1501. シーラ号の謎
かなり限られた登場人物の中での謎解きミステリーでしたが、まさかまさかの真相と犯人でした。映画の中で繰り広げられるゲームをリードしていくジェームズ・コバーンが中心になって話が進み、この先彼は何を仕掛けていくんだろう?と思っていたので途中の展開にはビックリ。でも、このあたりから面白くなってきて、ラストの真相解明のタネ明かしもなかなかお見事でした。 [DVD(字幕)] 6点(2010-11-19 23:08:06) |
1502. 恋はデジャ・ブ
神様がフィルにちょっとしたお灸をすえたのかな。結局は何が起こっていたのかな?それが最後まで分からないまま終わったのは残念でしたが、とても気分よく楽しめる映画でした。自分も毎日毎日大した変化の無い日常を生きている。でも、寝て目が覚めれば普通に次の日がやって来て、ひょっとしたら昨日よりいいコトがあるかもしれない。そんな風に考えられる、そんな当たり前のことに感謝しようか・・・。こんなことを考えさせてくれるいいお話でした。そして、やっぱりビル・マーレイはいいなあ。本作も飄々とした彼の持ち味がとてもよく出ていました。 [DVD(吹替)] 6点(2010-11-19 23:05:14) |
1503. 冒険者たち(1967)
《ネタバレ》 3人が夢を追いかけている前半が好きです。後半の船上のワンシーンもそうですが、3人が笑い合い、はしゃいでいる。その場面では必ずあの音楽が流れている。演じる3人と音楽の素晴らしさもあって、淡々と見せるそんな3人の日常が凄く良かった。それだけにその後、3人の内2人が銃弾に倒れるという非日常的展開になるよりは、前半のトーンで最後まで男二人と女一人の友情と夢を追いかける姿をずっと観ていたかった。でも、ラストシーンまで変わらぬ二人の男の友情に涙。 [DVD(字幕)] 7点(2010-11-15 22:02:22)(良:1票) |
1504. 引き裂かれたカーテン
《ネタバレ》 前半はスロースタートではありますが、東西冷戦下のベルリン、カーテンの向こうの体制側と反体制側それぞれの人間模様とその緊張感はよく伝わってきます。大学からの脱出以降はドキドキ感はさほどでは無いものの、大学、路線バス、郵便局、旅行代理店、劇場、船からの脱出と次々と二人を手引きする人間を変えながらテンポ良く見せる後半の脱出劇はなかなか楽しめます。ただし、「火事だ~!」の一言で劇場の全員があれ程のパニックに陥るかは疑問ですが。 [DVD(字幕)] 5点(2010-11-14 18:28:04) |
1505. 月曜日に乾杯!
なかなか観る機会が無いのでイオセリアーニ監督の作品はまだ2本しか見ていませんが、やはり独特の作風の監督さんです。台詞を極力排し、主人公さえもその作品の風景の一部であるかのようです。登場人物の台詞や喜怒哀楽ではなく、登場人物のいる風景全体が語る映画。音楽もほとんど使われていません。その代わりに登場人物が奏でる楽器や歌声が実に効果的で、延々と続く台詞の無い風景に小さく聞こえる鳥のさえずりに家畜の鳴き声や、映画の中の生活音や町の音がとても身近に感じられダイレクトに伝わってきます。映画のスピードも田舎町の風景も旅先のヴェニスの風景もとてものんびりとしていて、そんな映画の風景に挿入されるちょっとしたユーモアがとても微笑ましい作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2010-11-13 22:55:23) |
1506. やじきた道中 てれすこ
弥次さん喜多さんの珍道中に落語の世界にちょっとしたファンタジー的要素も巧くミックスされ、笑いドコロも十分の人情喜劇。お喜乃の故郷までに通過してい各宿場町ごとに丁寧に、かつテンポ良く笑い話が配置され、弥次さん喜多さんの二人を演じる中村勘三郎と柄本明が絶妙の名コンビぶりを披露してくれます。この二人と一緒に旅に出るのがお喜乃を演じるのがキョンキョン。観る前は微妙に感じていたこのキャスティングですが、良かったですね。3人が一緒のシーンでは大いに楽しませてくれて、弥次さん喜多さんが個別にお喜乃と絡むシーンでは少しずつそれぞれの事情を明らかにしながらしんみりとさせてくれる。分かりやすく何も考える必要も無く安心して楽しめるコメディです。 [DVD(邦画)] 7点(2010-11-11 20:17:06) |
1507. 輝ける女たち
《ネタバレ》 キャバレー「青いオウム」の支配人が亡くなるところから話は始まる。その支配人を父親代わりにキャバレーで育った男を軸に、彼の周りにいるみんな家族のようで、家族でない?複雑な背景がある人間関係が交錯する、「青いオウム」をめぐる人々を描いた群像劇。主要登場人物の相関図がやや複雑なのですが、この複雑な関係がポイントでもあります。支配人の死をきっかけにバラバラに暮らしていた家族が集いそれぞれに家族や人生を見つめなおす、といった作品。皆が亡くなった支配人を愛しているという共通項が効いていて、かなり複雑な事情のある家族の人間ドラマで遺産相続なんかも絡む話ですが、いい意味でのユルさやユーモアが心地よく楽しめました。豪華女優陣が魅力的ないかにもフランス映画らしい作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2010-11-11 20:12:18)(良:1票) |
1508. 男はつらいよ 翔んでる寅次郎
シリーズの中期以降に度々見られた、寅さんと若い二人の恋が描かれた作品としては好きな作品です。最後は仲人まで引き受けますが、途中は寅さん自身もしっかり恋をしている。同じ若い二人の恋がメインの作品でも、ここは重要なポイントな訳で。序盤とラストの湯原昌幸演じる旅館の若旦那とのコントに、おばちゃんが上流階級言葉を度々噛む所、「田園地帯のお嬢さん」とか「寅様」とか、細かい笑いドコロもいい感じでした。また、若い二人の恋のシーンで流れるル~ララ~♪という優しい音楽も良かったです。 [ビデオ(邦画)] 6点(2010-11-07 15:50:15)(良:1票) |
1509. 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋
《ネタバレ》 第17作の池ノ内青観、第19作の藤堂の殿様、そして本作の加納作次郎。いずれも寅さんとの出会いのシーンがいい。偉い人とは知らずに、小遣いにも不自由してるようなじいさんと勘違いして寅さんが安酒や茶を奢る。この偉い人を演じるのがいずれも大物で、寅さんと実にいい味の間を作り出します。 本作は風情のある京都や鎌倉が舞台ということもあり、落ち着いた雰囲気が魅力のシリーズ中期の良作だと思います。京都や鎌倉の風景とマドンナ役のいしだあゆみの醸し出す雰囲気もとてもよく合っています。 ですが実は本作はシリーズ中の苦手な作品の1つなんです。それは他の作品には無い寅さんとマドンナとの間なんだと思う。丹後のかがりの実家、後半のとらやでの再会に鎌倉デート。寅さんらしさは影を潜め、二人のシーンを観ていると息苦しくなってくる。どうも寅さんを見て味わいたい雰囲気ではないんですね。 ですが、加納作次郎作?の怪しげな焼き物を売る寅さんと「買った!」と手を挙げる加納。バイの最中に2人が再会するラストは何とも粋な終わり方でした。 [ビデオ(邦画)] 7点(2010-11-07 15:46:13)(良:1票) |
1510. 言えない秘密(2007)
《ネタバレ》 前半は良かった。演出も台詞もかなりベタだがピュアな青春ラブストーリーでした。ヒロインのグイ・ルンメイは期待通りの素晴らしい演技と存在感を見せてくれます。 少し前に見た「遠い道のり」でも感じたことですが、台詞が無い、表情で演じるシーンの彼女は本作でも素晴らしかったです。 突如ファンタジーに突入する後半はかなり違和感を覚えます。前後半のまとまりが無く、前半と比べるとジェイ・チョウの意気込みが空回りしている感じです。 前半が良かっただけに後半が惜しい映画ですが、音楽や映像は綺麗な映画です。そしてグイ・ルンメイの魅力がよく出ているので、グイ・ルンメイが好きな方は見て損は無いと思います。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-11-06 13:26:59)(良:1票) |
1511. ある日どこかで
《ネタバレ》 音楽も、儚げな映像も、登場人物の心も、ジェーン・シーモアも、とても美しい映画でした。特に音楽の使い方が素晴らしく、音楽が美しい映画として忘れられない映画となりました。 美しくも哀しいラブストーリーですが、ラブストーリーが始まる前の、今と1912年をつなぐグランド・ホテルや人の心の中に確かに残る記憶と、その記憶を辿りながらリチャードがその行動に出るまでの見せ方も素晴らしい。 特に印象に残るのは舞台で演じるエリーズが思いを打ち明けるシーンです。ここでも美しい音楽が控えめに流れ、実に効果的です。大勢の観客に向けて演じているのですが、そうではない。二人の気持ちがつながる実にいいシーンでした。 今は亡きクリストファー・リーブの若き日の素晴らしい演技も感動的です。クリストファー・リーブ演じるリチャードの運命は唐突に感じられましたが、それでも2人が再会するラストシーンは感動的でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-11-04 20:33:18)(良:3票) |
1512. パッション・ダモーレ
庶民の何気ない日常の中にあるドラマをユーモアを込めて描かせると抜群に巧いエットーレ・スコラ監督ですが、これは極めて異色の作品。舞台は19世紀のイタリア。醜女と美男の青年将校、この二人の愛する苦悩と愛される苦悩を描いたお話です。この女を演じた女優さんのあまりにも凄まじい演技には圧倒されました。発作を起こして絶叫するシーンや、男を追って列車に乗り込んでくるシーンにはゾッとしました。もう、この描写はホラーですよ。残酷で見ていて疲れるお話でありながら、引き込まれる。そういう意味では映画として楽しめたと言えますが、もう一度見る気にはなれない映画です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-11-01 18:35:58) |
1513. ザ・ペーパー
登場人物も、そのそれぞれのエピソードもこれだけの内容を詰め込みながらも登場人物にも、エピソードにも展開にもムダが無い見事な映画です。 三流新聞社のジャーナリスト、その家族、関係者の人間ドラマを熱く描いた群像劇ですが、話の伏線の張り方やテンポの良さが素晴らしく、熱いだけじゃなくウィットに富んだ台詞の数々も楽しかったです。 仕事へのプライドも家族を思う気持ちも、最後にはそれぞれのドラマが上手くまとまって鑑賞後の気分も爽快な作品です。流石、ロン・ハワード監督の映画ですね。親が子を思う思いにあふれたロバート・デュバルのあのシーンを最後に持ってくるあたりには余裕すら感じられました。非常に中身の濃い110分でした。 [DVD(字幕)] 9点(2010-10-31 23:05:25)(良:1票) |
1514. ファイブ・イージー・ピーセス
普通なら本作のジャック・ニコルソンのように、ここまで徹底して目の前にある仕事や責任や現実を放り出して逃げ続けようとは思わない。ラスト近くに父に語りかけるシーンで「また俺はここから逃げ出すよ」と言いたげな彼。その通りにまた彼は逃げ出していく。本作の彼の心情は分かるが、無責任極まりない行動には全く共感できない。終始彼のそんな言動が続き、鑑賞後は何か疲れた気分になりました。結局は何も解決していない映画のように思えるのですが、ジャック・ニコルソンの素晴らしい演技は十分に堪能できる作品です。 [DVD(字幕)] 4点(2010-10-30 16:08:06) |
1515. コンチネンタル
《ネタバレ》 フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの映画おなじみのストーリーですが、映画が始まってアステアが現れた瞬間から楽しい。まずは最初に一発個人技をしっかり見せてくれます。アステアが画面に登場するだけでいい。この高揚感。もう、それでいいんですよ。ラストの最高の見せ場、”コンチネンタル”に乗せてアステアが踊る。ロジャースが踊る。二人の分身の影絵が踊る。その場にいる全ての人が踊る。何も考える事はない、ただ楽しくて豪華で贅沢な時間。そして最後は大ハッピーエンド!こうなることは分かっているのですが、それでいいんです。やっぱりミュージカルは楽しくてハッピーであって欲しいと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2010-10-30 15:57:35) |
1516. 男はつらいよ 寅次郎紙風船
《ネタバレ》 全体的に寂しさが漂う作品。冒頭の同窓会から始まって、寅さんの兄弟分が病気で死ぬ。その兄弟分との約束もあっていつになく寅さんが本気で結婚を考える。 おいちゃんに背広を借りて、柴又の誰の世話にもならず一人で求人を探してまともな会社に面接を受けに行く。寅さんの今回の本気は、誰の手も借りず就職しようとした事や、光枝がとらやを訪れたときの寅さんの態度でよく分かる。 しかし、その顛末は観ている僕達には分かっている訳で・・・。そんな作品の雰囲気にあって最高のアクセントになってくれていたのが旅先で出会う愛子。元気一杯に演じた岸本加世子が本当に良かった。愛子が兄ちゃんと再会するシーンも素晴らしかった。 寅さんが旅に出る前後はいつも寂しいのですが、本作は寅さんの本気が見え隠れしただけに余計に寂しさを感じました。それだけにラストシーンも元気一杯の愛子の存在に心が和まされたのでした。 [DVD(邦画)] 7点(2010-10-27 23:43:24)(良:1票) |
1517. 運命を分けたザイル
《ネタバレ》 まずはこれが良かったのか悪かったのか、2人で難攻不落の山に挑み、その2人の生還者が壮絶な体験を振り返っているので相当絶望的な状況にもかかわらず安心して見ていられます。どこでどうやって撮影したのか・・・。と思える圧倒的迫力の映像。しかしこれが続かない。すぐに生還者が回想するところに切り替わってしまう。この切り替わりがあまりにも多すぎました。ですが山とそれに挑む人間を描いた映画は好きです。本作もそうなのですが、自然の偉大さと人間のちっぽけさを教えてくれると同時に人間の精神力、生命力の強さも教えてくれる。こうした山と人間のドラマは映画館でその迫力を味わいたいジャンルですね。 [DVD(字幕)] 5点(2010-10-25 20:46:30) |
1518. 続・菩提樹
「サウンド・オブ・ミュージック」では描かれなかったアメリカ入国以降の、もう1つのトラップファミリーのお話。文化の違い、言葉の壁、一家に訪れる数々の試練を乗り越え彼らの歌がアメリカで受け入れられていくまでの物語です。 セックスアピールの意味が分からないマリア、「サウンド~」よりちょっと頼りなさを感じるトラップ大佐、絵に描いたような善人ですがちょっと感覚のずれている一家と行動を共にする神父さんの描写などの中にコミカルな部分もありますが、大半がアメリカでの一家の苦労話となっています。 しかしNYの近所の人々やラストの移民局など、彼らが歌いだすとどこからともなくその美しい歌声に導かれるように人々が集まってくる。そんな前作同様の歌の持つ力や家族の絆が人々の心を動かし、苦労を重ねながらもアメリカで受け入れられていく姿が感動的でした。 終盤に購入した空家を家族みんなで修理するシーンでなぜか突然ミュージカル調になりますが、この部分もとても楽しかったです。「サウンド・オブ・ミュージック」のジュリー・アンドリュース同様にこの2作でマリアを演じた女優さんがとても素晴らしかったです。前作と合わせて約3時間。「サウンド・オブ・ミュージック」を愛する者として観て良かったと思える映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2010-10-23 17:18:02)(良:1票) |
1519. 菩提樹
《ネタバレ》 「サウンド・オブ・ミュージック」の約10年前にドイツで製作されたトラップファミリーの物語のオリジナルです。マリアの回顧録に基づき事実にかなり忠実に作られているそうです。 少々お行儀は悪いですが明るく元気一杯な修道女マリア、子供たちを笛で管理する厳格なトラップ大佐、その後の展開も細部は異なりますが大筋は「サウンド~」も同じです。 このオリジナルを映画の枠を超えて今なお世界中で愛される歌にのせ、美しく壮大なロケーションを舞台にしたミュージカルに仕立てた「サウンド~」はやはり映画史に残る不朽の名作なんだなと思いました。 一方本作は100分足らずの間に「サウンド~」が描かなかったその先(アメリカ入国)までを描いているのでかなり急ぎ足になっている感があります。しかしその分マリアが屋敷にやってきて以降はほとんどが屋敷の中で話が展開され、小ぢんまりとはしていますが家族の絆、夫婦の絆の描写に重点が置かれたトラップファミリーの心温まる物語となっています。 歌の方も当然「ドレミのうた」も「エーデルワイス」も無いですが、本作で歌われる民謡や聖歌がこの作品の雰囲気にとても良く合っています。特にアメリカ入国の際に家族が歌う場面、歌が人の心を動かしていくその様は実に感動的でした。そしてアメリカ入国以降の話は「続・菩提樹」へと引き継がれます。 [DVD(字幕)] 8点(2010-10-23 17:12:56) |
1520. 遠い道のり
《ネタバレ》 旅の風景を録音して別れた彼女にそのテープを送り続けながら人生の行くあてを捜すように旅をする男。自分の前の住人宛に送り続けられるその音の便りを受け取る、新しく引っ越してきた女。そしてその男を捜すようにあての無い旅に出る。 どのような形で二人に接点が訪れるのかと見ていたが、彷徨う姿を見せ続けるのみで接点が訪れる気配は無い。幸せを求めて、あての無い何かを探すかのような旅ですが探し物が簡単に見つかれば苦労は無い。これが人生というものか。その後の展開が色々と考えられる、見知らぬ二人が画面の両端に配置された余韻を残すラストシーンもいい。 そして主演のグイ・ルンメイ。「藍色夏恋」以来彼女を見るのは2本目。男の方が自分の感情を言葉で吐露するのとは対照的に彼女の台詞は抑えられていますが、それが良かった。何かを探すように佇み静かに遠くを見つめる表情、目を閉じて音に耳を傾けている表情など動より静が印象に残る独特の存在感、魅力を持った人です。もっと色んな映画の色んな役を見てみたい女優さんです。 [DVD(字幕)] 7点(2010-10-22 21:12:53) |