1. 花束みたいな恋をした
《ネタバレ》 男女二人の出会いから別れまでの日常が2時間 の中に淡々と描かれているだけではありましたが、嫌味のない二人 の若い俳優さんたちの嫌味のない演技により、長い割にはそれほど 飽きはしませんでしたけど、それほど泣けもしませんでした。 この手のお話に感情移入するには我ながら老け込んでしまったようです。 ああ、最近の若い男女はこういう形で付き合うのかあ、随分と健全です けどどこか老成してますねっていう感じでした。 自分の若い頃は若者はもっと危なっかしく、青臭く、背伸びをしていた と思うのですが、イケイケだったバブル時代を経験したことがなく学生 の頃から就活で鍛えられると、こういう堅実で現実的な生活志向になる のでしょうか。 いずれにしても今観るとコロナ禍前の悪い人は一人も登場しない平穏な風景。 こういう時代に再び戻ることができるのだろうか。 二人が口にした文学、映画、音楽の固有名詞で既知なのは村上龍 ぐらいで、あとは全く知らず、映画館の中ではありましたが、いち いちググって調べてしまいました。年とともに若者文化の流行に疎く なってしまった自分を感じたことが一番心に残りました。 ラストで二人とも後ろ向きに手を振るシーンは、お互い見ていないわけ で、ちらっと振り向かせても良かったのではないでしょうか。 【追記】 地上波初放送で久しぶりに観ましたが、改めて時代の違いを感じて しましました。なんとなくクリスタルに代表されるバブル前世代 にとっては、バブルを知らず失われた20年を経て身に着けた最近 の若い人たちの生活様式を理解しようと思っても無理があるよう です。 最初の出会いのシーンですけど、途中で友達が店に入って来て そちらの相手をしていたら彼女が腹を立てて帰ってしまうのを 追いかけて仲直りするところ、普通は必死に探し回ったけど結 局見つけられずにそれでおしまいになりますよね。 そういう経験自分にもあったようななかったような。人生、運 と縁は微妙なものです。 それにしても終電間際の夜中にトイレットペーパー二束をぶら 下げて歩いている人がいたら普通はドン引きですよね。 テレビなのでようやく全員聞き取れた絹ちゃんのお好み作家さん たち、穂村弘、いしいしんじ、堀江敏幸、柴崎友香、長嶋有、 小山田浩子、今村夏子、小川洋子、多和田葉子、舞城王太郎、 佐藤亜紀・・・・やっぱり一人も知らん [映画館(邦画)] 6点(2025-01-21 20:49:31) |
2. ミステリと言う勿れ
《ネタバレ》 いやあ、面白かったですね。謎解き物と してはよく考えられたお話で堪能することができました。 無暗に人が殺されないところも良かったです。 遺産相続のお話と思わせといて実はその裏にもっと深い 闇があったというプロットには恐れ入りました。 久能君が途中で本筋とは全く関係のない女性論について 話すところは彼らしいところではありますし、内容には 禿同でありました。 弁護士の孫の登場があまりにも唐突で不自然で、彼が何ら かの形で絡んでいるのだろうというのが容易に推測できた ので、もう少し考えてほしかったとは思いました。 最後の松嶋奈々子がそれぞれに形見を渡すシーンは確か に長くて、本筋の秀逸さに比べて月並みな感じは否めま せんでした。 物語の突っ込みどころは、狩集家は地域での大きな自作農 家であれば当然多くの小作人や役人などとも顔なじみで あり、鬼が突然成り代われば容易にバレてしまうであろう 点でしょうか。 ちなみに、久能君が若いにも関わらず各方面に超博識で あるという設定であれば、狩集幸長の遺言を皆の前で 弁護士先生が開示するところで、「公証人の検認なし に開封したら犯罪になりますよね」とか、「一人だけ に相続させるのは遺言であっても遺留分侵害で無理で すよね」とかの発言をしてもよさそうなものなのに、 彼はそうしなかった。(さらに言うなら、汐路のお母さん は遺産を全くもらえない、というのも、現在ならば、もし 生前に遺言者の世話を押し付けられていたのであれば、 夫が死亡していてもその寄与分に対する金銭請求が可能) これは設定が犬神家のように戦後の混乱期でもなく 純然たる現代ならばあり得ないことなので、当然彼は そのことに気づいていたのに全く口にしませんでした。 これは意図的なものだと思っていました。 つまり僕はその時点で、どうやら二人は怪しい、遺言 書も偽者ではないかと気づいていたんです、という 種明かしを最後にするのか思っていたのですが、完全 スルーでした。もしかしてその辺の法律事情を作者も 知らなかったのでしょうかね。 [地上波(邦画)] 7点(2025-01-09 08:45:14) |
3. D-TOX
《ネタバレ》 ここでの評価が低かったのでそれほど 期待はせずに見ましたが、まあそこそこ楽しむことはできました。 恋人が惨殺されて自暴自棄になった主人公が最果ての療養所に送ら れて、そこには訳ありな多彩な落ちこぼれ警官が集まっていてる、 という設定はなかなか良かったし、犯人捜しもそこそこ楽しめた のですが、他の人が言っているように、療養所に送られるまでの 前振りが長くて、犯人捜しに費やす時間が短すぎて、なんだか 全てに中途半端で終わってしまったような感じ。 映画としての尺の制限があるので致し方ないのかもしれません が10回完結のドラマとして各部分をじっくり描けばそれなりの 作品になったとは思います。 突っ込みどころは万歳ではありますが、一つあげるとすれば、 ロンドン警察出身ならロンドンなまりがあるだろうと思うの だけど、まあその辺は気にしないことにします。 あと、犯人串刺しにされてもまだ御託ならべる元気があるの は相変わらずの過剰演出。 [地上波(吹替)] 6点(2024-12-24 18:37:19) |
4. アフタースクール
《ネタバレ》 緊急事態宣言下で、GW中は家の外に出ずに自粛 せよとのお上の御命令で、しょうがなくTV番組表を見たらやって いたのでさして期待もせず暇つぶし程度に観たのですけど、これ は、なんというか・・・めちゃくちゃ面白かったですね。 始まってから何だか人間関係も状況も良く分からず、謎が深まって いくのに引きずられて最後まで観てしまいました。中学時代の初恋 なんかも絡めてなんとも切ないエンディングでした。 巧みに観る側に真相を悟らせず誤解する方向に誘導するようにセリフ をうまく選んでいたというか、そこに最大の努力と細心の注意を払った という作品のようです。 義理の父だと思ったらデカ長だった、団地の住人のおっさんだと思った ら警備の刑事さんだった、探偵さんは騙していると思ったら自分が騙さ れていた、そして最後のエレベーターのシーンの種明かしといい、細部 にまでこだわったなかなかの脚本力です。 だから通常の作品のような突っ込みどころが突っ込みどころとして成立 しなくなってしまうという異色の作品に仕上がっています。 俳優さんたちもそれぞれに個性的で、うまい配役でした。中でも大泉さん の演技がなんとも言えない味を出していました。 [地上波(邦画)] 8点(2024-12-21 16:38:04) |
5. 草原の輝き(1961)
《ネタバレ》 まだ世の中の時間がゆっくりと落ち着いて回っていた 古き良き時代の青春映画。今の時代ではもうこんな味のある恋愛映画は作れない でしょうね。 ナタリーウッドとビーティー(ベアティー?ベイテイ?なんで彼の名前の呼び方 はこんなに頻繁に変わるのだろう?)の途中の絡みはちょっと間延びしていなく もないけども、なんと言ってもラストの二人の再会と別れの切ないシーンは忘れ られません。ハッピーエンドで終るのではという期待は完全に裏切られましたけ ど、その分余韻に酔わされました。 [映画館(字幕)] 9点(2024-12-21 16:32:40) |
6. ペイチェック 消された記憶
《ネタバレ》 あまり期待しなかったからなのか、 意外と面白かったです。娯楽作品としては合格点だと 思います。 「未来の悪いことが予言できたら、人間は必ずそれを 阻止しようとするから、結果的に未来はどんどんと変 わってしまう」という矛盾は、言われてみると当然の ことだけども、なぜ今まで取り上げられなかったのか 不思議な気がします。 ただし、2時間という限られた時間枠にあまりにも多く の要素をつめこみ過ぎたので、全てが中途半端になって しまった感は否めません。 24時間のようなシリーズ物にして、20個アイテムを一つ につき1話ぐらいで作ったら良かったのかもしれません。 [地上波(吹替)] 6点(2024-12-11 08:49:48) |
7. ブレーキ・ダウン
《ネタバレ》 掲示板のみなさんがいうように、最初は バルカン特急かフライトプランのパターンかと思ったら、 保安官は一味ではなくて良い人だった。 最後はどうみても激突のパクリそのまんまで、もう一工夫 欲しかったところ。話が単純でひねりがほとんどなかった がスピード感がありそこそこ楽しめました。 レッドは家庭では良いお父さんのようだけど、人質を自宅 の納屋に隠すのはいかがなものか。金を奪ったら人質や 亭主をどうするつもりだったのだろうか。 9万ドルは最近の円安で1350万円、プラス新車が手に入れば まあそこそこの稼ぎではありますね。 かつて米国に住んでいた頃休暇でアメリカの田舎を車で 随分走り回ったけど、今思うと邪悪な連中に出会わなか ったのはラッキーだったのかもしれない。 [地上波(吹替)] 6点(2024-12-05 09:42:13) |
8. 望み
《ネタバレ》 原作未読でこの映画自体全く知りません でしたが、民放BSの番組表に載っていたので取り敢えず録画して 見始めたのですが、確かに重い映画でしたが、普通なら早回しで観 るのをじっくりと最後まで見入ってしまいました。 規士君は亡くなってしまいましたが、あれ以外の結果だったらこの 家族はその後は維持できなかったでしょうし、被害者側であったが 故に悲劇的な事件を乗り越えて生きていくであろうことが予感でき ラストの余韻は言われているほどには悪くはなかったです。 久しぶりに心に残る映画でした。 満ち足りた幸せな家族に降ってわいた息子の失踪と殺人事件。 家族の中での立場の違い故に異なる心情を抱いてしまう3人が丁寧に リアルに描かれていました。 家が特定され卵を投げつけられ落書きをされSNSでの誹謗中傷はさも ありなんという風景で、それゆえ法務省がタイアップしていたのでしょ うか。法務省もさることながら、息子を心配する両親に捜査に支障がでる からと何も状況を伝えない警察にも反省を促したいですね。 ところで、息子の情報を得ようとファーストフード店で高校生たちに聞 いて回るお母さんのところは違和感がなくもありません。高校生が問題を 起こしたなら普通はまず学校の担任の先生に当たるでしょう。マスコミ もまず学校に殺到し、校長先生が慌てて記者会見を開くのが世の常ですね。 家族を中心に描いた為に余分な学校の存在は消してしまったようです。 ちなみに、衆人環視の中でお父さんを殴って、その後は土下座ってあまりの手のひら 返しですが、世間とはそんなものでしょうね ジャーナルの記者の人や男刑事さんも意外といい人でしたね。結局犯人の少年 たち以外は登場人物の中に悪い人はいませんでした。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-10-16 10:01:36) |
9. 侍タイムスリッパー
《ネタバレ》 幕末から現代にタイムスリップした侍が 戸惑いながらも剣術の腕を生かして殺陣や切られ役と なって生きていくという単純なお話かと思っていまし たが、それだけじゃあローカル劇場で公開した本作品 が大人気となり全国拡大興行となるわけないですよね。 なるほどなかなか考えた作品でヒットした理由が分か りました。コミカルではあるけども、現代に生きる侍 をそれなりに無理なく見事に描いていました。 2時間以上の長尺も気にならず最後まで興味が尽きませ んでした。 確かに冒頭で雷に打たれた時に相手はどうなってしまった のだろうかと思うわけで、敵方も時代を前後して現代に タイムスリップしていてそれぞれに侍としての葛藤があ り、最後は宿命の対決が再開するというのが味噌ですね。 ラストの切り合いには思わず手に汗握ってしまいました。 テレビドラマから時代劇がほとんど姿を消して時代劇消 滅の危機と言われ殺陣俳優たちが生活困窮したのは少し 前のことでした。当時もしこの映画が封切られていたら 一層切実感が伝わったでしょうね。 [映画館(邦画)] 7点(2024-10-15 06:30:12) |
10. イーグル・アイ
《ネタバレ》 いきなり謎の女性からの電話で指図を受ける 二人の主人公たちの恐怖と混乱の中、序盤から次から次への展開で息つく 暇もなく一気に引き込まれて最後まで見切ってしまいました。さすがスピ ルバーグが製作指揮した映画だけはあると思います。 コンピュータの暴走というのはやや陳腐化したプロットではありました が、それなりに臨場感を持って鑑賞できました。 ただ、主人公や周辺の人間たちをいとも容易に操る圧倒的な能力を持つ 背後の“人物”について、果たして結末において合理的な説明をしても らえるのだろうかという、この手の作品に対するいつもながらの不安も 観ながら感じてしまいました。 ジェリーの方は、なるほどそういうことで必要だったのか、とそれなり の納得はしましたが、果たしてレイチェルは必要だったのでしょうか。 あんな手の込んだことをせずに、何から何まで自由に意のままに操作で きるのであれば、軍のトップでも操って核兵器でも議事堂にぶち込めば それで済む話ではなかったのだろうか、その方がよっぽど簡単ではな かったのか、などと思ってしまいます。 その点がちょっと残念なところではあります。 追記@2024/09/15: 一度観たのを完全に忘れてしまっていて、再鑑賞しましたが、今回も 結構ハラハラして楽しむことができました。 ただ今回じっくりみてみると、ジェリーをテロリストに仕立てる必要 などなかったと思える。テロリストになってしまったが為にFBIの介入 を招き追われることになり余計な労力がかかってしまった。すんなり アリアの所に向かわせる命令を出せばよかっただけではないか。 それにしてもこの映画の製作が16年も前なので、当時からはAI技術や データ解析技術が格段に進歩しており、もしかすると実際にこれに近 いものが既に出来上がっている可能性もあるのではないかと思ったり してしまいます。 [地上波(吹替)] 6点(2024-09-16 13:11:07) |
11. ラストマイル
《ネタバレ》 既にテレビ放送された2作品とコラボした シェアードユニバースムービーと名を打った豪華キャスト、 日本の映画・ドラマでは珍しい実在の駅名を使っているなど 実験的要素も多い話題作ということで映画館まで見に行き ました。 まあ料金に見合う程度には楽しむことはできました。 満島ひかりさんは相変わらずの自信満々の演技でしたが、 大仰さにやや食傷気味ではありました。 しかし物流業界の事情に詳しくなくしかもテンポが速い為、 ストーリーにもついて行けず、役者さんたちのセリフが十分 聞き取れないし(どうやらボケ始めたのか、日本映画にも字幕 をつけてほしい)、あれよあれよいう間にハッピーなのかアン ハッピーなのか良く分からないような形で終わってしまって 大分消化不良でした。 舟渡さんを経歴を偽ってセンター長に送り込んだ米本社の意図 はなんだったのか、そして本人は何をしようとしていたのか、 前半は少なくとも会社を守るために動いていたように思うの ですが、いつの間にか現場の人たちの側に変わってしまった ようで一体何があったのやらではあります。 来年あたりテレビ放映される時に録画でもしてじっくりとみて みたいです。 追加(もろにネタバレ) ちなみに犯人の筧まりか役の女優さん(二村紗和)の名前が どこにも出ていなくてあっちこっち検索してようやく見つけ ました。最初、満島ひかりの一人二役なのかと思いました。 エンドロールには果たして出ていたのだろうか。 [映画館(邦画)] 6点(2024-09-09 06:13:41) |
12. 消されたヘッドライン
《ネタバレ》 謎を丁寧に追っていき終盤にかけての 次々に起きるどんでん返しと暗殺者の影にハラハラドキドキ しながら最後まで楽しむことができました。 この種のお話としてはよく練られていたと思います。 物語の展開からは最後はハッピーエンドか悪が栄える終わり 方のいずれしかないのですが、一応勧善懲悪的に終わったの は嫌な余韻を残さずに良かったと思います。 一つひっかかったのは終盤でビンガムが電話していた相手。 議員は奥さんと一緒だったはずだし、全てコリンズ議員の 思惑通りに進んでいて全てをポイントコープに押し付ける ことに成功した段階で、ビンガムはカルが真相に気づく 前に何かをしようと準備していたように描かれている。 彼は一体何をしようとしていたのだろうか。他にも黒幕 がいたということでしょうか。この部分だけは腑に落ち ませんでした。最後にコリンズ議員黒幕の大どんでん返し を仕込んだのでしょうが、愛人裏切りで十分だったような 気もします。 ちなみに背景がいつもながらの軍産複合体による陰謀なので 新奇さがなく食傷気味。まあ現実的な陰謀論をベースにする ならこれしかないのは分かるのですが。 第二次大戦で膨大な富を得た軍産複合体による大統領の取り 込みはトルーマンから始まり現在まで続いていることは米国 国民は周知の事実で必要悪として受け入れてしまっているの でしょう。 唯一抗ったJFKが暗殺されてしまったことでもはやどうにも ならないものなので、こんな映画が製作されたところで彼ら にすれば痛くも痒くもないということなのでしょうか。 [地上波(吹替)] 7点(2024-05-31 07:37:33) |
13. ブラックハット
《ネタバレ》 ここでのちょっと評価が今一なんですが 自分的には結構面白かったと思います。IT技術を駆使した知能戦 はほとんど説明なしで展開されたので分かりにくかったのですが、 いちいちわざとらしく説明されるより臨場感がありテンポも良かった です。 但し、他の人が言っているようにプロの殺し屋をも蹴散らしてし まうハッカーが無双すぎますよね。 終盤は単なるドンパチのアクション映画化してしまったのは残念 なところ。最後まで頭脳戦で戦って欲しかったと思いますが、 やはりその辺はドンパチがないと満足しない米国映画なんでしょうね。 [地上波(吹替)] 6点(2024-05-22 21:33:25) |
14. 桐島、部活やめるってよ
《ネタバレ》 ここでの評価が極端に分かれていたので、 興味を持ちました。実際に観て確かに評価の分かれる内容 ではありますが、自分的にはほのぼのとした青春の情景が 嫌いではありません。 もっとスクールカーストを露骨にどぎつく描いた作品か思った のですが、意外とまったりとした青春映画という感じでした。 そもそも世に言われているスクールカーストというのもはたから 想像するよりも実態はこんな感じのものなのでしょうか。 鈴木先生とか他の学園ものと比べて、子供たちの演技にメリハリ がなくだらだら感があったのですが、それは監督が過剰演技を 排除した結果なのでしょうか。まあこういうのもありなのかなと は思いました。 この映画のキモはやっぱり、桐島君本人が全く登場せず(終盤に 映画部の連中が屋上に上がる階段のところですれ違うのが彼だと いうことらしいですが)、彼がバレー部を辞める理由も明らかに ならないまま話が進行するところで、やはり映画史に残るプロット ではあると思います。 終盤のゾンビシーンは「カメラを止めるな」を彷彿とさせて、もし かしたら、この映画からヒントを得たのでしょうか。 ところで一つひっかかったのは、バレー部は桐島君のワンマンチーム のようで、それゆえ彼が抜けた影響が大きいという設定なのですが、 一方で彼のポジションはリベロだというところです。 バレー部の花形ポジションといえば長身のエースアタッカーであり、 小柄なリベロは日陰の存在。桐島君が校内の人気者という設定には 似合わないような気がします。スラリとした梨紗ちゃんにはやはり 長身男子ではないのでしょうか。(この頃の山本美月さんって むちゃくちゃ可愛かったんですね) 桐島君がエースでその代役をさせられるのが久保君の方が良かった のではないかと思うのですが、作者の意図を聞いてみたいです。 最後に、高校生たちがやたら使っていた「提出」という言葉。 これって今どきの高校生たちの言葉なんでしょうか。自分が 高校生の時には皆無でした。逆によく使った「サテン」とか は全く使われないのですね。 [DVD(邦画)] 6点(2024-05-22 11:54:45) |
15. インサイド・マン
《ネタバレ》 ここの投稿で難解だという評価が多かった し解説なども読んだ上で鑑賞したので、それなりには楽しめました。 この頃はデンゼルも若くてスリムで最初本人とは分かりませんでした。 途中で人質が解放された後の尋問が挿入されていたりし時間軸が前後 するので分かりにくい上に、資材室に新しく壁を作ってその中に1週間 隠れているとか現実にはあり得ないような設定もあったのですけど、 それなりに練られたプロットだったと思います。(あの穴は結局トイレ 代わりということなんでしょうか)。冒頭のビデオは隠し部屋の中で 撮影されたということなのでしょう。 確かにリーダーも一緒に逃げ出していたら持ち物検査で資料やダイヤ が発見されてしまうわけで、一人は残る必要があったわけですね。 まだ9.11テロの衝撃の癒えない時代、そしてまだ当時は、ナチス=ユダヤ の人々を大量虐殺した極悪非道な連中、ユダヤの人たち=財産も命も不条理 に奪われた可哀そうな人たち、という単純な図式が信じられていた時代では ありました。しかし時が流れ今や可哀そうだと思っていた人々がガザで 無慈悲な殺戮を続ける極悪非道な連中と立場が逆転してしまいました。 昔小学校で、人からされて嫌なことは人にはしてはいけない、と教わった ものですが・・・ [地上波(吹替)] 6点(2024-05-22 11:32:53) |
16. 白い巨塔
《ネタバレ》 テレビドラマの方は鑑賞したのですが、 この映画のことは随分前から知っていたものの今回初めてじっくり と鑑賞しました。 150分という長尺にも拘わらず、錚々たるベテラン俳優陣による教授選 から裁判に至る熱のこもった演技の展開には長さを全く感じることなく 最後まで見終えることができました。 但し、ラストはあれれっ、財前教授勝っちゃったの、っていう感じで どんでん返しでびっくりしました。 確かテレビでは田宮バージョンも唐沢バージョンも、裁判で負けて い、「控訴してください」といって昏倒してしまうので、てっきり 映画もそうなるのかと思っておりました。 確かに悪が栄えるというのもインパクトがありますが、やっぱり後味 は良くないですね。 テレビドラマではその辺の配慮して結末を変更したということでしょうか。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-05-21 19:23:53) |
17. フォーリング・ダウン
《ネタバレ》 アメリカで何度もテレビCMで見て、観たいと 思っていて今まで見逃していました。CMから想像したのは、最初から 最後まで世の中の腹立たしいことに切れまくり続けるオッサンをコミカル に描いた話だと思っていました。前半はそんな感じでしたが、後半は一転 社会派映画っぽくなりました。何人かの人も書いているように前半のノリ をもう少し続けてほしかったとも思いますが、後半の展開も悪くはありま せんでした。妻の尻に敷かれ事件当日に退職する刑事の存在がとても大き かったと思います。 日本などでも無関係の人たちを巻き込んだ自暴自棄の拡大自殺的な犯罪が 起きる今日、決してそれらを擁護するものではありませんが、一方で何度 観ても世の中の不条理に次々と怒りを爆発させていく主人公の男に痛快さ を感じ喝采したくなってしまうのも確かです。 ちなみにアメリカで911と言えばemergencyの電話番号、すなわち日本での 110番ですから、同時多発テロを予言していたわけではないと思います。 [地上波(吹替)] 7点(2024-04-16 09:21:03) |
18. オッペンハイマー
《ネタバレ》 まず物理的な問題として映画館の椅子に 3時間座り続けるのはきつかった。最後の一時間は尻が 痛くて痛くて・・・やっぱり劇場公開するなら2時間以内 で頼みますよ。 そして内容ですけど、プロジェクトXのような原爆開発の 技術的、物理的な困難をいかに乗り越えたか的なお話かと 思っていたら、全く違いました。 核開発への後悔や批判よりも、オッピーとストローズの 私的な遺恨を巡る泥仕合がドキュメンタリー風に延々と 描かれていて、公聴会での長々としたやり取りも赤狩り も米国の国内問題であって日本人にとっては正直どうで も良かったような(そもそもあそこにいたおっさん達って誰?) 日本国内では広島、長崎の惨状がほとんど描かれていな いという批判があるけれど、そもそも当時も現在に至って も米国人の日本に対する認識はこの程度のものだという ことでしょう(Nagasakiを言い辛そうに発音していた) とにかく登場人物が多くて誰が誰だか良く分からず テレビドラマのように、字幕に名前と役職を表示して ほしかった。 ジーンのおっぱい丸出しのシーンが何度もあったけどあれ は必要だったのだろうか 公聴会でいきなり二人のセックスシーンが始まったりし たのは意図不明であれでR15指定になってしまったのだろう [映画館(字幕)] 6点(2024-04-10 10:58:52) |
19. デンジャラス・ラン
《ネタバレ》 確かに基本的プロットに新鮮味はないし どこかで観たようなシーンや筋書き満載ではありますが、 セーフハウスを舞台にした組織の裏切り者が金の為に組織 の裏切り者リストを手に入れるという最初の掴みや二人の 間の心理戦のくだりもはなかなか面白かったです。 後はもうお決まりのリストを巡るドンパチと見え見えの ラスボス登場と内容が暴露されることで政治問題化する という想定内のオチでしたが、まあそれなりに飽きるこ とはありませんでした。 ちなみになんでこんな陳腐な題名をつけたのでしょうか。 英語の原題セーフハウスの方が意味深でよかったと思う のですが。 [地上波(吹替)] 6点(2024-03-01 09:55:47) |
20. フューリー(2014)
《ネタバレ》 ここでの皆さんの感想にほぼ同意な内容で 戦車で始まり戦車で終わった映画でしたね。 この映画で戦車戦というものを始めて教わった気がしてなか なかの迫力で堪能できました。 後半の親衛隊300人相手の戦闘シーンはリアリティからはかけ 離れたないようで、精鋭部隊がああまで混乱させられるとは 思えないし、実際の戦場だったらあれだけやられてしまって 最後に残った一人に温情を与えるとも思えません。 戦後日本の元兵士が捕虜を虐殺したことで戦犯として裁かれ ましたが、やるかやられるかの戦場で敵の捕虜を撃ち殺せと 命じられたら、あの状況では自分なら躊躇なく実行してしま うだろうと思う。戦場での倫理観を平時のものさしで測る ことはできないでしょうね。 [地上波(吹替)] 6点(2024-02-27 15:20:45) |