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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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141.  男たちの大和 YAMATO 《ネタバレ》 
出所した角川春樹の復帰第一作で、「北京原人」のあと、映画の仕事から干されていた佐藤純弥監督にとっても久々の新作となった大作戦争映画。公開当時は佐藤監督の映画を見るのに抵抗があったのと、角川春樹というのにも今さら感があったのだが、「新幹線大爆破」を見たあとなんとなく佐藤監督の映画を見るのに抵抗がなくなったことで、とりあえず見てみた。当初、脚本としてクレジットされていた野上龍雄がトラブルで降板し、脚本も佐藤監督一人によるものだが、脚本に関してトラブルがあったことをあまり感じることはなく、思ったよりはまともな(少なくとも「ローレライ」よりは)映画だった。しかし、レイテ沖海戦のシーンは描写があっさりしすぎており、戦闘シーンも大和乗組員たちの悲壮感があまり感じられず、実物大の大和のセットの迫力ともあいまっていかにも角川春樹らしいなあという思いのほうが先に立ってしまうし、最近の美術さんは「汚し」を知らないのかと思うほどいつまで経ってもセットがキレイなのは違和感がある。(そりゃ、撮影終わったあと、展示するのを考慮してるのかもしれないけど、リアリティーなさ過ぎ。)沈没シーンも東宝の「連合艦隊」のようなドラマチックさはない。生き残った神尾(仲代達矢)の回想形式で進んでいくが、合間合間に入る現代のシーンはけっこうくどく、とくに神尾が心臓発作を起こして倒れている間に若き日の神尾(松山ケンイチ)が戦死した戦友(内野謙太)の母(余貴美子)に会いにいく回想が流れるのは、意図としては分かるのだが、なんだか強引な気がするし、倒れた神尾を真貴子(鈴木京香)が介抱するのも、鈴木京香の見せ場をとりあえず作っておいたという感じしかしない。はっきり言って現代のシーンは最初と最後だけでよかったのではないかと思う。全体的に見て、さっきも書いたようにまともな反戦映画であることは感じられるが、やっぱりそれよりも先に角川春樹の映画だなというのが来てしまい、見終わってあまり残るものはないように感じるし、同じテーマの映画なら「連合艦隊」のほうが好きだな。白石加代子が神尾の母役で出演しているが、この人には金田一シリーズなどで怖いイメージがあり、出ている間もずっとそのイメージが抜けなかった。先週まで「緋牡丹博徒」シリーズを見ていたせいかどうかわからないが、寺島しのぶがお母さんの富司純子にちょっとだけ似て見えた。(富司純子のほうが好きだけど。)
[DVD(邦画)] 5点(2011-11-19 13:04:49)(良:2票)
142.  TAKESHIS’
北野武監督の「芸術家三部作」の一作目。方々で酷評されていたので死ぬほどつまらないのではないかと覚悟を持って見たのだが、案外楽しめた。ネタ的には押井守監督の「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」に近いものがあるのだが、あれと比べるとインパクトが薄いにもかかわらず、ふたりの「たけし」が出会うことによって起こるたけしの創造するイマジネーションの世界に見ているうちにだんだんと引き込まれた。お笑い芸人から大御所タレントとなり、映画監督としても巨匠と呼ばれる存在になったたけしだが、本当はコンビニのアルバイトをしながら売れない芸人のままでいたかったのではないかと思ってしまう。また、この映画を大ヒット作である前作「座頭市」の次回作として手がけたのも、「座頭市」で世間一般についた「売れる映画を撮る監督」というイメージを覆したかったのではないかと思う。大ヒット作を世に送り出してしまうとその次の作品は二番煎じを狙った映画であってもおかしくないのに、本人がその大ヒットや自分に対する周囲の評価に戸惑っているふうにも見え、「おいらはそんなたいそうな人間じゃないんだよ。」というそれらに対する返答(反論)をこの映画一本使ってしているように見え、たけしの人間性も少し垣間見えた気がして、ちょっと興味深かった。でも、世間的に駄作と言われている(それもたけしはそうなることを分かっていながらわざとやっているのかもしれないが。)理由もよく分かるので、今まで見たたけし映画の中ではもっとも他人(とくにたけし映画を一本も見たことがないような人)には薦められない映画だろうなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2011-10-01 23:13:03)(良:1票)
143.  素晴らしき休日(2007) 《ネタバレ》 
カンヌ国際映画祭の企画で世界的に知られた35人の映画監督たちが製作したオムニバスの中の一本。田舎の映画館に映画を見に来た男(モロ師岡)が相次ぐ上映中のトラブルに見舞われるという話で、途中でフィルムが切れたり、燃えはじめてしまうところはおもしろおかしく描写されてはいるが、実際に昔はこういうことがよくあったのだろうと思うし、田舎にポツンとあるような映画館ではひょっとしたら今でもまれにあるかも。僕自身は映画館での上映中のそういったトラブルに遭遇したことがないし、今後も遭遇する確率は低いだろう。でも一回ぐらいはこういうトラブルに遭遇してみたい気持ちもないではない、というのは冗談。(でもここ数年映画館にまったく行っていないなあ。)この作品自体は3分間しかないのであまり書くこともないのだが、上映されていた映画が個人的にたけしの映画の中ではいちばん好きな「キッズ・リターン」だったのが嬉しく、映写される断片的な映像を見ながら、また久しぶりに見たくなった。「キッズ・リターン」はたけしのバイク事故後、初の監督作品ということなので、たけし自身にとっても自作の中では思い入れの強い映画なのだろう。
[DVD(邦画)] 6点(2011-10-01 22:10:19)(良:1票)
144.  市川崑物語 《ネタバレ》 
岩井俊二監督がもっとも影響を受けたという市川崑監督について描いたドキュメンタリー。ひたすら市川監督の誕生から「犬神家の一族」リメイク版に至るまでの経歴を字幕で追っているだけでドキュメンタリーというよりは市川監督について書かれた書籍を画面越しに読んでいる感じではっきり言ってあまり面白くはない。しかも、金田一シリーズのところで市川監督の演出の特徴である細かいカット割り(1976年の「犬神家の一族」での遺言状が読まれたあとのシーン。)を流しておいて分析でもするのかと思ったらそれで終わっていたり、金田一シリーズの部分の字幕も「タイトルクレジットが見たこともないフォントになっていた。」とか、「そのままもう一回見た。」、「一週間後友達を連れてもう一度見に行った。」などというかなり低次元の主観的なものになっており、岩井監督が金田一シリーズ、とくに「犬神家の一族」に思い入れが深いのはじゅうぶん分かるのだが、これでは他人と映画の話をしていて、相手を無視して自分の好きな映画について勝手に一人で熱弁をふるっているのと同じにしか見えず、僕も市川監督の映画は好きだが、さすがに正直、それがどうしたのと思えてくるし、一人の人物に迫ったドキュメンタリーというならばもっと踏み込んだ映画にしてほしいところで、せめて「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」のように関係者(と本人)へのインタビューで構成したほうがよかったのではないか。実際、「どら平太」の頃にNHKで放送された市川監督についてのドキュメンタリー番組ではそういう構成であったが、明らかにそっちのほうが面白かった。(ちなみにその番組には岩井監督もインタビューを受けるひとりとして出演している。)最後のほうで「犬神家の一族」リメイク版のタイトルロールがノーカットで流れるのだが、そこに来て、ひょっとしてこれはドキュメンタリーの皮をかぶった、新作映画をPRするための宣伝用映画だったのではないかと気づく。そう考えると今さらこの映画を見る価値はほとんどないのではないかと思えてきて、見たこと自体をなんかむなしく感じてしまった。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2011-08-12 11:47:18)
145.  河童のクゥと夏休み 《ネタバレ》 
「構想○○年」とうたい文句にしている映画はあまり面白くない印象があり、この映画も原恵一監督が20年ほど前からあたためていた企画を実現させた作品と聞いていたので、見たい反面、不安もあり、なかなか手が出ずにいたが、ようやく見た。ほのぼのした前半からマスコミがクゥのことを嗅ぎつける中盤あたりからシリアスになり、やがてそれが広まって報道陣が上原家の前に陣取る様子はものすごくリアルで、テレビの取材に興奮する康一の描写なども実際こういうことに遭遇すると仕方がないよねという感じでものすごくリアリティがある。ストーリーはこの後半からつらい方向にいき、自分がいることで上原家に迷惑をかけていると自責の念に駆られるクゥに感情移入し、虐待を受けていたオッサンの過去もついついウルっときてしまった。テレビに出演したクゥが父親の腕を見せられるところや、クゥを守ろうとしたオッサンが跳ねられて死んでしまうシーン、それに東京タワーのシーンはそのときのクゥの気持ちが痛いほど分かり、見ていて本当に泣けてくる。とくにオッサンが死ぬシーンはそれまでのクゥとの関係や、これまでのオッサンの生き様を考えると切なくてたまらない。全体的にはややいろいろ詰め込みすぎてしまった感はあるが、この映画の主軸はひとりぼっちになってしまった河童と現代の家族の交流を描いたひと夏の物語であり、登場するのはごく普通の平凡な家庭。中盤以降にある動物の目線から見ると人間社会はこうだというやや批判めいた描写が強烈で、マスコミや野次馬の描き方なども露骨ではあるが、でも決してそれが後半の主題になることはなく、クゥと上原家、クゥと父親、それに康一と菊池の関係がずっと主題として描かれている。おそらく「クレヨンしんちゃん」映画シリーズと同じく家族や親子、友情を描くことに原監督のこの映画に対するテーマというか、そういうものがあるような気がする。アニメの絵柄が最新のデジタルでなく、地味なアナログのような絵柄なのは原監督の意向かもしれないが、絵柄が素朴な分、映像もなんとなく優しさが感じられるものになっているのもいい。どこかで原監督は松竹大船調を受け継ぐ監督だと聞いたことがあるけど、それもよく分かる。それにしても最近殺伐とした映画ばかり見ていたような気がするのでこういうあたたかい映画を久しぶりに見ると、やっぱりこういう映画っていいなあと思える。見る前の不安はすっかり消え去り、見終わったあと、素直にこの映画を見てよかったと思えたし、原監督らしい佳作だったと思う。これからも原監督の作品はできる限りずっと見ていこう。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-05-31 13:31:14)(良:1票)
146.  ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない
「電車男」(原作、映画、ドラマ共に未見だが。)と同じようにネット掲示板から派生した書籍の映画化らしい。たぶん、この映画で描かれている会社を「ブラック会社」というのはちょっと違うような気がするし、主人公(小池徹平)の同僚たちもコミカルに描かれておりどこかリアリティーに欠ける部分があるように思うのだが、元ニートの主人公(小池徹平)が成長していくサクセスストーリーとしてそこそこ面白く出来ており、また主人公に優しく接する藤田(田辺誠一)の過去なども放置せずにちゃんと描いているところも良かったと思う。でも、もうちょっと深みがほしかった気もして、例えば主人公の屈折感をもう少し掘り下げてもよかったのではないか。小池徹平は初めて出演作品を見たのだが、けっこうハマリ役で、この主人公が見ていて親しみがわいてくるような好印象なのもその影響だろう。リーダー役の品川は、ガンダムマニアのKYな同僚とともにうざったく、なかなかハマッいるが、この人は「ガリレオ」の弓削刑事を演じていたときもちょっとうざく感じていたので、元々こういうキャラで売っている芸人(そうなのかはよく知らないが。)で、ひょっとしたら役作りせず、素のまま演じているのだろうなあと思ってしまった。なんだか褒め言葉になってないなあ。この映画に関しての全体的な感想は見る前は全く期待していなかったし、実際不満もあるが、そんなに悪くない映画だったと思う。
[DVD(邦画)] 5点(2011-05-15 15:55:20)(良:1票)
147.  憑神 《ネタバレ》 
降旗康男監督が「鉄道員(ぽっぽや)」に続いて浅田次郎の小説を映画化した時代劇。浅田次郎原作の映画はこれまで2本(「鉄道員(ぽっぽや)」、「壬生義士伝」)しか見ていないが、面白いと思ったことがなく、降旗監督の映画もどちらかと言えば苦手なので全く期待していなかった。前半は軽いコメディータッチで降旗監督にしては珍しいと思ったが、ちょっとギャグがくどく感じられる部分もあり、あまり笑えない。死神(森迫永衣)が登場するあたりから映画の雰囲気がシリアスになるが、なにやらコメディータッチが気がついたらいきなりシリアスモードになってしまった印象で少し違和感を感じたし、盛り上がるはずのラストもちょと。でもそれだけならまだ良かった。原作のある映画だと、原作者自身がカメオ出演することがよくあるのだが、さすがにいちばん最後の浅田次郎の登場シーンは強引すぎるし、はっきり言ってただ出演したかっただけではないのかと思えてしまう。もし、そうでなければ何がしたいのか意味不明だし、もっと言うとなにもこんなことしてまで本人役で出なくてもと呆れる。この映画も最初に思ったとおり、以前見た2本と同じくあまり面白くはなかったが、この原作者登場シーンさえなければ、もう少しは印象は違っていたかもしれない。
[DVD(邦画)] 3点(2011-04-19 00:18:28)
148.  椿三十郎(2007)
黒澤明監督の「椿三十郎」を森田芳光監督がオリジナルと同じ脚本を使ってリメイクした時代劇。さすがに同じ脚本なだけあって話は面白いし、黒澤監督の言葉どおりいい脚本さえあればどんな監督でも面白い映画は出来るんだなと実感した。しかし、話は面白いんだけど、やはり織田裕二演じる三十郎には三船敏郎のような威厳も貫ろくも感じられず、どう考えてもミスキャストで本人はそうとう頑張って演じているのは分かるのだが、かなりの違和感を感じる。森田監督の演出もチャンバラのシーンで三十郎に息切れをさせたりして違いを出そうとしているが、ラストの決闘シーン(オリジナルを初めて見た時にかなり衝撃を受けた。)をああいう風に演出したのは単に映倫規定に引っかかるのを恐れただけなのではと感じてしまった。ただ、カラーになったことで椿に色をつけるという黒澤監督のやりたかったという演出が(当たり前だけど)出来てるのは良かった。しかし、白黒作品で椿の花だけ色がついてるというのが本来の黒澤監督の意図なんだろうな。奥方役の中村玉緒は若い頃の大映の時代劇のイメージが昨今のバラエティー番組のイメージよりも自分の中では強くなってしまっているが、やはり、最近の姿を見るとバラエティータレントのイメージに戻ってしまい、演技力はあるんだけど、入江たか子と比べるとどうも何か違うのではないかと思うし、城代家老を演じる藤田まことも伊藤雄之助のインパクトに比べると普通の印象。話が面白かったのは事実だが、演じる俳優によってこうも人物の印象は変わるのかと思った。(トヨエツの室戸はこれはこれでありだと思うが、三十郎と睦田夫婦に関してはオリジナルのほうがいい。)大島ミチルの音楽はどことなく彼女が担当したゴジラ映画の音楽っぽく聴こえなくもない。これを見て若人が黒澤映画に興味を持ってくれると嬉しいが、やはり個人的には三十郎は三船と黒澤監督あってのキャラだと思う。
[DVD(邦画)] 5点(2011-02-24 14:56:26)
149.  おとうと(2009) 《ネタバレ》 
山田洋次監督の「十五才 学校Ⅳ」以来の現代劇。市川崑監督の「おとうと」をモチーフにしたオリジナル脚本とのことだが、冒頭の小春(蒼井優)の結婚式で哲郎(笑福亭鶴瓶)が式を台無しにしてしまうシーンは「男はつらいよ」の一作目でのさくら(倍賞千恵子)の見合いのシーンを思い起こさせられるし、哲郎と吟子(吉永小百合)の関係はどこかさくらと寅さん(渥美清)の関係と似ているところがあり、「おとうと」というよりは「男はつらいよ」の新作を見ているような気分になり、ひょっとしたら山田監督は「男はつらいよ」の完結篇のつもりでこの映画を作ったのではないかと思う。それに山田監督は時代劇より現代劇のほうがやっぱり安心して見ていられる。吉永小百合に関しては相変わらずの演技でそれほどうまくはないし、いつもどおりの印象しかないが、「母べえ」に比べるとそれほど違和感は感じなかった。ただ、映画が「男はつらいよ」を思わせているためか、この役は倍賞千恵子のほうがよかったのではないかという気が少しする。山田監督が構想していた「男はつらいよ」完結篇のラストは、幼稚園かどこかで働き始めた寅さんが子供と遊んでいて心臓麻痺を起こすというものだったそうだが、この映画ではそうはなっておらず、モチーフとした「おとうと」をなぞっている。(リボンで二人手を結んで寝るシーンはデジャブを起こした。)これはこれでいいのだが、ここまで「男はつらいよ」っぽい話だと山田監督の頭の中にある「男はつらいよ」完結篇のラストそのままでもよかったのではという気もしないでもないが、(でも、もし「男はつらいよ」シリーズでそれが実現していたら、そのラストは悲しすぎる。)それだと「おとうと」をモチーフにする意味が無くなってしまうのかも。あと、エンドロールの最後に市川監督に対する謝辞が出てるけど、個人的には渥美清の名前も出してほしかった。
[DVD(邦画)] 6点(2011-02-06 15:44:46)(良:1票)
150.  容疑者Xの献身 《ネタバレ》 
「ガリレオ」の劇場版。ドラマからの勢いで見たが、この映画では石神(堤真一)と花岡(松雪泰子)のドラマが主軸になっていて、ドラマであった軽いコミカルな雰囲気がなく、陰気な雰囲気となっているのに驚かされる(数式を書いて推理するというドラマではお約束となっている部分もない。)もののこの二人のドラマが見ごたえがあり、原作のせいかもしれないが、客寄せパンダ的な印象が強い(そのために普段はあまり見る気が起こらないジャンルではあるが。)最近のテレビドラマの劇場版ではわりとよく出来てると思う。主演のはずの福山雅治を差し置いて堤真一と松雪泰子が事実上の主役として描かれているが、二人ともなかなかいい演技を見せている。ただ、脚本的にはなぜ石神が無関係の人間を殺してしまったのかという部分がちょっと理解に苦しむし、よく考えればわざわざそんなことしなくてもいいのではと感じてしまう。石神と花岡のドラマがよかっただけにこのあたりの石神の心境をもう少しちゃんと描いて欲しかった。それに殺されるホームレスの扱いの軽さも気になる。一方、花岡に関しては娘を守りたい親の心情や、石神に対する心の葛藤がよく描けていて、はっきり言って石神の心情よりよほど花岡の心情のほうが理解できる。最後のシーンは連行されていく石神よりも、意を決して自首した花岡のほうに感情移入してしまい、ジーンとさせられた。しかし、その後の二人の号泣シーンはちょっとわざとらしい気もする。主題歌を「ガリレオ」のアップテンポな「KISSして」からバラード調の「最愛」に変えているのは映画の雰囲気に合わせてのことだと思うが、それならば最後の最後で福山雅治作曲の「ガリレオ」のテーマ曲を流すのは止めてほしかった。(余韻がアレでちょっと飛んでしまった。せめて流すならドラマ同様最初のほうが良かった。)面白かったというわりには褒めているのか貶しているのかよく分からない文章になってしまった気もするが、予想ではもっとつまらないだろうと思っていたのでちょっと甘めだけど7点。このシリーズはけっこう好きなのでもし続編がまた出るなら見てみたいなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2011-02-03 18:49:26)(良:1票)
151.  風花(2000) 《ネタバレ》 
相米慎二監督の遺作となったロードムービー。非常に淡々とした展開だが、見ているうちにだんだん引き込まれた。風俗店で働くゆり子(小泉今日子)とそこの客として彼女と出会った簾司(浅野忠信)という互いに人生の屈折を味わった二人が主人公なのだが、その二人を通して人生とは何かということを深く考えさせられる映画になっていてとても良かった。全編にわたって死の影がつきまとい、とても重いのだが、相米監督は主人公の二人をとてもあたたかくそして優しく見つめているのが見てとれる。それはゆり子が雪の中で薬を飲んで自殺しようとするのを簾司がなんとか助けようとするシーンだったり、未来への希望の持てるようなラストシーンに躊躇に表れていて、この監督の優しさが感じられるし、もちろん、この映画の撮影中は相米監督は自分が死ぬことなど考えていなかったかもしれないけど、この映画が公開された年に肺がんにより亡くなっている。それを思うと遺作がこれなのは本当に偶然なのだろうかと思えてきてしまってなんだか妙に悲しくなってしまった。柄本明が座頭市のモノマネをするシーンは微笑ましいが、もし、相米監督が亡くならなければ次回作は初めての時代劇(「壬生義士伝」)だったということで、深読みしすぎかも知れないが初めて挑むジャンルへの意欲のようなものも一方で感じられていただけにやはり相米監督の早すぎる死というものが惜しまれる。この間見た「魚影の群れ」もそうだけど、相米監督というのはただのアイドル映画の監督というのではなく、れっきとした作家性も兼ね備えた素晴らしい監督であるということを遺作となってしまったこの映画でもじゅうぶんに感じることができた。まだ何本かしかこの監督の映画は見れていない気がするんだけど、出来る限り見ていきたいと改めて思う。
[DVD(邦画)] 7点(2010-11-04 14:43:36)(良:1票)
152.  単騎、千里を走る。
チャン・イーモウ監督が若い頃からファンだった高倉健を主演に迎えて手がけたロードムービー。イーモウ監督は「あの子を探して」でも演技未経験の素人を俳優として起用し、名作に仕上げていたが、この映画でも中国の部分に登場する俳優は健さん以外はオール素人で、やはり素人ならではの素朴な演技がいい味出しているし、健さんも実に自然に溶け込んでいて、きっと撮影以外でもこんな雰囲気だったんだろうなあと感じられ、映画自体もとても心温まるもので、イーモウ監督の持ち味がじゅうぶん発揮されている映画だと思う。中国に到着したばかりの健さんが言葉が通じない異国で孤独感に苛まれるシーンなどは思わず感情移入してしまった。しかし、そんな健さんが中国の田舎で携帯電話やデジカメを使っているのを見ると、なにかそこだけ浮いて見えるし、中国到着後も息子(中井貴一)の妻(寺島しのぶ)と携帯電話で話をするシーンが多く、画面に寺島しのぶが登場するととたんに違和感を感じてしまうのは残念。日本のシーンはイーモウ監督の希望で降旗康男監督以下日本人スタッフによるもので、外国映画特有の日本描写ではないので安心感があるが、中国に舞台が移ってからの日本のシーンも浮いて見え、物語に対する観客の集中力をそいでいるのではないか。とくに、ラスト近くで電話越しに手紙を読むくだりなどは感動を狙っているのだろうけど、やりすぎかな。はっきり言ってもっと日本のシーンは短くても良かったような気がする。最初に書いたようにとても心温まる映画ではある。けれど、やはり健さんが中国に行ってからはその後の日本のシーンが邪魔に思えて全体的に見ると正直そこまで入り込めなかったなあ。あと、通訳を介してのやりとりのシーンで、これから通訳が訳す中国人キャストのセリフに日本語字幕がつくシーンがいくつかあるが、少々くどい気がする。
[DVD(字幕)] 6点(2010-09-15 20:31:12)
153.  パコと魔法の絵本
見る前の予想よりは面白かったし、ストーリー自体はそんなに悪くないと思うのだが、「下妻物語」や「嫌われ松子の一生」と比べるとどうしても落ちる感じがする。前の2本では予告編では一見、CGなど見た目の派手さが売りの映画に見えて、実際はドラマとしてのみごたえがそれ以上にある映画になっていたが、本作はCGを多用した中島哲也監督の絵作りのうまさは相変わらずだが、ドラマとしての作り込みが弱いので本当にCGだけが見どころの映画に見えてしまい、失敗作のように思えてしまう。前の2本が良かったのはちゃんと登場人物(主人公)に感情移入できるような脚本になっていたからだと思うのだが、この映画ではときおりグッと来るような場面はあるが、登場人物にイマイチ感情移入できず、見ている側(自分)はひたすら傍観者状態。(「嫌われ松子の一生」で序盤から川尻松子に感情移入してたのとは正反対。)演じている俳優陣は楽しそうに演じていて演技も安心して見ていられるが、メイクが凄すぎるせいか、竜ヶ崎桃子は深田恭子でなければ、川尻松子は中谷美紀でなければというような絶対この役はこの人でなければというのが無く、その上、俳優の個性というものが死んでる(全員とは言わないが。)気がして、なんか勿体無く、それが登場人物への感情移入を妨げる要因になっているのではないか。「下妻物語」なんかは出演者全員がはまり役で、それぞれの個性をよく活かしていただけにこのあたりは残念。ラストもなにか強引に感じる。中島監督はこの映画を息抜きのつもりで作ったのかもしれないが、この監督にはもっと中身で勝負する映画を作ってもらいたい。
[DVD(邦画)] 6点(2010-09-14 21:47:33)(良:4票)
154.  下妻物語 《ネタバレ》 
深田恭子、土屋アンナという主演の役者に興味がない上、ロリータファッションには嫌悪感を覚えるし、ヤンキーにも抵抗感がある。つまりこの映画を見たいと思う要素が自分には皆無である。なので見る前はたぶん自分には合わないだろう、つまらないだろうと思って全く期待していなかったが、それなのにいざ見始めると気がついたらのめりこんでいる自分がいたことにビックリ。中島哲也監督の映画を見たのはこれが初めてだったのだが、アニメやCGを多用していたりして映像にかなり凝っていて、しかも大林宣彦監督なんかと同じでCM演出家出身ということもあってか、その絵作りがとてもうまく、また演出もよかった。登場人物とキャスティングに関してもミスキャストが一人もおらず、みんなはまっている。特に主演の二人のはまり具合が絶妙で、中でも桃子役の深田恭子は今まで何本か見てるけど、はまり役と言えるものを見たのはおそらくこれが初めてだろう。クライマックスで別人の如くキレるシーンは痛快。ハイテンションでバカバカしく笑える前半から女同士の友情ものへと転換する後半、この後半に持っていくところまでにドラマ的にもう一山欲しかったところだが、それでもこれがなかなか良くてほろっとさせられる。挿入歌として流れる「美しく青きドナウ」などのクラシック音楽や尾崎豊の楽曲の使い方もうまい。とにかく今まで食わず嫌いだったのがウソのように面白い映画だった。最近の日本映画では間違いなくエンターテイメント映画として成功している一本だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2010-09-14 21:46:28)(良:2票)
155.  交渉人 真下正義
今頃になって初めて見たが、なんというか「機動警察パトレイバー」の映画1作目を見てれば見なくてもいいような内容で、カラスの出し方など押井守監督を意識した演出も多く、本広克行監督がいかに押井監督のファンかというのが伝わってくるただそれだけの映画だった。地下鉄暴走シーンが目玉なのかと思ったらそうでもなく、中途半端に笑いをとろうとするシーンが多くあったり、役者の芝居を含め全体的に緊張感がない。真下が犯人と交渉するシーンもなんか本当にこんな交渉術あるのといった感じでつい突っ込んでしまった。「踊る大捜査線」の映画シリーズは2作ともまあこんなもんだろうという感じで可もなく不可もなくという感想だったが、これはさすがに駄作だろう。あと西村雅彦がクラシックコンサートの指揮者というのは違和感ありすぎで笑った。全体的に見てこの後のテレビスペシャル「逃亡者 木島丈一郎」のほうが面白かった本作だが、国村準と石井正則の「大京映画」コンビ(2000年下半期朝ドラ「オードリー」より)のかけあいに懐かしさを感じたのでそこにプラス1点。金田龍之介を見ると、錦之介の「子連れ狼」で演じていた阿部頼母をつい思い浮かべてしまう。そりゃ、インパクトありすぎる役だったもんなあ。
[DVD(邦画)] 4点(2010-09-14 21:40:59)
156.  キサラギ
まあ想像していたよりは面白かったし、ところどころに笑える箇所とかもあって楽しく見たんだが、正直そこまで絶賛されるほどの映画だとは思えなかった。あと、ちょっと騒ぎすぎで役者の芝居に落ちつきがないように感じられるのも個人的にはちょっとね。ユースケ・サンタマリアを俳優として「踊る大捜査線」関連以外ではじめて見た気がするが、オダ・ユージという役名で「踊る大捜査線」に出てきたようなセリフを言っているのが笑えた。でも、演技は真下をやっている時とそう変わらないなあ。
[地上波(邦画)] 6点(2010-09-14 21:39:57)
157.  ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
ガメラの金子修介が満を持して念願だったゴジラを監督ということで期待して見た。ゴジラが初代に近い感じでとても良かった。だけどやっぱり初代を超えてはいないと思うし、金子作品としてもガメラのほうが面白いと思う。でも、天本英世をまた特撮映画で見られたことに感動。これだけでもこの映画に10点つける価値はじゅうぶんにある。
[ビデオ(邦画)] 10点(2010-09-14 21:34:17)(良:1票)
158.  釣りバカ日誌18 ハマちゃんスーさん瀬戸の約束
シリーズ第20作。わが地元である岡山でロケをしたということで公開時地元テレビのローカル番組でやたらと宣伝されてた。だからというわけでもないが、今回はテレビ放送を待たずしてDVDでの鑑賞。前作がかなりつまらなかったので全くと言っていいほど期待していなかったが、ここ最近あまり見られなかった浜ちゃんとスーさんの絡みが今回は多く、またここ最近の定番であった男女ゲスト二人の恋愛劇も今回はいつもより控えめだったので久しぶりにこのシリーズらしい作品になっていて(前作では守られていなかったシリーズのいわゆる「お約束」も今回はきちんとあって○。)楽しめた。浜ちゃんが自分の会社が進める建設事業の反対運動に加わるという話は初期の作品でもあった気がするけどまあいいか。ワンシーンだけ出てきてセリフも一言だけの小沢昭一がさすがに若い頃に出演していた川島雄三監督作ほどではないもののそれでもやっぱりどこか怪しさのただようインパクトのある役柄ですごく印象的。しかし同時にやはりどこか川島作品に出ていた当時と比べて物足りなさも感じる。ところで、星由里子が岡山弁しゃべってると10年ほど前のNHK朝ドラ「あぐり」での野村萬斎の母親役を思い浮かべてしまう。そういえばあのドラマ、高嶋政伸も出てたなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2010-09-14 21:15:24)(良:1票)
159.  ザ・マジックアワー
三谷幸喜監督の前作「THE 有頂天ホテル」を劇場で見た時すごく面白かったのだが、後になってDVDやテレビで見返すとそれほどでもなかったので、最初からDVDで見る本作にはあまり期待してなかったのだが、そこそこ面白かった。でも、売れない俳優を偽者に仕立て上げるという設定が「合言葉は勇気」の使い回しのようでややネタ切れかなと感じたのは残念。ボス(西田敏行)のいる部屋が「ゴッド・ファーザー」のドンのいる部屋を明らかに意識した作り(でも、西田敏行はマーロン・ブランドのようにはいかないよなあ、やっぱり。)だったり、伊吹吾郎がバーテンを務めるバーの名前が「赤い靴」だったりするのは笑えるし、深津絵里に名前をたずねたあとの佐藤浩市のセリフに大笑いしてしまった。(少しマニアックかもしれないが。)ほかにも、劇中劇映画に登場する鈴木京香の劇中での役名が小夜子というのも「犬神家の一族」の小夜子(川口晶、奥菜恵)を意識してるようでなんか笑える。「犬神家の一族」といえばやはりこの人の事を書かなければいけない。リメイク版に三谷監督が出演している関係からか、本作には劇中劇映画「黒い101人の女」(「黒い十人の女」)の監督の役で市川崑監督が出演。「ヨーイ、スタート」のかけ声とともに撮影が始まるのだが、これが市川監督にとって最後の「ヨーイ、スタート」なのかと思うとやっぱり何か感慨深いものがあるし、ああ、これが映画監督 市川崑の最後の姿なのかと思うと少し辛くもある。また、市川監督が撮っている映画の主演俳優役が中井貴一というのも、実際に市川監督の後期作品の常連だっただけに、それを意識したキャスティングなのかもしれないが、これもなにか感慨深い。そういえば、鈴木京香もテレビドラマが中心だったが、市川作品に数回出ているなあとそんなことも思ってしまった。全体としては6点くらいが妥当かなあと思う映画なんだけど、市川監督の関わった最後の映画ということで少し甘めに7点。
[DVD(邦画)] 7点(2010-07-26 21:55:32)(良:1票)
160.  WXIII 機動警察パトレイバー 《ネタバレ》 
「機動警察パトレイバー」の劇場版第3作だが、監督が交代となり、主役も特車二課の面々から本作オリジナルキャラクターの刑事二人に変更されており、本来のパトレイバーとは違う雰囲気だが、絵の雰囲気や音楽は2作目に近い雰囲気で、主役の刑事が歩き回りながら捜査をするシーンなどは1作目を彷彿とさせている。しかしどうもねえ、シリアスなのはいいのだが、それに加えて暗く、特車二課の面々もほとんど出てこないので、本当にこれはパトレイバーなのかと思ってしまった。今回、登場するのが夫と娘を亡くしたマッドサイエンティストの女で、その女がガン細胞と娘の遺伝子を融合させて怪獣を作り出すという設定も「ウルトラマン」とかなら脚本的に違和感無いのだが、(実際見ていて「ゴジラVSビオランテ」の高橋幸治を思い出してしまった。)押井守監督が手がけた前2作で描いたサイバーテロやクーデターと比べるとリアリティーが全く感じられない。(まあ、前2作は現在だからこそリアリティーが感じられる部分もあるのだが。)それでもパトレイバーとは別物のSFアニメ映画と割り切ればそこそこ面白いとは思う。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-07-22 16:22:18)(良:1票)
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