121. ユージュアル・サスペクツ
《ネタバレ》 この作品は、筋だけ追っていけば、ごく普通の作品です。しかし、オチを知った上で見返すと、そのたびごとに、ここにこういう工夫があったのかという発見がありますし、その細部のこだわり職人芸を堪能する作品なのです。その上で、ネタそのものというよりも、その「ネタの割り方」の美しさが、作品を後世に残るものにしています。また、G・バーン、S・ボールドウィン、デルトロ、ポスルスウェイト、そしてスペイシーといった、一癖も二癖もありそうな連中をこれでもかと揃えてみせたキャスティングの妙も称賛されるべきです。 [映画館(字幕)] 8点(2021-11-03 16:06:52) |
122. ルームメイト(1992)
《ネタバレ》 アリーの側に着目するとあまりのどんくささに苛々するのだが、へディの側から見ると、ある種の切なさが漂ってくる。ただ、前半は日常生活の枠内でいろいろ心理の綾が重なって面白かったのに、グラハムとサムを途中で退場させてしまったのが失敗で、最後の肉弾戦なんて「いつまでやるの?」と思ってしまった。J・J・リーの脱ぎっぷりの良さに+1点。●で、原作も読んだのですが、いろんな印象的なシーンが実は映画オリジナルであることが分かりました(原作はむしろ心理描写に重点があります)。というわけで、重層的に奥行き深く理解できた気がするので、さらに+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2021-10-26 21:04:18) |
123. 御法度
いやそもそも、何で土方がたけしなのよ。当時のたけしの年齢からしても、20歳くらい違ってるんじゃない?かりに違っているのはいいとしても、ああいう老成した大将みたいな芝居をしてはだめです。終盤の入口から、演技がまったくできないトミーズ雅に重心がシフトしてしまったのも、さらに足を引っ張ってしまいました。●結局これって、大島監督が「戦メリの夢よもう一度」の感覚だけで作ってしまったのではないのかな・・・。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2021-10-18 02:08:11) |
124. バンディッツ(1997)
最大の欠点は、音楽に対する彼女たちの愛情なり執着というものがどこからも感じられないこと。演奏というものをあんなに安易に考えるようでは、人前に立つ資格はありません。というより、ステージに対する冒涜です。中盤までは0点。橋のシーンに3点、ラストに1点。 [DVD(字幕)] 4点(2021-09-14 00:39:43) |
125. エイミー(1997)
《ネタバレ》 よくまとまってはいますし、周りの人たちの変なキャラもいい感じ(車の修理ばかりしている2人組がツボ)なのですが・・・何かいろいろちぐはぐで、素材を生かし切れていないのです。まず、母親は常時ヒステリックな割に具体的な愛情を感じる場面がなく、少女が喋れなくなったのも4分の1くらいはこの母に原因があるのでは?と思ってしまいます。歌の兄ちゃんや少年はまだしも、頑固お婆ちゃんや変な姉ちゃんと少女が打ち解けている(っぽい)のも経過不明。精神科医や児童福祉局も含めて、登場人物をちょっと詰め込みすぎちゃったのでしょう。最後は追跡サスペンスみたいになって、主題の歌やそれに伴う心理描写がどこかに行ってしまっている。そうそう、少女の歌がやたらプロっぽいのも気になりました。●ただし、最後の多視点解明のトリッキーさはなかなかインパクトあり。そう、年少者の心理に何があるかなんて、大人からは想像もつかないんです。そこに焦点を定めた点には大いに意味があります。 [DVD(字幕)] 6点(2021-09-09 01:02:57) |
126. エクセス・バゲッジ/シュガーな気持ち
いろいろな意味でイライラする内容であり、見た後の印象点は非常に悪い。相手のお嬢がどうみても不細工なのも悪印象。 [DVD(字幕)] 2点(2021-08-28 23:59:28) |
127. 銀杏のベッド
《ネタバレ》 前世代からのいわくのある銀杏の木のベッドが、時空を超えて二人を結びつけ・・・なんていうととてつもなくロマンチックな光景を想像しますが、まあまったくもってそんなことはなく。まず、肝心の銀杏のベッドが、あんなゴツゴツしたグロテスクな形態なんて、誰が考えたんだろう・・・。また、お姫様に妄執を抱く将軍というのが、まさに亡霊武者というかむしろホラーというか。一方でヒロインの勤務先の病院関係描写なんて、もう適当まる出しですし。ここまで破綻しまくってそれでもある種迷いなく話が進んでいくのを見ていると、逆にある種の感動を覚えます。それだけですが。 [DVD(字幕)] 2点(2021-08-24 00:32:43) |
128. 陽だまりのイレブン
《ネタバレ》 邦題からすれば、ジーコの下にサッカーチームが集い、修練と挫折と再起を経てさらに一致団結して・・・みたいな爽やかスポコンの流れを想像しますが、全然違っていました。まず、そもそも原題は「ジーコの冒険」。まだこっちの方が内容に近いです。しかし実際の中身はさらにぶっ飛んでいて、何か変な科学者とその手下が登場し、ジーコをコピーして二人にしてしまいます(!)。もうこの時点でまともなスポーツものというのはありえないのですが、その後「コピーすると性格が両極に分裂する」という都合の良い設定を生かして、厳しい指導と楽しい指導のそれぞれが展開される。ただ、このどちらも指導として間違いではないというか、実は両方必要である、というのがミソです。よって最後は、敵役チームのメンバーも合流して、みんなでサッカーをしよう、で美しくまとまっています。というわけで、中身はむしろ少年探偵団系(?)なのですが、ジーコの二役という貴重なものが割とたくさんみられたり、中心人物的な女の子(男の子としてチームに潜入)もキュートだったりして、それなりに見所もあります。 [DVD(字幕)] 5点(2021-08-19 14:30:37) |
129. 悪魔を憐れむ歌
映像も効果音も気持ち悪いし、大した敵とも思えないのに勝手に登場人物が苦戦しているので、真面目に見る気が起きない。デンゼルも、この種の話では全然格好良く見えない。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2021-08-11 00:22:05) |
130. チャンス!(1996)
とてつもなくお馬鹿で面白い設定のはずなのに、変に中途半端に真面目に作られているので、笑うことも唸ることもできない。つまり、演出の方向性が間違っているのである。ウーピーとダイアン・ウィーストというキャスティングも、重厚で安定感がありすぎて、この種の馬鹿話には向いていない(少なくとも、秘書の方は、「何も分かってなさそうな若くて一見頼りない人」を選ぶべきだった)。 [DVD(字幕)] 4点(2021-07-17 01:17:24) |
131. トータル・リコール(1990)
《ネタバレ》 記憶探求系は割と好きなので、中盤までは意外に面白いと感じましたし、「これは夢なのだ作戦」の時空が歪みそうなスリルもなかなかでした。が、設定の意味はそこで終わってしまって、あとは通常の肉弾戦&銃撃戦で終わってしまいました。過去の自分がまいた手がかりの部分などは、もう少し広げられなかったのかな。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2021-07-15 01:46:47) |
132. スター・ウォーズ/ジェダイの復讐<特別篇>
《ネタバレ》 結局このシリーズって、何だったんでしょうね。熊さん大活躍のくだりなんかは、ディズニー作品かと思いました(しかも長い)。主人公も、親がどうのこうのとかダークサイドがどうのこうのとか言っていながら、3作を通じて成長もしてなければ、技術が向上しているわけでもなければ、格好良くもないし。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2021-07-09 21:42:07) |
133. クローンズ(1996)
《ネタバレ》 せっかく良い素材なのに、脚本が全然練れていません。そもそも、主人公が多忙のため自分のクローンを作るという話なのに、どうみても忙しそうではないので(土日にはしっかり休んでいる!)、設定に説得力がなくなっています。家を改築したら奥さんが戻ってくるという解決も安易だし、勝手に作ったクローンを自分の都合で放逐するというラストも今一つ。 [DVD(字幕)] 3点(2021-07-02 00:18:03) |
134. ダブル・ジョパディー
設定に無理がありすぎ。なんだから仕方ないけど、ストーリーに突っ込みどころが多すぎ。大体、少なくとも日本の法解釈では、後で本当に夫を殺したら、それは独立して有罪になるはずなんですが(前のやつは再審で無罪にはなるけど)。なので、そもそもプロットが成立していません。 [DVD(字幕)] 4点(2021-07-01 00:53:02) |
135. 人質
とにかく、警察の捜査の段取りが信じがたいほどいい加減で、その時点で真面目に見る気が起きない。最後まで何とか見られたのは、1人で頑張ったエイドリアン・ブロディの演技を確認するという、ただそのためだけ。 [DVD(字幕)] 3点(2021-06-18 00:24:49) |
136. スター・ウォーズ/帝国の逆襲<特別篇>
前作よりもさらに中身なしなのにびっくりした。最初から最後まで「戦っているだけ」なので、何をどうしようとしても、作り物感ばかりが増幅されていくのです。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2021-06-15 01:51:47) |
137. スター・ウォーズ<特別篇>
「これがあのスター・ウォーズ?」というのが素朴な感想でした。内容が単純明快ひねりなしなのはいいとしても、各キャラクター(人間以外含む)に魅力のある存在がまったくいなかったのはびっくりでした。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2021-06-13 20:31:11) |
138. ノッティングヒルの恋人
《ネタバレ》 王道中の王道。ベタベタ。この作品はそれでいいのです。ジュリア・ロバーツは、厳密に見ればミスキャストです。彼女は風格があまりにも堂々としていて、マスコミやファンに振り回される普通の女の子、という特質が出ていません。しかし、この作品は王道なのですから、主演は大スターでなければならないのです。それでいいのです。ちなみに、私が一番好きなのは、実は田園風ロケ地でヒューが(ふてくされて?)去っていくシーンで、こういった心理的すれ違いも織り交ぜているからこそ、ラストが際立っています。 [映画館(字幕)] 8点(2021-05-16 20:34:42) |
139. マディソン郡の橋
《ネタバレ》 最初に見たときは、メリルの顔(メイク)が怖いとか、子供2人の演技が下手とかが気になっていたのですが、よく見たらそんなことはどうでもよくなりました。何よりも、ある程度いろんな経験をした大人の恋愛というものをじっくりと腰を据えて見せてくれるのが嬉しい。会話の一つ一つに、主人公2人の迷いと躊躇いと気遣いが丁寧に表れています。それを支える照明や画面の色遣いの職人芸も忘れてはいけません(昼と夜の使い分けも巧妙だし、それまで晴れていたのが最後だけいきなり雨なのも強烈)。ところで、本人たちはこの4日間が真実の愛だったなどと言っていますが、それが錯覚でしかないことは、本人以外のすべての人から見れば明らかです。しかし、ここで大事なことは、それをそう信じて一生大事に心に抱いていくことができる、人の心の「祈り」の部分が持つ、不合理性ゆえの尊さなのです。 [映画館(字幕)] 8点(2021-05-15 21:15:29)(良:1票) |
140. 48時間PART2/帰って来たふたり
前作に引き続いて垂れ込める陰鬱な雰囲気。と思っていたら、両方ともウォルター・ヒル作品だったことに今頃気づきました。ライダーズの容赦ない暴力ぶりはなかなかの敵キャラぶりだったのですが、敵側にサブキャラをいろいろ作りすぎて、つまりは考えすぎて失敗してしまった感じです。そんなことよりも、その強豪敵キャラをどうやって主人公2人組が追い詰めてやっつけるか、のところが重要だと思うのですが。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2021-05-10 00:53:46) |