1. チョコレートドーナツ
とにかく俳優陣の演技が素晴らしく、感情移入せざるを得ない。 ゲイとダウン症児、二つのマイノリティの悲劇と愛情を描いた良作でした。 [映画館(字幕)] 9点(2021-05-16 19:27:21) |
2. メランコリック
最悪な導入と最高なラスト、こういう設定にこういうストーリーを絡めるんだ、っていう驚き。 銭湯と闇社会の交わりってのも、確かに死体の処理には向いてるな、なんて妙に納得したりして。 低予算映画なので、知っている役者は誰も出ていないけど、登場人望みんなが魅力的な、文句なしに楽しい映画でした。 [インターネット(邦画)] 8点(2021-05-16 19:06:14)(良:1票) |
3. キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争
前作よりも素のワンコシーンが少なくなっているのが不満。 まぁでも、うちのワンコはテレビに犬が出ると興奮するので、一緒に観て楽しめました。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2011-10-17 12:49:40) |
4. 今度は愛妻家
この手の映画で泣くわけないと思っていたけれど、庭先での写真撮影のシーンでふいに泣けて、そこからはもう、涙でかすんで画面がよく見えないくらい泣きました。 「愛してる」なんて言えないぶっきら棒な夫の、この上ない愛情表現に、もう嗚咽さえしましたよ。 ストーリーなんかはさておいて、主演のふたりの醸し出す空気感がもう抜群にいい。 自然で愛らしくて切ないことこの上ない。 そして、特別派手なエピソードがあるわけではなく、日常的な出来事や会話を積み重ねることで、夫婦のドラマを紡いでいく構成は本当にうまい。 それにしてもこんなに泣いたのは久しぶり。一人で観ていて良かった。 [DVD(邦画)] 9点(2011-10-15 23:39:23) |
5. インシテミル 7日間のデス・ゲーム
言うまでもなく「そして誰もいなくなった」とか「十角館の殺人」を模した舞台設定であり、凶器のカードや小道具なんかもそれに倣ったものだったのだけれど、それらになんの意味も持たせてないというのが、ある意味いちばんのミステリー。 藤原達也は悪い役者ではないが、本作では演技がやや煩いように感じた。 [地上波(邦画)] 3点(2011-10-15 12:25:18) |
6. キック・アス
ヒーローに憧れるオタク坊やのお話しかと思いきや、ヒットガールという傑出したキャラクター登場でめきめき面白くなった本作。 最高にクールな彼女に釘付け状態で最後まで一気に楽しめた。 もちろん、少女がガンガン殺人するわけで「これ、人によっては受け付けないだろうな~」とは思うのだけれど、ベースが軽快なノリのコミカルなストーリーであるせいか、ちっとも陰惨じゃない。 キック・アスとビッグ・ダディ&ヒット・ガール父娘のお話は別の物語にしてもいいほど、それぞれのパートが輝きつつ、軟弱な少年の成長譚と、父娘の復讐劇がバランス良く構成されていて、そのギリギリの平衡感覚がこの映画をすごく魅力的にしているように思う。 続編では、キック・アスを「ただのオタク」と知りながら「友だちだ」と言い切るほどに孤独な少年、レッド・ミストの活躍にも期待したい。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2011-10-14 18:52:27)(良:1票) |
7. うさぎドロップ
原作もアニメも未見、まったくのまっさら状態で観たのだけれど、ストーリーも演出も全くもって凡庸。 特に終盤の子どもがいなくなるエピソードでは正直「またこのパターンか…」とうんざりした。 一緒に行った原作ファンの友人に聞いたら、これは映画のオリジナルエピソードだそうで、物語に起伏をつけようとしたのだろうが、思わせぶりな妹の彼氏の登場も合わせて、どうにもいただけない。 保育園のママ友がモデルというのもオリジナルとは違うらしく、どうも安易な発想で見せどころを作ろうとしているとしか思えない。 主演の2人はすごく魅力的に良い演技をしているので、そんな安直な小細工ナシで、二人の心の触れ合いや心情を丹念に見せた方が良かったのではないかと思う。(10.5新宿ピカデリー) [映画館(邦画)] 5点(2011-10-08 09:32:28)(良:1票) |
8. プレデターズ(2010)
軍人やヤクザ、連続殺人犯などのキャラクター設定はいいんだけど、それが存分に生かされていないのが残念。 そもそも圧倒的に不利な状況にある人間たちが勝利するには、それなりの知力が必要なハズなのに、プロフェッショナル集団の“らしさ”が描かれておらず、しまいにゃ「もう全員やられてしまえ」という気にさせられる。 ってか、戦闘集団にヤクザって…。今どきのヤクザは経済ヤクザですぜ、兄さん。 しかも武士とごっちゃになってるし(笑) [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-10-05 10:59:22)(良:1票) |
9. グリーン・ゾーン
方向性としては至極まっとうなイラク戦争映画なんだけれど、アクションシーンの大部分がブレてて暗くって、ほとんど何やってるかわからないし、展開も全然スリリングじゃなく、サスペンを楽しむこともできず、映画としては非常に残念な出来栄え。 せめて戦闘シーンが昼間だったら…。 [映画館(字幕)] 4点(2011-10-02 02:37:36) |
10. シャッター アイランド
配給会社の「だまされるな」という宣伝にだまされると痛い目を見る。 トリックが事前に予想できても十分に楽しめるだけの、演技と演出のクオリティだった。 ゾンビになってしまってでも忘れてしまいたいくらいの哀しみの深さを示したラストシーンが印象的。 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-16 20:39:31) |
11. パラレルライフ
並行理論ってのはいい着眼点だし、なかなか真相にたどり着かない展開も凝ってるっちゃあ凝ってるんだけど、後半からラストにかけてはもう漫画かっ!って言いたくなる突っ込みどころ満載。 いくらなんでもそんな薬あるかっていう(笑) [CS・衛星(字幕)] 3点(2011-09-12 23:38:59) |
12. インセプション
朝目覚めて「もっと続きが見たい」と思ったり、「目覚めて良かった~」とホッとしたり、そんな経験は誰にでもあるだろう。 そんな身近なモノを主軸に、これだけのビジュアルクオリティーとしっかりした構成の物語で魅せてくれれば、娯楽作品としては拍手ものでしょう。非常に独創的。 ただ、夢の世界(層によって時間の経過が違うとか、夢と自覚すると周囲(投影)の態度が変わる)とか、目覚める時のルールとか、どうしてもこの“新世界”を理解するための説明と、SFとして成立させるための理屈っぽい台詞が多くなってしまうのがこの手の映画のネックかもしれない。 私的にはミッションの遂行よりも、夢の世界で生きたいと願うコブの妻の、これが現実だと誰が言い切れるのか?という問いかけが心に響いてしまった。 物議を醸しているラストシーンも含め、想像力をかき立てられる刺激的な作品だったと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-09 23:17:25) |
13. ヒーローショー
これはもう、すごいモン観ちゃった!というのが偽らざる感想。 まず主演したジャルジャルのふたりがバカいい。 干しシイタケを戻すだけのシーンに半日かかったという福徳は変に役者面せず等身大で演じれば(とは言っても彼の実像は押しも押されもせぬお笑いエリートなのだ)、相方の後藤は半端な役者じゃ敵わないほどの、オーラがあった。 前半の暴力シーンでは、暴力を振るう側の怯えや覚悟のなさ、集団心理なんかも細かく描かれていて、暴力行為そのものよりも普通の人の罠としてのそれが恐ろしさをかき立てる。 後半の展開は失速と見る向きも多いようだが、こここそが今の若者の空疎な空気感を醸していて良かったように思う。 届かなそうなでっかい夢を掲げることで現実から逃避する福徳と、地方や家庭からくる閉塞や、好きな女との一筋縄ではいかない未来から、おとぎ話のような将来を夢想する後藤の行き詰まり感がよく出ていて切なさを感じた。 昔の若者ならもっと無軌道や無鉄砲にもなれたのかもしれないけれど、開き直りにも似た無気力が彼らを支配しているのは紛れもなく今の時代感だ。 もちろんこのお話し、これで終わるハズもなく、解釈の余地が様々にあるラストシーンに繋がる。 この映画を観て誰もが連想する類似事件(被害者を生き埋めにした集団暴行殺人事件)の主犯は死刑が確定している。 決して特別じゃない人間の日常の中に、ぽっかり口をあけて構えている悲惨がきっちり描かれているのだ。 人は簡単に「生き直し」なんかできやしない。せめて「自分の命」なんかより大事なもんを見つけろや、と、そんなメッセージが聞こえてきた気がする。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-09-08 00:53:51)(良:3票) |
14. 告白(2010)
ずいぶん前のことだが、かなり人気だという寿司屋に行った。 超高級素材しか使わないというその店で出てきた三貫の中トロは軽くあぶって、それぞれ違う味のたれが塗ってあった。 私は心底わさびと醤油で食べたかったのだが、それは好みの問題だろう。 本作では、お得意のギトギトカラーは影を潜め、抑え気味の演出ではあるものの、相変わらず全部のカットの映像は厭らしいまでに凝っており、スゴイとは思うのだが、やっぱり好きになれないのはそれと同じ理由だと思う。 また、原作は新刊が出てすぐに読んだが、「嫌われ松子」の時とは違って、かなりそのテイストを尊重しているようにも思える。 それは私が原作の「嫌われ松子」を溺愛しており、本作「告白」はあまり好みでなかったせいも多分にあるかもしれず、これもやっぱり好みの問題なのだ。 というわけで、とりあえずは及第点。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-09-05 19:33:35) |
15. カラフル(2010)
森絵都さんは好きな作家で、何冊か読んでいるけれど、これは未読。 でもほんわかとした世界観や、温かみのあるキャラクター造形は雰囲気に合っていたように思う。 そして風景描写の繊密さと美しさは目を見張るものがある。 主人公と初めての友人とのささやかな何気ないエピソードもいい。 ちょっと尺が長い気もするが、大人もそれなりに楽しめる出来栄えだと思う。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-08-27 23:11:46) |
16. FLOWERS フラワーズ
内容がペラペラだから、変な間が多かったり、要らないカットが満載の、稀に見るどないやねん映画。 生命のバトンとか、それぞれの時代に美しく生きる女性たちを描きたかったらしい…ということと、イノっちと平田満はちょっと似ているということはわかったけど。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2011-08-20 15:12:06) |
17. ツリー・オブ・ライフ
物語はいたってシンプルにひとつの家族、そのなかで自己を確立していく少年時代の回顧録という形をとっている。 しかし、その回顧は、具体的なエピソードだけでなく、万物の創造や宗教を想像させる壮大な映像が多用され、非常にシンボリックなものとなっており、聖書の「ヨブ記」の神とヨブの関係と、強権な父と子の関係をリンクさせているようでもある。 殊に「モルダウ」の調べに乗って家族の幸福な時代が顧みられるシーン、どんな人の人生にもある一瞬の蜜月を切り取った映像は非常に美しく感動的だ。 この映画は「物語」ではなく、一編の「映像詩」として楽しむのが正解かもしれない。 一つ一つの映像に意味づけを探したりするよりも、ただスケール感に圧倒されるとか、自分の家族に思いを馳せるとか、宇宙から見たらどうでもいいし、という前向きなパワーを養うのもアリだと思う。 家族愛に涙しようなんてハンカチ握りしめて観に行ったら大火傷するだろうし(途中退席する人や早々に深い眠りに誘われる人も多くお見受けした)、積極的に他人にお勧めしたいとは思わないが、それほど高尚でも小難しくもなかったと、私自身は感じた。 世の中がどんなに不条理でも、わたしたちは壮大な宇宙の中で神に愛されている一員であり、そしてちゃんと帰るべき場所があるよ、という優しい優しい「映像詩」である。(8.17新宿ミラノ座) [映画館(字幕)] 8点(2011-08-18 07:36:36)(良:1票) |
18. ソルト
アンジェリーナ・ジョリーの超人的かつ優美なアクションがこれでもか!というくらい堪能できる映画。 脚本はやや凡庸で粗もあるけれど、アンジーの魅力一本で最後まで失速せずに魅せきってしまう。 二転三転する彼女の素性や、それによるコスチュームの変化なんかも見逃せない。 娯楽作品としては十分楽しめる豪華な作品。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2011-08-15 16:32:03) |
19. ベスト・キッド(2010)
オリジナルはずいぶん昔に観た記憶があるが、今回はあのジャッキーが師匠役だという時点ですでに成功が約束されているハズ。 しかも、ジェイデン君の泣き顔は「幸せのちから」で心に沁みついている。 想像する限り、こんなにぴったりのキャスティングはないだろう。 そして、そんな上がりきったハードルを軽々と飛び越えるくらい良くできた映画だった。 なんといっても非常に丁寧な演出で、この手の映画にしては長すぎると思える尺をちっとも感じさせない。 ストーリーの本筋と無関係であっても、決して不要なシーンはなくて、彼女とのデートやシーンやジャッキーとジェイデンくんの影絵のシーン、どれをとっても作品を華やかに彩る名シーンばかり。 初めはちょっとおブスに見えた子役の女の子が、だんだん可愛く見えてくる…なんてのも演出のチカラだろうなぁ。 「笑顔がクセになっちゃった」ジェイデン君の顔を何度も見て笑うためにDVD買っちゃおうかな~ってくらい、楽しめました。 《追記》早速翌日購入して、10歳の甥っ子にプレゼント。一緒に観たら10倍楽しめました! 大人も子供も一緒に楽しめる作品って貴重ですね。 [CS・衛星(吹替)] 9点(2011-08-13 23:31:05)(良:3票) |
20. コクリコ坂から
昭和30年代後半の街並みは鮮やかに描かれていたし、主人公の爽やかな恋愛模様と、カルチェラタン再生のわくわく感も良かった。 二人乗りの自転車で坂道をくだるシーンや、手際良く料理を作る所作や、学生たちが掃除やペンキ塗りをするシーンも良くできていて楽しかったと思う。 思うんだけれど、おそらく前提条件をわざと省略しているのだろうと思うが、登場人物が描き切れておらず、風間君のダイブや、ふたりが惹かれあっていく過程など、その心理や行動原理が理解しにくい。 理解しにくいから感情移入できず、結局のところ最後まで傍観者のままで映画は終ってしまった。 判断や想像を観客に委ねるのと、不親切なのとは全然違う。 「伝えたいなにか」があるのなら、雰囲気だけでなく、もっと丁寧に人物を描いてほしかった。 結果として、物語は単なる懐古趣味の域を出ず、非常に表面的な印象を受けた。 全体としての出来は悪くないだけにとても残念。(8.10 新宿ピカデリー) [映画館(邦画)] 6点(2011-08-11 14:30:30)(良:1票) |