじゃないでしょうか? そしてこの脚本をさらに輝かせたのが役者たちの演技力。特に主役の二人は、もう「すごい!」という言葉しか出てこないほどの名演でしたね。 不自然な点は多々あります。橋の上での、智恵子の稔に対する態度。猛のことで気持ちがイライラしていたとしても、30歳前の大人があのキレ方はないですよね。また、昨夜寝た幼なじみが死んたというのに、あの猛の冷めた落ち着き、なのに間違った記憶で兄を有罪にしてしまうなど、普通のドラマだとありえないこと。でも現実の世界では、そういう不自然がいくつも重なって成り立っています。多くの人が思う「普通はこうだよね」通りの描き方は、2時間ドラマにおまかせしましょう。 ひさしぶりに観返して、この作品に対する評価はさらにアップしました。脚本は一切の無駄がなく、「これ以上はない」というくらいの見事な映像表現など、そのレベルの高さは、他の映画作品とは次元が違うように思えました。おそらく、数十年後でも、その評価は変わらないのではないでしょうか。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-01-04 22:25:29) |
112. バベットの晩餐会
ひさしぶりに見ました。何度見ても心にジワ~と沁みてくる、良い絵画を目にした時のような静かな感動をおぼえます。いつも寒々しい部屋で口論しているみんなが、美味しい料理を口にすると、「料理の話はしない」のに、心が温かくなって、ムードまで温まる。そういう雰囲気が素晴らしく素敵でした♪ ゴテゴテした余計なドラマ色を排しながらも観る側を飽きさせない大人向けの作り、傑作だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-12-13 21:50:03) |
113. 愛の神、エロス
ウォン・カーウァイ監督の「若き仕立屋の恋」、これはほんとに素晴らしい作品ですね!これ以上の感動が味わえる恋愛映画、しばらく出会えないんじゃないかと思えるほどの傑作でした。おかげで、あとの2本の印象、自分の中ではちょっと弱くなった感じでした。それにしても、もうちょっとマシな邦題はなかったのでしょうか?タイトルだけ見た時は「きっとB級エロ映画だろう」としか思えませんでした(笑) [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-11-23 20:21:42)(良:1票) |
114. ファム・ファタール(2002)
《ネタバレ》 これはかなり面白いですね! もしあの時、こんな行動をしていたらという『if』の話、その表現手段が夢オチ・・・となると、普通はトホホな内容になってしまいますが、これはその類の映画の中でも群を抜いて面白いです! 窃盗団を裏切って仲間に殺されかけた女・ロールが、どうやら主人と子供を亡くしたらしい女性・リリーの家のベッドで目を覚まします。テレビのニュースが「夢で未来を見たら人生は変わるでしょうか」という、この映画の主題のセリフが流れ、そしてお風呂に入ると・・・。 その時の時間が3時33分。その後、結婚式が行われている教会の時計も3時33分、パパラッチが警察に捕まって取調べを受けている部屋の時計も3時33分。つまり、「これは夢の中のストーリー」であることを示唆しているのでしょう。また、窃盗団のリーダーが7年の服役を終えて出所すると、例の事件の日と同じ服で、シャツには血がついたまま・・・。これは、ロールが最後に見た彼の姿。これで明らかに「現実ではない」ことが示されています。 作り手が「これに気付く人はいるかな?さあ、これでわかったかな?」とニヤニヤしながら作っていた様子が手に取るようにわかります(笑) ロールがリリーの自殺を止めた結果、リリーはニューヨークで新生活を送ることになり、引越しトラックの運転手にペンダントをプレゼントします。それが運命を大きく変えるラストへ。そして最後に、転んだロールをパパラッチが助けて「あれ?どこかで会ったような・・・」「夢の中でね」。映画におけるこういう遊び、大好きです! [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-11-12 22:02:30) |
115. あしたのパスタはアルデンテ
《ネタバレ》 このマヌケな邦題のおかげで観るのをスルーしそうになりました。まるでアイドル主演のB級ラブコメみたいなタイトルですが、実はかなり上質のヒューマン系ドラマです。原題の「Mine Vaganti」とは、機雷とか爆弾とかいう意味らしく、「なるほど、うまいタイトルだ」と思いました。いろいろなサイトで「コメディ映画」と紹介されていますが、ドタバタ劇ではなく「笑いあり涙ありのイタリアホームドラマ」といった印象。アメリカ映画などによくある、過剰なドラマ仕立てや演出とはひと味違うテイストです。正直、途中まではちょっと退屈で、消化不良のようなところもあったものの、後半、主人公トンマーゾの告白からおばあちゃんの死、そしてラストまでの数十分で一気に引き込まれました。ただ、美人のアルバは、登場のインパクトからすると、もっと話の展開の軸になるのかと思っていたら、そうでもなかったところがちょっと不満・・・。音楽はとても良かったです。主題歌である「五万粒の涙」の“♪チンクワンタミーラ~”というフレーズが耳から離れません(笑)。ポップスだけどカンツォーネ風なところがイタリアらしくていいですね。好き嫌いはあるでしょうが、映画そのもののクオリティーはとても高いと思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-22 10:43:55) |
116. ラブホテル
山口百恵ともんたよしのりの曲が効果的に使われているのが印象的でした。この時代、滑稽なくらい自分に酔ってるタイプの女性、多かったですね。その描写と主役女優の演技力の低さが妙にかみ合っていて、ちょっと鼻につきましたが、ポルノ映画というジャンルで扱われるにはもったいないほどの、いい映画だと思います。個人的には、主役の二人よりも、寺田農の別れた奥さん役の人に惹かれました。控えめでありながらも存在感があり、もう一度この映画を観たいという気にさせてくれました。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-09-28 20:35:21) |
117. リアリズムの宿
《ネタバレ》 予想を大きく上回るクオリティの高さに驚きました。映画やドラマの「作り物」的な要素を排除して、演出と役者の演技力で日常の中の可笑しさ・滑稽さを表現する山下監督、やっぱりすごいです!セリフやアクションではなく、沈黙とか、バツの悪さで笑わせるのってそう簡単ではないはず。それをさりげなくやってしまうセンスはさすがとしか言いようがありません。特に、あのタイミングでの「異邦人」、あれこそが「リアルな笑い」ですよね? [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-08-18 19:44:15) |
118. 松ヶ根乱射事件
《ネタバレ》 山下監督のセンスには舌を巻くばかりです。アンチドラマ的でリアリティたっぷり、それでいて目の離せない展開・・・こんな映画を作れるなんて、天才としか言いようがありません。10点ではないのは、後味の悪い話で、2度と見たいと思わないから。このタイトルであの展開だと「最後に拳銃でキム兄と女を蜂の巣のように撃ち殺すんだろうなぁ・・・」と思っていたら、見事に裏切られましたね。ラストの拳銃発射後に「松ケ根乱射事件」というタイトルの表示で「おいおいっ、これを“乱射事件”って言うんかい!」と思わずコケそうになりながらツッコむ・・・そういうコメディだった、ってことでいいんですかね? [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-07-27 14:41:45)(良:1票) |
119. ガンジス河でバタフライ<TVM>
《ネタバレ》 クドカンの脚本、ハマる時とそうでない時の差がかなり大きいですが、これはとても楽しむことができました。ストーリーよりも、インド人のオヤジギャグやら、竹下景子の腹話術など、笑いどころがすべてツボにハマりまくり!それに、長澤まさみってただのアイドル女優と思っていましたが、この作品を観て印象が変わりました。ただ、中谷美紀の使い方がもったいないというか、全体の流れの中にそぐわないような役で、ちょっと残念でした。また、個人旅行でしか味わえないようなインドの風景や文化を見られたのも楽しかったです。 [地上波(邦画)] 8点(2013-04-29 00:44:48) |
120. イリュージョニスト(2010)
《ネタバレ》 最初に見た時は、テンポ感と強烈なキャラのベルヴィル・ランデブー・ランデブーに比べて、やや物足りない印象でしたが、じっくり落ち着いて観ると、ジワ~っときますねぇ。最後は泣けました。田舎の小娘がだんだんと都会の色に合う女へと磨かれていき、最後は手品師がいなくなっても好きな男とこれからの人生を歩いていく・・・それとは対照的に、時代からどんどん取り残され、また居場所を探しにいく手品師・・・。なんだか切なかったです。ラスト、列車の中で見た写真は手品師の娘かな?自分の娘とダブらせて、それであの子を喜ばせていたのでしょうか?それから、出てくる人物はすべて全身が描かれていて、顔のアップなどはまったく出てきませんでしたが、その方が、顔の表情のアップで心情を描くよりも、リアルに悲哀が伝わってきますね。腹話術師も手品師同様、時代から消えていく人の象徴として、人形が売られていたシーンが印象的でした。街並みなどの風景や室内を照らす光の具合等、その色彩の美しさや細部へのこだわりはジブリ以上かも? [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-13 21:32:05) |