1. トランスフォーマー
一言で言えば、「特殊戦隊トランスフォーマー 2時間24分の夏休み拡大スパシャル」。それ以下でも、それ以上でもない。ちょっと期待していただけに、ガッカリ度アップ。お話そのものは、「超時空要塞マクロス」にすら及ばない。ハリウッドのネタ枯れを、つくづく実感しました。 [DVD(字幕)] 4点(2007-12-20 00:42:54) |
2. 犬神家の一族(2006)
《ネタバレ》 既に何回となく製作されているシェイクスピア作品なんかだと、それぞれの監督さんや俳優さんが、演出や演技で凌ぎを削ってきましたよね。前作を見てしまっている上、前作の評価は満点だっただけに、本作は、構成や演出が殆ど変わっていなかった分、どうしても前作の役者との比較に終始してしまって、映画自体を楽しむことが出来ませんでした。 本作のみの評価なら、きっと、それなりの味わいがあるのだろうとは思うのですが、いかんせん、前作の出来が良かったので・・。正直に言えば、オリジナルを酢水でゆがいて灰汁を抜いた感じ、でした。 [映画館(邦画)] 6点(2006-12-23 23:14:08) |
3. 悪魔の棲む家(2005)
《ネタバレ》 映画館に行かなくて良かった!!という程酷くはないけど、行かなくて損した!!という程でもない。映像は確かに綺麗にはなっているんだけど、オリジナルの、シンプルだけど、外連味のない、いかにも「家」が怖いというリアルさは全くなくなっている。小細工のし過ぎで、かえって白けてしまった。オリジナルが作製された頃は、動物を虐待・殺害するような映像に厳しかったみたいなので、もしかしたら本作のほうがより実話に近いのかもしれないけど、終盤近くの犬の活躍?がなくなっていたのもガッカリだし、何より、オリジナルの良さは、「家」の囁きを振り切って、「家族&犬」を救う為に大奮闘する親父の頑張りだったのに・・。家の囁きに屈した亭主から子供を守る母ちゃんの奮闘になっていたのは、やっぱり時代というものかなぁ。神父さんの苦悩もなかったし・・。変に家族ドラマと少女の霊に重点を置いてしまったせいで、「家」への恐怖は薄れてしまった。囚われのジョディを中心に置くなら置くで、もう少しやりようがあっただろうに・・。クローゼットのベビー・シッターのシーンで助けを求めるとか、さ。「家が悪いわけじゃない。悪いのは人」とは言うが、結局、視点が散漫になってしまっていて、最後のシーンも、「なんなんだ、いったい」で、終わってしまうんだな。理由付けをし過ぎて、かえって面白みを失ったあたり、呪怨のリメイクみたい。 [DVD(字幕)] 5点(2006-08-09 01:05:13) |
4. バルトの楽園
《ネタバレ》 全体としては悪くはないし、観て損をした映画ではないのだけど、何か物足りない。実話をどこまで生かしたのかは分からないが、ひとつひとつのエピソードが孤立してしまっていて、個々人のエピソードが全体の流れから置き去りにされてしまっている。松江所長の人柄を表現するのに必要な会津藩のエピソードも、音楽が妙に重くなって、かえって、かったるく、重要な要素なのに、逆に物語の底を浅くしてしまっているような気がした。ラストも、松平とガンツを並べてちゃんちゃんでは、いかがなものかと思う。エンド・クレジットも、戦場のピアニスト同様、ベートーヴェンの第9で収めるのはいいとしても、ラストのラストで、カラヤンはないだろう。せめて、現存する当時の写真を持ってきて欲しかった。ナレーション役のヘルマン君が、随所でカメラ写してたシーンも、これでは全くの無意味。金返せ、とは思わなかったけど、あらゆるシーンで消化不良な作品だった。本当なら4点なんだけど、ドイツ兵捕虜役の役者達の頑張り(特に、トムクル似のオリバー・ブーツは良かった)にプラス1点。 [映画館(字幕)] 5点(2006-06-24 23:29:43) |
5. イルマーレ(2000)
《ネタバレ》 淡々と、淡々と流れていく映画ですよね。劇的な設定のわりには、特に盛り上がるところがあるわけでもなく、交通事故があったからどうなるとか、お父さんが死んだから劇的変化があるとかでもなく、主人公二人の心象風景的が映像になって流れていくだけの、本当に淡々とした作品なんだけど、ジワジワ~ッと、なんだか暖かくなっていく作品でもありました。ラストシーンも、あの時点では、彼女はまだ、元彼に振られてないし、その後どうなるかは分からないけど、余韻のある、綺麗な纏め方でした。そう。彼は生きていて、彼女の手紙は届いていたわけですから。ただ、二人の心象風景を中心にしただけに、二人のプライベートな背景が犠牲になってしまっていたのが、ちょっと物足りないかなぁ、と。でも、そういうところを切り捨てたから、ここまで淡々とした流れが出来たのだろうけど・・。劇的な展開や、劇的な愁嘆場とかが好きな人には、向かないかも・・。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-05-22 21:01:12) |
6. ブロークバック・マウンテン
《ネタバレ》 これを、ゲイの真実の愛の物語とされると、ちょっと困惑する。ぶっちゃけて言ってしまえば、性欲の延長線上に真実の愛があるのか、あるいは、現実と乖離した世界で愛を語るのか。桃源郷で暮らす仙人ならいざしらず、社会生活を営むのなら、それでは困るし、だからこそ、本作の二人は成就し得ない。本作は、ゲイ映画というよりは、現実という社会での相克を描いた作品で、今流行の純愛を期待して見ると、ちょっと辛いだろう。実際、客観的に見れば、イニスはジャックと出会わなければ、普通に暮らしていた人だろう。思い過ごしも恋のうち、というが、二人だけの世界から現実に立ち返れば、しがらみは山ほどあるのは、何もゲイを引き合いに出す必要もない。では、真実の愛とは、「青い珊瑚礁」のように、桃源郷でしがらみのない二人だけの世界を守ることだろうか? 一見曖昧で、ジャックの情熱に引き摺られながらも、優柔不断に見えるイニスは、だが、そのしがらみも引き受けていた。だからこそイニスは社会に生き残り、ジャックには死という結末で閉じるしかなかったのだろう。とはいえ、片方を死なせ、桃源郷(ブロークバック・マウンテン)の残り火を永遠というのでは、それまでの相克劇の終幕としては、あまりにも安易す過ぎるような気がする。 [映画館(字幕)] 6点(2006-03-31 00:07:29)(良:1票) |
7. Mr.&Mrs. スミス
《ネタバレ》 気軽にノリを楽しむには爽快感がなく、ストーリーを楽しむには底が浅くて、なんとも中途半端な作品でした。ダグ・リーマンって、こういう作品作りの人なのかなぁ。「ボーン・シリーズ」の時にも、なんとも言いようのないダラッとした中途半端な感じを受けたから、きっとこの人の作り方は性に合わないのかもしれない。でも、1度は映画館で見ておいても損はない。アンジーが、いい。今が最高に乗ってる女優さんというパワーが、スクリーンからパワーッと出ています。でも、最後、カウンセラーで終わるのはいいとしても、もう少し、科白に工夫が欲しかったですね。 [映画館(字幕)] 6点(2005-12-25 22:34:51) |
8. アイランド(2005)
《ネタバレ》 リンカーンが自分達はクローンだと気付くまでの展開は、かなり引き込まれて見てた。クローンの培養や、その処理など、黒人の奴隷制度やホロコースト、人体実験等を行ってきた人間なら、多分、これくらいするだろうおぞましさであり、実際既に、実験段階くらいのレベルにはなっているんじゃないかという怖さもあった。実際、臓器売買の段階には、踏み込んでいるのだし。だが、それも、リンカーンがジョーダンを連れて逃げるまでだった。そこから先は、「生命とは?」「存在意義とは?」「人は神の領域にどこまで踏み込めるのか?」などとは、考えてはいけない。確かにアクションは派手で過激だから飽きることはないが、今の段階では、ビジュアルで見せるのは、もう限界だろう。「××があれをやったから、あれ以上のものを」となったら、ただひたすら、救い難い過激さに走るしかないだろう。しかもそれが、映画自体の持つテーマのフォローになっていないのだから、なおさら救い難く、まして、アクションに食われて、ドラマ性はひたすら希薄になっていく。そもそも、フンスーの傭兵隊長ってば、殺していい指令が出てたって、どっちがどっちか曖昧なのに、リスト・バンドだけで、そんなに簡単に射殺していいのか。普通、脚とか肩とか、行動不能な発砲をしないか? この傭兵隊長が最後に依頼主を裏切るのは、彼が黒人であることだけを理由付けにしているようだが、黒人女性が国務長官を勤める今では、それこそ、却って余計なことだったように思う。その前に、オリジナルのトムを、あっさり射殺してしまったことも含めて、逆に、白人の意識を逆なでしたような気がしないでもない。それに、いろんな映画のごちゃ混ぜって感じがした。「ガタカ」っぽいところもあれば、「マトリックス」のようなところもあり、「トータル・リコールか?」なところもある。あ、「青い珊瑚礁」もあるね。でも、あれだけおぞましく、あれだけ派手なアクションがあるのに印象に残らないのは、前半と後半のバランスが悪いせいでしょうか。 [映画館(字幕)] 6点(2005-09-09 23:30:23)(良:1票) |
9. スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
《ネタバレ》 なんだかコマコマした作品だった。次から次へと場面が転換して、次から次へとエピソードが展開していく中で、その度に派手なCGIがあるから飽きることはなかったけど、アクションがスピーディ過ぎて、動きの速さに辟易した。なんでそんなに一々速いんだと思ったが、これだけのエピソードを詰め込もうとすれば、スローモーション効果なんてまどろっこしい真似は、してられないんだろう。とにかく、あのシーンもいれたい、このクリーチャーも出したいと、出血大放出なサマー・セールのような作品だった。ストーリー自体は、結末の定まっているお話だし、辻褄さえ合っていればいいのだから、こんなものだろうが、旧3部作に比べると、どうしてもグレードが落ちてしまうのは、ダーク・サイドに落ちる(らしい)アナキンの描写の足りなさか。クリステンセンの演技力不足とは思えない。証拠に、本作では、他の主要な俳優にしても、いかにもブルー・スクリーンの前で演技してる感がプンプン臭っていたし、それが効果的にもなっていない。科白の陳腐さは、初作EP4からのお家芸だから今更気にならないし、それがSWスタイルというものだが、本作のドラマの強引さは、いささか眩暈がした。各エピソードの対をなす手法は分かるが、ドゥークー伯爵の腕が切られたからといって、ドゥークーが何者であるかの説明はないし、EP6で瀕死のルークの命乞いにいきなり善に目覚めるベーダーに白けたというのに、再び、瀕死の爺の命乞いでいきなり爺に寝返られてもなぁ。極め付けが、瀕死のパドメが、生まれたばかりの我が子に、いきなり名前を付けるって。子供が腹にいるのに生きる気力がない女がすることじゃないだろぉ?白ける以前に、質の悪いギャグで、笑いすら白けた。ただ、ラストで、ルークを引き取るおじさんが、EP4のルークと同じ姿勢で二つの太陽を見ていたシーンは、グッと来たなぁ。何にグッと来たかというと、このときは未来への飛躍を夢見ていただろうルークのおじさんも、ルークを育てていく過程で、我が子は危険に晒したくないという思いで保守的になっていったのかなぁと。おじさんは、ルークを我が子のように愛した末に、ああいう死に方をすることになるのかぁと、グッと来てしまった。ただ、SWブランドとか、これが最後とかいう感傷を加味しても、やはり、これが精々だ。それでも、やっぱり、あのオープニングは、ワクワクするね。 [映画館(字幕)] 7点(2005-08-19 23:42:55)(良:2票) |
10. スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー
前評判があんまり悪かったせいか、あんまり期待しないで見たのが良かったのかもしれないけど、私は結構好みだった。見る前はスカイ・キャプテンの冒険活劇かと思っていたけど、ジョーとポリーの、ちょっと斜めなロマンスだったんだね。出てくるロボットや飛行艇を見ると宮崎アニメ?と思うけど、ジョーとポリーの関係を見てると、ルパン3世を思い出した。それも、第一シリーズの頃のルパン3世。「惚れてるかもねぇ。でも、それで自分の生き方、縛られたくないなぁ」なジョーと、「私には私の生き方があるのよ。でも、やっぱり気になるかもぉ」なポリー。しかも、きっちり、女のおかげで窮地に立つくせに、どうも懲りてないジョー。って、ルパンと不二子ちゃんみたいだなぁと思った。こういう関係って、嫌いじゃない。ガキの喧嘩かよと思いつつも、どこか色気があって、いい。ジュードとグィネスが、そういう関係の雰囲気を上手く引き出してたと思う。演技自体は、全編をブルー・スクリーンの前で演じた為か、舞台っぽい芝居になっていたけど、それがむしろ、徹頭徹尾レトロな色調と相俟って、微妙な雰囲気作りに一役かっていたように思えた。そういえば、クライマックスも、ルパン対マモウって感じだったなぁ。手法としては、実験的な映画だったのだろうけど、なんだか懐古的なアニメを見ているような気分で、微笑ましい気持ちで見終えた。 [DVD(字幕)] 8点(2005-08-10 23:48:10) |
11. 姑獲鳥の夏
《ネタバレ》 原作は未読。煽り捲くってくれた前知識もいれず、予告だけで期待して行ったけど、外れた。大きく外れた。冒頭から最後まで、こんなに眠かったのは、「シークレット・ウィンドウ」以来。眠らずに住んだのは、近場のおじさんが健やかな寝息を立ててくれてたおかげだが、冒頭からマトリックスの説明で先ず白けて、妻帯者である関口君の恋心が薄過ぎて、物語の骨格がヘニャヘニャに崩れて、しかも、恋心の相手である原田知代の演技がベタ。彼女って、こんな演技が下手だっけ?っと、終始ムカついていた。映像も、一生懸命な工夫は理解出来るけど、奇をてらえばいいってものではない。京極堂の操る鈴の音は、多分原作にあるものなのだろうけど、全く活きていない。その、肝心の主人公である京極堂そのものが、自分の理論に固執する、ただの薀蓄たれに終始していて、この手のミステリーのカタルシスである謎解きの場面でさえ、「おまえ、もういいよ」な気分になってしまう。確かに「説明できないものなどない」のは理解出来るけど、この手のお話は、主人公が摩訶不思議な世界を体現してくれなければ白けるばかりだ。唯一の救いは田中麗奈の溌剌とした演技だが、それとて、彼女が出てくる度に、物語が現代に戻ってしまい、作品的には「あ~あ」な存在だった。そもそも小説の手法を映像の手法で語るのは無理があるし、映像の手法で、もう少し、何とかして欲しかった。 [映画館(字幕)] 4点(2005-07-31 02:53:14) |
12. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 私は映像技術や撮影技術には詳しくないので、映像的には十分迫力があったと思うけど、ストーリーの方は正直、がっかりした。トムは一生懸命頑張っているし、俳優陣もフル・パワーで頑張っているのは分かるけど、いかんせん、散漫なストーリーに空回りしているよう。圧倒的破壊力を誇るトライポッドの威容も武器も、マト・レボよりも余程クリアで、いかにも駆逐という感じが出ている。なのに、肝心の感動はいつまでたっても出てこなかった。っつうか、時間が経つごとに白けてしまった。車を奪い合うシーンは、呆気に取られるほど定番過ぎてお粗末だったけど、地下室でのオグルビーは、正直、いらない。これでは直前に起こった爆発で、もしかしたら死んだかもしれないロビー=息子の存在意義が全く薄れてしまう。意図は分かる。ただ、初めからフェリアー親子の絆を視点に描いているなら、死なせてしまったかもしれない息子を思いつつ、親子二人で息を潜めているところに現れた異星人への復讐心と、娘を守る為に堪えろという親父としての葛藤を描いてくれた方が好かった。ロビンスの演技が悪いのではないが、オグルビーに時間を割くくらいなら、ここでワン・ショットでも、潰走する軍隊と混じって逃げるロビーを映して、ここでロビーに「ダディ」と呟いて欲しかった。ラストで、何故かそこだけ無事なボストンで、いきなり沸いて出たロビーと再会されても、ご都合主義としか思えない。終息も、どこかで「原作とは違う」と書いてあったから、どう違うのかと期待していただけに、「なぁんだ、原作通りじゃん」だったけど、それだけに、最後に取って付けたような軍事的勝利はあまりにも蛇足。これもまた、潰走してきた軍隊の中に見つけた息子と再会の喜びも束の間、追ってきたトライポッドの出現で「もう駄目だ」な時、急に動きを止めて、何がなんだか分からないうちに終わっていた方が真実味があるような気がする。それにしても、半世紀前ならともかく、200mも300mも、場合によっては1kも掘り下げてビルおっ建てる時代に、「奴らは地下に埋まってた」設定はないよなぁ。初期のウルトラマンの設定かと思ったよ。ついでに、レイチェルはダコタでなくてもよかったと思う。最近のダコタは、主張が強くて子役としてはうるさく感じるのは私だけ? ただ、映像の迫力は、確かに映画館で見た方がお得。 [映画館(字幕)] 6点(2005-07-04 01:13:45) |
13. マスター・アンド・コマンダー
《ネタバレ》 予告を見て、青池保子の帆船物漫画か?と思っていたけど、ほんとにそうだった。そうだったけど、青池氏の帆船物の方が、よほど面白いように思うのは、やはり、あまりにもオーソドックスでスタンダートな作りだからだろうか。展開は読めるし(落ち零れ士官が身投げするとことか、負傷した軍医が自分で手術するって言うとことか。ブラック・ジャックするよ、きっと。と思っていたら、本当にするもんなぁ)、ここ!って時に、画面は暗くなるし。当時の戦況からして、そこまで固執する必要があるんだろうかとも思うし。ラストは強引だし。ただ、映画には公開時期というものもあって、本作が公開された当時、マトリックス続編狂想曲に代表される、CG多用映画に振り回されていたこの時期には、こういうオーソドックスな作りが却って新鮮だったのかもしれないなぁ。面白くないとは言わないけど、ワクワクもしなかった。全編、思い切って女っ気無しにしたとこや、軍医が自分の趣味に固執せずに動物達を放してやるとこがいいけど、展開を思えば、これも予定調和なんだなぁ。 [DVD(字幕)] 6点(2005-06-29 23:55:26) |
14. コンスタンティン
《ネタバレ》 最初は、幽々白書のカトリック系アダルト版だなぁ、と思っていたけど、最近私は、本作を、かぐや姫の罪人バージョンと呼んでいる。但し、本作の姫様は、求婚者・じゃない・仕事仲間の集めたアイテムを駆使して、姫様本人が闘っているけど。マジで求婚者になれたかもしれない相手も、結局は、ね。こういった、パラレルワールド系とか異種流帰譚系とかって、基本というか骨子は似てしまうものだけど、でもきっと、その普遍性が心地いいのかもね。デウス・エクス・マキナ的な終結(人間を超越したものが現れて物語を終結させるギリシア劇の手法)も、マト・レボのような、思わず天を仰いでしまうような唐突さではなく、きちんと物語に組み込まれているのがいい。冒頭で、運命の槍を見つけた男が、「誰かに見られている」風に振り返るシーンも然りで、全体としてしっかり組み立てられた作品。それぞれの役者も、それぞれの役に、それぞれの個性を発揮していていいんだけど、とにかく何より、キアヌが、いい。演技も、声も、抜群にいい。まるで、アクションシーン以外では演技らしい演技をさせて貰えなかったマトリックス続編への面当てか?と思ってしまったくらい、いい。こういった系の作品は、何はともあれ主演が物語を信じてくれなければお話にならないし、だからこそ、こういった系は地力はあるけど知名度は今ひとつな役者が主演して一躍というのが普通なんだけど、知名度があってもそれが出来るという点で、キアヌは稀有な役者なんだろう。もっとも、身勝手で自己中という意味では、他者に何の負い目もなかっただけに、JMのジョニーの方が勝っているが・・。それでも、「誰かキアヌに、もう一度連続殺人犯を演じさせて!!」と、バスタブにシーンで思ってしまいましたよ。いやぁ、久々に映画館リピート回数を更新しました。満足!! [映画館(字幕)] 10点(2005-04-17 11:59:22) |
15. グッバイ、レーニン!
《ネタバレ》 良質な、いい作品を、久し振りに見ました。コメディ仕立てとはいうけど、傍から見れば滑稽と思えることを真摯にやっているからコメディに見えるだけで、物語自体はかなり重いファミリー・ドラマだと思う。それを軽やかに乗り切ったのは、やはり監督の手腕なのだろう。ソ連邦が崩壊し、ロシアになった数年後かに、「共産党時代は良かった。ノルマさえ果たしていれば給料が貰えたから」という市井の人々の声を伝えるコラムを読んだことがあったが、本作を見て、当時の東欧は皆、急激に入ってきた自由競争の厳しさに晒されて、同じジレンマに苦しんでいたんだろうなと、今更ながらに思った。同時に、うっかりすればしか爪らしいドキュメンタリーに転びそうなテーマを、主人公の若者らしい反骨心、それが原因で母が人事不省に陥り、やがて・・、と。自責と愛情の相克の中で、せめて母に残された時間を母が信じていた時代の中でと、急速に西欧化する世の中にあって、旧時代があたかも現存するように振る舞う息子の苦闘を通した逆転の視線が、無理なく時代を反映していて素晴らしかった。そして、どんな体制の下であっても、結局、生きているのは日々を幸福に、出来れば夢を実現したいなと望む人間なんだよということなんだな。共産主義も民主主義も、理念は立派なのだ。でも、結局、踏みにじるのはやっぱり、人間の欲なんだなと、最後のメッセージが逆に知らしめるようだな。ところで、瓦解した旧体制があるかのような映像を作っていた友人の子が着ていたTシャツがマトリックスTシャツというのが、笑えた。こういうマトリックス使いも、あるんだね。 9点(2005-02-06 21:44:39)(良:2票) |
16. オーシャンズ12
一番気合が入っていたのは、当然だけど、ヴァンサン・カッセルだった。けど、あの展開ではカッセルの気合も空回りのドサ回り。とはいえ、それが狙い目であったとしたら、展開としては正しいのかもしれないけど、終始落ち着きのない画面といい、粗い画像といい、観光旅行の片手間で撮ったのかい!!と言いたかった。いえ、初めから伝説の大泥棒との繋ぎがあると思えば、確かに奴等の目的は観光旅行だったのかもしれないけど。内輪ネタも楽屋ネタも、たまにはいいかもしれないけど、まんまで撮られても、ねぇ。キャサ・ゼタ姐の役も、なんだか取って付けたようだし、これだけのキャストを使って学芸会じゃ、笑うに笑えない。それにしても、マット・デイモンは確かに今が旬って感じがしたけど、ブラピってば、まだ演技感が戻ってない? それとも、このままいくのか? このままでいいのか? 4点(2005-02-06 20:39:18) |
17. レディ・キラーズ
最初の10分で、もう飽きた。人物紹介の脈絡の無さといい、全体の会話の噛み合わなさといい、無理やりコメデイといい、「なんじゃ、こりゃ」だ。トム・ハンクスも、「何でこんな映画に出たの?」という意味では、ラジー賞ノミネートものでは? え? 違う? あ、そうか。「善い子の皆さん、悪いことをすれば自分に返ってきますよ」っていう、ハンクス主演の政府公共番組なんですね。納得。いずれにしろ、設定の無理があるし、全ての展開がお定まりで、つまらなかった。ハンクス主演なだけに、声を大にして言いたくなってしまう。 3点(2005-01-23 23:51:28) |
18. ロスト・イン・トランスレーション
異国の地で、話す相手もなく、ホームシックになった父親と若い娘の孤独感の中で、結婚すれば家族と呼べるのか。結婚生活が長く子供がいれば家族なのか。ファミリーとは何ぞや?ってことなのかな?とは思ったけど、結局のところ、「パパに認められたいよぉ」っていう、ソフィアのファザ・コン映画に見えてしまう。個人的感情も映画の感想と認めてもらえるなら、こんなところで、反抗期に摘み食いした昔の男の名前なんか出すなよなぁ。何考えてんだ、この女!!と、思ってしまったよ。映画に描かれていた東京観、日本人像は、別に奇異には映らなかった。バラエティ番組の中には、もっと変で騒々しいものが実際にあるし、多忙な亭主に連れられてニューヨークのホテルにポンと置き去りにされたら、きっともっと悲惨だろうしさ。むしろ、どなたかが書かれていたけれど、彼女の行動力は立派。というよりは、やはり、アメリカ人は一番偉い、私は戦勝国の人間なのよ的潜在描写なのかな。だから日本なんだろうね。自作自演の介入戦争で、唯一成功した国だもの。だから、まあ、しょぼ映画ではないけれど、ムッとした作品よね。 3点(2005-01-07 23:42:30) |
19. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 ヤな映画!!というのが、率直な感想。監督は、運命の悪戯で道が分かれたた男3人を描こうとしたのかなぁ? 私にはむしろ、女のエゴや嫌らしさが、存分に詰まった作品に思えた。まずデイブの女房の、「そんなことは警察に言えよ」な密告は、正義の有無より亭主がいなくなった後の自分の生活保障を求めるものだし、ショーンの嫁は、「私、煩わしいの嫌。でも、寂しいのも嫌。気遣うのは嫌だけど、気遣って欲しいの」ってか? でも、結局、1人勝ちしたのはジミーの後妻で、亭主が先妻の面影を引き摺る原因で、ついでに女としてもそろそろ年頃、老けてく自分との女っプリも比べられそうな継子は死んでくれて、いよいよ自分時代よと言わんばかりの、まるでジャクリーン・ケネディにでもなったかのような、パレードでの得意っぷり。正直に言えば、イーストウッドの女を見る目には、反吐が出るほど感服するわ。ついでに、さすが訴訟大国。「シカゴ」でも思ったけど、例え犯罪者でも、成り上がったもの勝ち。そう、勝てば官軍ってっ言葉は、ちゃんと日本にもあるのになぁ。そういえばペンは、これでオスカー受賞したんだっけ。キアヌが賞賛する俳優だから値するんだろうと自己暗示を掛けようにも、私はどうしても、ペンの御大層過ぎる演技は嫌いだ。ところで、デイブを誘拐した連中がしてた指輪と同じ十字のジミーの背中の刺青は何? 同じ犯罪者だっていうこだけ? それに、3人の友人関係は、度外視した方がいい。何の意味もない。点数は、二人の女優さんに、ですね。 4点(2004-12-07 22:35:28) |
20. ホーンテッドマンション(2003)
そうですね。やはり、全てにおいて中途半端。マーフィーを主演にするなら、とことんコメディを貫いても良かったし、子供向けにするなら、もう少し子供が活躍しなきゃ、かな。ストーリーが使い古しなのはともかくとしても、このご時勢だから、特殊効果の映像は綺麗だけど、もっとこう・・、なんつうか、消化不良だぞ!!ってか。引っ張りどころで引っ張ってくれないから、見ててもう、コケまくり。味わいは、テレンス・スタンプの執事さんと、水晶玉。何気に飄々と現れる水晶玉は、何しても壊れそうもない。でも、まあ、一度は映画館で見ておけばよかったかなぁ、とは思いました。もっとも、映画館で見たら見たで、やめとけばよかったと、思ったかもしれないけど。 5点(2004-12-07 21:31:52) |