121. ソウ3
《ネタバレ》 この辺から一本の映画として成り立たなくなってきた。辛うじてオチがあるが、スプラッター一本やりで全体的に痛いばかり。犯罪者をカリスマ化するのに反対はしないが、ジグソウ本人以外に魅力的なキャラクターが居らず、彼の後継者選びも不発に終わり、製作サイドも続編をあきらめたかと思いきや。三部作で止めるべきだったかもね、という出来。 [DVD(吹替)] 5点(2010-04-19 21:46:13) |
122. 第9地区
《ネタバレ》 いきなりエイリアンが栄養失調の状態で第三種接近遭遇とは斬新なオープニングだった。見た目とか匂いが臭いとかで、人間はすぐに差別の対象とするが、種の保存という観点からすると本能的に当たり前のことなのかもしれない。倫理的にはよろしくないことだとわかっている人も多いのに、自分よりレベルの低い差別対象を無理にでも求めてしまうのが人間の宿命か。黒い液体は要素がイマイチ不明だが、エイリアンたちの文明が、自らのDNAを使用して燃料や機器制御に使用するものと解釈すれば何となく納得いくと思い込む。最初の方はブラックなギャグ満載でコメディタッチだが、だんだんと社会派的な重い話に移行し、人種や身体障害に対する偏見を暗喩しているかのごとき内容になっていく。ちょっと前半と後半のバランスが悪い感じがしてしまうのは否めない。母船が稼動してエイリアンの兵器類が自動起動した時は、彼らの周到な侵略作戦だったかと思ったがそうではなく、彼らはただ母星へ帰還したいだけだった、という事実がさらに重く圧し掛かる。ラスト間際のパワードスーツと傭兵の戦闘は、直前のヴィカスの裏切りと悔悛を受けて燃える効果を生んでいるし、ラストのブリキの花一輪は涙を誘う。稀に見る良品であると思う。 [映画館(字幕)] 8点(2010-04-11 23:58:05) |
123. ソウ2
まだ一本の映画としても成り立つ構成になっている。警察が絡み始めて密閉空間でのドラマ性は薄れてしまったが、最高の特等席でゲームの行方を見物する手法も健在で、ラストのドンデンは「おおっ!」となる。一見不条理に思えるゲーム内容も逃げ道が存在しており、「命の大切さ」についてそれなりのメッセージを投げかける。余命わずかなジグソーの後継者も現れ、このレベルなら続編にも期待が出来、十分及第点と思う。 [DVD(吹替)] 7点(2010-04-09 21:57:58)(良:1票) |
124. 2012(2009)
《ネタバレ》 地割れや噴火や津波に飲み込まれていくゴマ粒のような人間たち。不謹慎かもしれないけど、この手の災害パニック映画は興奮する。俯瞰で構成された大迫力のCG映像はストーリーのチープさなど吹き飛ばすほどの迫力がある。ただ序盤から中盤に掛けてのスペクタクルシーンの迫力に比べて、ラストの方舟の不具合対処は何だかショボイ。ドアにゴミが挟まっただけで全乗員の命を危険に晒すなんて設計ミスもいいところ。ブロック構造にして区画ごとパージとか、計画の段階から対処方法は色々考えられそうだが。まあでもエメリッヒ的なスペクタクル映画としては及第点と思う。でも、どうせこれくらい荒唐無稽な内容なんだから、宇宙船を建造して宇宙ステーションかスペースコロニーに滞在して凌ぐって内容でも良かったかも。最初方舟を見たときは宇宙船かと思ったし。 [DVD(吹替)] 7点(2010-03-22 23:20:29)(良:1票) |
125. シャーロック・ホームズ(2009)
《ネタバレ》 随分と武闘派なホームズとなっている。つまらなくはないのだが、中だるみアリで期待していたものとはなんか違う感じ。重要な謎解きがさらさらと進んでしまい、どちらかというとアクション重視な内容になっており、力技で「はい、解決ね」。ストーリー展開も、「不二子ちゃん」がいるせいで「ルパン三世」な匂いがする。ラストでいろいろ種明かしをしてくれるし、宿敵のあの教授も出てくるので、売れたら続編あるんだろうなと。原作当時のロンドンの汚さや風俗を感じさてくれる映像は非常に買うが、全体的にもっと面白くなりそうな雰囲気があるので惜しい。 [映画館(字幕)] 6点(2010-03-22 22:52:15)(良:1票) |
126. バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3
《ネタバレ》 主人公がビフからドクにシフトして俄然面白さが増した。主な舞台が西部に固定されたため、より単純なストーリーになったが、絶妙なオーバーテクノロジーの混ぜ加減もあり、1作目のようなジェットコースター感も復活した。ドクの恋バナも適度に散りばめ、2作目で回収し切れなかった伏線もざっっとさらって、感動のラストに突き進む。機関車と未来カーのハイブリッドタイムマシンは、この3部作の真髄を体現しているかのようである。今観ても十分観るに耐えうる内容の高級品だと思う。 [DVD(吹替)] 8点(2010-03-18 00:02:34) |
127. バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2
《ネタバレ》 1作目ほどの爽快感がない。主人公がマーティからビフにシフトした内容になり、全体的に暗い内容になっているのが原因か。PART2が製作された段階ですでにPART3が公開予定だった(ラストに予告編あり)ため、伏線も拾い切れておらず、何だかすっきりしない。あと、マーティがチキン(腰抜け)呼ばわりされると見境なくキレてしまう設定がいきなり追加されたが、唐突で何だかしっくりしない。と、いろいろ不満店を書いたが、映画としては非常に面白く及第点の内容。 [DVD(吹替)] 7点(2010-03-17 23:50:13) |
128. バック・トゥ・ザ・フューチャー
《ネタバレ》 まさにジェットコースタームービー。これから起こることを期待させながら、ゆっくりと始まり、観客を徐々に物語りに引き込んでゆく。コース(物語)に中だるみなどなく、急降下(ピンチ)と急上昇(勇気ある行動)を繰り返し、最後まで一気に魅せる。そこかしこで張られた伏線はラストまでにすべて回収して「ああ!」「おおっ!」の連続。また、マーティがチョッカイ(?)を出すことで、彼に関わる人々(ほとんど家族だが)が目に見えて成長してゆく様も心地よい。たった一度でも「行動」できた人は自分の未来も切り開けるぞ、と言っているようだ。あと、ドクは誤解を受けやすい言動ばかりしているが、非常に面倒見の良い、信頼するに足るすばらしい人だと思う。珠玉のエンターテインメント映画の一本。 [DVD(吹替)] 8点(2010-03-15 23:33:43) |
129. ソウ
《ネタバレ》 題名の「SAW」は「見る」「のこぎり」「ジグソウ」に掛かっているとのこと。主人公「ジグソウ」は、自分や他人の命を大事に出来ない人たちを、生き残りを賭けたゲームに放り込む。そして彼は最高の特等席でゲームの行方を見物する。一見不条理に思えるゲーム内容も、きちんと「生き残る」方法が示され、逃げ道が存在する。たとえそれが自分の体の一部や他人の命と引き換えであっても。余命わずかな彼が仕掛けた猟奇的な犯罪は、「命の大切さ」についてそれなりのメッセージを投げかける。やっぱりラストはびっくりするし、続編も期待できる内容になっている。サスペンスとしては一級品と思う。 [DVD(吹替)] 7点(2010-03-13 12:04:19) |
130. ブラッド・ダイヤモンド
《ネタバレ》 最初はアメリカへの国際線で鑑賞。他の映画を観尽したあと「主役がディカプリオじゃな」の印象だったが仕方なく観る。だが観終わると「ディカプリオやるじゃん」の感想へ変貌を遂げる。誰もが取っ付きやすい社会派アクションエンターテインメントとして始まり、誰もが何かしらを考えさせられるであろう物語として幕を閉じる内容は、一流の内容であると思った。だが彼の最後はもっと激しく重い死に様のほうがよいと感じた。最近また観直したくて再度DVDで鑑賞。ジェニファーコネリーのふとした瞬間の笑顔に美しさを見出す。すっぴんに近い薄めの化粧ではあるが、アフリカの地で見せる笑顔には華があると思った。サイモン・フンスーの愚直な現地人の演技もなかなか。役者が自分の役柄を的確に表現しているのが好印象だった。最近稀に見る面白い作品だと思う。 [DVD(吹替)] 8点(2010-02-27 19:59:21)(良:1票) |
131. ザ・セル
《ネタバレ》 「CELL」を辞書で調べると「細胞」「脳」「地下室」などこの物語のいろいろな側面を表現するものだった。物語はもっと広げられる話なのに、ちんまりとした構成になってしまい、奥深さが感じられない(抽象的な意見だが)。他者の精神世界にダイブする内容は興味をそそる物なのだが、カウンセリングと犯罪捜査を混在させてしまったため、何だかまとまりのない展開になってしまった。いっそのこと、どちらか一方に絞ってしまった方がよかったと思う。でも、多くの方が思っているように映像は鮮烈であり耽美的であり、一見の価値アリ。ただ、もっと鮮烈さや残虐さを強調できていたら、カルトの域に達していたのに残念。 [DVD(吹替)] 6点(2010-02-25 00:11:25) |
132. チャーリーとチョコレート工場
《ネタバレ》 バレンタインデーということで再見。驚異的な売り上げを誇るお菓子メーカー"ウォンカ"の招待のもと、幸運に恵まれた5組の親子が、彼の工場の中で夢のような不思議な体験をしていく。しかし、まるであらかじめ仕組んであったかのようなさまざまなハプニングが起き、子供たちは一人、また一人と消えていく。マザーグースの「10人のインディアン」を彷彿とさせるイギリス文化を体現した物語は奇妙な不安感を抱かせるが、ウンパルンパの風刺歌を伴う、小生意気な子供達の「処刑」は爽快感を感じさせる。よく考えると説教くさくもあるが、子供というものは出しゃばらずに大人しくしている方がよいと言っている内容は、日本の風土にも合っており馴染める。家族が居ることの暖かさを表現したラストも心地よく、記憶に残る一本となった。 [DVD(吹替)] 8点(2010-02-14 22:12:41) |
133. 遊星からの物体X
《ネタバレ》 「ハウリング」に続くロブ・ボッティンのクリーチャーの造詣は今見ても秀逸。後の「グリード」や「トレマーズ」に多大な影響を及ぼしたと思われるクリーチャー描写は、記憶に残る一本となっている。氷に閉ざされた空間で"Thing"に侵された本人すら気付けない状況は、自ずと互いを疑心暗鬼に陥らせ、終始緊張状態が持続し観客を物語に没入させる。侵した生物の遺伝記憶を爆発的に発現できる"Thing"が正体を現すシーンは、何故だか体が震える。更に最後まで侵された人間が判らないまま終わってしまい、観客に判断を委ねるラストは不快だが心地いい。ただ、一個の細胞からでも再生できる"Thing"を爆破してしまったのは、大きな間違いであったと思ったがいかがか? [DVD(字幕)] 7点(2010-02-14 21:34:53) |
134. ノウイング
《ネタバレ》 壮大なストーリー展開のはずなのだが、演出が悪いのか物語が何だか狭いところで閉じてしまい、広がりが感じられなかった。数字の暗号を解き明かしていくところや大事故の描写は興味を持って観れたのだが、重要な秘密を解き明かした主人公は人類に警鐘を鳴らすこともなく、閉じた世界でチンマリ淡々と展開していく。最終的に感じたのは、宇宙人(異次元人?)が大金掛けて壮大なシムアースをやっていた感じ。人類を巧く進化・発展させられなかったので、スーパーフレアでリセット。アダムとイブからリスタートって感じでしょうか。アイデアはもっと面白い展開になりそうなものなので、もったいないですね。 [DVD(吹替)] 5点(2010-01-11 22:15:37) |
135. ファイナル・デスティネーション
《ネタバレ》 最初は夢落ち的な展開かと思ったが、俄然「死」という運命に対する展開になり思わず引き込まれてしまった。死神VS人間。図らずも生き残ってしまった7名の死に方がショッキングで非常に印象に残った。若かりしアリ・ラーターが新鮮な演技をしているとこも吉。続編も見たくなる内容で○。 [DVD(吹替)] 7点(2009-12-23 22:52:31) |
136. アバター(2009)
《ネタバレ》 物語は数多の手法で描かれてきた「異文化・異文明の対立」で始まる。対立する文化は相手を理解しようと努力すらしない。そこへ何の情報も与えられずに放り込まれた主人公が、蹂躙すべき文化へ適応し、最後は生きる目的として命を掛けるまでになる。自然と文化、そして命の尊重。簡単に言うとストーリーはハリウッド版もののけ姫+ナウシカ。ただし、その映像・音楽は圧倒的な情報量(色彩)を以って五感を刺激し、観客をパンドラの住人へと転生させる。知らぬうちにナヴィとして感じ、考えている。使い古されたストーリーではあるが、最新の技術を以って荘厳なイメージを観客に与えている。近年稀に見る内容の映画であると思う。 [映画館(字幕)] 9点(2009-12-23 22:40:28) |
137. CUBE
《ネタバレ》 DVD版に収録されている短編映画「Elevated」もそうであるが、極限状態に置かれた人間たちの深層心理を巧みに描写し、じわじわとした恐怖を味わえる内容となっている。最初に登場したスキンヘッドの死により「部屋には死の罠が仕掛けられ、慎重に行動しないと危険」という設定を、ものの数十秒で観ている人に印象付けることに成功している。突然捕らわれ、目的も意味も分からずに立方体の部屋に放り込まれた登場人物たちに課せられた不条理なゲームは、現代社会の象徴とも思える。限られた空間を巧く利用すれば、低予算でも面白い映画を創れるという、いい例だと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2009-10-03 13:48:58) |
138. ウルヴァリン:X-MEN ZERO
《ネタバレ》 非常に面白かった。登場するミュータント各々の見せ場が用意され、それぞれが格好よく表現されており、興奮必死。アクションエンターテインメントとしては上出来。また、冒頭の戦争シーンの件だけで、闘うことでしか居場所を見出せなかった兄と弟の間に、次第に精神状態や考え方が微妙にズレていくのが表現されており、簡潔に状況を描写できている。ウルヴァリンの名前の由来や、彼が古いバイクをに乗り、皮ジャケット、ネルシャツ、ジーンズの格好をし続けるに至ったであろう出来事も描写されており、今までのシリーズを観て来たものにとってはうれしい。ある程度各キャラクターの心情も表現されており、ケイラの裏切りと真実、償いは悲しいし、セイバートゥースですら単なる悪者として描かれていないのは好感が持てる。(映画1作目に登場したセイバートゥースと、今作の彼が同一人物なのかイマイチ判然としないが)でも、ウルヴァリンが記憶を失う理由が科学的に納得いかない。新シリーズとして展開していきそうな勢いなので、次作以降で記憶を失うという展開でも良かったのではないか?ただ、全体としては近年稀に見る面白い映画であることは間違いない。 [映画館(字幕)] 8点(2009-09-13 20:04:27)(良:4票) |
139. G.I.ジョー(2009)
《ネタバレ》 ストーリーはまあまあ単純な勧善懲悪もの。全編アクションの連続で退屈する暇なく最後まで魅せる。特に加速スーツで追いかけっこするアクションシーンは今までにないスピード感が出ていて興奮すること間違いなし。科学的に考えると、Gや衝撃で中身の人はぐちゃぐちゃになると思うが、理屈ぬきで楽しんだほうがよい。ただ、例によって日本の風景や生活描写が間違っており、「またかよ」となる。意図的か?忍者は今の(たぶん近未来でも)日本には居ないよ。また、悪者側の指揮系統がなっておらず、誰が首謀者なのか、何がしたいのか、イマイチ判然としないのがマイナス。世界的に迷惑なことをしているのは分かるのだが、そこから彼らにとってどのようなメリットが生まれるのか説明不足。あと、最終的に米国乗っ取りを考えているみたいだが、ナノバイト弾頭でワシントンを攻撃しようとした意図が分からん。大統領も死んじゃうのでは?まあ、シリーズ化しそうな勢いで終了したので、続編に期待してみたい。 [映画館(字幕)] 7点(2009-08-18 09:47:43)(良:1票) |
140. JIGSAW ゲーム・オブ・デス<OV>
《ネタバレ》 一連のソリッドシチュエーションスリラーの形式を取ってはいるが、犯人の行動に説得力がなく、単なる暴力好きな男による快楽殺人の羅列になってしまっている。ゲーム参加者(被害者)たちに生き残る術を残しているように見えて、その実結局死ぬしかなく内容が面白くないので、観る者がその状況に引き込まれないのが致命的。スリラーというよりはスプラッターホラーといった体でドキドキ感がない。また、舞台となる廃工場内のセッティングが穴だらけで、いらいらする。SAWなどのように緻密な計算などしておらず、カメラの位置も丸わかりなので、最後にはカメラを壊されてしまう。全体的にいま3くらいかな。 [DVD(吹替)] 4点(2009-08-13 14:01:09) |