1841. ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
《ネタバレ》 お馬鹿なキャラクターたちが、それぞれの思惑のもとにひたすらナンセンスなどたばた劇が繰り返されるのに、観ていくうちにそのお馬鹿っぷりにどんどんと心惹かれていくから不思議。編集の妙も相俟って、なかなか痛快な作品に仕上がっている。軽く描かれたタランティーノのような作品だが、これはこれで面白い。 [DVD(字幕)] 7点(2012-06-03 21:54:10) |
1842. 死霊の盆踊り
《ネタバレ》 これが噂に名高い伝説の史上最低の映画かぁ……と、もろ先入観の塊になって観たのだが、噂にたがわぬ史上最低っぷりだった。なにより製作者も俳優も決して狙って創っていないというのに、この一片の主題の欠片すらない映画を創りあげた奇跡にまず敬意を表したい。アラブの全てのテロリストにこの映画を見せれば、もしかしたら世界は平和になるんじゃないかとさえ思える。闘う相手である、アメリカ型資本主義の一つの姿であるこの映画を見れば、おのずと闘争意識も萎えるというものだ。 [DVD(字幕)] 0点(2012-06-03 21:34:32)(笑:1票) (良:1票) |
1843. エターナル・サンシャイン
《ネタバレ》 近未来。最新の脳外科手術と催眠療法によって、失恋の辛い記憶を綺麗さっぱり消してくれるベンチャー企業が現れる。心の傷を癒してほしい人々がそのサービスに殺到するなか、酷い別れ方をした元カノとの思い出を引きずる主人公もその一人。こんなにも辛い思いをするくらいなら初めから付き合わなければよかった――。そんな思いから、彼は元カノとの出会いから初デート、告白の日や初めてのお泊り、諍いが絶えなくなった倦怠期、そして辛く切ない別れの日までをきれいさっぱり忘れてしまうことを決意する。そうして迎えた施術当日。物語は、そこから彼の次第に消されてゆく記憶の中を遡るように展開してゆく。消されて当然と思える酷い記憶が続く中、やがて彼は忘れていた彼女との素晴らしい思い出を発見するのだった。「待ってくれ!この記憶だけは残しておいてほしい!」。全身麻酔を掛けられた彼の訴えなど当然、スタッフに伝わるはずもない。どんどんとデリートされてゆく記憶の迷路の中で、彼と恋人との素敵な思い出を守るための冒険が始まる……。こんな突拍子もない設定を思いついただけでも凄いと思うのに、この映画はその設定を最大限活かし、とてもシュールで前衛的で、そしてとても切なく美しい映画に仕上がっている。素晴らしいとしか言いようがない。良い思い出だろうと悪い思い出だろうと、今の自分を形作るものはやっぱり積み重ねてきた記憶なんだ。というありがちなテーマから始まって、やがて世界を認識するのは自分の自意識であり自らの認識さえ変われば、この世界自体も変わってしまうという深淵な主題さえ捉えている。まさに「われ思うゆえにわれあり」。なんと言う才能。でも、ちゃんと恋愛映画としての軸は1ミリもぶれてない。これは失恋を経験した全ての人に捧げられた、才気溢れるラブストーリーの傑作だ。ちなみに自分、歴代の元カノの写真は全部残している。だってすべて素晴らしい思い出だから(笑)。 [DVD(字幕)] 10点(2012-06-02 22:01:01) |
1844. エド・ウッド
《ネタバレ》 才能とお金はかけらもないけれど、映画への愛情だけは誰よりもあった史上最低の映画監督、エド・ウッド。彼のどうしようもないトホホな生涯をティム・バートンとジョニー・デップが最大限の愛情を込めて描いた異色の伝記映画。女装が趣味、映画製作は常に適当、いつだって借金返済に追われ、責任感や常識といったものを母親の子宮にごっそりと忘れて生れてきたかのように自由奔放に振舞い、恐らく社会で立派に生きていくのは根本的に無理なばかりか、もしかしたら最低限の社会生活を送る能力すら欠けているんじゃないかっていう彼の周りに集まってくるのは、これまた負けず劣らず社会生活不適格者ばかり。でも、妙に楽しそうなんだよね、彼らのどうしようもない人生が。決して味わいたくないけれど、それでも日々の競争社会に疲れたとき、幾多の責任感に押し潰されそうになったときに、一服の清涼剤を求めるかのように、たまに覗きたくなってしまう不思議な魅力に溢れた優しい映画です。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-30 11:22:54)(良:1票) |
1845. プラトーン
《ネタバレ》 初めて観たのは、実は小学生高学年のころ。完璧にトラウマです。足元に銃弾を打ち込まれながらダンスを踊るベトナム人が、最後は銃床で頭蓋骨を割られて脳味噌を撒き散らすなんて、もう絶対に戦争なんかに行かないぞって子供心に思ったものだった。でも、大人になって普通に鑑賞してみると、これは普遍的な青春映画として秀作だった 。誰でも十代の頃は、世の不条理に反発したり順応したりするものだけど、その背景として戦争があるだけで、ここまで殺伐としたものになるのかというとても深いテーマを持った作品。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-27 23:46:58) |
1846. JFK
《ネタバレ》 今でも多くのアメリカ人の心に、暗い影を残すケネディ大統領暗殺という歴史的な大事件。そんな重たいテーマを真っ向から扱っただけでなく、その内容もかなり攻撃的なもの。こんな政治的にも商業的にも危険な映画を逃げることなく真正面から作りあげたオリヴァー・ストーンの腹の据わり方には舌を巻く。でも、そんな政治色を抜きにしてもこの3時間もある大作には、彼の才気と情熱が隅々にまで迸っており、映画としての完成度も格段に高い。そして、ケヴィン・コスナーをはじめとする、トミー・リー・ジョーンズやゲイリー・オールドマン、ジョー・ペシ、ケヴィン・ベーコンといった今では考えられないような豪華な俳優陣の熱演も見応え充分。あまりにも充分すぎて(濃すぎて?)、観終わった後はしばらくぐったりしてしまうけどね(笑)。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-27 23:38:53) |
1847. ナチュラル・ボーン・キラーズ
《ネタバレ》 あんまり評判は良くないみたいだけど、それでもタランティーノとはまた違った世界観を有する映画としてけっこう個人的に好き。取り敢えずアクの強いキャラクターたちが繰り広げるスラップスティックなストーリーは、確かに爽快感は感じさせないけどこれはこれで面白いと思う。特に、主人公カップルのイカレ具合がなかなか見事。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-27 23:28:59) |
1848. Uターン
《ネタバレ》 このシニカルな映画は、無駄に豪華なキャストと相俟って、とても贅沢なB級グルメのような味のある映画に仕上がっている。このどうしようもなく閉塞感漂うアメリカ南部の描き方が、悪意に満ちていて好き。そして最後までそこから抜け出ることが出来ないショーン・ペンがなかなか楽しい。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-27 23:21:03) |
1849. エニイ・ギブン・サンデー
《ネタバレ》 オリヴァー・ストーンらしい、とにかく熱い男たちの映画。アメフトのルールすら知らないけれど、そこはちゃんと見せ方を心得ているストーン監督らしく、ちゃんと楽しめる映画に仕上がっている。余談だけけど、あの目ん玉飛び出るシーンはちょっとトラウマになった。あそこだけ妙に浮いている気がするのは僕だけ?? [DVD(字幕)] 6点(2012-05-27 23:14:46) |
1850. アレキサンダー
《ネタバレ》 オリヴァー・ストーンが初めて撮った歴史活劇。でも、そこはやはりストーン監督、とにかく暑苦しい演出でしかもがっつりと長い。でも、別に僕は嫌いじゃなかった。アレキサンダー大王の栄光と挫折が、これでもかというくどい演出で壮麗に描かれていく。自分としては、なかなか見応えがあったと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2012-05-27 23:09:39) |
1851. ワールド・トレード・センター
《ネタバレ》 たぶん、わざとやっているのだろうけど、やっぱり崩壊したビルの瓦礫のなかで死に直面した消防士が、キリストの姿を夢に見て命を繋ぐというのは余りにも浅はかに過ぎる。オリヴァー・ストーンにしてはちょっと深みに欠けるのではないか。どうせなら、命を賭してビルに突っ込んだハイジャック犯も、その寸前に見たであろうアラーの神の姿をも象徴的に描いていれば、もっと深みが増したのではないだろうか。エンタメ映画としても、中途半端と言わざるを得ない。 [DVD(字幕)] 4点(2012-05-27 23:04:14) |
1852. GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
《ネタバレ》 押井守って個人的に苦手な監督です。「イノセンス」や「スカイクロラ」も観たけれど、その哲学的な作風はどうも好きになれない。確かに、エヴァなんかと違ってその世界観はかなり深いところまで考え抜かれているのだろうけど、どうも鼻について乗り切れない。もっと楽しくいきましょうよー、と叫びたくなる。 [DVD(字幕)] 5点(2012-05-27 22:55:10) |
1853. AKIRA(1988)
《ネタバレ》 その独特の映像へのこだわりや、その雰囲気などは確かに評価できるけど、やはりストーリーが不親切。原作は漫画界きっての傑作だっただけに、そのこだわりっぷりが完全に裏目に出てしまっている。漫画と違って映画は二時間、せいぜい三時間オーバーの世界で全てを表現しなければいけないのだから、やはり切るべきところはちゃんと切らないと。やっぱり優れた漫画家が、必ずしも優れた映画監督にはなれないと証明した作品。 [DVD(字幕)] 6点(2012-05-27 22:45:56) |
1854. スチームボーイ STEAM BOY
《ネタバレ》 「天空の城ラピュタ」の劣化版。 [DVD(字幕)] 4点(2012-05-27 22:36:43) |
1855. 蟲師
《ネタバレ》 大友克洋って、やっぱり映画監督としての才能は皆無ですよね。こんなつまらない映画はほんと久しぶりに観た。独り善がりな設定と演出、そして最後は頑張ってアートにしてみようとしたけど、完璧に破綻しましたーな開き直りっぷり。早く漫画の世界に戻って、世界の大友ブランドを復活させてくれ!! [DVD(字幕)] 2点(2012-05-27 22:29:22) |
1856. ロスト・アイズ
《ネタバレ》 なんとも奇怪な映画。あり得ない状況設定に、矛盾だらけのストーリー。観客置いてけぼりで、怒涛のようにラストまで突き進んでいくのだけど、取り敢えずアイデアを詰め込みすぎているのにそれをまったく消化しきれていないから、「なんじゃそりゃ!」という感想しか浮かんでこない。なんしか主人公の女、心変わりしすぎだろ!! [DVD(字幕)] 4点(2012-05-27 22:21:13) |
1857. サンクタム
《ネタバレ》 まあ、冒頭から最後まで既視感満載なんだけど、それでもパニックアクション映画としてはそこそこ楽しめました。ずっと洞窟のなかだけで話が進んでいくので、中盤だれるきらいがあるものの、親子の絆に焦点を絞ったところは(ベタですけど)良かったんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 6点(2012-05-25 21:16:40) |
1858. エアベンダー
《ネタバレ》 迷走中のシャラマン監督が、せっかく「ハプニング」のヒットで盛り返したというのに、その業績を根底から覆してしまったかのような、近年稀にみる駄作。ファンタジー映画としてもっとも大切な緻密な世界観を観客に伝えるということもおろそかに、そんなこと知ったことかと勝手にどんどんと進んでいくストーリー、何故かいつの間にか恋人同士になっている登場人物、終始置いてけぼりに唖然。いったい、シャラマン監督はどこに向かっているのでしょうか? [DVD(字幕)] 3点(2012-05-20 21:50:27)(良:1票) |
1859. ヴィレッジ(2004)
《ネタバレ》 もうこの監督はいかに観客の期待を裏切るオチを考えだすかということに、心血を注いでいますね。やはり、「シックス・センス」の呪縛が強固なのでしょう。それでも最近の駄作のなかでは、頑張ったほうだと思います。閉鎖的な村の描写は良く描けていたと思います。それだけに、あのオチは、個人的に「もういいよ」と思ってしまった。 [DVD(字幕)] 5点(2012-05-20 21:43:18) |
1860. シックス・センス
《ネタバレ》 まあ、ワンアイデアを徹底的に押し通した映画なんだけど、それでもそれを最後まで維持できた監督の力量は確かに認めざるを得ない。所々の細かい嫌な描写(銃を見せてくれるといった少年の振り返った頭が半分吹き飛んでいたり、少女が突然出てきて嘔吐したり)も群を抜いている。ただ、このオチがなければ成立しない映画だけに、監督、この後が続くんだろうかと思っていたら、今のところやはり残念な結果に……。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-20 21:38:18) |