1381. 僕たちのラストステージ
《ネタバレ》 チャップリン、キートンと並び称される2人組コメディアンの元祖ローレル&ハーディの落ち目になった晩年の物語。心配していた程辛気臭くなく映画製作資金の為のイギリス巡業模様に惹き込まれる。いろんなものを抱えながらも幕が開けば観客(いろんなものを抱えているであろう)を楽しませる、皆の芯からの笑顔に尊い職業だと思わされる。念願叶わなかった切なさを上回る二人の奮闘ぶりが沁みる作品。 [DVD(字幕)] 8点(2019-12-26 09:53:37) |
1382. オンネリとアンネリのふゆ
前作鑑賞後の本作鑑賞が絶対お勧め。ドラマ性は前作よりは劣るものの童話として楽しめる内容。色彩美は キュンキュン×無限大 で気がヘンになりそうだった前作よりはこれまた劣るものの、キューンとさせられました。モノトーンが好みの私が原色を取り入れるようになったのですが、方針路線拡大!を改めて意識する事に。子供が小さい時の楽しく過ごしたクリスマスを思い出し、孫と一緒に本シリーズを鑑賞し、ツリーの飾りつけもしたいなぁと思わされました。 [DVD(字幕)] 7点(2019-12-24 14:16:10) |
1383. 運び屋
《ネタバレ》 御大らしいこなれた感じでテンポ良く進む展開は観やすいものの、御大らしからぬ葛藤のない見応えがない作品。 ガムシャラに働いてきた仕事を失い、財も失い、初めて家族を一切顧みなかった事を悔いて、麻薬運搬で得た金の力で埋め合わせしようとする爺さん。結末模様に、多くの人を泣かせる犯罪を12回も行った悪銭を貰って怒らない娘・孫娘・他に「あんたらは馬鹿なのか」と言いたいです。妻の「会ってくれたらお金なんて要らないのよ」に+3点。 [DVD(字幕)] 6点(2019-12-23 16:20:30) |
1384. オーヴァーロード
ナチスもの戦争映画として任務完遂出来るのか息を詰めて観ていたのが、人体実験SFゾンビもの要素が出始めて「はぁ? ヘンなの借りてしもたなぁ」戸惑うものの、グロシーンのグッチャグチャ模様も延々と続くとマヒしてしまうのか、劇場鑑賞だったらもっと迫力あったかなぁと思ってしまう。ワフナー、伍長(カート・ラッセルの息子ワイアット・ラッセル)、クロエそれぞれの熱演が印象深い。荒唐無稽ながらキチンとした起承転結でお金をかけているなぁと思われる映像(スタッフの皆さんに拍手)に引きずり込まれた作品。 [DVD(字幕)] 7点(2019-12-21 22:53:16)(良:1票) |
1385. ハンターキラー 潜航せよ
《ネタバレ》 ロシア≠悪という展開が目新しく、ロシア艦長生存を筆頭にご都合主義に白けながらもアクションに徹した演出に楽しめる事が出来た作品。お目当てゲイリー・オールドマンの誰が演じてもいいようなステレオタイプな人物像が残念。もう一人のお目当てリンダ・カーデリーニは小野文恵アナが思い浮かぶ姿でこれまた物足りなく残念。そんな中で大統領SPの「ご無事で」(リプレイタイム)が胸熱シーンでした。 [DVD(字幕)] 7点(2019-12-19 16:56:09) |
1386. 偽の売国奴
《ネタバレ》 実話ベース。よく練られた脚本で華のある見応え充分の作品。1942年、ドイツ国内の製油所情報をイギリス情報部に流す任務を無理やり引き受けさせられるスウェーデン国籍の実業家エリック・エリクソンの奮闘記。大局観は違えどもやり口はナチスと大差ないコリンズにやはり腸が煮える。作戦遂行の為の疑似カップルに芽生える恋愛模様と二人の正体が何時ばれるのか目が離せず、遂に別れの時を迎えるシーン(リプレイタイム)でのウィリアム・ホールデン&リリー・パルマーにナチスのえげつなさを思い知る。そこから結末までのエリックの冒険譚が長くて悲恋の余韻が消えてしまったのは残念。お待ちかねクラウス・キンスキーは台詞一言ながら、ウィリアム・ホールデンの腕の中で息絶えるという美味しい役どころで存在感がありました。 [DVD(字幕)] 8点(2019-12-14 02:13:50)(良:1票) |
1387. 寒い国から帰ったスパイ
《ネタバレ》 原作未読。念願叶っての鑑賞。オープニング、モノクロ画面に流れるピアノに、ジョン・ル・カレ作品テイストが滲み出る。想定以上に映画としての飾り気皆無の作品で観る私もCONTROLに騙されてしまった。リーマスはどの時点で真相を知ったのだろうか。人並みに恋をした事が命取りとなった諜報員は応報だとしても、一市民である彼女を使い捨てカイロのように扱うCONTROLのはかりごとに腸が煮える。壁の上でのリーマスの胸中がやるせない。 無骨な中に一瞬見せる微笑み、淡々とした仕事ぶり、目が据わった(怖かった)迫真のアル中模様、寒い国へと戻って行く最期。リチャード・バートン絶品演技を堪能。 『発掘良品』に感謝。 [DVD(字幕)] 8点(2019-12-12 16:32:05) |
1388. 万引き家族
《ネタバレ》 3人の給料と年金がありながらの万引き行為が情けなく、幼い子供にやらせているのが許し難く腸が煮えくり返る。0点 道徳心(死語ではない筈)無き絆が崩壊するという意味に於いての犯罪描写なのかもしれないが、犬畜生にも劣る実の両親を思うと疑似家族の日々の営みに感じた温もりに冷や水浴びせられてしまった。 初めて観た安藤サクラの演技力に+2点、どこか郷愁にかられた室内セット装飾に+1点 [インターネット(邦画)] 3点(2019-11-29 01:50:09) |
1389. アイリッシュマン
シネマート心斎橋へ喜び勇んで出かけました。物語は戦後米国裏社会ギャングものとしてあるある話であります。 パチーノ>ペシ>デニーロ>>>>カイテル。 ホッファを演ずるパチーノはお下品で退く事を知らない唯我独尊振りで、「パチーノと言えばスピーチ、スピーチと言えばパチーノ」面目躍如のシーンには「アル様素敵!!!!」叫びたい衝動に。いやぁ、こういうお姿を拝めただけでも鑑賞の値打ちがあります。 ブファリーノを演ずるペシは往年の狂犬の如き切れ味は無い静かな面持ちながら、絶対服従を強いる凄味は物凄い存在感。 二人の板挟みに身悶えるシーランを演ずるデニーロは流石の名演だけど、何かが物足りない歯痒さがありました。 ハーヴェイ・カイテルの影の薄さが残念なところ。 無法の限りを尽くしたギャングが心身ともに老い衰えて孤独のうちに廃れ行く姿がうら悲しい。 VFXで若返ったお顔を観ながら、70代レジェンドの面々は100まで現役を続ける事が可能である事に嬉しくなっちゃいました。 [映画館(字幕)] 9点(2019-11-24 22:16:21) |
1390. 雨
《ネタバレ》 雨降の光景に美しさを感じる私にとっては雨が人の心を狂わせるとは思えなかった。 娼婦に対する宣教師の言動は、魂の救済という名の洗脳であり、独善さは「ターミネーターT-1000」のように人の心を絶対に分かり得ない姿で、怒りを通り越して空恐ろしさを味わう事に。そのような彼が欲情を露わにするシーンでのウォルター・ヒューストンの役者魂炸裂の演技に息を呑む。部屋での出来事を一切見せない演出からの結末に唸らせられる。娼婦の策略だとするのは考え過ぎだろうか。余韻の深い作品。 [DVD(字幕)] 8点(2019-11-21 16:20:46) |
1391. 女神は二度微笑む
目を瞠った、猥雑さの中でしぶとくというか力強く生きる人々のエネルギー溢れるコルカタを舞台に松本清張作品ばりの展開に釘付けに。裏の顔を見せる森永卓郎氏に(違うか、失礼)に震え上がる。「もしかして」の通りだった真相結末に爽快感は無く、地下鉄無差別大量殺人犯の背後関係も良く分からず、観終わってからモヤモヤが残る作品。ご鑑賞は予備知識無しをお薦めします。 [DVD(字幕)] 7点(2019-11-16 13:18:52) |
1392. ブロンクス物語/愛につつまれた街
価値観の異なるロレンツォとソニーに愛情を注がれたカロジェロがどのように成長するのかが描かれていないので、通り一遍のホームドラマのようでした。男盛りデニーロの魅力溢れる姿に久々に接し、素敵だと改めて思う次第。「待ちくたびれましたで」「えーっ、一瞬やんか(泣)」のジョー・ペシはそれでも輝いておりました。 [DVD(字幕)] 7点(2019-11-16 12:54:31) |
1393. 怪怪怪怪物!
《ネタバレ》 開始数分で浮浪者を貪り食う描写は、先日の肉牛解体シーンとは異なり只々気色悪い。しかし、集団でイジメを働く腐れ糞ガキどもは、怪物がマトモに見えてくる胸糞悪さ。英語教師の性根も糞ガキと同じ類。立ち位置の良く分からない主人公にもイライラさせられ通し。外道どもがざまあみろ!と思う結末も、時間が経つと、こんな終わり方じゃアカンわな。とモヤモヤが。生理的心理的にムカムカで埋め尽くされた「腐腐腐腐腐腐れ!」がしっくりくる作品。 [DVD(字幕)] 6点(2019-11-08 16:29:57)(良:1票) |
1394. 解散式
《ネタバレ》 深作監督が撮る任侠映画。本作から仁義なきシリーズへと移行する事を思うと、時代の流れに適応出来ない鶴田浩二と丹波哲郎二人きりの解散式が印象深い。和服から洋服に変わったところでやる事は一緒の悪方ども。内田朝雄、小松方正、金子信夫の憎ったらしさは、血圧上がりまくりの名人芸。本作で最も魅力的だった渡邊文雄の最期は唐獅子シリーズとは異なる監督の任侠に対する視線なのだろうか。そこからのど迫力(ここでも血圧上がりまくり)の殴り込みを経て結局誰も彼も皆が死んでしまった物語が侘しい。建設にまつわるこのような話は絵空事ではないように思えるところ。 [DVD(邦画)] 7点(2019-11-07 02:26:34) |
1395. 希望の灯り
《ネタバレ》 「街のあかり」「希望のかなた」を意識したかのような邦題に釣られて鑑賞。東西ドイツ再統一後のライプチヒにある会員制巨大業務スーパー(コストコの様な)閉店後業務で描かれる人間模様での色彩と淡々とした展開はカウリスマキテイストを思わせるもの。しかしながら、心の拠り所となるような希望もあかりも感じられなかった。時代の変化で生甲斐でもある仕事を毟り取られて食べるためだけの仕事をこなし、夜中に誰もいない家路につくブルーノの姿は身につまされてしまう。しかし、マネージャーが毎日退勤時に一人一人に声をかけながら握手を交わすという羨ましい限りの職場(映画の中だけなのだろうか、ドイツ標準の光景なのだろうか)で仲間との結束も固い。だからこそ、彼の選択が残念でならない。原題の「通路にて」がしっくりくる作品。 [DVD(字幕)] 7点(2019-11-06 12:35:57) |
1396. 心と体と
♪♪誰にも真似できない同じ夢を見よう Can you hear the calling?♪♪ が浮かんだ同じ夢を見る二人。その夢のシーンは得も言われぬ静謐さに加えて牡鹿・女鹿の佇まいがエンドレ・マーリアに見えた特筆すべき映像美。 また、吊るされた冷凍肉は何度か目にしたものの、そうなる過程は初鑑賞。衝撃過ぎて食べていたアイスクリームが以後喉を通らなくなる羽目に。ただ、単にグロではなくてシステマティックな工程での凛としたものを感じた映像。 映像美は満点。 初老エンドレと潔癖症&コミュ障マーリアの職場恋愛模様は、個性薄いエンドレが歯痒く物足りません。 マーリアのあれやこれやの健気さを見るにつけ、体を重ねなくても恋愛は育めるのを教えてやるのがエンドレの年の功じゃないのだろうか。 これは酷過ぎると思った際の値千金命の電話に心底ホッとさせられました。 [DVD(字幕)] 8点(2019-11-04 22:33:16) |
1397. ナチス第三の男
ラインハルト・ハイドリヒが第三の男に昇り詰めるまでと、レジスタンスの暗殺過程からナチスの報復模様は別の作品と化しており、暗殺計画に加担した者とは違って1㍉も非の無いユダヤ人殺戮を発案した(「謀議」2001 テレビ映画に詳細が)「金髪の野獣」の心模様をもっと掘り下げて描いて欲しかった。 [DVD(字幕)] 6点(2019-11-04 00:30:20) |
1398. ビリーブ 未来への大逆転
ルースが完全無欠の女性ではない事が意外でした。完全無欠だったのはマーティンで献身的にルースと子供達を支え続けた信じられない程の人格者で、鑑賞史上最高の夫をアーミー・ハマーが好演しています。男性女性の生物学的な区別と差別の違いを問い続けた夫婦の生き様が眩し過ぎました。フェリシティ・ジョーンズの抑揚のない演技が残念。僅かな出番で存在感を示したキャシー・ベイツの健在ぶりが嬉しい所です。 [DVD(字幕)] 7点(2019-11-01 22:42:15) |
1399. メリー・ポピンズ リターンズ
コリン・ファースとディック・ヴァン・ダイクの対峙が私的に唯一の見せ場。前作へのオマージュは感じられたものの、平板な物語と長さに辟易してしまったミュージカルシーン共に沁みるものが無かった。「相変わらず頑張ってはりますね」と思えたメリル・ストリープに苦笑。 [DVD(字幕)] 4点(2019-10-31 16:41:19)(良:1票) |
1400. 追跡者(1971)
《ネタバレ》 大牧場主ブロンソンの中途半端なキャラのせいで一向に話が盛り上がらない。お目当てロバート・ライアン演ずる保安官も思わせぶりなキャラでこれまた話が盛り上がらない。バート・ランカスター演ずる執行官の姿勢を支持していたのが、元カノに欲情したとってつけたかのようなシーンに白け返る。牧童達もイキガルだけでショボイ事この上ない。弱い者に勝って立ち去るラストシーンに何の感慨も無く後味悪さだけが残る。毛色の変わった西部劇。 [DVD(字幕)] 4点(2019-10-29 01:32:57) |