1801. 失はれた地平線
飛行機が雪山に不時着する迄は手に汗握りましたが、そこから先はなんともはや、脱力感で一杯でした。「足るを知る」考え方は一理ありますが、競争のない世の中は廃れ滅びると思います。静止画像のシーンは驚きましたが、関係者の方々の尽力に敬意を表します。 [DVD(字幕)] 7点(2018-03-10 22:30:14) |
1802. ある過去の行方
子供達の悲しみに押し潰されそうな表情に象徴される全編を覆う陰鬱な空気が堪らない。この監督が描く女性像(監督は「女などこの程度」という意識があるのか?)に今回も吐き気がした。ミステリー要素は盛り上がらず、身持ちの悪い女に胸糞悪くさせられただけの作品。 [DVD(字幕)] 4点(2018-03-10 22:14:39) |
1803. ひとり狼
《ネタバレ》 渡世の掟のみを心の拠り所に生きる伊佐蔵を演じる市川雷蔵に高倉健とは違う重みを感じる。父子の関わりがひとり狼にそぐわないのだが、決闘後に去って行く後ろ姿はさすがに切ないものがあった。美味しい役どころの長門勇の好演も印象的。 [DVD(邦画)] 7点(2018-03-07 15:45:49) |
1804. キンスキー、我が最愛の敵
《ネタバレ》 クラウス・キンスキー死後に作られた本作。キンスキーの天才はナントカと紙一重ぶりを強調するヴェルナー・ヘルツォーク監督。キンスキーが動の奇人でヘルツォークが静の奇人である事が良く解りました。 原住民エキストラが「貴方(ヘルツォーク)の為にあの男(キンスキー)を殺しましょうか」と真剣に申し出たというエピソードに、こんな最凶タッグの二人と共に仕事をしたスタッフに拍手を送りたい。 [DVD(字幕)] 7点(2018-03-07 15:31:32) |
1805. 天国の門
山河・大地の絵画のような光景、エキストラ達の人いきれと喧騒に、監督と会社の戦争を想像させられる。映像の重厚さと反比例するペラッペラな人物描写が致命的で、2日かけてたどり着いた219分間の結末に何の感情も湧かず。歴史のタブーに触れた事以前にとてつもなくお粗末な脚本に酷評の嵐も納得。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2018-03-04 19:21:43) |
1806. コレリ大尉のマンドリン
《ネタバレ》 ウットリさせられたケファロニア島の風景に。史実を知った事に。イアンニス医師が語る「恋の燃え滓が愛」「愛しているなら言われる前に薪を集め、寒いと思ったらショールをかけてやり、畑から帰るときには花を一輪摘んでやる」に。3点。ジョン・ハートがどの時点で死ぬのだろうかドキドキした事に2点。他は明日になったら忘れているだろう凡作。 [DVD(字幕)] 5点(2018-03-03 20:08:45) |
1807. 椿姫(1921)
《ネタバレ》 椿姫(1937)DVDの特典映像であった本作。サイレントであるのを差し引いてもアラ・ナジモヴァとルドルフ・ヴァレンチノの大仰な表情にドン引きしてしまうものの、ギュッと濃縮されたストーリーは分かりやすく、マルグリットの最期の演出は本作が数段上回る。 [DVD(字幕)] 7点(2018-03-03 00:40:42) |
1808. 椿姫(1937)
原作未読。物語自体は他愛のない悲恋ものでアルマンの未練がましさにイラッとしますが、二人のお顔のみならず立居振舞全てに於いて気品ある美しさに格調の高い作品となっています。ライオネル・バリモアの何時も通りの目力で示す存在感が流石。 [DVD(字幕)] 6点(2018-03-01 14:35:41) |
1809. 我は海の子
《ネタバレ》 何でも金で解決出来ると考えている大富豪の社長の一人息子。母は死別、父は多忙、執事とメイドが世話を焼く。憎たらしい小僧のありがちな成長物語だが、兄のような父のようなマニュエルとの交流が胸に沁みる。ディスコ船長の無謀な競争に嫌な予感がしたのが的中し、そこから先は泣き通し。漁での出来事を話しているであろう車中の父とハーヴェイのラストショットが泣き納め。絶品のスペンサー・トレイシーを思い浮かべるとグッとくる。珠玉の逸品。孫が大きくなったら一緒に観てみたい。 [DVD(字幕)] 9点(2018-02-28 14:01:12) |
1810. ぼんち
暖簾を守る事が何よりも優先される船場の狭い世界の「しきたり」は考えられないものばかりで、祖母の一言一句に呆れ返る。喜久治は結婚はこりごりと何人も妾を作って放蕩するが、大店の主として商いも抜かりない。「気根性のあるぼんちになれ」という亡父の遺言は守ったと言える。男性はこういう人物に憧れるのだろうか。現代劇出演は初という市川雷蔵は絢爛豪華な女優達を従えての見事な演技であり、早逝が惜しいと改めて思う。 [DVD(邦画)] 8点(2018-02-28 00:48:00) |
1811. ハンニバル(2001)
《ネタバレ》 ゲイリー・オールドマンが何かのインタビューで自分の出演作を子供に見せられないと言っていたのを思い出す。さもありなん。レクターにそそのかされたコーデルがあっさり裏切る姿がベストシーン。あとは気色悪いだけの駄作。ジュリアン・ムーアは前作から20年後の設定なら納得。 [DVD(字幕)] 3点(2018-02-25 22:18:51) |
1812. 暗黒への転落
《ネタバレ》 警官殺しの裁判劇と弁護士アンドリュー・モートンと被告ニック・ロマノの過去の回想シーンのメリハリの効いた展開に引き込まれる。顔に大きな傷のある検事がボギーに劣らぬ存在感で尋問模様は手に汗握る。スターに花を持たせるのだろうと思ったのがまさかの結末。彼の男気ある粋な物言いに見惚れるも最後の大演説には不同意。何発も銃弾を撃ち込まれた警官にも家族はいるのです。 エマという最良の伴侶が居ながら、負けん気が無く辛抱が出来ない被告の性根が原因であり、エマの棺が運び出されるのを遠くから見送る彼に腸が煮えくり返る「お前もそこから飛び降りて命を絶て」 真っ当に平凡に生きる事の値打ちを思い知らされる秀作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-02-24 22:31:36) |
1813. コンフェッション 復讐の暗殺者<TVM>
《ネタバレ》 キャリア50年超で40回死んだジョン・ハートなので告解者の今夜殺す相手は神父なのだろうと期待を寄せる。二人のやりとりから二人の関係がすぐ分かる。過去の鬼畜な所業を身悶えして詫びる神父に盛り上がってまいりましたと思った途端・・・・・「えー? もう、終わっちゃった 何で?」ビックリ。1話10分未満のWEBドラマだとは知らなかった。特典映像でジョン・ハートが「1億人が観るのだから気は抜けない」と述べていた通り、全編座って話すだけであっても熱演ぶりが光る。緊張感が途切れない良作だっただけに物足りなさが残念でならない。 [DVD(字幕)] 6点(2018-02-23 13:57:53) |
1814. 何がジェーンに起ったか?
幼少時から憎しみ合った二人の密室劇で、山姥のようなジェーンがブランチの思惑を一つ一つ潰してゆく様は丹念なカメラワークもあいまってホラーであり心底恐ろしい。踏み躙られてもジェーンを思うブランチの心境が理解し難かったのが、「何がジェーンに起こったか?」が告白するラストで明らかになり、胸が塞がる。隣人とピアニストがもっと話に絡んでくれれば。ジョーン・クロフォードとベティ・デイヴィスは犬猿の仲だそうで、本作で二人を制御できるのはアルドリッチ監督ならではか。撮影現場の緊張感も半端なかったと想像できる。全編が異様なオーラに包まれる傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2018-02-21 16:51:39)(良:2票) |
1815. 毒薬と老嬢
監督らしからぬブラックコメディ。良く練られた脚本での起承転結に一時も目が離せず。ケーリー・グラントのマシンガントークに辟易し、猿ぐつわ姿にホッとする。まともな者がいない登場人物の中で、ねずみ男のようなピーター・ローレの存在感が際立っていた。 [DVD(字幕)] 7点(2018-02-19 13:22:48)(良:1票) |
1816. ひとりぼっちの青春
「他人の窮状を見て楽しむ為に観客はお金を払っている」主催者の台詞とダービーシーンの皆の藁にも縋る思いの姿の大恐慌時代の弱肉強食模様に胸が潰れそうに。「廃馬は射殺するんでしょう」に打ちのめされる。救いの無さ加減では3本の指に入る作品。 [DVD(字幕)] 7点(2018-02-18 23:07:51) |
1817. トゥルー・ロマンス
《ネタバレ》 暴力描写の薄汚さにタランティーノ監督作のようだと思ったら脚本担当だったという。ではどうしてハッピーエンドなのか? 監督がどうしても二人を生かしたかったので脚本を変更したのだとか。バカップルがどうなろうと関心ないので観終わって「あ、そう。だから」としか思えず。豪華な俳優陣も例によって活かされない中身カラッポの愚作。胆の据わったデニス・ホッパーに+2点。 [DVD(字幕)] 4点(2018-02-18 19:57:34) |
1818. アギーレ/神の怒り
《ネタバレ》 ヴェルナー・ヘルツォーク監督とクラウス・キンスキーの最凶タッグの90分に亘る狂乱模様におなか一杯。心意気だけの歪んだ男のロマンの結末がリス猿の大群というのが侘しいが、このまま朽ちる事無く一花も二花も咲かせるのだろうと思わせるアギーレが印象深い。 [DVD(字幕)] 7点(2018-02-17 16:24:44) |
1819. 剣鬼
特異な出生に対する世間の蔑みに晒されて生きる斑平の突飛過ぎるキャラクターに唖然とするも、世間に対する妖気とお咲に対する爽やかさを併せ持つ姿に市川雷蔵ならではの味わいを感じる。手塩にかけた花を愛でて穏やかに暮らす事が叶わない決闘模様が切なかった。 [DVD(邦画)] 7点(2018-02-16 13:26:47)(良:1票) |
1820. 賭博師ボブ
賭博師ボブの侠気に富んだ人柄に惹かれ、カジノから8億強奪の計画を練る時点で、監督特有の虚無感溢れる結末が浮かぶ。予想通り計画が署長に漏れ、署長はボブと友情を育んでいるのに期待は膨れ上がり画面に釘付けに。それがあの能天気にも程がある結末で心底ガッカリ。賭博師には「このドアホ」と、監督には「この裏切者」と言いたい。 [DVD(字幕)] 4点(2018-02-16 00:58:06) |