1481. ニール・ヤング/ハート・オブ・ゴールド ~孤独の旅路~
《ネタバレ》 ジョナサン・デミは、「ストップ・メイキング・センス」でも、映すのはひたすらステージ上、観客席は一切映さない、という手法でやってたけど、今回もそれは共通です。もっとも、ステージ上そのものにいろいろ演出があったヘッズと異なり、こちらは割と淡々と、しかも場所にちなんでかカントリー系の曲中心に進行するので、地味な印象は拭えないですね。ただそんな中でも、カメラはぶれずにきちんと一つ一つの対象を捉えていますし、ニールのヴォーカルの説得力は健在です。●しかししかし、そんなことよりも、私にとって最大の衝撃は、女性バックヴォーカルの1人のダイアナ・デウィットって、90年代に2枚のアルバムを残したAORポップ・デュオ、Venus & Marsのヴォーカルのあの人じゃないですか!!!!!まさかこんなところで動く彼女にお目にかかれるとは!!導入部のクレジットでそれに気づいて以降、実はステージでもずっと彼女ばかり目で追いかけていました。すみません;; [DVD(字幕)] 7点(2017-02-04 10:44:28) |
1482. ミッドナイト・イン・パリ
《ネタバレ》 ウディ・アレンの作品って、登場人物がことごとく騒々しく喋りすぎなのに毎回辟易していたのですが、今回は、主人公の文化芸術オタクぶりが脚本世界にほどよくはまっていて、意外に不快ではありませんでした(台詞の分量自体、以前に比べると抑えられていますね)。内容的になるほどと思ったのは、1つは、タイムスリップものの定番ともいうべき「未来から来た?何それ?頭おかしい?」的なリアクションの部分が一切ないこと。それどころか、展開上それを伝えた何人かの人も、「ふーん、なるほど」という程度で済ませている。つまり、向こう側の人も、実は文化芸術のことしか頭になくって、相手が未来の人間かどうかなどということは、まったく関心外なのだ。もう1つは、途中から主人公は分かりやすく婚約者をどうでもいい存在にしていること。本質が見えてきたら、あとはシンプルに行動で示す。この潔さが、作品に品位を確保している。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-01-31 01:46:30)(良:1票) |
1483. へザース べロニカの熱い日
やりたいことが何なのかもはっきりせずグズグズのままで終わっているのだが、かといってカルト作として語り継がれるには、発想の斬新さやここぞというところでの突き抜け感がなく、変にこぢんまりとまとまってしっているという、何とも中途半端な作品。 [DVD(字幕)] 3点(2017-01-30 01:22:14) |
1484. くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ
《ネタバレ》 フランスのアニメってあまり見る機会がないのですが、素直に良い内容でした。絵のタッチが、フワフワした幻想的な水彩画のような感じで、それが当たり前に動くのが実に新鮮なのです。こんなアニメは初めて見ました。特に、セレスティーヌの顔つきがわざとらしく作り込んでおらず、ちょっとした仕草や表情の動きできちんと表現がされているのが、逆に可愛さを煽っています。内容は、熊のおじさんとネズミの少女の友情譚、という一点なのですが、クライマックスでは、あの「M」を彷彿とさせるような(!)人民裁判のシーンが、しかもクロスカッティングで盛り上げながら展開されるなど、単なる素朴な童話ではありません。そういえば、終わり近くのセレスティーヌの台詞に、「最初は私を食べようとしたでしょ」というどきっとする一言もあったりして、まあ熊とネズミなんだから文字通りの意味でも誤りではないんだけど(実際、ネズミは熊の捕食対象という設定)、実は最初のあのシーンは、1つの隠喩だったのか?なんてことも考えたりして。なかなか奥の深い作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2017-01-29 22:30:21) |
1485. ブレックファスト・クラブ
《ネタバレ》 何と、最初から最後まで図書館の中で5人組がああだこうだとうじうじ話しているだけという、意表を突く作品。しかし、撮り方も演技もあっけらかんとしているというか、ドライでからっとしているので、彼らにそもそも悩みがあるようには少しも見えない。まあ、作為的な破綻や衝突をわざとらしく入れるよりはマシですが・・・。ただしこの作品には重要な意義があって、それは、シンプル・マインズの"Don't You (Forget About Me)"をテーマソングとして世に送り出したことである。この1曲で、それまでマニア向けだったマインズを一気にメインストリームに押し上げたほどの、80'sロックシーンの重要な一幕だったのだ。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2017-01-26 00:32:58) |
1486. ばしゃ馬さんとビッグマウス
脚本は単に雰囲気でつないでいるだけだし、主演の2人は演技というものをまったくしていません。輪をかけて照明やカメラにも何の工夫もないとなれば、一体どこを見ろというのでしょう。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2017-01-24 03:50:55) |
1487. 男の出発
《ネタバレ》 当然、主人公は途中でいろいろ体験して成長していくのかと思っていたら、何と最後までほとんどそのまんま。この逆走ぶりはある意味凄い・・・んだけど、途中ではそれなりに一般のウエスタンっぽくしているので、結局主題が見えなくなっている。せっかくならもっと徹底的に挫折したり屈折したりの連続にしたらよかったのに。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-01-20 00:02:32) |
1488. ミッシング ID
《ネタバレ》 過去とか血筋とかが背景にあるわけだから、もっとそれを生かしてほしいわけですよ。でも、それが窺えたのは、列車内の格闘シーンでちらっと出てきたくらいでしたね。大体、ノックは2回とかわざわざ台詞で言わせておいて全然使われていない時点で、脚本家が脚本の書き方を知らないことがばれてしまいます。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-01-19 00:54:52) |
1489. 実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン
《ネタバレ》 ウルトラマンの「有名怪獣」としてはレッドキングとかゴモラとかバルタン星人とかいろいろあるんだけど、「心に残る名作回」という観点から考えた場合は、真っ先に挙がってくるのが、この実相寺監督の作品群なのである。したがって、それを一本にまとめたのだったら、当然に優れた作品になるに決まっているのである。闘いのバックに「帰れー!」という子供たちの罵声を延々かぶせる演出が強烈なガヴァドン、見果てぬ夢の前に斃れた地底人への哀惜の念すら感じさせるテレスドン、説明不要の名作にして問題作のジャミラ、何かに取り憑かれたようなシュールな演出が切れまくるスカイドン、怪獣の心象表現アクションを極めたシーボーズ・・・どれも今見ても、まったく輝きは失せていない。 [映画館(邦画)] 7点(2017-01-15 23:51:06) |
1490. マルガリータで乾杯を!
《ネタバレ》 脳性麻痺で肢体不自由を有する女の子が主人公なんですが、一貫しているのは、この主人公がいつでもどこでも、ぶれずに、まっすぐ、前向きであること。もちろん、その方向性は良いことばかりではなく、むしろ褒められたものではない行動も多数あるのですが、だからこそ普遍的に意志の力を伝える内容になっています。ただ、性的描写がやたら多いのは多分意図的なんだろうけど、かえって作為的なものを感じなくはない。むしろ、ipadを購入するときに堂々と値切っているとか、実はその裏で形見のアクセサリーを売却しているとか、そっちの方が面白くて、その辺の日常生活のディテールをもっと見たかったところでした。 [映画館(字幕)] 6点(2017-01-15 18:11:48) |
1491. 仁義なき戦い 完結篇
《ネタバレ》 前4作の余韻というかカーテンコールみたいな一作なんだけど、それでもこれだけの内容を詰め込んでしまえるところが凄い。広能は終盤までほとんど登場しない、武田も中盤はいなくなる、それでも次々に脇役がうじゃうじゃと登場して、しかもしっかり緊張感をつないでいる。これくらいのことをしないとテンションの収まりがつかなかった、それが前4作。 [DVD(邦画)] 6点(2017-01-12 11:47:25) |
1492. プロジェクト・イーグル
80年代の作品以上に、頭使いまくりアイディア出しまくりの大サービス精神は存分に伝わってくるのですが、話の軸というものが存在しないので、結局は名シーンつなぎ合わせ特集のように見えてしまうのです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-01-12 11:22:41) |
1493. キラー・スナイパー
《ネタバレ》 顔一面をアザだらけにしたまま、何と最後までそれで通すエミール・ハーシュ(普通は途中で適当に消しますよね)。それに輪をかけて乗っかってくるジーナ・ガーション。そんな風にビジュアル面でのタガを外す気合はあるのですが、肝心の中身自体が、保険金の受取をめぐるくだりと、マコノヒーのガーションへの追及くらいしか見所がなくて・・・(あ、ジュノー・テンプルの生着替えストリップは別カウント)。そうすると、演出の突っ走りが分かりやすく見えてしまい、かえって醒めるのです。あれだけ血糊まみれアザまみれにしなくても、それと同じくらいのインパクトと戦慄を黙って感じさせる、というところを、映画にはむしろ期待するのですが。 [DVD(字幕)] 3点(2017-01-06 00:31:49) |
1494. うちへ帰ろう
《ネタバレ》 これはもう、脚本が実に素晴らしくて。離婚した夫婦と、それぞれに引き取られた3姉妹・弟、さらにその婚約者とその一家、という、どこにでもありそうながら、いくらでも相互に絡ませていけそうな設定。しかし、物語は安易な誤解や衝突や事件発生に流れることなく、地道に足元を一歩一歩進み、当事者の心理の変化を手探りで歩んでいく。結婚式よりもむしろそのリハーサルにメインをもってきて、そこで第三者から全員に対し(まさに神の視点!)ずばりと語られるメインテーマも出色(だからこそ、最後はその「誓いの言葉」のシーンで締めてほしかったとは思った)。そうそう、娘との面会をめぐるくだりなんかも、「現在の」日本でも(いやむしろ以前よりもはるかに)、その問題は鋭く突きつけられています。社会において離婚という状態が珍しくなくなり、それに伴って「親が離婚し、その後成長した子」も珍しくなくなった今こそ、誰もが現実感をもって見ることのできる作品ですよ、これは。 [DVD(字幕)] 7点(2017-01-05 02:37:20)(良:1票) |
1495. ソルト
《ネタバレ》 発想としては、脚本のつじつまなんかは二の次で、とにかくアンジーの格好良い活躍を撮ろう(トゥームレイダーほどお馬鹿にならない程度に)、というものだったんでしょうから、その意味では成功しています。アンジーは、走っているところとか格闘場面とか車両飛び移りとかよりも、じっと周りを窺ったり、必死で急造武器を組み立てたりしているときの方が数段格好良いのですが、制作側はそこまで見ていないんでしょうね。あと、ロシア大統領のありえない無防備ぶりには、さすがにずっこけました・・・。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-01-01 14:46:48) |
1496. イーグル・アイ
《ネタバレ》 後から考えれば突っ込みどころは満載なのですが、敵の正体には素直に驚きましたし、SDカードの手がかりからのくだりもなかなかでしたし、見ているときは一直線に楽しみました。ただ、ラストが物理的破壊というのは作品のオチとして不十分ですし、ロック解除のために主人公が狙われたんだったら、何とかしてもう一度ロックするとか、何かこう、この敵ならではのやっつけ方というのが欲しいところでした(それを考えると、そのもう一次元上を行くオチを、制作者としてのメッセージを込めてまで提供した「ウォー・ゲーム」は凄い)。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-01-01 14:29:14)(良:1票) |
1497. 赤い靴(1948)
《ネタバレ》 前半は何とも退屈で、まあそんなもんかと思いながら見ていたのですが、延々と続くバレエシーンで「え?もしかして凄いことしてる?」となり、そこから後は前半とは別のようにドラマが動いていました。とはいえ、結局はバレエそのものの力と、主演の彼女の長身の美しさ(下半身の安定したしなやかさも素晴らしい)に多くを負っている気は、しなくもないですが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-12-30 20:22:07) |
1498. 赤穂浪士
《ネタバレ》 最初の方は、浅野家とも吉良ともあまり関係ない一般庶民の生活が延々と描かれて、まあそういう趣旨の作品なんだろうと思って見ていたのですが、松の廊下が出てきたときには「え?やっと?」と呟いてしまいました。あの流れだったら、むしろあの刃傷沙汰すら、逆に庶民や家臣の伝聞台詞と受けのアクションだけで通過しそうな勢いを感じましたので(忠臣蔵を見に行ってあのシーンがなかったら、暴動が起きるかもしれませんが・・・)。その他の趣向としては、内蔵助と千坂兵部の二項対立図式みたいなのをしたかったっぽいのですが、あまり機能してないかなあ。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-12-23 13:29:29) |
1499. ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅
《ネタバレ》 この監督って、「サイドウェイ」でも「ファミリー・ツリー」でも、頭で考えただけのような観念的で作為的な描写しかしてなかったのですが、やはりこの作品でもそれは変わりませんでした。●頑固親父が一歩も譲らないので渋々連れ出す、しかも道中でも全然言うことを聞かない、というのはこの種ロードムービーの定番でもありますが、それならば親父はそれを超えるほどの何らかの渋さや格好良さを見せてくれないといけません。それに、途中から金の亡者やら何やらが絡みついてくるという展開が1つのポイントになっていますが、元はといえば自分が軽々しく周りに話して回ってるからでしょ。なので、限りなくどっちもどっちにしか見えません。妻が期せずして得意の猛広舌でそれを撃退するシーンは、予想しない心理の発展があって一瞬面白かったのですが、そういうシーンはそこだけでしたね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-12-22 02:07:30) |
1500. ラジニカーント★チャンドラムキ/踊る!アメリカ帰りのゴーストバスター
《ネタバレ》 今回のラジニ様の敵は、屋敷に取り憑いた悪霊ということで、つまりはゴーストハウスもの。そんな!ラジニ様が生身の人間以外を相手にするなんて!果たしてまともに戦えるのか?というか、変に余計なテクニカルな描写が加わって、もしかして観衆の心理的恐怖を煽るようなシーンが出てきたりするのか?と一瞬心配になりますが、まあもちろんそんなことはありません。いつものラジニ様を見るノリでそのまま楽しめます。まあ、ラストではいきなりラジニ様による延々伏線解き明かしシーン(!)なんかもあったりしますが、その懇切丁寧な(暑苦しいともいう)解説ぶりは、やはりラジニ様なのであった。ヒロインが中盤以降明らかにほったらかしなのがちょっと残念なのだが、その適当ぶりもボリウッド。 [DVD(字幕)] 6点(2016-12-21 01:11:33) |