161. 隠された記憶
《ネタバレ》 余韻を持たせて観るものを引き込んでいくのとはわけの違う、なんか「ピーマンニンジンタマネギはそろえたよ味付けはこんなんどうかな」と材料だけ揃えて、多くの作業をこっちに投げているような映画に思える。ラストを迎えてもさっぱり掴めないストーリーは「見ろ、感じろ、考えろ」と監督が鞭打っているかのような感覚。きっと家庭で観賞した方の多くが、どこかに伏線がないか、どのシーンに意味があるのかと繰り返しビノシュやオートゥイユを眺めたろう。犯人はあれですよ、ハネケです。長回し好き監督の趣味ビデオ…とふざけつつ、高尚のようで下世話でもあるこの混沌とした感じを嫌いにもなれない。点数付けづらい映画№1。 [DVD(字幕)] 7点(2007-01-06 00:59:45)(良:1票) |
162. 太陽(2005)
《ネタバレ》 地獄絵図の東京でぽつねんと取り残された楽園に暮らす、孤独な孤独な王様の姿に目が潤んだ。極度のマイペースで、蟹の甲羅に向かって真情を吐露したり、丹念に写真を眺め思いを巡らす彼の姿は、ぴったりとカーテンを閉めて他の誰をも信じず受け入れはしない。「神」と呼ばれる自分を受け入れていないのだから無理もないが。「人」であることでの新たな苦悩が感じられるラストも胸が痛んだ。2時間の独壇場、確かに昭和天皇であり続けたイッセー尾形と、外国人がこれを監督したという事実に観賞後改めて驚愕した。 [映画館(字幕)] 9点(2007-01-04 22:04:00) |
163. ピンクパンサー
スティーブ・マーティン映画。これが一番分かりやすい解説かと。ガハハと笑えてパリと衣装と美術が冴えている面白い映画でしたよ。でね、誰かエミリー・モーティマーに助演女優賞をあげて。 [DVD(字幕)] 7点(2006-12-19 00:02:31) |
164. 南極物語(2006)
懸命に生きる犬はお利口で可愛らしいです。アザラシVS犬のシーンなんかどうやって撮ったんでしょ?すごかったですね。でもね、犬を置き去りにした人間の苦悩が中途半端。アドベンチャーの末「おうおう生きていたよヨカッタネー」というお話でもありますが、弱い立場の命を守れなかった痛みを観客が感じることも、大切だと思うんですが。 [DVD(吹替)] 4点(2006-12-17 18:09:25) |
165. ゴッホ
私は冒頭5分でティム・ロスに懐柔され、映画の世界に連れて行かれた。タイトルに名前を挙げておきながら弟テオの描き方が物足りない感じだったが、アルトマンの静かな演出、南仏の田舎の美しさ、静と狂気を手のひらを返すがごとく演じていくティムに感心しきりだった。現代、巨匠と言われて久しいゴッホとゴーギャン、黄色い家での痛々しい生活が芸術の世界の厳しさそのままに思えてならない。 [DVD(字幕)] 8点(2006-12-17 00:14:29) |
166. マルクス兄弟 オペラは踊る
う~~、期待が大きかったかな。この映画と私の間にある「時間」という河は、深くて大きかったようです。品の良い笑いのあれこれより、波止場の別れやハープの音色のようなロマンチックなシーンに惹かれました。でもそれがまた短いのよ。ちと残念。 [映画館(字幕)] 5点(2006-12-05 00:21:38) |
167. 美しい人(2005)
この監督の十八番、日常を切り取ってパズルみたいに組み合わせた映画。悲哀の色が強い作品だった。「起承転結」の「起」のあたりが羅列されているのでなかなか面白いけれど、不満も残る。こんなに沢山ネタがあるのなら、この方法からはそろそろ脱却して、ひとつの物語にじっくり向き合える作品を作ってみればいいのに。フィクナーもちょっと物足りない印象だった。 [映画館(字幕)] 6点(2006-11-20 16:03:33) |
168. こねこ
なんだよぉ~、たかがネコなのに~、子どもっぽい話なのにぃ~、こんなに泣かせんなよぉ~!ネコ好きな私には反則技満載、お茶目で愛おしいネコの姿でいっぱいの映画です。これ以下の点数はどうしたって付けられません。 [DVD(吹替)] 8点(2006-11-19 21:31:34) |
169. 40歳の童貞男
オタクおじさんアンディの、真面目で楽しい脱バージン日記。こういう人どこの国にもいるんだね。「下品」のラインをギリギリ越えちゃった部分もあったけど、ゲラゲラ笑った私も私なので…。意外とカップルオススメです。でも高得点の後押しをしたのはなんつってもエイジアですな。クライマックス泣きました。 [DVD(吹替)] 8点(2006-10-29 10:50:25) |
170. ダック・シーズン
《ネタバレ》 いやあ、もっと小気味よく可愛らしい映画かと思っていたのでがっかり。狙いまくりの画(しかもオシャレモノクロ)の連続、序盤のダラダラ伸び伸びでちょっと嫌な予感。中盤人情風味でエンジンてこ入れしてちょっとおセンチなラスト。よくあるよくある、私苦手だこういうの。回想録だけじゃなくて何か物語を盛り込んでくれなきゃつまんないよ。エンドクレジットで小津とジャームッシュの名前が出てきてなるほどなあ、と。私には向いていない映画だった。 [映画館(字幕)] 5点(2006-10-28 14:56:43) |
171. 東京ゾンビ
楳図センセ、そこは敬礼じゃなくて「グワシッッ」です!あの汚いマシンガンもセンセがぶっ放すべきです! [DVD(邦画)] 6点(2006-10-22 19:13:14) |
172. アルビノ・アリゲーター
《ネタバレ》 三人寄れば派閥ができる…職場の先輩が言っていた名句。この状態をよく表現している面白い映画だったと思う。逃げ場のない空間、知的温厚派とキレた武闘派のあいだで、どっちつかずの男がメトロノームの針みたいに振れる。あのやじろべえがマット・ディロンという配役も絶妙。密室内での彼の心理が主だった筋になっている。でも、中盤フェイ・ダナウェイが説明セリフを言うのが変だし、ヴィゴの設定はもうちょっと活かせた気もするし、何よりラストが後味悪すぎた。少し点数低め。だけどフィクトナーの二の腕はスゴイなあ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-10-21 09:42:40) |
173. アナコンダ2
《ネタバレ》 ジェニロペ無しのゲロパク無しでインパクト無し。 [DVD(字幕)] 3点(2006-10-17 22:50:31) |
174. ゆれる
私が田舎ものでつまらない人生を送っているからか、この物語の深淵を覗く力がないからか…。皆さん、どのあたりでゆれました?自分自身のリアルな生活で感じる「ゆれ」よりもハッとさせられました? [映画館(邦画)] 6点(2006-10-16 23:29:26) |
175. レディ・イン・ザ・ウォーター
《ネタバレ》 シャマランの映画はやっぱりヘタクソだ。でも今回は、あっと驚くどんでんを使わず強いメッセージを送ってきている。この世を救う予言を持った妖精を、「秩序や掟を守らず攻撃を仕掛ける野獣」から守る物語。どこか世間からずれた人たちが集まるアパート。アフリカンアメリカンの透視少年、南米系、インド系、コリアンの巫女などの活躍。過去に大きな傷を負い淡々と暮らすジアマッティの再生と、ときおりTVに映るイラクの画。ファンタジーとごっちゃになって分かり難いところも多々あったけれど、自らが準主役にまで扮して、シャマランはこの世界の再生を願う気持を伝えてきた。その姿勢を評価したい。批評家をザクザクぶった切ったことも含めて。まあ、ただ単にジアマッティの涙にジーンと来ただけかもしれないけれど、それはそれで素晴らしかった。 [映画館(字幕)] 8点(2006-10-03 01:38:05)(良:1票) |
176. 魁!!クロマティ高校 THE MOVIE
もっとバカでいいのに。意外と真面目な姿勢が見えちゃってたのがいけません。でも歪んだようなチャイム音と校舎の映像は「ドニー・ダーコ」のリスペクトと見た…んなわけないか。 [DVD(邦画)] 6点(2006-09-25 23:32:40) |
177. ローズ・イン・タイドランド
覗くの怖い、でも見てみたいパンドラの箱。蓋を開けるとまず広がるのは黄金の草原…。訳のわからん想像の世界、ちょっと悪趣味な雰囲気の向こう側から、ドーンと轟く何かが私の耳には聞こえてきた。他人にとやかく言われなきゃちゃんとこういう映画を作るギリアムを心から尊敬する。誰も真似できない怪作。 [映画館(字幕)] 10点(2006-08-26 22:23:29) |
178. カーズ
低い点数で申し訳ない。とってもよくできている愛らしい作品なんです。車(レース)好き、アメリカ文化好きな方には、ステキな洒落も含めてたまらなく楽しい映画だと思います。でもこのターゲットが私からずれちゃってたんですね。もうそれだけ。今回のピクサーは、今までオモチャや魚、ひとつ目お化けが主役だったところから車が主人公になったところで、ちょっと大人向け作品になった感があります。過去トップレーサーだった車とか、都落ちした弁護士とかね…。あとは、子ども向けにしては116分は長すぎかと思いました。 [映画館(吹替)] 6点(2006-08-25 20:28:53) |
179. 華氏451
《ネタバレ》 初トリュフォーでした。これまたゾッとするような綺麗な画を作る監督さんですね。色や美術もさることながら、燃えていく本のページ一枚一枚が消えていく様を見て驚きでした。あの結構なスピードで走る消防車に直立不動で乗っている隊員の冷たい感じも最高。モノレールの向こうの曇天、プロパガンダTV、本を燃やすことに喜びを覚える隊長の狂気、なんというか雰囲気、世界観の作り方にぬかりが無く引き込まれました。物語についは、本のみ排除することへの不思議さや呆気ないラストなど、首を傾げないでもないんですが、私の場合、今回は世界観と映像美が完全にそれをカバーしました。40年前に壁掛けテレビを予想しただけでスゴイですよ。リモコン無かったけど…。私が本の人だとすれば、「大きなカブ」で勘弁して欲しいです。 [DVD(字幕)] 8点(2006-08-21 00:06:22) |
180. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 影の多い画で描かれる、負の連鎖の物語。話の暗さを物語る影が登場人物たちにいつも覆い被さっている。少年時代の事件に囚われ、脱出できない悲しい男たち。ジミーはこれからも自分に金メッキを塗りたくって虚勢を張って生きていくのでしょう。ズブズブとぬかるみの中を突き進むのでしょう。あの悲しげなチンピラの風体はショーン・ペンの当たり役ですね。少女を殺した少年も、少女の恋人も、あのジミーの嫁でさえも負のサイクルに囚われたまま行くのでしょう。ケイティとデイブ以外の人生は、まだこれからも様々に形を変えて続いていく、という印象をあのパレードのシーンで感じました。確かに人とはあんな生きものかもしれない。けれど私は、重たいまま終わるこの話からは、心に刺さる何かでなく鈍痛しか感じられなかったです。映画界のヒーローである監督の暗部なんでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2006-08-17 02:11:51)(良:1票) |