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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2251
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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161.  ビバリーヒルズ・コップ
大好きな作品です。まず何といってもキャラクターが魅力的。アクセル、タガート、ローズウッドの掛け合いを観ていると、いつもニヤけてしまいます。(登場人物を俳優ではなく役名で覚えていること。自分にとって大切な作品はこのパターンが多いようです。)また、ギャグを交えた台詞も見所。個人的には、吹替え版の方が断然好みです。訳そのものも字幕より気が利いていますし、ギャグのニュアンスが伝わり易い気がします。これはアクセル役の声優、故富山敬さんの力に負うところが大きいかと。私にとってエディ・マーフィーの声は、下条アトムでも山寺宏一でもなく、富山敬。やはり最初に耳にした声が、オリジナルとして心に残ります。あの軽妙な、リズミカルな言い回しが忘れられません。(富山氏のご冥福を心よりお祈りいたします。)なおまったく個人的な話ですが、本作のテーマ曲を聴くと「とんねるずのオールナイトニッポン」が浮かんできます。ハガキコーナーで使われていた曲。歌にしても映画にしても、人それぞれの想い出と共に残っていくもの。自分にとっては、初めて観たテレビ吹替え版が何より愛おしいのです。
[地上波(吹替)] 9点(2007-01-10 18:21:09)
162.  クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡
“普通に”面白かったです。まずクレしんらしいお笑い満載なのが嬉しかった。定番のギャグも健在でしたし、劇画調?転換シーンは爆笑しました(公共交通機関を使っていても急ぐ必死さが伝わる!)。アクションシーンも好調。さらに家族愛にホロリとさせられます。つまり、笑えて泣けて楽しめる、期待どおりの娯楽作品であったわけです。“普通に”面白いということは、本当は凄いことだと思います。本作は傑作というほどの出来ではないかもしれません。でも確実に、観客の求めるものを提供していると思いました。確かな技術とシリーズ作品に対する深い理解がなせる業だと感じます。私事で恐縮ですが、本作の制作(下請け)に妹が携わっております。一応スタッフロールにも名前が載っているのですが、本人はそのことに気づいていませんでした。陽の当たらぬ、数多くの縁の下の力持ちの努力なくして作品は生まれません。東京で頑張る彼女に敬意を表して+1点とさせてください。
[DVD(邦画)] 9点(2006-12-23 18:37:33)(良:1票)
163.  宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 
ハリウッド超大作か、映像は凄いのかもしれないけど、大味なんでしょ。深みという点では今一歩なんじゃない。そう思っていました。でも見事なまでに、その予想は裏切られました。めちゃくちゃ面白い!というか、怖い!!身じろぎも出来ず物語に引き込まれました。それは徹底した主人公目線での描写によるところが大きい。大局が分からないため、観客は傍観者(第三者)にはなれません。常に主人公であり続けなければならない。さらに民間人であることも、感情移入を助けます。侵略者に襲われる恐怖、それ以上に子供の命を失うかもしれないという恐怖は、半端ではありませんでした。下手なホラーやサスペンスよりずっと怖い。オチも自分好みでした。武力で勝つのではなく、生命の歴史で勝つ。しゃれていたと思います。金に物を言わせた映像美だけではない、確かな演出力。さすがスピルバーグ。これぞ自分が求めていた大作のかたちでした。一級のパニック映画です。劇場で観られなかったことが悔やまれます。
[CS・衛星(吹替)] 9点(2006-12-15 21:32:55)(良:4票)
164.  WEEKEND BLUES ウィークエンド・ブルース
映画に限らず全ての芸術は、自分の思いを他者に伝える作業だと思います。でも簡単には伝わらない。思いを100%伝えることなど不可能です。ですから少しでも100%に近づけるように創意工夫を凝らします。本作は高いレベルで監督の思いを伝えることに成功していると思います。これはもの凄いこと。低予算だろうが、役者が無名だろうが関係ない。(もっとも本作の場合、役者も文句なく素晴らしいです。その素晴らしい役者を起用したことも含めて監督の手腕だと感じます。)本作と『運命じゃない人』を観ると“内田けんじ”がどういう人間か見えてきます。物語として面白いだけでなく、ちゃんと監督の主義主張が感じられる。もう手放しで褒め称えたいです。ただ気がかりはひとつだけ。不遜な言い方で恐縮ですが、この才能を日本映画界が育てられるのかということ。大人の事情やしがらみで才能を潰さないで欲しいということです。本作と『運命じゃない人』が監督の頂点とならないことを祈るばかりです。
[DVD(邦画)] 9点(2006-12-07 18:49:43)(良:3票)
165.  アカルイミライ 《ネタバレ》 
未来に“明るい”という修飾語が付く場合、その多くは子供に対して使われます。“未来は明るいものだ”と言い聞かせるために。しかしこの言葉にリアリティはありません。あまりに漠然とした遠い先の話だから。そんな曖昧な希望の中を子供たちは成長していきます。そしてある日、手が届くところまで来ていることに気付くのです。でも気付かないふりをします。なぜなら怖いから。明るいと言われ続けた未来の形が、見えないから。恐怖は人を動けなくします。主人公もそんな子供のひとりです。子供が生きるために見本とするのは親。一番身近な大人です。しかし主人公の背景に両親の姿は見えません。彼が頼りにしていた守は自殺。彼は恐怖と不安に押しつぶされそうになります。心の平静を保つための、無意味で無謀な行動。そんな彼を受けとめてくれた大人が、守の父でした。親から受けるはずの愛情がそこにはありました。自分を受け入れてくれる、すべてを許してくれるという安心感が、恐怖に立ち向かう力になります。彼はやっと気付きます。守のGOサイン、大人になるGOサインは、とっくに出ていたことに。“明るい”はずの未来は、すでに手の中にありました。彼は屋上に登ってみます。もしかしたら未来が見えるかもしれないから。でもやっぱり見えません。未来は彼方に広がるものではなく、彼自身そのものだからです。もう“未来が明るい”などという無責任なアナウンスは必要ありません。だからアンテナも必要ありません。この現実が未来であると受け入れること。それが大人になるということ。本作は主人公の成長物語でした。と同時にもっと普遍的なテーマも孕んでいました。それは“生死について”。守の凶行とその末路、それに“クラゲ騒動”は、この問題を私たちに問いかけます。クラゲ=人間。人を殺すほどの毒を持ち、本来の生活圏以外にも適応する生き物。まさに人間そのもの。その姿は魂を思わせます。大挙して”母なる”海へ向かう様はまるで精子。「いつか(クラゲたちは)帰ってくる」という主人公の言葉。生と死を繰り返し、脈々と未来へ続いていく“人間の在り方”を表現していると感じました。誰にでも訪れる“アカルイミライ”は“死”でもあります。エンディングで群れをなして歩く若者たち。あてもなく、でも皆同じ方向に歩く彼ら。さながら“おたまじゃくし”。そのバックに『アカルイミライ』。彼らがたどり着く先にあるものは何でしょうか。そしてそれをどう捉えるのでしょうか。全ては彼ら次第です。
[DVD(邦画)] 9点(2006-11-20 18:15:47)
166.  街の灯(1931) 《ネタバレ》 
特筆すべきはヒロインの魅力のなさです。容姿もさることながら(失礼)、その性格も良いとは言えません。こういった設定でありがちな、見目麗しく、性格も素晴らしい、まるで仏様のような(キリスト教圏だからマリア様かな)非の打ち所の無い女性ではありません。彼女は、家賃が払えないと、まるで乞うかのようにさめざめと泣き、眼の手術代までさほど遠慮せず受け取ります。目が見えるようになってからは、「私を好きみたい」と上から目線の調子に乗った発言までします。ただ、これらは性格が悪いとまではいえません。チャップリンが大金持ちだと思えば、金銭的に甘えるのはある意味当然です。貧しい彼女の生きる術でもあります。重要なのは、彼女は何処にでもいる“ごく普通の人間”であるということです。このことが、珠玉のラストで活きてきます。真実を知り戸惑う彼女。微笑むチャップリン。2人のこの後を見せようとしないエンディングは「これ以上何も語る必要が無い」ことを示しています。みなまで語るな。もう十分だと。観客から“この後の成り行きを想像する楽しみ”まで奪うかのような唐突さがあります。この時のチャップリンの心情は察するに余りある。手術が成功したことに対する喜び、自分がもう必要でないことを知った寂しさ、彼女の戸惑う表情を見て感じたであろう悲しみ、やり切れなく観客の胸をえぐります。決してハッピーエンドではありません。しかし、チャップリン本人はこれをハッピーエンドと捉えているのです。チャップリンの静かな笑顔が、いっそう観客の胸を締め付けます。絵空事のお涙頂戴話になっていないのは本作に泥臭い人間味が垣間見られるからです。それはヒロインだけでなくチャップリンにも言えます。彼女に手術代を渡す前、一瞬自分の取り分を確保する抜け目なさ。そしてラスト。自分の正体を明かさないという選択もあったのに、チャップリンは自分の正体を明かします。自分があなたの恩人なんだよと。ある意味、粋ではありません。でも明かさずにはいられない。それが人間です。作り物ではない“心”が見えるから本作は傑作なのだと思います。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2006-11-17 21:03:43)(良:6票)
167.  マルコヴィッチの穴 《ネタバレ》 
まずシュールな設定が笑いを誘います。7・1/2階、低い天井、勘違い社長…。最初はコメディかと思いました。でも、全体としてはラブストーリーの要素のほうが強い。人形使いのグレイグとその妻ロッテ、そして魅力的な女マキシンの3角関係。グレイグもロッテもマキシンを愛してしまう。彼女は社会的成功のためグレイグを選ぶものの、心の底ではロッテを愛していた。自業自得とはいえ、グレイグの末路は哀れです。トンデモ設定や、マルコヴィッチを媒介していることから、複雑そうに見えますが、基本の骨組みは実にシンプルでした。でも、本作はコメディやラブストーリーの枠にとどまりせん。それが本作の特徴。レスター→マルコヴィッチ→マルコヴィッチの娘へと受け継がれる器。その器に入り込み永遠に生き続けるという発想は、輪廻転生を連想させます。人間は遺伝子の乗り物であるという理論にも似ている。それだけにラストの余韻は深いです。さらに、「マルコヴィッチ」というパーソナリティについて考えてみるのも面白い。自我を失ったマルコヴィッチはマルコヴィッチといえるのか。生死の倫理観にまで考えは及びます。ただ、そうはいっても本作のキモは、あくまでトンデモ設定を楽しめるかどうか。全員マルコヴィッチや、ハゲヅラのチャーリー・シーン、本人登場ショーン・ペンを笑えるかどうかです。そのあたりを楽しめれば、本作は相当面白いのでは。ただ、自分はマルコヴィッチ氏のアメリカ俳優界での立ち位置が分かりません。“あえて”マルコヴィッチであることのニュアンスを理解出来れば、本作は自分にとって満点級の作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2006-10-18 18:48:50)
168.  ギャラクシー・クエスト 《ネタバレ》 
(『サボテンブラザーズ』の内容に触れますので、未見の方は一応ご注意ください。)『サボテンブラザーズ』にコメントを入れた時、本作に触れたレビューを幾つかお見かけしました。それ以来気になる作品でしたが、この度やっと観ることができました。偉大な作品をモチーフにした場合、得てして期待ハズレに終わることが多い。その覚悟を持って観たのですが、何なんですかコレは!めちゃくちゃ面白い!!確かに、『スタートレック』のパロディで、アイデアの元ネタは『サボテンブラザーズ』。しかし、プロットに大胆なアレンジが施されています。『サボテン』では、現実は確固として存在し、主人公たち(架空のヒーロー)はその現実に合わせることでリアルヒーローになります。しかし本作では、まず“架空の設定”が存在し、そこに現実が合わさっていく。まったく逆の発想です。しかもそのことを最初から観客に意識させるのではなく、クライマックスに至る過程で徐々に気づかせていく。発想の転換が、ドラマファンたちの活躍を生みます。なんという演出テクニック。なんという力技!“オメガ13”のくだりに至っては、ほとんど逆ギレみたいなもんです。でもこれが爽快。こんな気持ちの良い逆ギレは初めてです。『サボテン』も本作もどちらも大好き。甲乙は付けられません。しかし点数は、本作の方を1点高く付けます。それは新作映画『ギャラクシークエスト』の新レギュラー保安主任ロック、もと死に役のエキストラ、彼に捧げる+1点です。
[DVD(字幕)] 9点(2006-10-01 00:16:26)(良:3票)
169.  ガラクタ通りのステイン~エピローグ~ディレクターズカット
「ガラクタ通り」は文字通り、不要なものや使えなくなったもの、値打ちの無いモノの吹き溜まりです。“モノ”は“物”であり、“者”でもあります。毎回、ステインが拾ったガラクタに端を発する物語は、いつも可笑しく、ときに哀しくほろ苦く、驚くほど“毒”を含んでいます。そして「生きる厳しさ」や「幸せの意味」を問いかけてきます。本作『ハーモニカ』は、レギュラーの短編13話に比べて異色の作品です。毒気の薄いラブファンタジー。かなり一般向けにアレンジされた印象です。シリーズファンからすると物足りない。しかし本作がエピローグであることの意味はとても大きい。あのステインが、“生きている人間”に恋をしています。これは作品の世界観を揺るがす大事件。ステインの住むのは人間社会から隔離された世界。貧しくても、人間関係の棘はありません。生暖かな心地よさがある。そこから踏み出し、社会と関わり合いを持ち始めたエンディングに意義を感じずにはいられません。シリーズ全体としてなら満点ですが、本作単独なら6~7点といったところ。でも思い入れの分、オマケさせてください。心優しきステインとガラクタ通りの住人たち。笑いながら、彼らから大切なことを学びました。
[DVD(邦画)] 9点(2006-09-28 18:58:28)
170.  たそがれ清兵衛 《ネタバレ》 
貧困と日々の生活に追われる中、自分の身なりにまで気が行き届かなくなる清兵衛。そんな暮らしぶりでも、2人の娘の成長を見守ることに喜びを見出すことができる。成り行きとはいえ朋江の為に死合いをしたこと、彼女を慮って再縁話を断ったこと。様々な出来事、そして立ち居振る舞いから、清兵衛の実直な性格と清い心が感じ取れます。ですから清兵衛に強く思い入れることができます。藩命の名のもと、立会いを受けざるを得なかった清兵衛が抱いたであろう憤り、無力感、悲しみ、諦め、やるせなさ…。そして生死の境を目の前に朋江に胸の内を告げ、返事を聞いた時に感じたであろう後悔、失望、恥ずかしさ…。清兵衛の複雑な心情が伝わってきて、切なくも心を打ちます。メインキャストはもちろんのこと、全編にわたり“人”を丁寧に描いている印象を受けました。(本作の真田広之と宮沢りえは文句なく素晴らしかった!)自分は運命という言葉が好きではありません。でも縁という言葉は好きです。清兵衛と朋江がこのように再び出会い、結ばれたのもすべて人の世の縁という気がしました。良作だと思います。ただ、エンディングの井上陽水だけはいただけません。
[DVD(邦画)] 9点(2006-08-30 18:11:59)(良:2票)
171.  運命じゃない人 《ネタバレ》 
登場人物それぞれの視点でひとつの事象(及びそれに付随する事柄)を描くスタイルは、目新しいものではありません。しかしそれでも唸らされます。それほどにつくりが巧妙です。芋づる式に明らかになっていく真相。ごく普通のラブストーリーと思われた本作が、いつの間にかサスペンス、気付くとコメディに化けています。いくつもの顔を見せる作品に、どんどん引き込まれていきます。BGMの使い方も秀逸で、作品づくりの技術の高さを感じさせます。また、登場人物たちも皆いい味を出しています。人を疑うことを知らない男、友人思いの探偵、女詐欺師、組長さん、そしてひとりぼっちの女。それぞれに暑苦しくない、いい雰囲気がでていたと思います。そして主軸となる2人の恋物語。ラストがいいじゃないですか。物語の構成といい、偽りのエンドクレジットといい、観客をいい意味で欺き続けてきた本作。「運命じゃない人」というタイトルも、もちろんフェイクですよね。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-08-08 18:42:49)
172.  となりのトトロ 《ネタバレ》 
本作のイメージは「カレーライス」です。それも家で食べるごく普通のカレー。じゃがいもごろごろ、色は黄色の、あのカレーです。ときどき無性に食べたくなる味。理由は簡単です。それはお母さん(あるいはお父さん)が作ってくれたから。慣れ親しんだ、懐かしい味だからです。本作にも同じことが言えると思います。本作で描かれる田舎の生活は、まさしく子供の頃の記憶。おばあちゃんの家で過ごした、夏休みの記憶です。お母さんの入院にしても同じ。入院とまでいかなくても、親が風邪で寝込んだことはあると思います。そのときの切ない気持ち、不安な気持ちは忘れられません。迷子のエピソードにしてもそう。本作で描かれるのは、誰もが「こんなことあったな」「あったかも」と思うような出来事ばかり。そういう意味では極めて大人向き(少なくとも、さつきと同じ小学生以上向き)の作品といえます。それでいて、トトロの存在は幼い子供も惹きつけます。守備範囲が広いのです。物語はシンプルで楽しい気持ちになれるもの。だから何度も観たいと思えます。まさしく大人から子供まで人気の「カレーライス」。専門店のカレーは確かに美味いです。でも家のカレーの美味さは格別です。しかもトトロという魔法のスパイス入り。『となりのトトロ』はそういう作品と考えます。
[地上波(邦画)] 9点(2006-07-31 18:13:22)(良:1票)
173.  アルカトラズからの脱出
「脱獄もの」では、脱獄に正当性を感じさせるようなエピソードを付け加えたくなります。何故なら普通は「脱獄=悪いこと」だから。観客が物語に感情移入するためには、脱獄に“納得できる理由”があった方がいい。でも本作にその理由付けはありません。ここで活きてくるのが主演のイーストウッドの存在です。今までの出演作品の役柄から、イーストウッドにはワイルドさと正義のイメージがあります。観客は彼から犯罪者としてのワイルドさを感じると共に、根拠のない“正義”も勝手に感じ取ります。これが“納得できる理由”の代わりに感情移入の手助けになるのです。まさにベストキャスティング。だから脱獄の理由を省略できた。ただ単に脱獄でよかったわけです。そこに山があるから登るがごとく、そこが監獄だから脱獄する。ドラマ性を極力抑えた結果、脱獄そのものに焦点を当てることに成功しています。脱獄までの道程は遠足前の準備の時の気持ちに似ています。さらに脱獄のための準備が進めば進むほど、増して行く緊張感。脱獄ものというジャンルのひとつの完成型が本作だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2006-07-21 18:13:02)(良:3票)
174.  シザーハンズ 《ネタバレ》 
パステル調の住宅・衣服、メルヘンチックな音楽とは裏腹に人間の暗部が強烈に描かれているティム・バートン流のおとぎ話。ファンタジーではありますが、その内容は現実と重なります。自分達とは違うエドワード。初めはその特異な風貌に興味を抱き観察し、利用できると分かるととことん利用、賞賛さえする。だが、わずかな出来事で手のひらを返して非難を始める人々。現実の社会でも日々同じようなことが繰り返されています。異質なものを集団で排除する機能。集団の結束の確認。そこには個人の意思とは別に集団の意思が存在します。人間が安全に生きていくために獲得した知恵かもしれません。しかし、このことに嫌悪を感じるのが普通だと思います。「エドワードは悪くない」「なんて酷いことをするんだ」そう感じます。なぜなら自分とエドワードを重ねているから。排除される恐怖をいつも感じているのが人間だからです。結局エドワードは街外れのお城に戻ります。誰もいない廃墟。そこが安住の地だという悲しい現実です。自分の意思に反し人を傷つけてしまうハサミ。同時に彼の心も傷つきます。一人でいれば人を傷つけることもなければ、自分が傷つくこともない。ただ、誰とも出会わず傷つくことのない人生より、愛する人と出会って傷つく人生のほうが遥かに素晴らしい。それがこの物語の救いです。
[DVD(字幕)] 9点(2006-06-19 18:24:28)(良:3票)
175.  プリシラ(1994)
3人のショウパブのおかまを乗せて荒野をひた走る大型バス「プリシラ号」。目指すは遥か彼方の田舎のホテル。ステージの依頼があったから。彼女らに降りかかる、いや巻き起こす、アクシデントなんて何のその。だってあたしたちは天下御免のドラッグクイーン。おかまに怖いものなんてありゃしない。何時でも何処でも、あたしたちはあたしたち。主人公は社会的マイノリティであるおかまさんです。都会の空虚な空気の中では泳げても、田舎の保守的な空気の中では泳がせてもらえない様を、哀しくも可笑しく、そして繊細に描いています。心を傷つけられても、あっけらかんと振る舞い、前向きに生きる彼女たちの強さに触れると、自分も頑張らなくてはと思えてきます。全編下品のオンパレードですがどこか上品。きっと彼女たちの生き方に品があるからだと思います。主演3人の熱演、ぱちぱちのメイク、ど派手な衣装、口パクのステージに魅了されてください。気が付くと自然に顔がほころんでいる、オーストラリア発の素敵なロードムービーです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2006-05-24 18:01:18)(良:1票)
176.  グロリア(1980)
ギャングの裏金を横領した父。組織の制裁を恐れた母は親友のグロリアに息子ジャックを託します。殺される家族。ジャックの手には裏金の証拠となる手帳。2人の逃亡が始まります。グロリアにしてみれば、ジャックはただの厄介者。助けても何の得にもなりません。何故彼女は自分の命を危険に晒してまで子供を助けたのでしょうか。背負うものが無い人生。それはとても気が楽です。しかし同時に孤独と物足りなさがあります。彼女の中に、人を愛し、愛されたい、誰かの支えになりたいという気持ちが潜んでいたのではないでしょうか。それを「母性」と呼ぶのかもしれません。最初はお互いに接し方がわからず、喧嘩したり、別れたり、上手くいきません。しかし次第に芽生える絆。それが「家族」の始まりなのです。厚化粧のおばちゃんが素晴らしく格好よく、派手なシャツの子供が小生意気だが愛らしく感じます。派手なシーンはありませんが、全編見事にハードボイルド。エンディングと共に流れる音楽に言い表せない気持ちになる心に刻まれる作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2006-05-09 17:52:29)
177.  ドラえもん のび太と鉄人兵団
宮崎駿作品、クレヨンしんちゃんと並ぶアニメ映画界の最高峰「ドラえもん」。宮崎、クレしんとの一番の違いは子供向けに徹しているところだと思います。本作でもその基本姿勢は崩さないまま、大人でも十分に楽しめる作品に仕上がっています。というか、むしろ大人に観てもらいたい作品。基本構成は、いつものメンバーが地球侵略に来るロボット軍団と戦うという、いたってシンプルなものですが、大挙して押し寄せる鉄人兵団や破壊される都市などハードな描写も目につきます。ロボットが地球侵略に来た理由、リルルの行動選択など、現実の世界に当てはめて考えさせられる部分が大いにあります。メッセージが照れることなくストレートに伝わってくる、子供向けアニメの素晴らしさがここにあります。最後はほとんど禁じ手のような結末ですが、素直に感動できる秀作です。ちなみにMVPはしずかちゃんですが、個人的にミクロスに敢闘賞を贈りたい。
[DVD(邦画)] 9点(2006-05-06 23:15:24)(良:1票)
178.  千と千尋の神隠し
自分の場合、宮崎作品に対しては、カリオストロの城やコナンに代表されるような「理屈抜きの面白さ」「破天荒なアクション」を求めてしまいます。その点からすると、本作はあまり該当しません。では面白くないかというとそういう訳でもありません。現代っ子の成長物語としてはよく出来ていると思います。また、最近の宮崎駿作品に決まって出てくる子供狙いのカワイイキャラがいない点は好印象です。あえて言うならカオナシかな(笑)。ただ、どうしても判らないのは、この作品が記録的大ヒットとなった点です。現代人が求めている「何か」が本当にそこにあったのでしょうか?ちょっと怖い気もします。(2014年12月追記)何言っているんでしょうね自分(汗)こんなに素晴らしい子の成長物語もないでしょうに。コナンやルパンのようにずば抜けた身体能力もなく、パズーのような強靭な精神力も持たない“普通の少女”が、困難を乗り越えていく部分に価値があるのに。繰り返しますが、何の取り柄もなさそうな(でもちゃんとある)、何処にでもいる女の子が主人公だから良いのです。千尋の武器はさしずめ“素直さ”ですかね。3人の娘の父となった今、全く観方が変わった作品です。点数も大幅アップしておきます。
[映画館(邦画)] 9点(2006-05-02 18:26:59)(良:2票)
179.  タクシードライバー(1976) 《ネタバレ》 
どうしようもない孤独と閉塞感に精神を病んでいく主人公トラヴィス。女性との交際失敗を引き金に、トラヴィスは現状を変える為のある計画を立てる。孤独と苛立ちをロバート・デ・ニーロが、怖いほどの演技で表現しています。もし未見でしたら、ぜひとも観ていただきたい。ただし、「観てよかった」とは思わないかもしれません。それでもなお、お勧めします。(以下ネタバレを含みます。間隔を空けて3度観たうえでの感想です。)孤独と現状に対する苛立ち。自分がどうしたいのかもわからない。タクシードライバーとして様々な人を乗せることで、一層トラヴィスの心は擦り切れていきます。失恋もそれに拍車をかけます。現状を変える何かをしなければならない。他の選択肢は現れません。目的を定め、体を鍛え始めるトラヴィス。このときは精神的に安定していたことでしょう。目的は何でもいいのです。「大統領候補殺害」でも「売春から少女を救う」でも。目的を果たした後、トラヴィスは自殺を試みます。また血の海の中で、自らのこめかみに人差し指の銃を突きたてて見せます。トラヴィスは結果を求めておらず、またその行動の意味さえ失っていたのかもしれません。この狂気の行いには共感できるはずもなく、また結果ヒーロー扱いされる様にも納得がいきません。この部分を捉えると、単に暴力的で嫌な話に思えます(初見で自分はそうでした)。トラヴィスの行動ではなく、そこに至った心の動きにこの作品の意味があり、ロバート・デ・ニーロがそこに在ることに価値があるのだと思いました。上手く言葉にできません。でも良いのです。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-26 17:48:36)
180.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
昭和のおもちゃ、レトロ家電、映画3丁目の夕日など、今「懐かしもの」ブームのようです。過去を振り返り「あの頃は良かった」と思いを馳せる。現実が厳しければ厳しいほどそれは心地よい行為です。現代人にとっては必要不可欠なのかもしれません。そして本作も「懐かしさ」がキーワードとなっています。登場する悪役は「古き良き昭和の時代」に世の中を戻そうと巧妙な手口を使って大人たちを誘惑します。心奪われるひろしやみさえ達大人。とうちゃんとかあちゃんを取り戻す、しんのすけ達のたたかいが始まります。昔を懐かしむことは決して悪いことだとは思いません。しかしそのベクトルが後ろを向いていることも忘れてはいけません。「昔は確かに良かったけれど、今だってそんなに悪くないよ」野原一家がそう教えてくれます。もしこの作品が実写だったら、気恥ずかしくて見ていられないかもしれません。「クレヨンしんちゃん」だからこそ素直に心に響いてくるような気がします。子供から大人までお勧めですが、これから親になる方(小さい子供をお持ちの方)には、何としても観ていただきたい、家族の絆に心打たれる傑作です。
[DVD(邦画)] 9点(2006-04-21 23:55:39)(良:4票)
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