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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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1421.  お引越し
相米慎二監督といえば「跳んだカップル」、「セーラー服と機関銃」などのアイドル映画がすぐに思い浮かんでしまい、あまり見て来なかったが、これはそんなイメージを見事に忘れさせてくれた秀作だった。中井貴一と桜田淳子の演技はもちろんうまいが、子役の田畑智子がすごく良かった。子役は大成しないとよく言われるが、今の彼女の活躍ぶりを見るとこの言葉は当てはまらなかったみたいだ。同級生役の茂山逸平もいい味を出していた。エンドロールのバックの映像も印象的だ。見て良かったと久しぶりに思える映画だった。 そして、相米監督にすこし興味を持てた。
[ビデオ(邦画)] 9点(2005-03-27 15:12:34)(良:2票)
1422.  イノセンス
映像は美しい。ただ、背景がリアルすぎてアニメのキャラクターと馴染んでいない箇所があるのに少し違和感を感じた。それに押井の映画にしては普通な印象である。もちろんいつもの押井節は健在だが、前作のほうが面白かったような気がする。でも本作もつまらなくはなかったので6点。
[ビデオ(邦画)] 6点(2005-03-27 01:50:48)
1423.  GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 《ネタバレ》 
原作知らないし、押井だからストーリーもわけ分からんだろうと思いながら見たら、やはりストーリーがやや複雑ではあったが、けっこう面白かった。ニセの記憶を刷り込まされた清掃員が哀れ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2005-03-26 22:15:14)
1424.  新選組(1969) 《ネタバレ》 
三船敏郎の近藤勇は風格が漂い、存在感も良い。三国連太郎が芹沢鴨をいかにも胡散臭く演じており、大河ドラマで同じ役を演じた佐藤浩市と見比べるのも面白いだろう。内容は芹沢暗殺から新撰組の結成、近藤が打ち首になるまでの新撰組の歴史が2時間の間にギッシリと詰め込まれ、駆け足ぎみではあるが、最後まで面白く見られる。沖田総司(北大路欣也)が病死するのではなく、カッコよく戦死したのは驚いたけど。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2005-03-26 15:50:55)(良:1票)
1425.  独立愚連隊 《ネタバレ》 
岡本喜八監督が初めて手掛けた戦争映画。かなり久しぶりに見たが、やはり明るい娯楽アクションコメディー映画としてじゅうぶんに面白いし、登場人物たちがどれも個性的で愛着を持って描かれているのも喜八監督らしいところ。昔に見た時は本筋であるミステリー的な部分にやや退屈感を覚えていたが、久しぶりに見たら目的も正体も分からない主人公・荒木(佐藤允)の謎という前半部分から引き込まれ、前に見た時よりも面白く見られた。冒頭の荒木が馬に乗って颯爽と荒野を駆けまわるオープニングから西部劇的なアクションが連続するのも喜八監督らしく、純粋に見ていて楽しいし、三船や鶴田浩二の使い方も贅沢な感じがして良い。(とくに喜八監督のための友情出演という感じがする三船は前に見た時も思ったが、ほかでは絶対にやらないような役、見せないような演技を見せていてかなりインパクトがあり、こういう三船を見られるのはけっこう貴重だと思う。)喜劇タッチで明るく進行していく映画だが、ラストで愚連隊が全滅してしまうというところは悲壮感を感じさせていて、ここに「肉弾」など後年の喜八作品に通ずる戦争で散っていった名もなき者たちに対する喜八監督の思いというものを感じることができるし、喜八監督のその思いは終生変わらないものなのだとも感じられる。とはいえ、やはり全体的には娯楽作品としての面白さが勝っており、戦後15年ほどの日本映画でよくここまで戦争を娯楽として描く映画が作られていたことは今見ても驚くし、逆に今の日本映画では絶対に作れない映画だろうと思う。同じ年に小林正樹監督の「人間の条件」が始まっているが、この2本が同時期に作られていたという事実もすごい。(当初、佐藤允の演じた主人公は仲代達矢も考えられていたというが、佐藤允で正解だったように思う。)事件の真相などちょっと弱いと感じる部分などはあるものの、やはり喜八監督の原点となる映画として外せない一本であることは間違いないだろう。(2024年9月1日更新)
[DVD(邦画)] 8点(2005-03-25 18:14:59)
1426.  ゴジラVSデストロイア 《ネタバレ》 
当時、CMでデストロイアを見た友達が「プレデターが巨大化したような姿だ。」と言っていた。劇場で本編を見てみると、繁殖したプレデターいやデストロイアが石野陽子を襲うという「エイリアン2」のようなシーンがあって失笑。1作目の映像が映画館で見れたのは今となっては貴重な体験だが、怪獣の造形も作品の出来自体も悪い映画だった。
[映画館(邦画)] 3点(2005-03-25 16:29:45)
1427.  ゴジラ2000 ミレニアム
なぜか初日に映画館で見た。ゴジラ復活にそれほど期待していたのだろう。結果はつまらなかったとしか言いようの無い駄作であった。これ以降、ゴジラ映画を劇場で見なくなった。
[映画館(邦画)] 3点(2005-03-25 16:05:18)
1428.  ゴジラVSメカゴジラ
昔のシリーズを知ってたら、高島忠夫の特別出演は嬉しいものがある。しかし、ストーリーがいかにも子供だましという感じ。当時小学生で、割と楽しんだ思い出があるので5点。
[映画館(邦画)] 5点(2005-03-25 15:49:21)
1429.  ゴジラVSモスラ
当時はまだ小学生でゴジラが大好きだったし、ビオランテ以来の新怪獣登場にも燃えたものだが、さすがに今見ると普通。小美人はやっぱりハモッて欲しかった。
[映画館(邦画)] 5点(2005-03-25 11:33:58)
1430.  ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
ガメラの金子修介が満を持して念願だったゴジラを監督ということで期待して見た。ゴジラが初代に近い感じでとても良かった。だけどやっぱり初代を超えてはいないと思うし、金子作品としてもガメラのほうが面白いと思う。でも、天本英世をまた特撮映画で見られたことに感動。これだけでもこの映画に10点つける価値はじゅうぶんにある。
[ビデオ(邦画)] 10点(2005-03-25 11:07:34)(良:1票)
1431.  北の国から '84夏<TVM>
「北の国から」スペシャル版で一番好きな作品。ビデオも再放送で録画したものを持っている。そんなに何回も見るわけではないのだが、純と正吉の友情に感動したし、ラーメン屋での五郎と純の親子の会話も良かった。閉店時間だからとラーメンを下げようとする女店員(伊佐山ひろ子)に対して五郎が怒鳴るシーンに親の愛情を感じた。シリーズでも名作中の名作だろう。
[ビデオ(邦画)] 10点(2005-03-25 10:31:16)(良:2票)
1432.  幸福の黄色いハンカチ 《ネタバレ》 
映画見て感動して泣いた初めての経験がコレだった。見て良かったと思えた日本映画も初めて。武田鉄矢と桃井かおりのコンビも最高だった。これを見て以降、どちらかと言えば苦手だった日本映画も見るようになった。まさに日本映画史上に残る名作。2014年11月24日追記 高倉健が亡くなって2週間。思えば、初めて日本の俳優の良さというものを感じたのはこの映画の健さんだった気がする。また、今になって考えると刑務所から出所して自分を待っているかも分からない妻の元へ帰る男という役柄はまさに健さんにピッタリな配役で、この役を高倉健が演じるからこそ、この映画は後世に残る名作となったのだと思う。冒頭で健さんが食堂で醤油ラーメンとカツ丼を頼むシーンが印象的なのだけど、先日、醤油ラーメンとカツ丼を昼食と夕食に食べ、あらためてこの映画の健さんに想いをはせた。83歳という高齢での死ではあるけれど、なんとなくまだ死なない気がしていたので非常に残念で惜しい。謹んでご冥福をお祈りします。
[地上波(邦画)] 10点(2005-03-23 14:37:06)(良:1票)
1433.  八甲田山 《ネタバレ》 
かなり久しぶりの再見。昔見てすごく面白かった映画だが、さすがに今見ると冗長に感じるかもと思いながら見始めたのだが、やはり雪中行軍が始まったあたりから見入ってしまい、真冬の雪山の怖さというものがすごくリアリティーを持って描かれているし、それに対する人間の無知や無力さも(とくに三國連太郎演じる山田少佐を通して)よく描かれていて見ごたえのじゅうぶんある映画になっていると思う。山田少佐に指揮権を奪われた神田(北大路欣也)隊が遭難して白い地獄を右往左往するのに対して、入念な計画のもとに実行した徳島(高倉健)隊が特に何事もなく進むのが対比的に描かれていて面白く、それぞれのリーダーの在り方一つで命運を分けるということもちゃんと描かれていて、リーダーとは何かを考えさせられる映画にもなっていて、それが以前に見た時には気づかなかった本作の面白さの一つだろう。公開当時はサラリーマンに人気があったと聞くが、山田少佐に振り回される神田大尉が見ていてだんだんと哀れに思えてきてそのあたりも納得。徳島大尉と神田大尉の友情・交流を序盤で描いているので、二つの部隊が八甲田山ですれ違うのを神田大尉が楽しみにしているという部分にドラマが生まれ、だからこそ、神田大尉の遺体を前にした徳島大尉の前に神田大尉の幻が現れ、語り掛けるシーンと、棺に入った神田大尉に徳島大尉が会う終盤のシーンはグッとくるものがあり、泣けてしまう。またこのシーンでは一緒にいる神田大尉の妻(栗原小巻)が徳島大尉にかける言葉も良かった。「日本沈没」でもコンビを組んでいる森谷司郎監督と脚本の橋本忍はともに黒澤明監督に携わっていた人だが、本作の男臭さやリアリティある描写はやはりその影響も感じられるものになっている気がする。木村大作(この人も黒澤明監督の映画で撮影助手をしていた。)が初めて撮影を担当した高倉健の映画でもあるが、雪山での撮影も見事で、木村大作=雪というイメージで語られることが多いけど、そのイメージは本作で決定づけられたのではないかと思わずにはいられない。芥川也寸志の音楽もやっぱりいいなあ。(2024年8月18日更新)
[DVD(邦画)] 7点(2005-03-22 17:30:37)(良:1票)
1434.  ダイナマイトどんどん
期待しないで見たが、とてもテンポが良くて面白かった。ただこの内容で143分はちょっと長すぎるかも。途中でほんの少しダレてしまった。「仁義なき戦い」のプロデューサーに菅原文太主演で監督が喜八というのもちょっと違うような気もするが、楽しめたからいいか。
[ビデオ(邦画)] 7点(2005-03-21 16:12:51)
1435.  戦場のメリークリスマス 《ネタバレ》 
20年前に初めて見た時はついていきづらい映画だなと思っていたが、久しぶりに見てみると、やはり言いたいことはよく分からないものの、意外にも昔よりは退屈せずに見られたし、ジャック(デビッド・ボウイ)とヨノイ(坂本龍一)、ハラ(ビートたけし)とローレンス(トム・コンティ)という二組の関係が描かれているが、同性愛描写も思ったほど気にならなかった。久しぶりに見て印象に残ったのはジャックがヨノイにキスをするシーン、以前に見たときはとくに何も思わなかった覚えがあるのだが、このシーンが非常に美しく、このシーンだけで映画の格調はかなり高まっていると思う。それよりもドラマとしてはハラとローレンスの関係のほうが印象に残り、中でもやはり酒に酔ったハラがジャックとローレンスを無断で開放し、サンタクロースの話をして、それがラストカットのハラの「メリークリスマス、ミスターローレンス」というセリフにつながっていくのは単純といえば単純かもしれないが、素直に巧いと思った。それにやっぱり、このラストカットのハラの笑顔がなんとも切なくて良く、そこからの坂本龍一のテーマ曲の入りが最高。(この一連のくだりだけだともっと高評価なんだろうな。それにタイトルも邦題より英題のほうが好きだ。)たけし監督作の「BROTHER」でもそうだったんだけど、切腹シーンはなにか海外のマーケットを意識しすぎているように感じてやっぱり気になってしまったのがちょっと残念だった。それにしてもたけし、今テレビに出てるのを見慣れてると、このころはかなり若いなと思わずにはいれない。(2020年1月19日更新)
[DVD(邦画)] 6点(2005-03-20 12:41:37)
1436.  御法度 《ネタバレ》 
大島渚監督が「戦場のメリークリスマス」で起用したたけしと坂本龍一を再び起用して手掛けた時代劇で、テーマも新撰組内の男色という似通ったものになっている。戦メリを再見したのでこちらもついでにと15、6年ぶりに再見したが、話は戦メリよりわかりやすいものの、戦メリが直接的な同性愛描写自体は思ったより少なかったのに対し、こちらはストレートな同性愛映画になっていて、以前に見たことのある映画にも関わらず思わず面食らってしまった。でも、これがデビュー作となった主演の松田龍平の妖艶な雰囲気が見事に映画にマッチしていて、彼の存在が映画を支えていて、本作での彼が演じる加納の存在は映画の中だけではなく、映画のクオリティ的にも重要なものとなっていて、今の癖のある松田龍平の演技も良い(出演作を見ながら松田優作の息子であることを忘れてる時がある。)のだが、やはりこの加納役はこの時期のまっさらな初々しい松田龍平でなければとあらためて思う。演出的には状況説明を無声映画風字幕で行うというのが面白かったのだが、二か所だけそうではなくナレーター(佐藤慶)により説明されるというのはなにかチグハグな感じもして、どちらか一方に統一したほうが良かったと思う。以前に見たときにたけし演じる土方が桜の木を一刀両断するラストカットがすごく印象に残っていたが、やはり今見てもここは好きだ。戦メリと違って役者としては参加していない坂本龍一の音楽も好きだな。全体的な出来としては戦メリのほうが良かったけど、本作も決して嫌いではない。(2020年1月25日更新)
[DVD(邦画)] 6点(2005-03-20 02:39:05)
1437.  ルパン三世(1978) 《ネタバレ》 
「ルパン三世」劇場版第1作。もうテレビ放送では何度か見ている映画だが、初めてDVDでノーカット版を見た。この時期に放送されていた第2シリーズを再放送で見ているのだが、それと比べるとキャラクターデザインが違っていたり、コメディ要素の多いテレビシリーズに対してそういう部分を損なうことなくハードボイルドでシリアスな作風に仕上げてあるなど第2シリーズと差別化を図っていることがよく分かる。とくに破壊されたアジトでのルパン、次元、五右衛門の三人のやりとりや、不二子をマモーにさらわれたあと単身でマモーのところに向かおうとするルパンを次元が止めようとするシーンは明らかに大人の観客を意識したつくりになっていて印象的だし、ルパンたちのセリフもカッコよく、ルパンの映画の中ではいちばん大人向けな感じがする。マモーの恐ろしさもテレビ放送版よりも感じられ、ルパンたち三人が砂漠をさまようシーンや、試験管ベビーのシーン、マモーがルパンに幻覚を見せるシーンといったテレビ放送版でカットされたシーンでよく見ることができる。クローン技術を使って生き続けるマモーの不気味なインパクトはもう何回も見ているにも関わらずすごいし、ラストの巨大な脳が宇宙空間で爆発するシーンが無音というのもリアリティがある。「ルパン三世」としての面白さだけでなくSF映画としての面白さもあり、その二つがうまくバランスがとれている傑作だとあらためて感じた。「カリオストロの城」も好きなのだが、「ルパン三世」という枠内で考えると個人的には本作のほうが好きかもしれない。(2015年1月25日更新)
[DVD(邦画)] 8点(2005-03-18 23:31:27)(良:1票)
1438.  ゴジラ対ヘドラ
主題歌が一度聴いたら絶対に忘れられないほどインパクトがあり、内容もゴジラ映画にしては過激で面白かった。でもあの子役(確か「どですかでん」で乞食の少年をやってた子だよね。)の演技が鼻について困ったので点数は半分にしておく。
[ビデオ(邦画)] 5点(2005-03-17 18:29:06)
1439.  忠臣蔵外伝 四谷怪談 《ネタバレ》 
深作欣二監督が晩年に手がけた忠臣蔵と四谷怪談のコラボ映画。昔、忠臣蔵好きな父親とテレビで見た初めての深作監督の映画だったのだが、25年ぶりくらいに再見。歌舞伎公演で昼夜に分けて忠臣蔵と四谷怪談を上演していたというところから発想したというが、この二つを混ぜるとごちゃごちゃしてどっちつかずになりそうなところをそうはなっておらずに両方しっかりと辻褄が合うように描かれていて、分かりにくいということはなく、主人公である民谷伊右衛門(佐藤浩市)を赤穂浪士に設定することで、討ち入りに参加できなかった浪士の物語としても面白く見られるつくりになっているのが良いし、深作監督の忠臣蔵といえば「赤穂城断絶」があるのだが、忠臣蔵映画として真っ当な作品になっていたそれを見た後になって見てみるといかにも深作監督らしい映画になっていてリベンジを果たすが如く好き放題にやっている感じなのがまた良い。手首が斬り落とされたり、首が飛んだりするバイオレンス描写や、大量の血が噴射されるシーンも深作監督らしいところだと思うのだが、ここまでやっている本作が東映でなく、松竹の映画だということにも今になって見ると驚かされるし、特にお岩(高岡早紀)が娼婦という設定で、乳首をさらけ出すシーンもあるのは深作監督ということもあり、つい東映っぽさを感じてしまう部分ではある。お梅(荻野目慶子)をはじめとした白塗りの三人がいかにもホラー映画のような佇まいなのは見ていてなんか笑ってしまうのだが、かなりのインパクトがあり、とても強烈。でも、演出としては分かりやすすぎて狙い過ぎの感があったのはちょっと残念。「赤穂城断絶」で浪士のひとりである橋本を演じていたのが印象に残っている近藤正臣が本作にも伊右衛門の父親役で出演しているのは嬉しいが、考えてみれば本作の伊右衛門は「赤穂城断絶」での橋本のようなポジションなのが気が利いていてニクイ。討ち入りに幽霊となったお岩が参加して特殊能力で吉良家の家臣たちを圧倒するのは特撮映画のようだが、それもやはり本作だからできることだ。その直後のラストの討ち入りを終えた四十七士に幽霊となった伊右衛門が奏でる琵琶の音だけが聞こえているというのがしんみりしていて、討ち入りシーンとのギャップは激しいが、ここがけっこう良かった。評価の分かれる映画かもしれないが、やはり個人的には好きとまではいかなくても、決して嫌いではない映画だ。(2024年9月15日更新)
[DVD(邦画)] 7点(2005-03-17 16:19:17)
1440.  異人たちとの夏 《ネタバレ》 
大林宣彦監督のファンタジー映画と言えば尾道三部作など若者を主役にした作品を思い浮かべがちだが、本作では40歳の脚本家を主人公に彼が体験するひと夏の不思議な出来事を描いていて、尾道三部作などとは一味違った雰囲気ではあるが、同時にそれとは違った魅力もあり、いかにも大林監督らしいメルヘンチックな大人のファンタジーになっていて、20年ぶりに見たが、やはり良い映画だと思った。主人公の原田(風間杜夫)が出会う死んだはずの両親(秋吉久美子、片岡鶴太郎)が幽霊であることを最初から明示しているのはやがて別れが来るということも示していてその時点で切なさがあるし、初めて見たころはあまり感じなかったが、今見ると現在主人公と同じ40歳である自分があと両親と過ごせるのはどれくらいだろうとか、亡くなったあとにこの映画を見たらどう感じるだろうかということをつい考えてしまう。原田が両親と会っているシーンはどこかノスタルジックな雰囲気で描かれているのも良く、父親と野球をするシーンや、母親の作ったアイスのくだりなど、そういう両親とのやりとりが見ていて微笑ましく、思わず顔がほころんでくる。しかし、それだけにやはりすき焼き屋での別れのシーンは分かっていても泣けてくる。消えゆく両親が息子にかける言葉にも泣かされるが、両親が消えてしまった後の「ちっとも食べなかったじゃないか」という息子の呟きがなんとも切ない。両親役の秋吉久美子と片岡鶴太郎の演技が素晴らしく、本作はまさにこの二人あっての映画だろう。平行して描かれる原田と桂(名取裕子)のエピソード。とくにクライマックスの桂が正体を現すシーンはさっきまでの雰囲気とガラリと変わってしまうこともあり、初めて見た時は違和感が激しかったのだが、今見るとそうでもなく、桂は両親とは対照的に呪縛霊のような描かれ方をしているが、頻繁に両親に会いに行く原田を見守るような存在として描かれていたのではと考えると、このクライマックスの桂の見せ方のハデさもあまり気にならなくなり、(やり過ぎ感はやっぱり感じてしまうけど。)意図としては見せ方の違いはあれど両親と同じような感じを狙っているのではと感じるようになった。そう考えると賛否両論ありそうなこのクライマックスも悪くなかったかもしれない。ちなみに原田と桂が話しながらテレビで見ている映画は木下恵介監督の「カルメン故郷に帰る」。本作の脚色は市川森一だが、原作は木下組出身の山田太一なので、(未読なので原作に「カルメン故郷に帰る」が出てくるかは分からないのだが。)思わずオマージュだと感じてしまった。(2022年7月18日更新)
[DVD(邦画)] 8点(2005-03-16 22:41:40)
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