141. ドローン・オブ・ウォー
《ネタバレ》 この監督の「ガタカ」と同じく無機質ですね。マジで怖いことですが、これってブラックジョークなんだろうかと迷うようなところが満載といいますか、全てがそうだとも思える。それなのに訴えたいことは明確だし、上手い描き方だと感心。 必ずしも兵士の苦悩だけを言いたかったわけではないと私は思います、戦争犯罪だとはっきりわかる描き方ですし。 砂漠の中のただのコンテナと見える中で行われている事、ベガスの目抜き通りが通勤経路とか、新兵はゲームセンターからリクルート などなど。使ってるのはPS、Xboxなんですよね?冗談かと思えるようなことが乾燥した雰囲気の中で重苦しく描かれています。 安全な場所だからこその葛藤とか罪悪感ですかね、実際の戦場なら大義名分の下で敵もはっきり確認できるから感じることはないんでしょうね。 確実に犯罪者とわかるレイプ犯の存在とその顛末、ずっと虚無感無表情なトミーが初めて見せた人間味のある安堵の表情が印象的でした。最初はハズレだったかなとラストまで観る自信がなかったんですが、なぜか惹き込まれてしまいました。 静かで地味と言えるけど、スタンス、スタイルにブレがなく独特でオリジナリティがあり、演じるイーサン・ホークが素晴らしいと思う。 酒を捨て、スアレスの誘いに流されず、リノへ車を走らせるトミーにほっとして観終わったのでした。 でも奥さん役の女優がぱっとしないのよ、スアレスはインパクトありました。レニー・クラヴィッツの娘なんですね、納得です。ラングレーはピーター・コヨーテだったのか・・・ [インターネット(字幕)] 7点(2021-08-07 14:11:24) |
142. ストックホルム・ケース
《ネタバレ》 ストックホルム症候群の意味は知ってますけど、語源となった事件のことは知らなかった。 パトリシア・ハーストの事件はかなり前から知ってるけど。 なんか私コレ好きです、面白いです。 70年代っていう雰囲気も関係するのかもしれませんが、犯人も警察もとてもじゃないけどキレがあって垢抜けてるとは言い難い、でも交渉する時の会話がいい、ニシンの焼き方のとこもいい。なんだかフっと笑えちゃうところがいくつかあるんです。 そしてなんといってもラースのキャラが抜群だと思う。演じるイーサン・ホークが最高です、ハマってます。ほんっとにいい俳優だなぁ、大好きです。マーク・ストロング、ノオミ・ラパスもいい味出てます。 人質の生死をそれで確かめるって?なぜかいちばん非情に感じたとこです。それだけ犯人寄りになっちゃってるという違和感があったってことかな。 映画の中でのラースとグンナーのキャラは大いに脚色されてるだろうなとは思いますが、モデルとなった二人は存命中なんですね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-08-06 17:38:14) |
143. オフィシャル・シークレット
《ネタバレ》 大量破壊兵器は結局見つからなかったイラク戦争、あの当時イギリスでこんなことがあったならもっと世界中に大スクープとして報道されていいと思うんですけど、ウォーターゲートであれだけ騒いだくせに。 私はこの事件をこの映画で知りました、世間で騒いでた記憶もないです、私が知らないだけ? そもそも2003年当時、自分が何してたかもあんまりおぼえてません。 映画化は16年も経ってからなのね、ビンラディン殺害の時との差にびっくりだわ。 キャサリン・ガン本人も映画で語られてることは全て事実だと仰っているようですし、 彼女が反戦主義者になったのは広島で英語の教師をしていた時に原爆の被害に触れたことがきっかけだという、イラク戦争当時の日本の指導者はどうだったのか、今さらですけど日本人として恥ずかしくなったのでした。 コレ、もっともっと話題になっていい作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-07-21 15:28:04) |
144. レッド・エージェント 愛の亡命
《ネタバレ》 イルサじゃないんだからこの邦題は勘弁してほしい。 スパイだけどスパイ映画じゃないですよ、どっちといったらメロドラマだと思うんですけど。 なので「雪が降るにもかかわらず」になってるんじゃないですかね、もうちょっとマシな邦題つけてください。 カティヤの消息と彼女に何があったのかがサスペンス要素ではあると思いますが、描き方はわりとサラリと浅い。 脚本がよくないんだろうな、キャストも60年代初頭の雰囲気もとてもいいのにもったいないです。 姪のローレンの人物描写も意味がよくわからない部分があって、あれはやめてほしかった。 とにかく、美しすぎるレベッカ・ファーガソンを堪能する映画。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-07-20 11:17:52)(良:2票) |
145. ラスト・ターゲット(2010)
《ネタバレ》 スウェーデンの雪景色の中でのオープニングにかなり期待しました。 しかし、イタリアの田舎町の雰囲気景色はかなりよいのですが、何が始まるのかと思えば娼婦との恋愛なんだもの。 私はこの娼婦もそのうちやられちゃうんじゃないかと、二人きりになるシーンになる度にハラハラしたのに。 とにかく暗殺者であるジャックの人物像があんまりよくないと思うのね、魅力的じゃないです。 原題は「The American」なんですが、ヨーロッパでのアメリカ人てスナイパーですらこんなもんなんですかね。 敵を追う、狙う、射殺する時の身のこなしや顔つきにプロフェッショナルなキレを感じないからかっこよくない。 話の内容もこれといって面白くないです。 なぜジャックは組織から狙われることになったのか、それくらい明確にしてほしい。 それすらよくわからないし、何も起きず娼婦とのイチャイチャだけ見せられて、いったい何がしたいのかさっぱりわかりませんでした。暗殺者の恋愛映画だったんですかね、それをクールにハードボイルドに仕上げたかったみたいですが失敗例のように感じました。そもそもイタリアじゃ無理かも、そのまま舞台は北欧のほうがヒリヒリ感は保てたんじゃないかと思う。 イタリアの女優さんたちが色っぽくて素敵だったことと、神父さんのキャラが唯一の救いだったような気がする。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2021-07-19 14:55:17)(良:1票) |
146. 追想(2017)
《ネタバレ》 「追想」という邦題のついた映画っていくつかあるんですよね、何か他に思いつかないのかな? 映画の内容はこのタイトルから受けるイメージとはちょっと違うと思います、原題の「On Chesil Beach」でよかったんじゃないかと、「チェシルの〇〇」とか「〇〇のビーチ」とか。 観始めは、ウブ、潔癖、大真面目な若いカップルの恋愛と新婚初夜を描いたシニカルコメディかと思ったんです。 イギリス映画ってその手の映画が得意ですし。 しかし所々に心の闇を想像させるシーンもありまして、特にフローレンスの幼少の頃のシーンをどう解釈したらよいのか迷います、トラウマになったきっかけのようでもあり、でも何があったのかは明確にされてません。 エドワードの両親とフローレンスの両親の違い、エドワードは母親にフローレンスは父親に一癖あるわけです。特に問題のない両親、家庭というわけでもないのです。 バイオリニストのフローレンスはクラシック専門、エドワードはチャック・ベリーやプレスリーであり、カルテットが何かも知らない。 とにかく属性というか性質というか違い過ぎるんですが、付き合ってる時は若さ情熱、勢いでカバーされ、 見ない気付かないでいられるんですが、結局現実を見た、知った時点で崩れ落ちる。結婚が破綻のきっかけとなってしまうのですが、遅かれ早かれ二人はダメになる運命だなというのはすんなり納得できてしまいます。誰が悪いわけでもなく言うなれば「縁がなかった」ですかね。 コメディなのかと思って観ていた前半ですが、ラストはおもわず泣けてしまいました。 ジャズ、ロック、クラシックと音楽のバランスも良かったと思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-07-13 14:34:12)(良:1票) |
147. 幸せのレシピ
《ネタバレ》 もうずいぶん前にオリジナル「マーサの幸せレシピ」を観ました。 リメイクのこっちはやっぱりハリウッドらしさが出てますね、軽くて親しみやすく楽しめる感じ。 ただですね、相手役のアーロン・エッカートにあまり魅力を感じない。イタリア好きのアメリカ人ではなく、オリジナル同様イタリア人俳優にしてほしかったな、フレンチレストランなのでフランス人俳優でもいいと思う。 あの厨房に、見ただけで異質だなと感じる料理人がいるという方が味わい深くなったような気がします。 そして料理シーンがかなり適当な感じで、ケイトが街で1、2位を争う腕のいい一流シェフというには少々説得力に欠けると思います。 ケイトはもっと尖がってても良かったと思うし、リメイクのっこちは姪っ子の実父の登場がないのはどうしてなのかな? 姪っ子の世話に戸惑い疲れ、実父に引き取ってもらう、けれどいなくなって初めて気付く姪っ子の存在とか、仕事や人間関係についての葛藤やきっかけ、根拠の部分がかなり薄いんですよ、ゾーイのことはなんとなくニック頼みになっちゃってるのがちょっと物足りない。 ゾーイ役は「リトル・ミス・サンシャイン」でダンスが滅茶苦茶可愛かったオリーブちゃん、ほんの1年くらい経ってるだけなのに大人びて登場、子どもの成長は早いですね。 キャサリン・ゼタ=ジョーンズは「理想の彼氏」のシングルマザー役の時もあっさりすっきりしたメイクでイイ感じでした、本作も同様で好感度は高いです、そのうち「おおー」と感動するような役柄で映画に登場しそうな気がします。美形セクシーなだけの女優さんじゃないと思うんですよね。そうそう、セラピストがなぜかとても印象深く味があってよかったです。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-07-12 13:02:45) |
148. シンク・オア・スイム
《ネタバレ》 先日鑑賞した英国版の「シンクロ・ダンディーズ!」の元ネタ映画で、本作の元ネタはスウェーデン映画らしい。 スウェーデンのおじさんシンクロチームがベースになっているということです。ところでいつからそうなったのか知りませんが、今はアーティスティックスイミングになったのね、シンクロでは何が不都合だったのかしら、シンクロの方がなんとなくイメージ的に好きですし、何といっても言いやすい。 英国版より人物それぞれの描き方が丁寧です、しかし練習風景はあまり出てこなくて大会本番にいきなりキレのあるまとまった動きになっていて、いつのまにあんなに上手くなったんだろ?と少々びっくりしました。 自虐的でコミカルな練習風景も期待してたんですが、こういうのはイギリスの方が上手いですね。 音楽がなぜか80年代前半の英米のヒット曲なんです、懐かしかったなぁ。 世界大会の選曲がなぜか「イージー・ラヴァー」このあたりがおじさんらしさなのかも。 ジャン・ユーグ・アングラードを本当に久しぶりにみました。 ペーソス溢れ、しっとり感のある映画でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-06-24 15:39:08) |
149. スキャンダル(2019)
《ネタバレ》 からだにぴったりフィットしたミニ丈ワンピースにブロンドとコテコテしたメイク。ニュース番組なのに知的には見えないと思うんですけどね。 4~5年前でしょ?アメリカ人は未だにこういうのが好きなんだとちょっとびっくりした(笑) ていうかこれがロジャー・エイルズの好みなのね。 映画としては、これだけの女優がいながらやけに地味だなと。 感心したのは特殊メイクとジョン・リスゴーのエロじじぃ振りでした。 サクサクと話は進んでいくので退屈はしないんですが、巨大メディアのスキャンダルを描いている割には淡々とクール過ぎちゃって、こちらはさら~と眺めているという感じ。セクハラの被害者たちが、加害者である権力者を失脚させたのに爽快、満足という快感がなぜか得られないのでした。 メーガンのアシスタントの?ちょっとアン・ハサウェイタイプの女優さんとグレッチェンの娘役の子がかわいかったです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-23 13:35:10) |
150. ストックホルム・ペンシルベニア
《ネタバレ》 主演がシアーシャ・ローナンだから観てみた。 4歳で誘拐されて4歳までの記憶がない?まずこの設定にちょっと無理があるんじゃないか? 「三つ子の魂百まで」って言うくらいですから、4歳っていったら両親のことはしっかり認識してますし、知らないおじさんに連れ去られたら、死ぬほど泣きわめくと思いますが。なーんにもおぼえてない、記憶が全く蘇らないっていうのが不自然よ。 私は3~4歳の頃の記憶は断片的ではあるけどいろいろありますよ、保育園が嫌で毎朝泣いてたとか、人形に牛乳を飲ませようとして派手にぶちゃけたとか。そしてその記憶には必ず母親の存在がセットになってるもの。 このように矛盾を感じるところはあるんですが、話の方は17年ぶりに帰ってきた娘に対する両親の在り方について問題提起してるかんじでして、ストックホルム症候群は関係ないと思います。 もともと夫婦関係はそこまで良好、問題なしではないようでして、後半はお母さんがおかしくなって暴走してしまうんですね。 誘拐されてどんだけ大騒動になったか、両親や世間の犯人への感情、そして娘本人への影響の大きさ怖さなど、いわゆる現実というものを、しっかり娘に言えよ、教えろよとイライラした。両親にとっては娘は4歳のままの記憶だったわけだから、ブランクをどう消化するかは並大抵じゃないとは思いますけど、しかしながらやることがいちいちマズイんじゃないかと思えてならなかったです。 ラストもすっきりせず”まさか娘も?!”といういやな予感を残し後味が悪い。 映画としてはテーマなりにもうちょっと華とか色があってもいいんじゃないかと思いました。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-06-13 19:14:43) |
151. シンクロ・ダンディーズ!
《ネタバレ》 「フル・モンティ」みたいな感じかなと期待して観てみました。 そうですねぇ、テーマは魅力的でいいと思うんです。ただ人物それぞれのキャラがそれほど魅力的に感じなかったです。 愛すべきおじさんたちって思えないし、クスクス・ニヤリとする粋なユーモアもこれといってないのがイギリス映画のヒューマンコメディとしては残念かな。運転中のハンドフリーの電話での夫婦の会話、実は後部座席に息子とその友人が同乗してますっていうとこはよかったけど。 全体的に雑な感じもして何度も観たくなる愛すべき映画というわけでもなく、期待外れで残念です。 [インターネット(字幕)] 4点(2021-06-09 14:38:35) |
152. 誰よりも狙われた男
《ネタバレ》 フィリップ・シーモア・ホフマン主演の遺作となってしまったんですね、 独特の雰囲気で、地味ながら緊張感は半端なく先行きが読めないし、どういう結末なんだろうと目が離せなくなります。 バッハマンにハマりきってるホフマンの演技が凄いです。脇役の頃からのどこか皮肉っぽく、嫌味っぽく イイやつとイヤなやつの境界線ギリギリで一応は善人かな?みたいなキャラ、一回見たら忘れない俳優さん。 描かれることは対テロ組織同士の対立、裏切り、非情さということなんですが、カルポフがドイツに来た真の目的とか 邦題の「誰よりも狙われた男」というのはバッハマンということでいいのか?などなど、自分が知りたいことは明確ではなかったんですが「裏切りのサーカス」ほど難解ではないですし見応えのある作品だと思います。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-06-04 16:01:55)(良:1票) |
153. 三人の妻への手紙
《ネタバレ》 洒落たコメディですね。 カーク・ダグラスが出てるとは。。。そっくりだけど息子マイケルより清潔感があっていい。 最後までアディを出さないっていうのが粋だし、余計に興味を掻き立てられます。 夫婦3組ともバラバラのようで、傍から見てるとちゃんと共通してるとこがありまして、それは奥さんが何かと厄介で旦那さんたちが3人とも信じられないほど理解と忍耐力があって優しいのね。 奥さん3人の回想シーンが順番に描かれ、今までの自分を反省するみたいなね。なくしたかもしれないとなって初めて気付く自分の愚かさ、世の女への戒めみたいなはなしでした。しかし法律そのものに男女差別ありみたいな時代だったんじゃないかと思うんですけどね。完全に男目線で描かれてるなとは感じましたが、コメディとしてはなかなか面白いと思います。 カーク・ダグラスのフィリップス夫妻のエピソードがいちばん好きです、メイドのキャラも良かった。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-05-27 13:17:56) |
154. はじまりのうた
《ネタバレ》 マーク・ラファロが小汚いし不潔感がハンパなくて参った。 キーラ・ナイトレイがヒロインとしてなぜかあんまり魅力的には感じないし、ボーカリストとしては声にも魅力がなかった。 という不満点はあるものの、好きですねこういう映画。 ライブハウスの中途半端な弾き語りのグレタなのに、ドラムにピアノにと脳内でどんどん各パートのアレンジがあふれ出し曲が完成されちゃうダン。プロっていうのはこういうもんなんだなというのがよくわかりました、理屈じゃなくて感性なんですね。 なんていうかグレタは確かに曲作りの才能はあるんでしょうけど、それより人間関係が最高に恵まれてるなとそこが羨ましかったですね。なんであんないい人ばっかりなの?スティーヴがいなかったらどうしたんだろう、落ち込むグレタを無理やりライブハウスへ引っ張ってったのはスティーヴだったしね。 街中ライブはそれなりにたのしいし、見所だとおもいます。でもラストのデイヴだな、プロのシンガーの凄さをヒシヒシと感じたのでした。素晴らしかったです。 解雇された時に名簿を持っていこうとしたダン「ジェリー・マグワイアか?」て言われたとこが可笑しかったな。 「2ドルにしようよ」ていうとこが良かった。このおっさん、死ぬまでこうなんだろうな。 ハートフルで後味最高の映画でした。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-05-21 14:08:25) |
155. ヒア アフター
《ネタバレ》 よく知ってる俳優はマット・デイモンだけ。あとはあんまり、殆ど見おぼえないぞという イーストウッド映画によくあるキャスティングで観る前はちょっと不安というか見当つかないというのも初めてじゃないんですが、やはりイーストウッドの映画は絶対退屈はしない。デレク・ジャコビの登場の仕方もうれしい。 サンフランシスコ、パリ、ロンドンの三者がそれぞれ語られるわけですが、その繋ぎは絶妙ですし 津波と爆発シーンの迫力、兄の事故の衝撃、特に爆発シーンの唐突さにはやられました。 淡々としているのになぜか惹き込まれてしまう、イーストウッドに外れはないと改めて感動です。 そして運命の?三人がロンドンで出会うんですが、最後の最後にこれはジョージが唯一のパートナーと遂に巡り会えた、救われたはなしで、臨死体験や死後の世界、死者との会話がどうだこうだがメインではなかったんだなと。 運命というか、もともと繋がっていたというか、身に起こることは全て必然ていうのは間違っていないのかも。 マーカス君の役割も重要なのです。 ジョージは自分の能力を「呪い」だと言う、「シックス・センス」のコール君も怖いし誰にも理解されず苦しんでましたね。 余談ですが、同級生で高熱出して数日寝込んだあとにそういう力が身に付いたって子がいたんです。名前見るだけでいろいろ浮かぶんだそうです、それが結構当たってまして。でも仕事にはしなかったですね、それはしたくないって言ってたっけ。 本物ほど金儲けの手段にはしないってことかな? [インターネット(字幕)] 7点(2021-05-20 14:10:32) |
156. 夜の来訪者(2015)<TVM>
《ネタバレ》 初見だとばかり思っていたんですが、食事が始まったあたりから記憶が蘇ってきました。 何年も前に観てます、AXNミステリーあたりで放送したんだろうな、きっと。でも所々おぼえている程度でラストはすっかり忘れていたので面白く観ました。 エヴァ役の女優さんも今だと見たことあるぞと感じる人で、去年観てた「暗号探偵クラブ」のルーシーでした。儚げでかわいらしい女優さんです。 密室劇、会話劇として見応え充分で、TVドラマとして一級品だと思います。ミランダ・リチャードソンの存在感はやはり飛びぬけてますね。 あの一家を成り上がった爵位を欲しがる中産階級としているところがミソですかね。20世紀初頭だからこういう人たちが力を持ち始めた時代だったんだろうな。 とにかく最後の最後にひっくり返る、けれど謎は謎のままという終わり方で、ずーんと余韻が残ります。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-05-14 16:34:40)(良:1票) |
157. ガーンジー島の読書会の秘密
《ネタバレ》 わりとロマンチックな内容なのかと思って観始めたんですが、戦争とナチスドイツがしっかり関係していて今まで全く知らなかったガーンジー島のことも知ることに。早々に占領され苦しい時期が長かったのですね、没収された豚ちゃんたちも虐殺されてしまったのでしょうか、豚まで取り上げるなんてなんなのよ。 そして「ダウントン・アビー」のファンにはうれしいキャスティングです。リリー・ジェームズは現代ものよりクラシカルな時代ものの方が魅力的に感じます、ほんとにきれいでカワイイ。 ドーシーからの手紙を読むシーンでジュリエットとの未来が予測できるんですが、「読書会の成り立ちとそのメンバーとエリザベス」まずはこれを中心に持ってきていて、ロマンスの方は抑え気味になってるのが好感持てました。伝えたいことが明確になっていると思います。 ところで親切で良いドイツ兵を登場させているのにいちばんびっくりしたかな、今まで観た記憶がないもの。 原作は実話ではないんですよね?実話の部分もあるのかしら? 登場人物のキャラもそれぞれ個性があってしっかり描かれている。島の風景も素晴らしく品性を感じるいい映画でした。 作品のニュアンスがどことなく日本映画に近いようなものも感じました。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-05-13 14:43:59) |
158. ミッドサマー
《ネタバレ》 怖いとは感じなかったです、気持ち悪いとも思わなかった、なぜか。 誘われるまま来てみたらとんでもない集団で生贄にされましたっていう話は昔からよくありますし、ああいう集団というのは絶対に幻覚剤みたいなものを使うし、集団ヒステリーという言葉がすぐに浮かぶ。 短い北欧の夏が眩いほどに輝いていて、色鮮やかな花々に壁や天井に描かれた絵、白地にブルーの民族衣装などとても清潔感があるんです。ダニーとクリスチャンの部屋だったかな?やっぱり目を引く絵が飾ってあり、会話も相手は鏡に映った状態っていうのも印象に残りました。 ダニーは90年に一度の祝祭での女王候補として連れてこられたんですけど、大当たりでしたね、ペレの人選はなかなかのものだわね。もともとメンタルが不安定であり、家族をあのように一度に亡くしたダニー、あの村くらい奇抜で異常な世界じゃないとまともに生きていけないのかもしれません。ダニーが覚醒する話だと思いました。 クリスチャン、ジョシュ、マークの3人て悪い人たちじゃないけど、良き友人、良きパートナーになり得るっていうのも感じないのよね。だからなのか、みんなああなっても「んー仕方ないよね」くらいにしか思わなかったです。 ところであの村の人々の最大の敵は熊ってことですかね?毎年熊に襲われて死ぬ人がいるんだろうなきっと。 怖くない、不快感のないホラーていうのがすごいなと。ていうかホラーというよりダニーの成長再生物語みたいに感じて、そんなふうに感じさせられたことに驚いています。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-09 15:04:26) |
159. ブルックリン
《ネタバレ》 観る前の予想に反して、泣けた泣けた。 ホームシックになって仕事中も泣きそうなエイリシュ、姉からの手紙を手にして号泣するエイリシュ。手紙を何度も読み返すエイリシュ。知らない人ばかりのニューヨークの雑踏の中で寂し気な表情のエイリシュ、もう泣けて泣けて。 これ入力してる今も思い出して泣ける。 でも自分を愛し特別な存在としてくれるトニーが支えとなり笑顔の接客ができるようになるのね、 すごくよくわかるわぁ。人ってやっぱり拠り所っていうのは必要なんだなと。 けれど、そんなトニーのこともどこか迷いがあって多少成り行きみたいに入籍しちゃう。そして故郷へ帰れば垢抜けて簿記の資格もあるエイリシュに手のひらを返したような好待遇。そりゃそうなったら迷うよね、ひとりになった母親のこともあるし。 そこにミス・ケリー、エイリシュは「ここ」は故郷だけど生きていく場所ではなくなったことをはっきり自覚する。 何かある度に街中に知れ渡り噂になる、放っておいてくれない街なのです。ニューヨークとの決定的な違いってそこなんじゃないかなと。もとから規模が違い過ぎますけどね。自分を気にする人は大切な人たち、限られた人たちだけでいいと思うんですよね。 アメリカ行きの船で偶然相部屋になった人が「帰るんじゃなかった」みたいなことを言ってたけど、その意味が理解できました。母や姉も下宿や職場の人たちもぱっと見はきつそうなんだけど、実は思いやりも優しさもありサラリとしていていいですね、干渉しすぎない人たち。ラストのトニーとの再会のとこでまた泣けた。泣かせようとしてるものは特に無いのにこんだけ泣けた映画は初めてかも。個人的にそこが高評価の理由にもなるかな。 特別なことはないけれど50年代と移民を背景に、ひとりの女の子の自立、成長、自分の人生を掴むというものが丁寧に描かれていていると思います、映像も美しい。アイルランドの色であるグリーンと髪の色のコントラストがいい、トニーと付き合いだしたころからコートの色がグリーンから赤に変わる、船の相部屋のお姉さんも赤いコートだったっけ。 スパゲティを知らなかったエイリシュがアメリカに馴染みだしたサインなのかな?シアーシャ・ローナン自身アイリッシュなんですよね。 トニー役のエモリー・コーエンは初見なんですが、どうかするとジョニー・デップに見えるのよ、特に目が似てる。 ところで簿記を英語でも「ボキ」と聞こえて「bookkeeping」がそのまま日本語になったと知りました、洋画を観て知ったことがまたひとつ増えました。簿記検定の経験はあるけどそんなこと言ってた先生はいなかったような気がする。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2021-05-07 12:53:09) |
160. ハンナ
《ネタバレ》 まず感じたことは、スタイル、作風が中途半端ってことです。 CIA絡みですけどCIAをまったく感じない、武器や機密情報を盗む犯罪組織みたいだ ケイト・ブランシェットの悪役ぶりは童話に出てくる魔女みたいです。 冒頭の一面の雪景色と山小屋のとこはよかったんです、これから何がどうなるかわりとワクワクするんですけどね。 シアーシャ・ローナンの透明感は尋常じゃないですね、ケイト・ブランシェットもその点では負けず劣らずです。 透明度の高い女優二人が美しくかっこいい映画。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2021-05-05 16:25:12) |